JP6512131B2 - 車両用の遠心圧縮機 - Google Patents

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この発明は、車両用の遠心圧縮機に関する。
従来の高速流体装置は、増速機として高い増速比を得るために、遊星歯車機構を用いている。しかし、出力軸が数万rpm以上の高回転で回転されることから、歯車が著しく振動したり、騒音が発生したりする問題がある。このような問題に対処するために、歯車に代えて滑らかな表面を持つローラを用いるトラクションドライブ式変速機(摩擦ローラ式変速機)が使用されている。
例えば、特許文献1では、摩擦ローラ式変速機及び高速流体装置が開示されている。この装置では、第1ハウジングに低速シャフトが回転自在に支持され、第1ハウジング内の低速シャフトの端部には、低速リングが取り付けられている。第2ハウジングには、高速シャフトが低速シャフト及び低速リングに対して偏心して回転自在に設けられ、低速リングと高速シャフト間には、2個のガイドローラと1個の可動ローラとが介装されている。低速リング内には、第3ハウジングとしての連結板が配置され、連結板は第2ハウジングに向けて突出した3個の軸方向延在部を有している。各軸方向延在部は、各ガイドローラ及び可動ローラ間に存在し、ボルトにより第2ハウジングに固定されている。ガイドローラ及び可動ローラは、支持軸を介して第2ハウジングと連結板との間に回転自在に支持されている。低速シャフトを介して低速リングが回転することにより、低速リングの回転は2個のガイドローラ及び1個の可動ローラを介して高速シャフトに伝達され、高速シャフトを高速で回転することが可能である。高速シャフトの端部には、過給機のインペラ(羽根車)が装着されている。
第2ハウジングの上部には、トラクション油(潤滑油)の給油口が設けられ、第2ハウジングの内部には、上下方向に延在し給油口と連通する案内路が設けられている。連結板における軸方向延在部には、軸方向案内路が形成され、軸方向案内路は案内路と連通している。また、軸方向延在部には、軸方向案内路に連通し内径方向及び外径方向に延びる内径方向案内路及び外径方向案内路が形成されている。従って、外部ポンプから給油口を介して潤滑油を強制的に導入すると、潤滑油は第2ハウジング内の案内路から連結板内の軸方向案内路に導入される。そして、内径方向案内路を介して高速シャフトと各ローラとの接触部(トラクション部)に潤滑油が供給されると共に、外径方向案内路を介して低速リングと各ローラとの接触部(トラクション部)に潤滑油が供給される。これにより、トラクション部を充分に強制潤滑することができ、低速シャフトから高速シャフトへのトルク伝達を円滑に行うことができる。
特許文献1に開示された摩擦ローラ式変速機及び高速流体装置では、連結板の軸方向延在部に形成される軸方向案内路、内径方向案内路及び外径方向案内路は、下方の1個の軸方向延在部にのみ設けられている。しかし、案内路を1個の軸方向延在部にのみ設けるだけでは、潤滑油の供給不足を招く恐れがあり、各トラクション部を充分に潤滑できない恐れがある。そこで、3個の軸方向延在部に、軸方向案内路、内径方向案内路及び外径方向案内路をそれぞれ設けた場合を考える。例えば、図7に示す摩擦ローラ式変速機70では、低速リング71と高速シャフト72との間に配置される各ローラを、ガイドローラ73、74及び可動ローラ75とする。ガイドローラ73とガイドローラ74間に軸方向延在部76が存在し、ガイドローラ74と可動ローラ75間に軸方向延在部77が存在し、ガイドローラ73と可動ローラ75間に軸方向延在部78が存在している。軸方向延在部76には、軸方向案内路76A、内径方向案内路76B及び外径方向案内路76Cが設けられている。軸方向延在部77には、軸方向案内路77A、内径方向案内路77B及び外径方向案内路77Cが設けられている。軸方向延在部78には、軸方向案内路78A、内径方向案内路78B及び外径方向案内路78Cが設けられている。
潤滑油は、軸方向案内路76A、77A、78Aにそれぞれ案内され、内径方向案内路76B、77B、78Bから高速シャフト72に向けてそれぞれ噴射される。また、軸方向案内路76A、77A、78Aにそれぞれ案内された潤滑油は、外径方向案内路76C、77C、78Cから低速リング71の内周面に向けて噴射される。これにより、各トラクション部を充分に潤滑することが可能である。
特開2005−140309号公報
ところで、図7に示す摩擦ローラ式変速機70において、潤滑油供給量が多い場合には、内径方向案内路76B、77B、78Bから噴射された潤滑油は、高速シャフト72の外周面に直接到達する。そして、ガイドローラ73と高速シャフト72の接触部、ガイドローラ74と高速シャフト72の接触部及び可動ローラ75と高速シャフト72の接触部に潤滑油を充分に供給でき、潤滑油膜を形成することが可能である。しかし、潤滑油供給量が多いと、撹拌抵抗が増大し効率低下を招く恐れがある。一方、潤滑油供給量が少ない場合には、内径方向案内路76Bから噴射された潤滑油は、高速シャフト72の外周面まで直接到達せず、重力の影響を受けてガイドローラ74の外周面に供給され、ガイドローラ74の外周面を介して高速シャフト72に供給される。また、潤滑油供給量が少ない場合には、内径方向案内路77Bから噴射された潤滑油は、高速シャフト72の外周面まで直接到達せず、重力の影響を受けて軸方向延在部77の外周を伝わって下方に流れる。また、潤滑油供給量が少ない場合には、内径方向案内路78Bから噴射された潤滑油は、高速シャフト72の外周面まで直接到達せず、重力の影響を受けて可動ローラ75の外周面に供給され、可動ローラ75の外周面を介して低速リング71の内周面に供給される。その結果、ガイドローラ73と高速シャフト72との接触部及び可動ローラ75と高速シャフト72との接触部に潤滑油が充分に供給されず、潤滑油膜がこの接触部に形成されないことによる摩耗や焼き付きが発生する恐れがある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、各ローラと高速シャフトとの当接部に潤滑油を確実に供給することが可能であり、且つ、耐久性の向上と潤滑油供給量の低減を図ることが可能な車両用の遠心圧縮機の提供にある。
