JP5618659B2 - 異方性伝熱体およびその製造法 - Google Patents

異方性伝熱体およびその製造法 Download PDF

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Description

本発明は、銅と鋼が層状に積層した複合金属材料からなり、各層に平行な方向の熱伝導性および低熱膨張特性に優れた異方性伝熱体に関する。ここでいう「伝熱体」は、発熱体あるいは高温部材から受け取った熱を、放熱体に伝達するための金属部材である。
パワーモジュールなどに用いられる半導体発熱部品や、自動車用高輝度小型ヘッドランプなどの電装発熱部品は、発生する熱を逃がすために、ヒートシンクなどの放熱体を取り付けて使用されることが多い。放熱体は、発熱体に直接取り付けられる場合や、伝熱体を介して取り付けられる場合がある。このような放熱体や伝熱体には一般にアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れる金属が用いられている。
しかし、アルミニウムは軽量である反面、熱膨張率が大きい。銅も熱膨張率が比較的大きい。このような熱膨張率の大きい金属からなる放熱体や伝熱体を発熱体に取り付けると、その製造過程で放熱体に変形(反り)が生じたり、使用中の昇温により放熱体や伝熱体が変形したりする問題が顕在化することがある。また、最近では高意匠性を付与する観点から電装部品を精緻に配置してパッケージングした自動車電装品ユニット(例えばヘッドランプユニット)が採用されるようになり、その場合には、使用中の熱膨張により放熱体や伝熱体が大きく変形すると電装部品の精緻な配置に狂いが生じ、性能低下が生じる要因ともなる。
特開2009−096023号公報
熱膨張率の小さい金属材料としてはフェライト系の鋼材(普通鋼やフェライト系ステンレス鋼など)が挙げられる。しかし、鋼材は銅やアルミニウムに比較して熱伝導性に劣る。
このように、良好な熱伝導性および低熱膨張特性を両立させることは容易でない。本発明は、発熱体と放熱体との間に位置する伝熱体として、良好な熱伝導性および低熱膨張特性の両立を図った金属材料からなるものを提供することを目的とする。
上記目的は、複数枚の電気銅めっき鋼板を互いの表面同士が密着するように重ね合わせるか、または電気銅めっき鋼板と銅系板状体を互いの表面同士が密着するように交互に重ね合わせて、銅系材料同士の拡散接合により一体化した積層体であって、厚さ0.05〜5.0mmの銅系層と厚さ0.05〜5.0mmの鋼層が交互に合計5層以上積層しており、銅系層を構成する金属が焼鈍状態で85%IACS以上の導電率を呈する化学組成の銅または銅合金であり、銅系層の合計厚さTCu(mm)と鋼層の合計厚さTFe(mm)が下記(1)式および(2)式の関係を満たす積層体からなる、各層に平行な方向の熱伝導性および低熱膨張特性に優れた異方性伝熱体によって達成される。
0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.7 …(1)
Cu+TFe≧1.0 …(2)
本明細書では、この伝熱体の各層に平行な方向を「平行方向」、各層に垂直な方向を「垂直方向」と呼ぶ。また、この伝熱体の各層に平行な方向の端部を「平行方向端部」、各層に垂直な方向の端部を「垂直方向端部」と呼ぶ。
この異方性伝熱体は平行方向への熱伝導性に優れるので、その平行方向端部に放熱体を接続して使用することが効果的である。また、この異方性伝熱体は平行方向の熱膨張率が小さいので、その垂直方向端部に発熱体を接続(搭載)して使用すると、発熱体との間に生じる熱膨張起因の応力を抑制する上で効果的である。
また、放熱性を向上させる手法として、上記の異方性伝熱体において、銅系板状体は拡散接合された積層部分よりも大面積であり、拡散接合された積層部分から各層に平行な方向にはみ出した銅系板状体の部分を利用して冷却フィンを形成したものが提供される。
本発明の異方性伝熱体の製造法としては、複数枚の電気銅めっき鋼板を互いの表面同士が密着するように重ね合わせるか、または電気銅めっき鋼板と銅系板状体を互いの表面同士が密着するように交互に重ね合わせて、0.2〜6.0MPaの積層方向圧力が付与された状態として800〜950℃で拡散接合する方法が好適に採用できる。
