JP5623714B2 - 常温で長期保存が可能な乾燥処理植物種子 - Google Patents

常温で長期保存が可能な乾燥処理植物種子 Download PDF

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Description

本発明は、常温で長期間の保存が可能な乾燥処理植物種子に関する。
マイクロ波を用いて植物体等の生体を乾燥させる方法が報告されている(特許文献1及び2並びに非特許文献1を参照)。該方法によれば、マイクロ波照射により、マイクロ波を適度に分散させ生体中の水分を速やかに除去することができる。この方法は、短時間で主に植物の花や葉を対象にし、色や香りを保持したまま、簡便、迅速に乾燥し、長期保存することを目的としている。この方法の乾燥体への効果としてクチクラと表皮細胞の剥離が起きないこと、及び海綿状組織の破壊が少なく、表皮細胞の縮みが少ないこと等が確認されている。
マイクロ波によって植物を処理する研究は、1980年代に盛んに行われた。これらの研究は、いずれも解剖学的、組織学的には不適と結論づけられた(非特許文献2を参照)。一方、マイクロ波を用いて種子を処理する試みはほとんど報告されていない(非特許文献3を参照)。
発芽能が高く寿命が長い種子や病害防除を目指した研究は種々行われているが、ほとんどが遺伝子組換えによるものであるため、安全性等の面で課題が残されていた。例えば、米を例にとると、水稲育種において耐病性があり、発芽率が高く寿命の長い種子で、品質保持などの条件が揃った実用品種が必要とされている。米に関しては、盛んに遺伝子組換え研究が行われており、いずれかの条件を備えている品種は得られているが、すべての条件を備える品種は未だ得られておらず、従って発芽能が高く寿命が長い種子も得られていない(非特許文献4を参照)。
現在実用化されている植物の種子の保存方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)室温低温保存(乾燥剤を入れ完全に密封)
(2)冷蔵低湿保存(5℃程度の冷蔵庫を使用)
(3)冷凍低湿保存(−18℃程度の冷凍庫を使用)
しかしながら、これらの保存法では長期間保存することはできず、保存後の発芽率が低くなることも認められる。例えば、穀類等は高い発芽率を保つために毎年保存種子を更新する必要がある。
さらに、植物の種子における細菌等の感染を防ぐために、塩水選を行った後に、ベンゾチアジアゾール、ベンレートT水和剤、トリフミン乳剤等に浸漬処理をする必要があった。また、上記薬剤を使用しない場合は、種子を60℃に保った水に20分間程度浸すことが行われるが、この加温処理は種子の発芽率を低下させるという問題があった。さらに、食物としての種子を考えた場合、種子を室温暗所保存又は冷温若しくは冷凍保存しているが、保存中に鮮度、香味、色彩のいずれも保存前の新鮮種子と比較して顕著に低下する。
また、上記の従来の種子の保存方法は、冷蔵庫、冷凍庫等の保存のための設備を必要とし、保存のコストも小さくない。
特許第3472794号公報 特許第4102883号公報
岡崎智鶴子ら、博物館雑誌、第26巻、第1号 p.19-22 (2000) Mauro Bacci et al., TAXON 34, p.649-653 (1985) Steven. R. Hilp, TAXON 32, p.614-615 (1983) 中島健一他、農研機構 2001 0116, p.5-7 (2001)
本発明は、耐病性があり、発芽率が高く、成長性が高く、さらに寿命が長い乾燥した植物の種子の提供を目的とする。
本発明者らは、先にマイクロ波を用いて生物試料を乾燥させる方法(特許第3472794号公報及び特許第4102883号公報)を開発した。本発明者らは、種子の保存等にマイクロ波による処理が応用できないか鋭意検討を行った。その結果、試料を吸湿性及び/又は透湿性の多孔質柔軟シートで囲むか又は囲まずに、該多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、マイクロ波を照射することにより乾燥させた植物の種子が常温で長期保存が可能なことを見出した。また、同様に、植物の花粉及び菌類の子実体も同様の方法で乾燥処理を行った場合に、常温で長期保存が可能なことを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 試料を吸湿性及び/又は透湿性の多孔質柔軟シートで囲むか又は囲まずに、該多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、マイクロ波を照射することにより乾燥させた、常温で1年以上保存した後も50%以上の発芽率を有する植物の乾燥種子。
[2] 常温で保存した後も90%以上の発芽率を有する、[1]の植物の乾燥種子。
