JP5619696B2 - ガラス微粒子合成用バーナ及びガラス微粒子堆積体の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、形成されたスート体を高温で加熱して脱水・焼結することにより、透明ガラス化された光ファイバ母材が製造される。また、この光ファイバ母材を加熱して紡糸することにより、光ファイバが製造される。なお、ターゲットロッドには、例えばVAD法により作製されたコア母材が用いられる。
また、特許文献6、7には、OVD法を利用して光ファイバ母材を製造する際に、ターゲットロッドの長手方向に複数のバーナを配置する技術が開示されている。
一般に、ガラス微粒子の堆積速度を向上させるためには、原料ガス噴出流路から大量の原料ガスを火炎内に噴出させ、効率よく反応させて堆積させる必要がある。原料ガスを大量に噴出する手法としては、例えば、原料ガス噴出流路の口径を拡大する方法と、原料ガスの流速を速くする手法が知られている。
特許文献2に記載の多焦点型バーナでは、原料ガス噴出軸上において、助燃性ガスが複数の焦点を結ぶように噴出されるので、原料ガスが複数回にわたって高温となる焦点位置を通過する。したがって、原料ガスの温度を効率よく上げるのにより好適な構造といえる。しかしながら、焦点近傍で温度が上がる特性上、可燃性ガス中で多数の助燃性ガス流が集中して温度が上がり過ぎた場合には、焦点付近でガラス微粒子が急激に揮発して堆積効率が低下するという問題もある。
このように、従来の手法では、光ファイバ母材の大型化、低コスト化に応えることが困難となっている。
この原料ガス噴出流路を取り囲むように環状配置された複数の小口径流路からなり、この小口径流路から助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路と、
前記原料ガス噴出流路及び前記助燃性ガス噴出流路を内包し、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路と、
前記可燃性ガス噴出流路の外側に同心円上に設けられ、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路とを備え、
前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスを噴出させ、この可燃性ガス及び助燃性ガスからなる火炎中に前記原料ガスを供給することにより合成されたガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させるガラス微粒子合成用バーナにおいて、
前記複数の小口径流路から噴出される助燃性ガスが前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路が配置され、
前記外側ガス噴出流路は、シールガスを噴出するシールガス噴出流路と、前記シールガス噴出流路の外側に設けられた助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路を備え、前記シールガス噴出流路および前記補助助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記助燃性ガス噴出流路の噴出端よりも、前記原料ガスの噴出方向下流側に位置していることを特徴とする。
この原料ガス噴出流路を取り囲むように環状配置された複数の小口径流路からなり、この小口径流路から助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路と、
前記原料ガス噴出流路及び前記助燃性ガス噴出流路を内包し、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路とを備え、
前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスを噴出させ、この可燃性ガス及び助燃性ガスからなる火炎中に前記原料ガスを供給することにより合成されたガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させるガラス微粒子合成用バーナにおいて、
前記助燃性ガス噴出流路が、多重環状構造を有し、
同一環状構造を構成する前記複数の小口径流路から噴出される助燃性ガスが前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路が配置され、
外側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路の噴出端が、内側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路の噴出端よりも、前記原料ガスの噴出方向下流側に位置していることを特徴とする。
前記多重環構造を構成するそれぞれの助燃性ガス噴出流路が、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で異なる複数の焦点を結ぶように配置され、
前記それぞれの助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記複数の焦点よりも上流側に位置していることを特徴とする。
前記多重環構造を構成するそれぞれの助燃性ガス噴出流路が、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で単一焦点を結ぶように配置され、
前記それぞれの助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記単一焦点よりも上流側に位置していることを特徴とする。
前記可燃性ガス噴出流路の外側に同心円上に設けられ、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路を備え、前記外側ガス噴出流路は助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路を備えることを特徴とする。
前記ガラス微粒子合成用バーナは、メインバーナとサブバーナとを有し、前記サブバーナに前記外側ガス噴出流路が設けられていることを特徴とする。
前記外側ガス噴出流路は、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、前記原料ガスの噴出軸上に向けてガスを噴出させることを特徴とする。
前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、開口端に向かって細くなるテーパ形状を有することを特徴とする。
前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、開口端に向かって細くなるテーパ部と、前記テーパ部に連続して開口端に向かって太くなる逆テーパ部を備えるくびれ形状を有することを特徴とする。
前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、空気を層状に噴出するエア噴出流路を備えており、
前記エア噴出流路は、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、前記原料ガスの噴出軸上に向けて前記空気を噴出させることを特徴とする。