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、低速シャフトと、前記低速シャフトを回転させる電動モータと、前記低速シャフトよりも高速に回転する高速シャフトと、前記低速シャフトおよび前記高速シャフトに連結されると共に、前記低速シャフトの回転を増速し、前記高速シャフトに伝達する増速機構と、前記高速シャフトに連結される圧縮機構と、前記電動モータを収容するモータ収容室、前記増速機構を収容する増速機収容室及び前記圧縮機構を収容する圧縮機収容室を有するハウジングと、前記ハウジングを車両に取り付ける際に用いられる取付部と、を備えた車両用の遠心圧縮機であって、前記ハウジングは、外部からの潤滑油が供給されるハウジング内通路を有し、前記増速機構は、前記低速シャフトの第一の端部に設けられるとともに環状の環状部を有するリング部材と、前記環状部の内側に設けられるとともに前記環状部と前記高速シャフトとの間に回転可能に配置される第1ローラ、第2ローラ及び第3ローラと、前記環状部の内側に設けられるとともに前記第1ローラと前記第2ローラとの間、前記第1ローラと前記第3ローラとの間及び前記第2ローラと前記第3ローラとの間にそれぞれ配置される柱状部材と、を備え、前記柱状部材は、前記ハウジング内通路と前記増速機収容室内とを連通する連通孔を有し、前記遠心圧縮機は、前記第1ローラの回転中心が、前記第2ローラの回転中心及び前記第3ローラの回転中心よりも鉛直方向上方に位置するとともに前記第1ローラの回転中心と前記高速シャフトの回転中心とを結ぶ仮想線が鉛直方向に対して前記リング部材の回転方向に傾斜されるように前記取付部を用いて車両に取り付けられることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、潤滑油供給量が少ない場合には重力の影響を受けやすいが、各柱状部材の連通孔から供給された潤滑油は、隣接して配置された各ローラの外周面を介して高速シャフトに供給できる。よって、各ローラと高速シャフトとの当接部に潤滑油を確実に供給することが可能であり、且つ、耐久性の向上と潤滑油供給量の低減を図ることが可能である。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の車両用の遠心圧縮機において、前記遠心圧縮機は、前記第2ローラの回転中心が、前記第3ローラの回転中心よりも鉛直方向下方に位置するように前記取付部を用いて車両に取り付けられ、前記第1ローラと前記第2ローラとの間に設けられる前記柱状部材の前記連通孔の開口は、前記第2ローラよりも前記第1ローラ側に位置することを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、第1ローラと第2ローラとの間に設けられる柱状部材の連通孔の開口は、第2ローラよりも第1ローラ側に位置していることにより、潤滑油供給量が少ない場合であっても、第1ローラと第2ローラとの間に設けられる柱状部材の連通孔の開口から供給された潤滑油は、第1ローラの外周面に到達し、第1ローラの回転に伴い第1ローラと高速シャフトとの当接部に供給される。よって、第1ローラと高速シャフトとの当接部に確実に潤滑油膜を形成することが可能である。
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の車両用の遠心圧縮機において、前記遠心圧縮機は、前記増速機収容室内に貯留される前記潤滑油の液面レベルが最も高いレベルにあるとき、前記第2ローラ及び前記第3ローラは、前記増速機収容室内で前記潤滑油に浸漬した状態となるように前記取付部を用いて車両に取り付けられることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、増速機構は停止した状態にあるとき、貯留される潤滑油の液面レベルは最も高いレベルにある。始動時には、連通孔からの潤滑油供給は開始されておらず、各当接部の潤滑油不足を招く恐れがある。しかし、第2ローラ及び第3ローラは貯留される潤滑油に浸漬した状態にあるので、第2ローラ及び第3ローラを介して高速シャフトに潤滑油を供給可能である。よって、始動時における各当接部の潤滑油不足を解消することが可能である。
本発明によれば、各ローラと高速シャフトとの当接部に潤滑油を確実に供給することが可能であり、且つ、耐久性の向上と潤滑油供給量の低減を図ることが可能である。
本発明の実施形態に係る車両用の遠心圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。 図1におけるA−A線断面図である。 図1における要部拡大図である。 本発明の実施形態に係る作用説明用の模式図である。 本発明の実施形態に係る作用説明用の模式図である。 別例を説明するための断面図である。 従来技術を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両用の遠心圧縮機を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示す車両用の遠心圧縮機(以下、「遠心圧縮機」と表記する)10は、入力軸の回転を増速機構により増速して出力軸に伝えるものであり、入力軸としての低速シャフト16を駆動する電動モータ11と、低速シャフト16の回転を増速して出力軸としての高速シャフト26に伝える増速機構12と、高速シャフト26に設けられたインペラ38の回転により流体の圧縮を行う圧縮機構13とを備えている。