[3] 常温で保存した後に、播種した場合に、試料を吸湿性及び/又は透湿性の多孔質柔軟シートで囲むか又は囲まずに、該多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、マイクロ波を照射することにより乾燥させなかった種子に比べ、芽及び根の伸長速度が大きい、[1]又は[2]の植物の乾燥種子。
[4] 常温で保存した後に、芽及び根が高い耐病性を有している、[1]〜[3]のいずれかの乾燥種子。
[5] 穀類の種子である、[1]〜[4]のいずれかの植物の乾燥種子。
[6] 穀類がイネである、[5]の植物の乾燥種子。
本発明のOK乾燥法により乾燥処理した種子は、常温で長期保存が可能であり、常温で長期保存した後も十分な発芽能力を有している。また、本発明により発芽して成長した苗は、カビや細菌などの病害に対する高い耐性能力を有している。
本発明の種子乾燥に用いるAタイプの乾燥用ユニットを示す図である。 本発明の種子乾燥に用いるBタイプの乾燥用ユニットを示す図である。 本発明の種子乾燥に用いるCタイプの乾燥用ユニットを示す図である。 乾燥処理した玄米及び未処理玄米を約3年間保管後植え付け、植え付け28日後の発芽の状態を示す図である。 乾燥処理した玄米及び未処理玄米を約3年間保管後植え付け、植え付け28日後の芽及び根の長さを示す図である。 乾燥処理した籾及び未処理籾を乾燥処理後植え付け、植え付け28日後の芽及び根の長さを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、植物の種子を対象とする。種子とは種子植物で有性生殖によって形成される散布体をいう。植物はあらゆる植物種が対象となるが、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソバ、アワ、ヒエなどの穀類、アズキ、ダイズなどのマメ類、アサガオやコスモスなどの花卉類、サザンカやシラカバなどの樹木が挙げられる。
本発明の種子からなる群から選択される試料は、特許第3472794号公報に記載の方法若しくは特許第4102883号公報に記載のマイクロ波を利用した乾燥方法又はその方法に類似した方法で処理し、乾燥することができる。
すなわち、試料を吸湿性及び/又は透湿性の多孔質柔軟シートで囲むか又は囲まずに、該多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、マイクロ波を照射する。この際、好ましくは、試料の外表面と吸湿性の多孔質柔軟シートと乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を密着させて、マイクロ波を照射する。
本発明のマイクロ波を用いて、試料を処理、乾燥する方法を「OK処理法」又は「OK乾燥法」という。
多孔質柔軟シートは、透湿性及び/又は吸湿性並びに好ましくは耐熱性を有する多孔性材料であり、多孔質柔軟シートとしては、クレープ紙、和紙、ティッシュペーパー、新聞紙、ろ紙、キッチンペーパー、キムワイプ(日本製紙クレシア株式会社)、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社)、有孔テフロン樹脂シート、有孔シリコン樹脂シート、有孔グラシン紙等の薄くて柔軟な紙類や樹脂シート類が挙げられる。多孔質柔軟シートは、複数枚を重ねて用いてもよい。
ここで、試料の外表面を多孔質柔軟シートで囲むとは、試料の周囲全体又は周囲のほぼ全体が多孔質柔軟シートで覆われていることをいい、このとき試料が部分的に好ましくは大部分が多孔質柔軟シートと接触していることが望ましい。また、この際試料を多孔質柔軟シートで挟んでもよく、この場合も試料を囲むという。
乾燥剤としては、吸湿性粒状体、吸湿性粉状体、吸湿性シート、透水性シート等が挙げられる。吸湿性粒状体としては、代表的には粒状シリカゲルを用いる。粒状シリカゲルは、ドライフラワーの保存用に市販されているものでもよいし、菓子等の食品保存用に封入されているシリカゲルを集めたものでもよい。吸湿性粒状体は、袋状の多孔質柔軟シート中に入れて用いてもよい。なお、袋状という場合、多孔質柔軟シート自体が必ずしも形態として袋の形態を有している必要はなく、多孔質柔軟シートで吸湿性粒状体を包んだ場合も袋に入れた場合と同様の効果を得られるので、袋状の多孔質柔軟シートに入れるという。吸湿性粉状体としては、塩化カルシウム、酸化カルシウム等がある。吸湿性粉状体を用いる場合、下記の多孔質柔軟シートでできた袋等に入れて用いればよい。吸湿性シートとしては、例えば上記の吸湿性粉状体を袋に入れてシート状にしたものが挙げられる。多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤で囲むとは、試料を囲んだ多孔質柔軟シート全体又はほぼ全体が乾燥剤と直接または乾燥剤を入れた袋等を介して接触していることをいう。この際、試料が含んでいる水分をすべて吸収できる量の乾燥剤を用いればよい。
