JP2024018697A - 蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法 - Google Patents

蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2種類の異なる加熱手段を用い、蒸熱処理の品質確保と、蒸熱処理のコスト低減を同時に図ることを可能とする、蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法を提供する。【解決手段】蒸熱処理装置は、箱形のケーシング10の内部に蒸気流発生室11と処理室12を備え、処理室内に蒸熱処理対象物を配置し、加湿手段23および加熱手段により蒸気流発生室で蒸気流を発生させ、下部連通口24から処理室の下部に供給し、処理室内に配置した蒸熱処理対象物を蒸熱処理する。加熱手段として、温水方式の第1加熱器19と、電気式の第2加熱器20を用い、計測手段34により、処理室内の庫内温度を計測し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期は第1加熱器19のみを用いて処理を行い、所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は第2加熱器20を用いて処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸熱処理装置に関するもので、特に2種類の異なる加熱手段を用いて蒸熱処理を制御するハイブリッド制御方法に関する。
甘藷(さつまいも)は、重要作物として全国各地で栽培されており、食用として古くから普及し、また、でんぷんや焼酎の原料として広く利用されている。主要産地は鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県などで、なかでも鹿児島県は甘藷の生育に適したシラス台地が広がり、全国生産量の約4割を占める生産地となっている。
ところが、最近、沖縄県、鹿児島県、宮崎県で甘藷に対する基腐(もとぐされ)病の発生が確認され、その後、全国各地でも発生が確認されている。甘藷に対する基腐病は糸状菌によって引き起こされており、この病気が発生すると、葉が変色して生育不良となり、根元が黒変して腐敗する。また、地下に生育する甘藷も成り口から変色する。このため、基腐病の発生は、甘藷の収量の大幅減少、でんぷんや焼酎などの原料不足という問題を起こし、甘藷の基腐れ病対策は喫緊の課題とされていた。
本出願人は、先に、飽和蒸気と熱を使って低温(43℃)で青果物を蒸熱処理し、青果物に付着するミカンコミバエやウリミバエを殺虫する装置(特許文献1)、青果物の表面に発生する細菌類を高温(50℃以上)の蒸気熱で殺菌処理し、病気の発生を抑制する装置(特許文献2)を提案しており、同装置が甘藷の基腐病対策に有効であることを見出したことから、甘藷を蒸熱処理するための蒸熱処理装置(特許文献3)についても提案を行った。
特公昭61-1094号公報 実用新案登録第3153127号公報 実用新案登録第3236140号公報
特許文献1~3の装置は、蒸熱処理の熱源に電気ヒーターを用いており、電気ヒーターは細かい温度制御を可能とする利点があるが、容量の大きな契約が必要という課題がある。一方、工場やプラント設備から温排水が排出されており、一部の分野で有効活用が見られるものの、環境保護の観点から、温排水の拡大利用が長年の課題とされてきた。本出願人は、蒸熱処理の熱源として温水の利用に着目し、蒸熱処理のファジーな温度域では温水を利用し、蒸熱処理のシビアな温度域では電気ヒーターを用いること、すなわち2つの異なる熱源を用いることで、上記の2つの課題を同時に解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記課題に鑑みて提案されたもので、2種類の異なる加熱手段を用い、蒸熱処理の品質確保と、蒸熱処理のコスト低減を同時に図ることを可能とする、蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明に係る蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法は、
箱形のケーシングの内部に蒸気流発生室と処理室を備え、処理室内に蒸熱処理対象物を配置し、加湿手段および加熱手段により蒸気流発生室で発生させた蒸気流を、下部連通口から処理室の下部に供給し、処理室を上向きに通過させて上部連通口から蒸気流発生室に戻すように循環させ、処理室内に配置した蒸熱処理対象物を蒸熱処理する蒸熱処理装置において、
