以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で使用する図面においては、各構成要素を模式的に示していることから、各図における縮尺は正確ではない。
図1は、本実施の形態の製造方法(詳細は後述する)を用いて得られた素子チップ10の構成の一例を示す斜視図である。
図1に示す素子チップ10は、例えば青色光を出力する半導体発光素子21を搭載したものであり、直方体状の形状を有し、基板表面11aおよびその裏側となる基板裏面11bを有する基板11と、基板11の基板表面11aに積層された積層半導体層12と、積層半導体層12の上に形成された2つの電極13a、13bとを有している。そして、これら積層半導体層12および電極13a、13bによって、半導体発光素子21が構成されている。
本実施の形態では、基板11として、積層半導体層12を積層する基板表面11aがC面となるように構成されたサファイア単結晶を用いている。ただし、これに限られるものではなく、基板表面11aをC面からわずかに傾斜させたもの、さらには他の面としたものを用いることができる。
なお、基板11としては、サファイアの他に、例えば、炭化ケイ素(シリコンカーバイド)、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、窒化ガリウム等を用いることもできる。
また、青色光を出力する半導体発光素子21を構成する場合において、積層半導体層12は、例えば複数のIII族窒化物半導体層を積層したもので構成することができる。そして、この積層半導体層12に、III族窒化物半導体からなるn型層、発光層およびp型層(すべて図示せず)を順次積層することで、所謂LED構造とすることが可能になる。なお、この場合において、基板11の被積層面とn型半導体層との間には、例えばIII族窒化物からなる中間層や下地層(ともに図示せず)等を形成しておくことができる。
さらに、電極13aは積層半導体層12のp型半導体層側に、また、電極13bは積層半導体層12のn型半導体層側に、それぞれ形成されている。そして、素子チップ10では、電極13aから、図示しないp型層、発光層およびn型層を介して電極13bに向かう電流を流すことにより、発光層から光が出射されるようになっている。
また、本実施の形態の素子チップ10は、直方体状の形状を備えていることにより、基板表面11aを上方からみたときに、長辺側と短辺側とを有している。このため、基板11は、基板表面11aおよび基板裏面11bの他に、4つの基板側面を有している。なお、以下の説明においては、素子チップ10の短辺側をx方向と称し、長辺側をy方向と称する。また、x方向とy方向とに直交し、素子チップ10において積層半導体層12から基板11側に向かう方向をz方向と称する。
さらに、以下の説明においては、基板11の2つのx方向断面(xz断面)を基板短辺側面11xと称し、基板11の2つのy方向断面(yz断面)を基板長辺側面11yと称する。ここで、2つの基板短辺側面11xは基板11を挟んで対向しており、また、2つの基板長辺側面11yは基板11を挟んで対向している。そして、図1には、一方の基板短辺側面11xおよびこれに隣接する一方の基板長辺側面11yのみを示している。なお、実際の素子チップ10では、基板短辺側面11xがxz平面からずれる場合があり、基板長辺側面11yがyz平面からずれる場合がある。
本実施の形態では、基板11の基板短辺側面11xに、x方向に沿って2つの筋が存在しており、且つ、基板11の基板長辺側面11yに、y方向に沿って2つの筋が存在している。ここで、これら4つの筋は、後述するレーザ光の照射に伴って、基板11を構成するサファイアが改質されることにより形成されたものである。なお、以下の説明においては、基板11の基板長辺側面11yにおいて、積層半導体層12に近い側に形成される筋を第1改質領域L1と称し、第1改質領域L1よりも積層半導体層12から遠い側(第1改質領域L1よりも基板裏面11bに近い側)に形成される筋を第3改質領域L3と称する。また、基板11の基板短辺側面11xにおいて、積層半導体層12に近い側に形成される筋を第2改質領域L2と称し、第2改質領域L2よりも積層半導体層12から遠い側(第2改質領域L2よりも基板裏面11bに近い側)に形成される筋を第4改質領域L4と称する。
ここで、第1改質領域L1〜第4改質領域L4の位置関係に着目すると、本実施の形態では、積層半導体層12に最も近い側から順に、第1改質領域L1(y方向)、第2改質領域L2(x方向)、第3改質領域L3(y方向)および第4改質領域L4(x方向)が位置するようになっている。なお、本実施の形態では、y方向が第1方向に、また、x方向が第2方向に、それぞれ対応している。また、基板裏面11bから第1改質領域L1に至るz方向の距離を第1深さD1、基板裏面11bから第2改質領域L2に至るz方向の距離を第2深さD2、基板裏面11bから第3改質領域L3に至るz方向の距離を第3深さD3、そして基板裏面11bから第4改質領域L4に至るz方向の距離を第4深さD4としたとき、これらは、D1>D2>D3>D4の関係を有している。また、基板11のz方向の厚みを基板厚さTsとしたとき、基板厚さTsおよび第1深さD1は、D1<Ts/2の関係を有している。したがって、本実施の形態の第1改質領域L1、第2改質領域L2、第3改質領域L3および第4改質領域L4は、積層半導体層12の被積層面である基板表面11aからみて、基板11のz方向厚さ(基板厚さTs)の中央よりも向こう側すなわち基板裏面11bに近い側に、それぞれ位置するようになっている。
なお、以下の説明においては、素子チップ10のx方向長さをチップ短径Cxと称し、素子チップ10のy方向長さをチップ長径Cyと称する。この例において、チップ短径Cxは300μmであり、チップ長径Cyは600μmである。ただし、これに限られるものではなく、チップ短径Cxおよびチップ長径Cyのそれぞれの大きさは適宜設計変更して差し支えなく、さらに、Cx=Cyであっても、Cx>Cyであってもかまわない。
また、電極13a、13bは、それぞれ円柱状の形状を有しており、その直径は100μm程度となっている。
図2は、図1に示す素子チップ10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
この例では、まず、サファイアからなるウエハ状の基板11に複数の半導体発光素子21を形成することで、素子群形成基板20(後述する図3参照)を得る素子群形成工程を実行する(ステップ100)。
次に、ステップ100で得られた素子群形成基板20に対し、ウエハ状の基板11の内部に、上述した第1改質領域L1〜第4改質領域L4を形成する改質領域形成工程を実行する(ステップ200)。
そして、ウエハ(基板11)の内部に第1改質領域L1〜第4改質領域L4が形成された素子群形成基板20に対し、これら第1改質領域L1〜第4改質領域L4を基点とした分割を行うことで、素子群形成基板20から個片化した発光チップ10を得る個片化工程を実行する(ステップ300)。
図3は、上述したステップ100の素子群形成工程を実行することによって得られた素子群形成基板20の構成の一例を示す図である。ここで、図3(a)は素子群形成基板20を、複数の半導体発光素子21の形成面と対向する側からみた上面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIB−IIIB断面図である。なお、図3(a)は、図3(b)をIIIA方向からみたものに対応している。
素子群形成基板20は、ウエハ状の基板11と、この基板11の基板表面11aのほぼ全面に積層された積層半導体層12と、積層半導体層12の上に形成された複数の電極13a、13bとを有している。その結果、基板11の基板表面11aには、複数の電子素子の一例としての複数の半導体発光素子21が、マトリクス状に形成されるようになっている。
この例において、ウエハ状の基板11としては、C軸配向した単結晶サファイアを用いることができ、例えばその直径は4インチ(約100mm)であり、その厚さは50μm〜250μmである。また、ウエハ状の基板11の一端には、基板11の結晶方位を示すとともに、基板11に複数の半導体発光素子21を形成するプロセスにおいて基準となるオリエンテーションフラット(OF:Orientation Flat)11cが設けられている。この例において、OF11cは、サファイア単結晶の[11−20]面に沿って形成されている。