多孔質柔軟シートの外周を透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲むとは、試料を囲んだ多孔質柔軟シート全体又はほぼ全体が透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料と接触していることをいう。また、この際試料を囲んだ多孔質柔軟シートを透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で挟んでもよく、この場合も多孔質柔軟シートを囲むという。
試料を囲んだ多孔質柔軟シートの周囲を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲む場合、乾燥剤と透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料の試料に対する位置は限定されず、試料、多孔質柔軟シート、乾燥剤、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料の順序で接触していてもよいし、試料、多孔質柔軟シート、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料、乾燥剤の順序で接触していてもよい。
材料の透湿性とはその材料の蒸発した水分子を透過させ得る特性をいい、材料の吸湿性とは運動性を失った水分子をその材料が保持し得る性質をいう。透湿性を有していると、マイクロ波照射により試料から蒸発した水分が容易に透過し、試料を囲んだ透湿性材料から放出され、試料から分離される。また、蒸発し熱を有する水分子が分離されると、試料の近辺に熱がこもりにくく、試料近辺の温度上昇を抑えることができる。透湿性(透湿度)は、一定条件下で一定面積の透湿性材料を一定時間に透過する水蒸気量(g)を測定することにより測定できる。さらに、吸湿性を有していると、蒸発して孔を通っている水分子の一部及びマイクロ波照射終了後の冷却過程で運動性を失った水分子を吸収保持することができ、水分子が再び試料に吸収されるのを防止することができる。耐熱性とは熱に侵されにくい特性をいい、本発明においては特にマイクロ波を照射しても溶けたり、焦げたり、燃えたりしない特性をいう。多孔性材料とは、材料の表側から裏側に連絡する孔を多数有している材料をいい、該孔が存在するため透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する。孔の大きさは限られないが、少なくとも水分子が容易に透過し得る大きさである。
例えば、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料として、紙、布の繊維性多孔性材料が挙げられる。紙は吸湿性という観点から、ある程度の厚みが必要であり、薄い紙の場合は重ねて用いればよい。トータルの厚みは限定されないが、数mmから数cm、好ましくは1〜2cmである。紙として、段ボール、クレープ紙、ろ紙、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、キムワイプ(日本製紙クレシア株式会社)、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社)、有孔グラシン紙等が挙げられる。ここで、クレープ紙とはちりめん状のしわをつけた紙をいい、抄紙工程で湿紙にしわつけ加工をするウェットクレープと乾燥した紙に加工するドライクレープのいずれでもよい。クレープ紙の例として、紙タオル、紙ナプキン等が挙げられる。段ボールも、吸湿性の観点から、ある程度の厚みが必要である。段ボールの種類により必要な厚みは異なるが数mmから数cm、好ましくは1〜2cmである。薄い段ボールの場合は、紙と同様に数枚を重ねて用いればよい。布は織布でも不織布でもニットでもよく、また天然素材の布でも合成素材の布でもよい。また、吸湿性の観点からある程度の厚みが必要であり、その厚みは数mmから数cm、好ましくは1〜2cmである。薄い布の場合は重ねて用いればよい。布としては、フェルト、フリース、ネル(フランネル)、ベロア、コットン(綿)製の布、ポリプロピレン製の布、織物の表面をフェルト状にした毛布、ビリヤードクロス等の織フェルト、ドミット芯、キルト芯等が挙げられる。ここで、フェルトとは、繊維を絡ませて布状にしたものをいい、羊毛からできた伝統的フェルト、材料の種類を問わないがクリンプ状に縮れた短繊維からできたフェルト、ポリエステル等の合成繊維からできたフェルトがある。フリースとは、繊維を高密度で織り起毛させた布をいい、その素材は羊毛、ポリエステル等である。ネルとは太番手の糸を用い、平織又はあや織の両面又は片面を起毛した織布をいい、ベロアとは縮充起毛して布面に毛羽を立てた布をいう。なお、段ボールを用いるときに、段ボールにシリカゲル等の吸湿性粒状体を含ませてもよい。段ボールは波形に成形した中しんの片面又は両面にライナを貼ったものであり、中芯とライナの間に吸湿性粒状体を含ませることもできる。透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料は、上記のものを重ねる等により組合せて用いてもよい。その他、多孔性材料として有孔テフロン樹脂シート、有孔シリコン樹脂シート等が挙げられる。
