以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機等のその他の遊技機であってもよく、遊技盤の表面側に形成された遊技領域に遊技球を発射することにより遊技が行なわれ、当該遊技領域に、所定の電気部品、および、遊技球の軌道を変えるための障害釘が設けられた遊技機であればよい。
〔第1実施形態〕
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
パチンコ遊技機1は、遊技媒体としての遊技球を用いて所定の遊技を行なう遊技機であり、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠11とで構成される。遊技枠11は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠2aと、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。前面枠2aの前面側の上部には、額縁状に形成されたガラス扉枠2が開閉可能に設けられている。ガラス扉枠2は、後述する遊技盤6の遊技領域7をほぼ透視し得る開口部としての円形透視窓が開設され、該円形透視窓の裏面から複層ガラス板が装着されるようになっている。遊技は、ガラス扉枠2が閉じられた状態で行なわれる。
パチンコ遊技機1による遊技は、遊技者が操作ハンドル5により打球発射操作をすることに応じて、遊技球を打球発射装置(図示省略)により発射し、後述する遊技盤6の表面側に形成された遊技領域7に遊技球を打込むことにより行なわれる。打球発射装置は、操作ハンドル5が取付けられた部分において、パチンコ遊技機1の内部に設けられている。前面枠2aの前面側の下部においては、ガラス扉枠2の下部に位置する態様で、遊技に用いる遊技球を貯留し、打球発射装置による遊技球の発射位置に球を供給する貯留装置としての打球供給皿(上皿)3が設けられている。
また、前面枠2aの前面側において、打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4が前面側に突出して設けられている。
打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように遊技盤6の表面に円形状に立設された打球レール42を通って遊技領域7の上方に放出され、その後、遊技領域7を流下する。
そして、遊技球が予め定められた入賞領域に進入すれば、入賞となって、景品遊技媒体としての遊技球(以下、賞球という)の払出条件が成立する。その払出条件が成立したことに基づいて、賞球が球払出装置(図示省略)から払出される。球払出装置は、払出モータを駆動することにより遊技球を払出す動作を行なう払出手段である。
前面枠2aの背面には、遊技枠の一部を構成するプラ枠(図示せず)がある。プラ枠は、機構板を含み、機構板に電源回路(図示せず)およびスピーカ27等の部品が取付けられている。また、遊技枠のプラ枠には、遊技枠11と遊技盤6との間の配線を中継する中継基板(図示せず)が設けられている。また、遊技枠11においては、前面枠2aの裏面側に形成される遊技盤収納枠部に収容固定される態様で、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた電気部品(後述する変動表示装置9、演出表示装置91〜93、装飾ランプ25、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、第4通常入賞口39、普通図柄表示器10、始動入賞装置15、および、特別可変入賞球装置20等の電気部品)等の種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7においては、遊技球の軌道を変えるための障害釘60が、遊技盤6の面に対して直交方向(交差方向)に打込まれた態様で、多数植設されている。障害釘60は、導電性を有する金属により構成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。また、変動表示装置9の上部には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行なう。変動表示装置9は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ(図示省略)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。
特別図柄表示器8は、たとえば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に当りの種類を把握しづらくさせるために、0〜99など、より多種類の数字を変動表示するように構成されていてもよい。また、変動表示装置9は、液晶表示装置よりなる画像表示装置で実現されている。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、飾り図柄の変動表示を行なう。
なお、本実施の形態においては、変動表示装置9は、液晶表示装置を用いた例について説明するが、これに限らず、変動表示装置9は、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス、7セグメントLED等のLED(Light Emitting Diode)、エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管等のその他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。また、変動表示装置9は、回転ドラム式表示装置等の機械式の表示装置であってもよい。
変動表示装置9の下方には、遊技球を受入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13,13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常に遊技球の進入(受入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13,13が設けられているため、可動片13,13が閉状態であるときに遊技球の進入(受入れ)が不可能な状態となり、可動片13,13が開状態であるときに遊技球の進入(受入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
なお、始動入賞装置15は、可動片13,13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであってもよく、可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであってもよい。
始動入賞装置15の可動片13,13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13,13が開状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13,13が閉状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
変動表示装置9の下部には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。なお、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしてもよく、4個よりも少ない値にしてもよい。
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出された後カウントスイッチ23で検出され、他方の領域に入った遊技球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド21Aも設けられている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、たとえば、変動表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13,13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、遊技球を受入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29への遊技球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30への遊技球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。第3通常入賞口33への遊技球の入賞は、第3入賞口スイッチ33aによって検出される。第4通常入賞口39への遊技球の入賞は、第4入賞口スイッチ39aによって検出される。なお、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、遊技球を受入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。
変動表示送信の右側方には、変動表示装置9よりも小型の表示領域を備えた液晶表示装置により構成される2つの演出表示装置91,92と、演出表示装置91,92と同様の表示領域を備えたLED表示装置により構成される1つの演出表示装置93とが縦に並ぶ態様で設けられている。これら演出表示装置91〜93は、遊技の演出を行なうために用いられ、演出用の各種の画像を表示する。
遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、遊技領域7の外側において、左側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ51が設けられ、右側方には、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。
パチンコ遊技機1の側方には、遊技者所有の記録媒体としてのプリペイドカード(磁気カードよりなる)を受付け(挿入口に挿入される)、そのプリペイドカードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技用価値としての残額(残高ともいう)の使用に基づいて貸球としての遊技球を遊技者に貸出す(貸与する)ための処理を行なう記録媒体処理装置であるプリペイドカードユニット(以下、単に「カードユニット」という。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される。カードユニットには、たとえば、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、カードユニットがいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニット内にプリペイドカードが投入(挿入)されていることを示すカード投入表示ランプ、および、プリペイドカードが挿入されるカード挿入口等が設けられている。このように貸出す遊技球は、払出モータを駆動することにより遊技球を払出す動作を行なう球払出装置(図2参照)を駆動する制御を行なうことにより、払出される。このように貸出された遊技球により、パチンコ遊技機1での遊技球を用いた遊技が可能となる。カードユニットには、プリペイドカードの処理に関する制御および貸し球の貸出しに関する制御等の各種制御を行なうためのカードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。なお、カードユニットの機能は、パチンコ遊技機1に内蔵してもよい。
