JP5617436B2 - ボールペン用油性インキ - Google Patents

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Description

本発明は、インキを紙面等の被筆記面に転写するボールを、ボールホルダーの先端開口部から一部臨出させて回転自在に抱持したボールペンチップをペン先としたボールペンに収容されるボールペン用インキに関する。
従来、ボールペン用油性インキ組成物は、染料や顔料などの着色材と、グリコール類や、グリコールエーテル類、高沸点のアルコール等の溶剤と、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ロジン誘導樹脂などの紙面への定着を主な目的とした樹脂と、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等の粘度調整、流動特性調整、ボテを防止することを主な目的とした樹脂とからなっている。
このボールペンによる筆記は、ボールホルダーの内孔に流通したインキを、紙面などの被筆記物と接触して移動させられることによって回転するボールによって転写させ、筆跡・描線をつくりだすものである。その時、ボールに付着したインキが、ボール表面の紙面と接触しないインキは、ボール表面に残留し、ボールが回転し続けることによって再度ボールホルダー内に収容されようとする。しかし、ボールペンチップにおいて、ボールとボールホルダーの隙間の開口部は狭く、特に、筆記具と紙面とが70度等の傾斜した状態で筆記した場合などは、筆記部材であるボールは紙面に押されてボールホルダーの開口部の上側に位置することになるので、前述のボールに残留したインキの一部が収容されず、ボールホルダーの先端部分に乗り上げて溜まり、ある時点で紙面に落ちて筆跡に玉状の部分を形成し、いわゆるボテ現象が発生する。このボテは、筆跡幅が不均一な汚れた筆記線となる印象を与えるし、インキが多く乾き難いので、不意に触れてしまい紙面や手を汚すものであった。ボールホルダーの先端開口部からは出たが、筆跡とならなかったインキも発生し、そのようなインキがボールホルダーの外周に付着し、書きはじめや時には、筆記途中でインキのかたまりが滴下される特に、転写方向上にない先端開口部からのインキのシミだしが多いと、転写されずに筆跡とならなかったインキが多くなり、ボテ現象の発生が多くなる。
ボテを防止する事は古くから様々研究がなされている。例えば、特開平8−239616号公報(特許文献1)、特開2001−139866号公報(特許文献2)には、特定のポリビニルピロリドンを使用したボールペン用油性インキが開示されている。また、特開平6−313143号公報(特許文献3)、特開平10−297158号公報(特許文献4)には、粘度やせん断減粘性に関する数値を限定したボールペン用油性インキが開示されている。
特開平8−239616号公報(段落番号0005、0006) 特開2001−139866号公報(段落番号0003、0004) 特開平6−313143号公報(段落番号0006〜0008) 特開平10−297158号公報(段落番号0003〜0006)
インキにポリビニルピロリドンを添加するとインキの凝集力が大きくなり、その糸曵き性により余剰のインキをボールペンチップ内に引き戻す力が大きくなり、いわゆるインキのリターン効果が高まってボテを軽減させることが出来るとされているが、効果が現れる程度に添加するとインキ粘度が高くなり、インキの吐出がスムーズにいかず筆跡にカスレや線割れを発生するおそれがあるので、大量添加できなかった。
また、剪断減粘性を付与して筆記時のインキ粘度を下げ、インキの紙への浸透性を強くし、チップ先端の余剰インキを紙へ浸透させ、ボテ現象を抑制するといった低粘度インキは、著しい筆跡滲みが発生したり、ボールと受け座が強く当たって受け座が摩耗してボールの回転が阻害されカスレを生じたりするおそれがあり、やはりボテを防止するに限界があった。
即ち、本発明は、着色剤と、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種若しくは2種以上の界面活性剤と、水への溶解度が40重量%以下の溶剤Xと、水への溶解度が70重量%以上かつ溶剤Xへの溶解度が70重量%以上の溶剤Yと、インキ全量に対し1.0重量%以上30.0重量%以下の水分とから少なくともなり、溶剤Xと溶剤Yの配合比率が0.4≦溶剤Y/溶剤X≦0.8を満足し、少なくとも水と溶剤Xとを含有する成分の一部が界面活性剤によって粒子状となりエマルション状態を形成しているボールペン用油性インキを要旨とするものである。

一般的に、互いに相溶しにくい溶剤が混合されている中に界面活性剤を添加すると液滴が形成されエマルション状態となる。
また、相溶しにくい溶剤同士が相溶する時に、それぞれの溶剤の体積の和よりも少ない体積となることが知られている。
水への溶解度が40重量%以下の溶剤X中に水滴をエマルジョン状に形成する際に、あわせて水への溶解度が70重量%以上かつ溶剤Xへの溶解度が70重量%以上の溶剤Yを使用すると、溶剤Yはエマルション粒子内とこれを分散している溶剤Xとの双方に溶解して存在するため、エマルションが破壊された際に水と溶剤Xとの溶解状態を形成するが、溶剤Xと溶剤Yの配合比率が0.4≦溶剤Y/溶剤X≦0.8とすることによって、その体積減少を大きなものとすることができる。
エマルション粒子は、ボールペンが筆記される際に、ボールペン内の小口や、ボールと紙面によって押しつぶされて破壊され、その瞬間にエマルション粒子内の水が分散媒中に速やかに溶解し、インキの体積減少を起こすので、紙面に転写されなかったインキがボールの表面上での厚みが薄くなり、再びボールペンチップ内に回収されやすくなってボールホルダーの外周に乗り上げにくくなるので、結果的にボテ減少が抑制されるものと推察される。
尚、以下の説明においても、水への溶解度が40重量%以下の溶剤を溶剤X、水への溶解度が70重量%以上かつ水への溶解度が40重量%以下の溶剤(溶剤X)への溶解度が70重量%以上の溶剤を溶剤Yとする。
以下に発明を詳細に説明する。