前記加熱手段として、温水方式の第1加熱手段と、電気式の第2加熱手段を備え、計測手段により、処理室内の庫内温度を計測し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期は前記第1加熱手段のみを用いて処理を行い、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は前記第2加熱手段を用いて処理を行うことを主要な特徴とする。
本発明に係る蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法は、
蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期はファジー制御域であり、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は精密制御域であることを第2の特徴とする。
本発明に係る蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法は、
制御手段を備え、当該制御手段は、前記計測手段からの温度信号に基づき、前記第1加熱手段に温水を供給する流量調整弁の流量をPID制御し、前記第2加熱手段の熱源をPID制御することを第3の特徴とする。
本発明に係る蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法は、
処理室内の庫内温度が前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後は、前記第2加熱手段のみを用いることを第4の特徴とする。
本発明に係る蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法は、
処理室内の庫内温度が前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後は、前記第2加熱手段を主熱源として、前記第1加熱手段を補助熱源として併用することを第5の特徴とする。
本発明に係る蒸熱処理装置は、
箱形のケーシングの内部に蒸気流発生室と処理室を備え、処理室内に蒸熱処理対象物を配置し、加湿手段および加熱手段により蒸気流発生室で発生させた蒸気流を、下部連通口から処理室の下部に供給し、処理室を上向きに通過させて上部連通口から蒸気流発生室に戻すように循環させ、処理室内に配置した蒸熱処理対象物を蒸熱処理する蒸熱処理装置において、
前記加熱手段として、温水方式の第1加熱手段と、電気式の第2加熱手段を備え、計測手段により、処理室内の庫内温度を計測し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期は前記第1加熱手段のみを用いて処理を行い、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は前記第2加熱手段を用いて処理を行うように構成され、
前記蒸気流発生室内に、送風機と、前記第1加熱手段と、前記第2加熱手段を備えることを主要な特徴とする。
以上説明したように、本発明によると、熱源として温水方式の第1加熱手段と電気式の第2加熱手段を用い、処理開始後のファジーな制御域となる第1期は温水方式の第1加熱手段を用い、蒸熱処理温度に近い温度から蒸熱処理温度の精密な制御域となる第2期は電気式の第2加熱手段を用いることにより、蒸熱処理を高い品質に保持しながら、蒸熱処理のコストの大幅低減を図ることができるという優れた効果を奏する。
また、工場やプラントから排出される高温の温排水や地熱により温められる高温の地下水を蒸熱処理の熱源に有効活用することができるという優れた省エネ効果を奏する。
本発明の実施形態に係る蒸熱処理装置の縦断面図、 図1の蒸熱処理装置の正面図、 図1の蒸熱処理装置の平面図、 甘藷入り収納容器を積み重ねた状態を示す図で、(A)は側面図、(B)は平面図、 図1の蒸熱処理装置の作用を示す断面図、 蒸熱処理のハイブリッド制御プログラムを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1ないし図3は本発明の実施形態に係る蒸熱処理装置を示す図で、符号Sは蒸熱処理装置を示している。
蒸熱処理装置Sは、蒸気と熱を利用して果物や園芸作物、芋類などの処理対象物を蒸熱処理する装置であり、本実施形態では、甘藷を処理対象物とし、甘藷に感染した基腐病菌を殺菌、消毒する装置として用いる例を示している。
蒸熱処理装置Sは、図1に示すように、箱形のケーシング10の内部に蒸気流発生室11と処理室12を備えている。蒸気流発生室11と処理室12は仕切り板13によって左右に仕切られている。