そして、パチンコ遊技機1においては、遊技者が操作ハンドル5を操作することにより、打球供給皿3に貯留された遊技媒体である遊技球を弾発発射し、その遊技球を遊技盤6に形成された遊技領域7に打込んで、以下に説明するような所定の遊技が行なわれる。そして、遊技において遊技領域7に設けられた各種入賞領域へ遊技球が受入れられて入賞が生じれば、払出条件が成立し、その払出条件が成立したことに基づいて景品として、景品遊技媒体である賞球(遊技球)が打球供給皿3に払出される。このような賞球は、前述の球払出装置を駆動する制御を行なうことにより、払出される。このように、球払出装置97は、貸し球の払出しと賞球の払出しとのそれぞれに用いられる。球払出装置97には、遊技機の裏面側上部に設けられた遊技球の貯留手段である球タンク(図10参照)から、払出すための遊技球が供給される。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レール42を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間(たとえば30秒)経過するまで、または、所定個数(たとえば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、たとえば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。なお、V入賞領域を設けずに、各ラウンドにおいて無条件で継続権が発生するように制御してもよい。
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後において、大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
また、特別図柄表示器8での変動表示の停止時における特別図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、変動表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(たとえば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および飾り図柄の変動表示が所定回数(100回)行なわれるまでの、いずれか早い方の条件が成立するまで継続される。
また、入賞に応じた遊技球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13,13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだ遊技球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出される遊技球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。たとえば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施の形態の場合では、たとえば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
変動表示装置9において変動表示される飾り図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、たとえば、特別図柄の変動表示が開始されたときに飾り図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに飾り図柄の表示結果が導出表示されて飾り図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、変動表示装置9により、左,中,右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および飾り図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
特別図柄表示器8と変動表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
図2は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、パチンコ遊技機1に搭載されている払出制御基板37、ランプドライバ基板35、音声出力基板700、インタフェース基板66、中継基板77、演出制御基板80、および、電源基板610も示されている。
主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ560と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、および、第4入賞口スイッチ39aからの信号の他、電源断信号およびクリア信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58と、始動入賞装置15の可動片13,13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド21Aを遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって各種の情報信号をホール管理コンピュータ等のパチンコ遊技機1の外部に設けられた装置に出力する情報出力回路53とが搭載されている。情報出力回路53から出力された情報信号は、パチンコ遊技機1の外部に出力される。
情報出力回路53から出力される情報信号としては、確変大当り、非確変大当り等の大当りの種類を特定した大当りの発生を示す信号等の所定の情報信号が含まれる。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行なうプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート506を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、CPU56の他に少なくともRAM55が内蔵されていればよい。また、ROM54およびI/Oポート506は、外付けであっても内蔵されていてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ560においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ560で実現されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
乱数回路は、特別図柄および飾り図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、256)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。また、確変とするか否かを決定するための確変判定、特別図柄の変動表示結果となる図柄の決定、および、特別図柄の変動パターンの決定等、大当り判定以外の各種制御にも乱数値が用いられるが、これらの乱数値は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するソフトウェアに数値データを更新するランダムカウンタを用いて生成される。なお、乱数回路が発生させた乱数は、前述の確変判定、図柄の決定、および、変動パターンの決定等、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いてもよい。
乱数回路は、ユーザによる数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および、数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能により、乱数回路は、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を2の7乗(=128)分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラ502は、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ560をシステムリセットする。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、発生可能な乱数の値の範囲が異なる2つの乱数回路を搭載する。第1の乱数回路は、12ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、12ビット乱数回路ともいう)である。12ビット乱数回路は、12ビットで発生できる範囲(すなわち、1から4095までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。また、第2の乱数回路は、16ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、16ビット乱数回路ともいう)である。16ビット乱数回路は、16ビットで発生できる範囲(すなわち、1から65535までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。2つの乱数回路は、予め選択されたどちらか一方の回路が乱数の発生に用いられる。
なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560が2つの乱数回路を内蔵する場合を説明するが、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1つの乱数回路を内蔵してもよく、3以上の乱数回路を内蔵してもよい。また、この実施の形態では、12ビット乱数回路および16ビット乱数回路を包括的に表現する場合、または、12ビット乱数回路と16ビット乱数回路とのうちいずれかを指す場合に、乱数回路という。
また、RAM55は、その一部または全部が後述する電源基板610において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを、遊技の進行状態を示すデータと定義する。この実施の形態では、RAM55の全部の記憶領域が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ560のリセット端子には、後述する電源基板610からのリセット信号が入力される。また、払出制御用マイクロコンピュータのリセット端子にも、後述する電源基板610からのリセット信号が入力される。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ560および払出制御用マイクロコンピュータは動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ560および払出制御用マイクロコンピュータは動作停止状態になる。したがって、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ560および払出制御用マイクロコンピュータの動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ560および払出制御用マイクロコンピュータの動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(主基板31を含む)に搭載してもよいし、複数の電気部品制御基板のうち一つまたは複数にリセット回路を搭載し、そこからリセット信号を他の電気部品制御基板に供給するようにしてもよい。
さらに、払出制御基板37を経由して、後述する電源基板610からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力ドライバ回路58に入力される。電源断信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力ドライバ回路58に入力される。クリア信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートに入力される。
また、クリア信号は、主基板31において分岐され、払出制御基板37にも供給される。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560が入力ポートを介して入力したクリア信号の状態を、出力ポートを介して払出制御基板37に出力してもよい。