内側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路から噴出させる助燃性ガスの速度を、外側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路から噴出させる助燃性ガスの速度よりも速くすることを特徴とする。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナ(以下、バーナ)の一例を示す図である。図1(a)にはバーナの長手方向の断面を模式的に示しており、図1(b)には図1(a)におけるA−A断面を示している。
図1に示すように、バーナ10は、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路13内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路11及び助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路12が配置されて構成されている。バーナ10では、助燃性ガス噴出流路12、可燃性ガス噴出流路13からそれぞれ助燃性ガス、可燃性ガスを噴出させ、この助燃性ガス及び可燃性ガスからなる火炎中に原料ガスを供給することによりガラス微粒子を合成し、ターゲットロッドに堆積させる。
助燃性ガス噴出流路12の内径が小さいほど、少ないガス供給量で流速を速くすることができるが、内径が小さくなりすぎると流速を上げることが困難となる。一方で、助燃性ガス噴出流路12の内径が大きくなると適切な助燃性ガス流速を得る為には多量の助燃性ガスが必要となり非経済的である。これより、助燃性ガス噴出流路12の内径は0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmとする。
このように構成することで、原料ガス流の温度を、生成されたガラス微粒子が揮発し難い適正な範囲で高温にすることができるので、良質なスート体を短時間で効率的に形成することができる。したがって、大型の光ファイバ母材をより短時間で製造することができることとなり、光ファイバ母材の製造コストを格段に低減することができる。
ターゲットロッド2を軸中心に回転させながら、バーナ10を長手方向に往復移動させることで、ターゲットロッド2の外周面にガラス微粒子102が堆積され、スート体3が形成される。なお、ターゲットロッド2とバーナ10は相対移動すればよく、ターゲットロッド2を長手方向に往復移動させてもよい。そして、高温で加熱して脱水・焼結することにより、透明ガラス化された光ファイバ母材1が製造される。また、この光ファイバ母材1を加熱して線引きすることにより、光ファイバが製造される。なお、ターゲットロッド2には、例えばVAD法により作製されたコア母材が用いられる。
実施例1−1では、第1実施形態のバーナ10において、助燃性ガス噴出端12aから補助助燃性ガス噴出端15aまでの距離dLを200mmとした(原料ガスの噴出方向に200mm下流側)。なお、助燃性ガス噴出端12aは、原料ガス噴出流路11の噴出端とほぼ一致している。
このように設定したバーナ10を用いて、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。具体的には、バーナ10と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端11aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。そして、原料ガスをSiCl4、可燃性ガスをH2、助燃性ガスをO2として、ターゲットロッド2を回転させながらバーナ10を往復移動させ、ターゲットロッド2の外周面にガラス微粒子102を堆積させてスート体3を形成した。
そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例1−1に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
実施例1−2では、第1実施形態のバーナ10において、助燃性ガス噴出端12aから補助助燃性ガス噴出端15aまでの距離dLを300mmとした(原料ガスの噴出方向に300mm下流側)。
このように設定したバーナ10を用いて、実施例1−1と同様のスート形成条件により、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。特に、バーナ10と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端11aとターゲットロッド2表面との離間距離が430mmとなるように制御した。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例1−2に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
図3は、比較例1−1、1−2で用いたバーナの構造を示す図である。
バーナ50は、図3に示すように、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路53内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路51及び助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路52が配置されて構成されている。
原料ガス噴出流路51は、バーナ50の中心(可燃性ガス噴出流路53の中心)に配置されており、この原料ガス噴出流路51の外側に同心状にシールガス噴出流路56が配置されている。
また、可燃性ガス噴出流路53の外側には、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路として、シールガスを噴出するシールガス噴出流路54と助燃性ガスを層状に噴出する補助助燃性ガス噴出流路55が同心状に配置されており、その外側に保護フード57が配置されている。
このように設定したバーナ50を用いて、実施例1−1と同様のスート形成条件により、ターゲットロッド2にスート体を形成した。具体的には、バーナ50と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端51aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、比較例1−1に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
比較例1−2では、比較例1−1と同様のバーナ50を用いて、ターゲットロッド2にスート体を形成した。具体的には、バーナ50と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端51aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。このとき、補助助燃性ガスの流速を0m/s(補助助燃性ガスの供給なし)とした。その他の条件は、実施例1−1と同様とした。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、比較例2に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