着色剤は一般的に使用されている染料、顔料が使用可能である。染料の一例としては、SPILON BLACK GMH SPECIAL、SPILON RED C−GH、SPILON RED C−BH、SPILON BLUE C−RH、SPILON BLUE BPNH、SPILON YELLOW C−GNH、SPILON YELLOW C−2GH、SPILON VIOLET C−RH、S.P.T. ORANGE6、S.P.T. BLUE111、SOT Yellow−1、SOT Yellow−2、SOT Yellow−3、SOT Yellow−4、SOT Yellow−6、SOT Orange−1、SOT Orange−2、SOT Scarlet−1、SOT Red−1、SOT Red−2、SOT Red−3、SOT Pink−1、SOT Brown−1、SOT Brown−2、SOT Blue−1、SOT Blue−2、SOT Blue−3、SOT Blue−4、SOT Violet−1、SOT Green−1、SOT Green−2、SOT Green−3、SOT Brack−1、SOT Brack−2、SOT Brack−4、SOT Brack−5、SOT Brack−6、SOT Brack−8、ORIENT SPRIT BLACK AB、VALIFAST BLACK 3804、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1360、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST BLUE 1601、VALIFAST BLUE 1603、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST BLUE 2601、VALIFAST YELLOW 1110、VALIFAST YELLOW 1171、VALIFAST YELLOW 3104、VALIFAST YELLOW 3105、VALIFAST YELLOW 1109、Oil Colors Yellow #101、Oil Colors Yellow 3G、Oil Colors Yellow GGS、Oil Colors Yellow #105、Oil Colors Yellow #107、Oil Colors Yellow #136、Oil Colors Yellow #140、Oil Colors Orange PS、Oil Colors Orange PR、Oil Colors Orange #201、Oil Colors Pink OP、Oil Colors Pink #312、Oil Colors Scarlet #308、Oil Colors Red RR、Oil Colors Red 5B、Oil Colors Red #330、Oil Colors Brown GR、Oil Colors Brown #416、Oil Colors Brown BB、Oil Colors Green BG、Oil Colors Green #502、Oil Colors Green #533、Oil Colors Blue BOS、Oil Colors Blue IIN、Oil Colors Blue #603、Oil Colors Blue #613、Oil Colors Violet #730、Oil Colors Violet #732、Oil Colors Black BY、Oil Colors Black BS、Oil Colors Black HBB、Oil Colors Black #803、Oil Colors Black EB、Oil Colors Black EX、ネオスーパーブルーC−555、ローダミンBベース、ソルダンレッド3R、メチルバイオレット2Bベース、ビクトリアブルーF4R、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同50、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性用染料、ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同56、同61、同62、同79、同80、同82、同83:1、同151、ソルベントオレンジ1、同2、同5、同6、同14、同37、同40、同41、同44、同45、同62、ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同89、同91、同100、同109、同121、同122、同127、同132、同218、ディスパースレッド9、ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同21:1、同27、ディスパースバイオレット1、ソルベントブルー2、同4、同5、同11、同12、同25、同35、同36、同38、同44、同45、同55、同67、同70、同73、ソルベントグリーン3、ソルベントブラウン3、同5、同20、同28、同37、ソルベントブラック3、同5、同7、同22、同22:1、同23、同27、同29、同34、同43、同123が挙げられる。
顔料の一例としては、カーボンブラックや不溶性アゾ顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料等有機顔料などの従来公知の一般的な顔料が使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組合せて調色して用いてもよい。
カーボンブラックの一例としては、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上、デグサヒュルスジャパン(株)製)、三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上、東海カーボン(株)製)や、ダイヤモンドブラックN(玉億色材(株)製)などのアニリンブラックや、ボーンブラック(三重カラーテクノ(株)製)や、鉄化ブラックKN−320(日本鉄化(株)製)などの鉄黒が挙げられる。が挙げられる。青色顔料の一例としては、例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80が挙げられる。赤色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272が挙げられる。黄色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213が挙げられる。橙色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74が挙げられる。緑色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37が挙げられる。紫色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用出来る。