ケーシング10は、全体が箱形形状をしており、天板パネル10Aと、左右の側板パネル10Bと、底板パネル10Cと、前板パネル10Dと、背板パネル10Eを備えている。前面には、図2に示すように、処理室12の開口部を密閉する気密扉14と、点検扉15が設けられている。ケーシング10は、内面に断熱パネルが取付けられ、断熱構造とされている。底板パネル10Cには、フォークリフトの爪を差し入れてケーシング10を床面Gから持ち上げ、ケーシング10を移載可能とする一対の差込口16,16が設けられている。
蒸気流発生室11は、ケーシング10内を循環する蒸気流を発生させる差圧室で、上面に蒸熱処理後に開口される吸気口17が設けられている。蒸気流発生室11の内部には、送風機(差圧ファン)18と温水方式の第1加熱器(温水コイル)19と電気式の第2加熱器(電気ヒーター)20が、第1加熱器19を下側および第2加熱器20を上側にして上下に配置されている。図示例は、送風機18の直下に第1加熱器19と第2加熱器20が配置されているが、第1加熱器19と第2加熱器20は上下反対に配置されてもよい。
第1加熱器19は、温水コイルから構成されており、主に第1期のファジー制御域に用いられる。第1加熱器19は、箱型のケーシング19Aの内部に配置されており、送風機18によりケーシング内に送られた空気流を、熱交換部(コイル部)において加熱する。熱交換部(コイル部)には外部から配管21Aを通して温水が供給され、熱交換後、冷却水が配管21Bを通して外部に送られる。熱交換部には熱交換率を上げるフィンが取り付けられている。
上記第1加熱器19に温水を供給する配管21Aは、図3に示すように、配管21Aの途中に切替弁(三方弁)22が設けられており、切替弁22の切替により、第1加熱器19の熱交換部に向かう温水をバイパス管21Cに経由させ、バイパス管21Cから配管21Bに排水することができる。第2加熱器20のみ作動させる場合は、配管21Aを流れる温水をバイパス管21Cに迂回させる。切替弁22の操作は、後述する制御装置40によってPID制御される。
第2加熱器20は、電気ヒーター(シーズヒーター、セラミックヒーターなど)から構成されており、主に第2期の精密制御域に用いられる。第2加熱器20は、箱型のケーシング20Aの内部に配置されており、送風機18によりケーシング内に送られた空気流を、熱交換部(電熱線)において加熱する。熱交換部には熱交換率を上げるフィンが取付けられている。第2加熱器20は、後述する制御装置40によって熱交換部における熱源がPID制御される。
飽和蒸気の生成に用いる加湿器23は、本実施形態では処理室12の上部に配置されるが、蒸気流発生室11の上部または下部に配置してもよい。
蒸気流発生室11は、下部連通口24を通じて処理室12の直下の下部連通空間25と繋がっており、送風機18の作動により、蒸気流発生室11内の蒸気流は、下部連通口24を通じて下部連通空間25に引き込まれ、下部連通空間25から直上の処理室12内に上昇するようになっている。
処理室12は、下部連通空間25から上昇する蒸気流により、処理室12内に多段および多数列配置された収納容器1内の甘藷2を蒸熱処理するところで、前面に前記気密扉14により開閉される開口部26を備えている。処理室12の下部には、支持体27の上に開口部26から奥方に延びる一対の搬送レール(ローラコンベア)28,28が内側面寄りに配置され、それらは左右の支持部材29により固定支持されている。
処理室12は、上部連通口30を通じて蒸気流発生室11と繋がっており、処理室12内を上昇する蒸気流は、送風機18の作動により、処理室12の上部空間から上部連通口30を通じて蒸気流発生室11に引き込まれ、戻るようになっている。上部連通口30には開閉ダンパ31が配置されている。開閉ダンパ31は、図示しないモータにより回動され、制御装置40により、蒸熱処理中は、上部連通口30を開口しかつ吸気口17を閉じ、蒸熱処理後は上部連通口30を閉じかつ吸気口17を開くようになっている。
処理室12の上部空間には、排気口32が設けられ、排気口32は、蒸熱処理後に吸気口17から外気が導入されると開口し、処理室12内の蒸気を速やかに排出するようになっている。また、処理室12の上部空間には、飽和蒸気の生成に用いる加湿器23が配置されている。加湿器23は配管33がケーシング10外面に延びており、コンプレッサ41の動力で霧状の水分が処理室12の上部空間から上部連通口30を介して蒸気流発生室11の上部空間に向けて噴霧されるようになっている。
蒸気流発生室11の下部で下部連通口24付近(図示例では下部連通空間25の内部)に、処理室12内に導入される蒸気流の温度・湿度を計測する温湿度計測器34が配置されている。温湿度計測器34は、乾球温度と湿球温度を計測できる乾湿計からなり、発生した蒸気流の温度(乾球温度)と湿度(乾球温度と湿球温度の差から算出される)を計測する。
また、処理室12には、処理室12内に配置された収納容器1内の甘藷2の内部温度を測定する内部温度計測器35が配置されている。この内部温度計測器35は、甘藷2の内部に差し込まれる針状の温度センサーであり、制御装置40に温度信号を送信する。