実施例1−1、1−2及び比較例1−1、1−2における堆積速度(g/min)の測定結果と、作製された光ファイバクラッド用透明ガラス体の増加重量と原料ガスの導入量から算出した堆積効率(%)を表1に示す。
比較例1−1における堆積効率及び堆積速度が実施例1−1、1−2より低いのは、可燃性ガスと補助助燃性ガスによる加熱が過剰となり、焦点近傍で温度が上がり過ぎてガラス微粒子が揮発したためと考えられる。
また、比較例1−2における堆積効率及び堆積速度が実施例1−1、1−2より低いのは、生成したガラス微粒子の揮発は抑制されているものの、補助助燃性ガスを噴出させなかったために、原料ガス流周りの火炎の変動が大きくなり、ガラス微粒子の合成と堆積が不安定になったためと考えられる。
図4に示すように、助燃性ガス噴出端12aから補助助燃性ガス噴出端15aまでの距離dLを長くすることに伴い、堆積速度が速くなる。また、助燃性ガス噴出端12aから補助助燃性ガス噴出端15aまでの距離dLを100mm以上とすることにより、助燃性ガス噴出端12aと補助助燃性ガス噴出端15aをほぼ一致させた場合に比較して、堆積速度を10%以上向上させることができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例1について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
サブバーナ5aのシールガス噴出流路14は、シールガス噴出流路14から噴出されるシールガスが、原料ガスの噴出軸AX上において焦点を結ぶように、その先端部が傾斜した形状に形成されている。
このメインバーナ5とサブバーナ5a、保護フード17は、着脱可能に構成されており、メインバーナ5とサブバーナ5a、サブバーナ5aと保護フード17の嵌合部分は、例えば、テーパ状の摺り合わせ嵌合構造になっている。このような嵌合構造によって、メインバーナ5とサブバーナ5a、サブバーナ5aと保護フード17の間の気密性が保持でき、メインバーナ5とサブバーナ5a、サブバーナ5aと保護フード17の中心軸合わせを容易にできる。
このように、メインバーナ5の助燃性ガス噴出流路12から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、サブバーナ5aからシールガスを噴出させることによって、バーナ10aの内側に空気が逆流して流入することを防ぐことができる。
このように空気が流入することを防ぐことで、バーナ10aにおける火炎温度が低下することを防ぎ、バーナ10aの火炎温度の低下に伴って起こるスート密度の低下を防ぐことができる。
また、バーナ10aの内側に空気が流入することによるバーナ10a内でのガスの流れ、特にサブバーナ5aの補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスの流れが乱されることを防ぐことができ、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、特開2000−211937号公報に記載されている技術のように、バーナを超音波洗浄機で洗浄する場合、バーナ全体での清掃を行うことに比べて洗浄槽を小さくできるので、低コストでのメンテナンスが可能であり経済的である。
また、従来はバーナの劣化が進むと、バーナ全体を交換していたが、最も劣化し易いサブバーナ5a、保護フード17を着脱可能としたことで、サブバーナ5a、保護フード17のみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10aの性能を維持することができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例2について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
サブバーナ5bのシールガス噴出流路14は、シールガス噴出流路14から噴出されるシールガスが、原料ガスの噴出軸AX上において焦点を結ぶように、その先端部が傾斜した形状に形成されている。同様に、サブバーナ5bの補助助燃性ガス噴出流路15は、補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスが、原料ガスの噴出軸AX上において焦点を結ぶように、その先端部が傾斜した形状に形成されている。
このメインバーナ5とサブバーナ5b、保護フード17は、着脱可能に構成されており、メインバーナ5とサブバーナ5b、サブバーナ5bと保護フード17の嵌合部分は、例えば、テーパ状の摺り合わせ嵌合構造になっている。このような嵌合構造によって、メインバーナ5とサブバーナ5b、サブバーナ5bと保護フード17の間の気密性が保持でき、メインバーナ5とサブバーナ5b、サブバーナ5bと保護フード17の中心軸合わせを容易にできる。
このように、メインバーナ5の助燃性ガス噴出流路12から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、サブバーナ5bのシールガス噴出流路14と補助助燃性ガス噴出流路15から、それぞれシールガスと助燃性ガスを噴出させることによって、バーナ10bの内側に空気が逆流して流入することを防ぐことができる。
また、バーナ10bの内側に空気が流入することによるバーナ10b内でのガスの流れ、特にサブバーナ5bの補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスの流れが乱されることを防ぐことで、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5b、保護フード17が着脱可能であるので、メインバーナ5からサブバーナ5b、保護フード17を取り外して、メインバーナ5、サブバーナ5b、あるいは保護フード17内に付着したガラス微粒子などを除去する清掃・メンテナンスを容易に行うことが可能になる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5b、保護フード17を着脱可能としたことで、サブバーナ5b、保護フード17のみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10bの性能を維持することができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例3について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
このサブバーナ5cのシールガス噴出流路14および補助助燃性ガス噴出流路15は、その噴出端に向かって細くなるテーパ形状を有しており、原料ガスの噴出軸AXに向かって傾斜している。