これらの染料および顔料の使用量はボールペン用インキ全量に対し1重量%以上40重量%以下が好適に使用でき、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。使用量が1重量%より少ないと筆跡が薄すぎて判読がし難くなる。40重量%より多いと配合時の溶解不足や、経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能やボールペン用インキ中の固形分の増加により書き味が重くなる不具合を生じやすくなる。
界面活性剤は、水と溶剤Xを混合した際に、液滴を作成させるために添加する。一例としては、切削油類、高級脂肪酸類、リン酸エステル類、リン酸エステル類の中和物、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体、アシルアミノ酸類、チアゾール類、ポリエチレングリコール類、ポリオール変性シリコーン、が挙げることが出来る。
ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体の一例を挙げると、NIKKOL HCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、HCO−40、HCO−50、HCO−60、HCO−80、HCO−100(以上、日光ケミカルズ(株)製)、EMALEX HC−5、HC−7、HC−10、HC−20、HC−30、HC−40、HC−50、HC−60、HC−80、HC−100(以上、日本エマルジョン(株)製)、ブラウノン BR−404、BR−407、BR−410、BR−4135、BR−417、BR−420、BR−425、BR−430、BR−450、RCW−20、RCW−40、RCW−60、RCW−80、RCW−100(以上、日進化成(株)製)、UNIOXHC−10、HC−20、HC−40、HC−60、HC−100、HC−20ML、HC−40ML、HC−20MIS、HC−40MIS、HC−60MIS、HC−50MSU、NONION C−2300(日油(株)製)などがある。
ポリオール変性シリコーンオイルの一例を挙げると、東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−2110、FZ−2122、FZ−7006、FZ−2166、FZ−2164、FZ−2154、FZ−2191、FZ−7001、FZ−2120、FZ−2130、SF−8410、FZ−2101、SH8400、SH−8700、FZ−720、FZ−7002、FZ−2123、FZ−2104、FZ−77、FZ−2105、SH3748、FZ−2118、FZ−7604、FZ−2161、SH3771、FZ−2162や信越化学工業(株)製のKF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4615、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017やGE東芝シリコーン(株)製のSILWETL−77、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460などがある。
これらはインキ全量に対し0.2〜10.0重量%使用する。0.2重量%以下では、ボテ防止に充分な液滴が形成されない。10.0重量%以上添加するとインキの表面張力が小さくなり、ペン先を下向きにして放置したときにインキが漏れ出す畏れがある。
リン酸エステル類の例を挙げると、フォスファノールBH−650、SM−172、ED−200、GF−339、RA−600、GF199、ML−200、ML−220、ML−240、RD−510Y、GF−185、RS−410、RS−610、RS−710、RL−210、RL−310、RB−410、RP−710、AK−25、GF702、RS−610NA、SC−6103、RD−720、LP−700、LS−500、LB400(以上、東邦化学工業(株)製)や、プライサーフA208B、A219B、A208S、A212S、A215C(以上、第一工業製薬(株)製)、NIKKOL DLP−10、DOP−8N、DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−8、DDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)、TLP−4、TCP−5、NIKKOL TOP−0V、TDP−2、TDP−6、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)などがある。
リン酸エステルが、インキ中の他成分と反応することでインキの状態が経時的に変化するようなことが起こらないようにするために、予め中和剤と混合して、リン酸基を中和してからインキに添加することもできる。中和剤としては、アミン化合物、アミド化合物、アミノ酸化合物やこれらの誘導体、両性界面活性剤などが用いられる。具体的には、アミート102、アミート105、アミート302、アミート308、アミート320などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、ファーミンCS、ファーミン08D、ファーミン20D、ファーミン80、ファーミン86T、ファーミンO、ファーミンT、ファーミンなどの脂肪アミン類(以上、花王(株)製)や、ナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンL207、ナイミーンF−215、ナイミーンS−202、ナイミーンS−204、ナイミーンS−210、ナイミーンS−215、ナイミーンS−220、ナイミーンT2−206、ナイミーンT2−210、ナイミーンT2−230、ナイミーンT2−260、ナイミーンDT−203、ナイミーンDT−208などのアルキルポリエーテルアミン類(以上、日本油脂(株)製)や、NIKKOL TAMNOS−5、TAMNOS−10、TAMNOS−15、TAMNO−5、TAMNO−15などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、TAMDS−4、TAMDS−15、TAMDO−5などのポリオキシエチレン脂肪酸アミド類や、NIKKOL AM−301、AM3130Nなどの両性界面活性剤(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ブチルイソプロピルアミン、ブチルベンジルアミン、ブトキシプロピルアミン(以上、関東化学(株)製)などが挙げられる。
