JP5617936B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents
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Description
この発明は、圧電基板の表面にIDT電極を形成してなる弾性表面波装置に関する。
従来、圧電基板の表面にIDT電極を形成してなる弾性表面波装置が各種考案されている。例えば、特許文献1では、圧電基板の表面に複数の電極指を厚み方向に沿って部分的に埋め込んだ弾性表面波装置が開示されている。
特許文献1には、圧電基板の種類や電極指の材料について、各種既知のものを用いることが可能なことが記載されており、電極指が形成される溝の深さと電極指の膜厚の平坦度が規定されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている電極指材料や溝の深さの条件においては、圧電基板および電極指の材料の組合せによって、弾性表面波装置としての各種特性、例えば比帯域、共振のQ値、スプリアス特性等がばらつき、良好な特性を得られない場合も生じる。
したがって、本発明の目的は、特定の材料の組合せにおいて、より優れた特性を有し且つ製造が容易となる弾性表面波装置を実現することにある。
この発明は、表面に溝が形成されている圧電基板と、溝内に位置している第1の電極層と、溝外に位置している第2の電極層とを有するIDT電極と、を備える弾性表面波装置に関する。圧電基板はニオブ酸リチウムからなる。第1の電極層と第2の電極層で構成されるIDT電極は銅または銅を主体とする金属、あるいは銅を主成分とする合金からなる。IDT電極が、銅を主体とするとは、銅がIDT電極全体の50重量%を超えることを意味する。そして、電極膜厚を弾性表面波の波長によって規格化した値を規格化電極膜厚とした場合に、第2の電極層の規格化電極膜厚をDoとし、第1の電極層の規格化電極膜厚をDiとして、次の(i),(ii),(iii)の条件を満たすようにIDT電極が形成されている。
(i)1.0%≦Do≦9.0%
(ii)1.0%≦Di≦12.0%
(iii)6.0%≦(Do+Di)≦13.0%
この構成とすることで、弾性波の音速を高くするとともに、弾性波の比帯域を広帯域に保持し、スプリアスを抑制することができる。
(ii)1.0%≦Di≦12.0%
(iii)6.0%≦(Do+Di)≦13.0%
この構成とすることで、弾性波の音速を高くするとともに、弾性波の比帯域を広帯域に保持し、スプリアスを抑制することができる。
また、この発明の弾性表面波装置では、圧電基板のオイラー角が(φ=0°±5°,80°≦θ≦110°,ψ=0°±5°)であることが好ましい。
この構成とすることで、スプリアスの要因となるレーリー波をより抑制することができる。
また、この発明の弾性表面波装置では、圧電基板の溝は、表面から深くなるにしたがって開口面積が小さくなり、且つ表面に対する側面の角度αが、50°≦α≦70°であることが好ましい。
この構成にすることで、弾性波の比帯域をさらに広帯域にすることができる。
また、この発明の弾性表面波装置では、圧電基板上にIDT電極を覆うように設けられた酸化ケイ素膜を備え、酸化ケイ素膜の圧電基板側と反対側の面が略平坦化されていることが好ましい。
この構成では、弾性表面波装置の周波数温度特性が改善される。
また、この発明の弾性表面波装置では、酸化ケイ素膜の膜厚は、弾性表面波装置で伝搬する弾性表面波の波長によって規格化した規格化膜厚で5%から35%までの範囲の膜厚であることが好ましい。
この構成では、弾性表面波装置の周波数特性をより改善することができる。
この発明によれば、特性が優れ、且つ製造が容易な弾性表面波装置を実現できる。
本発明の実施形態に係る弾性表面波装置について、図を参照して説明する。図1(A)は本実施形態の弾性表面波装置である1ポート共振子の平面図であり、図1(B)は図1(A)のA−A’側面の断面図であり、図1(C)は側断面の部分拡大図である。ただし、本発明における弾性表面波装置は1ポート共振子に限定されるものではなく、例えば弾性表面波フィルタ装置であってもよい。
弾性表面波装置10は、平板状の圧電基板101を備える。圧電基板101は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる。圧電基板101は、カット面および弾性波の伝搬方向がオイラー角表示で(0°,90°、0°)となるように、いわゆるYカットにより形成されている。
圧電基板101の上には、互いに間挿し合っている一対のくし歯電極を有するIDT電極102が形成されている。弾性表面波装置10では、このIDT電極102において励振された弾性波が、圧電基板101の表面を弾性表面波として伝搬することにより弾性表面波装置10の機能が実現されている。
図1に示すように、本実施形態では、IDT電極102は、第1の電極層102i、第2の電極層102oとの積層体により構成されている。
さらに、第1の電極層102iは、圧電基板101の表面に形成された溝110内に形成されている。第1及び第2の電極層102i、102oのそれぞれは、Cuにより形成されている。
