JP5621052B2 - クロマトグラフィー装置の特徴決定 - Google Patents

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Description

本明細書において報告する方法は、クロマトグラフィーの分野、特に調製用カラムクロマトグラフィーの分野におけるものである。本明細書において、クロマトグラフィーカラムの充填物の品質をインプロセスデータに基づいて直接決定する方法を報告する。本方法によって、カラムの完全性を決定する目的のみのためにさらなるデータを取得することを除外できるため、プロセス時間および資源の節約を達成することができる。
発明の背景
今日、薬剤に使用されるほぼすべてのポリペプチドは組み換えで調製される。厳しい規制指針および要求のため、副産物は治療用ポリペプチド調製物からできる限り除去されなければならない。従って、組み換え生産後の大量の未処理ポリペプチドの下流処理において、少なくとも1つのクロマトグラフィー段階が使用される。発酵プロセスでの収量に対し、クロマトグラフィー装置の大きさ、特にクロマトグラフィーカラムの分離能力が限定的である場合、必要量の精製された治療用ポリペプチドを提供することができるように、多くのバッチを処理する必要がある。
各バッチの精製された治療用ポリペプチドが同一の薬学的作用を有することを保証するために、各バッチについて分析パラメータのリストが満たされなければならない。精製プロセスにおける複数の段階がばらつきなく効率的に作動する場合にのみ、これが達成され得る。しかし、精製プロセスにおける1つの段階が適切に働かない場合、取得された産物はほぼ確実に分析試験を通らないと考えられ、最悪の状況においてこのバッチは使用できない。従って、精製段階の性能および効力を決定する方法を提供することが必要である。
Teeters, M.A. and Quinones-Garcia, I. (J. Chrom. A 1069 (2005) 53-64)(非特許文献1)は、電気伝導度に基づくパルスへの応答およびトレーサー実験由来の段階入力および特に測定された滞留時間分布からのインプロセスでの移行を用いて、プロセススケールのクロマトグラフィーカラムの充填物挙動を評価およびモニタリングすることを報告している。Norlingら(Norling, L., et al. J. Chrom. A 1069 (2005) 79-89)(非特許文献2)は、陰イオン交換クロマトグラフィー媒体を複数回再使用することがウイルス除去へ与える影響を報告している。生産規模のタンパク質精製カラムにおけるクロマトグラフィー性能を評価するためのプロセスデータの使用が、Larsonら(Larson, T.M., et al., Biotechnol. Prog. 19 (2003) 485-492)(非特許文献3)により報告されている。Moscariello, J., et al. J. Chrom. A 908 (2001) 131-141(非特許文献4)は、産業規模のカラムの性能の特徴決定を報告している。クロマトグラフィーにおける分解能およびカラム効率が、Vink, H., J. Chrom. 69 (1972) 237-242(非特許文献5)により報告されている。Sarker, M. and Guiochon, G., J. Chrom. A 702 (1995) 27-44(非特許文献6)は、調製用クロマトグラフィーについての軸圧縮カラムの充填物挙動の研究を報告している。
積分型のガウス分布関数の使用は、充填されたベッドの特徴の説明を可能にするが、潜在的に評定に影響を及ぼす、充填されたベッドそのもの以外の効果を無視している(例えば、PCT/EP2010/003813(特許文献1)を参照されたい)。充填されたクロマトグラフィーベッドの評価中に観察される非ガウス分布の評定における装置の特徴の実施が、Guiochon, G.ら(FUNDAMENTALS OF PREPARATIVE AND NONLINEAR CHROMATOGRAPHY; Guiochon, G., et al. (eds), Elsevier Inc., San Diego (USA), 2nd edition (2006))(非特許文献7)により記載されている。
PCT/EP2010/003813
Teeters, M.A. and Quinones-Garcia, I. J. Chrom. A 1069 (2005) 53-64 Norling, L., et al. J. Chrom. A 1069 (2005) 79-89 Larson, T.M., et al., Biotechnol. Prog. 19 (2003) 485-492 Moscariello, J., et al. J. Chrom. A 908 (2001) 131-141 Vink, H., J. Chrom. 69 (1972) 237-242 Sarker, M. and Guiochon, G., J. Chrom. A 702 (1995) 27-44 FUNDAMENTALS OF PREPARATIVE AND NONLINEAR CHROMATOGRAPHY; Guiochon, G., et al. (eds), Elsevier Inc., San Diego (USA), 2nd edition (2006)
本明細書において報告する方法では、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能および/または充填品質の低下の決定を、カラム材料の完全性の決定のために粗製ポリペプチド溶液の分離に先立ってさらなるトレーサー化合物を使用および注入する必要無く、またはこの精製段階の歴史的データの必要無く確定することができる。
本明細書において報告する方法は、関与する装置の寄与および効果から分離および独立して、充填されたマトリクスのパラメータを決定することを可能にする。これは、別々の物理的効果の区別および/または割当を可能にし、かつ、分析規模および産業規模などの規模とは独立した使用されるクロマトグラフィー装置の包括的な特徴の決定を可能にする。