そして、この例において、複数の半導体発光素子21は、基板11上でのx方向がOF11cに沿い、且つ、基板11上でのy方向がOF11cに直角となるように、基板11上に縦横方向に整列配置された状態で形成されている。したがって、複数の半導体発光素子21は、その短辺側が基板11のOF11cと同じ方向に沿って、また、その長辺側が基板11のOF11cと直角な方向に沿って、それぞれ形成されていることになる。なお、以下では、素子群形成基板20についても、OF11cに沿う方向をx方向と称し、OF11cに直交する方向をy方向と称することにする。なお、この例では、複数の半導体発光素子21を、各々の短辺側がx方向(第2配列方向)に沿い、且つ、各々の長辺側がy方向(第1配列方向)に沿うように、基板11上に配列している。
また、図3(a)に示すように、素子群形成基板20を積層半導体層12側からみたときに、OF11cが設けられた端をD端部、OF11cと反対側の端をU端部、OF11cを下側とした際の右側の端をL端部、このときの左側の端をR端部、中央部をC部と称する。なお、後述するように、ステップ200の改質領域形成工程では、基板裏面11b側からレーザ光の照射を行うこととなるため、図3(a)に示す状態においては、R側部が図中左側に、L側部が図中右側になるようにし、x方向の正方向はL部側からR部側に向かうようにした。
図4は、上述したステップ200の改質領域形成工程およびステップ300の個片化工程において、素子群形成基板20を取り付けた状態で用いられる基板ユニット30の構成の一例を示す図である。ここで、図4(a)は基板ユニット30を、素子群形成基板20における複数の半導体発光素子21の形成面と対向する側からみた上面図であり、図4(b)は図4(a)のIVB−IVB断面図である。なお、図4(a)は、図4(b)をIVA方向からみたものに対応している。
基板ユニット30は、ステップ100で得られた素子群形成基板20の積層半導体層12側(複数の半導体発光素子21の形成面側)を貼り付けるための粘着シート31と、円筒状の外観を有し、素子群形成基板20が貼り付けられた粘着シート31を挟み込んで支持する金属リング32とを備えている。ここで、金属リング32は、素子群形成基板20よりも大きな内径を有しており、素子群形成基板20は、金属リング32の内側において、金属リング32と接触することがないように、粘着シート31に貼り付けられている。なお、図4(a)では、粘着シート31の裏側に素子群形成基板20が貼り付けられており、粘着シート31を介して素子群形成基板20をみた状態を示している。このようにして、基板ユニット30に素子群形成基板20が貼り付けられることにより、基板ユニット30では、素子群形成基板20における基板11の基板裏面11bが、外部に露出した状態となっている。
基板ユニット30を構成する粘着シート31は、ステップ200の改質領域形成工程およびステップ300の個片化工程において、素子群形成基板20を保持するとともに、素子群形成基板20から得られる素子チップ10(図1参照)が飛散するのを防止するために設けられている。
ここで、粘着シート31としては、例えば各種樹脂材料からなる基材に粘着性を有する材料を付着させたものを使用することができる。本実施の形態では、粘着シート31の基材として、剛性の高いポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)を用いている。
図5は、ステップ200の改質領域形成工程で用いられるレーザ加工装置50の構成の一例を示す斜視図である。
このレーザ加工装置50は、台等の上に設置するための基体51と、基体51上に設けられ、基体51上を左右方向(以下の説明ではX方向と称する)、前後方向(以下の説明ではY方向と称する)、上下方向(以下の説明ではZ方向と称する)に移動可能で、さらに回転方向(以下の説明ではθ方向と称する)に移動可能な吸着ステージ52とを備える。なお、基体51には、吸着ステージ52をX方向、Y方向およびZ方向に移動させるモータ(図示せず)、そして、吸着ステージ52をθ方向に回転させるモータ(図示せず)が内蔵されている。
レーザ加工装置50に設けられた吸着ステージ52は、図4に示す基板ユニット30を真空吸着して固定する。この例において、基板ユニット30は、素子群形成基板20のx方向を基体51のX方向に、素子群形成基板20のy方向を基体51のY方向に、それぞれ合致させるように吸着ステージ52に搭載される。このとき、素子群形成基板20は、基板11のOF11cが手前側(−Y方向側)となるように、吸着ステージ52に設置される。その結果、吸着ステージ52に基板ユニット30を吸着させた際に、基板ユニット30に取り付けられた素子群形成基板20では、その基板11の基板裏面11b(z方向側:図4(b)参照)が上方すなわちZ方向側を向くようになっている。
また、レーザ加工装置50は、基体51上に設けられ、−Y方向に向かうレーザ光64を発生するレーザ光発生部61を支持するための支持体53を備える。なお、図5では、レーザ光発生部61を、内部構造がわかるように一部を破線で示している。このレーザ光発生部61は、パルス発振させたYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザを発生するようになっている。このレーザ光発生部61には、−Y方向に向かうレーザ光64を反射し、吸着ステージ52側に向けて−Z方向に折り曲げるためのダイクロイックミラー62と、ダイクロイックミラー62で反射したレーザ光64を集光し、吸着ステージ52に搭載された素子群形成基板20の基板11(図2参照)の内部に焦点を結ばせるための光学系63とが設けられている。
さらに、レーザ加工装置50は、ダイクロイックミラー62の上方に配置され、ダイクロイックミラー62を介して吸着ステージ52に搭載された素子群形成基板20を観察するための撮像部54を有している。この撮像部54は、支持体53から伸びるアーム55に取り付けられている。
さらにまた、レーザ加工装置50は、レーザ加工が施される前の基板ユニット30を収容するロードカセットエレベータ56と、レーザ加工が施された後の基板ユニット30を収容するアンロードカセットエレベータ57とをさらに備える。ここで、ロードカセットエレベータ56は、レーザ加工が施される前の基板ユニット30を個々に収納した複数のロードカセット56aを収容できるようになっている。また、アンロードカセットエレベータ57は、レーザ加工が施された後の基板ユニット30を個々に収納した複数のアンロードカセット57aを収容できるようになっている。そして、ロードカセット56aに収納されたレーザ加工前の基板ユニット30は、図示しないロボットアームにより吸着ステージ52に移送され、セットされるようになっている。また、レーザ加工後の基板ユニット30は、図示しないロボットアームにより吸着ステージ52から移送され、アンロードカセット57aに収納されるようになっている。
そして、レーザ加工装置50は、吸着ステージ52、ロードカセットエレベータ56、アンロードカセットエレベータ57、レーザ光発生部61等の動作を制御する制御部58と、撮像部54によって撮影された素子群形成基板20の画像や、制御部58からの制御情報等を表示するための表示部59とをさらに備える。
では、上述したステップ200の改質領域形成工程について、より具体的に説明する。
図6は、図5に示すレーザ加工装置50を用いて、ステップ200の改質領域形成工程を実行する際の加工手順の一例を示すフローチャートである。
では、図6に示すフローチャートに従い、図3〜図5を参照しつつ、改質領域形成工程について説明を行う。
レーザ加工装置50において、制御部58は、まず、図示しないロボットアームにより、1枚目の基板ユニット30をロードカセット56aから吸着ステージ52に移送させる(ステップ201)。そして、制御部58は、吸着ステージ52に基板ユニット30を吸着させる。それから、制御部58は、吸着ステージ52をX方向およびY方向に移動させ、且つ、θ方向に回転させて、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20のx方向が、基体51のX方向に向くように簡易な位置合わせを行う。