なお、第1及び第2の電極層102i、102oは、主成分がCuであれば、Cu単体でなくてもよく、Cu合金であってもよい。ここで、主成分がCuであるとは、IDT電極102の全体のうち、Cuが50重量%を超えるIDT電極をいうものとする。例えば、IDT電極102が単一層の金属膜からなる場合には、CuまたはCuを主成分とする合金からなる。Cuを主成分とする合金とは、重量比を50重量%を超える割合でCuを含む合金をいうものとする。また、圧電基板とCuの間にインターフェース層としてTiやNi、NiCr、Taなどがあってもよい。また、例えば上面側に周波数調整用のCu以外の金属や絶縁膜があってもよいし、例えば、Cu/Ti/Cu/Ti/Cu/Ti…のような積層構造であっても主となる材料がCuであればよい。
IDT電極102の形成間隔は、伝搬する弾性波の波長λに設定されている。なお、この波長λは、伝搬する弾性波の周波数と、後述する位相速度(音速)とによって決定される。
IDT電極102は、弾性波の波長λの約1/4の幅で形成されている。
このような構成にすることにより、IDT電極102の電極指が伸びる方向と直交する方向に沿って伝搬する、SH波を主体とする弾性表面波を励振させることができる。
さらに、IDT電極102は、次に示す式1、式2、式3を満たす寸法の膜厚で形成されている。ここで、膜厚に関しては、IDT電極102の実際に形成される平均的膜厚を弾性波の波長λで規格化した値(規格化電極膜厚(%))を用いる。また、IDT電極102の圧電基板101から突出する部分である第2の電極層102oの規格化電極膜厚をDoで示し、溝110に埋め込まれている部分である第1の電極層102iの規格化電極膜厚をDiで示し、IDT電極102の全膜厚をD(=Do+Di)で示す。
1.0%≦Do≦9.0% −(式1)
1.0%≦Di≦12.0% −(式2)
6.0%≦D≦13.0% −(式3)
このような寸法で、IDT電極102を形成することにより、以下に示すような効果が得られる。
1.0%≦Di≦12.0% −(式2)
6.0%≦D≦13.0% −(式3)
このような寸法で、IDT電極102を形成することにより、以下に示すような効果が得られる。
なお、これら第1および第2の電極層102i,102oは、第1の電極層102iに続けて第2の電極層102oを形成してもよいし、第1の電極層102iを形成した後、別工程によって第2の電極層102oを形成してもよい。本実施形態では、第1の電極層102iに続けて第2の電極層102oを形成している。すなわち、第1の電極層102iと第2の電極層102oは一体とされている。
図2は、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doと第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diとをパラメータとした音速の特性を示す図である。
また、図3から図5は、規格化電極膜厚Dを6%から13%まで変化させ、各規格化電極膜厚Dにおいてオイラー角のθを70°から110°まで変化させた条件下での音速の変化を示す図である。図3(A)は規格化電極膜厚Dが6%の場合を示し、図3(B)は規格化電極膜厚Dが7%の場合を示し、図3(C)は規格化電極膜厚Dが8%の場合を示す。図4(A)は規格化電極膜厚Dが9%の場合を示し、図4(B)は規格化電極膜厚Dが10%の場合を示し、図4(C)は規格化電極膜厚Dが11%の場合を示す。図5(A)は規格化電極膜厚Dが12%の場合を示し、図5(B)は規格化電極膜厚Dが13%の場合を示す。なお、これらの特性は有限要素法によりシミュレーションした結果である。
図2から図5に示すように、上述の式(1),(2),(3)の条件を満たす膜厚の範囲では、音速2600m/s以上を実現できる。特に、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが10%以下であれば、音速2800m/s以上を実現できる。
このように、音速を高く設定できることで、周波数が同じであれば、音速が低い場合よりも波長λを大きくとることができる。すなわち、IDT電極の形成ピッチを長くすることができる。これにより、製造歩留まりを向上できる。また、電極間のショート等による耐電力性や耐静電性の低下を防ぐことができ、信頼性の高いデバイスを製造することができる。
例えば、上述の条件で弾性表面波装置1を形成した場合、音速が2600m/s以上であるので、2.6GHzの高周波を伝搬させるのに、波長λが1μmすなわち電極102の幅が0.25μm以上であればよい。特に、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが10%以下とすれば、音速が2800m/s以上であるので、より高周波な2.8GHzの高周波信号を伝搬させるのに、波長λが1μmすなわち電極102の幅が0.25μm以上であればよい。
ここで、現在のSAWデバイスの製造工程で一般的に利用されているi線やKrF線を用いたフォトリソグラフィでは、最も細い電極幅が0.25μm(波長λを1μm)であるので、現在の一般的なSAWデバイスの製造工程を用いて、上述のような高周波数用のSAWデバイスを容易に製造することができる。