主基板31と演出制御基板80との間には、演出制御コマンドを送信するための8本の信号線と、ストローブ信号を送信するための演出制御INT信号の信号線とが設けられている。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、ランプ制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御基板80には、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、変動表示装置9等での表示制御を行なう演出制御用マイクロコンピュータ100等の電気部品制御手段が搭載されている。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、表示制御用のプログラム等を記憶するROM84と、ワークメモリとして使用されるRAM85と、プログラムにしたがって表示制御動作を行なうプロセッサであるCPU86と、I/Oポート87とを含む。この演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御コマンドに応じて、変動表示装置9の変動表示等の各種表示の演出に関する制御と、演出表示装置91,92での演出に関する制御と、演出表示装置93、賞球ランプ51、球切れランプ52、装飾ランプ25、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cの制御(ランプ制御)と、スピーカ27を用いた遊技音発生制御(音制御)とを含む各種演出に関する制御を行なう。
演出制御用マイクロコンピュータ100では、演出制御INT信号により示された取込みタイミングで、演出制御コマンドを受信する。そして、演出制御用マイクロコンピュータ100では、受信した演出制御コマンドが示す演出に対応して行なうべき表示制御、音制御およびランプ制御をするために、変動表示装置9の表示制御、演出表示装置91,92の表示制御、および、スピーカ27の駆動信号および各種ランプの駆動信号を出力する。このような構成においては、演出制御コマンドに基づいて演出制御が行なわれるときに、演出制御用マイクロコンピュータ100により、変動表示装置9の表示制御に合せて、演出表示装置91,92の表示制御、音制御およびランプ制御が行なわれる。つまり、演出制御用マイクロコンピュータにおいて、演出制御コマンドに基づいて変動表示装置9の表示制御を行なうとともに、その表示制御内容に対応する演出表示装置91,92の表示制御、音制御およびランプ制御を行なうことにより、変動表示装置9の表示制御の演出に合せた(同期した)表示制御、音制御およびランプ制御が行なわれるのである。
演出制御基板80には、演出制御用マイクロコンピュータ100の他に、VDP、キャラクタROM、および、VRAM(図示省略)が搭載されている。VDPは、画像表示を行なう表示制御機能および高速描画機能を有する処理装置であり、変動表示装置9の表示制御を行なう。さらに、VDPは、演出表示装置91,92の表示制御を行なう。CPU86は、受信した演出制御コマンドに従って、VDPに、表示制御用のコマンドに応じた画像表示をするための制御データを送信する。そして、そのように送信された制御データに従った画像表示をするために、VDPがキャラクタROMから必要なデータを読出す。キャラクタROMは、変動表示装置9および演出表示装置91,92に表示する画像データを予め格納しておくためのものである。
VDPは、CPU86とは独立した二次元のアドレス空間を持ち、そこにVRAMをマッピングしている。VDPは、キャラクタROMの画像データに従って、変動表示装置9および演出表示装置91,92に表示するための画像データを生成し、VDPはVRAMに画像データを展開する。VRAMはVDPによって生成された画像データを展開するためのフレームバッファメモリである。VRAMに展開された画像データは、変動表示装置9および演出表示装置91,92に出力される。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、音声出力基板700にスピーカ27の駆動信号を出力することにより、スピーカ27から効果音等の音声を出力させる制御を行なう。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ランプドライバ基板35に各種発光手段の駆動信号を出力することにより、前述のような発光手段の制御を行なう。これにより、変動表示装置9での演出表示に対応して(同期して)、音の制御および発光制御が行なわれる。
なお、演出制御コマンドを送信するための信号線としては、前述の8本というようなパラレル信号線を用いる構成に代えて、1本の信号線、すなわち、シリアル信号線を用いる構成を採用してもよい。シリアル信号線を用いる場合には、演出制御コマンドをシリアルデータとし、そのシリアルデータの送信前にローレベル信号のスタートビットを送信し、そのシリアルデータの送信後にハイレベル信号のストップビットを送信する。このようなスタートビットとストップビットとにより演出制御コマンドの取込みタイミングが示されるので、演出制御用マイクロコンピュータ100では、スタートビットとストップビットとの間に送信されたシリアルデータを演出制御コマンドとして受信する。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aのいずれかがオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す賞球制御信号としての払出制御コマンドを出力する。たとえば、カウントスイッチ23により検出される大入賞口への1個の入賞球に対して払出される賞球個数が15個、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aへの1個の入賞球に対して払出される賞球個数が10個、第1始動口スイッチ14aおよび第2始動口スイッチ14bへの1個の入賞球に対して払出される賞球個数が4個というように、賞球個数を示す払出制御コマンドが出力される。払出制御用マイクロコンピュータにおいては、遊技制御用マイクロコンピュータ560からの払出制御コマンドに基づく賞球個数を未払出数に加算し、球払出装置97を駆動して未払出数分の賞球を払出す制御を行なう。また、図示を省略するが球払出装置97から払出した遊技球の個数を検出する払出個数カウントスイッチが設けられており、その払出個数カウントスイッチからの払出検出信号に基づいて、払出制御用マイクロコンピュータは、払出した数を前述の未払出数から減算することにより、未払出数を管理する。
カードユニット50は、インタフェース基板66を介して払出制御基板37に接続されている。カードユニット50と払出制御基板37の間では、インタフェース基板66を介して、カードユニット50と払出制御基板37の間では、インタフェース基板66を介して、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372fおよび出力ポート372dを介して送受信される。このような信号がカードユニット50と払出制御基板37との間でやりとりされることに基づいて、球払出装置97が駆動制御され、遊技球の貸出しが行なわれる。
また、払出制御基板37では、予め定められた遊技球の発射許可条件が成立しているか否かを判断し、遊技球の発射を許可するときには、発射許可信号を発射制御基板107に送信する。発射制御基板107には、発射モータ601を駆動するための回路である発射モータ駆動回路1071等の回路が設けられている。さらに、発射制御基板107には、タッチセンサ110および単発発射スイッチ109からの信号がそれぞれ与えられる。
発射制御基板107では、発射許可信号を受信しているときにおいて、遊技者が操作ハンドル70に触れることによりタッチセンサ110からのタッチ検出信号がオン状態になると、発射制御基板107の発射モータ駆動回路1071から発射モータ601に、発射モータ601を駆動するための駆動信号が出力される。また、発射モータ601が駆動されているときにおいて、遊技者が操作ハンドル70から手を離すことによりタッチセンサ110からのタッチ検出信号がオフ状態になると、発射制御基板107は、発射モータ601を駆動するために発射モータ駆動回路1071から出力される駆動信号を停止させる。
また、発射モータ601が駆動されているときにおいて、単発発射スイッチ109が押圧操作されて、単発発射スイッチ109からの単発発射スイッチ検出信号がオン状態となっているときには、発射モータ駆動回路1071は、発射モータ601を駆動するための駆動信号の出力を停止させる。そして、単発発射スイッチ109の押圧操作が解除されて、単発発射スイッチ109からの単発発射スイッチ検出信号がオフ状態となったときには、発射モータ駆動回路1071は、発射モータ601を駆動するための駆動信号の出力を再開させる。
電源基板610は、パチンコ遊技機1に設けられ、交流電源に接続され、パチンコ遊技機1内の各種電気部品へ各種の電源電力を供給するための基板である。電源基板610は、たとえば、主基板31、払出制御基板37、および、演出制御基板80等の各種基板の他、各種機構部品等の各種の電気部品への電源電力を供給する。
次に、電源基板610の構成を図3および図4のブロック図を参照して説明する。図3および図4は、電源基板610における直流電圧作成部分を示すブロック図である。
電源基板610には、遊技機内の各電気部品制御基板や機構部品等の各種電気部品への電力供給を実行または遮断するための電源スイッチ914が設けられている。なお、電源スイッチ914は、パチンコ遊技機1において、電源基板610の外に設けられていてもよい。電源スイッチ914が閉状態(オン状態)では、交流電源(AC24V)がトランス911の入力側(一次側)に印加される。トランス911は、交流電源(AC24V)と電源基板610の内部とを電気的に絶縁するためのものであるが、その出力電圧もAC24Vである。また、トランス911の入力側には、過電圧保護回路としてのバリスタ918が設置されている。なお、トランス911は、電源基板610上ではなく、電源基板610の外部に設けられてもよい。
電源基板610は、電気部品制御基板(主基板31、払出制御基板37および演出制御基板80)と独立して設置され、遊技機内の各電気部品制御基板および機構部品等の各種電気部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、VSL(DC+34V)、VLP(DC+24V)、VDD(DC+12V)およびVCC(DC+5V)を生成する。また、バックアップ電源(VBB)すなわちバックアップRAMに記憶内容を保持させるための記憶保持手段となるコンデンサ916は、DC+5V(VCC)すなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。また、+5Vラインとバックアップ+5V(VBB)ラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。なお、VSLは、整流平滑回路915において、整流素子でAC24Vを整流昇圧することによって生成される。VSLは、ソレノイド駆動電源となる。また、VLPは、ランプ点灯用の電圧であって、整流回路912において、整流素子でAC24Vを整流することによって生成される。
電源電圧生成手段としてのDC−DCコンバータ913は、1つまたは複数のレギュレータIC(図3では2つのレギュレータIC924A,924Bを示す。)を有し、VSLに基づいてVDDおよびVCCを生成する。レギュレータIC(スイッチングレギュレータ)924A,924Bの入力側には、比較的大容量のコンデンサ923A,923Bが接続されている。従って、外部からの遊技機に対する電力供給が停止したときに、VSL、VDD、VCC等の直流電圧は、比較的緩やかに低下する。
図4に示すように、トランス911から出力されたAC24Vは、そのままコネクタ922Aに供給される。また、VLPは、過電流の供給を防止する過電流防止手段としてのヒューズF01を介してコネクタ922Bに供給される。また、ヒューズF01のコネクタ922B側とグラウンド(接地電位)との間には、LED(LD01)と抵抗(R01)の直列体が接続されている。
VSLは、ヒューズF02を介してコネクタ922Aに供給される。ヒューズF02のコネクタ922A側とグラウンドとの間には、LED(LD02)と抵抗(R02)の直列体が接続されている。また、VSLは、ヒューズF03を介してコネクタ922Bに供給される。ヒューズF03のコネクタ922B側とグラウンドとの間には、LED(LD03)と抵抗(R03)の直列体が接続されている。さらに、VSLは、ヒューズF04を介してコネクタ922Cに供給される。ヒューズF04のコネクタ922C側とグラウンドとの間には、LED(LD04)と抵抗(R04)の直列体が接続されている。
