JP3642760B2 - プーアール茶およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プーアール茶およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プーアール茶は、その製造過程において、酸化による醗酵を止めた後、水分の残ったままの茶葉を堆積し高温多湿の場所で放置する。この堆積中に空気中の細菌(黒麹菌)などが茶葉に付着することにより、その細菌による醗酵が起こり、茶葉は黒くなる。このためプーアール茶は黒茶ともいわれる。
【0003】
このプーアール茶には、コレステロールや中性脂肪を低下させる効果があり、また糖尿病に対しても効果があると言われているため、健康茶として大変注目を集めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプーアール茶には、独特のカビ臭さがある。この匂いは、前述の細菌醗酵によるものだと考えられる。このため前記のような利点があるにも拘わらずプーアール茶を敬遠する人もいる。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、カビ臭さをなくすことを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するためになされた本発明の請求項1に記載のプーアール茶は、少なくとも堆積醗酵された茶葉を、高圧蒸気の中に入れることにより殺菌し、乾燥させた柚子を加えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のプーアール茶において、前記柚子が、フリーズドライされたものであることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載のプーアール茶において、前記高圧蒸気の圧力が、ゲージ圧にして39.2kPa〜245kPaであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項1ないし3の何れかに記載のプーアール茶において、前記殺菌を受けた茶葉および前記柚子を、三角錐状のティーバッグに入れたことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、少なくとも堆積醗酵された茶葉を、高圧蒸気の中に入れることにより殺菌し、前記柚子を加えることを特徴とするプーアール茶の製造方法をその要旨とする。
【0009】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載のプーアール茶の製造方法において、柚子をフリーズドライした後、前記殺菌した茶葉に加えることを特徴とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項5または6に記載のプーアール茶の製造方法において、前記高圧蒸気の圧力が、ゲージ圧にして39.2kPa〜245kPaであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載のプーアール茶は、茶葉を高圧蒸気の中に入れることにより殺菌している。こうすると、茶葉に残っている菌類がほとんど死滅し、プーアール茶特有のカビ臭さが解消される。そして乾燥させた柚子を加えたことにより、柚子の風味や香りをも楽しむことができ、非常に飲み易くなる。なお、茶葉に添加する柚子の部位は、果皮を含む果実全体が対象となる。この中から適宜、特定の部位(例えば、果皮)のみを茶葉に加えても良い。
【0011】
そして柚子を、請求項2に記載のようにフリーズドライされたものにすると、柚子の品質を安定させ、ひいてはプーアール茶の品質を安定させることができる。
また高圧蒸気の圧力は、請求項3に記載のようにゲージ圧にして(つまり大気圧に加えて)39.2kPa〜245kPaにするとよい。39.2kPa以下では殺菌効果が不十分であるなどの理由によりカビ臭さや雑味が残る。また245kPa以上だと茶葉が変質を起こしたり焼けこげ臭が発生したりする。なお殺菌時間は10秒程度でよい。
【0012】
こうして殺菌したプーアール茶は、そのまま茶こしを用いて抽出しても良いし、紅茶によく用いられる長方形のティーバッグに入れても良い。また請求項4のようにしてもよい。すなわち請求項4に記載の本発明は、殺菌された茶葉及び柚子を三角錐状のティーバッグに入れたものである。こうすると、ティーバッグの内容積を大きくとれるのでプーアール茶の香味をよく抽出することができる。また三角錐状の形状は容易に作ることができるので、製造も楽である。なおティーバッグの材料としては、ナイロン紗、紙、不織布など抽出液が充分にバッグ外に出るものであればなんでも良い。
