JP5617608B2 - フィルム耳の切取回収装置、長尺の光学フィルムの製造方法、及びフィルム耳の巻回体の製造方法 - Google Patents

フィルム耳の切取回収装置、長尺の光学フィルムの製造方法、及びフィルム耳の巻回体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、延伸した長尺の光学フィルムの幅方向端部からフィルム耳を切り取って回収する切取回収装置、長尺の光学フィルムの製造方法、および前記フィルム耳をロール状に巻回した巻回体の製造方法に関する。
光学フィルムの中でも延伸処理を施された光学フィルムは、一般に、製造効率の観点から、ある程度の量をまとめて長尺状に製造し、この長尺の光学フィルムを巻回してロール状の巻回体として保存する(特許文献1参照)。また、使用時には、この巻回体から長尺の光学フィルムを引き出し、必要に応じて他のフィルムとロールトゥロール法等により貼り合わせ、その後、打ち抜き等の成形を施した後で利用される。
前記のような製造方法で長尺の光学フィルムを製造する場合、光学フィルムの幅方向端部は、光学フィルム本体(即ち、幅方向端部を除いた部分)から切り離されることが多い。通常、長尺の光学フィルムの幅方向の端部は、延伸の制御が困難であったり傷つき易かったりするために、光学性能が低くなる傾向があるからである。このように光学フィルム本体から切り離された幅方向端部のフィルム(以下、適宜「フィルム耳」ということがある。)は、通常、ロール状に巻き取られて巻回体として回収される。
特開2010−36414号公報
光学フィルムの延伸方法のひとつに、把持子を用いた延伸方法がある。この延伸方法では、光学フィルムの幅方向の両方の端部を把持子で掴み、掴んだ把持子で光学フィルムを引っ張ることにより光学フィルムを延伸して、延伸された光学フィルムを得る。しかし、このように把持子を用いた延伸方法では、光学フィルムにおいて把持子で掴まれた部分(以下、適宜「把持部」ということがある。)は、延伸されていないために通常は延伸された部分よりも強度が低くなる。さらに、把持部は把持子による把持によって変形したり傷付いたりして強度が弱くなる傾向がある。
上述したように光学フィルム本体からフィルム耳を切り離せば、把持部はフィルム耳の方へ移るため、光学フィルム本体の品質が低下することは無い。また、フィルム耳には光学フィルム本体ほど高い品質は求められないので、フィルム耳において把持部が変形したり傷付いていたりしても、そのこと自体は許容しうる。しかしながら、フィルム耳を巻き取る場合には、前記の把持部の強度低下が原因となって、次のような課題が生じることがある。
フィルム耳の巻回体を得る場合、光学フィルム本体からフィルム耳を切り離してから巻き取るまでの間に、一対のニップロールでフィルム耳を挟み込むことがある。この場合、フィルム耳において把持部が変形していたり傷付いていたりすると、ニップロールで挟み込まれた時に把持部が割れたり切れたりすることがある。把持部が割れるとカスが発生し、異物飛散の原因となって、光学フィルム本体の品質原因を招く可能性がある。また、把持部からフィルム耳が切れると、フィルム耳を安定して巻き取ることが困難になる可能性がある。さらにフィルムの幅方向に張力差が発生することにより、光学フィルム本体の平面性や光学精度が悪化するおそれがある。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、フィルム耳において把持部が割れたり切れたりすることを防止しながら、安定してフィルム耳を回収できるフィルム耳の切取回収装置、前記のようにフィルム耳が割れたり切れたりすることを防止しながら長尺の光学フィルムを製造できる光学フィルムの製造方法、並びに、フィルム耳において把持部が割れたり切れたりすることを防止しながら、安定してフィルム耳の巻回体を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、ニップロールに径が大きい部分(大径部)と、径が小さい部分(小径部)とを設け、ニップロールでフィルム耳を挟み込む際に、大径部が把持部に接しないようにすることにより、把持部が割れたり切れたりすることを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔4〕を要旨とする。
〔1〕 長尺の光学フィルムを幅方向の両方の端部において掴みうる把持子を備え、前記把持子により前記光学フィルムを引っ張って前記光学フィルムを延伸しうるテンター装置と、
前記テンター装置において延伸された前記光学フィルムから、前記光学フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳を切り取りうるトリミング装置と、
前記トリミング装置において切り取ったフィルム耳を挟み込んで長尺方向へ送り出しうる一対のニップロールと、
前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を回収しうる回収装置とを備え、
前記一対のニップロールの少なくとも一方が、径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有する、フィルム耳の切取回収装置。
〔2〕 前記大径部に、前記ニップロールの周方向に対して平行に延在する凹部又は凸部が形成された、〔1〕記載のフィルム耳の切取回収装置。
〔3〕 長尺の延伸前フィルムを幅方向の両方の端部において把持子で把持する工程と、
前記把持子により把持された前記延伸前フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、
得られた延伸フィルムから、前記延伸フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、前記延伸フィルムのフィルム耳を切り取るトリミング工程と、
前記フィルム耳が切り取られた後の残りの部分である光学フィルムを巻き取る工程と、を備える長尺の光学フィルムの製造方法であって、
トリミング工程で切り取られた前記フィルム耳を一対のニップロールで挟み込んで長尺方向へ送り出す工程と、