次に、制御部58は、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20の基板11の厚さと粘着シート31の厚さとを測定し、基板裏面11bを基準面(“0”)として設定し、さらに、X方向、Y方向およびθ方向について、素子群形成基板20の精密な位置合わせ(アライメント)を行う(ステップ202)。なお、基板11の厚さおよび粘着シート31の厚さは、光学系63により測定した、基板ユニット30の有無における集光点までの距離の差から求めることができる。また、精密な位置合わせでは、素子群形成基板20において整列配置された各半導体発光素子21の境界部を通るように想定されたx方向およびy方向の切断予定線(図示せず)とレーザ光64のX方向およびY方向の照射位置とを一致させ、且つ、レーザ光64が、素子群形成基板20に想定された切断予定線に沿って走査されるように、吸着ステージ52の位置が設定される。この設定については、レーザ加工装置50の操作者が目視で行ってもよく、制御部58が、撮像部54によって撮像された素子群形成基板20の画像に基づいて自動的に行ってもよい。
続いて、制御部58は、レーザ光64の集光点を、基板裏面11bの面高さを“0”とした場合に、第1深さD1となる位置に設定する(ステップ203)。なお、この例において、第1深さD1は、基板厚さTsの半分未満に設定される(D1<Ts/2)。ここで、集光点の位置調整は、光学系63の調整あるいはZ方向への吸着ステージ52の移動によって行うことができる。
次に、制御部58は、素子群形成基板20に対し、基体51のY方向および−Y方向に沿って順次レーザ光64を照射していくことにより、素子群形成基板20のy方向および−y方向に沿って、素子群形成基板20の基板11内において第1深さD1となる位置に、第1改質領域L1を形成するための第1走査を実行させる(ステップ204)。なお、ステップ204は、第1改質領域L1を形成する工程に対応している。
素子群形成基板20に対する第1改質領域L1の形成が完了すると、制御部58は、レーザ光64の集光点を、基板裏面11bの面高さを“0”とした場合に、第2深さD2となる位置に設定する(ステップ205)。なお、この例において、第2深さD2は、第1深さD1よりも浅く設定される(D1>D2)。
そして、制御部58は、第1改質領域L1が形成済となった素子群形成基板20に対し、今度は、基体51のX方向および−X方向に沿って順次レーザ光64を照射していくことにより、素子群形成基板20のx方向および−x方向に沿って、素子群形成基板20の基板11内において第2深さD2となる位置に、第2改質領域L2を形成するための第2走査を実行させる(ステップ206)。なお、ステップ206は、第2改質領域L2を形成する工程に対応している。
素子群形成基板20に対する第2改質領域L2の形成が完了すると、制御部58は、レーザ光64の集光点を、基板裏面11bの高さを“0”とした場合に、第3深さD3となる位置に設定する(ステップ207)。なお、この例において、第3深さD3は、第2深さD2よりも浅く設定される(D2>D3)。
それから、制御部58は、第1改質領域L1および第2改質領域L2が形成済となった素子群形成基板20に対し、今度は、基体51のY方向および−Y方向に沿って順次レーザ光64を照射していくことにより、素子群形成基板20のy方向および−y方向に沿って、素子群形成基板20の基板11内において第3深さD3となる位置に、第3改質領域L3を形成するための第3走査を実行させる(ステップ208)。なお、ステップ208は、第3改質領域L3を形成する工程に対応している。
素子群形成基板20に対する第3改質領域L3の形成が完了すると、制御部58は、レーザ光64の集光点を、基板裏面11bの面高さを“0”とした場合に、第4深さD4となる位置に設定する(ステップ209)。なお、この例において、第4深さD4は、第3深さD3よりも浅く設定される(D3>D4)。
そして、制御部58は、第1改質領域L1〜第3改質領域L3が形成済となった素子群形成基板20に対し、今度は、基体51のX方向および−X方向に沿って順次レーザ光64を照射していくことにより、素子群形成基板20のx方向および−x方向に沿って、素子群形成基板20の基板11内において第4深さD4となる位置に、第4改質領域L4を形成するための第4走査を実行させる(ステップ210)。なお、ステップ210は、第4改質領域L4を形成する工程に対応している。
このようにして、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20の基板11に対する、第1改質領域L1〜第4改質領域L4の形成が完了すると、制御部58は、図示しないロボットアームにより、1枚目の基板ユニット30を吸着ステージ52からアンロードカセット57aに移送させる(ステップ211)。
そして、制御部58は、ロードカセット56aの基板ユニット30が空となっているか否か(ロードカセット56aに基板ユニット30が残っているか否か)を判断する(ステップ212)。ここで、ロードカセット56aに基板ユニット30が残っていないと判断した場合には、上述したレーザ加工による複数の改質領域の形成を終了する。一方、ロードカセット56aに基板ユニット30が残っていると判断した場合には、ステップ201に戻り、次の基板ユニット30に対する複数の改質領域の形成を開始する。以下、同様の手順で、ロードカセット56aに収納されたすべての基板ユニット30に対し、複数の改質領域(この例では第1改質領域L1〜第4改質領域L4)の形成を行う。
では次に、ステップ204における第1走査および第1走査によって形成される第1改質領域L1、ステップ206における第2走査および第2走査によって形成される第2改質領域L2、ステップ208における第3走査および第3走査によって形成される第3改質領域L3、そして、ステップ210における第4走査および第4走査によって形成される第4改質領域L4に関し、それぞれについて説明を行う。また、素子群形成基板20の基板10に形成された第1改質領域L1、第2改質領域L2、第3改質領域L3および第4改質領域L4に関し、相互の関係についても説明を行う。
図7は、ステップ200の改質領域形成工程において、第1改質領域L1〜第4改質領域L4を形成する際のそれぞれのレーザ光64の走査方向の一例を示す図である。また、図8は、改質領域形成工程において、第1改質領域L1〜第4改質領域L4のそれぞれの形成状態および相互の関係の一例を示す図である。さらに、図9は、改質領域形成工程における第1走査(第1改質領域L1)〜第4走査(第4改質領域L4)のそれぞれの条件および結果の一例を示す図である。
ここで、図7(a)および図8(a)はステップ204の第1走査(第1改質領域L1の形成)に、図7(b)および図8(b)はステップ206の第2走査(第2改質領域L2の形成)に、図7(c)および図8(c)はステップ208の第3走査(第3改質領域L3の形成)に、そして図7(d)および図8(d)はステップ210の第4走査(第4改質領域L4の形成)に、それぞれ対応している。なお、以下では、レーザ加工装置50の具体的な動作については説明を省略し、レーザ加工装置50から照射されるレーザ光64と、レーザ光64の照射対象となる素子群形成基板20(基板11)との関係に着目して説明を行うことにする。
最初に、ステップ204の第1走査および第1走査によって素子群形成基板20の基板11に形成される第1改質領域L1について説明する。
第1走査では、図7(a)に示すように、素子群形成基板20の図中右上方向であって素子群形成基板20よりも外側となる開始位置Sから、素子群形成基板20の図中左下方向であって素子群形成基板20よりも外側となる終了位置Eに向かう第1走査ラインSc1に沿って、パルス発振させたレーザ光64の照射を行っていく。ここで、第1走査における1パルスあたりのレーザ光64の出力を第1出力P1と称する。そして、第1走査ラインSc1に沿ったレーザ光64の照射を行うことにより、素子群形成基板20には、y方向および−y方向に沿い且つR端部側からL端部側に向けて、xy平面において平行となるように、複数の第1改質領域L1が順次形成されることになる。
第1走査が行われる間、素子群形成基板20には、図8(a)に示すように、基板11の基板裏面11bからレーザ光64が入射してくる。第1走査において基板11に入射したレーザ光64は、基板11の第1深さD1となる部位において集光し、この部位でのエネルギー密度が増大する。これに伴い、レーザ光64の集光点では、基板11を構成する材料(ここではサファイア)が膨張・収縮あるいは分解等によって改質され、クラック等が発生することにより、第1深さD1となる部位に第1改質部Laが形成される。なお、以下では、第1走査によって形成される第1改質部Laのz方向の長さを第1高さH1と称する。