上記の多孔質柔軟シートは、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料でもあるが、布やダンボールを含まず、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料と区別するために本明細書中では多孔質柔軟シートという語を用いている。本発明の実施態様によっては、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料としてクレープ紙、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、キムワイプ(日本製紙クレシア株式会社)、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社)を複数枚重ねて用いることがあり、この場合はクレープ紙等は、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料でもあり、多孔質柔軟シートでもある。多孔質柔軟シートは一枚でもよいし、複数枚を重ねて用いてもよい。乾燥処理しようとする試料の周囲を多孔質柔軟シートで囲み、さらに前記透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲みマイクロ波を照射する。この際多孔質柔軟シートは試料に部分的に、好ましくは試料の大部分を接触させる。ここで、試料への接触は試料の表面積の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上を多孔質柔軟シートに接触させることをいう。さらに、多孔質柔軟シートの外側に位置する透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料は多孔質柔軟シートに部分的に、好ましくは大部分を接触させる。ここで、大部分を接触させるとは多孔質柔軟シートの表面積の50%以上を多孔性材料に接触させることをいう。該多孔質柔軟シートは試料に接触し透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料がさらに多孔質柔軟シートに接触しているので、試料、多孔質柔軟シート及び透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を通る水分子の通路が形成される。試料から蒸発した水分は直ちに多孔質柔軟シートに吸収され、次いでその水分は前記透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料中に移動し、該材料の孔を通って外に放出される。
本発明の方法で用いる透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料及び多孔質柔軟シートの面積は乾燥させようとする試料の大きさにより適宜設定すればよい。また、試料の上下を挟んで用いるか、又は包んで用いるかによっても面積を適宜変更することができる。
また、上記方法で試料を乾燥させる際に、多孔質柔軟シート、乾燥剤、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料をあらかじめ試料乾燥に用いる乾燥用ユニット又はデバイスとして組み立てておいてもよい。該ユニットとしては、以下の構造を有するものが挙げられる。
(A) 袋状の多孔質柔軟シート中に、乾燥剤並びに透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料が含まれている構造を有するユニット。このタイプのユニットにおいては、乾燥剤が袋状の多孔質柔軟シートに入れられ、乾燥剤を入れた袋状の多孔質柔軟シートと透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料がさらに袋状の多孔質柔軟シートに入れられており、1つのユニットを形成している。本発明ではこのような構造を有する乾燥用ユニットをAタイプユニットと呼ぶ。このタイプのユニットを用いる場合、試料を多孔質柔軟シートで囲むか、又は囲まずに、例えば、2枚の多孔質柔軟シートで挟み、2つの上記ユニットで多孔質柔軟シートで囲んだ試料を挟んで用いる。この場合、好ましくは袋状の多孔質柔軟シート中の乾燥剤と透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料のうち、乾燥剤が試料により近接して位置するようにする。図1にAタイプのユニットを用いて試料を乾燥させる方法を示す。図1においては、試料をキムワイプ、ティッシュ、キッチンペーパー等の紙製の2枚の多孔質柔軟シートで挟み、さらに、その上下に、シリカゲルを包んだ紙、すなわちシリカゲルを入れた袋状の紙及び段ボール板を包んだ紙からなるAタイプのユニットをユニットの外側の紙と試料を挟んだ紙が接触するように置く。