前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を回収する工程と、を備え、
前記一対のニップロールの少なくとも一方が、径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有し、
前記大径部が前記把持子により把持された部分以外の部分においてのみ前記フィルム耳に接するように、前記フィルム耳が配置されている、長尺の光学フィルムの製造方法。
〔4〕 長尺の光学フィルムを幅方向の両方の端部において把持子で掴み、前記把持子により前記光学フィルムを引っ張って前記光学フィルムを延伸し、
延伸された前記光学フィルムから、前記光学フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳を切り取り、
切り取ったフィルム耳を一対のニップロールで挟み込んで長尺方向へ送り出し、
前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を巻き取って巻回体を得る、フィルム耳の巻回体の製造方法であって、
前記一対のニップロールの少なくとも一方が、径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有し、
前記大径部が、前記把持子により掴まれた部分以外の部分においてのみ前記フィルム耳に接する、フィルム耳の巻回体の製造方法。
本発明の切取回収装置によれば、フィルム耳において把持部が割れたり切れたりすることを防止しながら、安定してフィルム耳を回収できる。
本発明の長尺の光学フィルムの製造方法によれば、フィルム耳が割れたり切れたりすることを防止しながら長尺の光学フィルムを製造できる。
本発明のフィルム耳の巻回体の製造方法によれば、フィルム耳において把持部が割れたり切れたりすることを防止しながら、安定してフィルム耳の巻回体を製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルム耳の切取回収装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るテンター装置の構成を模式的に示す平面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るトリミング装置の構成を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る一対のニップロールの構成を模式的に示す斜視図である。 図5は、凹凸部が凹部(溝部)であった場合に、ニップロールの周方向に対して直交する平面でニップロールを切った断面のうち、凹部の近傍を拡大して模式的に示す拡大断面図である。 図6は、凹凸部が凸部であった場合に、ニップロールの周方向に対して直交する平面でニップロールを切った断面のうち、凸部の近傍を拡大して模式的に示す拡大断面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係るニップロールの変形例の構成を模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る回収装置の構成を模式的に示す斜視図である。 図9は、ターンバーによるフィルム耳の折り返しの様子を模式的に示す図である。
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。なお、以下の説明において構成要素の方向が「平行」または「直交」とは、本発明の効果を著しく損なわない範囲内(例えば±5°)での誤差を含んでいてもよい。また、ある方向に「沿って」とは、ある方向に「平行に」という意味である。さらに、以下の実施形態に記載のロールは、いずれも特に断らない限り回転可能に設けられているものとする。
・概要
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルム耳の切取回収装置の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、切取回収装置1は、テンター装置100と、トリミング装置200と、一対のニップロール300及び400と、回収装置500とを備える。切取回収装置1では、矢印A1で示すように、図示しない搬送ロールによって長尺の光学フィルム10を長尺方向(縦方向、MD方向ともいう。)に連続的に搬送しながら、延伸、切断及び回収等の操作を行うようになっている。ここで「長尺」のフィルムとは、フィルムの幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
・テンター装置
図2は、本発明の一実施形態に係るテンター装置100の構成を模式的に示す平面図である。テンター装置100は、光学フィルム10を幅方向の両方の端部11において掴みうる把持子110を備え、把持子110により光学フィルム10を引っ張って、光学フィルム10を延伸しうる装置である。
本実施形態では、テンター装置100は、図2に示すように、光学フィルム10の幅方向の両方の端部11において光学フィルム10を掴みうる把持子110を複数個備える。また、テンター装置100は、把持子110を案内するガイドレール120を、光学フィルム10の長手方向の左右両脇に対に備える。把持子110は移動可能になっていて、適切な任意の機構によって駆動されることにより、ガイドレール120に沿って移動し、矢印A2に示される方向に周回できるようになっている。
テンター装置100には、フィルム10が矢印A3の方向に沿って上流(図2における左側)から連続的に供給され、テンター装置100内を通過するようになっている。テンター装置100内を光学フィルム10が通過する際、把持子110は、適切な任意の機構により、テンター装置100の入り口近傍の区間130において光学フィルム10の幅方向の両方の端部11を掴み、その掴んだ状態を維持したままでガイドレール120に沿って移動し、テンター装置100の出口近傍の区間140において放せるようになっている。