また、第1走査においては、1パルス分のレーザ光64が照射される毎に、素子群形成基板20に対するレーザ光64の照射位置がy方向あるいは−y方向に順次移動していくようになっている。このため、第1走査に伴い、素子群形成基板20の基板11内において第1深さD1となる位置では、複数の第1改質部Laがy方向あるいは−y方向に沿って順次形成されていくことになる。そして、y方向に複数の第1改質部Laを配列したものが、それぞれ第1改質領域L1となる。なお、以下では、y方向に隣接する2つの第1改質部Laの中央部同士の間隔を第1間隔I1と称する。
次に、ステップ206の第2走査および第2走査によって素子群形成基板20の基板11に形成される第2改質領域L2について説明する。
第2走査では、図7(b)に示すように、素子群形成基板20の図中右上方向であって素子群形成基板20よりも外側となる開始位置Sから、素子群形成基板20の図中左下方向であって素子群形成基板20よりも外側となる終了位置Eに向かう第2走査ラインSc2に沿って、パルス発振させたレーザ光64の照射を行っていく。ここで、第2走査における1パルスあたりのレーザ光64の出力を第2出力P2と称する。そして、第2走査ラインSc2に沿ったレーザ光64の照射を順次行うことにより、素子群形成基板20には、x方向および−x方向に沿い且つU端部側からD端部側に向けて、xy平面において平行となるように、複数の第2改質領域L2が順次形成されることになる。
第2走査が行われる間、素子群形成基板20には、図8(b)に示すように、基板11の基板裏面11b側からレーザ光64が入射してくる。第2走査において基板11に入射したレーザ光64は、基板11の第2深さD2となる部位において集光し、この部位でのエネルギー密度が増大する。これに伴い、レーザ光64の集光点では、基板11を構成する材料(ここではサファイア)が膨張・収縮あるいは分解等によって改質され、クラック等が発生することにより、第2深さD2となる部位に第2改質部Lbが形成される。なお、以下では、第2走査によって形成される第2改質部Lbのz方向の長さを第2高さH2と称する。
また、第2走査においては、1パルス分のレーザ光64が照射される毎に、素子群形成基板20に対するレーザ光64の照射位置がx方向あるいは−x方向に順次移動していくようになっている。このため、第2走査に伴い、素子群形成基板20の基板11内において第2深さD2となる位置では、複数の第2改質部Lbがx方向あるいは−x方向に沿って順次形成されていくことになる。そして、x方向に複数の第2改質部Lbを配列したものが、それぞれ第2改質領域L2となる。なお、以下では、x方向に隣接する2つの第2改質部Lbの中央部同士の間隔を第2間隔I2と称する。
ステップ204の第1走査では、基板裏面11bからみて第1深さD1となる位置に、y方向に沿って複数の第1改質領域L1を形成していたのに対し、ステップ206の第2走査では、基板裏面11bからみて第1深さD1よりも浅い第2深さD2となる位置に、x方向に沿って複数の第2改質領域L2を形成している。このため、第1改質領域L1および第2改質領域L2は、z方向側からみたときには直交しているが、実際には『ねじれの位置』の関係を有している。なお、以下では、z方向に対する第1改質領域L1と第2改質領域L2との距離を、第1第2間ギャップG12と称する。
今度は、ステップ208の第3走査および第3走査によって素子群形成基板20の基板11内に形成される第3改質領域L3について説明する。
第3走査では、図7(c)に示すように、素子群形成基板20の図中右上方向であって素子群形成基板20よりも外側となる開始位置Sから、素子群形成基板20の図中左下方向であって素子群形成基板20よりも外側となる終了位置Eに向かう第3走査ラインSc3に沿って、パルス発振させたレーザ光64の照射を行っていく。ここで、第3走査における1パルスあたりのレーザ光64の出力を第3出力P3と称する。そして、第3走査ラインSc3に沿ったレーザ光64の照射を行うことにより、素子群形成基板20には、y方向および−y方向に沿い且つR端部側からL端部側に向けて、xy平面において平行となるように、複数の第3改質領域L3が順次形成されることになる。ここで、素子群形成基板20に対する第3走査ラインSc3の経路は、第1走査における第1走査ラインSc1の経路と同じとなっている。
第3走査が行われる間、素子群形成基板20には、図8(c)に示すように、基板11の基板裏面11b側からレーザ光64が入射してくる。第3走査において基板11に入射したレーザ光64は、基板11の第3深さD3となる部位において集光し、この部位でのエネルギー密度が増大する。これに伴い、レーザ光64の集光点では、基板11を構成する材料(ここではサファイア)が膨張・収縮あるいは分解等によって改質され、クラック等が発生することにより、第3深さD3となる部位に第3改質部Lcが形成される。なお、以下では、第3走査によって形成される第3改質部Lcのz方向の長さを第3高さH3と称する。
また、第3走査においては、1パルス分のレーザ光64が照射される毎に、素子群形成基板20に対するレーザ光64の照射位置がy方向あるいは−y方向に順次移動していくようになっている。このため、第3走査に伴い、素子群形成基板20の基板11内において第3深さD3となる位置では、複数の第3改質部Lcがy方向あるいは−y方向に沿って順次形成されていくことになる。そして、y方向に複数の第3改質部Lcを配列したものが、それぞれ第3改質領域L3となる。なお、以下では、y方向に隣接する2つの第3改質部Lcの中央部同士の間隔を第3間隔I3と称する。
ステップ206の第2走査では、基板裏面11bからみて第2深さD2となる位置に、x方向に沿って複数の第2改質領域L2を形成していたのに対し、ステップ208の第3走査では、基板裏面11bからみて第2深さD2よりも浅い第3深さD3となる位置に、y方向に沿って複数の第3改質領域L3を形成している。このため、第2改質領域L2および第3改質領域L3は、z方向側からみたときには直交しているが、実際には『ねじれの位置』の関係を有している。なお、以下では、z方向に対する第2改質領域L2と第3改質領域L3との距離を、第2第3間ギャップG23と称する。
また、ステップ204の第1走査では、基板裏面11bからみて第1深さD1となる位置に、y方向に沿って複数の第1改質領域L1を形成していたのに対し、ステップ208の第3走査では、基板裏面11bからみて第1深さD1および第2深さD2よりも浅い第3深さD3となる位置に、y方向に沿って複数の第3改質領域L3を形成している。しかも、この例では、第1走査における第1走査ラインSc1と第3走査における第3走査ラインSc3とを、素子群形成基板20上において合わせている。したがって、yz平面において平行となるように、第1改質領域L1と第3改質領域L3とが形成されていることになる。また、第1改質領域L1と第3改質領域L3との間を、第2改質領域L2が通過していくような位置関係にもなっている。
最後に、ステップ210の第4走査および第4走査によって素子群形成基板20の基板11内に形成される第4改質領域L4について説明する。
第4走査では、図7(d)に示すように、素子群形成基板20の図中右上方向であって素子群形成基板20よりも外側となる開始位置Sから、素子群形成基板20の図中左下方向であって素子群形成基板20よりも外側となる終了位置Eに向かう第4走査ラインSc4に沿って、パルス発振させたレーザ光64の照射を行っていく。ここで、第4走査における1パルスあたりのレーザ光64の出力を第4出力P4と称する。そして、第4走査ラインSc4に沿ったレーザ光64の照射を順次行うことにより、素子群形成基板20には、x方向および−x方向に沿い且つU端部側からD端部側に向けて、xy平面において平行となるように、複数の第4改質領域L4が順次形成されることになる。ここで、素子群形成基板20に対する第4走査ラインSc4の経路は、第2走査における第2走査ラインSc2の経路と同じとなっている。
第4走査が行われる間、素子群形成基板20には、図8(d)に示すように、基板11の基板裏面11b側からレーザ光64が入射してくる。第4走査において基板11に入射したレーザ光64は、基板11の第4深さD4となる部位において集光し、この部位でのエネルギー密度が増大する。これに伴い、レーザ光64の集光点では、基板11を構成する材料(ここではサファイア)が膨張・収縮あるいは分解等によって改質され、クラック等が発生することにより、第4深さD4となる部位に第4改質部Ldが形成される。なお、以下では、第4走査によって形成される第4改質部Ldのz方向の長さを第4高さH4と称する。
