JP5623900B2 - トラクタ用のバランスウェイト支持用フレーム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のバランスウェイトを車体前端部に支持するため車体前端に連結されるトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームに関する。
上記のように構成されたトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームとして特許文献1には、トラクタの前部フレームに取付固定されるウェイト取付体が示されている。このウェイト取付体は、バランスウェイトを係止支持する係止板部分を有し、この係止板部分に平行姿勢でトラクタの前部フレームの前端に連結する連結板部分を有し、係止板部分と連結板部分とを連結する左右の連結板部分を有し、係止板部分に係止されるバランスウェイトの脱落を防止するウェイト固定体を有している。
この特許文献1では、係止板部分の横幅がトラクタの前部フレームの横幅より大きいため係止板部分に係止する形態で複数のウェイトを搭載できるように構成されている。また、ウェイト固定体は、操作レバーの操作により固定位置と固定解除位置とに切換自在に構成され、固定位置に設定することにより複数のウェイトに対してウェイト固定体から押圧力を作用させて脱落を防止できるようにしている。
特開平11‐208534号公報
トラクタでの作業形態を考えると、車体の後端にロータリ耕耘措置、プラウ、播種機等の作業装置を昇降自在に連結することが多い。この種の作業装置は比較的重量物であることから特許文献1に記載されるように車体の前端位置にバランスウェイトを備えることにより車体の前後バランスを向上させることが必要となる。
作業装置の大型化、重量化に伴い、車体前部に備えられるバランスウェイトの重量の増大を招く傾向があり、このような重量化にも対応できるように特許文献1では、係止板部分の横幅を車体の横幅より広くすることで多くのバランスウェイトを支持できるように構成されている。
また、トラクタでは、車体前部のエンジンルーム内にマフラーを配置し、このマフラーからの排気を車体前部側面から前部に向かわせるように排気方向を設定したものも存在する。しかしながら、車体の横幅より広い部材が車体の前端位置に配置されるものでは、排気ガスがバランスウェイトを支持する部材(特許文献1では係止板部分)に遮られるため、排気が車体の方向に流れ運転者に不快感を与えることや、排気が下方に流れることにより地面の塵埃を吹き上げることも考えられ改善の余地がある。
特に、排気がバランスウェイトを支持する部材によって遮られる場合には、排気がエンジンの方向に戻され、エンジンの吸気系に吸入されることや、バランスウェイトを支持する部材のうち、排気が吹き付けられる部位の温度が上昇することや、排気が吹き付けられる部位に排気ガスに含まれるカーボン粒子等が付着して汚れが発生することもあり、このような点にも改善の余地がある。
本発明の目的は、車体から前方に排出される排気ガスを適正に誘導し得るトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームを合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、複数のバランスウェイトを車体前端部に支持するため車体前端に連結されるトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームであって、
車体の横幅方向に沿う姿勢で車体フレームの横幅より長い寸法のバランスウェイト支持部と、前記車体フレームに連結する連結部とを備えると共に、車体の側部から車体の前方向に排出される排気ガスを前記バランスウェイトよりも車体外側部に案内するように前端が前記バランスウェイト支持部に連結され、後端が前記車体フレーム側に連結される排気ガス案内部を備えている点にある。
この構成によると、バランスウェイト支持部が、車体の側部から車体の前方向に排出される排気ガスを遮る位置に配置されることになるが、排気ガスは排気ガス案内部により車体外側部に流し出すように案内される。これにより、排気ガスを滞留させることや、車体の方向に逆流させることや、地面の方向に流れ地面の塵埃を吹き上げることがない。また、排気ガスは排気ガス案内部によって車体外側部に案内されるので、排気ガスがエンジンに再吸入されることや、排気ガス案内部の特定部位の温度を過剰に上昇させることや、排気ガスに含まれるカーボン粒子等が特定位置に付着する不都合も解消される。更に、排気ガス案内部がバランスウェイト支持部と車体フレーム側とを連結するフレームとして機能するため、バランスウェイト支持部の支持強度を高めることになる。