テンター装置100では、前記のように把持子110が光学フィルム10の幅方向の端部11を掴んだ状態でガイドレール120に沿って移動することにより、把持子110により光学フィルム10を長手方向、幅方向(横方向、TD方向ともいう。)又は斜め方向に引っ張って、光学フィルム10を延伸できるようになっている。また、延伸された光学フィルム10は、矢印A4で示すように、テンター装置100から下流のトリミング装置200へと送り出されるようになっている。
・トリミング装置
図3は、本発明の一実施形態に係るトリミング装置200の構成を模式的に示す斜視図である。トリミング装置200は、テンター装置100において延伸された光学フィルム10から、光学フィルム10の幅方向の少なくとも一方の端部11を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳20を切り取りうる装置である。切り取られたフィルム耳20には、把持子により把持された部分である把持部(図4参照)が含まれる。このため、光学フィルム本体(すなわち、光学フィルム10のフィルム耳20を除いた部分)30には把持部が残らず、高い光学性能を有する製品が光学フィルム本体30として得られるようになっている。
本実施形態では、トリミング装置200は、図3に示すように、延伸された光学フィルム10を厚み方向の一方(ここでは、図中上方)から押さえつける一対の押さえロール210及び220を、搬送ラインの上流及び下流の2箇所に備える。また、トリミング装置200は、上流の押さえロール210と下流の押さえロール220との間において、光学フィルム10を厚み方向の他方(ここでは、図中下方)から押さえつける一対のテンションロール230及び240を、搬送ラインの上流及び下流の2箇所に備える。これらのロールは、上流側から押さえロール210、テンションロール230、テンションロール240及び押さえロール220の順に設けられていて、矢印A5で示すように、光学フィルム10はこの順に搬送されるようになっている。
上流のテンションロール230と下流のテンションロール240との間には、光学フィルム10を切断するためのカッター250,260が設けられている。ここでは、円板の外周に刃が装着されたカッター250,260を用いているものとして説明するが、カッター250,260の種類はこれに限定されるものではない。カッター250,260が設けられた位置では、テンションロール230,240により光学フィルム10に充分に大きい張力が与えられているため、カッター250,260によって光学フィルム10を容易に切断できる。
カッター250,260は、幅方向の2箇所に設けられている。具体的には、カッター250,260は、それぞれ、光学フィルム10の幅方向の縁12から所定の距離W20だけ離れた位置に設けられている。これにより、光学フィルム10の幅方向の両方の端部11が、幅W20のフィルム耳20として切り取られるようになっている。切り取られたフィルム耳20は、矢印A6で示すように、ニップロール300,400へと送り出される。他方、フィルム耳20が切り取られた後の残りの部分である光学フィルム本体30は、矢印A7で示すようにフィルム耳20とは別に搬送されて、必要な処理を施された後に、巻き取られる。フィルム耳の幅W20の幅は、好ましくは50mm以上、より好ましくは100mm以上であり、好ましくは350mm以下、より好ましくは250mm以下である。
・ニップロール
図4は、本発明の一実施形態に係る一対のニップロール300,400の構成を模式的に示す斜視図である。ニップロール300,400は、トリミング装置200において得られたフィルム耳20を挟み込んで、長尺方向へと送り出しうるロールであり、一方のニップロール400上のフィルム耳20に、例えば圧縮空気の圧力を利用して他方のニップロール300を押さえつけ、フィルム耳20をニップロール400上に固定することができる。ニップロール300,400の材質は、一般には、その目的により金属やゴム材料など各種の素材が用いられている。ニップロール400の材質が金属である場合には、密着性の観点から、ニップロール300にはシリコーンゴムやアクリロニトリルブタジエンゴムを代表とする弾力性のあるゴム材料を用いることが好ましい。また、フィルム耳20に発生する静電気を防止する為に、ゴム材料にカーボンブラック等を含ませることにより、導電性を付与してもよい。ニップロール300,400でフィルム耳20を挟み込むようにすることで、次の(i)及び(ii)のような利点が得られる。
(i)ニップロール300,400が存在しない場合に、トリミング装置200よりも下流でフィルム耳20が切れると、トリミング装置200においてフィルム耳20が溜まったり、搬送ラインに存在する搬送ロール(図示せず)に切れたフィルム耳20が巻き込まれたりする可能性がある。このようなことが起こると、トリミング装置200での光学フィルム10の切断位置が変動し、光学フィルム本体30の品質が低下する可能性がある。これに対し、ニップロール300,400によってトリミング装置200よりも下流でフィルム耳20を挟み込むようにすると、もしニップロール300,400よりも下流でフィルム耳20が切れても、前記のようにフィルム耳20がトリミング装置200に溜まったり、搬送ロールに巻き込まれたりすることを防止できる。
(ii)ニップロール300,400でフィルム耳20を挟み込み、長尺方向へと引っ張るようにしてフィルム耳20を搬送することにより、トリミング装置200において光学フィルム10に適切に張力を与えることができる。これにより、トリミング装置200での光学フィルム10の切断を安定して正確に行うことができる。
本実施形態では、図4に示すように、互いの回転軸が平行になるように対向して設けられたニップロール300及び400がトリミング装置200の下流に設けられていて、これらのニップロール300とニップロール400との間を矢印A8で示すようにフィルム耳20が通過するようになっている。また、ニップロール300とニップロール400とは、その表面の接触部分において圧接するようになっていて、ニップロール300とニップロール400との間を通過するフィルム耳20に対して圧力をかけながら、フィルム耳20を送り出せるようになっている。