(B) 袋状の多孔質柔軟シート中に、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料が含まれている構造を有するユニット。このタイプのユニットにおいては、1種又は複数種の透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料が袋状の多孔質柔軟シートに入れられ、1つのユニットを形成している。袋状の多孔質柔軟シート中に入れられる透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料は層状に重ねられ、その層数は限定されない。本発明ではこのような構造を有する乾燥用ユニットをBタイプユニットと呼ぶ。このタイプのユニットを用いる場合は、Aタイプのユニットの場合と同様に、試料を多孔質柔軟シートで囲むか、又は囲まずに、例えば、2枚の多孔質柔軟シートで挟み、2つの上記ユニットで多孔質柔軟シートで囲んだ試料を挟んで用いる。図2にBタイプのユニットを用いて試料を乾燥させる方法を示す。図2においては、試料をキムワイプ、ティッシュ、キッチンペーパー等の紙製の2枚の多孔質柔軟シートで挟み、さらに、その上下に、1枚の段ボール及び2枚のウール若しくはドミット芯を重ねた状態で包んだ紙からなるBタイプのユニットをユニットの外側の紙と試料を挟んだ紙が接触するように置く。
(C) 袋状の多孔質柔軟シート中に、乾燥剤並びに透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料が含まれている構造を有するユニットであり、乾燥剤が袋状の多孔質柔軟シートに入れられ、乾燥剤が入れられた多孔質柔軟シートがユニットの底面にくぼみを形成しているユニット。該くぼみの部分に試料を入れることができる。本発明ではこのような構造を有する乾燥用ユニットをCタイプユニットと呼ぶ。このタイプのユニットを用いる場合は、A及びBタイプのユニットの場合と同様に、試料を多孔質柔軟シートで囲むか、又は囲まずに、例えば、2枚の多孔質柔軟シートで挟み、2つの上記ユニットで多孔質柔軟シートで囲んだ試料を挟んで用いる。この際、上記くぼみの部分に試料が入るようにする。Cタイプのユニットは比較的大きな試料の処理に適する。図3にCタイプのユニットを用いて試料を乾燥させる方法を示す。図3Aにおいては、試料、1枚の段ボール及び2枚のウール若しくはドミット芯を重ね、さらにその下にシリカゲルを包んだ円筒状の紙を入れた状態で包み、くぼみを有するユニットを形成し、くぼみ部分に試料が入るように、試料を2つのユニットで挟む。シリカゲルを包んだ紙は例えば、図3Bに示すように、くぼみが形成されるように配置すればよい。図3において、図3Aはユニットの断面図、図3Bは上から見た場合のシリカゲルを包んだ円筒状の紙の配置を示している。図3においては、Cタイプユニットの乾燥剤を含む袋状の多孔質柔軟シートは上から観察したときに矩形になるように配置されているが、配置方法は限定されず上から観察したときに乾燥剤を含む袋状の多孔質柔軟シートが円形、楕円形、任意の多角形状に配置されていてもよい。また、図3において乾燥剤を含む袋状の多孔質柔軟シートは一重に配置されているが、二重以上に配置されていてもよい。
本発明で用いるマイクロ波の発生装置としては、市販の家庭用電子レンジを用いればよい。工業的に大量の試料を処理するには、大型のマイクロ波発生装置を用いることができる。なお、本発明においてはマイクロ波発生装置と称しているが、これはマイクロ波加熱炉ともいい、本発明で試料にマイクロ波を照射するとは、マイクロ波を作用させて水分子を誘電加熱し(マイクロ波加熱)蒸発させることをいう。
マイクロ波の照射時間は、乾燥させようとする試料の体積、含水量等により異なるが、約十秒から数百秒でよい。マイクロ波の照射時間が長すぎると、試料が変色し、あるいは変形し、あるいは発芽等しなくなることがあるので望ましくない。マイクロ波発生装置の出力により照射時間を適宜変えることにより、良好な処理物を得ることができる。あらかじめ、用いようとする試料をマイクロ波の照射時間を変えて乾燥させ、乾燥状態及び変色の程度を調べて、適切な照射時間を設定することができるし、また短い時間マイクロ波を照射し乾燥状態及び変色の程度を確認することを繰り返すことにより最適の乾燥状態を達成することもできる。例えば、乾燥中の水分蒸発に伴う重量減少を測定し、重量が減少しなくなった時点、すなわち試料からの水分減少率が100%となった時点を完全乾燥の完了とする。しかし、用いる透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料によっては、完全乾燥時に試料に変色が認められることがある。本発明の方法により作製した試料の乾燥体は、乾燥剤の存在下、あるいは低湿度条件下で乾燥状態を保持して保存することが望ましく、わずかに残った水分は保存時に乾燥剤により吸湿される。