また、第4走査においては、1パルス分のレーザ光64が照射される毎に、素子群形成基板20に対するレーザ光64の照射位置がx方向あるいは−x方向に順次移動していくようになっている。このため、第4走査に伴い、素子群形成基板20の基板11内において第4深さD4となる位置では、複数の第4改質部Lbがx方向あるいは−x方向に沿って順次形成されていくことになる。そして、x方向に複数の第4改質部Ldを配列したものが、それぞれ第4改質領域L4となる。なお、以下では、x方向に隣接する2つの第4改質部Ldの中央部同士の間隔を第4間隔I4と称する。
ステップ208の第3走査では、基板裏面11bからみて第3深さD3となる位置に、y方向に沿って複数の第3改質領域L3を形成していたのに対し、ステップ210の第4走査では、基板裏面11bからみて第3深さD3よりも浅い第4深さD4となる位置に、x方向に沿って複数の第4改質領域L4を形成している。このため、第3改質領域L3および第4改質領域L4は、z方向側からみたときには直交しているが、実際には『ねじれの位置』の関係を有している。なお、以下では、z方向に対する第3改質領域L3と第4改質領域L4との距離を、第3第4間ギャップG34と称する。
また、ステップ206の第2走査では、基板裏面11bからみて第2深さD2となる位置に、x方向に沿って複数の第2改質領域L2を形成していたのに対し、ステップ210の第4走査では、基板裏面11bからみて第1深さD1〜第3深さD3よりも浅い第4深さD4となる位置に、x方向に沿って複数の第4改質領域L4を形成している。しかも、この例では、第2走査における第2走査ラインSc2と第4走査における第4走査ラインSc4とを、素子群形成基板20上において合わせている。したがって、xz平面において平行となるように、第2改質領域L2と第4改質領域L4とが形成されていることになる。また、第2改質領域L2と第4改質領域L4との間を、第3改質領域L3が通過していくような位置関係にもなっている。
上述した手順によって第1走査〜第4走査を行うことにより、素子群形成基板20における基板11の内部には、改質領域群の一例としての第1改質領域L1〜第4改質領域L4が形成されることになる。ここで、第1改質領域L1および第3改質領域L3は、xy平面からみたときに両者が重なり、且つ、それぞれがy方向に沿って各半導体発光素子21の切断予定線(y方向)を通るように形成される。一方、第2改質領域L2および第4改質領域L4は、xy平面から見たときに両者が重なり、且つ、それぞれがx方向に沿って各半導体発光素子21の切断予定線(x方向)を通るように形成される。そして、本実施の形態では、y方向が第1方向に、x方向が第2方向に、それぞれ対応している。また、本実施の形態では、y方向が第3方向にも対応している。
また、本実施の形態では、第1走査におけるレーザ光64の第1出力P1と第2走査におけるレーザ光64の第2出力P2とが同じ大きさに設定されている。このため、第1走査によって基板11内に形成される第1改質部Laの第1高さH1と、第2走査によって基板11内に形成される第2改質部Lbの第2高さH2とが、略等しくなっている。さらに、本実施の形態では、第2走査におけるレーザ光64の第2出力P2よりも第3走査におけるレーザ光64の第3出力P3が小さく設定されている。このため、第2走査によって基板11内に形成される第2改質部Lbの第2高さH2よりも、第3走査によって基板11内に形成される第3改質部Lcの第3高さH3が、より低くなっている。さらにまた、本実施の形態では、第3走査におけるレーザ光64の第3出力P3と第4走査におけるレーザ光64の第4出力P4とが同じ大きさに設定されている。このため、第3走査によって基板11内に形成される第3改質部Lcの第3高さH3と、第4走査によって基板11内に形成される第4改質部Ldの第4高さH4とが、略等しくなっている。
ここで、本実施の形態では、z方向に隣接する第1改質領域L1と第2改質領域L2とのz方向の距離である第1第2間ギャップG12を、第1改質領域L1を構成する第1改質部Laの第1高さH1および第2改質領域L2を構成する第2改質部Lbの第2高さH2の和の半分よりも大きくしている(G12>(H1+H2)/2)。これにより、z方向に隣接する第1改質領域L1および第2改質領域L2の、xy平面からみときの交差部位において、第1改質部Laと第2改質部Lbとを一体化しにくくしている。
また、本実施の形態では、z方向に隣接する第2改質領域L2と第3改質領域L3とのz方向の距離である第2第3間ギャップG23を、第2改質領域L2を構成する第2改質部Lbの第2高さH2および第3改質領域L3を構成する第3改質部Lcの第3高さH3の和の半分よりも大きくしている(G23>(H2+H3)/2)。これにより、z方向に隣接する第2改質領域L2および第3改質領域L3の、xy平面からみたときの交差部位において、第2改質部Lbと第3改質部Lcとを一体化しにくくしている。
さらに、本実施の形態では、z方向に隣接する第3改質領域L3と第4改質領域L4とのz方向の距離である第3第4間ギャップG34を、第3改質領域L3を構成する第3改質部Lcの第3高さH3および第4改質領域L4を構成する第4改質部Ldの第4高さH4の和の半分よりも大きくしている(G34>(H3+H4)/2)。これにより、z方向に隣接する第3改質領域L3および第4改質領域L4の、xy平面からみたときの交差部位において、第3改質部Lcと第4改質部Ldとを一体化しにくくしている。
また、本実施の形態では、第1走査によって基板11内に形成される第1改質部Laの第1間隔I1と、第2走査によって基板11内に形成される第2改質部Lbの第2間隔I2とが、略等しくなっている。さらに、本実施の形態では、第2走査によって基板11内に形成される第2改質部Lbの第2間隔I2よりも、第3走査によって基板11内に形成される第3改質部Lcの第3間隔I3が、より狭くなっている。さらにまた、本実施の形態では、第3走査によって基板11内に形成される第3改質部Lcの第3間隔I3と、第4走査によって基板11内に形成される第4改質部Ldの第4間隔I4とが、略等しくなっている。
これにより、y方向に沿って形成される第1改質領域L1および第3改質領域L3では、基板表面11a(積層半導体層12)に近い側となる第1改質領域L1よりも、基板裏面11bに近い側となる第3改質領域L3の方が、より細かな間隔(ピッチ)で形成された改質部を有していることになる。一方、x方向に沿って形成される第2改質領域L2および第4改質領域L4でも、基板表面11a(積層半導体層12)に近い側となる第2改質領域L2よりも、基板裏面11bに近い側となる第4改質領域L4の方が、より細かな間隔(ピッチ)で形成された改質部を有していることになる。
なお、第1改質領域L1を構成する各第1改質部La、第2改質領域L2を構成する各第2改質部Lb、第3改質領域L3を構成する各第3改質部Lc、そして第4改質領域L4を構成する各第4改質部Ldは、それぞれ、改質前よりも基板11の機械強度が低下した状態となっている。
図10は、ステップ300の個片化工程で用いられる基板切断装置70の構成の一例を示す斜視図である。
この基板切断装置70は、台等の上に設置するための基体71と、基体71上に設けられ、基体71上を前後方向(以下の説明ではY方向と称する)に移動可能なステージ72とを備える。このステージ72は、ステージ72上で回転可能(以下の説明では回転方向をθ方向と称する)なリング状の枠からなるリングテーブル73を有している。このリングテーブル73には、ステップ200の改質領域形成工程を経ることで、素子群形成基板20に対し第1改質領域L1〜第4改質領域L4が形成された基板ユニット30が設置される。また、基板切断装置70は、基体71に取り付けられ、リングテーブル73の輪の内側に配置されることで、基板ユニット30を構成する素子群形成基板20を、粘着シート31を介して保持する受け台74をさらに備える。
なお、後述するように、個片化工程では、基板ユニット30を基板切断装置70に取り付ける前に、基板ユニット30の上面側すなわち素子群形成基板20を構成する基板11の基板裏面11b側に、他のシート(押さえシート)を被せる処理が行われている。