ただし、一方のニップロール300は、径R310が大きい大径部310と、大径部310よりも径R320が小さい小径部320とを有する。すなわち、ニップロール300においては、大径部310の径R310は小径部320の径R320よりも大きくなっている。このため、ニップロール300とニップロール400との間をフィルム耳20が通過する際、一方のニップロール300の大径部310と他方のニップロール400との間を通過するフィルム耳20の部分には相対的に大きな圧力が加えられるが、一方のニップロール300の小径部320と他方のニップロール400との間を通過するフィルム耳20の部分には、圧力が加えられないか、相対的に小さい圧力が加えられる。特に、小径部320の表面はフィルム耳20に接触しないこともありえ、そのように接触しない場合には一方のニップロール300の小径部320と他方のニップロール400との間を通過するフィルム耳20の部分には、通常は圧力が加えられない。
本実施形態においては、ニップロール300の大径部310が、フィルム耳20の把持部21以外の部分においてのみ、フィルム耳20に接するようにフィルム耳20の通過位置が設定されている。図4に示す例においては、フィルム耳20の図中左側の縁22の近傍に把持部21が存在するため、フィルム耳20の把持部21よりも図中右側の部分23がニップロール300の大径部310とニップロール400との間を通過するように設定されている。したがって、フィルム耳20の把持部21はニップロール300の小径部320とニップロール400との間を通過するようになっている。
把持部21がニップロール300の小径部320とニップロール400との間を通過するようになっているので、把持部21には通常はニップロール300,400から圧力が加えられず、また、例え加えられるとしても圧力の大きさは小さくなる。したがって、把持部21が変形していたり傷付いていたりしても、ニップロール300とニップロール400との間をフィルム耳20が通過する際に把持部21が割れたり切れたりすることを防止できる。
また、フィルム耳20の把持部21以外の部分23がニップロール300の大径部310とニップロール400との間を通過するようになっているので、フィルム耳20の把持部21以外の部分23にはニップロール300,400から充分に大きい圧力が加えられる。したがって、ニップロール300,400によってフィルム耳20を安定して挟み込むことができる。このため、フィルム耳20が切れた場合にニップロール300,400よりも上流に逆戻りすることを確実に防止したり、トリミング装置200において光学フィルム10に安定して張力を与えたりすることが可能となっている。
なお、本実施形態ではフィルム耳20の把持部21から遠い側の縁部24も、ニップロール300の大径部310とニップロール400との間を通過する例を示すが、縁部24はニップロール300の小径部320とニップロール400との間を通過するようにしてもよい。
ニップロール300において、大径部310の径R310と小径部320の径R320との差は、把持部21が割れたり切れたりすることを防止できる程度であればよいが、通常1mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また、通常50mm以下である。また大径部310の径R310の範囲は、通常22mm以上、好ましくは56mm以上であり、通常200mm以下、好ましくは90mm以下である。さらに、小径部320の径R320の範囲は、通常20mm以上、好ましくは50mm以上であり、通常100mm以下、好ましくは80mm以下である。
また、ニップロール300の大径部310には、ニップロール300の周方向に対して平行に延在する凹部又は凸部(以下、適宜、凹部及び凸部を区別せずに指す場合「凹凸部」という。)330が形成されている。ニップロール300の大径部310に一定方向に延在する凹凸部330が形成されていると、ニップロール300とニップロール400との間を通過するフィルム耳20は凹凸部330が延在する方向に進むように進行方向を制御される。したがって、ニップロール300の周方向に対して平行に延在する凹凸部330を設ければ、フィルム耳20をニップロール300の周方向に対して平行に安定して進むように制御して直進性を向上させることができるので、フィルム耳20の把持部21の通過位置を変動し難くして、把持部21がニップロール300の大径部310とニップロール400との間を通過しないように安定して制御できる。また、フィルム耳20自体がニップロール300とニップロール400との間から脱離しないように安定して制御することもできる。
凹凸部の形状としては、凹部であることが好ましい。フィルム耳20とニップロール300との接触面積が大きくなるので、フィルム耳20の直進性が安定するためである。また、フィルム耳20への凹凸部330に基づく形状転写の程度がより小さく、さらに凹部の方がニップロール300の加工による形状付与が容易なためである。
凹凸部330は、ニップロール300の大径部310の周方向において、少なくとも一部に形成すればよいが、全体に設けることが好ましい。周方向において全体に凹凸部330を設けることにより、フィルム耳20の直進性を効果的に向上させることができるためである。
凹凸部330の本数は1本以上であればよく、例えば図4に示すように2本でもよく、3本以上でもよい。凹凸部330が2本以上ある場合、凹部のみを設けてもよく、凸部のみを設けてもよく、凹部と凸部とを組み合わせて設けてもよい。ただし、フィルム耳20とニップロール300との接触面積を充分に広くして凹凸部330の直進性を安定して高くする観点からは、凹凸部330の本数は50本以下とすることが好ましい。
図5は、凹凸部330が凹部(溝部)340であった場合に、ニップロール300の周方向に対して直交する平面でニップロール300を切った断面のうち、凹部340の近傍を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図5に示すように、凹部340は断面が四角形の凹部として形成してもよいが、これ以外の形状の凹部として形成してもよい。また、凹部340の深さD340及び幅W340は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、フィルム耳20とニップロール300との接触面積を充分に広くしてフィルム耳20の直進性を安定して高くする観点からは、凹部340の幅W340は30mm以下とすることが好ましい。また、凹部形成の効果を十分に発現するとの観点からは、凹部340の幅W340は0.1mm以上とすることが好ましい。