溶剤Xとしては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等を挙げることができる。
溶剤Yとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、等を挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独あるいは組み合わせて使用でき、その使用量は油性インキ全量に対し10重量%以上90重量%以下が好ましい。溶剤Xと溶剤Yの比が、0.4≦溶剤Y/溶剤X≦0.8であると、壊れた後の体積減少量が充分な液滴が形成できる。
溶剤Y/溶剤X>0.8だと、溶剤Yと溶剤Xの混合溶剤の水への溶解度が高くなりすぎるので、液滴が得られない。
溶剤Y/溶剤X<0.4だと、溶剤Xと溶剤Yの混合溶剤の水への溶解度が小さく、液滴が壊れた後の体積減少量が小さくなり、ボテ防止の効果が得られない。
水への溶解度が70%未満、かつ、溶剤Xへの溶解度が70%未満の溶剤はなく、水への溶解度が40%より大きく、かつ、水への溶解度が70%未満もない。
水は液滴の作成、液滴が破壊されたときに、溶剤と相溶して、体積減少を起こさせ、ボテ防止するために添加されるもので、含有量はインキ全量に対して1.0重量%以上30.0重量%以下が好ましい。1.0重量%未満では、液滴が少なく、液滴が壊れた後の体積減少量が小さく、ボテを防止する効果が得られない。30.0重量%以上ではインキの配合成分の溶解のバランスがくずれ、ボテや中抜けが発生する。なお、インキ組成物の吸湿によって、配合材料として吸湿したものを使用することによって当該好ましい水分量となるものとしても良い。また、配合に使用する材料に予め水分が含まれているため、特に吸湿しやすい溶剤の保管管理や、使用前の水分量測定、添加する水分量の調整、またはインキ組成物を得た後の水分量の測定などを行い、最終的に含まれる水分量を調整し確認する事が好ましい。
上記成分の他に必要に応じて、樹脂、防錆剤、防腐剤、消泡剤、受け座磨耗防止剤等の添加剤を併用することも可能である。
樹脂は、顔料などの固形物の分散、定着性向上、糸曳き性付与、筆跡の裏写り防止の他、粘度調整、染料の溶解促進の為に添加するものであり、一例としては、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール樹脂、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ロジン変性されたフェノール樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。特に、ポリビニルブチラール樹脂は、造膜性がよく、本発明の複合体の膜形成の一助にもなりえる。ポリビニルブチラールの一例を挙げると、ヘキスト社製のMowital B20H、B30B、B30H、B60T、B60H、B60HH、B70H、積水化学工業(株)製のエスレック BH−3、BL−1、BL−2、BL−L、BL−S、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BL−2H、BL−SH、BX−10、BX−L、電気化学工業(株)製のデンカブチラール#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−3、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−Cなどがある。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用することができる。これらの樹脂の使用量はインキ全量に対して0.05〜30重量%が好ましい。
受け座磨耗防止剤の一例としては、アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、炭化ホウ素、ジルコン、セン晶石、ヒスイ石、フッ化カルシウム、タングステンカーバイド、シリカ、ダイヤ、ザクロ石、窒化アルミニウム、窒化珪素が挙げられる。
本発明のインキは不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止したりするために剪断減粘性を付与しても良い。剪断減粘性剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩、ヒアルロン酸等の多糖類、ベンジリデンソルビトール、シリカ、ベントナイト系無機化合物、有機ベントナイトが挙げられる。
本発明において顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。例えば、顔料と、溶剤と、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、ニーダー等の分散機はインキの溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
インキを製造するには、上記で分散した顔料と染料から選ばれる1種もしくは2種以上の色材と、樹脂と、溶剤をホモミキサー、ホモジナイザー、マグネットスターラー等の撹拌機にて充分に混合攪拌した後、他の成分、例えば粘度調整剤や、色調調整のための染料、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
(実施例1)
プリンテックス35(カーボンブラック、デグサヒュルスジャパン(株)製) 6.0部
VALIFAST VIOLET 1730(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
15.3部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 1.0部
OIL BLUE 613(油性染料、オリエント化学工業(株)製) 1.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製)
1.1部
エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X) 35.2部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y) 12.7部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(溶剤Y) 15.3部