ケーシング10には、制御装置40が設置されている。制御装置40は、操作パネルからの入力操作により、送風機18、第1加熱器(温水コイル)19の切替弁22の切替操作、第2加熱器(電気ヒーター)20のPID制御、加湿器23、コンプレッサ41のオンオフ、出力調整、タイマー運転、開閉ダンパ31の開閉について、制御を行う。
また、制御装置40は、温湿度計測器34、内部温度計測器35からの信号により、上記の機器の制御を行い、ケーシング10内を循環する蒸気流(処理室12内を上昇する蒸気流)の温度・湿度を設定状態に維持する。制御装置40には、処理対象物ごとに蒸熱処理プログラムを設定しておき、これら蒸熱処理プログラムに従い、蒸熱処理を実行させることができる。図6に蒸熱処理プログラムの例を示す。
甘藷2を収納する収納容器1は、図4に示すように、上面が開口し、各側面および底面にメッシュ状の多数の通気孔3が設けられている。この収納容器1は、甘藷2の収穫に用いる軽量プラスチック製からなるメッシュ状の収穫コンテナ、農業用コンテナをそのまま用いることができる。
図4(A)は、パレット4の上に、甘藷2を収納した収納容器1を多段および多数列に並べた状態を示しており、図4(B)は、それら多数個の収納容器1を平面視した状態を示している。多数個の収納容器1の周囲は、上下面を除き、全体を可撓性のあるカバーシートで覆ってよい。パレット4は、軽量な樹脂製のメッシュ状のもので、上記流が上下に通過可能なように上下面に多数の通気孔が形成されている。
次に、上記構成の蒸熱処理装置Sを用いて、甘藷を蒸熱処理(殺菌処理)する手順について、図5および図6等を参照しながら、説明する。
図6を参照し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度(45℃)に達するまでの第1期(ファジー制御域)は第1加熱器19のみを用い、所定温度(45℃)を超えて蒸熱処理温度(48℃)に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後は第2加熱器20を用いて、処理を行う。
まず、気密扉14を開けて、常温で多段および多数列の甘藷2入り収納容器1(図4(A)参照)を載せたパレット4を開口部26から搬送レール28上に載せて処理室12内に搬入する。
次に、図2のように気密扉14を閉じてケーシング10の庫内を密閉し、制御装置40の操作パネルを操作し、送風機18、第1加熱器(温水コイル)19、加湿器23を順次作動させ、ケーシング10の庫内を処理時間(所要時間)とともに所定の温度・湿度条件に設定する。本実施形態において、庫内の湿度は95%以上(97%)、庫内の温度は開始温度を31℃、所定温度を(加熱源の切替温度)45℃、蒸熱処理温度を48℃に設定する。
プログラムに従い、制御装置40からの指令により、切替弁22が開かれると、配管21Aから温水(50~90℃)が第1加熱器(温水コイル)19に供給され、送風機18により下向きに送られる空気流を加温する。これにより、ケーシング10の庫内温度が常温から31℃に上昇する(所要時間0~1時間)。
(順化処理)
順化処理は、庫内湿度が95%以上に維持された状態で、庫内温度を図6の31℃から41℃まで一定の上昇率で上昇させる(所要時間3~4時間)。順化処理は、甘藷2に対し、直ちに蒸熱処理(48℃)を行うと、甘藷2に障害(ダメージ)が発生することがあるので、これを防ぐため、蒸熱処理を行う前段階として甘藷2の温度を徐々に上げるようにする。
制御装置40は、温湿度計測器34からの温度(乾球温度)信号を受けて、一定時間(3~4時間)かけて庫内温度が31℃から41℃までゆっくり上昇するように、PID制御により切替弁22を開度操作し、配管21Aから第1加熱器(温水コイル)19に供給される温水量をコントロールする。温水温度は利用する温排水や地熱によって50~90℃の幅がある。この期間の制御は、庫内温度をゆっくり上昇させるため、後述の移行処理の前半期間を含め、第1加熱器(温水コイル)19によるファジー制御が適している。
(移行処理)
次に、庫内温度が41℃から蒸熱処理温度の48℃に上がるまで一定時間(所要時間0.5~1時間)かけて移行処理を行う。庫内温度が45℃に達すると、制御装置40が、加熱源を第1加熱器(温水コイル)19から、第2加熱器(電気ヒーター)20に切り替える。
制御装置40は、庫内温度が45℃に達すると、切替弁22の操作により、配管21Aから流れる温水を、バイパス管21Cを経由して配管21Bに戻し、第2加熱器(電気ヒーター)20を作動(オン)させる。第2加熱器(電気ヒーター)20の作動により、庫内温度は所要時間(0.5~1時間)の残りの時間をかけて48℃に達する。