例えば、図8に示すバーナ10gは、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路13内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路11、シールガスを噴出するシールガス噴出流路16、助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路12が配置されているメインバーナ5と、可燃性ガス噴出流路13の外側に、シールガスを噴出するシールガス噴出流路14と助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路15が、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路として同心状に配置されたサブバーナ5gとを備え、サブバーナ5gの外側に保護フード17gが配置されている。
このサブバーナ5gのシールガス噴出流路14および補助助燃性ガス噴出流路15は、原料ガスの噴出軸AXに沿って平行な円筒形状を有している。
特に、保護フード17cの先端部のテーパ角度は、メインバーナ5の助燃性ガス噴出流路12から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で原料ガスの噴出軸AX上に向けてガスを噴出させるように形成されている。
なお、この保護フード17cの先端部の焼け(バーナ先端焼け)を防止するうえで、保護フード17cの先端部の開口の内径は、メインバーナ5の可燃性ガス噴出流路13の外径とほぼ同じ(例えば、±10%以内)であることが好ましい。また、保護フード17cのサブバーナ5cの先端からの延出長さは、60mm以下であることが好ましい。
具体的に、バーナ10c(10g)における保護フード17c(17g)内での火炎の乱れを抑えるためには、テーパ角度θが45度以下であることが好ましい。また、バーナ10cにおける保護フード17c内に外からの空気の流入を防ぐためには、テーパ角度θが5度以上であることが好ましい。
また、保護フード17cにおける最小径部の断面積は、先端の赤熱を防止するため、メインバーナ5の開口面積(つまり、可燃性ガス噴出流路13の断面積)の70%以上であることが好ましい。
このように、開口端の先端部に向けて先細るテーパ形状の保護フード17cを用いることで、保護フード17c内の圧力を上げ、空気の流入を防ぐことができるため、サブバーナ5cへのガラス微粒子の付着を抑制できる。さらに火炎の直進性が改善されるため、ターゲットに当たった火炎が均等に広がり、スート堆積面の温度分布の均一性が上がり、脈理が改善する効果もある。
このように、メインバーナ5の助燃性ガス噴出流路12から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、サブバーナ5cのシールガス噴出流路14と補助助燃性ガス噴出流路15から原料ガスの噴出軸AX上で焦点を結ぶように、それぞれシールガスと助燃性ガスを噴出させることによって、バーナ10cの内側に空気が逆流して流入することを防ぐことができる。
また、バーナ10cの内側に空気が流入することによるバーナ10c内でのガスの流れ、特にサブバーナ5cの補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスの流れが乱されることを防ぐことで、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5c、保護フード17cが着脱可能であるので、メインバーナ5からサブバーナ5c、保護フード17cを取り外して、メインバーナ5、サブバーナ5c、あるいは保護フード17c内に付着したガラス微粒子などを除去する清掃・メンテナンスを容易に行うことが可能になる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5c、保護フード17cを着脱可能としたことで、サブバーナ5c、保護フード17cのみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10cの性能を維持することができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例4について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
保護フード17のエア噴出流路18は、エア噴出流路18から噴出される空気が、原料ガスの噴出軸AX上において焦点を結ぶように、その先端部が傾斜した形状に形成されている。
このメインバーナ5とサブバーナ5d、保護フード17は、着脱可能に構成されており、メインバーナ5とサブバーナ5d、サブバーナ5dと保護フード17の嵌合部分は、例えば、テーパ状の摺り合わせ嵌合構造になっている。このような嵌合構造によって、メインバーナ5とサブバーナ5d、サブバーナ5dと保護フード17の間の気密性が保持でき、メインバーナ5とサブバーナ5d、サブバーナ5dと保護フード17の中心軸合わせを容易にできる。
このように、メインバーナ5から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、保護フード17のエア噴出流路18から原料ガスの噴出軸AX上で焦点を結ぶように空気を噴出させることによって、バーナ10dの内側に空気が逆流して流入することを防ぐことができる。
また、バーナ10dの内側に空気が流入することによるバーナ10d内でのガスの流れ、特にサブバーナ5dの補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスの流れが乱されることを防ぐことで、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5d、保護フード17が着脱可能であるので、メインバーナ5からサブバーナ5d、保護フード17を取り外して、メインバーナ5、サブバーナ5d、あるいは保護フード17内に付着したガラス微粒子などを除去する清掃・メンテナンスを容易に行うことが可能になる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5d、保護フード17を着脱可能としたことで、サブバーナ5d、保護フード17のみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10dの性能を維持することができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例5について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
このメインバーナ5とサブバーナ5f、保護フード17は、着脱可能に構成されており、メインバーナ5とサブバーナ5f、サブバーナ5fと保護フード17の嵌合部分は、例えば、テーパ状の摺り合わせ嵌合構造になっている。このような嵌合構造によって、メインバーナ5とサブバーナ5f、サブバーナ5fと保護フード17の間の気密性が保持でき、メインバーナ5とサブバーナ5f、サブバーナ5fと保護フード17の中心軸合わせを容易にできる。
この保護フード17を備えたサブバーナ10fの先端側から、シールガスと助燃性ガスを噴出することで、バーナの先端を熱から保護することができ、バーナ先端焼けを防止することができる。それにより、ターゲット近傍までバーナを延長でき、火炎の直進性を確保できる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5f、保護フード17を着脱可能としたことで、サブバーナ5f、保護フード17のみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10fの性能を維持することができる。