本明細書において報告する第1の局面は、ポリペプチドの多段階精製プロセスのうちの1つの精製段階において少なくとも2度目の使用をされる再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物について、例えば同一のポリペプチドの同一の多段階精製プロセスのうちの同一の精製段階において1度目の使用をされた時の分離能と比較して、分離能が低下しているか否かを決定する方法であって、以下の段階を含む方法である:
(a)該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
(b)段階(a)において決定された少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)段階(a)において決定された少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階、
(e)段階(d)において算出された差の絶対値が0.1より大きい場合に、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能が低下していると決定する段階、
ここで、式Iの関数は
式I
Figure 0005621052
であり、それぞれシグナル変化を表すパラメータAおよびy0、それぞれ基となるガウス分布関数の平均値であるxc、および標準偏差であるw、ならびに、基となる指数減衰関数の時定数を表すパラメータt0を伴い、かつ
使用されるerf関数は
Figure 0005621052
として定義される。
本明細書において報告する別の局面は、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物での少なくとも1つのクロマトグラフィー段階を含む、クロマトグラフィーによるポリペプチドの精製方法であって、
(a)該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
(b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階
を含み、ここで、式Iの関数は
式I
Figure 0005621052
であり、それぞれシグナル変化を表すパラメータAおよびy0、それぞれ基となるガウス分布関数の平均値であるxc、および標準偏差であるw、ならびに、基となる指数減衰関数の時定数を表すパラメータt0を伴い、かつ
使用されるerf関数は
Figure 0005621052
として定義され、かつ
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06以下である場合、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物をさらに使用する段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06より大きいが0.2より小さい場合、精製されたポリペプチドについてさらなる特徴決定を行う段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.2以上である場合、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を交換する段階
を含む。
1つの態様において、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化は、該移動相に含有される、再使用可能なカラム充填物と相互作用しない物質の濃度の変化によりもたらされる有意なシグナル変化である。別の態様において、実験データを決定する段階は、物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを経時的に決定する段階である。さらなる態様において、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化は、変性剤を含有する溶液100%から該変性剤を含有しない溶液100%への、または該変性剤を含有しない溶液100%から変性剤を含有する溶液100%への移動相の変化である。別の態様において、変性剤は、水酸化ナトリウム、塩化グアニジウム、尿素、または有機溶媒から選択される。1つの態様において、段階(c)は、少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を各実験データ点について決定する段階である。1つの態様において、シグナル変化は、電気伝導度または280 nmでの吸着における変化である。さらなる態様において、イナートな変化はS字形変化である。さらに別の態様において、少なくとも1つの物理化学的パラメータは、コンディショニング段階または再生段階において決定される。
[本発明1001]
ポリペプチドの精製の精製段階において少なくとも2度目の使用をされる再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物について、該ポリペプチドの該精製の該精製段階における分離能が低下しているか否かを決定する方法であって、
(a)少なくとも2度目の使用をされる該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
(b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階、
(e)段階(d)において算出された差の絶対値が0.1より大きい場合に、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能が低下していると決定する段階
を含むことを特徴とし、
ここで、式Iの関数が
式I
Figure 0005621052
であり、使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy 0 )、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(x c 、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t 0 )を伴い、かつ
使用されるerf関数が
Figure 0005621052
として定義される、方法。