遠心圧縮機10は、遠心圧縮機10の外郭を構成するハウジング43を備えている。ハウジング43は、電動モータ11が収容されたモータハウジング14と、増速機構12が収容された増速機ハウジング15と、圧縮機構13が収容された圧縮機ハウジング39とを備えている。また、ハウジング43は、増速機ハウジング15と圧縮機ハウジング39との間に設けられた平板状のハウジングプレート21を備えている。
モータハウジング14は、有底筒状であり、開口を有する。
増速機ハウジング15は、有底筒状であり、開口を有する。
モータハウジング14における開口を区画する開口端14Bと、増速機ハウジング15の底部15Aとは、突き合わさった状態で、組み付けられている。モータハウジング14と増速機ハウジング15の底部15Aとによってモータ収容室47を区画する。
増速機ハウジング15の開口を区画する開口端15Bと、ハウジングプレート21とは、突き合わさった状態で、組み付けられている。増速機ハウジング15とハウジングプレート21とによって増速機収容室22を区画する。
圧縮機ハウジング39と、ハウジングプレート21とは、突き合わさった状態で、組み付けられている。圧縮機ハウジング39とハウジングプレート21とによって圧縮機収容室48を区画する。
電動モータ11および低速シャフト16は、モータ収容室47に収容されている。低速シャフト16の第一の端部は、増速機ハウジング15の底部15Aに固定された軸受18によって支持され、低速シャフト16の第二の端部は、モータハウジング14の底部14Aに固定された軸受17によって支持されており、回転自在となっている。モータハウジング14の内周面にはステータ19が固定され、ステータ19には図示しない駆動回路から三相交流が供給されるようになっている。ステータ19の内側にはロータ20が設けられ、ロータ20は低速シャフト16に固定されている。ロータ20は、ステータ19内でステータ19に供給される電流によって回転駆動される。電動モータ11は、ステータ19及びロータ20によって主に構成されている。
増速機構12は、増速機収容室22内に収容されている。
増速機ハウジング15の底部15Aには、貫通孔が設けられており、貫通孔には、低速シャフト16の第一の端部が挿通される。貫通孔と低速シャフト16との間には、軸受18とシール部材25とが設けられている。
シール部材25は、軸受18よりも増速機構12側に設けられている。
増速機収容室22内における低速シャフト16の第一の端部には、リング部材49が固定されている。
リング部材49は、低速シャフト16の第一の端部と当接する円盤状の連結部材23と、連結部材23の外縁部に設けられる環状の環状部材24とを有する。環状部材24が環状部に相当する。
連結部材23は、連結部材23の回転中心が低速シャフト16の軸心(回転中心)Pと同心となるように設けられている。
ハウジングプレート21は所定の厚みを有する板状部材である。ハウジングプレート21には、貫通孔が設けられており、貫通孔には、高速シャフト26が挿通される。
貫通孔と高速シャフト26との間には、シール部材27が設けられている。
高速シャフト26は、高速シャフト26の軸心(回転中心)Qが、低速シャフト16及びリング部材49の軸心(回転中心)Pに対して偏心するように配置されている。
高速シャフト26には、一対の鍔部26A、26Bが設けられている。鍔部26Aは、高速シャフト26の第一の端部(高速シャフト26におけるハウジングプレート21側)に設けられ、鍔部26Bは、高速シャフト26の第二の端部(高速シャフト26における増速機ハウジング15側)に設けられている。一対の鍔部26A、26B間に複数のローラが配置されている。
図1に示すように、圧縮機構13は、圧縮機収容室48に収容されている。圧縮機構13は、高速シャフト26の第一の端部に装着されたインペラ(羽根車)38を有する。
圧縮機ハウジング39は、軸線方向に貫通した貫通孔を有する略筒状である。圧縮機ハウジング39の軸線方向の2つの端面のうちの第一の端面がハウジング43の軸線方向の一端面を構成しており、貫通孔における第一の端面側にある開口が吸入口40として機能する。
圧縮機ハウジング39とハウジングプレート21とは、圧縮機ハウジング39の第一の端面とは反対側の第2の端面と、ハウジングプレート21とが突き合わさった状態で、組み付けられている。この場合、圧縮機ハウジング39の貫通孔の内面とハウジングプレート21とによって、インペラ38が収容されたインペラ室38Aが形成されている。つまり、貫通孔は、吸入口40として機能するとともに、インペラ室38Aを区画するものとして機能する。吸入口40とインペラ室38Aとは連通している。
また、遠心圧縮機10は、インペラ38によって圧縮された流体が流入するディフューザ41と、ディフューザ41を通った流体が流入するボリュート42とを備えている。ディフューザ41は、圧縮機ハウジング39における貫通孔のハウジングプレート21側の開口端と連続し且つハウジングプレート21と対向する面と、ハウジングプレート21とによって区画された流路である。ディフューザ41は、インペラ室38Aよりも高速シャフト26の径方向外側に配置されており、インペラ38(及びインペラ室38A)を囲むように環状(詳細には円環状)に形成されている。ボリュート42は、ディフューザ41よりも高速シャフト26の径方向外側に配置された環状である。インペラ室38Aとボリュート42とはディフューザ41を介して連通している。インペラ38によって圧縮された流体は、ディフューザ41を通ることによって、更に圧縮されてボリュート42に流れ、当該ボリュート42から吐出される。