次に、第1実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナの変形例6について説明する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
なお、第1実施形態のバーナ10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
このサブバーナ5hにおける保護フード17hは、開口端に向かって細くなるテーパ部171と、そのテーパ部171に連続して開口端に向かって太くなる逆テーパ部172を備えるくびれ形状を有している。
具体的に、バーナ10hにおける保護フード17h内での火炎の乱れを抑えるためには、テーパ角度θ1が45度以下であることが好ましい。また、バーナ10hにおける保護フード17h内に外からの空気の流入を防ぐためには、テーパ角度θ1が5度以上であることが好ましい。
具体的に、バーナ10hにおける保護フード17hから、火炎を速やかに剥離・離間させるため45度以上90度未満であることが好ましい。
また、バーナ10hの内側に空気が流入することによるバーナ10h内でのガスの流れ、特にサブバーナ5hの補助助燃性ガス噴出流路15から噴出される助燃性ガスの流れが乱されることを防ぐことで、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5h、保護フード17hが着脱可能であるので、メインバーナ5からサブバーナ5h、保護フード17hを取り外して、メインバーナ5、サブバーナ5h、あるいは保護フード17h内に付着したガラス微粒子などを除去する清掃・メンテナンスを容易に行うことが可能になる。
また、メインバーナ5とサブバーナ5h、保護フード17hを着脱可能としたことで、サブバーナ5h、保護フード17hのみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10cの性能を維持することができる。
図12は、第2実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナ(以下、バーナ)の一例を示す図である。図12(a)にはバーナの長手方向の断面を模式的に示しており、図12(b)には図12(a)におけるA−A断面を示している。
図12に示すように、バーナ20は、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路23内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路21及び助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路22が配置されて構成されている。バーナ20では、助燃性ガス噴出流路22、可燃性ガス噴出流路23からそれぞれ助燃性ガス、可燃性ガスを噴出させ、この助燃性ガス及び可燃性ガスからなる火炎中に原料ガスを供給することによりガラス微粒子を合成し、ターゲットロッドに堆積させる。
第1助燃性ガス噴出流路221は原料ガス噴出流路21及びシールガス噴出流路26を取り囲むように可燃性ガス噴出流路23内に配置され、第2助燃性ガス噴出流路222は第1助燃性ガス噴出流路221を取り囲むように可燃性ガス噴出流路23内に配置され、第3助燃性ガス噴出流路223は第2助燃性ガス噴出流路222を取り囲むように可燃性ガス噴出流路23内に配置されている。
第1助燃性ガス噴出流路221、第2助燃性ガス噴出流路222及び第3助燃性ガス噴出流路223を構成する小口径流路の内径は同一とされ、それぞれ別系統の供給路を通して助燃性ガスが供給される。したがって、それぞれのガス供給量を調整することで、噴出される助燃性ガスの流速は個別に制御される。
このように構成することで、原料ガス流の温度を、生成されたガラス微粒子が揮発しない適正な範囲で高温にすることができるので、良質なスート体を短時間で効率的に形成することができる。したがって、大型の光ファイバ母材をより短時間で製造することができることとなり、光ファイバ母材の製造コストを格段に低減することができる。
実施例2−1では、第2実施形態のバーナ20において、第1助燃性ガス噴出端221aから第2助燃性ガス噴出端222aまでの距離dL1を25mmとし(原料ガスの噴出方向に25mm下流側)、第1助燃性ガス噴出端221aから第3助燃性ガス噴出端223aまでの距離dL2を65mmとした(原料ガスの噴出方向に65mm下流側)。なお、第1助燃性ガス噴出端221aは、原料ガス噴出端とほぼ一致している。
このように設定したバーナ20を用いて、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。具体的には、バーナ20と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端21aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。そして、原料ガスをSiCl4、可燃性ガスをH2、助燃性ガスをO2として、ターゲットロッド2を回転させながらバーナ20を往復移動させ、ターゲットロッド2の外周面にガラス微粒子102を堆積させてスート体3を形成した。このとき、ターゲットロッド2の回転速度を100rpm、バーナ20のトラバース速度を2000mm/minとし、堆積時間は300minとした。また、原料ガス噴出流路21からは原料ガスSiCl4と助燃性ガスであるO2を同量で混合して噴出させ、シールガス噴出流路26からは、シールガス噴出端(図12(a)のAの位置)における噴出端断面積と噴出量から、ガス温25℃として算出した流速が0.5m/sとなるようシールガス(N2)を供給した。
そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例2−1に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
実施例2−2では、第2実施形態のバーナ20において、第1助燃性ガス噴出端221aから第2助燃性ガス噴出端222aまでの距離dL1を25mmとし(原料ガスの噴出方向に25mm下流側)、第1助燃性ガス噴出端221aから第3助燃性ガス噴出端223aまでの距離dL2を160mmとした(原料ガスの噴出方向に160mm下流側)。第3助燃性ガス噴出端223aの位置が実施例2−1と異なる。
このように設定したバーナ20を用いて、実施例2−1と同様のスート形成条件により、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例2−2に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
図13は、比較例2で用いたバーナの構造を示す図である。
バーナ60は、図13に示すように、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路63内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路61及び助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路62が配置されて構成されている。