従って、変色が認められる場合は、完全乾燥に達する前にマイクロ波の照射を止め、後は乾燥剤の存在下あるいは低湿度条件下で保存すればよい。マイクロ波照射の過程における試料の重量減少がなくなった場合を、水分減少率100%とした場合、一定時間のマイクロ波照射後の水分減少率は(乾燥前の試料の重量―一定時間マイクロ波を照射した時の試料の重量)/(乾燥前の試料の重量―完全乾燥完了時の試料の重量)×100(%)で表される。本発明の方法により作製される試料の乾燥体の水分減少率は、好ましくは50%以上、60%以上、70%以上、若しくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
尚、試料を囲む透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を適宜選択することにより、含水試料が高温にさらされるのを防ぐことができる。例えば、多孔性材料としてフェルト又はフリースを用いた場合、試料が過度の高温にさらされるのを防ぐことができる。これは、マイクロ波照射により分子運動が活発になり蒸発した水分子が、含水試料の周囲に留まることなく直ちに多孔性材料中に入りさらに該材料を透過していくためであると考えられる。この際、マイクロ波を照射した物質中の水分子は極めて高速で物質から放出される。この高速で運動する水分子と、多孔性材料の「煙突効果」があいまって、含水試料の温度を上昇させずに水分子を分離することが可能になるのである。マイクロ波は物質中の水分子の運動エネルギーを上昇させ、水分子同士の摩擦によりその物質を加熱するので、運動エネルギーが上昇した水分子が物質から直ちに分離されれば、その物質の温度上昇は抑えられる。すなわち、本発明の方法は、低温での乾燥を達成しうる。本発明の方法の温度上昇を抑える最適条件で乾燥を行った場合に、試料がさらされる温度は100℃未満、好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満、最も好ましくは60℃未満である。試料周囲の温度は、例えばマイクロ波の照射後直ぐに試料及びそれを囲む透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を取り出し、試料の近くに、温度計、熱電対等の温度センサーを置くことにより測定することができる。この方法により測定される温度は、実際にマイクロ波を照射している時の試料がさらされる正確な温度ではないが、実際に試料がさらされる温度の目安となる。本発明の方法の温度上昇を抑える最適条件で乾燥を行った場合の前記温度測定方法で測定した試料近辺の温度は、100℃未満、好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満、最も好ましくは60℃未満である。
用いる透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料の種類によりある程度乾燥中に試料がさらされる温度をコントロールすることができる。試料によっては、もともと水分含量が多かったり、表面に水分蒸発を妨げる層が存在し、乾燥させにくいものがある。このような試料を乾燥させる場合は、ある程度高温条件下で行った方がよい場合がある。前記多孔性材料の種類を適宜選択することにより、乾燥時の温度を変えることができる。例えば、前記多孔性材料として、フリースやフェルトを用いた場合は比較的低温での乾燥が達成でき、段ボールやクレープ紙を用いた場合は、比較的高温で乾燥させることができる。
なお、試料を乾燥させる前に、乾燥に用いる乾燥剤、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料並びに/又は前記多孔質柔軟シートはあらかじめマイクロ波を照射しておくのが望ましい。あらかじめマイクロ波を照射しておくことにより、乾燥剤、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料並びに/又は前記多孔質柔軟シートがある程度加熱され以降の乾燥が迅速かつ効率的に行われる。この加熱を予備加熱といい、用いる前記透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料及び多孔質柔軟シートの種類にもよるが、60秒から90秒行うことが望ましい。
さらに、試料へのマイクロ波の照射終了後、乾燥させた試料は直ぐにマイクロ波発生装置から取り出さずに、そのままの状態で一定時間放置しておき、放冷又は余熱乾燥させるのが望ましい。加熱された試料、乾燥剤、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料並びに多孔質柔軟シートをマイクロ波発生装置中で放置することにより、保持されている熱により試料にわずかに残っている水分がさらに蒸発し、良好な乾燥体が得られる。放冷又は予熱乾燥の時間は、5〜60分、好ましくは5〜40分である。