本発明によれば、良好な熱伝導性および低熱膨張特性の両立が可能な金属製の伝熱体が実現された。この伝熱体は熱伝導および熱膨張特性に異方性があるので、その特徴をうまく利用すると、半導体チップや電装部品などの発熱部品に付随する放熱構造を、熱膨張による歪が発生しにくい合理的な構造とすることが可能となる。したがって本発明は、電子機器の信頼性向上や、自動車電装品の意匠性向上、性能向上などに寄与しうる。
本発明の異方性伝熱体の断面構造を模式的に例示した図。 本発明の異方性伝熱体において、銅系層の形成に使用した銅系板状体を利用して冷却フィンを形成したタイプの断面構造を模式的に例示した図。 図2中にAと表示した破線枠部分の拡大断面を模式的に示した図。 本発明の異方性伝熱体の垂直方向端部に電装発熱部品が接続され、平行方向端部に放熱体が接続されて使用される場合における各部材の断面構造を模式的に例示した図。 冷却フィンを有する本発明の異方性伝熱体の垂直方向端部に半導体発熱部品が接続されて使用される場合における各部材の断面構造を模式的に例示した図。 Cu/(TCu+TFe)と20〜100℃における熱膨張率の関係を例示したグラフ。 Cu/(TCu+TFe)と20〜300℃における熱膨張率の関係を例示したグラフ。 Cu/(TCu+TFe)と導電率の関係を例示したグラフ。
図1に、本発明の異方性伝熱体の断面構造を模式的に例示する。銅系層1と鋼層2が交互に積層し、異方性伝熱体10を構成している。各層は金属同士が拡散接合等による面接合によって一体化している。各層に平行な「平行方向」を符号3、各層に垂直な「垂直方向」を符号4で表示してある。また「平行方向端部」を符号30、「垂直方向端部」を符号40で表示してある。
発明者らは研究の結果、このような銅系層1と鋼層2が交互に面接合して一体化した金属材料において、各銅系層1の合計厚さTCu(mm)と各鋼層2の合計厚さTFe(mm)が下記(1)式の関係を満たすとき、以下の(i)(ii)に示す特性が発揮されることを見出した。
0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.7 …(1)
(i)平行方向3における熱膨張率(例えば20〜100℃あるいは20〜300℃)が垂直方向4と比べ小さくなり、その平行方向3の熱膨張率はアルミニウム系材料や銅系材料よりも大幅に小さく維持できる。
(ii)平行方向3における熱伝導性が垂直方向4よりも良好であり、その平行方向3の熱伝導性は鋼材よりも大幅に優れ、むしろアルミニウム系材料に近いものとなる。
上記(1)式に代えて下記(1)’式を適用することがより好ましく、下記(1)’’式を適用してもよい。
0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.65 …(1)’
0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.5 …(1)’’
このような金属材料を伝熱体として使用したとき、平行方向3の熱伝導性および低熱膨張特性が垂直方向4よりも顕著に優れるという性質が利用できることから、本明細書ではこの伝熱体を「異方性伝熱体」と呼んでいる。
ただし、各層の積層数が少なすぎると、熱膨張率の小さい鋼層2によって、銅系層1の熱膨張を垂直方向全体にわたって均等に拘束することが難しくなる。種々検討の結果、銅系層1と鋼層2の合計積層数は5層以上とすることが望まれる。図1の例では合計積層数は9である。なお、垂直方向4の両端に配置される層(ただし厚さ0.05〜5.0mmを満たす層)は銅系層1、鋼層2のいずれであっても構わない。また、垂直方向4の両端部の層は同種であっても異種であってもよい。用途に応じて選択可能である。
この異方性伝熱体の垂直方向4における厚さは、銅系層1の合計厚さTCu(mm)と鋼層2の合計厚さTFe(mm)の和で表される。種々検討の結果、垂直方向厚さは下記(2)式を満たすことが望まれる。
Cu+TFe≧1.0 …(2)