[本発明1002]
再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を用いる少なくとも1つのクロマトグラフィー段階を含む、クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製する方法であって、
(a)少なくとも2度目の使用をされる該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
(b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階
を含むことを特徴とし、
ここで、式Iの関数が
式I
Figure 0005621052
であり、使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy 0 )、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(x c 、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t 0 )を伴い、かつ
使用されるerf関数が
Figure 0005621052
として定義され、かつ
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06以下である場合、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物をさらに使用する段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06より大きいが0.2より小さい場合、精製されたポリペプチドの追加的な特徴決定および/もしくは評価を行う段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.2以上である場合、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を交換する段階
を含む、方法。
[本発明1003]
前記再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータの前記イナートな変化が、該移動相における、該再使用可能なカラム充填物と相互作用しない物質の濃度の変化によりもたらされる変化であることを特徴とする、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記イナートな変化が、電気伝導度または280 nmでの吸着における変化であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータの前記イナートな変化が、変性剤を含有する溶液100%から該変性剤を含有しない溶液100%への変化であるか、またはその逆であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記変性剤が、水酸化ナトリウム、塩化グアニジウム、尿素、または有機溶媒から選択されることを特徴とする、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記イナートな変化がS字形変化であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記イナートな変化が経時的な変化であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
発明の詳細な説明
本明細書において、関与する装置の寄与および効果から分離および独立して、充填されたクロマトグラフィー材料マトリクスのパラメータを決定する方法を報告する。これは、クロマトグラフィーでの分離に影響を及ぼす別々の物理的効果の区別および/または割当を可能にし、かつ、分析規模および産業規模などの規模とは独立した使用されるクロマトグラフィー装置の包括的な特徴決定も可能にすることが、見出されている。
本明細書において報告する第1の局面は、ポリペプチドの精製の精製段階において少なくとも2度目の使用をされる再使用可能なカラムクロマトグラフィーカラム充填物について、同一のポリペプチドの同一の精製の同一の精製段階において1度目の使用をされた時の分離能と比較して、分離能が低下しているか否かを決定する方法であって、以下の段階を含む方法である:
(a)イナートな変化を同定する段階、および、クロマトグラフィーカラム充填物の少なくとも1度目の使用の後に、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の、変性剤を含有する溶液100%から該変性剤を含有しない溶液100%へのイナートな変化またはその逆の、物理化学的パラメータの実験データを経時的に決定する段階、
(b)段階(a)において取得された少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階、
(e)段階(d)において算出された差の絶対値が0.06より大きい場合に、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能が低下していると決定する段階、
ここで、式Iの関数は
式I
Figure 0005621052
であり、それぞれシグナル変化を表すパラメータAおよびy0、それぞれ基となるガウス分布関数の平均値であるxc、および標準偏差であるw、ならびに、基となる指数減衰関数の時定数を表すパラメータt0を伴う。さらに、使用されるerf関数は
Figure 0005621052
として定義される。
本明細書において報告する方法で、充填されたクロマトグラフィー材料マトリクスの寄与、およびまた充填されたマトリクスの周囲の装置の寄与が、クロマトグラフィーカラム充填物およびカラムクロマトグラフィー分離の品質を評価するために使用され得ることが、見出されている。