水 2.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 0.3部
ヒタノール1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 1.0部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0部
NIKKOL HCO−10(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
フォスファノールLB400(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.5部
NIKKOL TOP−0V(トリアルキルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.0部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0部
ユニオールD2000(ポリオキシプロピレングリコール、日油(株)製) 1.0部
上記成分のうち、エチレングリコールモノフェニルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を室温で攪拌、混合溶解した後、プリンテックス35の全量を加えてさらに攪拌した後、ダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で4時間攪拌して黒色のボールペン用油性インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.80となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で2.8%であった。
(実施例2)
FUJI Red 8800(C.I.Pigment Red 254、冨士色素(株)製) 5.5部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 15.6部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 0.8部
SPILON YELLOW C−GNH 3.8部
エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X) 32.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y) 7.6部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(溶剤Y) 10.5部
水 20.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
ハリフェノール582(フェノール樹脂、ハリマ化成(株)製) 0.5部NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
EMALEX HC−20(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日本エマルジョン(株)
製) 1.0部
プライサーフA208(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、第一工業製薬(
株)製) 0.1部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルとエチレングリコールモノフェニルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからFUJI Red 8800の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い赤色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪拌して赤色のボールペン用油性インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.57となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で21.0%であった。
(実施例3)
VALIFAST BLUE 1603(C.I.DIRECT BLUE 86とC.I.BASIC BLUE 7との造塩染料、オリエント化学工業(株)製)20.0部SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 3.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X) 33.6部
ベンジルアルコール(溶剤X) 10.5部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y) 17.7部
水 9.2部
タマノル414(フェノール樹脂、荒川化学工業(株)製) 1.0部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 4.0部
NIKKOL TOP−0V(トリアルキルリン酸、日光ケミカルズ(株)製)
1.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して青色のボールペン用油性インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.40となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で9.5%であった。
(実施例4)
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
13.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
7.0部
ベンジルグリコール(溶剤X) 37.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y) 6.5部
エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル(溶剤Y) 20.0部
水 0.5部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