一度に処理し、乾燥できる量は乾燥させる試料の大きさやもともとの水分含量によるが、例えば、植物種子の場合、0.05〜100g、好ましくは1〜50gである。
本発明のOK乾燥法により乾燥処理した種子は、常温で長期保存が可能な潜在能力を有する。ここで、常温で長期保存が可能であるとは、常温で長期保存した後も十分な発芽能力を有していることをいう。例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、27ヶ月、30ヶ月、33ヶ月、36ヶ月、3年6ヶ月、4年、4年6ヶ月、5年、6年、8年、9年、10年、15年、20年、25年又は30年の間、常温で保存しても十分な発芽能力を有していることが望まれる。また、十分な発芽能力を有するとは、発芽率(100×発芽が認められた乾燥処理した種子の数/播いた乾燥処理した種子の数)が、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上又は99%以上であることをいう。
さらに、発芽後の芽の伸長速度及び根の伸長速度も早い。例えば、収穫後OK乾燥法で乾燥処理した種子と収穫後乾燥処理しない種子を常温で保存した後に播種した場合、OK乾燥法で乾燥処理した種子の芽の伸長速度及び根の伸長速度は、乾燥処理しない未処理種子に比べ高い。播種後一定期間後の芽又は根の長さを比較した場合、OK乾燥法で乾燥処理した種子は、乾燥処理しない未処理種子に比べ、芽又は根の長さが、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、100%以上、150%以上又は200%以上長くなる。
また、本発明のOK乾燥法により乾燥処理した種子は、耐病性も高く、保存中にカビが生えることもない。さらに、長期間常温で保存した場合の、外観も収穫直後の状態を保持している。
なお、種子をOK乾燥法により乾燥処理してもその直後の発芽率等は低下しない。
さらに、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソバ、アワ、ヒエなどの穀類、アズキ、ダイズなどのマメ類等食物として有用な種子は、常温で長期保存した後も食することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 乾燥用ユニットの作製
乾燥に用いる乾燥用ユニットして、Aタイプユニット及びBタイプユニットを作製した。
Aタイプユニット及びBタイプユニットの構造は以下のとおりである。
Aタイプユニット
袋状の多孔質柔軟シート中に、乾燥剤並びに透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料が含まれている構造を有するユニット。このタイプのユニットにおいては、乾燥剤が袋状の多孔質柔軟シートに入れられ、乾燥剤を入れた袋状の多孔質柔軟シートと透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料がさらに袋状の多孔質柔軟シートに入れられており、1つのユニットを形成している。本発明ではこのような構造を有する乾燥用ユニットをAタイプユニットと呼ぶ。このタイプのユニットを用いる場合、試料を多孔質柔軟シートで囲むか、又は囲まずに、例えば、2枚の多孔質柔軟シートで挟み、2つの上記ユニットで多孔質柔軟シートで囲んだ試料を挟んで用いる。この場合、好ましくは袋状の多孔質柔軟シート中の乾燥剤と透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料のうち、乾燥剤が試料により近接して位置するようにする。図1にAタイプのユニットを用いて試料を乾燥させる方法を示す。図1においては、試料をキムワイプ、ティッシュ、キッチンペーパー等の紙製の2枚の多孔質柔軟シートで挟み、さらに、その上下に、シリカゲルを包んだ紙、すなわちシリカゲルを入れた袋状の紙及び段ボール板を包んだ紙からなるAタイプのユニットをユニットの外側の紙と試料を挟んだ紙が接触するように置く。
Bタイプユニット
袋状の多孔質柔軟シート中に、透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料が含まれている構造を有するユニット。このタイプのユニットにおいては、1種又は複数種の透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料が袋状の多孔質柔軟シートに入れられ、1つのユニットを形成している。袋状の多孔質柔軟シート中に入れられる透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料を有する多孔性材料は層状に重ねられ、その層数は限定されない。本発明ではこのような構造を有する乾燥用ユニットをBタイプユニットと呼ぶ。このタイプのユニットを用いる場合は、Aタイプのユニットの場合と同様に、試料を多孔質柔軟シートで囲むか、又は囲まずに、例えば、2枚の多孔質柔軟シートで挟み、2つの上記ユニットで多孔質柔軟シートで囲んだ試料を挟んで用いる。図2にBタイプのユニットを用いて試料を乾燥させる方法を示す。図2においては、試料をキムワイプ、ティッシュ、キッチンペーパー等の紙製の2枚の多孔質柔軟シートで挟み、さらに、その上下に、1枚の段ボール及び2枚のウール若しくはドミット芯を重ねた状態で包んだ紙からなるBタイプのユニットをユニットの外側の紙と試料を挟んだ紙が接触するように置く。