図6は、凹凸部330が凸部350であった場合に、ニップロール300の周方向に対して直交する平面でニップロール300を切った断面のうち、凸部350の近傍を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図6に示すように、凸部350は断面が四角形の凸部として形成してもよいが、これ以外の形状の凸部として形成してもよい。また、凸部350の高さH350及び幅W350は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、フィルム耳20とニップロール300との接触面積を充分に広くしてフィルム耳20の直進性を安定して高くする観点からは、凸部350の高さH350は15mm以下とすることが好ましい。また、凸部形成の効果を十分に発現するとの観点からは、凸部350の高さH350は0.1mm以上とすることが好ましい。
凹凸部330は、ニップロール300の大径部310の周方向において、図4に示すように連続的に設けられていてもよいが、例えば図7に示すように断続的に設けられていてもよい。連続的に設けた場合も、断続的も設けた場合も、フィルム耳20の直進性を効果的に高めることができる。ただし、凹凸部330の形成が容易であることから、凹凸部330は連続的に設けることが好ましい。
・回収装置
図8は、本発明の一実施形態に係る回収装置500の構成を模式的に示す斜視図である。回収装置500は、ニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20を巻き取って回収しうる装置である。巻取装置500で巻き取られることにより、フィルム耳20のロール状の巻回体510が得られるようになっている。
本実施形態では、巻取装置500は、図8に示すように、矢印A9で示すようにニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20を、適切な巻き芯520を中心にして巻き取り、巻回体510を得るようになっている。ただし、回収装置500による回収方法としては、例えば、粉砕、減容、押出、リペレット化等の方法を採用してもよい。
・回収方法
本発明の一実施形態に係る切取回収装置1は以上のように構成されている。この切取回収装置1を用いてフィルム耳20を回収する場合には、
(a)長尺の光学フィルム10を、幅方向の両方の端部11において把持子110で掴み、把持子110により光学フィルム10を引っ張って光学フィルム10を延伸し、
(b)延伸された光学フィルム10から、光学フィルム10の幅方向の少なくとも一方の端部11を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳20を切り取り、
(c)切り取ったフィルム耳20を、一対のニップロール300,400で挟み込んで長尺方向へ送り出し、
(d)ニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20を巻き取って巻回体510を得る。
前記のように、前記の切取回収装置1を用いて回収されたフィルム耳20は、ロール状の巻回体510として得られる。したがって、前記のフィルム耳20の回収方法は、フィルム耳20の巻回体510の製造方法とみてもよい。
この際、ニップロール300とニップロール400との間をフィルム耳20が通過する際に把持部21が割れたり切れたりすることを防止するために、ニップロール300の大径部310が、把持部21(即ち、把持子110により掴まれた部分)以外の部分23においてのみ、フィルム耳20に接するようにする。
すなわち、まず長尺の光学フィルム10を用意し、用意した光学フィルム10をテンター装置100に供給する。テンター装置100では、図2に示すように、テンター装置100の入口近傍の区間130において、搬送されてきた光学フィルム10の幅方向の両方の端部11を把持子110で掴む(把持工程)。その掴んだ状態を維持したままで把持子110が移動することにより、光学フィルム10が引っ張られて、光学フィルム10が延伸される(延伸工程)。その後、テンター装置100の出口近傍の区間140において把持子110は光学フィルム10を放す。放された光学フィルム10は、トリミング装置200へと送り出される。
テンター装置100から送り出された光学フィルム10は、トリミング装置200において、光学フィルム10の幅方向の少なくとも一方の端部11を長尺方向に連続的に切り取られる(トリミング工程)。本実施形態では、光学フィルム10の両方の端部11がカッター250,260によって切り取られる。切り取られた端部11は、フィルム耳20として、ニップロール300,400へと送り出される。他方、光学フィルム10からフィルム耳20が切り取られた後の残りの部分である光学フィルム本体30は、フィルム耳20とは別に搬送され、巻き取られる。
ニップロール300,400では、トリミング装置200から送り出されたフィルム耳20が一対のニップロール300とニップロール400とで挟み込まれ、長尺方法へと送り出される(ニップ工程)。この際、フィルム耳20は、ニップロール300の大径部310が、フィルム耳20の把持部21以外の部分23においてのみフィルム耳20に接するように配置される。すなわち、ニップロール300の大径部310が、フィルム耳20の把持部21以外の部分23においてのみフィルム耳20に接するように、フィルム耳20の通過位置を設定されている。このため、大径部310が把持部21に接触することは無い。他方、小径部320は、通常はフィルム耳20に接触せず、接触するとしても把持部21に加えられる圧力は小さくなる。