また、基板切断装置70は、基体71に設けられた門型の支持体75と、この支持体75に支持されたブレード保持体76とをさらに備える。そして、このブレード保持体76は、下方側の端部においてブレード77を保持している。なお、ブレード保持体76は、ブレード77を保持しつつ、基体71に対し上下方向(以下の説明ではZ方向と称する)に移動可能となるように、支持体75に支持されている。
本実施の形態において、ブレード77は、設置された基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20に押し込まれることにより、素子群形成基板20を切断する機能を有している。このため、ブレード77は、例えば先端が60°のナイフ状の形状を有し、例えば高硬度の超鋼合金またはジルコニア等で製作されている。また、ブレード77のX方向長さは、素子群形成基板20の直径よりも大きく設定されている。
また、受け台74は、向かい合わせに配置された第1受け台74aおよび第2受け台74bにて構成されている。第1受け台74aおよび第2受け台74bのそれぞれの表面は、素子群形成基板20にブレード77が押し込まれた際に変形しにくくなるよう、例えば超鋼合金で製作されている。そして、ブレード77を受け台74の方向(−Z方向)に移動させた際、ブレード77が第1受け台74aおよび第2受け台74bの隙間に入り込むように設定されている。
さらに、リングテーブル73の表面と受け台74の表面とは、ほぼ1つの平面(XY平面)内にあるように設定されている。
また、基板切断装置70は、受け台74の下部に例えばCCDカメラ等から構成される撮像部81を備える。撮像部81は、第1受け台74aおよび第2受け台74bの隙間を通して、受け台74上の素子群形成基板20が撮像できるように設定されている。そして、基板切断装置70は、撮像部81が撮像した画像データを表示する表示部82をさらに備えている。
さらに、基板切断装置70は、支持体75内に、ブレード保持体76をZ方向に移動させるためのステッピングモータ、ステージ72をY方向に移動させるモータ、リングテーブル73をθ方向に回転させるモータおよびこれらのモータを制御する電子回路等からなる駆動部83を備える。
加えて、基板切断装置70は、撮像部81が撮像した画像データから、切断予定線(この例では、素子群形成基板20のy方向に沿う第1改質領域L1および第3改質領域L3、あるいは、素子群形成基板20のx方向に沿う第2改質領域L2および第4改質領域L4)を挟んで隣り合う1組のターゲットを抽出し、ターゲット間の距離を計測し、ターゲット間の距離の変化量から切断状況を判定するとともに、駆動部83を介して各構成要素の動作を制御する制御部84をさらに備える。
では、上述したステップ300の個片化工程について、より具体的に説明する。
図11は、図10に示す基板切断装置70を用いて、ステップ300の個片化工程を実行する際の加工手順の一例を示すフローチャートである。
では、図11に示すフローチャートに従い、図4および図10を参照しつつ、個片化工程について説明を行う。
まず、ステップ200の改質領域工程による処理が完了した基板ユニット30に対し、素子群形成基板20の基板11の基板裏面11b側の全面を覆うように、押さえシート33(後述する図12参照)を装着する(ステップ301)。
次に、基板切断装置70において、制御部84は、図示しないロボットアームにより、押さえシート33が装着された基板ユニット30(以下では、押さえシート33も含めて、単に基板ユニット30と称する)を、外部からステージ72に移送させる(ステップ302)。そして、制御部84は、撮像部81による撮像結果に基づき、ステージ72をY方向に移動させ、且つ、θ方向に回転させて、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20のx方向を、基体71のX方向に合わせ込むための第1アライメント処理を実行させる(ステップ303)。
それから、制御部84は、ブレード保持体76を介したブレード77の−Z方向およびZ方向への移動と、ステージ72を介した基板ユニット30(素子群形成基板20)のY方向への移動とを繰り返すことで、素子群形成基板20をx方向の切断予定線(ここでは第2改質領域L2および第4改質領域L4が対応する)に沿って切断する第1切断処理を実行させる(ステップ304)。このとき、ブレード77は、基板11の基板裏面11b側から、x方向に沿って素子群形成基板20に順次圧力をかけることになる。
第1切断処理が完了すると、制御部84は、次に、ステージ72を介して基板ユニット30(素子群形成基板20)を90°回転させる(ステップ305)。そして、制御部84は、撮像部81による撮像結果に基づき、ステージ72をY方向に移動させ、且つ、θ方向に回転させて、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20のy方向を、基体71のX方向に合わせ込むための第2アライメント処理を実行させる(ステップ306)。
その後、制御部84は、ブレード保持体76を介したブレード77の−Z方向およびZ方向への移動と、ステージ72を介した基板ユニット30(素子群形成基板20)のY方向への移動とを繰り返すことで、素子群形成基板20をy方向の切断予定線(ここでは第1改質領域L1および第3改質領域L3が対応する)に沿って切断する第2切断処理を実行させる(ステップ307)。このとき、ブレード77は、基板11の基板裏面11b側から、y方向に沿って素子群形成基板20に順次圧力をかけることになる。
以上の過程を経ることで、基板ユニット30に設けられた素子群形成基板20は、x方向およびy方向にそれぞれ切断されることによって個片化され、複数の素子チップ10(図1参照)となる。ここで、本実施の形態では、基板ユニット30において、切断前の素子群形成基板20における複数の半導体発光素子21の形成面側が粘着シート31に貼り付いており、しかも、切断前の素子群形成基板20の基板11側(基板裏面11b側)が押さえシート33によって覆われている。このため、切断によって個片化した複数の素子チップ10が、基板ユニット30から飛び散りにくくなっている。
そして、第2切断処理が完了した後、制御部84は、図示しないロボットアームにより、ステージ72に装着されていた基板ユニット30を、ステージ72から外部に移送させ(ステップ308)、一連の処理を完了する。なお、次の基板ユニット30が準備されている場合は、ステップ301に戻って処理を続行する。
では次に、ステップ304における第1切断処理およびステップ307における第2切断処理に関し、それぞれについて説明を行う。
図12は、個片化工程のうち、ステップ304における第1切断処理およびステップ307における第2切断処理の一例を示す図である。ここで、図12(a)、(b)は第1切断処理を説明するためのものであり、図12(c)、(d)は第2切断処理を説明するためのものである。なお、図12においては、基板切断装置70側の構成をほぼ省略しており、ブレード77のみを示している。
上述したように、個片化工程においては、素子群形成基板20の基板11の基板裏面11bの上に、押さえシート33が被せられる。
ここで、押さえシート33は、粘着シート31のように粘着性を有する必要はなく、例えば各種樹脂材料にて構成することが可能であるが、本実施の形態では、剛性の高いポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)を用いている。
では、ステップ304における第1切断処理について説明する。
第1切断処理においては、図12(a)に示すように、ブレード77の先端側が素子群形成基板20のx方向に沿って配置される。また、第1切断処理においては、素子群形成基板20のうち、それぞれがx方向に沿って形成され、且つ、xz平面上においてz方向に並べて形成される第2改質領域L2および第4改質領域L4の直上となる位置に、ブレード77の先端側が対向する。
この状態で、ブレード77が−z方向に移動してくると、ブレード77の先端側が押さえシート33に突き当たる。すると、x方向に沿うブレード77の先端側から−z方向に加えられる圧力は、押さえシート33を介して素子群形成基板20にも加えられる。このとき、ブレード77の先端側よりも−z方向側(直下)には、x方向に沿い且つ強度が他の部位よりも低い第4改質領域L4が存在しており、さらに第4改質領域L4よりも−z方向側(直下)には、x方向に沿い且つ強度が他の部位よりも低い第2改質領域L2が存在している。