これより垂直方向厚さが小さいと、平行方向3における熱流量を十分に確保することが難しくなりやすく、その場合には放熱性が不足する。異方性伝熱体の垂直方向厚さは2.0mm以上、あるいは5.0mm以上に管理してもよい。垂直方向厚さの上限については特に制限はないが、例えば50mm以下の範囲において多くの用途で十分な平行方向の熱伝導が実現できる。
個々の銅系層1および個々の鋼層2の厚さは、いずれも0.05〜5.0mmの範囲とすればよい。これより薄くなると、必要な積層数が多くなることにより製造コストが増大する。一方、個々の銅系層1、鋼層2の厚さが過剰に厚くなると、伝熱体のサイズが過大となりやすい。個々の銅系層1について、厚さの下限を0.1mm以上あるいは0.2mm超えの範囲に、また上限を3.0mm以下あるいは1.0mm以下の範囲に管理することができる。個々の鋼層2についても、厚さの下限を0.1mm以上あるいは0.2mm超えの範囲に、また上限を3.0mm以下あるいは1.0mm以下の範囲に管理することができる。
本発明の異方性伝熱体の形状については特に制限はなく、用途に応じて種々の形状が採用される。例えば異方性伝熱体を垂直方向4の方向に見た断面形状は方形であっても円形であっても構わない。また、平行方向3のうち一方向に長い棒状のものや、垂直方向4の方向に長い棒状のものであっても構わない。
図2に、本発明の異方性伝熱体において、銅系層の形成に使用した銅系板状体を利用して冷却フィンを形成したタイプの断面構造を模式的に例示する。銅系層1と鋼層2が交互に積層し、異方性伝熱体10を構成している。各層が面接合によって一体化している点は図1の場合と同様である。ここでは、積層部分5の外側に、銅系層1を形成するために使用した素材である銅系板状体を利用した冷却フィン6が形成されている。この銅系板状体は、鋼層2を形成するために使用した素材鋼板よりも、垂直方向4から見た面積が大きい。その余分な面積部分で冷却フィン6が構成される。この冷却フィン6により平行方向3に流れた熱が効率的に外部に放出される。したがってこのタイプの異方性伝熱体は、放熱体としての機能を備えている。冷却フィン6は積層部分5より外側の一部領域または全部領域(周囲全体)に設けることができる。
図3に、図2中にAと表示した破線枠部分の拡大断面を模式的に示す。この図は銅系板状体と銅めっき鋼板を拡散接合により面接合することによって得られた異方性伝熱体を例示したものである。すなわち、表面に銅めっき層8を有する銅めっき鋼板7と、銅系板状体9とを交互に積層して拡散接合したものである。この場合、銅系層1の厚さは素材である銅系板状体9に由来する部分と、その両側に位置する銅めっき層8に由来する部分の厚さを合計したものとなる。また鋼層2の厚さは銅めっき鋼板7を構成するめっき原板部分の厚さに相当する。異方性伝熱体を得るための素材として、銅めっき鋼板7よりも大面積の銅系板状体9を用いることによって、積層部分5より外側に銅系板状体9からなる冷却フィン6を形成させることができる。あるいは、冷却フィン6は、銅めっき鋼板7が鋼層2よりも長く突出したものであってもよい。なお、図3において銅めっき層8の厚さは誇張して描いてある。
通常、このような拡散接合によって得られた銅系層1においては、銅系板状体9由来部分と銅めっき層8由来部分はほとんど区別がつかない状態となっている。両者の界面に接合欠陥(微小なボイドなど)が観測される場合もあるが、界面のトータル長さに占める接合欠陥のトータル長さの割合(以下「接合欠陥率」という)が10%以下であれば、異方性伝熱体の強度、垂直方向の熱伝導率、および平行方向の熱膨張率は良好に維持されることが発明者らの調査により確認されている。後述の拡散接合条件に従えば、接合欠陥率が10%以下の異方性伝熱体を安定して得ることができる。
〔銅系層を構成する金属〕
銅系層1を構成する金属は、できるだけ熱伝導率の高い銅または銅合金で構成することが望まれる。熱伝導率の大きさは導電率によって評価することができる。種々検討の結果、本発明では、焼鈍状態で85%IACS以上、好ましくは90%IACS以上の導電率を呈する化学組成の銅または銅合金を銅系層に適用する。銅系層が複数種類の銅系素材を面接合した構造を有する場合は、それぞれの素材が焼鈍状態で85%IACS以上、好ましくは90%IACS以上の導電率を呈する化学組成であればよい。例えば、一般的な電気銅めっき鋼板の銅めっき層や、市販の純銅板は、90%IACS以上の導電率を満たす化学組成を有している。