すなわち、SAWフィルタ等のSAWデバイスに要求されている最も高い周波数帯域を使用するUMTS−BAND7(2.6GHz)やLTE−BandClass13(2.8GHz)用の弾性表面波装置を、従来の一般的な製造工程で製造することができる。言い換えれば、従来であれば、特殊で高価な製造装置が必要であったが、本実施形態における弾性表面波装置によれば、これらの特殊装置を用いることなく製造することができる。また、このような高周波であっても、信頼性の高い弾性表面波装置を製造することができる。
なお、上述の図2、図3、図4、および図5に示すシミュレーション結果では、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが0%の場合、および第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが0%の場合が含まれている。言い換えれば、IDT電極102が圧電基板101から突出していない場合、およびIDT電極102が圧電基板101の平板な表面上にのみ形成されている場合が含まれている。しかしながら、これらの条件では、次に示すような理由により、使用を制限する必要がある。
図6は、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doと第1の電極層102iの規格化電極膜厚DiとをパラメータとしたSH波の比帯域の特性を示す図である。
比帯域は、弾性表面波装置の電気機械結合係数との相関があり、比帯域が広いほど電気機械結合係数が高くなる。比帯域とは、当該弾性表面波装置を用いた共振器において、反共振周波数と共振周波数の幅すなわち反共振周波数と共振周波数の差を共振周波数で除して規格化した帯域幅のことであり、比帯域が広いほど広帯域な弾性表面波装置を得ることができる。
図6に示すように、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doによることなく、第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが0%の場合、第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが1%以上の場合と比較して、比帯域が狭くなる。言い換えれば、圧電基板101の表面にIDT電極102を形成する構造では、IDT電極102の少なくとも一部を圧電基板101の表面から所定量埋め込む構造よりも、比帯域が狭くなってしまう。したがって、第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが1.0%以上の構成(1.0%≦Di)、すなわちIDT電極102の少なくとも一部を圧電基板101の表面から所定量埋め込む構造を用いることで、より優れた特性の弾性表面波装置を実現することができる。特に、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doを10%以下とすることで、上述の条件を含むどの膜厚の組合せであっても、SH波の比帯域を0.18(18%)にすることができる。これにより、さらに優れた特性の弾性表面波装置を実現することができる。
次に、図7は、規格化電極膜厚Dを10%,8%,12%とし、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doと第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diとの割合を変化させた場合において、後述の1ポートSAW共振子の反共振点で励振される全弾性表面波エネルギーのうち、圧電基板101の表面を基準として深度方向へ1λ以内の範囲でのエネルギーの集中度の特性を示す図である。図7(A)は規格化電極膜厚Dが10%の場合を示し、図7(B)は規格化電極膜厚Dが8%の場合を示し、図7(C)は規格化電極膜厚Dが12%の場合を示す。
図7に示すように、規格化電極膜厚Dによることなく、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが0%の場合、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが1%以上の場合と比較して、大幅にエネルギー集中度が低くなる。すなわち、反共振点付近では圧電基板の深さ方向にエネルギーが漏れている状態であり、弾性表面波の伝搬損失が大きくなってしまう。特に、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが1%以上の場合、エネルギー集中度が80以上となり、表面波を効率良く得ることができる。
なお、図示していないが、規格化電極膜厚Dが6%以上13%以下(6.0%≦D≦13.0%)であれば、どの規格化電極膜厚Dであっても、同様の特性が得られる。