VDDは、ヒューズF05を介してコネクタ922Aに供給される。ヒューズF05のコネクタ922A側とグラウンドとの間には、LED(LD05)と抵抗(R05)の直列体が接続されている。また、VDDは、ヒューズF06を介してコネクタ922Bに供給される。ヒューズF06のコネクタ922B側とグラウンドとの間には、LED(LD06)と抵抗(R06)の直列体が接続されている。さらに、VDDは、ヒューズF07を介してコネクタ922Cに供給される。ヒューズF07のコネクタ922C側とグラウンドとの間には、LED(LD07)と抵抗(R07)の直列体が接続されている。
VCCは、ヒューズF08を介してコネクタ922Aに供給される。ヒューズF08のコネクタ922A側とグラウンドとの間には、LED(LD08)と抵抗(R08)の直列体が接続されている。また、VCCは、ヒューズF09を介してコネクタ922Bに供給される。ヒューズF09のコネクタ922B側とグラウンドとの間には、LED(LD09)と抵抗(R09)の直列体が接続されている。さらに、VCCは、ヒューズF10を介してコネクタ922Cに供給される。ヒューズF10のコネクタ922C側とグラウンドとの間には、LED(LD10)と抵抗(R10)の直列体が接続されている。
なお、コネクタ922Aに接続されるケーブルは、払出制御基板37に接続される。また、コネクタ922Bに接続されるケーブルは、演出制御基板80に接続される。そして、コネクタ922Cに接続されるケーブルは、主基板31に接続される。従って、コネクタ922Cには、VBBも供給されている。
また、電源基板610には、押しボタン構造のクリアスイッチ921が搭載されている。クリアスイッチ921が押下されるとローレベル(オン状態)のクリアスイッチ信号が出力され、コネクタ922Cを介して主基板31に送信される。また、クリアスイッチ921が押下されていなければハイレベル(オフ状態)の信号が出力される。なお、クリアスイッチ921は、押しボタン構造以外の他の構成であってもよい。また、クリアスイッチ921は、パチンコ遊技機1において、電源基板610以外に設けられていてもよい。
また、ヒューズF01〜F10は、取り外しが可能(交換可能)なタイプのものではなく、電源基板610に固定されているタイプのものである。すなわち、交換不能に基板(この例では電源基板610)に設置されている。ヒューズF01〜F10が交換可能なタイプのものである場合には、電源基板610や電気部品制御基板において短絡故障等のような不具合が発生したときにヒューズ交換がなされ、真の不具合原因が不明なまま遊技機が稼働状態に戻されてしまうおそれがある。その場合、不具合が直ぐに再発することが予想される。しかし、ヒューズF01〜F10を交換不可能なタイプのものにしておけば、電源基板610において不具合が発生したときに、真の不具合原因を探す行為に誘導される。
電源基板610において、図4に示されたようなLED(LD01〜LD10)が設けられている場合、電源基板610および各電気部品制御基板において短絡故障等のような不具合が発生していなければ、各LED(LD01〜LD10)は点灯状態である。換言すれば、各LED(LD01〜LD10)が点灯状態であれば、電源基板610および各電気部品制御基板において短絡故障等のような不具合が発生していないことがわかる。
次に、遊技盤6の構造について説明する。図5は、遊技盤6の断面図である。図5においては、障害釘60と、遊技盤6との関係も示されている。図6は、遊技盤6の構成要素を分解して示す分解図である。図7は、遊技盤6における導電性フィルム63に形成された透明の導電パターン632を示す図である。以下、遊技盤6の構造を図5〜図7を用いて説明する。
図5および図6を参照して、遊技盤6は、次のような構造により透明性を有する遊技盤である。遊技盤6においては、平板状の透明な基板61が、ベースとなる部材である。基板61の表面側には、導電性を有する透明の導電性フィルム63が、透明の接着剤よりなる接着剤層62を用いて貼付される。接着剤層62として用いる接着剤としては、透明性が良好であり、アクリルよりなる基板61と、PETおよび銀よりなる導電性フィルム63との接着に好適な接着剤(たとえば、アクリル系の接着剤等)が用いられる。
本実施の形態では、透明の遊技盤6を構成する各種部材について、無色透明のものを透明として説明している。しかし、これに限らず、透明の遊技盤6を構成する各種部材については、有色透明であってもよい。また、以下に示す透明の遊技盤6を構成する各種部材については、無色で透明度が比較的高いものを一例として説明するが、これに限らず、透明の遊技盤6を構成する各種部材については、最低限、後方に存在するものの色等が透視できる、後方に存在するものの装飾性を損なわないようなものであれば、透明度がある程度低いものであってもよい。
導電性フィルム63は、所定厚み(たとえば、88μmの厚み)の透明のフィルム基材631の一方面側(裏面側)に、図7に示すような導電性物質による透明の導電パターン(導電パターン層)632が印刷により形成された導電性を有する透明のフィルム状の部材である。導電パターン632の印刷としては、たとえば、スクリーン印刷が用いられる。なお、導電パターン632の印刷方法としては、UVオフセット印刷等のスクリーン印刷以外の印刷方法を用いてもよい。
図7(a)に示すように、導電性フィルム63は、導電性物質よりなる線形の導電線部632aが、たとえば格子状のパターンのような網状のパターンで形成されている。図7(b)に示すように、当該網状のパターンにおける導電線部632aの線幅は、たとえば15μmであり、当該網状のパターンにおいて導電線部632aにより囲まれる網目部632bの大きさは、たとえば、一辺が285μmの正方形である。
このような導電性フィルム63は、遊技盤6の製造工程において、導電性フィルム63における導電パターン632側の面に接着剤層62を形成する接着剤が塗布され、導電パターン632側の面が接着剤層62によって基板61に接着される態様で、基板61に貼付される。なお、接着剤層62は、導電パターン632側ではなく基板61側に塗布されてもよく、導電パターン632側および基板61側の両方に塗布されてもよい。
基板61としては、導電性を有しない透明なアクリルが用いられている。導電性フィルム63のフィルム基材631としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼ぶ)が用いられている。導電性フィルム63の導電パターン632としては、たとえば透明性および伝導性良好な金属としての銀が用いられている。なお、導電性フィルム63の導電パターン632としては、透明性および伝導性が良好な酸化インジウムスズ膜等の酸化インジウム膜を用いてもよい。
接着剤層62に用いる接着剤としては、導電性フィルム63側の銀およびPETと、基板61側のアクリルとの接着に好適なアクリル接着剤が用いられている。
導電性フィルム63は、導電パターン632の層の厚みを調整すること、および、導電パターン632のパターン形状を調整することに基づいて、電気抵抗を調整することが可能である。
なお、導電性フィルム63としては、接着剤層62が予め形成され、その接着剤層62が保護シートにより保護されたものを用い、遊技盤6の製造工程において、保護シートを外して接着剤層62により導電性フィルム63を基板61に貼付するようにしてもよい。このようにする場合には、遊技盤6の製造工程において、接着剤を塗布する工程を省くことができる。また、接着剤層62は、基板61側に形成してもよい。
また、図5に示すように、障害釘60は、導電性を有する金属製の釘よりなり、胴部600および頭部602により構成される。障害釘60は、基板61への挿入部としての胴部600が、導電性フィルム63、および、接着剤層62を貫通して、胴部600の半分程度が基板61内に達する態様で遊技盤6に打込まれることにより、植設される態様で遊技盤6に取付けられている。基板61においては、障害釘60を打込む位置に、打込まれる障害釘60の胴部600の一部(先端部)が挿入される挿入孔(下孔)611が形成され、当該挿入孔611から障害釘60が基板61内部へ打込まれる。
図7(b)に示したように、導電パターン632の網目部632bの大きさは、μm単位の大きさであり、障害釘60におけるmm単位の直径の胴部600および挿入孔611よりも幅方向の大きさが小さい。これにより、導電性を有する障害釘60は、胴部600が導電性フィルムを貫通すると、胴部600部が貫通した部分において導電パターン632におけるいずれかの導電線部632aと必ず電気的に接続される。このように障害釘60は、導電性フィルム63の導電パターン632に電気的に接続されている。これにより、障害釘60は、導電性フィルム63の導電パターン632を介して電気的に接地されている。
このような透明の遊技盤6においては、図6のような態様で導電性フィルム63が基板61に貼付された後、変動表示装置9、演出表示装置91〜93、装飾ランプ252、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、第4通常入賞口39、普通図柄表示器10、始動入賞装置15、および、特別可変入賞球装置20等の電気部品および装飾部品を含む構造物を取付けるための開口部または切り欠き部を形成するための切削加工が行なわれる。そして、そのように形成された開口部または切り欠き部に嵌込まれるような態様で、前述のような各種構造物が取付けられ、ビス等の固定部材により固定される。このような遊技盤6には、図5に示すような態様で障害釘60が打込まれる。
導電パターン632における網状のパターンでの網目部の大きさが、障害釘60と各種電気部品とのそれぞれにおける挿入部(障害釘60の胴部600、電気部品の突出部151)の幅方向の大きさ、および、当該挿入部を挿入するために基板に形成された挿入孔610,611の幅方向の大きさよりも小さいので、遊技盤6において、挿入部を挿入する位置に関わらず障害釘60および各種電気部品を接地させることができる。
パチンコ遊技機1において、このような透明の遊技盤6の後方(裏面側)には、図1の遊技領域7に示すようなキャラクタ、および、所定の模様等の所定の絵柄が描かれた絵柄パネルが設けられている。遊技盤6が透明であるために、絵柄パネルに描かれた絵柄は、遊技盤6を介して透視される。これにより、たとえば、従来の遊技盤の表面側に貼付された絵柄シートと同様に、遊技領域7において絵柄を示すことができる。
なお、このような透明の遊技盤6については、変動表示装置9および演出表示装置91〜93等の表示装置を、遊技盤6の後方(裏面側)に設け、遊技盤6を介して透視できるようにしてもよい。このようにすれば、このような表示装置を取付けるための開口部を遊技盤6に形成する必要がなくなる。
また、このような透明の遊技盤6については、変動表示装置9および演出表示装置91〜93等の表示装置を設けず、かつ、前述のような絵柄パネルを設けずに、これら表示装置の代わりに各種の画像を表示し、絵柄パネルの代わりに絵柄の画像を表示する大型の液晶表示装置等の画像表示装置を遊技盤6の後方(裏面側)に設け、そのような画像が遊技盤6を介して透視できるようにしてもよい。このようにすれば、変動表示装置9および演出表示装置91〜93等の表示装置を設ける必要がなく、かつ、前述のような絵柄パネルを設ける必要がなくなる。
このように基板61に貼付される導電性フィルムが透明であり、接地されているので、たとえば、遊技盤6のベースとなる基板61の前面側において、後方(裏面側)の装飾性を損なうことなく導電性部材を配置することができ、遊技盤6において、電気的に接地可能な導電性部材の配置場所の制限を緩和することができる。
次に、遊技盤6における各種電気部品の取付態様について説明する。図8は、遊技盤6における各種電気部品の取付態様の代表例を示す図である。具体的に、図8においては、始動入賞装置15の取付態様が示されている。図8において、(a)には始動入賞装置15の正面図が示され、(b)には(a)の始動入賞装置15のA−A線による断面図が示されている。