遠心圧縮機10は、ハウジング43を車両に取り付ける際に用いられる取付部を有する。本実施形態の取付部は、図1に示すように、ハウジング43に設けられた取付脚43Aである。
取付脚43Aはハウジング43の外周面の2箇所に設けられている。取付脚43Aには、挿通孔が設けられており、挿通孔にボルトが挿入され、当該ボルトが車両に取り付けられることで、ハウジング43は、車両に固定される。
次に、増速機構12について更に説明する。
図2に示すように、リング部材49の環状部材24の内周面と高速シャフト26との間には、環状部材24と高速シャフト26の双方に潤滑油の薄膜を介して当接した円柱状の第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30が設けられている。つまり、第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30は、環状部材24の内側に設けられている。
第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30の回転軸線方向と高速シャフト26の回転軸線方向とは一致している。
第1ローラ28は、遠心圧縮機10が取付脚43Aを用いて車両に搭載された状態で、第1ローラ28の回転中心Rが、第2ローラ29の回転中心M及び第3ローラ30の回転中心Nよりも鉛直方向上方に位置する。
第2ローラ29は、遠心圧縮機10が取付脚43Aを用いて車両に搭載された状態で、第2ローラ29の回転中心Mが、第3ローラ30の回転中心Nよりも鉛直方向下方に位置するように配置されている。
また、第2ローラ29は、第2ローラ29の回転中心Mと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線が、第1ローラ28の回転中心Rと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線から環状部材24の回転方向Fに120°回転した位置となるように配置されている。
第3ローラ30は、第3ローラ30の回転中心Nと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線が、第2ローラ29の回転中心Mと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線から環状部材24の回転方向Fに120°回転した位置となるように配置されている。つまり、第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30は、高速シャフト26の周方向に所定の間隔(例えば120度)ずつ隔てて並んで配置されている。
第1ローラ28及び第3ローラ30はハウジングに対して回転中心R、Nが移動しないように固定された固定ローラであり、第1ローラ28は第3ローラ30より大径である。第2ローラ29はハウジングに対して回転中心Mが移動可能な可動ローラであり、第3ローラ30と同等の径を有し、伝達トルクの大きさに応じて移動可能に配置されている。なお、可動ローラは図示しないくさび角に食い込む方向に移動可能に配置されている。
第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30は、回転した際、環状部材24の内周面24Aにそれぞれ潤滑油の薄膜を介して当接すると共に、高速シャフト26の外周面26Cにそれぞれ潤滑油の薄膜を介して当接するよう配置されている。第1ローラ28の外周面28Bと高速シャフト26の外周面26Cとの間の当接部をSR1とし、第2ローラ29の外周面29Bと高速シャフト26の外周面26Cとの間の当接部をSR2とする。そして、第3ローラ30の外周面30Bと高速シャフト26の外周面26Cとの間の当接部をSR3とする。
環状部材24の回転は、第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30を介して高速シャフト26に伝達され、高速シャフト26を高速回転させることが可能である。
図1及び図2に示すように、増速機構12は、ハウジングプレート21と協働して各ローラ28〜30を回転可能に支持する支持部材31を備えている。支持部材31は環状部材24の内側に配置されている。支持部材31は、リング部材49の連結部材23よりも一回り小さく形成された円板状の支持ベース部31Dと、当該支持ベース部31Dから起立した柱状の3つの柱状部31A〜31Cとを備えている。
支持ベース部31Dは、リング部材49の連結部材23と板面同士が離間して対向するように配置されている。
3つの柱状部31A〜31Cは、支持ベース部31Dにおけるハウジングプレート21と対向する面からハウジングプレート21に向けて起立しており、環状部材24の内周面24Aと、隣り合う2つのローラの外周面とによって区画された3つの空間を埋めるように形成されている。
さらに詳述すると、第1柱状部31Aは、環状部材24の内周面24A、第1ローラ28の外周面28B及び第2ローラ29の外周面29Bに対して一定の隙間を形成した状態で、環状部材24の内周面24Aと第1ローラ28の外周面28Bと第2ローラ29の外周面29Bとによって区画された空間を埋めている。
第2柱状部31Bは、環状部材24の内周面24A、第2ローラ29の外周面29B及び第3ローラ30の外周面30Bに対して一定の隙間を形成した状態で、環状部材24の内周面24Aと第2ローラ29の外周面29Bと第3ローラ30の外周面30Bとによって区画された空間を埋めている。
第3柱状部31Cは、環状部材24の内周面24A、第1ローラ28の外周面28B及び第3ローラ30の外周面30Bに対して一定の隙間を形成した状態で、環状部材24の内周面24Aと第1ローラ28の外周面28Bと第3ローラ30の外周面30Bとによって区画された空間を埋めている。