第2加熱器(電気ヒーター)20は、細かいPID制御により庫内温度を細かくコントロールできるので、庫内温度が45℃から48℃に達するとき、また、庫内温度が48℃に達した後も、温度が大きくオーバーシュートすることがなく、庫内温度を48℃付近に安定して維持することができる。
(蒸熱処理)
庫内湿度が95%以上に維持された状態で、第2加熱器(電気ヒーター)20の作動および制御により、庫内温度を48℃に維持し、甘藷2の内部温度(芯温度)が47℃に達したら、甘藷2の温度を47~48℃を維持し、一定時間蒸熱処理を行う(所要時間2~3.5時間)。ここで、甘藷2の内部温度は最上段の収納容器1内の甘藷2の内部温度を測定する。種芋の場合、順化処理と蒸熱処理の合計の所要時間は上記より短く、例えば40分間に設定する。順化処理と蒸熱処理の合計の所要時間は、消毒の効果と甘藷への障害を検証し、時間を短くすることもできる。一定時間経過後、第2加熱器(電気ヒーター)20の作動をオフする。
蒸熱処理期間は、庫内温度を48℃付近に安定して維持させる必要があるため、前述の移行処理の後半期間を含め、第2加熱器(電気ヒーター)20による精密制御が適している。
図5を参照し、順化処理から蒸熱処理時間中、蒸気流は、矢印のように、蒸気流発生室11から下部連通口24を通り処理室12の下部連通空間25に移動し、下部連通空間25から上昇し、最下段の収納容器1の内部から最上段の収納容器1の内部を通過し、処理室12の上部空間に移動し、上部空間から上部連通口30を通り、蒸気流発生室11に環流する。蒸気流発生室11で発生した蒸気流は、処理室12との間で循環し、処理室12内に配置された各収納容器1内の甘藷2の蒸熱処理を行い、甘藷2に侵入した基腐菌を殺菌処理する。
多段かつ多列に並べられた収納容器1の周囲は、上下面を除き、カバーシートで覆うと、最下段の収納容器1に下から導入された蒸気流が、側方に抜けることなく、最上段の収納容器1まで無駄なく内部を通過し、上方に抜けるようになる。本蒸熱処理装置Sは差圧方式と呼ばれる通風方法で差圧を利用して強制的に空気の流れを作っているから、各収納容器1内の甘藷2と甘藷2の間のすべての隙間に蒸熱が通過し、すべての甘藷2にむらなく蒸熱が作用する。
(後処理)
蒸熱処理が終了したら、甘藷2の芯温度を下げる後処理を行う。第2加熱器20(電気ヒーター)の作動停止後、気密扉14を閉めたまま、開閉ダンパ31を反時計回りに回動させ、吸気口17を開口しかつ上部連通口30を閉じる。
制御装置40は、送風機18の作動を継続して、吸気口17から外気を蒸気流発生室11内に導入し、蒸気流発生室11内および処理室12内の高温の蒸気流は排気口32から強制的に排出される。また、蒸気流発生室11内に導入された外気は下部連通口24から処理室12内に入り、各収納容器1内の甘藷2を冷やしながら、排気口32を開いて外部に排気される。各甘藷2の芯温度を下げる後処理は約1時間かけて行う。
後処理終了後、気密扉14を開けて、蒸熱処理後の甘藷2入り収納容器1をパレット4ごと搬出する。このようにして、1回目の甘藷の蒸熱処理が終了し、ケーシング10の庫内温度が低下したら、処理前の甘藷2入り収納容器1を載せた2回目のパレットを搬入して、再び、気密扉14を閉めて庫内を密閉し、ケーシング10の庫内を最初の設定条件(湿度95%以上、温度31℃)に戻し、2回目以降の甘藷の蒸熱処理を上記の手順で行う。
本実施形態によると、第1期(開始温度から蒸熱処理温度前の所定温度(45℃)に達するまで)のファジーな(アバウトな)制御域は、第1加熱器(温水コイル)19を用い、第2期(所定温度(45℃)から蒸熱処理温度(48℃)に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後)の精密な制御域は、第2加熱器(電気ヒーター)20を用いることで、それぞれの加熱器の制御特性を活かしながら、甘藷を高い品質で蒸熱処理することが可能となり、本装置Sを用いることにより、甘藷2の基腐病菌を効果的に殺菌することができる。
また、本装置Sによると、蒸熱処理を行うための熱源に温水を利用することで、蒸熱処理コストを下げることができる。温水としては、工場やプラント、発電所やごみ焼却場から排出される温排水、地熱により温められた地下水などを有効利用することができ、省エネ効果に優れる。
上記実施形態では、精密制御域では、第2加熱器20のみを用いることとしたが、第2加熱器20を主熱源に、第1加熱器19を補助熱源として併用してもよい。
以上説明したように、本発明によると、処理室内に甘藷を収納した収納容器を多段かつ多数列に配置し、蒸気を循環させて、甘藷を蒸熱処理することができ、甘藷に侵入した基腐病菌を効率よく殺菌することができる。