原料ガス噴出流路61は、バーナ60の中心(可燃性ガス噴出流路63の中心)に配置されており、この原料ガス噴出流路61の外側に同心状にシールガス噴出流路66が配置されている。
助燃性ガス噴出流路62は、原料ガス噴出流路61の外側に等間隔で環状配置された6個の小口径流路からなる第1助燃性ガス噴出流路621と、第1助燃性ガス噴出流路621の外側に等間隔で環状配置された8個の小口径流路からなる第2助燃性ガス噴出流路622と、第2助燃性ガス噴出流路622の外側に等間隔で環状配置された12個の小口径流路からなる第3助燃性ガス噴出流路623とで構成された三重環構造となっている。
また、可燃性ガス噴出流路63の外側には、シールガスを噴出するシールガス噴出流路64が配置されており、その外側に保護フード67が配置されている。
このように設定したバーナ60を用いて、実施例2−1と同様のスート形成条件により、ターゲットロッド2にスート体を形成した。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、比較例2に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
比較例2における堆積効率及び堆積速度が実施例2−1、2−2より低いのは、可燃性ガスと助燃性ガスによる加熱が過剰となり、焦点近傍で温度が上がり過ぎてガラス微粒子が揮発したためと考えられる。
つまり、第3助燃性ガス噴出端223aは焦点F1近傍に位置しており、第3助燃性ガス噴出流路223が振動することにより焦点F3近傍でガス流が乱れるため、堆積効率が実施例2−1より低下し、また生成されたガラス微粒子のごく一部が第3助燃性ガス噴出端223aの先端に付着したと考えられる。
これより、助燃性ガス噴出流路を複数の焦点を有する多重環構造とする場合、助燃性ガス噴出流路221〜223の噴出端221a〜223aが、焦点F1〜F3より上流側(最も上流側にある焦点F1までの距離(焦点距離LF1)の30〜70%程度、好ましくは50%程度)となるように配置するのが望ましい。
図14は、第3実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナ(以下、バーナ)の一例を示す図である。図14(a)にはバーナの長手方向の断面を模式的に示しており、図14(b)には図14(a)におけるA−A断面を示している。図14において、第2実施形態のバーナ20の構成要素と同一又は対応する構成要素には30番台の符号を付し、重複する説明については省略する。
第3実施形態のバーナ30では、シールガス噴出流路34の外側に、層状の補助助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路35を設けている点が第2実施形態のバーナ20(図12参照)と異なる。その他の助燃性ガス噴出流路32の構成等はバーナ20と同様である。補助助燃性ガス噴出流路35は、噴出端35aが助燃性ガス噴出端321a、322a、323aよりも、原料ガスの噴出方向下流側(例えば原料ガス噴出端から180mm程度)に位置している。
また、補助助燃性ガス噴出流路35を設けたことにより、原料ガス流周りの火炎の変動が抑えられ、バーナ火炎内でのガラス微粒子の合成と堆積が安定するので、さらに堆積効率を向上させることができる。
実施例3−1では、第3実施形態のバーナ30において、第1助燃性ガス噴出端321aから第2助燃性ガス噴出端322aまでの距離dL1を25mmとし(原料ガスの噴出方向に25mm下流側)、第1助燃性ガス噴出端321aから第3助燃性ガス噴出端323aまでの距離dL2を50mmとした(原料ガスの噴出方向に50mm下流側)。
このように設定したバーナ30を用いて、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。具体的には、バーナ30と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端11aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。そして、原料ガスをSiCl4、可燃性ガスをH2、助燃性ガスをO2として、ターゲットロッド2を回転させながらバーナ30を往復移動させ、ターゲットロッド2の外周面にガラス微粒子102を堆積させてスート体3を形成した。このとき、ターゲットロッド2の回転速度を100rpm、バーナ20のトラバース長を2000mmとし、堆積時間は300minとした。また、原料ガス噴出流路31からは原料ガスSiCl4と助燃性ガスであるO2を同量で混合して噴出させ、シールガス噴出流路36からは、シールガス噴出流路36からは、シールガス噴出端(図14(a)のAの位置)における噴出端断面積と噴出量から、ガス温25℃として算出した流速が0.5m/sとなるようシールガス(N2)を供給した。
そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例3−1に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
実施例3−2では、実施例3−1と同様のバーナ30を用いて、ターゲットロッド2にスート体を形成した。このとき、第1〜第3助燃性ガスの流速を33m/sとし、その他の条件は実施例3−1と同様とした。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例3−2に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
実施例3−3では、実施例3−1と同様のバーナ30を用いて、ターゲットロッド2にスート体を形成した。このとき、第1助燃性ガスの流速を32m/s、第2助燃性ガスの流速を36m/s、第3助燃性ガスの流速を36m/sとし、その他の条件は実施例3−1と同様とした。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例3−3に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
また、助燃性ガス噴出流路32を多重環構造とする場合、内側の助燃性ガス速度を外側の助燃性ガス速度よりも速くすることで、より高い堆積効率を実現できることが確認された。なお、第2実施形態のバーナ20においても、同様の効果が得られることはいうまでもない。
図15は、第4実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナ(以下、バーナ)の一例を示す図である。図15(a)にはバーナの長手方向の断面を模式的に示しており、図15(b)には図15(a)におけるA−A断面を示している。図15において、第2実施形態のバーナ20の構成要素と同一又は対応する構成要素には40番台の符号を付し、重複する説明については省略する。