つまり、第1柱状部31Aは、第1ローラ28と第2ローラ29との間に設けられ、第2柱状部31Bは、第2ローラ29と第3ローラ30との間に設けられ、第3柱状部31Cは、第1ローラ28と第3ローラ30との間に設けられる。
第1柱状部31A、第2柱状部31B及び第3柱状部31Cは、ハウジングプレート21にボルト32により固定されている。支持ベース部31Dは、高速シャフト26の回転軸線方向において第1ローラ28、第2ローラ29及び第3ローラ30と連結部材23間に配置されている。
図1及び図3に示すように、第1ローラ28における回転軸線方向の両端面には、該両端面から突出した円柱状の支軸部28Aがそれぞれ設けられている。一対の支軸部28Aは、第1ローラ28と一体形成されている。
ハウジングプレート21には、凹部21Aが設けられている。
第1ローラ28の一方の支軸部28Aは、ハウジングプレート21の凹部21A内に配置され、ハウジングプレート21と支軸部28Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能にハウジングプレート21に支持されている。
また、支持ベース部31Dには、凹部31Eが設けられている。
第1ローラ28の他方の支軸部28Aは、支持ベース部31Dの凹部31E内に配置され、支持ベース部31Dと支軸部28Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能に支持ベース部31Dに支持されている。
図2に示すように、第1ローラ28と同様に、第2ローラ29における回転軸線方向の両端面には、該両端面から突出した円柱状の支軸部29Aがそれぞれ設けられている。一対の支軸部29Aは、第2ローラ29と一体形成されている。
そして、第2ローラ29の一方の支軸部29Aは、ハウジングプレート21の凹部(図示せず)内に配置され、ハウジングプレート21と支軸部29Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能にハウジングプレート21に支持されている。また、第2ローラ29の他方の支軸部29Aは、支持ベース部31Dの凹部(図示せず)内に配置され、支持ベース部31Dと支軸部29Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能に支持ベース部31Dに支持されている。
図2に示すように、第1ローラ28と同様に、第3ローラ30における回転軸線方向の両端面には、該両端面から突出した円柱状の支軸部30Aがそれぞれ設けられている。一対の支軸部30Aは、第3ローラ30と一体形成されている。
そして、第3ローラ30の一方の支軸部30Aは、ハウジングプレート21の凹部(図示せず)内に配置され、ハウジングプレート21と支軸部30Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能にハウジングプレート21に支持されている。また、第3ローラ30の他方の支軸部30Aは、支持ベース部31Dの凹部(図示せず)内に配置され、支持ベース部31Dと支軸部30Aとの間に設けられる軸受33を介して回転可能に支持ベース部31Dに支持されている。
ところで、図2に示すように、遠心圧縮機10は、第1ローラ28の回転中心Rと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線Sが、鉛直方向(高速シャフト26の回転中心Qを通る鉛直線K)に対して環状部材24の回転方向Fに角度αだけ傾斜するように取付脚43Aを用いて車両に取り付けられている。傾斜角度αは30°程度が好ましい。
図3に示すように、ハウジングプレート21内には、外部ポンプ(図示せず)からの潤滑油が供給されるハウジング内通路35が形成されている。
ハウジング内通路35は、高速シャフト26の径方向に延在し外部ポンプと連通する第1径方向通路35Aと、高速シャフト26の周方向に延在し第1径方向通路35Aと連通する第1周方向通路35Bと、高速シャフト26の軸線方向に延在し第1周方向通路35Bと連通する3本の第1軸線方向通路35Cとを備えている。
更に詳述すると、第1径方向通路35Aは、一方端35A1が外部に開口する給油口34を形成し、他方端35A2が第1周方向通路35Bと接続されている。3本の第1軸線方向通路35Cは、一方端35C1が第1周方向通路35Bと接続され、他方端35C2が後述する3本の第2軸線方向通路36の一方端36Aと各々接続されている。
図2及び図3に示すように、第1柱状部31A〜第3柱状部31Cは、ハウジング内通路35と増速機収容室22内とを連通する連通孔としての第2軸線方向通路36と第2径方向通路37とをそれぞれ有する。
詳述すると、本実施形態の連通孔は、高速シャフト26の軸線方向に延設された3本の第2軸線方向通路36と、3本の第2軸線方向通路36各々と連通し高速シャフト26の径方向に延設された3本の第2径方向通路37とからなる。3本の第2径方向通路37は、一方端37Aが第2軸線方向通路36の他方端36Bと接続され、他方端37Bが増速機収容室22に開口している。つまり、第2径方向通路37は、第1柱状部31A、第2柱状部31B及び第3柱状部31Cに開口部37Cをそれぞれ形成する。
本実施形態の第2柱状部31B及び第3柱状部31Cの第2径方向通路37の開口部37Cは、高速シャフト26と対向している。よって、第2柱状部31B及び第3柱状部31Cの第2径方向通路37の開口部37Cから噴射された潤滑油は、高速シャフト26に向かって供給される。
一方、本実施形態の第1柱状部31Aに設けられる第2径方向通路37の開口部37Cは、第1ローラ28と対向している。よって、第1柱状部31Aの第2径方向通路37の開口部37Cから噴射された潤滑油は、第1ローラ28に向かって供給される。