実施例2 長期保存玄米と発芽率
図1に記載のAタイプのユニット又は図2に記載のBタイプのユニットを用い、マイクロ波照射を10秒間行い、石川産コシヒカリ(非農薬処理)の玄米を乾燥させた。乾燥の際に用いた玄米の量は、0.6gであった。
未処理玄米と上記方法により乾燥させた玄米(OK処理玄米)を3年3ヶ月間、チャック付きのチャック付ポリエチレン袋に入れて乾燥剤なしで暗室に室温保存した。その後、玄米を播種し、28日間後に発芽状況を観察した。播種28日後の発芽の状態を図4に示す。
未処理玄米の発芽率は20%であり、OK処理玄米(A-10秒)の発芽率は50%、OK処理玄米(B-10秒)の発芽率は90%といずれも未処理玄米より高かった。また、未処理玄米では成長が悪く、早期にカビが生えて枯れてしまったが、OK処理玄米では、成長が良く、カビも生え難かった。
図5に各玄米の芽及び根の長さを示す。
未処理玄米の芽の平均は0.29cm、OK処理玄米(A-10秒)の芽の平均は1.635cm、OK処理玄米(B-10秒)の芽の平均は1.735cmであった(n=20)。
未処理玄米の根の平均は2.0cm、OK処理玄米(A-10秒)の根の平均は5.0cm、OK処理玄米(B-10秒)の根の平均は9.0cmであった(n=20)。
発芽しても未処理玄米は芽と根の成長がかなり悪く、それに対して特にOK処理玄米(B-10秒)は発芽してからの成長も良かった。
さらに、未処理玄米はかなりカビの発生もみられたが、OK処理した玄米はカビの発生は僅かであった(n=20)。
この結果よりOK処理した水稲は、耐病性があり、発芽率が高く寿命の長い種子で、品質保持などの条件が揃った実用品種になる可能性が非常に高いことがわかった。
実施例3 収穫後籾と発芽率
収穫後の籾を使用してOK処理法により乾燥した種子、OK処理に用いる乾燥ユニットを用いずに直接マイクロ波照射した種子及び未処理種子を比較した。籾としては、福島産コシヒカリ(非農薬処理)を用いた。
乾燥した籾と未処理籾を乾燥処理1日後に播種し、28日後に観察した。
図6は、芽と根の状態を示す。未処理籾及び直接マイクロ波照射した籾と比較してOK処理により乾燥したものの芽及び根の成長は変わらないか、むしろ良かった。この結果は、OK処理による乾燥は、種子の発芽に悪い影響を与えないことを示す。
実施例4 玄米表面のツヤの保存性
玄米の劣化を確認する手段の一つに表面のツヤがある。石川産コシヒカリ(非農薬処理)について、OK処理法により乾燥した玄米及び未処理玄米のツヤを比較した。OK処理法により乾燥した玄米のほうがツヤと透明度に優れている。
実施例1及び2の結果より、OK処理法により乾燥した種子は、未処理種子に比べ、耐病性があり、発芽率が高く、寿命が長かった。実施例3の結果より、OK処理法により乾燥した種子は、常温で長期保存が可能で色・組織が保存前と同等であり、有用成分保存を残せる可能性が非常に高く、かつ発芽能が高い。
1 試料
2 多孔質柔軟シート
3 透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料
4 乾燥剤
5 透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料(3とは異なる種類)

Claims (5)

  1. 種子を吸湿性の多孔質柔軟シートで囲むか又は囲まずに、種子を吸湿性の多孔質柔軟シートで囲む場合には、該多孔質柔軟シートの外周を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、種子を吸湿性の多孔質柔軟シートで囲まない場合には、種子を乾燥剤及び/又は透湿性、吸湿性及び耐熱性を有する多孔性材料で囲み、マイクロ波を照射することにより、マイクロ波を照射していない種子に比べ、常温で1年以上保存した後の種子の発芽率を向上させ、かつ発芽後の芽及び根の伸長速度を向上させる方法。
  2. 発芽率が、常温で保存した後も90%以上となる、請求項1記載の方法。
  3. さらに、芽及び根が高い耐病性を有するようになる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 種子が穀類の種子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 穀類がイネである、請求項4記載の方法。
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