〔鋼層を構成する金属〕
鋼層2を構成する金属は、できるだけ熱膨張率の低い鋼で構成することが望まれる。具体的には20〜100℃の熱膨張率が13×10-6/℃以下である組織状態の鋼で構成されていることが望ましい。既存の多くの普通鋼やフェライト系ステンレス鋼がこれに該当する。したがって、耐食性や強度などの特性が使用用途に合致する鋼種の中から、適切なものを広く選択することができる。
〔拡散接合〕
本発明の異方性伝熱体においては、銅系層1と鋼層2からなる各層が面接合により一体化されていることが必要である。接合が面接合であることによって、熱伝導性(特に垂直方向4における熱伝導性)が確保されるとともに、銅系層1の平行方向3への熱膨張が鋼層2からの強固な拘束力で顕著に抑制される。そのような面接合を実現する手法としては、銅系素材自体をろう材とするろう付けや、拡散接合が考えられる。しかし、ろう付けの場合は銅系層が溶融凝固するため、寸法精度の高い異方性伝熱体を工業的に得ることは必ずしも容易ではない。一方、銅系材料と鋼材を直接拡散接合するには、高面圧、高温で保持する必要があり、この場合も寸法精度の高い異方性伝熱体を工業的に低コストで得ることは難しい。
発明者らは種々検討の結果、銅系材料同士の拡散接合を利用すると、低い面圧で精度の高い面接合が可能であることを見出した。具体的には、素材として銅めっき鋼板を使用することが極めて好適である。この場合、銅めっき工程において、鋼材と銅系材料とのタイトな面接合が既に実現されている。銅めっきの手法としては、例えば電気めっき、化学めっき、気相めっき等が採用できるが、なかでも電気銅めっき法は比較的高速かつ経済的にめっき層を形成することができ、めっき厚さのコントロールも容易であることから、大量生産には適している。銅めっき層の厚さは片面当たり例えば2〜100μmの範囲で調整すればよい。
銅めっき鋼板は、鋼板の両面に銅めっきを施したものであっても、片面に銅めっきを施したものであってもよい。両面に銅めっきを施したものである場合、両面の銅めっき厚さがほぼ同一でもあってもよいし、異なる厚さであってもよい。
なお、めっき原板としてステンレス鋼板を使用する場合は、電気銅めっきの前処理としてニッケルストライクめっきを施すことが、銅めっき密着性を向上させる上で有利となる。ニッケルストライクめっきの付着量は通常1μm以下とすればよい。ニッケルストライクめっき層は拡散接合後において観測されないこともある。観測される場合には、ニッケルストライクめっき層の厚さは銅系層1の一部を構成するものとみなして構わない。
銅めっき層からの銅系材料のみで銅系層1に必要な金属の全量が賄える場合には、銅めっき鋼板同士を直接積層して拡散接合してもよい。一方、銅めっき層からの銅系材料のみでは銅系層1の所定厚さが得られない場合や、図2に示したような冷却フィンを形成させる場合には、銅系板状体を使用し、銅系板状体と銅めっき層の間での拡散接合を行う。銅系板状体としては、所定の厚さに圧延された銅シートを採用すればよい。
拡散接合は、積み重ねた材料に0.2〜6.0MPaの面圧を付与した状態で行うことができる。ここで、面圧とは、拡散接合される面に付与される垂直方向(積層方向)の平均圧力である。保持温度は780〜1000℃の範囲で選択すればよい。800〜950℃の範囲とすることがより好ましい。低温の場合には、比較的高い面圧を付与することが望ましい。雰囲気は10Pa以下の減圧雰囲気とする。1Pa以下とすることがより好ましく、0.5Pa以下とすることが一層好ましい。上記温度に保持する時間は高面圧・高温ほど短縮できる。付与する面圧と加熱温度に応じて、例えば30〜300minの範囲で適正保持時間を設定すればよい。適正保持時間は予備実験のデータに基づいて設定することができる。所定時間の加熱保持が終了した後、材料温度が200℃以下となるまでは外気を遮断した炉内で冷却することが好ましい。
〔使用態様〕