なお、本実施形態の第1柱状部31Aに設けられる第2径方向通路37の開口部37Cは、第2ローラ29よりも第1ローラ28側に位置している。
次に、増速機構12のトルク伝達につき作用説明を行う。
図2に示すように、環状部材24、第1ローラ28〜第3ローラ30及び高速シャフト26は、第1ローラ28〜第3ローラ30と環状部材24、並びに、第1ローラ28〜第3ローラ30と高速シャフト26とが互いに押し付けあっている状態でユニット化されている。そして、高速シャフト26は、第1ローラ28〜第3ローラ30によって回転可能に支持されている。このとき、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面28B〜30Bと環状部材24の内周面24Aとの当接する部分、並びに、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面28B〜30Bと高速シャフト26の外周面26Cとの当接する部分SR1〜SR3には、押付け荷重が付与されている。
増速機構12は、環状部材24が回転すると、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面28B〜30Bと環状部材24の内周面24Aとの当接する部分(当接部)、及び、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面28B〜30Bと高速シャフト26の外周面26Cとの当接する部分(当接部)SR1〜SR3には、潤滑油膜が形成される。環状部材24の回転力は、潤滑油膜を介して第1ローラ28〜第3ローラ30に伝達され、第1ローラ28〜第3ローラ30の回転力は、潤滑油膜を介して高速シャフト26に伝達される。
そして、高速シャフト26に装着されたインペラ38が回転することにより吸入口40から吸い込まれた流体は、インペラ38により加速されてディフューザ41に供給され、ディフューザ41にて減速、昇圧された後、ボリュート42に送り込まれる。
次に、増速機構12の潤滑機構につき作用説明を行う。
図3〜図5に示すように、外部ポンプ(図示せず)からハウジングプレート21内のハウジング内通路35へ導入された潤滑油は、第1柱状部31A〜第3柱状部31C内の3本の第2軸線方向通路36及び3本の第2径方向通路37にそれぞれ供給される。
ところで、図4に示すように、潤滑油供給量が多い場合には、第2柱状部31Bの第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、高速シャフト26に向かって噴射され、高速シャフト26の外周面26Cに直接到達する。そして、高速シャフト26の外周面26Cに到達した潤滑油は、高速シャフト26の回転に伴い、高速シャフト26と第2ローラ29との当接部SR2に供給され、当接部SR2に潤滑油膜を形成する。
同様に、潤滑油供給量が多い場合には、第3柱状部31Cの第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、高速シャフト26に向かって噴射され、高速シャフト26の外周面26Cに直接到達する。そして、高速シャフト26の外周面26Cに到達した潤滑油は、高速シャフト26の回転に伴い、高速シャフト26と第3ローラ30との当接部SR3に供給され、当接部SR3に潤滑油膜を形成する。
また、潤滑油供給量が多い場合には、第1柱状部31Aの第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、第1ローラ28に向かって噴射され、第1ローラ28の外周面28Bに到達する。そして、第1ローラ28の外周面28Bに到達した潤滑油は、第1ローラ28の回転に伴い、高速シャフト26と第1ローラ28との当接部SR1に供給され、当接部SR1に潤滑油膜を形成する。
一方、図5に示すように、潤滑油供給量が少ない場合には、第2柱状部31B内の第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、高速シャフト26に向かって噴射されるが、高速シャフト26の外周面26Cまで直接到達せず、重力の影響を受けて第2ローラ29の外周面29Bに到達する。そして、第2ローラ29の外周面29Bに到達した潤滑油は、第2ローラ29の回転に伴い、高速シャフト26と第2ローラ29との当接部SR2に供給され、当接部SR2に潤滑油膜を形成する。
同様に、潤滑油供給量が少ない場合には、第3柱状部31C内の第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、高速シャフト26に向かって噴射されるが、高速シャフト26の外周面26Cまで直接到達せず、重力の影響を受けて第3ローラ30の外周面30Bに到達する。そして、第3ローラ30の外周面30Bに到達した潤滑油は、第3ローラ30の回転に伴い、高速シャフト26と第3ローラ30との当接部SR3に供給され、当接部SR3に潤滑油膜を形成する。
また、潤滑油供給量が少ない場合には、第1柱状部31A内の第2軸線方向通路36を介して第2径方向通路37に供給された潤滑油は、第1ローラ28に向かって噴射され、第1ローラ28の外周面28Bに到達する。そして、第1ローラ28の外周面28Bに到達した潤滑油は、第1ローラ28の回転に伴い、高速シャフト26と第1ローラ28との当接部SR1に供給され、当接部SR1に潤滑油膜を形成する。