その結果、車体から前方に排出される排気ガスを適正に処理して快適な作業を実現するトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームが合理的に構成された。
本発明は、前記連結部が、前記車体フレームの前部の横外側面に連結され、前後向き姿勢となる側部連結体を有し、前記排気ガス案内部の後端が、前記側部連結体に連結され、前記排気ガス案内部の前端が、前記バランスウェイト支持部に連結されていても良い。
これによると、連結部に側部連結体を備えたことによりバランスウェイト支持用フレームの車体フレームに対する連結強度が向上すると同時に、バランスウェイト支持部と側部連結体との間に備えた排気ガス案内部により排気ガスの案内が可能となり、また、この排気ガス案内部の後端を車体フレームに連結しなくとも、バランスウェイト支持用フレームの支持強度を高めることも可能となる。
本発明は、前記排気ガス案内部が、排気ガスを車体外側部に案内する案内壁と、下方への流れと上方への流れを抑制する一対の規制壁とを備えて構成されても良い。
これによると、排気ガス案内部に送られた排気ガスは案内壁によって車体から離間する方向に案内され、また、一対の規制壁により上方と下方とへの流動が規制されることになり、排気ガスが上方に流れ運転者に達することや、排気ガスが下方に流れ地面の塵埃を吹き上げる不都合も解消する。
本発明は、前記バランスウェイト支持部は、前記バランスウェイトの一部が嵌め込まれる位置決め用の係合凹部が上端に形成され、前記バランスウェイトに形成された貫通孔部に挿通するボルトが挿通する貫通孔部が下部に形成されても良い。
これによると、バランスウェイト支持部にバランスウェイトを維持する場合には、係合凹部にバランスウェイトの一部を嵌め込むことによりバランスウェイトの位置が決まり、バランスウェイトに形成された貫通孔部に挿通するボルトを、バランスウェイト支持部の貫通孔部に挿通させる形態で、バランスウェイトをバランスウェイト支持部に締結する形態で固定できる。
トラクタの全体側面図である。 トラクタ前部の平面図である。 図2のIII−III線の断面図である。 バランスウェイト支持部とバランスウエイトとを示す斜視図である。 バランスウェイト支持部の横断平面図である。 バランスウェイト支持部の正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、車体Aの前部に操向輪として左右の前車輪1を備え、車体Aの後部位置にクローラ型走行装置2を備え、この前車輪1とクローラ型走行装置2とに駆動力を伝えるエンジン3を車体Aの前部位置のエンジンボンネット4の内部に備え、車体Aの中央部に運転部Bを備えてセミクローラ型トラクタが構成されている。
運転部Bは、運転者が着座する運転座席15と、この運転座席15の前部位置に配置され左右の前車輪1を操向操作(操舵)するステアリングホイール16とを備えている。クローラ型走行装置2は、後車軸に備えられるスプロケット型の駆動輪2aと、トラックフレーム2bの前後端に支持される従動輪2cと、トラックフレーム2bに支持される複数の転輪2dと、これらに巻回するクローラベルト2eを備えて構成されている。
エンジンボンネット4の内部にはエンジン3からの排気ガスが送られるマフラー6が備えられ、このマフラー6からの排気ガスを排出する排気管7の排出側の端部がエンジンボンネット4の下部の側部から車体Aの前方に向かう姿勢で備えられている。排気管7は、マフラー6から下方に延出され、その延出端側で前方向きに変更されている。この延出端の前後向き部分が、車体フレーム5の横外方面に向かい、かつ、斜め前方外方に向かうように配備されている。
このトラクタは、エンジン3の駆動力をクラッチハウジング8から車体後部のミッションケース9に伝える伝動系を備え、エンジン3の下部から車体フレーム5が前方に延出されている。車体フレーム5は左右一対の縦平板状の前後向きフレームとして構成されている。ミッションケース9の後部には、ミッションケース9に備えた油圧シリンダ(図示せず)の作動で昇降揺動する左右一対のリフトアーム10と、駆動力の外部への取り出しを可能にする動力取出軸11とが備えられている。これにより、左右のリフトアーム10によって昇降自在となるようにロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置を連結することが可能となり、ロータリ耕耘装置などの駆動型の作業装置に対して動力取出軸11からの駆動力を伝えることが可能となる。