(a)に示すように、始動入賞装置15は、樹脂製の基台部150の表面側に、第1始動口15a、第2始動口15b、および、可動片13,13が設けられている。基台部150の縁部は全周に亘ってメッキが施されたメッキ部Pとされている。(b)に示すように、基台部150の裏面側には、始動入賞装置15を遊技盤6に取付けるときに、位置決め用の突起として遊技盤6に差込まれる棒状の突出部151が複数突出形成されている。突出部151は、基台部150の本体と同じ樹脂製であるが、全体にメッキが施されたメッキ部P1として構成されていることにより導電性を有している。突出部151のメッキ部P1は、(b)に示すように、基台部150の縁部のメッキ部Pとメッキにより繋がっている。遊技盤6においては、基板61に、始動入賞装置15等の電気部品を取付けるときに用いる位置決め用の孔としての挿入孔610が形成される。始動入賞装置15が遊技盤6に取付けられるときには、遊技盤6に設けられた始動入賞装置15用の位置決め用の挿入孔610中に突出部151が差込まれることにより、取付位置が決められ、図示を省略した金属製のビスを用いて始動入賞装置15が遊技盤6に固定される。
また、基板61においては、始動入賞装置15の固定用のビスを螺入する位置に、螺入するビスの軸が挿入される挿入孔(下孔)が形成され、当該挿入孔からビスが基板61内部へ挿入される。
突出部151は、(b)に示すように、導電性フィルム63および接着剤層62を貫通して、突出部151の一部(先端部)が基板61内に達する態様で遊技盤6の挿入孔610に差込まれる(挿入される)。これにより、メッキにより導電性を有する突出部151は、導電パターン632に達する深さで差込まれていることで、前述した障害釘60と同様に、導電性フィルム63の導電パターン632に電気的に接続されている。そして、突出部151は、メッキ部P1がメッキにより基台部150の縁部のメッキ部Pと電気的に接続されている。これにより、始動入賞装置15は、メッキ部P、メッキ部P1、および、導電性フィルム63の導電パターン632を介して電気的に接地されている。したがって、始動入賞装置15において静電気が生じたときには、その静電気が、メッキ部P、メッキ部P1、および、導電性フィルム63の導電パターン632を介してアースされる。また、始動入賞装置15において漏電が生じたときには、漏電電流が、メッキ部P、メッキ部P1、および、導電性フィルム63の導電パターン632を介してアースされる。このように、漏電は、各電気部品から生じる場合があり、また、電源基板から生じる場合もある。
また、始動入賞装置15の固定用のビスは、導電性フィルム63および接着剤層62を貫通して、基板61内の挿入孔から内部に螺入されるので、障害釘60および突出部151と同様に、導電性フィルム63の導電パターン632に電気的に接続されている。これにより、始動入賞装置15の固定用のビスは、導電性フィルム63の導電パターン632を介して電気的に接地されている。したがって、始動入賞装置15において静電気が生じたときには、その静電気が、固定用のビスからも、導電性フィルム63の導電パターン632を介してアースされる。
図7(b)に示したように、導電パターン632の網目部632bの大きさは、μm単位の大きさであり、始動入賞装置15の突出部151および固定用のビスにおけるmm単位の幅(直径)の挿入部および挿入孔よりも幅方向の大きさが小さい。これにより、導電性を有する突出部151およびビスは、導電性フィルムを貫通すると、貫通した部分において導電パターン632におけるいずれかの導電線部632aと必ず電気的に接続される。このように始動入賞装置15の突出部151および固定用のビスは、導電性フィルム63の導電パターン632に電気的に接続されている。これにより、障害釘60は、導電性フィルム63の導電パターン632を介して電気的に接地されている。
このような始動入賞装置15における接地構造(突出部151および固定用のビスの接地構造)は、前述した変動表示装置9、演出表示装置91〜93、装飾ランプ252、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、第4通常入賞口39、普通図柄表示器10、および、特別可変入賞球装置20等の各種電気部品についても同様に設けられている。
次に、遊技盤6における隣合う電気部品の取付態様について説明する。図9は、遊技盤6における隣合う電気部品の取付態様の代表例を示す図である。具体的に、図9においては、隣合う電気部品の取付態様として、特別可変入賞球装置20と装飾ランプ25との取付態様を示す正面図が示されている。
特別可変入賞球装置20および装飾ランプ25のそれぞれについては、図9を用いて説明したようなメッキ部Pが施されている。そして、特別可変入賞球装置20と装飾ランプ25との間には、それぞれのメッキ部Pの間を電気的に接続する接続メッキ部P2が設けられている。この接続メッキ部P2が設けられることにより、特別可変入賞球装置20と装飾ランプ25とのような隣合う電気部品が、導通した態様で、遊技盤6に配置されている。このような電気部品の取付態様によれば、いずれかの電気部品が導電性フィルム63の導電パターン632と必ず電気的に接続される。このようにいずれかの電気部品が導電性フィルム63の導電パターン632と十分に接続できなくても(接続不良であっても)、隣合う電気部品と導通できるので、電気的な接地(アース)が担保されて好ましい。
このような隣合う電気部品の取付態様は、変動表示装置9と演出表示装置91〜93のそれぞれとの間、演出表示装置91と演出表示装置92との間、演出表示装置92と演出表示装置93との間、演出表示装置93と装飾ランプ25との間、第2通常入賞口30と装飾ランプ25との間、第1通常入賞口29と装飾ランプ25との間、第3通常入賞口33と装飾ランプ25との間、第4通常入賞口39と装飾ランプ25との間でも同様に適用されている。
遊技盤6においては、前述したように各種の電気部品(ソレノイド等の駆動源、当該駆動源を含む始動入賞装置15等の電動装置(筐体も含む)、電源基板610から電力を供給する配線、および、電源基板610のような電源基板単体等の電力を用いるすべての部品・装置を含み、電源基板を有する商用電源装置が設けられるときにはそのような装置も含む)が設けられているので、電気部品から漏電電流が流れるおそれがある。遊技盤6に過大な漏電電流が流れると、遊技盤6が発熱、発煙、または、発火する等、遊技盤6に不具合が生じる。具体的に、電気抵抗を持った導体に電流を流すと発熱する。そのときの発熱量は、流れる電流が大きくなる程大きくなる。さらに、そのときの発熱量は、抵抗値が大きくなる程大きくなる。さらに、そのときの発熱量は、電流が流れる時間が長い程大きくなる。
このような電流と、発熱量との関係は、Wを電力量[WS]、Pを電力[W]、Iを電流[A]、tを時間[sec]、Rを抵抗値[Ω] 、Qを発熱量[cal]とすると、次のように導かれる。
W=P×t ・・・(1)
=E×I×t ・・・(2)
E=I×Rを前記(2)式に代入すると、下記(3)式が導かれる。
W=I2×R×t ・・・(3)
1[J]=1[WS]=0.24[cal]を前記(3)式に代入すると、
W=0.24×I2×R×t ・・・(4)
前記(4)式により、発熱量は電流の2乗に比例し、抵抗値と時間とのそれぞれに比例することを導き出すことができる。
漏電電流は、電流が流れる経路のインピーダンスが高くなるにしたがって流れにくくなる。導電パターン632は、遊技盤6において、前述したように、各種電気部品と電気的に接続されているとともに、障害釘60とも電気的に接続されている。これにより、遊技盤6において各種電気部品からの漏電が生じたときの漏電電流の経路は、導電パターン632を通ることになる。したがって、導電パターン632のインピーダンスを、過大な漏電電流が流れにくくなるような高い値に調整しておけば、遊技盤6に不具合が生じるような過大な漏電電流の発生を抑制できることとなる。
遊技盤6における過大な漏電電流の発生を抑制するために、本実施の形態では、導電パターン632のパターン形状に基づいて、導電パターン632のインピーダンスを、遊技盤6に不具合が生じる過大な漏電電流の発生を抑制できるような値に調整している。具体的に、遊技盤6において、ある2点間のインピーダンスは、当該2点間をつなぐ導電性塗料が塗られた部分の行程(道のり)の長さが長くなるにしたがって高くなる。つまり、ある2点間で電流が流れるときのインピーダンスは、当該2点間の直線距離が同じであっても、当該2点間をつなぐ導電線部632aの行程(道のり)の長さが長くなるにしたがって高くなる。したがって、遊技盤6において、導電パターン632のパターン形状を、複雑な電流経路が形成されるようなパターンにすれば、導電パターン632のインピーダンスが高くなる。より具体的には、遊技盤6において、電気的接地位置までの電流の距離が長くなること、電流が流れる領域の面積が減ること、または、電流経路が蛇行する(曲がる、折れる)こと等の理由により、遊技盤6において電流が流れにくくなり、電気抵抗値が上がる。それにしたがい遊技盤6を電流が流れるときの電流値が低下し、漏電電流により遊技盤6が発熱しにくくなる。
図7に示す導電パターン632の例では、導電線部632aが網状に形成された導電パターンを形成することに基づいて、複雑な電流経路が形成され、導電パターン632のインピーダンスが、過大な漏電電流が流れにくくなるような値に調整されている。
なお、導電パターン632のパターン形状は、導電線部632aが正方形をなす格子形の網状のパターンを示した。しかし、これに限らず、導電パターン632のパターン形状は、長方形の網状のパターンであってもよい。また、導電パターン632のパターン形状は、導電線部632aが正方形のような四角形をなすもの以外に、三角形、五角形、六角形、および、八角形等のその他の多角形をなすものであってもよい。
また、導電パターン632のパターン形状は、導電線部632aが均一の同じ幅で形成されているものを示した。しかし、これに限らず、導電線部632aが導電パターン全体として不均一な幅で形成されてもよい。たとえば、交叉する導電パターンの一方の導電線部632aの幅が他方の導電線部632aの幅よりも広いパターンを導電パターン632のパターン形状として用いてもよい。
また、導電パターン632のパターン形状としては、導電線部632aにより囲まれる網目部632bの大きさがμm単位であるものを用いた例を示したが、これに限らず、導電線部632aにより囲まれる網目部632bの大きさは、基板61に挿入される障害釘60の胴部600の直径(幅)、および、各種電気部品の突出部151および固定用のビスの直径(幅)よりも小さければよく、mm単位の大きさで形成されてもよい。
また、導電パターン632のパターン形状としては、網目部632bの大きさがすべて同じである規則的な網状のパターンを用いた例を示したが、これに限らず、すべての網目部632bのうち一部の網目部632b大きさが異なる不規則な態様で形成された網状のパターンを用いてもよい。たとえば、1枚の導電性フィルム63において、網目部632bの大きさが異なる領域が複数種類あることにより、網目部632bの大きさが不規則な態様で形成されたパターン形状を用いてもよい。
また、導電パターン632のパターン形状としては、1枚の導電性フィルム63において、全領域に同じパターンを用いた例を示したが、これに限らず、1枚の導電性フィルム63において、たとえば網目部632bの大きさが異なる領域を複数設けることにより、1枚の導電性フィルム63でパターンが異なる領域を複数設けるようにしてもよい。この場合のパターンが異なる領域としては、網目部632bの大きさ、網目部632bの形状、および、導電線部632aの幅のうち、少なくともいずれかが異なるものを設けてもよい。
次に、前述の導電パターン632の電気的接地(アース)態様について、その他の接地構成とともに説明する。図10は、機構板に取付けられている各部材を、打球レール、アース基板およびカードユニットとともに示す結線図である。図10に示す構成において、打球レール42は、ステンレススチール製であり、前述の導電パターン632と配線2009を介して電気的に導通している。
誘導樋430は、球払出装置から払出された遊技球を、打球供給皿3に誘導する部材である。誘導樋430は、カーボン樹脂で形成され、かつ、導電性のアース板431と接触している。打球レール42と誘導樋430とはヒンジ部を介して配線2008で接続されている。また、誘導樋430は、配線2007によって、機構板に設けられた金具410に接続された受け金具411に接続されている。金具410および受け金具411はステンレススチール製である。したがって、遊技盤6の導電パターン632、打球レール、および、誘導樋430の電位は、機構板の金具410の電位と同じである。