ところで、第1柱状部31Aに設けられる第2径方向通路37の開口部37Cを、第2柱状部31B及び第3柱状部31Cに設けられる第2径方向通路37の開口部37Cのように高速シャフト26と対向するように配置した場合には、次のような不具合が生ずる。すなわち、潤滑油供給量が少ない場合には、噴射された潤滑油の多くが、第2ローラ29の外周面29Bに供給され、第1ローラ28と高速シャフト26との当接部SR1には潤滑油が充分に供給されない恐れがある。しかし、第1ローラ28と第2ローラ29との間に設けられる第1柱状部31A内の第2径方向通路37の開口部37Cは、第2ローラ29よりも第1ローラ28側に位置していることにより、潤滑油供給量が少ない場合であっても、第1ローラ28の外周面28Bを介して高速シャフト26と第1ローラ28の当接部SR1に潤滑油が供給される。
このように、潤滑油供給量が少ない場合であっても、第1柱状部31A〜第3柱状部31Cの連通孔から供給された潤滑油は、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面28B〜30Bを介して高速シャフト26と第1ローラ28〜第3ローラ30との間の当接部SR1〜SR3に供給され、当接部SR1〜SR3に潤滑油膜を形成する。なお、高速シャフト26と第1ローラ28〜第3ローラ30との当接部SR1〜SR3に供給された潤滑油は、第1ローラ28〜第3ローラ30の回転に伴い、第1ローラ28〜第3ローラ30と環状部材24との当接部にも回り込み潤滑油膜を形成する。
図5に示すように、増速機構12は停止した状態で増速機構12内に貯留される潤滑油の液面レベルHが最も高いレベルにあるとき、第2ローラ29及び第3ローラ30が貯留される潤滑油に浸漬した状態にある。なお、図5に示す液面レベルHは最も高いレベルを示している。始動時には、連通孔からの潤滑油供給は開始されておらず、各当接部SR1〜SR3の潤滑油不足を招く恐れがある。しかし、第2ローラ29及び第3ローラ30は貯留される潤滑油に浸漬した状態にあるので、第2ローラ29及び第3ローラ30の回転に伴い、高速シャフト26と第1ローラ28〜第3ローラ30との当接部SR1〜SR3に潤滑油が供給される。よって、始動時における各当接部SR1〜SR3の潤滑油不足が解消される。
本発明の実施形態に係る遠心圧縮機10によれば以下の効果を奏する。
(1)遠心圧縮機10は、第1ローラ28の回転中心Rが、第2ローラ29及び第3ローラ30の回転中心M、Nよりも鉛直方向上方に位置するとともに第1ローラ28の回転中心Rと高速シャフトの回転中心Qとを結ぶ仮想線Sが鉛直方向に対して環状部材24の回転方向Fに角度αだけ傾斜されるよう車両に取り付けられている。よって、潤滑油供給量が少ない場合には重力の影響を受けやすいが、第1柱状部31A〜第3柱状部31Cの連通孔から供給された潤滑油は、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面を介して高速シャフト26に供給できる。よって、第1ローラ28〜第3ローラ30と高速シャフト26との当接部SR1〜SR3に潤滑油を確実に供給することが可能であり、且つ、耐久性の向上と潤滑油供給量の低減を図ることが可能である。
(2)潤滑油供給量が少ない場合には、第2柱状部31B内の第2径方向通路37から供給された潤滑油は、高速シャフト26の外周面26Cまで直接到達せず、重力の影響を受けて第2ローラ29の外周面29Bに到達し、第2ローラ29の回転に伴い第2ローラ29と高速シャフト26との当接部SR2に供給される。また、第3柱状部31C内の第2径方向通路37から供給された潤滑油は、高速シャフト26の外周面26Cまで直接到達せず、重力の影響を受けて第3ローラ30の外周面30Bに到達し、第3ローラ30の回転に伴い第3ローラ30と高速シャフト26との当接部SR3に供給される。さらに、第1柱状部31A内の第2径方向通路37から供給された潤滑油は、第1ローラ28の外周面28Bに到達し、第1ローラ28の回転に伴い第1ローラ28と高速シャフト26との当接部SR1に供給される。従って、潤滑油供給量が少ない場合であっても、各第2径方向通路37から供給された潤滑油は、第1ローラ28〜第3ローラ30の外周面を介して高速シャフト26と第1ローラ28〜第3ローラ30との当接部SR1〜SR3に供給され、当接部SR1〜SR3に確実に潤滑油膜を形成することが可能である。
(3)第1ローラ28と第2ローラ29との間に設けられる第1柱状部31Aの第2径方向通路37の開口部37Cが、第2柱状部31B及び第3柱状部31Cに設けられる第2径方向通路37の開口部37Cのように高速シャフト26と対向するように配置されている場合には、潤滑油供給量が少ない場合に、噴射された潤滑油の多くが、第2ローラ29の外周面29Bに供給され、第1ローラ28と高速シャフト26との当接部SR1には潤滑油が充分に供給されない恐れがある。しかし、第1ローラ28と第2ローラ29との間に設けられる第1柱状部31Aの第2径方向通路37の開口部37Cは、第2ローラ29よりも第1ローラ28側に位置していることにより、潤滑油供給量が少ない場合であっても、第1ローラ28の外周面28Bを介して高速シャフト26と第1ローラ28の当接部SR1に潤滑油を供給することが可能である。
(4)増速機構12内に貯留される潤滑油の液面レベルHが最も高いレベルにあるとき、第2ローラ29及び第3ローラ30が貯留される潤滑油に浸漬した状態にある。増速機構12は停止した状態にあるとき、貯留される潤滑油の液面レベルHは最も高いレベルにある。始動時には、連通孔からの潤滑油供給は開始されておらず、各当接部SR1〜SR3の潤滑油不足を招く恐れがある。しかし、第2ローラ29及び第3ローラ30は貯留される潤滑油に浸漬した状態にあるので、第2ローラ29及び第3ローラ30の回転に伴い、高速シャフト26と第1ローラ28〜第3ローラ30との当接部SR1〜SR3に潤滑油が供給される。よって、始動時における各当接部SR1〜SR3の潤滑油不足を解消することが可能である。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更しても良い。