このように、大きい圧力を与えることになる大径部310がフィルム耳20の把持部21に接触しないようにすることで、ニップロール300とニップロール400との間をフィルム耳20が通過する際、把持部21が割れたり切れたりすることを防止できる。また、把持部21には把持子110に塗られたクリップオイルが付着することがありえるが、ニップロール300に把持部21が接触しないようにすれば、搬送ラインのクリップオイルによる汚染を抑制することができる。
さらに、ニップロール300の大径部310には周方向に対して平行に延在する凹凸部330が形成されているので、フィルム耳20の直進性を向上させて、把持部21がニップロール300の大径部310に接触しないように安定して制御したり、フィルム耳20がニップロール300とニップロール400との間から脱離しないように安定して制御したりできる。
ニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20は、回収装置500において巻き取られて、回収される(回収工程)。これにより、延伸された光学フィルム10から切り取られたフィルム耳20をロール状に巻き取ったものとして、巻回体510が得られる。この際、フィルム耳20の把持部21が割れたり切れたりしないようになっているので、安定してフィルム耳20の巻回体510を得ることができる。
こうして得られたフィルム耳20の巻回体510は、例えば、光学フィルム10の原料として再利用されたり、光学フィルム本体30とは別の、高い光学性能が要求されない用途に用いられたりする。
上述した方法によれば、フィルム耳20が割れたり切れたりすることを防止しながら、光学フィルム本体30を製造できる。ここで、光学フィルム本体30は長尺の光学フィルムであるので、上述した方法は、長尺の光学フィルムの製造方法とみることもできる。
ここで、トリミング装置200においてフィルム耳20を切り取られる以前の光学フィルム10のうち、テンター装置100で延伸される前のフィルムを「延伸前フィルム40」、テンター装置100で延伸されてからフィルム耳20を切り取られるまでのフィルムを「延伸フィルム50」と呼ぶようにすれば、上述した方法は、以下のような長尺の光学フィルムの製造方法とみることもできる。
すなわち、上述した方法は、(a)長尺の延伸前フィルム40を幅方向の両方の端部11において把持子110で把持する把持工程と、(b)把持子110により把持された延伸前フィルム40を延伸して延伸フィルム50を得る延伸工程と、(c)得られた延伸フィルム50から、延伸フィルム50の幅方向の少なくとも一方の端部11を長尺方向に連続的に切断して、延伸フィルム50のフィルム耳20を切り取るトリミング工程と、(d)フィルム耳20が切り取られた後の残りの部分である光学フィルム(即ち、光学フィルム本体)30を巻き取る光学フィルム巻取工程と、を備える長尺の光学フィルムの製造方法とみることもできる。
また、この長尺の光学フィルムの製造方法は、(e)トリミング工程で切り取られたフィルム耳20を一対のニップロール300,400で挟み込んで長尺方向へ送り出すニップ工程と、(f)ニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20を回収する回収工程と、を備える。この際、前記の長尺の光学フィルムの製造方法では、一対のニップロール300,400の少なくとも一方(本実施形態ではニップロール300)が、径が大きい大径部310と、大径部310よりも径が小さい小径部320とを有し、大径部310が把持部21(即ち、把持子110により把持された部分)以外の部分においてのみフィルム耳20に接するように、フィルム耳20が配置されている。これにより、前記の長尺の光学フィルムの製造方法では、フィルム耳20が割れたり切れたりすることを防止しながら長尺の光学フィルム本体30を製造できるので、高品質の光学フィルム本体30が得られる。
・その他
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、切取回収装置1は、テンター装置100、トリミング装置200、ニップロール300,400及び回収装置500以外の要素を更に備えていてもよい。また、例えば、前記の回収方法において、上述した延伸工程、トリミング工程、ニップ工程及び巻取工程以外の工程を更に行ってもよい。
例えば、ニップロール300,400と回収装置500との間にターンバーを設け、このターンバーによりフィルム耳20を折り返すようにしてもよい。光学フィルム10、フィルム耳20及び光学フィルム本体30等のフィルムの搬送は、通常は搬送ロール等を用いてインラインで連続的に行われる。この際、搬送されるフィルム同士が近いと、搬送ラインの構成が複雑となり、装置のメンテナンス性及び取り扱い性が課題となる場合がある。そこで、例えばターンバーでフィルムを折り返すことにより、フィルム同士が離れるように案内して、搬送ラインの構成をシンプルにすることができる。
図9は、ターンバーによるフィルム耳20の折り返しの様子を模式的に示す図である。図9に示すように、ニップロール300,400から送り出されたフィルム耳20は矢印A10で示すようにターンバー600に送られ、ターンバー600において折り返され、矢印A11で示すように回収装置500へと送り出される。この際、ターンバー600の径を調整することが好ましい。具体的には、ターンバー600において把持部21を折り返す部分610の径R610を、他の部分620の径R620よりも小さくすることが好ましい。これにより、折り返す際に把持部21にかかる圧力は、把持部21以外の部分23にかかる圧力よりも小さくなるので、フィルム耳20の把持部21が切れたり割れたりすることを防止することができる。
また、上述した実施形態ではトリミング装置200において光学フィルム10の両方の端部11を切断するようにしたが、例えば、光学フィルム10の一方の端部11だけを切断するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では一対のニップロール300,400のうち一方(即ち、ニップロール300)だけが大径部310及び小径部320を有するようにしたが、大径部310及び小径部320は両方のニップロール300,400に設けるようにしてもよい。したがって、例えば、一対のニップロール300,400の両方に大径部310及び小径部320を設けてもよい。