図4に、本発明の異方性伝熱体の垂直方向端部に電装発熱部品が接続され、平行方向端部に放熱体が接続されて使用される場合における各部材の断面構造を模式的に例示する。銅系層1と鋼層2からなる異方性伝熱体10の垂直方向端部40に、電装発熱部品21と、それを保持する台座22で構成される発熱体が対をなして搭載されている。また、異方性伝熱体10の平行方向端部30には、放熱体23が取り付けられている。放熱体23は例えばアルミニウム製のヒートシンクであり、平行方向端部30の一部領域または全部領域(周囲全体)に設けられる。電装発熱部品21からの熱が異方性伝熱体10に伝わると、異方性伝熱体10の温度が上昇する。その際、異方性伝熱体10は平行方向3における熱膨張率が小さいために、2つの電装発熱部品21は、間隔や、伝熱体の反りによる角度差が小さく抑えられ、所定の性能が精度良く維持される。また、異方性伝熱体10に導入された熱は平行方向3に良好に伝導し、放熱体23から外部へ効率的に放出される。
図5に、冷却フィンを有する本発明の異方性伝熱体の垂直方向端部に半導体発熱部品が接続されて使用される場合における各部材の断面構造を模式的に例示する。銅系層1と鋼層2からなる異方性伝熱体10において、積層部分5の平行方向外側に銅系層1を形成するために使用した素材である銅系板状体(図3の符号9)を利用した冷却フィン6が形成されている。冷却フィン6は積層部分5の平行方向外側の一部領域または全部領域(周囲全体)に設けられる。この異方性伝熱体10の垂直方向端部40に、半導体発熱部品24を搭載した半導体搭載基板25が緩衝材26を介してろう付けにより取り付けられている。この場合、半導体発熱部品24、半導体搭載基板25および緩衝材26によって発熱体が構成されている。セラミックスを主体とする半導体搭載基板25は金属材料よりも熱膨張率が小さいため、従来、アルミニウムや銅からなる放熱体(ヒートシンク)と接合する際に、ろう付け時の熱膨張差により放熱体に「反り」が生じやすいという問題があった。しかし、本発明の異方性伝熱体10は平行方向3への熱膨張率が鉄合金並みに低く抑えられているので「反り」の問題は大幅に軽減される。また、この異方性伝熱体10に導入された熱は、平行方向3への熱伝導が良好であるという性質を利用して冷却フィン6に良好に伝導し、外部へ効率的に放出される。
素材として、以下のものを用意した。
・板厚4.0mmのS55C(JIS規格相当品)プレート
・板厚0.25mmのS55C(JIS規格相当品)シートの両面に片面当たり10μmの電気銅めっきを施した銅めっき鋼板
・厚さ0.08mm、0.25mmの各純銅シート
・板厚4.0mmの純銅プレート
銅めっき鋼板同士を積み重ねるか、あるいは銅めっき鋼板と純銅シートを交互に積み重ねて、面圧2.0MPa、温度900℃の条件で拡散接合を行い、垂直方向厚さが20mmを超える積層体を得た。断面観察により、何れの積層体も接合欠陥率(前述)は10%以下であることが確認された。各積層体から、4mm×4mm×20mmの棒状試料を切り出した。その際、各積層体から長手方向が平行方向(図1の符号3)となる試料および垂直方向(図1の符号4)となる試料を作製した。また、純銅プレートおよびS55Cプレートからバルク材として4mm×4mm×20mmの棒状試料を切り出した。
これらの試料について以下のように熱膨張率と導電率を測定した。
〔熱膨張率の評価〕
縦型熱膨張計(真空理工社製DL−7000)を用いて、昇温速度10℃/minにて20〜100℃間の熱膨張率、および20〜300℃の熱膨張率を求めた。その結果を図6、図7に示す。積層体においては、水平方向と垂直方向で熱膨張率は異方性を呈することがわかる。銅系層の合計厚さをTCu(mm)、鋼層の合計厚さをTFe(mm)とするとき、TCu/(TCu+TFe)の値(すなわち垂直方向厚さに占める銅層の割合)が0から増大すると熱膨張率は上昇していくが、水平方向における熱膨張率はTCu/(TCu+TFe)が0.7となっても、依然として銅系材料より鋼材に近い低熱膨張性が維持される。
〔熱伝導性の評価〕
熱伝導性の評価に代えて、ここでは容易に測定できる導電率を評価した。これは、金属材料の電気伝導率と熱伝導率の間には、次の関係が成り立つためである。
K/σ=LT
ここで、
K :熱伝導率
σ :電気伝導率
L :ローレンツ定数 2.44×10-8 WΩK-2