本発明で蒸熱処理可能な対象物は、甘藷の他、果実、園芸作物、芋類などが可能である。甘藷は、種芋、生食用、でんぷん原料用、焼酎原料用など、用途および品種を問わない。いずれの甘藷に対しても基腐病対策に好適である。殺虫目的や検疫目的に使用することができる。
本発明は、蒸熱処理装置における蒸熱処理制御方法として、また、殺虫目的や検疫目的の処理制御方法としても利用可能である。
1 収納容器
2 甘藷
3 通気孔
4 パレット
10,19A,20A ケーシング
10A 天板パネル
10B 側板パネル
10C 底板パネル
10D 前板パネル
10E 背板パネル
11 蒸気流発生室
12 処理室
13 仕切り板
14 気密扉
15 点検扉
16 差込口
17 吸気口
18 送風機(差圧ファン)
19 第1加熱器(温水コイル)
20 第2加熱器(電気ヒーター)
21A,21B,33 配管
21C バイパス管
22 切替弁
23 加湿器
24 下部連通口
25 下部連通空間
26 開口部
27 支持体
28 搬送レール
29 支持部材
30 上部連通口
31 開閉ダンパ
32 排気口
34 温湿度計測器(計測手段)
35 内部温度計測器
40 制御装置(制御手段)
41 コンプレッサ
S 蒸熱処理装置

Claims (6)

  1. 箱形のケーシングの内部に蒸気流発生室と処理室を備え、処理室内に蒸熱処理対象物を配置し、加湿手段および加熱手段により蒸気流発生室で発生させた蒸気流を、下部連通口から処理室の下部に供給し、処理室を上向きに通過させて上部連通口から蒸気流発生室に戻すように循環させ、処理室内に配置した蒸熱処理対象物を蒸熱処理する蒸熱処理装置において、
    前記加熱手段として、温水方式の第1加熱手段と、電気式の第2加熱手段を備え、計測手段により、処理室内の庫内温度を計測し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期は前記第1加熱手段のみを用いて処理を行い、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は前記第2加熱手段を用いて処理を行うことを特徴とする、蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法。
  2. 蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期はファジー制御域であり、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は精密制御域であることを特徴とする、請求項1記載の蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法。
  3. 制御手段を備え、当該制御手段は、前記計測手段からの温度信号に基づき、前記第1加熱手段に温水を供給する流量調整弁の流量をPID制御し、前記第2加熱手段の熱源をPID制御することを特徴とする請求項1記載の蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法。
  4. 処理室内の庫内温度が前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は、前記第2加熱手段のみを用いることを特徴とする請求項1記載の蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法。
  5. 処理室内の庫内温度が前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は、前記第2加熱手段を主熱源として、前記第1加熱手段を補助熱源として併用することを特徴とする請求項1記載の蒸熱処理装置における蒸熱処理ハイブリッド制御方法。
  6. 箱形のケーシングの内部に蒸気流発生室と処理室を備え、処理室内に蒸熱処理対象物を配置し、加湿手段および加熱手段により蒸気流発生室で発生させた蒸気流を、下部連通口から処理室の下部に供給し、処理室を上向きに通過させて上部連通口から蒸気流発生室に戻すように循環させ、処理室内に配置した蒸熱処理対象物を蒸熱処理する蒸熱処理装置において、
    前記加熱手段として、温水方式の第1加熱手段と、電気式の第2加熱手段を備え、計測手段により、処理室内の庫内温度を計測し、蒸熱処理開始後、蒸熱処理前の所定温度に達するまでの第1期は前記第1加熱手段のみを用いて処理を行い、前記所定温度を超えて蒸熱処理温度に達するまでおよび蒸熱処理温度に達した後の第2期は前記第2加熱手段を用いて処理を行うように構成され、
    前記蒸気流発生室内に、送風機と、前記第1加熱手段と、前記第2加熱手段を備えることを特徴とする蒸熱処理装置。
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