このように、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが1%以上の構成(1.0%≦Do)、すなわちIDT電極102の少なくとも一部を圧電基板101の表面から1%以上突出させる構造を用いることで、より優れた特性の弾性表面波装置を実現することができる。
図8は、本実施形態の構成と、IDT電極102を全て埋め込んだ構造からなる比較例1と、IDT電極102を表面に形成した構造からなる比較例2とをそれぞれ用いて、1ポートSAW共振子を形成した場合のインピーダンス特性を示す図である。なお、図8では、規格化電極膜厚Dが10%の場合を示しており、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが8%、第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが2%の場合を、本実施形態の構成としている。
図8に示すように、IDT電極102を全て埋め込んだ構造からなる比較例1では、SH波の反共振点の急峻度合いが悪い。これは、前述の通り、反共振点付近で弾性表面波のエネルギーの集中度が低く、圧電基板の深さ方向に漏洩しているためである。そのために、反共振点におけるインピーダンスが小さく、共振点と反共振点のインピーダンス比(極大および極小の幅)が小さくなり、特性が劣化する。
また、IDT電極102を表面に形成した構造からなる比較例2では、レーリー波のレスポンスが非常に高く、レーリー波による共振及び反共振が大きく現れる。また、図3、図4、図5でも分かるように、本実施形態や比較例1と比べて周波数が大幅に低くなり、同じ周波数の共振子を形成する場合に、波長を短くしなければならず、製造の難易度が上がってしまう。また、反共振周波数と共振周波数との差である比帯域が狭くなり、広帯域な弾性表面波装置を実現できない。
これらに対して、本実施形態の構成では、レーリー波のレスポンスが殆ど無く、レーリー波による共振や反共振は生じない。また、比較例1に比べて、SH波の共振点および反共振点での極大および極小の幅を大きくとることができ、他のスプリアスの影響を受けることもない。また、比較例2に比べて、比帯域を広くでき、優れた共振特性を実現できる。
なお、図示しないが、規格化電極膜厚Dが6%以上13%以下(6.0%≦D≦13.0%)であって、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doおよび第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが1%以上であれば、同様の特性が得られる。
このように、本実施形態に示す構成とすれば、十分な電気機械結合係数を有し、共振特性に優れ、レーリー波を含む各スプリアスを抑制した優れた特性の弾性表面波装置を実現することができる。
なお、上述の説明では、オイラー角のθが90°の場合を主として説明したが、オイラー角のθを所定の角度範囲にしても同様の効果が得られ、特に次に示す角度範囲とすることで、良好な特性を得ることができる。
図9は、規格化電極膜厚Dを10%とし、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doと第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diとの割合を変化させ、オイラー角のθを70°から110°まで変化させた条件下でのレーリー波の比帯域の変化を示す図である。
図9に示すように、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doと第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diとの割合によることなく、オイラー角のθが80°以上110°以下で、レーリー波の比帯域が極小になる。
なお、図9は規格化電極膜厚Dを10%の場合を示しているが、上述の本実施形態の構成の条件を含む他の規格化電極膜厚Dであっても同様の効果が得られる。
したがって、上述の条件に加えて、オイラー角のθが80°以上110°以下に設定することで、レーリー波のスプリアスをさらに抑圧し、より優れた特性の弾性表面波装置を実現することができる。
また、上述の説明では、溝110の側面およびIDT電極102の側面と圧電基板101の表面との成す角が90°の場合を示したが、図10に示すような溝110AおよびIDT電極102Aを用いてもよい。
図10は本実施形態に係る他の構成からなる弾性表面波装置10Aの側面の部分拡大図である。
本実施形態の他の構成からなる弾性表面波装置10Aは、溝110Aの側面およびIDT電極102Aの第1の電極層の側面が圧電基板101Aの表面に対して90°ではない角度αを成すように、形成されている。この際、溝110AおよびIDT電極102Aは、圧電基板101Aの表面位置での平面面積に対して底部(最深部)での平面面積が小さくなるように、角度αが設定されている。すなわち、図10に示すように側面視して、IDT電極102Aの埋込側の側面と圧電基板101Aの表面との電極102Aの内側となる角度αが90°未満である。特に、角度αが50°以上70°以下の場合、より優れた特性が得られる。