T :絶対温度
この式は、金属の種類を問わず温度が同じであれば、K/σの値はほぼ同じであることを示しており、ヴィーデマン・フランツ則として知られている。すなわち、導電率(電気伝導率)が高い材料は、熱伝導率も高いことになる。これは、金属の場合、熱伝導と電気伝導の両方の大部分を自由電子が担うためである。これを利用して、導電率を評価することにより、熱伝導率の傾向を把握することが可能である。
図8に、試料長手方向に測定した導電率(IACSに対する比率)を示す。積層体においては、水平方向と垂直方向で導電率すなわち熱伝導性は異方性を呈することがわかる。垂直方向については、全体の厚さに占める銅層の割合すなわちTCu/(TCu+TFe)が0.6程度までは鋼バルク材に対する導電率の向上効果はあまり見られない。これに対し平行方向ではTCu/(TCu+TFe)の増大に伴って導電率は直線的に向上する。垂直方向の導電率すなわち熱伝導性は、TCu/(TCu+TFe)が0.4以上であれば、鋼材よりもむしろアルミニウム系材料に近いものとなる。
1 銅系層
2 鋼層
3 平行方向
4 垂直方向
5 積層部分
6 冷却フィン
7 銅めっき鋼板
8 銅めっき層
9 銅系板状体
10 異方性伝熱体
21 電装発熱部品
22 台座
23 放熱体
24 半導体発熱部品
25 半導体搭載基板
26 緩衝材
30 平行方向端部
40 垂直方向端部

Claims (6)

  1. 複数枚の電気銅めっき鋼板を互いの表面同士が密着するように重ね合わせるか、または電気銅めっき鋼板と銅系板状体を互いの表面同士が密着するように交互に重ね合わせて、銅系材料同士の拡散接合により一体化した積層体であって、厚さ0.05〜5.0mmの銅系層と厚さ0.05〜5.0mmの鋼層が交互に合計5層以上積層しており、銅系層を構成する金属が焼鈍状態で85%IACS以上の導電率を呈する化学組成の銅または銅合金であり、銅系層の合計厚さTCu(mm)と鋼層の合計厚さTFe(mm)が下記(1)式および(2)式の関係を満たす積層体からなる、各層に平行な方向の熱伝導性および低熱膨張特性に優れた異方性伝熱体。
    0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.7 …(1)
    Cu+TFe≧1.0 …(2)
  2. 鋼層の厚さが0.2mmを超え5.0mm以下である請求項1に記載の異方性伝熱体。
  3. 積層体に導入された熱を各層に平行な方向の端部(平行方向端部)へ逃がすように、平行方向端部に放熱体が接続されて使用される請求項1または2に記載の異方性伝熱体。
  4. 各層に垂直な方向の端部(垂直方向端部)に発熱体が接続されて使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性伝熱体。
  5. 複数枚の電気銅めっき鋼板と銅系板状体を互いの表面同士が密着するように交互に重ね合わせて、銅系材料同士の拡散接合により一体化した積層体であって、厚さ0.05〜5.0mmの銅系層と厚さ0.05〜5.0mmの鋼層が交互に合計5層以上積層しており、銅系層を構成する金属が焼鈍状態で85%IACS以上の導電率を呈する化学組成の銅または銅合金であり、銅系層の合計厚さTCu(mm)と鋼層の合計厚さTFe(mm)が下記(1)式および(2)式の関係を満たし、銅系板状体は拡散接合された積層部分よりも大面積であり、拡散接合された積層部分から各層に平行な方向にはみ出した銅系板状体の部分を利用して冷却フィンを形成した異方性伝熱体。
    0.4≦TCu/(TCu+TFe)≦0.7 …(1)
    Cu+TFe≧1.0 …(2)
  6. 複数枚の電気銅めっき鋼板を互いの表面同士が密着するように重ね合わせるか、または電気銅めっき鋼板と銅系板状体を互いの表面同士が密着するように交互に重ね合わせて、0.2〜6.0MPaの積層方向圧力が付与された状態として800〜950℃で拡散接合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性伝熱体の製造法。
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