○ 本発明の実施形態では、第1ローラの回転中心が、第2ローラ及び第3ローラの回転中心よりも鉛直方向上方に位置するとして説明したが、回転中心が最も高い位置にあるローラが別のローラであってもよい。図6の別例における増速機構50では、第3ローラ53が回転中心の最も高い位置にあるローラとして設定され、第3ローラ53の回転中心Uと高速シャフト26の回転中心Qとを結ぶ仮想線Wが回転中心Qを通る鉛直線Kに対して環状部材24の回転方向Fに角度αだけ傾斜して取り付けられている。そして、第1柱状部54内に設けられた径方向通路57の開口部は、高速シャフト26と対向している。第2柱状部55内に設けられた径方向通路57の開口部は、高速シャフト26と対向している。また、第3柱状部56内に設けられた径方向通路57の開口部は、第3ローラ53と対向している。本実施形態においても上記本発明の実施形態と同等の効果を得ることが可能である。すなわち、潤滑油供給量が少ない場合であっても、径方向通路57から供給された潤滑油は、第1ローラ51〜第3ローラ53の外周面を介して高速シャフト26と第1ローラ51〜第3ローラ53との当接部に供給され、各当接部に潤滑油膜を形成することが可能である。また、第1ローラ51及び第2ローラ52は貯留される潤滑油に浸漬した状態にあるので、第1ローラ51及び第2ローラ52を介して高速シャフト26と第1ローラ51〜第3ローラ53との当接部に潤滑油が供給され、始動時における各当接部の潤滑油不足が解消される。
○ 本発明の実施形態においては、第1ローラ28及び第3ローラ30は固定ローラで第2ローラ29は可動ローラであるとして説明したが、第1ローラ〜第3ローラの全てが固定ローラであっても構わない。また、第1ローラ〜第3ローラの全てが同じ径を有していてもよく、この場合には、高速シャフトの回転中心と低速シャフト及びリング部材の回転中心とは偏心していない。
○ 本発明の実施形態においては、遠心圧縮機を車両に取り付ける取付部として、取付脚を使用するとして説明したが、取付脚を設けずに、例えば、プレート状の取付け部材を用いてもよい。取付け部材は、遠心圧縮機の上方から押さえつけるよう配置され、車両に固定される。この場合には、ハウジングにおける取付け部材が当接する部分が取付部(例えば、ハウジングにおける薄肉部分以外の部分)に相当する。
10 遠心圧縮機
11 電動モータ
12 増速機構
13 圧縮機構
16 低速シャフト
22 増速機収容室
24 環状部材
28 第1ローラ
29 第2ローラ
30 第3ローラ
31 支持部材
31A 第1柱状部
31B 第2柱状部
31C 第3柱状部
35 ハウジング内通路
36 第2軸線方向通路
37 第2径方向通路
37C 開口部
43(14、15、21、39) ハウジング
43A 取付脚
47 モータ収容室
48 圧縮機収容室
49 リング部材
Q 高速シャフトの回転中心
R 第1ローラの回転中心
M 第2ローラの回転中心
N 第3ローラの回転中心
S 仮想線
K 鉛直線
F 環状部材の回転方向
α 傾斜角度
H 液面レベル

Claims (3)

  1. 低速シャフトと、
    前記低速シャフトを回転させる電動モータと、
    前記低速シャフトよりも高速に回転する高速シャフトと、
    前記低速シャフトおよび前記高速シャフトに連結されると共に、前記低速シャフトの回転を増速し、前記高速シャフトに伝達する増速機構と、
    前記高速シャフトに連結される圧縮機構と、
    前記電動モータを収容するモータ収容室、前記増速機構を収容する増速機収容室及び前記圧縮機構を収容する圧縮機収容室を有するハウジングと、
    前記ハウジングを車両に取り付ける際に用いられる取付部と、を備えた車両用の遠心圧縮機であって、
    前記ハウジングは、外部からの潤滑油が供給されるハウジング内通路を有し、
    前記増速機構は、
    前記低速シャフトの第一の端部に設けられるとともに環状の環状部を有するリング部材と、
    前記環状部の内側に設けられるとともに前記環状部と前記高速シャフトとの間に回転可能に配置される第1ローラ、第2ローラ及び第3ローラと、
    前記環状部の内側に設けられるとともに前記第1ローラと前記第2ローラとの間、前記第1ローラと前記第3ローラとの間及び前記第2ローラと前記第3ローラとの間にそれぞれ配置される柱状部材と、を備え、
    前記柱状部材は、前記ハウジング内通路と前記増速機収容室内とを連通する連通孔を有し、
    前記遠心圧縮機は、前記第1ローラの回転中心が、前記第2ローラの回転中心及び前記第3ローラの回転中心よりも鉛直方向上方に位置するとともに前記第1ローラの回転中心と前記高速シャフトの回転中心とを結ぶ仮想線が鉛直方向に対して前記リング部材の回転方向に傾斜されるように前記取付部を用いて車両に取り付けられることを特徴とする車両用の遠心圧縮機。
  2. 前記遠心圧縮機は、前記第2ローラの回転中心が、前記第3ローラの回転中心よりも鉛直方向下方に位置するように前記取付部を用いて車両に取り付けられ、
    前記第1ローラと前記第2ローラとの間に設けられる前記柱状部材の前記連通孔の開口は、前記第2ローラよりも前記第1ローラ側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用の遠心圧縮機。
  3. 前記遠心圧縮機は、前記増速機収容室内に貯留される前記潤滑油の液面レベルが最も高いレベルにあるとき、前記第2ローラ及び前記第3ローラは、前記増速機収容室内で前記潤滑油に浸漬した状態となるように前記取付部を用いて車両に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用の遠心圧縮機。
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