「再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物」という用語は、クロマトグラフィーカラム中に充填されるクロマトグラフィー材料であって、精製後において、改変されていない形態で、すなわち精製前と同一の特徴を有する形態で得られるクロマトグラフィー材料を意味する。精製段階とは、一般に、クロマトグラフィーカラム充填物のコンディショニング、粗製ポリペプチド溶液のアプライ、任意でクロマトグラフィー材料の洗浄、クロマトグラフィーカラム充填物からの精製されたポリペプチドの回収、およびクロマトグラフィーカラム充填物の再生を含むサイクルを意味する。本明細書において報告する局面の1つの態様において、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化は、物理化学的パラメータの、経時的な変化、および/またはクロマトグラフィーカラム充填物のコンディショニング時における変化、および/またはクロマトグラフィーカラム充填物の再生時における変化である。
上記で概要を述べた再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の定義は、精製のすべての個々の段階が完全に可逆的であることを要求する。しかしこれは現実的ではない。精製段階の間に、例えば充填されたクロマトグラフィー材料の完全に均質であるという性質が乱される可能性があり、かつ分離マトリクスを通した流れは損なわれ得る。1つの時点で、再使用可能なクロマトグラフィー材料の分離能および/または回収および/または充填品質は、副産物からのポリペプチドの精製を可能にするのにまだ十分であるが、該ポリペプチドの規格の要求を満たす純度において十分ではない。結果として、ポリペプチドのこのバッチはおそらく治療用物質として使用することができず、さらに処理するかまたは廃棄しなければならない。
本明細書において報告する方法では、(i)カラム材料の完全性を決定するために粗製ポリペプチド溶液の分離に先立ってさらなるトレーサー化合物を使用および注入することを必要とせず、または(ii)この精製段階の歴史的データを必要とせずに、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離効率および/もしくは充填品質における低下を決定すること、ならびに/または当該カラム充填物からの回収における低下を決定することが可能である。従って、本発明による方法は、ポリペプチドのクロマトグラフィー精製段階の間に通常取得されるデータに基づいて、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の品質を決定することを可能にし、トレーサー物質の注入などの追加的な段階を不要にする。
本明細書において報告する方法は、ポリペプチドの精製の間に再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化が、クロマトグラフィー材料の分離能および/または充填品質を決定するために使用され得るという知見に基づく。そのような「イナートな変化」とは、移動相に含まれる物質の濃度などの、少なくとも1つの、好ましくは1つの物理化学的パラメータの経時的な変化であるか、または精製段階における移動相自体の変化である。当該物質は、ポリペプチドの精製をもたらすクロマトグラフィー材料の機能とは相互に影響を及ぼさない。再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータの例示的なイナートな変化は、(i)変性条件から非変性条件への変化、または(ii)強アルカリ性条件から緩衝条件への変化、または(iii)有機溶媒から水への変化である。1つの態様において、変化は、0.5〜1 M 水酸化ナトリウム溶液100%または5 M 塩化グアニジウム溶液100%または8 M 尿素溶液100%または有機溶媒100%から、緩衝液100%、または任意で最大1%(v/v)までのトリフルオロ酢酸などのイオン化剤を含む水100%への変化である。または逆に、変化は、(i)非変性条件から変性条件へ、または(ii)緩衝条件から強アルカリ性条件へ、または(iii)水から有機溶媒への変化である。別の態様において、変化は、緩衝液100%、または任意で最大1%(v/v)までのトリフルオロ酢酸などのイオン化剤を含む水100%から、0.5〜1 M 水酸化ナトリウム溶液100%へ、または5 M 塩化グアニジウム溶液100%へ、または8 M 尿素溶液100%もしくは有機溶媒100%への変化である。分離能/充填品質における低下を示さないイナートな変化についてのクロマトグラムを図1に示し、分離能/充填品質における低下を示すイナートな変化についてのクロマトグラムを図4に示す。
1つの態様において、少なくとも1つの物理化学的パラメータの経時的なイナートな変化は、クロマトグラフィーカラムから出る移動相の280 nmでの吸収もしくは電気伝導度、またはクロマトグラフィーカラムから出る有機溶媒の濃度などの、精製中に記録される実験データにより決定される。
「移動相」という用語は、カラムクロマトグラフィーにおいて使用され、かつ、クロマトグラフィーカラム充填物であるクロマトグラフィー材料(こちらは固定相である)を取り囲む液体を意味する。
再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の少なくとも2度目の使用におけるイナートな変化の間に記録された実験データと、式Iの関数にフィッティングさせた、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の少なくとも2度目の使用におけるイナートな変化の間に記録されたデータとの比較から、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能/充填品質を決定できることが見出された。1つの態様において、実験データは、この使用に先立って同一のポリペプチドの同一の精製の同一の精製段階において1回または複数回使用されたクロマトグラフィー材料で作製されたカラム充填物でのポリペプチドの少なくとも2度目の精製の間に記録される。式Iの関数は以下のとおりである:
式I
Figure 0005621052
使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy0)、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(xc、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t0)を伴う。