このため、この状態でブレード77にて素子群形成基板20に−z方向に圧力をかけることにより、基板11は、図12(b)に示すように、第4改質領域L4および第2改質領域L2を基点として、xz平面に沿って割れる。ここで、積層半導体層12は、基板11に比べて充分に薄いことから、基板11がxz平面に沿って割れるのに伴って、素子群形成基板20もxz平面に沿って割れることになる。
続いて、ステップ307における第2切断処理について説明する。
第2切断処理においては、図12(c)に示すように、ブレード77の先端側が素子群形成基板20のy方向に沿って配置される。また、第2切断処理においては、素子群形成基板20のうち、それぞれがy方向に沿って形成され、且つ、yz平面においてz方向に並べて形成される第1改質領域L1および第3改質領域L3の直上となる位置に、ブレード77の先端側が対向する。
この状態で、ブレード77が−z方向に移動してくると、ブレード77の先端側が押さえシート33に突き当たる。すると、y方向に沿うブレード77の先端側から−z方向に加えられる圧力は、押さえシート33を介して素子群形成基板20にも加えられる。このとき、ブレード77の先端側よりも−z方向側(直下)には、y方向に沿い且つ強度が他の部位よりも低い第3改質領域L3が存在しており、さらに第3改質領域L3よりも−z方向側(直下)には、y方向に沿い且つ強度が他の部位よりも低い第1改質領域L1が存在している。
このため、この状態でブレード77にて素子群形成基板20に−z方向に圧力をかけることにより、基板11は、図12(d)に示すように、第3改質領域L3および第1改質領域L1を基点として、yz平面に沿って割れる。ここで、積層半導体層12は、基板11に比べて充分に薄いことから、基板11がyz平面に沿って割れるのに伴って、素子群形成基板20もyz平面に沿って割れることになる。
そして、これらの各プロセスを経ることで、図1に示す素子チップ10が得られる。
図13は、ステップ100の素子群形成工程、ステップ200の改質領域形成工程およびステップ300の個片化工程を経て得られた素子チップ10(図1参照)における基板11の断面構造の一例を示す拡大斜視図である。
本実施の形態では、上述した手順によって形成された第1改質領域L1〜第4改質領域L4を利用して素子群形成基板20の分割・個片化を行っているので、素子チップ10における基板11の基板長辺側面11y側には第1改質領域L1および第3改質領域L3が、また、基板短辺側面11x側には第2改質領域L2および第4改質領域L4が、それぞれ露出することになる。また、上述したように、第1改質領域L1はy方向に沿って並ぶ複数の第1改質部Laによって、第2改質領域L2はx方向に沿って並ぶ複数の第2改質部Lbによって、第3改質領域L3はy方向に沿って並ぶ複数の第3改質部Lcによって、そして第4改質領域L4はx方向に沿って並ぶ複数の第4改質部Ldによって、それぞれ構成されることになる。
以上説明したように、本実施の形態では、ウエハ状の基板11の基板表面11aに複数の半導体発光素子21が形成された素子群形成基板20に対し、基板11の基板裏面11b側からレーザ光64を照射することで、基板11の内部に、基板11の面に沿うy方向(第1方向に対応)に向かう第1改質領域L1および第3改質領域L3と、基板11の面に沿い且つy方向とは異なるx方向(第2方向に対応)に向かう第2改質領域L2および第4改質領域L4とを形成する改質領域形成工程において、基板の基板裏面11bからの深さを異ならせて、改質領域群を構成する第1改質領域L1、第2改質領域L2、第3改質領域L3および第4改質領域L4を形成するようにした。
ここで、上述した手順のうち、同じ基板11内において、第1改質領域L1を形成する第1深さD1と第2改質領域L2を形成する第2深さD2とを同じ大きさ(以下では共通深さD0と称する)に設定した場合について考えてみる。この場合は、素子群形成基板20における基板11内の共通深さD0となる部位に、y方向に沿って第1改質領域L1を形成した後、基板11内の同じく共通深さD0となる部位に、x方向に沿って第2改質領域L2を形成することになる。
xy平面からみたとき、第1改質領域L1と第2改質領域L2とが交差する交差部において、第2改質領域L2の第2改質部Lbを形成するために基板裏面11bから基板11内に入射したレーザ光64は、共通深さD0となる部位で集光する。このとき、この部位に、既に形成済となっている第1改質領域L1の第1改質部Laが存在していると、集光したレーザ光64のエネルギーは、第2改質部Lbの形成には使用されず、そのまま第1改質部Laを通過していくことになる。特に、第1改質部La内にz方向に伸びるクラック(空間)が形成されている場合、第2改質部Lbを形成するために集光されたレーザ光64は、第1改質部La内の空間を、ほとんど減衰されることのない状態で通過していくことになる。そして、第1改質部Laを通過したレーザ光64は、エネルギーの減衰量が少ない状態のまま、基板表面11a側に設けられた積層半導体層12に照射される。
このようにして、エネルギーの減衰が不十分な状態のまま、積層半導体層12にレーザ光64が照射されると、積層半導体層12における被照射部位では、レーザ光64の吸収に伴って積層半導体層12が局所的に変色、変質する所謂「ヤケ」と呼ばれる現象が発生する。そして、このような「ヤケ」が発生した場合、その後の個片化工程を経て得られた複数の素子チップ10のうち、「ヤケ」が存在しているものについては、外観不良として検査不合格となってしまう。したがって、「ヤケ」の発生に伴って素子チップ10の歩留まりの低下を招くおそれがある。
なお、ここでは、第1改質領域L1および第2改質領域L2を同じ共通深さD0に形成した場合を例に説明を行ったが、互いの向きが異なる2つの改質領域(例えば、第2改質領域L2および第3改質領域L3、第3改質領域L3および第4改質領域L4、第1改質領域L1および第4改質領域L4)を同じ共通深さD0に形成した場合にも、同様の問題が生じ得る。
これに対し、本実施の形態では、上述した構成を有することにより、レーザ光64を用いた複数の改質領域の形成において、素子群形成基板20における「ヤケ」の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態では、改質領域形成工程において、素子群形成基板20の基板11内に形成する第1改質領域L1の第1深さD1、第2改質領域L2の第2深さD2、第3改質領域L3の第3深さD3、および第3改質領域L4の第4深さD4を、基板11の基板厚さTsの半分未満としたので、第1改質領域L1〜第4改質領域L4の形成において、各改質部の形成に使用されることなく積層半導体層12側に向かうレーザ光64を、スポットが拡がることによりエネルギー密度が低下した状態で積層半導体層12側に到達させることが可能となり、素子群形成基板20における「ヤケ」の発生をさらに抑制することができる。
なお、本実施の形態では、改質領域形成工程において、素子群形成基板20の基板11内に、基板裏面11bからみて深い側から順に、y方向およびx方向に交互となるように、4つの改質領域すなわち第1改質領域L1〜第4改質領域L4を形成するようにしたが、これに限られるものではない。また、本実施の形態では、y方向を第1方向とし、x方向を第2方向としていたが、これに限られるものではない。
ここで、図14は、本発明が適用され得る複数の改質領域の構成例の一覧を示す図である。
本発明は、本実施の形態で説明したような4つの改質領域(第1改質領域L1〜第4改質領域L4)を形成する場合は勿論のこと、3つの改質領域(第1改質領域L1〜第3改質領域L3)を形成する場合にも適用可能となっている。ここで、図14(a)は4つの改質領域を形成する場合における各改質領域の形成方向の組み合わせパターンを、また、図14(b)は3つの改質領域を形成する場合における各改質領域の形成方向の組み合わせパターンを、それぞれ例示している。
図14(a)には、4つの改質領域(第1改質領域L1〜第4改質領域L4)を形成する例として、各改質領域の形成方向を組み合わせた14通り((1)〜(14))のパターンを示している。この例において、各改質領域は、第1改質領域L1、第2改質領域L2、第3改質領域L3、そして第4改質領域L4の順に形成される。また、この例において、第1改質領域L1は第1深さD1に、第2改質領域L2は第2深さD2に、第3改質領域L3は第3深さD3に、そして第4改質領域L4は第4深さD4に形成される。ここで、第1深さD1、第2深さD2、第3深さD3および第4深さD4は、D1>D2>D3>D4の関係を有している。