球タンク38は、前述した球払出装置に供給する遊技球を貯留する貯留手段であり、カーボン樹脂で形成され、かつ、その一部には導電性のアース板381が取付けられている。球タンク38は、配線2005によって、機構板105の金具410に接続されている。よって、球タンク38の電位は、機構板105の金具410の電位と同じである。
また、ケースカバー731は、球払出装置を覆うカバー部材であり、ポリカーボネートで形成されている。そして、ステンレススチール製の押え金具732が、ケースカバー731に接している。さらに、押え金具732は、配線2006によって、機構板105の金具410に接続されている。よって、ケースカバー731の電位は、機構板105の金具410の電位と同じである。
したがって、遊技盤6の導電パターン632、発射装置から発射された遊技球の通路となる打球レール、払出される遊技球の通路の主要部となる球タンク38、球払出装置97内の球通路および誘導樋430の電位は、機構板105の金具410の電位と同じである。
パチンコ遊技機1の裏面側においては、遊技機内部を接地するための配線と、カードユニット50を接地するための配線と、遊技機外部に接続される配線とが接続されるアース基板1000が設置されている。アース基板1000には、遊技機外部(例えば遊技機設置島)に接続され接地される外部接続アースに接続される配線2001を接続するためのコネクタと、遊技機本体に接続されるFGハーネスである配線2004を接続するためのコネクタと、インタフェース基板66に接続されるアース基板ハーネスである配線2003とを接続するためのコネクタとが設けられている。
アース基板1000においては、遊技機本体に接続される配線を接続するためのコネクタからの配線上にサージアブソーバ1100が配置されている。サージアブソーバ(サージプロテクタともいう)は、雷、スイッチング、静電気放電などによって発生するサージ、すなわち過渡的な過大電圧からの機器や設備の保護のために用いられる素子である。落雷による誘導雷サージ、スイッチやリレーの開閉により発生する開閉サージ、静電気サージなどは、いずれも機器の誤動作や内部部品または機器そのものの破壊の原因となる。このため、サージアブソーバを用いてサージ電圧を吸収、制限し、回路に影響を与えないようにしている。
サージアブソーバは、電圧依存性を持つ素子であり、通常の状態では高い抵抗を持っているが、印加電圧がある電圧を超えたときに抵抗を急激に低下させることによって電圧の制限を行なう。この際の動作としては、電圧を一定の値に保つように働くクランピングタイプと、電圧が所定の値を超えると急速に導通して素子の両端の電圧を大幅に低下させるスイッチングタイプとがある。
クランピングタイプの例としては、バリスタ(金属酸化物バリスタ)やツェナーダイオードなどがある。バリスタは電圧依存性抵抗素子であり、電圧が小さいときには高抵抗を示すが、ある規定電圧以上の電圧を加えると導通状態となり、大電流が流れる。また、スイッチングタイプの例としては、放電管類やサイリスタなどがある。ガス避雷管のような放電式(ギャップ式)のものは、ガラスやセラミックスの気密容器内に放電電極を対向させ、その間に空気または不活性ガス(例えば窒素ガス)を充填した構造である。通常の状態では開放状態であるが、サージ電圧が印加されると電極間にアーク放電が発生し、短絡状態となりサージ電圧を制限する。
アース基板1000において、パチンコ遊技機1本体側のコネクタからの配線2004上にサージアブソーバ1100を配置しているのは、遊技機内の遊技球の帯電(静電気)に基づくサージ電圧を吸収するためである。また、パチンコ遊技機1とカードユニット50とを共通にアース基板1000においてアース接続するように構成すると、カードユニット50側からの漏電や静電気ノイズなどに基づくサージ電圧(漏電の場合は100V、静電気の場合は数kV)が遊技機側に流入するおそれがあり、そのようなサージ電圧の遊技機側への流入を防止するためである。カードユニット50において漏電や静電気ノイズが発生すると、そのサージ電圧がアース基板ハーネスを介してアース基板1000に伝達される。このとき、アース基板1000上にサージアブソーバ1100が設けられていなければ、カードユニット50側からのサージ電圧が遊技機本体側に伝達されてしまうが、アース基板1000上にサージアブソーバ1100が設けられているので、サージアブソーバ1100でサージ電圧が吸収、制限される。
この実施の形態では、サージアブソーバ1100によってサージ電圧を徐々に放電させて吸収、制限する。上述したように、サージアブソーバには様々な種類が存在するが、目的に応じたサージアブソーバ1100の種類を選択する必要がある。すなわち、サージアブソーバの種類によって、電圧−電流特性、サージ耐量(電流耐量あるいはエネルギー耐量)、応答時間、静電容量、漏電電流などのパラメータ(特性)が異なり、これらのパラメータを考慮してサージアブソーバ1100を選択する必要がある。例えば、漏電に基づくサージ電圧を吸収、制限することを目的とするサージアブソーバや、静電気ノイズに基づくサージ電圧を吸収、制限することを目的とするサージアブソーバ、漏電および静電気ノイズに基づくサージ電圧を吸収、制限することを目的とするサージアブソーバなどを適宜選択しアース基板1000上に配置する。サージアブソーバ1100として、クランピングタイプのものであってもよいし、スイッチングタイプのものであってもよいし、また、複数のサージアブソーバを組合せて用いるようにしてもよい。
カードユニット50の漏電に基づくサージ電圧を吸収、制限することを目的とする場合は、サージアブソーバ1100の作動開始電圧(特性(抵抗値)が変化する電圧)を、遊技機で用いられる電圧よりも高くカードユニット50で用いられる電圧よりも低くするのが好ましい。例えば、この実施の形態では、パチンコ遊技機1で用いられる動作電圧はAC24Vであるのに対し、カードユニット50で用いられる電圧はAC100Vである。そして、この場合、サージアブソーバ1100の作動開始電圧が24Vから100Vの間の電圧になるようなサージアブソーバ1100を使用する。このような構成によれば、カードユニット50側からの漏電によるサージ電圧を遊技機側に確実に流入しないようにすることができる。なお、この実施の形態では、サージアブソーバ1100は、着脱自在で交換可能に構成されている。
金具410は、アース基板1000を介して遊技機外部(設置島)と接続されて接地されている。すなわち、配線2004(FGハーネス)によって金具410とアース基板1000とが接続され、配線2001(外部接続アース)によってアース基板1000と遊技機外部(設置島)とが接続されている。よって、導電パターン632、打球レール42、球タンク38、球払出装置内の球通路、誘導樋430および機構板の金具410の電位は接地レベルである。なお、上述したように、アース基板1000内における遊技機本体(機構板105の金具410)から遊技機外部に至る経路上にサージアブソーバ1100が設けられている。サージアブソーバ1100により遊技機内の遊技球の帯電に基づく静電気をじわっと放電させて吸収することができる。
また、カードユニット50は、インタフェース基板(遊技球等貸出装置接続端子板)66およびアース基板1000を介して遊技機外部と接続されて接地されている。すなわち、配線2002によってカードユニット50とインタフェース基板66とが接続され、配線2003(アース基板ハーネス)によってインタフェース基板66とアース基板1000とが接続され、配線2001(外部接続アース)によってアース基板1000と遊技機外部(設置島)とが接続されている。さらに、カードユニット50は、配線2002,2003とは別の配線2000(外部接続アース)によって遊技機外部の電源コンセントと接続されている。つまり、電源コンセントのコードに内蔵された配線2000でカードユニット50が接地されている。このように、カードユニット50を配線2002,2003,2001の経路とは別の配線2000の経路によって接地しているので、配線2002または2003でカードユニット50とアース基板1000とが接続されなかった場合(配線2002または2003が断線した場合も含む)でも、カードユニット50を接地することができる。また、配線2001でアース基板1000と遊技機外部とが接続されなかった場合(配線2001が断線した場合も含む)でも、カードユニット50を接地することができるとともに、遊技機本体も配線2004,2003,2002,2000の経路を通じて接地することができる。なお、サージアブソーバ1100は、アース基板1000における配線1002上に配置されていたが、このような構成に限られず、遊技機本体からカードユニット50のアース線までの経路上であればいずれの場所に配置されていてもよい。
なお、この例では、金具410とアース基板1000とが配線2004で接続されていたが、金具410に代えて、球タンク38とアース基板1000とを配線2004で接続するようにしてもよい。この場合、球タンク38のカーボン樹脂の抵抗により、さらに急激な放電を回避することができるので、アース配線の接続として好ましい。
なお、前述した電気部品としては、基板61に形成した貫通孔に嵌込む発光部品を設けてもよい。この発光部品は、発光体であるLEDと、そのLEDが収容されるレンズ部とで構成されている。そのレンズ部は、透明な材質からなり、有底筒状に形成され、基板61の貫通孔に嵌合する外径を有している。そのレンズ部の開口側の端縁にはフランジ状の拡径部が形成され、その拡径部が基板61の貫通孔の縁に当接して当該レンズ部の貫通孔内の位置を規定するようになっている。レンズ部の有底側の端部は、貫通孔内に位置し、または、貫通孔内の縁と面一になるように配置されている。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態においては、遊技盤6において、基板61と導電性フィルム63との間に透明の中間部材64を設ける例を説明する。
図11は、第2実施形態による遊技盤6の断面図である。図11においては、障害釘60と遊技盤6との関係が示されている。図12は、第2実施形態による遊技盤6の構成要素を分解して示す分解図である。
図11および図12を参照して、第2実施形態の構成が、第1実施形態の構成と異なるのは、第1実施形態に示したような基板61と導電性フィルム63(100μm)との間に透明の中間部材64(16μm)が接着された態様で、導電性フィルム63が基板61に貼付されていることである。
中間部材64としては、透明のフィルム状のPETが用いられている。具体的に、中間部材64は、熱膨張率が、基板61の熱膨張率と導電性フィルム63の熱膨張率との間の範囲内にあるものが用いられている。この場合における導電性フィルム63の熱膨張率の条件は、導電性フィルム63における大部分の領域を占めるフィルム基材631の熱膨張率により規定してもよく、導電性フィルム63を構成する導電性フィルム63および導電パターン632の両方の組合せによる熱膨張率により規定してもよい。
このような熱膨張率の条件を満たす中間部材64を用いることにより、遊技盤6が熱膨張したときに、中間部材64が基板61と導電性フィルム63との間の範囲内の熱膨張率であることに基づいて基板61と導電性フィルム63との間における熱膨張時の緩衝材となる。たとえば、基板61と導電性フィルム63とで厚みが大きく異なると、熱膨張による部材の膨張量の違いによる接着部分の剥離が生じるおそれがある。しかし、熱膨張時の緩衝材として、熱膨張率が基板61の熱膨張率と導電性フィルム63の熱膨張率との間の範囲内にある中間部材64を基板61と導電性フィルム63との間に介在させれば、基板61と導電性フィルム63とで熱膨張率が大きく異なっても、基板61と中間部材64との間の熱膨張量の差、および、導電性フィルム63と中間部材64との間の熱膨張量の差のそれぞれは、接着部分の剥離が生じない程度に制限することが可能となる。したがって、中間部材64を用いることにより、基板61と導電性フィルム63との熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルム63が基板61から剥がれるのを防ぐことができる。
中間部材64は、基板61に対して、中間部材64と基板61との接着に好適な第1の透明の接着剤よりなる第1接着剤層621を用いて接着される。また、中間部材64は、導電性フィルム63に対して、中間部材64と導電性フィルム63(導電パターン632およびフィルム基材631)との接着に好適な第2の透明の接着剤よりなる接着剤層622を用いて接着される。