図11は、角度αおよびオイラー角のθをパラメータとして、SH波の比帯域の変化を示した特性図である。図11では、角度αを50°以上90°以下で設定し、オイラー角のθを86°,88°,90°,92°,94°に設定している。図11では、第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doが2%、第1の電極層102iの規格化電極膜厚Diが8%の場合を示している。
図11に示すように、オイラー角のθの値によることなく、角度αが50°以上70°以下の範囲で、SH波の比帯域が極大となり、70°より高く90°に近づくほど、比帯域が低下する。このような傾向は、図示しないが、上述のオイラー角のθが80°以上110°以下のいずれの角度であっても、同様に生じる。
したがって、角度αを、50°≦α≦70°とすることで、他の角度よりもSH波の比帯域を大きくでき、より優れた特性の弾性表面波装置を実現できる。
なお、上述の説明では、オイラー角のφおよびψについては、詳細に説明していないが、それぞれ±5°の範囲内、すなわち−5°≦φ≦+5°、−5°≦ψ≦+5°であれば、上述の効果を得ることができる。
また、IDT電極を覆うように酸化ケイ素(SiO2)等からなる上層膜を形成してもよい。図12は上層膜103を備える弾性表面波装置10Bの側面の部分拡大図である。図12に示すように、弾性表面波装置10Bは、圧電基板101のIDT電極102が形成されている側の面に、酸化ケイ素(SiO2)等からなる上層膜103が形成されている。このような構成とすることで、弾性表面波装置の周波数温度特性を改善することができる。
図13は、SiO2膜の弾性表面波波長による規格化膜厚と周波数温度特性(Temperature Coefficient of Frequency:TCF)の関係を示すグラフである。このグラフは、図12に示した構造において、IDT電極102の第2の電極層102oの規格化電極膜厚Doを6%とし、第1の電極102iの規格化電極膜厚Diを2%とし、圧電基板101をオイラー角(0°、90°、0°)のニオブ酸リチウムとして、SiO2膜(図12の上層膜103に相当)の規格化膜厚を変化させて得られたTCFをプロットした結果である。ここで、オイラー角やIDT電極の膜厚が上記条件以外であったとしても、本発明の開示範囲内であれば、図13にみられる傾向と同様の結果が得られることは、確認されている。
図13より明らかなように、SiO2膜が大きくなるにつれて、TCFが改善されている。より望ましくは、SiO2膜の規格化膜厚は、5%から35%であるのがよい。この場合、SiO2膜が形成されていない場合よりも弾性表面波装置のTCFが改善される。
また、このSiO2膜の表面、すなわち圧電基板101側とは反対側の面は、略平坦化されていることが望ましい。この場合、SiO2膜の表面に凹凸がほとんど存在しないため、所望でない弾性表面波の反射等が発生せず、弾性表面波装置の特性劣化を抑制することができる。
なお、SiO2膜の上には周波数調整膜が形成されていてもよい。この周波数調整膜は、例えば窒化ケイ素(SiN)等からなる。また、IDT電極とSiO2膜との間に、窒化ケイ素(SiN)等からなる湿気混入防止用の膜、あるいはIDT電極を構成するCuの拡散防止用の膜が形成されていてもよい。
10,10A,10B:弾性表面波装置、101:圧電基板、102,102A:IDT電極、102o:第2の電極層、102i:第1の電極層、103:上層膜、110,110A:溝
Claims (5)
- 表面に溝が形成されている圧電基板と、
前記溝内に位置している第1の電極層と、前記溝外に位置している第2の電極層とを有するIDT電極と、を備え、
前記圧電基板はニオブ酸リチウムからなり、
前記第1の電極層および前記第2の電極層は銅からなり、
電極膜厚を弾性表面波の波長によって規格化した値を規格化電極膜厚とした場合、
前記第2の電極層の規格化電極膜厚Do、前記第1の電極層の規格化電極膜厚Diが、
1.0%≦Do≦9.0%
且つ、1.0%≦Di≦12.0%
且つ、6.0%≦(Do+Di)≦13.0%
を満たす、弾性表面波装置。 - 請求項1に記載の弾性表面波装置であって、
前記圧電基板のオイラー角は、(φ=0°±5°,80°≦θ≦110°,ψ=0°±5°)である、弾性表面波装置。 - 請求項1または請求項2に記載の弾性表面波装置であって、
前記圧電基板の溝は、前記表面から深くなるにしたがって開口面積が小さくなり、且つ前記表面に対する側面の角度αが、
50°≦α≦70°
である、弾性表面波装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の弾性表面波装置であって、
前記圧電基板上に前記IDT電極を覆うように設けられた酸化ケイ素膜を備え、
該酸化ケイ素膜の前記圧電基板側と反対側の面が略平坦化されている、弾性表面波装置。 - 請求項4に記載の弾性表面波装置であって、
前記酸化ケイ素膜の膜厚は、当該弾性表面波装置で伝搬する弾性表面波の波長によって規格化した規格化膜厚で5%から35%までの範囲の膜厚である、弾性表面波装置。
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