〔バランスウェイトと支持用フレーム〕
図2〜図6に示すように、車体フレーム5の前端位置には、複数のバランスウェイトWを支持するバランスウェイト支持用フレームFが備えられている。バランスウェイト支持用フレームFは、車体Aの横幅方向に沿う姿勢で車体フレーム5の横幅より長い寸法のバランスウェイト支持部21と、このバランスウェイト支持部21を車体フレーム5に連結する連結部と、前記排気管7から車体Aの前方向に排出される排気ガスを車体外側部に案内する排気ガス案内部24とを備えている。
連結部は、車体フレーム5の前端に連結する前部連結板22と、この前部連結板22の後面側に固設され車体フレーム5の前側の側面に連結する一対の側部連結板23(側部連結体の一例)とで構成されている。
バランスウェイト支持部21は、鋼製や鋳鉄製の板状の部材が用いられ、上端に複数のブロック25を所定間隔で固定することで、この複数のブロック25同士の中間にバランスウェイトWの位置決め用の複数の係合凹部21Aが設定間隔で形成され、夫々の係合凹部21Aの下部位置には係合凹部21Aと等しい間隔で前後方向に貫通する貫通孔部21Bが穿設されている。
前記前部連結板22は、バランスウェイト支持部21の裏面側で左右方向の中央部に溶接等により固設され、バランスウェイト支持部21にはボルト26のボルトヘッドが嵌り込む開口径の複数の開口21Cが形成され、前部連結板22には複数の開口21Cに連通する状態でボルト26が挿通する第1孔部H1が穿設されている。また、側部連結板23にはボルト26が挿通する複数の第2孔部H2が形成されている。更に、前記車体フレーム5の前面で第1孔部H1に対応する位置には第1ネジ孔S1が形成され、前記車体フレーム5の側面で第2孔部H2に対応する位置には第2ネジ孔S2が形成されている。
このような構成から、第1孔部H1に挿通したボルト26を第1ネジ孔S1に螺合させて締結し、第2孔部H2に挿通したボルト26を第2ネジ孔S2に螺合させて締結することにより、バランスウェイト支持部21が連結部を介して車体フレーム5に連結される。このように連結された状態では第1ネジ孔S1に螺合するボルト26のボルトヘッドはバランスウェイト支持部21の開口21Cの内部に沈み込んだ状態で配置される。尚、第2孔部H2は前後方向に長い長孔状に形成され、車体フレーム5に側部連結板23を連結する際に、夫々の前後方向への位置誤差に影響されずに連結を行えるように構成されている。
排気ガス案内部24に板状材が用いられ、平面視において車体Aの前後方向に対して傾斜する姿勢となるように前端がバランスウェイト支持部21の裏面側の外端部に連結し、後端が側部連結板23の後端部に連結している。
この排気ガス案内部24には、排気ガスを車体外側部に案内する案内壁24Aと、上縁と下縁とを折り曲げることにより、排気ガスが上方と下方とに向かう流れを抑制する一対の規制壁24Bとが一体的に形成されている。これにより、排気管7からの排気ガスは、案内壁24Aによって車体外側部に案内され、この案内時において上方あるいは下方に移動しようとする排気ガスは規制壁24Bによって流れが規制され、さらに、一対の規制壁24Bによって排気ガス案内部24の強度を高めることができる。上側の規制壁24Bは案内壁24Aの上端縁から斜め後方上方に傾斜するように延出され、下側の規制壁24Bは案内壁24Aの下端縁から斜め後方下方に傾斜するように延出されている。なお、一対の規制壁24Bが、案内壁24Aの上端縁又は下端縁から後方に水平に延出されたものであっても良く、一対の規制壁24Bのうちのいずれか一方のみを設けたものであっても良い。
このように排気ガス案内部24がバランスウェイト支持部21と側部連結板23とを連結する形態で備えられることにより、バランスウェイト支持部21を強固に支持することも可能となる。また、本発明では、排気ガス案内部24の後端が車体フレーム5の側面に対して直接的にボルト連結するものであっても良い。特に、この実施形態では、排気ガス案内部24を車体Aの一方の側部に配置しているが、車体Aの他方の側部に排気ガス案内部24と対称となる姿勢の補強フレームを備えることによりバランスウェイト支持部21の支持強度を一層高めることも可能となる。
〔バランスウェイト〕
図4に示すように、バランスウェイトWは鋳物によってウェイト本体31と係合部32と延出部33とを一体的に形成した平板状の構造を有している。ウェイト本体31は上部位置に把手31Aを備えており、係合部32は、ウェイト本体31の上端側の後面側において下方に開放するフック状に形成され、この係合部32の開口部分の一部に下方に突出する位置に突出部32Aが形成されている。延出部33はウェイト本体31の下端側において係合部32の開口縁を下方に延長した形態を有しており、この延出部33の下端に対して前後方向に貫通する連結用のボルト貫通孔部33Aが形成されている。