さらに、使用されるerf関数は
Figure 0005621052
として定義される。
本明細書において報告する方法は、カラムの充填物についての品質特性、すなわち、充填されたマトリクスの滞留時間およびピーク広幅化に対応するxc、wの値をもたらす、指数関数的に改変された積分型ガウス分布を使用する。充填されたマトリクスにより決定されるパラメータに加えて、装置の特徴が指数関数の時定数t0により説明される。式Iの関数により、カラム入口における、ほぼ矩形のパルスに含有される化合物の完全に拡散が制御された分配機構からのずれを決定することができる。例えば、産業規模の装置を用いることにより、延長された混合時間による該装置の寄与が、矩形パルス型からの有意なずれをもたらし得るという事実のため、このことは、上述の指数関数的に改変された式を使用することによって説明されなければならない。
分離能の決定、すなわち充填されたマトリクスの品質および装置の特徴の決定は、ポリペプチドの精製において同定されたイナートな変化の間に記録された実験データにフィッティングされた式Iの関数を、記録された実験データ自体と比較することにより達成され、望ましい特徴の精製されたポリペプチドを提供するためには、フィッティングさせていない実験データおよびフィッティングされた関数のイナートな変化の間の差は、所定の閾値を超えるべきではない。
比較は、式Iの関数にフィッティングさせた実験データと、フィッティングされた式Iの関数との間の差を算出することにより行う。互いに比較可能な個々の精製の結果を作製するために、例えば、イナートな変化の間の物理化学的パラメータの実験データの最大値で値を割ることにより、結果または差を正規化する。1つの態様において、以下の式IIに示す正規化された差分関数を使用する。
式II
Figure 0005621052
従って、1つの態様において、段階(b)は、少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データのフィッティングにより式Iの関数のパラメータを決定すること、およびそれと共に式IIの正規化された差分関数のパラメータを決定することを指し、段階(c)は、少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式IIの関数との間の差を決定することを指す。別の態様において、当該正規化は、イナートな変化の間の物理化学的パラメータの実験データの最大値で差を割ることで該差を正規化することにより、実験データと該実験データにフィッティングされた式Iの関数との間の決定された差の最大値と最小値との間の差を算出する段階において行われる。
分離能および/または充填品質の低下を伴わないイナートな変化のクロマトグラムについての例示的な差分関数を図3に示し、分離能および/または充填品質の低下を伴うイナートな変化のクロマトグラムについての例示的な差分関数を図6に示す。
絶対差分値の算出のために、実験データと、各実験データ点について算出されたフィッティングされた実験データとの間の差の全体的な最大値および全体的な最小値を決定する。この最大値と最小値との間の差を算出し、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の充填品質を決定することができるパラメータを提供する。1つの態様において、算出された差分値を、算出に使用された実験データの最大値で割ることにより、差を正規化する。
精製されるポリペプチドおよび達成されるその特徴に依存して、差分関数の最大値と最小値との間の絶対差についての閾値を与えることができ、各閾値の個々の超過により、行うべき行動が求められる。1つの態様において、正規化された差分関数の最大値と最小値との間の差を容認することができ、かつ算出された差の絶対値が0.2または0.1または0.06より小さい場合、充填物をさらに使用することができる。1つの態様において、正規化された差の最大値と最小値との間の差を容認することができるが、絶対値が0.06以上であるが0.2より小さいか、または0.1以上であるが0.2より小さいか、または0.1以上であるが0.15より小さい場合、精製されたポリペプチドの規格適合を保証するために追加的な分析および/または評価を行わなければならない。1つの態様において、正規化された差の最大値と最小値との間の差を容認することができず、かつ絶対値が0.2以上であるか、または0.15以上である場合、充填物を交換/更新しなければならない。
従って、本明細書において報告する別の局面は、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を使用する少なくとも1つのクロマトグラフィー段階を含む、クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製する方法であって、
(a)該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
(b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
(c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
(d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階
を含むことを特徴とし、ここで、式Iの関数は
式I
Figure 0005621052
であり、使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy0)、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(xc、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t0)を伴い、かつ
使用されるerf関数は
Figure 0005621052
として定義され、かつ