第4実施形態のバーナ40では、第1助燃性ガス噴出流路421から噴出される第1助燃性ガス、第2助燃性ガス噴出流路422から噴出される第2助燃性ガス、第3助燃性ガス噴出流路423から噴出される第3助燃性ガスが、原料ガスの噴出軸AX上において焦点距離LF(例えば200mm)の地点Fで単一の焦点を結ぶように助燃性ガス噴出流路42が傾斜して配置されている点が第2実施形態のバーナ20と異なる。その他の構成についてはバーナ20と同様である。
実施例4では、第4実施形態のバーナ40において、第1助燃性ガス噴出端421aから第2助燃性ガス噴出端422aまでの距離dL1を25mmとし(原料ガスの噴出方向に25mm下流側)、第1助燃性ガス噴出端421aから第3助燃性ガス噴出端423aまでの距離dL2を65mmとした(原料ガスの噴出方向に65mm下流側)。なお、第1助燃性ガス噴出端421aは、原料ガス噴出端とほぼ一致している。
このように設定したバーナ40を用いて、ターゲットロッド2にスート体3を形成した。具体的には、バーナ40と75mmφのターゲットロッド2を対向配置し、堆積中、原料ガス噴出端41aとターゲットロッド2表面との離間距離が300mmとなるように制御した。そして、原料ガスをSiCl4、可燃性ガスをH2、助燃性ガスをO2として、ターゲットロッド2を回転させながらバーナ40を往復移動させ、ターゲットロッド2の外周面にガラス微粒子102を堆積させてスート体3を形成した。このとき、ターゲットロッド2の回転速度を100rpm、バーナ40のトラバース速度を2000mm/minとし、堆積時間は300minとした。また、原料ガス噴出流路41からは原料ガスSiCl4と助燃性ガスであるO2を同量で混合して噴出させ、シールガス噴出流路46からは、シールガス噴出端(図15(a)のAの位置)における噴出端断面積と噴出量から、ガス温25℃として算出した流速が0.5m/sとなるようシールガス(N2)を供給した。
そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、実施例4−1に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
図16は、比較例4で用いたバーナの構造を示す図である。
バーナ70は、図16に示すように、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路73内に、原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路71及び助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路72が配置されて構成されている。
原料ガス噴出流路71は、バーナ70の中心(可燃性ガス噴出流路73の中心)に配置されており、この原料ガス噴出流路71の外側に同心状にシールガス噴出流路76が配置されている。
助燃性ガス噴出流路72は、原料ガス噴出流路71の外側に等間隔で環状配置された7個の小口径流路からなる第1助燃性ガス噴出流路721と、第1助燃性ガス噴出流路721の外側に等間隔で環状配置された8個の小口径流路からなる第2助燃性ガス噴出流路722と、第2助燃性ガス噴出流路722の外側に等間隔で環状配置された12個の小口径流路からなる第3助燃性ガス噴出流路723とで構成された三重環構造となっている。
また、可燃性ガス噴出流路73の外側には、シールガスを噴出するシールガス噴出流路74が配置されており、その外側に保護フード77が配置されている。
このように設定したバーナ70を用いて、実施例4と同様のスート形成条件により、ターゲットロッド2にスート体を形成した。そして、高温で加熱して脱水・焼結することによりスート体3を透明ガラス化し、比較例4に係る光ファイバクラッド用透明ガラス体を作製した。
図17は、第5実施形態に係るガラス微粒子合成用バーナ(以下、バーナ)の一例を示す図である。図17(a)にはバーナの長手方向の断面を模式的に示しており、図17(b)には図17(a)におけるA−A線に沿った断面を示している。
なお、第2実施形態のバーナ20と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
サブバーナ5eのシールガス噴出流路14eは、例えば、特開平7−144927号公報に記載されているスパイラルノズルの技術を適用してなる流路であって、メインバーナ5zの可燃性ガス噴出流路23に向かってある角度をもち、しかもシールガス噴出流路14eの円筒状の内壁の周方向にもある角度をもってシールガスを噴出するように構成されている。具体的には、シールガス噴出流路14eから噴出されるシールガスは、原料ガスの噴出軸AX上において焦点を結ぶようになっている。
このメインバーナ5zとサブバーナ5eは、着脱可能に構成されており、メインバーナ5zとサブバーナ5eの嵌合部分は、例えば、テーパ状の摺り合わせ嵌合構造になっている。このような嵌合構造によって、メインバーナ5zとサブバーナ5eの間の気密性が保持でき、メインバーナ5zとサブバーナ5eの中心軸合わせを容易にできる。
このように、メインバーナ5zの助燃性ガス噴出流路22から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、サブバーナ5eのシールガス噴出流路14eからシールガスを噴出させることによって、バーナ10eの内側に空気が逆流して流入することを防ぐことができる。
また、バーナ10eの内側に空気が流入することによるバーナ10e内でのガスの流れが乱されることを防ぐことで、バーナ先端焼けを防止することができる。
また、メインバーナ5zとサブバーナ5eが着脱可能であるので、メインバーナ5zからサブバーナ5eを取り外して、メインバーナ5z、あるいはサブバーナ5e内に付着したガラス微粒子などを除去する清掃・メンテナンスを容易に行うことが可能になる。
また、メインバーナ5zとサブバーナ5eを着脱可能としたことで、サブバーナ5eのみを交換することが可能になり、比較的低コストでバーナ10eの性能を維持することができる。
第1実施形態では、助燃性ガス噴出流路を一重環構造とした場合について説明したが、助燃性ガス噴出流路を多重環構造とする場合にも本発明を適用できる。また、第2実施形態から第4実施形態では、助燃性ガス噴出流路を三重環構造とした場合について説明したが、助燃性ガス噴出流路を二重環構造とする場合にも本発明を適用できる。
また、ガラス微粒子堆積体の製造方法においては、実施形態のバーナ10(10a〜10h)、20、30、40をターゲットロッドの長手方向に複数台並べて配置するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 ターゲットロッド
3 スート体
5、5z メインバーナ
5a〜5d サブバーナ
10a〜10d ガラス微粒子合成用バーナ
10 ガラス微粒子合成用バーナ
11 原料ガス噴出流路
12 助燃性ガス噴出流路
13 可燃性ガス噴出流路
14 シールガス噴出流路
14e シールガス噴出流路
15 補助助燃性ガス噴出流路
16 シールガス噴出流路
17 保護フード
17c、17g、17h 保護フード
171 テーパ部
172 逆テーパ部
18 エア噴出流路
20 ガラス微粒子合成用バーナ
21 原料ガス噴出流路
22 助燃性ガス噴出流路
221 第1助燃性ガス噴出流路
222 第2助燃性ガス噴出流路
223 第3助燃性ガス噴出流路
23 可燃性ガス噴出流路
24 シールガス噴出流路
26 シールガス噴出流路