このバランスウェイトWでは、突出部32Aをバランスウェイト支持部21の係合凹部21Aに係合させることにより横方向での係合位置が決まる。このように突出部32Aが係合凹部21Aに係合する状態においてバランスウェイトWのボルト貫通孔部33Aとバランスウェイト支持部21の貫通孔部21Bとが同軸芯上に配置されるように相対的な位置関係が設定されている。
これにより、このボルト貫通孔部33Aとバランスウェイト支持部21の貫通孔部21Bとに亘って固定ボルト27を挿通し、バランスウェイト支持部21の裏面側のナット28に螺合させ締結することによりバランスウェイトWがバランスウェイト支持用フレームFに固定状態で支持される。
〔実施形態の作用・効果〕
このように本発明では、バランスウェイト支持用フレームFを構成するバランスウェイト支持部21は車体Aの横幅より長い寸法であるため多数のバランスウェイトWを支持することにより車体Aの前後バランスを良好にする。
また、バランスウェイト支持部21の横方向での寸法が長く、エンジン3の排気ガスがエンジンボンネット4の側部から前方に向けて排出される構造であるにも拘わらず、排気ガス案内部24の案内壁24Aが排気ガスを滞留させずに車体Aから離間する方向に流し出すように案内するため、排気ガスがエンジン3に再吸入されることや、この排気ガス案内部24の特定部位の温度を過剰に上昇させることや、排気ガスに含まれるカーボン粒子等が排気ガス案内部24に付着する不都合も解消される。
また、排気ガス案内部24に送られた排気ガスは、一対の規制壁24Bにより上方への流れと、下方への流れとが規制されることになる。これにより、排気ガスがエンジン3に再吸入される不都合が一層良好に解消され、排気ガスが運転部Bの方向に流れて運転者に不快感を与えることや、排気ガスが地面に吹き付けられ塵埃が発生して運転者に不快感を与える不都合を解消できる。
更に、排気ガス案内部24がバランスウェイト支持用フレームFのバランスウェイト支持部21と車体フレーム側とを連結するフレームとして機能することから、バランスウェイト支持部21の支持強度を高めることが可能となり、結果として、バランスウェイト支持部21に高強度となる大型の材料を使用しなくて済む。
本発明は、車体前端にバランスウェイト支持用フレームを備えるトラクタ全般に利用することができる。
5 車体フレーム
21 バランスウェイト支持部
21A 係合凹部
21B 貫通孔部
22 連結部(前部連結板)
23 連結部・側部連結板(側部連結板)
24 排気ガス案内部
24A 案内壁
24B 規制壁
27 ボルト
33A 貫通孔部(ボルト貫通孔部)
A 車体
F バランスウェイト支持用フレーム
W バランスウェイト

Claims (4)

  1. 複数のバランスウェイトを車体前端部に支持するため車体前端に連結されるトラクタ用のバランスウェイト支持用フレームであって、
    車体の横幅方向に沿う姿勢で車体フレームの横幅より長い寸法のバランスウェイト支持部と、前記車体フレームに連結する連結部とを備えると共に、車体の側部から車体の前方向に排出される排気ガスを前記バランスウェイトよりも車体外側部に案内するように前端が前記バランスウェイト支持部に連結され、後端が前記車体フレーム側に連結される排気ガス案内部を備えているトラクタ用のバランスウェイト支持用フレーム。
  2. 前記連結部が、前記車体フレームの前部の横外側面に連結され、前後向き姿勢となる側部連結体を有し、
    前記排気ガス案内部の後端が、前記側部連結体に連結され、前記排気ガス案内部の前端が、前記バランスウェイト支持部に連結されている請求項1に記載のトラクタ用のバランスウェイト支持用フレーム。
  3. 前記排気ガス案内部が、排気ガスを車体外側部に案内する案内壁と、下方への流れと上方への流れを抑制する一対の規制壁とを備えて構成されている請求項1又は2記載のトラクタ用のバランスウェイト支持用フレーム。
  4. 前記バランスウェイト支持部は、前記バランスウェイトの一部が嵌め込まれる位置決め用の係合凹部が上端に形成され、前記バランスウェイトに形成された貫通孔部に挿通するボルトが挿通する貫通孔部が下部に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトラクタ用のバランスウェイト支持用フレーム。
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