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06以下である場合、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物をさらに使用する段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.06以上であるが0.2より小さい場合、精製されたポリペプチドの追加的な評価および/もしくは特徴決定を行う段階、または
−段階(d)において算出された差の絶対値が0.2以上である場合に、再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を交換する段階
を含む。
「ポリペプチド」は、天然に生産されようとまたは合成的に生産されようと、ペプチド結合により連結されたアミノ酸からなるポリマーである。約20アミノ酸残基より小さいポリペプチドは「ペプチド」と呼ばれ得るのに対して、2つまたはそれ以上のポリペプチドからなる分子、または100アミノ酸残基より大きい1つのポリペプチドを含む分子は「タンパク質」と呼ばれ得る。ポリペプチドはまた、炭水化物群、金属イオン、またはカルボン酸エステルなどの非アミノ酸成分を含み得る。非アミノ酸成分は、ポリペプチドを発現する細胞により付加され得、かつ細胞のタイプと共に変化し得る。ポリペプチドは、本明細書において、そのアミノ酸骨格構造またはそれをコードする核酸に関して定義される。炭化水素基などの付加物は一般には明記されないが、それにもかかわらず存在し得る。
1つの態様において、ポリペプチドは組み換えで生産される。別の態様において、ポリペプチドはイムノグロブリンまたはイムノグロブリン結合体である。「イムノグロブリン」という用語は、イムノグロブリン遺伝子により実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質を指す。認識されているイムノグロブリン遺伝子は、様々な定常領域遺伝子および無数のイムノグロブリン可変領域遺伝子を含む。イムノグロブリンは、例えば、Fv、Fab、およびF(ab)2ならびに一本鎖(scFv)またはダイアボディを含む様々な形式で存在し得る(例えば、Huston, J.S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883;Bird, R.E., et al., Science 242 (1988) 423-426;一般に、Hood, L.E., et al., Immunology, Benjamin N.Y., 2nd edition (1984);およびHunkapiller, T. and Hood, L.E., Nature 323 (1986) 15-16)。「イムノグロブリン結合体」という用語は、ペプチド結合を介してさらなるポリペプチドに結合されたイムノグロブリン重鎖または軽鎖の少なくとも1つのドメインを含むポリペプチドを意味する。さらなるポリペプチドは、ホルモン、もしくは増殖受容体、もしくは抗融合性(antifusogenic)ペプチド、もしくは補体因子などのような非イムノグロブリンペプチド、または、Fv、Fab、およびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体(scFv)もしくはダイアボディなどのイムノグロブリン断片のいずれかである。
ポリペプチドおよびイムノグロブリンを精製するための方法はよく確立され、かつ広範に用いられ、かつ単独または組み合わせのいずれかで使用される。そのような方法は、例えば、ある特定の態様において、微生物由来のタンパク質を用いる親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAまたはプロテインG親和性クロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換(カルボキシメチル樹脂)、陰イオン交換(アミノエチル樹脂)、および混合様式交換クロマトグラフィー)、チオフィリック(thiophilic)吸着(例えば、β-メルカプトエタノールおよび他のSHリガンドでの)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えば、フェニル-セファロース、アザ-アレノフィリック(aza-arenophilic)樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸)、金属キレート親和性クロマトグラフィー(例えば、Ni(II)-およびCu(II)-親和性材料での)、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに調製用電気泳動法(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動など)である(Vijayalakshmi, M.A., Appl. Biochem. Biotech. 75 (1998) 93-102)。1つの態様において、クロマトグラフィーカラム充填物は、親和性クロマトグラフィー材料、またはイオン交換クロマトグラフィー材料、またはチオフィリック吸着クロマトグラフィー材料、または疎水性相互作用クロマトグラフィー材料、または芳香族吸着クロマトグラフィー材料、または金属キレート親和性クロマトグラフィー材料、またはサイズ排除クロマトグラフィー材料より選択されるクロマトグラフィー材料である。
別の態様において、本明細書において報告する方法は、クロマトグラフィー材料以外のプロセス機器の分離能が低下しているか否かを決定するために使用される。
以下の実施例および図面は本発明の理解を助けるために提供されたものであり、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲において示される。本発明がなされた時にポリペプチドであるエリスロポエチンおよび抗HER2抗体が本発明者らの実験室において十分な量で利用可能であったため、本発明はこれらのポリペプチドで例証される。これは本発明の限定としてではなく、単に実施例として理解されるべきである。本発明の趣旨から逸脱することなく、示される手順において改変がなされ得ることが理解される。
図1〜6は、エリスロポエチンの精製を実行したクロマトグラフィープロセスのデータに由来する。