また、ニップロール300に設ける凹凸部330は、上述した実施形態ではニップロール300の周方向に対して平行に形成したが、必要に応じて、周方向に対して交差する方向に延在するように形成してもよい。例えば、凹凸部300を、ニップロール300の周方向に対して、光学フィルム本体30から離れる方向へと傾斜する方向に沿って延在するように形成してもよい。これにより、ニップロール300,400から送り出されるフィルム耳20の送出方向を光学フィルム本体30から離れる方向にすることができる。これにより、フィルム耳20と光学フィルム本体30との距離が離れるように、フィルム耳20を案内することができる。ただし、前記の周方向に対して傾斜する方向には、ニップロール300の周方向に対して直交する方向は含めないものとする。
また、例えば、大径部310及び小径部320を備えないニップロール400の表面に、凹凸部330と同様に凹凸部を設けてよい。この場合でも、凹凸部330と同様に、フィルム耳20の直進性を向上させることが可能である。
・光学フィルム
上述した切取回収装置1、回収方法及び製造方法の適用対象となる光学フィルム10は、通常は樹脂フィルムである。
光学フィルム10は、光学要素としての機能を安定に発揮する観点から、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。ここで、前記全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
光学フィルム10のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
上述した実施形態においては、強度が低い把持部21が割れたり切れたりすることを防止できることを利点の一つとしているので、この利点を有効に活用するには、光学フィルム10として強度が低いものを用いることが好ましい。具体的には、光学フィルム10は、JISに準拠したMD方向の引き裂き強度で1.5N/mm以下の強度を有することが好ましい。このJIS引き裂き強度の調整は、樹脂の種類の変更や樹脂の層厚の変更などによって行うことができる。JIS引き裂き強度は、JIS K7128−2(エルメンドルフ引裂法)に準拠して、光学フィルム10の中央部におけるMD方向について、引張り試験機を用いてMD方向に引張り、クラックが発生した時点の強度である。
光学フィルム10は、1層のみからなる単層構造のフィルムであってもよく、複数の層を有する複層構造のフィルムであってもよい。また、光学フィルム10が複数の層を備える場合、光学フィルム10が備える層を形成する樹脂の種類は、同じでもよく、異なっていてもよい。具体例を挙げると、樹脂AからなるA層と、樹脂Aとは異なる樹脂BからなるB層とを、A層、B層及びA層の順に備える3層構造のフィルムにしてもよい。
テンター装置100において延伸された光学フィルム10の幅は、通常1000mm以上、好ましくは1300mm以上、より好ましくは1400mm以上である。このように光学フィルム10の幅を広くすることにより、大画面の表示装置等に好適に用いることができる。なお、幅の上限に制限は無いが、通常2500mm以下、好ましくは2000mm以下である。
光学フィルム10の厚みは、例えば、180μm以下、120μm以下、60μm以下、50μm以下としてもよい。また、下限は、例えば、10μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上などに、適宜設定できる。
光学フィルム10の製造方法は、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法;ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法;基材樹脂フィルムに対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法が適宜できる。中でも、製造効率や、光学フィルム10中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。押出し温度は、光学フィルム10を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択され得る。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
[実施例1]
共押出成形により、ポリメチルメタクリレート樹脂層/ポリスチレン樹脂層/ポリメチルメタクリレート樹脂層(膜厚40μm/40μm/40μm)の3層からなる幅1100mmの原反フィルムを製造した。製造した原反フィルムをロールに巻きつけ、フィルム長3000mのロール状巻回体を得た。
図1に示すように、テンター装置100、トリミング装置200、ニップロール300,400及び回収装置500を備える切取回収装置を用意した。
テンター装置100では、温度134℃の条件で、長尺方向に対して45°の角度をなす斜め方向に、延伸倍率1.8倍で光学フィルム10を斜め延伸を行なうように設定した。
また、トリミング装置200では、延伸された光学フィルム10の両方の縁から180mmの位置にカッターを設置し、光学フィルム10の両方の端部を、幅180mmのフィルム耳20として切断できるようにした。
ニップロール300として、直径75mmの大径部310と、直径65mmの小径部320とを備えるロールを用意した。このニップロール300は、小径部320と同様の径を有する円柱状のロールの一部に、シリコーンゴムシートを巻き付けて大径部310を形成することにより製造した。また、ニップロール300の大径部310には、幅5mm、深さ5mmの溝(凹凸部330)を、図4に示すように、大径部310の周方向に対して平行に延在するように形成した。これらの溝は、大径部310の全周に連続的に形成した。また、溝は2本形成した。他方、ニップロール400としては、直径150mmの円柱状のロールを用いた。ニップロール300とニップロール400とは、互いに軸方向が平行となるように設置した。また、ニップロール300とニップロール400との距離を調整することにより、ニップロール300は大径部310でのみニップロール400に圧接し、小径部320ではニップロール400に触れないようにした。また、ニップロール300,400の位置を調整して、トリミング装置200から送り出されるフィルム耳20の把持部21は小径部320とニップロール400との間を通過し、フィルム耳20の把持部21よりも図中右側の部分(把持部21以外の部分)23が大径部310とニップロール400との間を通過するように設定した。