遊技盤6の製造工程においては、中間部材64の一方の面に第1接着剤層621が塗布され、中間部材64の他方の面に第2接着剤層622が塗布された態様で、基板61に対して、中間部材64および導電性フィルム63が貼付される。なお、遊技盤6の製造工程において、第1接着剤層621は、中間部材64側ではなく基板61側に塗布されてもよく、中間部材64側および基板61側の両方に塗布されてもよい。また、第2接着剤層622は、中間部材64側ではなく導電性フィルム63側に塗布されてもよく、中間部材64側および導電性フィルム63の両方に塗布されてもよい。
透明の第1接着剤層621としては、たとえば、アクリル系の接着剤のように、基板61を構成するアクリルと、中間部材64を構成するPETとの接着に好適な接着剤が用いられる。また、透明の第2接着剤層622としては、たとえば、ポリエステル系の接着剤またはエポキシ樹脂系接着剤等のように、銀よりなる導電パターン632およびPETよりなるフィルム基材631を含む導電性フィルム63と、中間部材64を構成するPETとの接着に好適な接着剤が用いられる。
第1接着剤層621として用いる第1接着剤および第2接着剤層622として用いる第2接着剤としては、中間部材と基板61との接着、および、中間部材64と導電性フィルム63との接着のそれぞれに好適なものであれば、同じ種類の接着剤(たとえば、アクリル系の接着剤等)を用いてもよい。
このように、基板61と中間部材64との間が、基板61と中間部材64との接着に好適な第1接着剤層621を用いて接着され、導電性フィルム63と中間部材64との間が、導電性フィルム63と中間部材64との接着に好適な第2接着剤層622を用いて接着されるので、接着対象の2つの部材に好適な接着剤を用いて、基板61に中間部材64を介して導電性フィルム63を接着することができる。
図11に示すように、障害釘60は、基板61への挿入部としての胴部600が、導電性フィルム63、第1接着剤層621、中間部材64、および、第2接着剤層62を貫通して、胴部600の一部が基板61内に達する態様で遊技盤6に打込まれることにより、植設される態様で遊技盤6に取付けられている。これにより、障害釘60は、導電パターン632を介して電気的に接地されている。
また、第1実施形態に示したような始動入賞装置15等の各種電気部品は、図11に示した障害釘60と同様に、前述した突出部151およびビスが、導電性フィルム63、第1接着剤層621、中間部材64、および、第2接着剤層62を貫通する態様で基板61に取付けられることにより、導電パターン632を介して電気的に接地されている。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態においては、遊技盤6において、基板61と導電性フィルム63との間に透明の中間部材を設ける場合のその他の例を説明する。
図13は、第3実施形態による遊技盤6の断面図である。図13においては、障害釘60と遊技盤6との関係が示されている。
図13を参照して、第3実施形態の構成が、第2実施形態の構成と異なるのは、基板61と導電性フィルム63との間に接着された透明の中間部材64として、基板61の厚み(2cm)と、導電性フィルム63の厚み(たとえば、100μm)との間の範囲内での厚み(200μm)のものを用いていることである。
中間部材64としては、透明のフィルム状のPETが用いられている。具体的に、中間部材64は、厚みが、基板61の厚み(2cm)と、導電性フィルム63の厚み(たとえば、100μm)との間の範囲内での厚み(200μm)のものが用いられている。これにより、遊技盤6が熱膨張したときに、中間部材64が基板61と導電性フィルム63との間の範囲内の熱膨張率であることに基づいて基板61と導電性フィルム63との間における熱膨張時の緩衝材となる。たとえば、遊技盤6が熱膨張するときに、厚みが厚いもの程、伸びが大きくなる。したがって、基板61と導電性フィルム63とで厚みが大きく異なることにより伸びが大きくなると、熱膨張による部材の膨張量の違いによる接着部分の剥離が生じるおそれがある。しかし、熱膨張時の緩衝材として、厚みが基板61の厚みと導電性フィルム63の厚みとの間の範囲内にある中間部材64を基板61と導電性フィルム63との間に介在させれば、基板61と導電性フィルム63との厚みの違いにより伸びが大きくなっても、基板61と中間部材64との間の熱膨張量の差、および、導電性フィルム63と中間部材64との間の熱膨張量の差のそれぞれは、接着部分の剥離が生じない程度に制限することが可能となる。したがって、中間部材64を用いることにより、基板61と導電性フィルム63との熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルム63が基板61から剥がれるのを防ぐことができる。
中間部材64は、第2実施形態の場合と同様に、基板61に対して、中間部材と基板61との接着に好適な第1接着剤よりなる接着剤層621を用いて接着される。また、中間部材64は、第2実施形態の場合と同様に、導電性フィルム63に対して、中間部材64と導電性フィルム63(特に導電パターン632)との接着に好適な第2接着剤よりなる第2接着剤層622を用いて接着される。
なお、中間部材64としては、第2実施形態のような熱膨張率を有するもの、第3実施形態のような厚みを有するもの、および、第2実施形態のような熱膨張率かつ第3実施形態のような厚みを有するもののうち、いずれの特徴を有するものを用いてもよい。
図13に示すように、障害釘60は、基板61への挿入部としての胴部600が、導電性フィルム63、第1接着剤層621、中間部材64、および、第2接着剤層62を貫通して、胴部600の一部が基板61内に達する態様で遊技盤6に打込まれることにより、植設される態様で遊技盤6に取付けられている。これにより、障害釘60は、導電パターン632を介して電気的に接地されている。
また、第1実施形態に示したような始動入賞装置15等の各種電気部品は、図13に示した障害釘60と同様に、前述した突出部151およびビスが、導電性フィルム63、第1接着剤層621、中間部材64、および、第2接着剤層62を貫通する態様で基板61に取付けられることにより、導電パターン632を介して電気的に接地されている。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態においては、遊技盤6において、基板61側に導電パターン632を形成する例を説明する。
図14は、第4実施形態による遊技盤6の断面図である。図14においては、障害釘60と、遊技盤6との関係が示されている。図15は、第4実施形態による遊技盤6の構成要素を分解して示す分解図である。
図5および図6を参照して、遊技盤6においては、スパッタリング法等の薄膜形成方法によって透明なアクリルの基板61の一方面(表面側)に導電性の薄膜を積層させ、エッチング等の加工方法により、基板61上に第1実施形態〜第3実施形態で示したような導電パターン632が形成される。なお、導電パターン632は、第1実施形態〜第3実施形態で示したような印刷により形成されてもよい。
そして、基板61の表面側には、第1実施形態で示した透明のフィルム基材631と同様の材質の透明の非導電性フィルム633が、透明の接着剤よりなる接着剤層623を用いて貼付される。接着剤層623として用いる接着剤としては、透明性が良好であり、アクリルよりなる基板61と、PETよりなる非導電性フィルム633との接着に好適な接着剤(たとえば、アクリル系の接着剤等)が用いられる。
遊技盤6の製造工程において、非導電性フィルム633側の面に接着剤層623を形成する接着剤が塗布され、非導電性フィルム633が接着剤層623によって基板61の導電パターン632が形成された面に接着される態様で、基板61に貼付される。なお、接着剤層623は、非導電性フィルム633側ではなく基板61の導電パターン632が形成された面側に塗布されてもよく、非導電性フィルム633側および基板61の導電パターン632が形成された面側の両方に塗布されてもよい。
図14に示すように、障害釘60は、基板61への挿入部としての胴部600が、非導電性フィルム633、接着剤層623、および、導電パターン632を貫通して、胴部600の一部が基板61内に達する態様で遊技盤6に打込まれることにより、植設される態様で遊技盤6に取付けられている。これにより、障害釘60は、基板61側に設けられた導電パターン632を介して電気的に接地されている。
また、第1実施形態に示したような始動入賞装置15等の各種電気部品は、図14に示した障害釘60と同様に、前述した突出部151およびビスが、非導電性フィルム633、接着剤層623、および、導電パターン632を貫通する態様で基板61に取付けられることにより、導電パターン632を介して電気的に接地されている。
このような構成によれば、非導電性フィルム633と、導電パターン632との組合せにより、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
〔各実施の形態で用いる遊技盤6の部材の種類〕
次に、第1実施形態〜第4実施形態に示した遊技盤6に用いられる各部材として用いることが可能な材質および物質の種類を例示する。
遊技盤6の基板61として、前述したような透明の基板を用いる場合には、アクリル基板等の透明の樹脂製の基板を用いればよい。また、遊技盤6の基板61として、前述したような不透明の基板を用いる場合には、木板、木製(ラワン等の)合板、合成木材、合成木材合板、ベニヤ板等の合板、ベニヤの多層合板、および、ABS樹脂等の木材および合成樹脂を用いた基板を用いてもよい。
導電性フィルム63において透明のフィルム基材631としては、ポリエチレンテレフタレートの他に、たとえば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、および、ポリエーテルエーテルケトン等の透明のフィルムのうち、いずれかを用いてもよい。透明のフィルム基材631の厚みとしては、一般的には、10〜250μmの厚みを用いればよい。また、基材として高分子フィルムそのものでも良いが、片面または両面にハードコート処理を行なっても良い。また、UV硬化タイプでも熱硬化タイプでも良い。
導電性フィルム63において透明の導電パターン632に用いる導電性物質として、前述した銀を用いる場合には、金属銀等の導電性粒子が透明性および導電性が良好であり、かつ、可撓性(屈曲性)にも優れるため、導電パターン632の導電性および透明性を向上させることができる。このように銀を用いる場合には、導電線部632aの幅は、任意であるが、たとえば、0.1μm程度から30μmの間が好ましい。また、導電線部632aの高さ(厚み)は、たとえば、厚み)は、0.1μm以上10μm以下が好ましい。特に好ましくは、たとえば0.1μm以上2μm以下である。さらには0.1μm以上1μm以下が最も好ましい。なお、導電性粒子として、銀の他に、たとえば金、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルトもしくはスズ等の透明性および導電性が良好な金属を用いてもよい。
導電性フィルム63において透明の導電パターン632に用いる導電性物質として、前述した酸化インジウム膜を用いる場合には、透明性および導電性が良好なスズ、ゲルマニウム、亜鉛、ガリウム、マグネシウムのうち少なくとも1種類を含む酸化インジウム膜を利用すればよい。このようにすれば、導電パターン632の導電性および透明性を向上させることができる。酸化インジウム膜に添加されるスズ、ゲルマニウム、亜鉛、ガリウム、マグネシウムの含有量は、これらのうち1種類を添加する場合は、インジウムに対するこれらの材料の原子比(Sn/In,Ge/In,Zn/In,Ga/In,Mg/In)をたとえば0.5〜20.0%とするのが好ましい。また、原子比は、たとえば5〜10%とするのがより好ましい。酸化インジウム膜を用いる場合には、これらの中でも透明性および導電性のバランスがよいスズを用いた酸化インジウムスズ膜が最も好ましい。このような比率で添加すると、膜の透明性および導電性を良好に維持できる。また、これらの材料の複数種類を添加する場合は、添加する材料の全体の添加量をインジウムに対してたとえば20.0%以下とするとよい。透明導電膜の膜厚は、たとえば10nm〜1000nmの範囲に設定するとよい。この膜厚の範囲では、用途によって異なるが、可撓性が保たれた連続的な膜を得る事ができる。