図7〜9は、抗HER2抗体の精製を実行したクロマトグラフィープロセスのデータに由来する。
(図1)分離能/充填品質が低下していない再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データ(白丸);X軸:時間[分];Y軸:電気伝導度[mS/cm]。
(図2)分離能/充填品質が低下していない再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データ(白丸)および式Iの関数に従ってフィッティングされた関数;X軸:時間[分];Y軸:電気伝導度[mS/cm]。
(図3)分離能/充填品質が低下していない再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データと、式IIに従ってフィッティングされた関数との間の絶対差;X軸:時間;Y軸:差。
(図4)分離能/充填品質が低下した再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データ(白丸);X軸:時間[分];Y軸:電気伝導度[mS/cm]。
(図5)分離能/充填品質が低下した再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データ(白丸)および式Iの関数に従ってフィッティングされた関数;X軸:時間[分];Y軸:電気伝導度[mS/cm]。
(図6)分離能/充填品質が低下した再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物についての電気伝導度の例示的なイナートな変化の実験データと、式IIの関数に従ってフィッティングされた関数との間の絶対差;X軸:時間[分];Y軸:差[mS/cm]。
(図7)図1において使用される電気伝導度データの、装置の特徴の寄与を伴わないガウス分布を使用する式IIIへのフィッティング:
式III
Figure 0005621052
上部:データおよび近似曲線、下部:データと近似曲線との差分曲線。
X軸:時間[分];Y軸:電気伝導度[mS/cm]。
(図8)式I(EMGとして示す)および式III(ガウスとして示す)を使用した、250クロマトグラフィーサイクルにわたる本明細書において報告する方法でのカラム完全性のモニタリング。示される完全性のパラメータは、xc(滞留時間)、w(ピーク広幅化)、およびt0(装置の特徴)である。t0についての図において、充填品質が低下したために必要になったカラムの再充填を、薄い灰色の垂直のバーにより示す。
(図9)式I(EMGとして示す)および式III(ガウスとして示す)を使用した、250クロマトグラフィーサイクルにわたる本明細書において報告する方法でのカラム完全性のモニタリング。示される適合度のパラメータは、Χ2(カイ二乗)、R2(R因子)、および、式IIについて記載される最大電気伝導度について正規化された残差(residuals difference)である。
実施例1
エリスロポエチンの発酵および精製
エリスロポエチンは、例えば国際公開公報第01/87329号に従って生産および精製することができる。
精製は、いくつかのクロマトグラフィー段階を含む。これらのうちの1つがBlue Sepharoseクロマトグラフィーである。Blue Sepharoseは、表面にCibacron青色色素が共有結合で結合したセファロースビーズからなる。エリスロポエチンは大抵の非タンパク質性夾雑物よりも強くBlue Sepharoseに結合するため、この段階においていくつかのタンパク質性不純物およびPVA、エリスロポエチンを濃縮することができる。Blue Sepharoseカラムでの溶出は、塩濃度およびpHを上昇させることにより行う。カラムをBlue Sepharoseで満たし、NaOHで再生させ、かつ平衡緩衝液(塩化ナトリウム/カルシウムおよび酢酸ナトリウム)で平衡化する。酸性化および濾過した発酵槽の上清をロードする。ロードが完了した後、より高い塩化ナトリウム濃度を含有する平衡緩衝液に類似した緩衝液でカラムを最初に洗浄し、続いてTRISベースの緩衝液で洗浄する。生成物をTRISベースの緩衝液で溶出し、マスター溶出プロファイルに従って単一画分において収集する。
クロマトグラフィーサイクルの平衡化、分離、および再生段階の間に、カラムの出口での移動相の電気伝導度を標準的な電気伝導度計測装置で決定および記録する。
抗HER2抗体の発酵および精製
抗HER2抗体は、例えば米国特許第5,821,337号または米国特許第5,677,171号に従って、生産および精製することができる。
採取した細胞培養液試料中の抗体を、特異的親和性クロマトグラフィー樹脂を用いて、捕捉および精製することができる。プロテインA樹脂(Millipore, Prosep-vA High Capacity)を、抗体精製のための親和性樹脂として選択した。樹脂をカラムに充填した。
樹脂を、260〜560 cm/時間の線流速で、緩衝液および採取した細胞培養液(HCCF)に曝露した。樹脂を、25 mM トリス、25 mM NaCl、5 mM EDTA、pH 7.1で平衡化した。
各精製のために、樹脂に、1 mLの樹脂当たり5〜15 mgの抗体をローディングした。ローディング後、樹脂を、25 mM トリス、25 mM NaCl、5 mM EDTA、0.5 M TMAC、pH 5で洗浄し、次に、抗体を、0.1 M クエン酸、pH 2.8を用いて溶出した。溶出物のプールは、カラム後にインラインで測定した280 nmでのUV吸収に基づいた。精製した溶出プールを、1 M トリス緩衝液を用いてpH 5〜6にpH調整した。0.1 M 塩酸グアニジウムでの樹脂の再生後、同一のまたは同様の充填された樹脂を、その後の他のHCCF溶液の精製のために使用した。
精製したプロテインAプール中の抗体濃度を、UV分光測定法を用いて280 nmで測定した。精製したプロテインA溶出プールを、サイズ排除クロマトグラフィーにより分析し、分子量150 kDaの無傷の抗体のパーセンテージを定量化した。
実施例2
カラム特性における変化