また、ニップロール300,400の下流に、ターンバー(図9参照)で折り返されたフィルム耳20を巻き取って回収する回収装置500を設置した。なお、ターンバーは、把持部21を折り返す部分610の径R610を40mmとし、他の部分620の径R620を70mmとした。
以上のような構成の切取回収装置に、前記の原反フィルムのロール状巻回体を取り付け、ロール状巻回体から引き出した原反フィルムをテンター装置100に供給した。供給された原反フィルムは、テンター装置100で延伸された後、トリミング装置200でフィルム耳20が切り取られ、切り取られたフィルム耳20がニップロール300,400、ターンバーを介して回収装置500で巻き取られた。ニップロール300,400を通過する際、凹凸部330としての溝の作用により、フィルム耳20は蛇行を生じることなく安定して真っ直ぐに搬送された。また、得られたフィルム耳20のロール状巻回体において、把持部21は割れたり切れたりしていなかった。
本発明は、長尺の光学フィルムの製造に用いて好適である。
1 フィルム耳の切取回収装置
10 光学フィルム
11 光学フィルム10の端部
12 光学フィルムの幅方向の縁
20 フィルム耳
21 把持部
22 フィルム耳20の図中左側の縁
23 フィルム耳20の把持部21以外の部分
24 フィルム耳20の把持部21から遠い側の縁部
30 光学フィルム本体
40 延伸前フィルム
50 延伸フィルム
100 テンター装置
110 把持子
120 ガイドレール
130 テンター装置100の入口近傍の区間
140 テンター装置100の出口近傍の区間
200 トリミング装置
210,220 押さえロール
230,240 テンションロール
250,260 カッター
300 ニップロール
310 大径部
320 小径部
330 凹凸部
340 凹部
350 凸部
400 ニップロール
500 回収装置
510 フィルム耳の巻回体
520 巻き芯
600 ターンバー
610 ターンバー600において把持部21を折り返す部分
620 ターンバー600において把持部21を折り返す部分610の他の部分

Claims (4)

  1. 長尺の光学フィルムを幅方向の両方の端部において掴みうる把持子を備え、前記把持子により前記光学フィルムを引っ張って前記光学フィルムを延伸しうるテンター装置と、
    前記テンター装置において延伸された前記光学フィルムから、前記光学フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳を切り取りうるトリミング装置と、
    前記トリミング装置において切り取ったフィルム耳を挟み込んで長尺方向へ送り出しうる一対のニップロールと、
    前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を回収しうる回収装置とを備え、
    前記一対のニップロールの少なくとも一方が、前記把持子により把持された部分以外の部分においてのみ前記フィルム耳に接するようにされた径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有する、フィルム耳の切取回収装置。
  2. 前記大径部に、前記ニップロールの周方向に対して平行に延在する凹部又は凸部が形成された、請求項1記載のフィルム耳の切取回収装置。
  3. 長尺の延伸前フィルムを幅方向の両方の端部において把持子で把持する工程と、
    前記把持子により把持された前記延伸前フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、
    得られた延伸フィルムから、前記延伸フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、前記延伸フィルムのフィルム耳を切り取るトリミング工程と、
    前記フィルム耳が切り取られた後の残りの部分である光学フィルムを巻き取る工程と、を備える長尺の光学フィルムの製造方法であって、
    トリミング工程で切り取られた前記フィルム耳を一対のニップロールで挟み込んで長尺方向へ送り出す工程と、
    前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を回収する工程と、を備え、
    前記一対のニップロールの少なくとも一方が、径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有し、
    前記大径部が前記把持子により把持された部分以外の部分においてのみ前記フィルム耳に接するように、前記フィルム耳が配置されている、長尺の光学フィルムの製造方法。
  4. 長尺の光学フィルムを幅方向の両方の端部において把持子で掴み、前記把持子により前記光学フィルムを引っ張って前記光学フィルムを延伸し、
    延伸された前記光学フィルムから、前記光学フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を長尺方向に連続的に切断して、フィルム耳を切り取り、
    切り取ったフィルム耳を一対のニップロールで挟み込んで長尺方向へ送り出し、
    前記ニップロールから送り出された前記フィルム耳を巻き取って巻回体を得る、フィルム耳の巻回体の製造方法であって、
    前記一対のニップロールの少なくとも一方が、径が大きい大径部と、前記大径部よりも径が小さい小径部とを有し、
    前記大径部が、前記把持子により掴まれた部分以外の部分においてのみ前記フィルム耳に接する、フィルム耳の巻回体の製造方法。
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