また、前述した接着剤層(接着剤層62、第1接着剤層621、第2接着剤層622、接着剤層623)としては、たとえば、次のようなものを用いればよい。アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いればよい。接着剤層としては、特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性、および、接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系の接着剤が好ましい。
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 図5、図6、図11、図12、図13等に示すように、遊技盤6において、透明の導電性フィルム63が基板61に貼付され、始動入賞装置15、および、特別可変入賞球装置20等の電気部品、および、障害釘60のそれぞれが、導電性を有するそれぞれの挿入部が導電性フィルム63を貫通し、当該貫通した部分において導電性フィルム63と電気的に接続された態様で基板に取付けられることにより、導電性フィルム63を介して電気的に接地される。基板61に貼付される導電性フィルム63が透明であり、図10に示すように接地されているので、たとえば、遊技盤6のベースとなる基板61の前面側において、後方の装飾性を損なうことなく導電性部材を配置することができ、遊技盤6において、電気的に接地可能な導電性部材の配置場所の制限を緩和することができる。また、基板61としては、導電性を有しない基板を用いることに限られず、ある程度の導電性を有する基板を用いてもよい。
(2) 図7に示すように、導電性フィルム63において、透明のフィルム基材631に導電性物質による透明の導電パターン632が印刷により形成されているので、導電パターン632に基づいて導電性フィルム63のインピーダンス(電気抵抗)を調整することができ、過大な漏電電流が流れにくくなるようにすることができる。
(3) 図7(B)に示すように、導電パターン632において、導電線部632aが網状のパターンで形成され、当該網状のパターンにおける網目部632bの大きさが、障害釘60と始動入賞装置15、および、特別可変入賞球装置20等の電気部品とのそれぞれにおける挿入部(障害釘60の胴部600、電気部品の突出部151、および、電気部品固定用のビス)の幅方向の大きさ、および、当該挿入部を挿入するために基板に形成された挿入部孔の幅方向の大きさ(障害釘60の胴部600の直径および挿入孔611の直径、電気部品の突出部151の直径および挿入孔610の直径、ビスの軸の直径および挿入孔の直径、)よりも小さいので、遊技盤6において、挿入部を挿入する位置に関わらず障害釘60および電気部品を接地させることができる。
(4) 図11および図12を用いて説明したように、基板61と導電性フィルム63との間に接着される透明の中間部材64が、基板61の熱膨張率と、導電性フィルム63の熱膨張率との間の範囲内での熱膨張率を有するので、遊技盤6が熱膨張したときに、中間部材64が基板61と導電性フィルム63との間の範囲内の熱膨張率であることに基づいて熱膨張時の緩衝材となるので、基板61と導電性フィルム63との熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルム63が基板61から剥がれるのを防ぐことができる。
(5) 遊技盤6が熱膨張するときに、部材の厚みが厚いもの程、伸びが大きくなるが、図13に示すように、基板61と導電性フィルム63との間に接着される透明の中間部材64が、基板61の厚さと、導電性フィルム63の厚さとの間の範囲内での厚さを有するので、中間部材64が基板61と導電性フィルム63との間の範囲内の厚みであることに基づいて熱膨張時の緩衝材となるので、熱膨張時の緩衝材となることにより、基板61と導電性フィルム63との熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルム63が基板から剥がれるのを防ぐことができる。
(6) 図11を用いて説明したように、基板61と中間部材64との間が、基板61と中間部材64との接着に好適な第1接着剤層621を用いて接着され、導電性フィルム63と中間部材64との間が、導電性フィルム63と中間部材64との接着に好適な第2接着剤層622を用いて接着されるので、接着対象の2つの部材に好適な接着剤を用いて、基板61に中間部材64を介して導電性フィルム63を接着することができる。
(7) 導電性フィルム63が、導電性物質として銀により導電パターン632が形成されているので、導電パターンの導電性および透明性を向上させることができる。
(8) 導電性フィルム63が、導電性を有するスズ、ゲルマニウム、亜鉛、ガリウム、マグネシウムのうち少なくとも1種類を含む酸化インジウム膜を含む(たとえば、導電性物質として酸化インジウムスズにより導電パターンが形成されている)ので、導電パターンの導電性および透明性を向上させることができる。
(9) 基板61が、導電性を有しないアクリル性の基板61により形成されているので、透明の導電性フィルム63およびアクリル性の基板61により、遊技盤全体の透明性を向上させることができる。
(10) 図9に示すように、導電パターン632と電気的に接続される態様で遊技盤6に取付けられた複数の電気部品のそれぞれについてメッキを施すことに基づいて、メッキ部P,P2により、隣合う電気部品(たとえば、図9の例では、特別可変入賞球装置20と装飾ランプ25とが隣合う)が導通した態様で遊技盤6に配置されている(取付けられている)。これにより、いずれかの電気部品が導電パターン632等と電気的に良好に接続されていない状態(接続不良等)であっても、当該電気部品は、他の電気部品を介して導電パターン632等と電気的に接続可能である。つまり、各電気部品は、自らが、導電パターン632を介して電気的に接地されているとともに、隣合う他の電気部品および導電パターン632を介して電気的に接地されており、接地経路が多重化されている。したがって、導電パターン632等と電気的に良好に接続されていない電気部品に生じた静電気を他の電気部品を経て導電パターン632等から逃がすことができる。
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 前述した実施の形態では、パチンコ遊技機1が変動表示装置9を備えたものを示した。しかし、これに限らず、パチンコ遊技機1としては、変動表示装置9を備えない遊技機であってもよい。
(2) 前述した実施の形態では、基板61が透明であるものを一例として説明した。しかし、これに限らず、基板61は、ベニヤ合板等の不透明な基板を用いてもよい。たとえば、ベニヤ合板等の不透明な基板を用いる場合には、遊技領域を装飾する絵柄が印刷され、ベニヤ合板の表面側に貼付された印刷シートの表面側に透明の導電性フィルム63を貼付するようにしてもよい。そのような場合には、透明の導電性フィルム63が絵柄を透視させることができるとともに、アースも行なうことができる。さらに、透明の導電性フィルム63が絵柄面を保護することもできる。
(3) 前述した実施の形態では、透明の導電性フィルム63を透明の基板61の表面側に貼付する例を示したが、これに限らず、透明の基板61の表面側に透明の導電性フィルム63を貼付するようにしてもよい。このようにした場合であっても、後方の絵柄等を透視させることができるともに、アースを行なうことができる。
(4) 遊技盤6は、透明の基板61を2枚に分割構成して、これらの間に透明の導電性フィルム63を挟み、透明な接着剤により張合わせるような構造を用いてもよい。このようにした場合であっても、後方の絵柄等を透視させることができるともに、アースを行なうことができる。
(5) 遊技盤6は、導電性フィルム63の導電パターン632として、導電性フィルム63全体として均一なパターンを一例として示した。しかし、これに限らず、たとえば、障害釘60、および、各種電気部品の近傍の領域は、導電パターン632における導電線部632aの間隔が狭く、それ以外の領域は導電パターン632における導電線部632aの間隔が広い等、導電パターン632として、導電性フィルム63全体として均一なパターンを用いてもよい。
(6) 導電性フィルムとしては、前述した実施の形態に示したような透明のフィルム基材631上に所定パターンの透明の導電パターン632を形成した導電性フィルム63に代えて、透明のフィルム基材631上に、透明の導電層として、スパッタリング等の物理的気相成長法等の薄膜形成方法によりたとえば厚さ10〜50nm程度の均一な導電性膜を形成し、導電性膜全体的が導電性を有するものを用いてもよい。このような構成を採用した場合には、導電性膜における導電性物質の濃度に基づいて、導電塗料層のインピーダンスを調整するようにすればよい。
(7) 前述した第2実施形態においては、基板61と導電性フィルム63との間に介在させる中間部材64として、PETの中間部材を用いる例を示した。しかし、これに限らず、中間部材64としては、透明の部材であって、基板61の熱膨張率と導電性フィルム63の熱膨張率との間の熱膨張率を有するものであれば、どのような部材を用いてもよいが、前述のように緩衝部材として用いるため、基板61と導電性フィルム63としては、第1接着剤層621による接着および第2接着剤層622による接着の両方について好適な部材であることが望ましい。
(8) 前述した第3実施形態においては、基板61と導電性フィルム63との間に介在させる中間部材64として、PETの中間部材を用いる例を示した。しかし、これに限らず、中間部材64としては、透明の部材であって、基板61の厚みと導電性フィルム63の厚みとの間の厚みを有するものであれば、どのような部材(たとえば、木板、木製(ラワン等の)合板、合成木材、合成木材合板、ベニヤ板等の合板、ベニヤの多層合板、ABS樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、銀、金、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、または、スズ)を用いてもよいが、前述のように緩衝部材として用いるため、基板61と導電性フィルム63としては、第1接着剤層621による接着および第2接着剤層622による接着の両方について好適な部材であることが望ましい。
(9) 前述した第2実施形態においては、基板61と導電性フィルム63との間に介在させる中間部材64として、1枚(1層)の中間部材64を用いる例を示した。しかし、これに限らず、中間部材64として、熱膨張率が異なる複数枚の中間部材を接着剤を用いて層状に貼付した中間部材を用いてもよい。その場合には、基板61と導電性フィルム63とのうち、熱膨張率が高い方から低い方へ向かうにしたがって中間部材の熱膨張率が低くなるように複数枚の中間部材を貼付すればよい。
(10) 前述した第3実施形態においては、基板61と導電性フィルム63との間に介在させる中間部材64として、1枚(1層)の中間部材64を用いる例を示した。しかし、これに限らず、中間部材64として、厚みが異なる複数枚の中間部材を接着剤を用いて層状に貼付した中間部材を用いてもよい。その場合には、基板61と導電性フィルム63とのうち、厚みが厚いから薄いへ向かうにしたがって中間部材の厚みが薄くなるように複数枚の中間部材を貼付すればよい。
(11) 前述した実施の形態では、導電パターン632の交流を対象としたインピーダンスを調整した例を示した。前述した実施の形態において、導電パターンに基づいて調整するのは、インピーダンスを含む電気抵抗である。したがって、導電パターンに基づいて、直流を対象とした電気抵抗値(Ω)を調整してもよい。
(12) 前述した実施の形態では、導電パターン632を印刷により形成する例を示した。しかし、これに限らず、導電パターン632は、たとえば、スパッタリング法等の物理蒸着法で透明の導電性薄膜をフィルム基材631上に積層したものを網状にエッチングすることにより形成する等、その他の形成方法を用いて形成してもよい。
(13) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。