図14(a)に示すように、本発明においては、第1改質領域L1〜第4改質領域L4を、x方向に沿って形成したものとy方向に沿って形成したものとの組み合わせで構成することが必要になる。したがって、第1改質領域L1〜第4改質領域L4のすべてを、x方向あるいはy方向に沿って形成したものについては、本発明から除外される。
また、図14(a)に示したように、4つの改質領域を形成する際の基本的なパターンとしては、第1改質領域L1〜第4改質領域L4のうち、3つをx方向に沿って形成し且つ残りの1つをy方向に沿って形成する第1グループ((1)、(2)、(4)、(8)参照)、2つをx方向に沿って形成し且つ残りの2つをy方向に沿って形成する第2グループ((3)、(5)、(6)、(9)、(10)、(12)参照)、および1つをx方向に沿って形成し且つ残りの3つをy方向に沿って形成する第3グループ((7)、(11)、(13)、(14)参照)が存在する。これらのうち、第2グループには、z方向(深さ方向)に対しx方向とy方向とを交互に形成した場合((5)、(10))が存在する。ここで、図14(a)に示す(1)〜(7)では、x方向が第1方向に、y方向が第2方向に、それぞれ対応している。また、図14(a)に示す(8)〜(14)では、y方向が第1方向に、x方向が第2方向に、それぞれ対応している。なお、本実施の形態では、図14(a)の(10)に示した組み合わせを例として説明を行った。
図14(a)に示す例において、第1グループについては、例えば基板11の結晶構造等に起因して、y方向よりもx方向における切断が困難な場合に利用することができる。また、例えば素子チップ10がCx>Cyとなる構造を有することに起因して、y方向よりもx方向における切断が困難な場合に利用することができる。
また、第2グループについては、例えばx方向およびy方向のそれぞれにおける切断の困難性が同等である場合に利用することができる。そして、第2グループのうちz方向(深さ方向)に対しx方向とy方向とを交互に形成するパターンを採用した場合には、例えば第1改質領域L1〜第4改質領域L4のうちz方向に隣接する2つの改質領域を同方向に設定した場合と比較して、改質領域形成工程の途中で素子群形成基板20が割れてしまう事態が生じるのを抑制することが可能になる。これにより、例えば割れが生じた素子群形成基板20にさらに改質領域を形成する際に生じる、改質領域の切断予定線からのずれの発生を抑えることができる。
さらに、第3グループについては、例えば基板11の結晶構造等に起因して、x方向よりもy方向における切断が困難である場合に利用することができる。また、例えば素子チップ10がCx<Cyとなる構造を有することに起因して、x方向よりもy方向における切断が困難な場合に利用することができる。
なお、図14(a)に示すもののうち、(2)〜(13)は、第1改質領域L1、第2改質領域L2および第3改質領域L3のうち、2つの改質領域を同じ方向(x方向またはy方向)に沿って形成するとともに、他の1つの改質領域を当該同じ方向とは異なる方向(y方向またはx方向)に沿って形成する場合に対応している。
また、ここでは、第1深さD1、第2深さD2、第3深さD3および第4深さD4が、D1>D2>D3>D4の関係を有している場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではなく、基板11の基板厚さTsの範囲内において、D1≠D2≠D3≠D4の関係を有していればよい。
次に、図14(b)には、3つの改質領域を形成する例として、各改質領域の形成方向を組み合わせた6通り((1)〜(6))のパターンを示している。この例において、各改質領域は、第1改質領域L1、第2改質領域L2、そして第3改質領域L3の順に形成される。また、この例において、第1改質領域L1は第1深さD1に、第2改質領域L2は第2深さD2に、そして第3改質領域L3は第3深さD3に形成される。ここで、第1深さD1、第2深さD2および第3深さD3は、D1>D2>D3の関係を有している。
図14(b)に示すように、本発明においては、第1改質領域L1〜第3改質領域L3を、x方向に沿って形成したものとy方向に沿って形成したものとの組み合わせで構成することが必要になる。したがって、第1改質領域L1〜第3改質領域L3のすべてを、x方向あるいはy方向に沿って形成したものについては、本発明から除外される。
また、図14(b)に示したように、3つの改質領域を形成する際の基本的なパターンとしては、第1改質領域L1〜第3改質領域L3のうち、2つをx方向に沿って形成し且つ残りの1つをy方向に沿って形成した第1グループ((1)、(2)、(4)参照)、および1つをx方向沿って形成し且つ残りの2つをy方向に沿って形成する第2グループ((3)、(5)、(6)参照)が存在する。そして、第1グループおよび第2グループには、それぞれ、z方向(深さ方向)に対しx方向とy方向とを交互に形成した場合((2)、(5))が存在する。ここで、図14(b)に示す(1)〜(3)では、x方向が第1方向、y方向が第2方向に、それぞれ対応している。また、図14(b)に示す(4)〜(6)では、y方向が第1方向に、x方向が第2方向に、それぞれ対応している。
図14(b)に示す例において、第1グループについては、例えば基板11の結晶構造等に起因して、y方向よりもx方向における切断が困難な場合に利用することができる。また、例えば素子チップ10がCx>Cyとなる構造を有することに起因して、y方向よりもx方向における切断が困難な場合に利用することができる。
また、第2グループについては、例えば基板11の結晶構造等に起因して、x方向よりもy方向における切断が困難である場合に利用することができる。また、例えば素子チップ10がCx<Cyとなる構造を有することに起因して、x方向よりもy方向における切断が困難な場合に利用することができる。
そして、z方向(深さ方向)に対しx方向とy方向とを交互に形成するパターンを採用した場合には、例えば第1改質領域L1〜第3改質領域L3のうちz方向に隣接する2つの改質領域を同方向に設定した場合と比較して、改質領域形成工程の途中で素子群形成基板20が割れてしまう事態が生じるのを抑制することが可能になる。これにより、例えば割れが生じた素子群形成基板20にさらに改質領域を形成する際に生じる、改質領域の切断予定線からのずれの発生を抑えることができる。
なお、図14(b)に示す(1)〜(6)は、すべて、第1改質領域L1、第2改質領域L2および第3改質領域L3のうち、2つの改質領域を同じ方向(x方向またはy方向)に沿って形成するとともに、他の1つの改質領域を当該同じ方向とは異なる方向(y方向またはx方向)に沿って形成する場合に対応している。
なお、ここでは、第1深さD1、第2深さD2および第3深さD3が、D1>D2>D3の関係を有している場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではなく、基板11の基板厚さTsの範囲内において、D1≠D2≠D3の関係を有していればよい。
なお、本実施の形態では、パルス発振させたYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ光を用いて、各改質領域を形成するようにしていたが、これに限られるものではない。例えばパルス発振させたYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ光を用いるようにしてもよい。また、各改質領域を形成するために使用するレーザ光の波長についても、適宜設計変更して差し支えない。
また、本実施の形態では、各改質領域を形成する際のレーザ光64の出力を、P1=P2>P3=P4の関係に設定していたが、これに限られるものではなく、出力の大小関係については変更してもかまわない。
さらに、本実施の形態では、素子チップ10の基板11における基板短辺側面11xと基板長辺側面11yとを直角となるようにすることで、基板11における基板表面11aおよび基板裏面11bを長方形状としていたが、これに限られるものでなく、素子チップ10の基板11における基板短辺側面11xと基板長辺側面11yとのなす角度を直角にはせずに、基板11における基板表面11aおよび基板裏面11bを平行四辺形状にしてもかまわない。
さらにまた、本実施の形態では、基板11上に形成する電子素子として、半導体発光素子21を例に挙げて説明を行ったが、これに限られるものではなく、発光機能を有しないものであっても差し支えない。