【0013】
なお、請求項5、6、7に記載のプーアール茶の製造方法は、それぞれ請求項1、2、3に記載のプーアール茶を製造する方法に対応しており、それぞれ対応するプーアール茶に対応する効果を奏する。
【0014】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず、図1は本発明を適用したプーアール茶の茶葉1をパッケージしたものを示すものである。パッケージ3a、3bは、ナイロン紗5を1辺約7cmの三角錐状に形成し、その中に殺菌済みの茶葉1を入れたものである。これらは内容積が大きいのでプーアール茶の香味をよく抽出することができる。また三角錐状の形状は容易に作ることができるので、製造も楽である。なおパッケージ3bにはタグ7が付いている。またパッケージ3a、3bは、急須に入れて熱湯を注ぐことにより1つで2〜3人分のプーアール茶を抽出することができる。出荷の際には更に1つずつ袋に入れられ、真空密閉される。
【0015】
この茶葉1は、図2に示す圧力缶体11に入れられるよって殺菌されたものである。圧力缶体11には、スーパーヒートされた高圧蒸気が3ヵ所から供給されており、投入口13から連続的に入れられた茶葉1は、圧力缶体11の内部で撹拌されつつ殺菌され、連続的に取出口15から取り出される。なお、高圧蒸気は、ゲージ圧にして39.2kPa〜245kPaとなっており、茶葉1は投入されてから取り出されるまで10秒となっている。また、このような茶葉1の連続投入および連続取り出しを可能にするために、投入口13、取出口15にはバタフライ弁が2枚ずつ設置されている。そしてバタフライ弁の上部にはそれぞれホッパ機能が設けられており、バタフライ弁に直接、茶葉1が貯留しないようにされている。なお取り出された茶葉1は、更に乾燥、冷却という工程を経てパッケージ3a、3bに入れられる。
【0016】
殺菌の効果について[表1]に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
この表から明らかなように、殺菌前に存在していた生菌、大腸菌、真菌などの数が、圧力缶体11に茶葉1を通すことにより激減している。この結果、カビ臭さが解消される。こうして殺菌された茶葉に、フリーズドライされた柚子を加える。すると、プーアール茶が一層飲み易いものとなる。
【0019】
以上、本発明を適用した実施例として、プーアール茶およびその製造方法について説明してきたが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく様々な態様で実施しうる。例えば、茶葉1と柚子を三角錐状のパッケージに入れたが、紅茶のような長方形のティーバッグに入れてもよい。こうするとバッグの容積がパッケージ3a、3bよりも小さいため香味の点で不利だが、圧力缶体11による殺菌を受けていることによりカビ臭さはないものとなる。またパッケージ3a、3bの材質を代えても良い。茶葉1の抽出液がバッグ外に出ることができれば任意の材料を用いることができる。
【0020】
また柚子は、フリーズドライ以外の方法で乾燥されたもの以外のものを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したプーアール茶を入れたパッケージ3a、3bの説明図である。
【図2】 茶葉1の殺菌に用いた圧力缶体11の説明図である。
【符号の説明】
1…茶葉 3a、3b…パッケージ
5…ナイロン紗 7…タグ
11…圧力缶体 13…投入口
15…取出口
Claims (7)
- 少なくとも堆積醗酵された茶葉を、高圧蒸気の中に入れることにより殺菌し、
乾燥させた柚子を加えたこと
を特徴とするプーアール茶。 - 前記柚子が、フリーズドライされたものである
ことを特徴とする請求項1に記載のプーアール茶。 - 前記高圧蒸気の圧力が、ゲージ圧にして39.2kPa〜245kPa
であることを特徴とする請求項1または2に記載のプーアール茶。 - 前記殺菌を受けた茶葉および前記柚子を、三角錐状のティーバッグに入れた
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のプーアール茶。 - 少なくとも堆積醗酵された茶葉を、高圧蒸気の中に入れることにより殺菌し、前記柚子を加えることを特徴とするプーアール茶の製造方法。
- 柚子をフリーズドライした後、前記殺菌した茶葉に加える
ことを特徴とする請求項5に記載のプーアール茶の製造方法。 - 前記高圧蒸気の圧力が、ゲージ圧にして39.2kPa〜245kPa
であることを特徴とする請求項5または6に記載のプーアール茶の製造方法。
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