本明細書において報告する方法を用いて、プロセスの間中、継続的にカラムをモニタリングすることができる。他のプロセスパラメータの変化とは独立して、微妙な変化が検出可能になる。図8および9において、カラム充填物における変化を、抗HER2抗体の精製に使用されるProsep Aカラムの全寿命にわたって示す。再充填が必要になった場合において、充填されたベッドの品質に由来するパラメータにおける変化が明確に示されている(図8を参照されたい)。

Claims (8)

  1. ポリペプチドの精製の精製段階における使用が少なくとも2度目である再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物について、該ポリペプチドの該精製の該精製段階における分離能が低下しているか否かを決定する方法であって、
    (a)使用が少なくとも2度目である該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
    (b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
    (c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
    (d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階、
    (e)段階(d)において算出された差の絶対値が0.1より大きい場合に、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物の分離能が低下していると決定する段階
    を含むことを特徴とし、
    ここで、式Iの関数が
    式I
    Figure 0005621052
    であり、使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy0)、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(xc、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t0)を伴い、かつ
    使用されるerf関数が
    Figure 0005621052
    として定義される、方法。
  2. 再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を用いる少なくとも1つのクロマトグラフィー段階を含む、クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製する方法であって、
    (a)使用が少なくとも2度目である該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータのイナートな変化の実験データを同定および決定する段階、
    (b)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データのフィッティングにより、式Iの関数のパラメータを決定する段階、
    (c)少なくとも2度目の使用についての物理化学的パラメータの該イナートな変化の該実験データと、段階(b)において決定されたパラメータを伴う式Iの関数との間の差を決定する段階、
    (d)段階(c)において決定された差の最大値と最小値との間の差を算出し、かつ該差を正規化する段階
    を含むことを特徴とし、
    ここで、式Iの関数が
    式I
    Figure 0005621052
    であり、使用される溶媒により決定される絶対シグナル値(Aおよびy0)、基となるガウス分布関数の平均値および標準偏差(xc、w)、基となる指数減衰関数の時定数(t0)を伴い、かつ
    使用されるerf関数が
    Figure 0005621052
    として定義され、かつ
    −段階(d)において算出された差の絶対値が0.06以下である場合、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物をさらに使用する段階、または
    −段階(d)において算出された差の絶対値が0.06より大きいが0.2より小さい場合、精製されたポリペプチドの追加的な特徴決定および/もしくは評価を行う段階、または
    −段階(d)において算出された差の絶対値が0.2以上である場合、該再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を交換する段階
    を含む、方法。
  3. 前記再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータの前記イナートな変化が、該移動相における、該再使用可能なカラム充填物と相互作用しない物質の濃度の変化によりもたらされる変化であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記イナートな変化が、電気伝導度または280 nmでの吸収における変化であることを特徴とする、求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 前記再使用可能なクロマトグラフィーカラム充填物を通過する移動相の少なくとも1つの物理化学的パラメータの前記イナートな変化が、変性剤を含有する溶液100%から該変性剤を含有しない溶液100%への変化であるか、またはその逆であることを特徴とする、求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 前記変性剤が、水酸化ナトリウム、塩化グアニジウム、尿素、または有機溶媒から選択されることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 前記イナートな変化がS字形曲線を示す関数変化であることを特徴とする、求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記イナートな変化が経時的な変化であることを特徴とする、求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
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