Claims (12)
- 原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路と、
この原料ガス噴出流路を取り囲むように環状配置された複数の小口径流路からなり、この小口径流路から助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路と、
前記原料ガス噴出流路及び前記助燃性ガス噴出流路を内包し、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路と、
前記可燃性ガス噴出流路の外側に同心円上に設けられ、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路とを備え、
前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスを噴出させ、この可燃性ガス及び助燃性ガスからなる火炎中に前記原料ガスを供給することにより合成されたガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させるガラス微粒子合成用バーナにおいて、
前記複数の小口径流路から噴出される助燃性ガスが前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路が配置され、
前記外側ガス噴出流路は、シールガスを噴出するシールガス噴出流路と、前記シールガス噴出流路の外側に設けられた助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路を備え、前記シールガス噴出流路および前記補助助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記助燃性ガス噴出流路の噴出端よりも、前記原料ガスの噴出方向下流側に位置していることを特徴とするガラス微粒子合成用バーナ。 - 原料ガスを噴出する原料ガス噴出流路と、
この原料ガス噴出流路を取り囲むように環状配置された複数の小口径流路からなり、この小口径流路から助燃性ガスを噴出する助燃性ガス噴出流路と、
前記原料ガス噴出流路及び前記助燃性ガス噴出流路を内包し、可燃性ガスを噴出する可燃性ガス噴出流路とを備え、
前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスを噴出させ、この可燃性ガス及び助燃性ガスからなる火炎中に前記原料ガスを供給することにより合成されたガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させるガラス微粒子合成用バーナにおいて、
前記助燃性ガス噴出流路が、多重環状構造を有し、
同一環状構造を構成する前記複数の小口径流路から噴出される助燃性ガスが前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路が配置され、
外側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路の噴出端が、内側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路の噴出端よりも、前記原料ガスの噴出方向下流側に位置していることを特徴とするガラス微粒子合成用バーナ。 - 前記多重環構造を構成するそれぞれの助燃性ガス噴出流路が、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で異なる複数の焦点を結ぶように配置され、
前記それぞれの助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記複数の焦点よりも上流側に位置していることを特徴とする請求項2に記載のガラス微粒子合成用バーナ。 - 前記多重環構造を構成するそれぞれの助燃性ガス噴出流路が、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で単一焦点を結ぶように配置され、
前記それぞれの助燃性ガス噴出流路の噴出端が、前記単一焦点よりも上流側に位置していることを特徴とする請求項2に記載のガラス微粒子合成用バーナ。 - 前記可燃性ガス噴出流路の外側に同心円上に設けられ、ガスを層状に噴出する外側ガス噴出流路を備え、前記外側ガス噴出流路は助燃性ガスを噴出する補助助燃性ガス噴出流路を備えることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のガラス微粒子合成用バーナ。
- 前記ガラス微粒子合成用バーナは、メインバーナとサブバーナとを有し、前記サブバーナに前記外側ガス噴出流路が設けられていることを特徴とする請求項1または5に記載のガラス微粒子合成用バーナ。
- 前記外側ガス噴出流路は、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、前記原料ガスの噴出軸上に向けてガスを噴出させることを特徴とする請求項1または5または6に記載のガラス微粒子合成用バーナ。
- 前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、開口端に向かって細くなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項1、または請求項5〜7の何れか一項に記載のガラス微粒子合成用バーナ。
- 前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、開口端に向かって細くなるテーパ部と、前記テーパ部に連続して開口端に向かって太くなる逆テーパ部を備えるくびれ形状を有することを特徴とする請求項1、または請求項5〜7の何れか一項に記載のガラス微粒子合成用バーナ。
- 前記ガラス微粒子合成用バーナは、当該ガラス微粒子合成用バーナの先端部の外側に設けられた保護フードを備え、前記保護フードは、空気を層状に噴出するエア噴出流路を備えており、
前記エア噴出流路は、前記原料ガス噴出流路から噴出される原料ガスの噴出軸上で焦点を結ぶように前記助燃性ガス噴出流路から噴出される助燃性ガスの角度よりも大きな角度で、前記原料ガスの噴出軸上に向けて前記空気を噴出させることを特徴とする請求項1、または請求項5〜9の何れか一項に記載のガラス微粒子合成用バーナ。 - 請求項1から10の何れか一項に記載のガラス微粒子合成用バーナを用いて、可燃性ガス及び助燃性ガスからなる火炎中に前記原料ガス噴出流路から原料ガスを供給することによりガラス微粒子を合成し、合成されたガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させることを特徴とするガラス微粒子堆積体の製造方法。
- 内側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路から噴出させる助燃性ガスの速度を、外側の環状構造を構成する助燃性ガス噴出流路から噴出させる助燃性ガスの速度よりも速くすることを特徴とする請求項11に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
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