ヒタノール1140(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 6.0部
PEMULEN TR−2(アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、B.F.Goodrich社製、米国) 1.5部
NIKKOL HCO−5(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 2.0部
NONION C−2300(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日油(株)製)
1.0部
フォスファノールLP710(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 2.0部
アミート105(ポリオキシエチレンココナットアミン、(株)花王製) 1.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して黒色のボールペン用油性インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.72となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で1.1%であった。
(比較例1)
実施例1において、エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X)1.0部に替えて、ジエチレングリコールモノメチルエーテル1.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.85となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で2.8%であった。
(比較例2)
実施例2において、エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X)5.7部とエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(溶剤Y)4.3部に替えて、水10.0部を加えた以外は同様にして赤色のボールペン用インキを得た。このものは、溶剤Y/溶剤X=0.57となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で31.1%であった。
(比較例3)
実施例3において、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y)1.0部に替えて、ベンジルグリコール1.0部を加えた以外は同様にして青色のボールペン用インキを得た。このものは、溶剤Y/溶剤X=0.37となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で9.5%であった。
(比較例4)
実施例4において、水を減じた以外は同様にして、黒色のボールペン用インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.72となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で0.5%であった。
(比較例5)
実施例2において、エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X)10.0部の替わりにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(溶剤Y)10.0部を以外は同様にして、赤色のボールペン用インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=1.28となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で21.3%であった。
(比較例6)
実施例1において、エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤X)15.3部に替えて、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y)15.3部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。このものの溶剤比は、溶剤Y/溶剤X=0.25となり、このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で2.5%であった。
(比較例7)
実施例2において、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(溶剤Y)の全量と、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量(溶剤Y)に替えて、グリセリン18.1部を加えた以外は同様にして赤色のボールペン用インキを得た。尚、グリセリン/溶剤X=0.57となる。このものの水分率はカールフィッシャー水分率計AQV−200で22.0%であった。
(試験用ボールペンの作製)
上記、実施例1〜4、比較例1〜6で得たボールペン用油性インキ組成物を、市販のボールペン(ビクーニャボールペンBX157、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレス製ボールホルダーにて直径0.7mmの超硬合金の筆記ボールとスプリングを抱持したボールペンチップを備えるノック出没式ボールペン)と同様の筆記具に0.20g充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
筆記試験:
400字詰め原稿用紙((株)コクヨ製、品番:ケ−10)1枚に「国会の年日」を繰り返し筆記したときに、紙面の筆跡以外の部分にインキが付着した箇所、いわゆるボテの大きさと数を評価した。また、周辺の正常な筆跡部分より濃度が薄い部分、いわゆるカスレがあっても、良好な筆跡とはなり得ないので、カスレも併せて評価した。ボテの評価方法は、該付着箇所の最長部分の長さを測り、該付着箇所の大きさとした。カスレの評価方法は、周辺の正常な筆跡部分より濃度が薄い部分の箇所の個数を計測した。
測定した結果を表1に示す。
Figure 0005617436
実施例は0.5mm以上のボテもカスレもないのに対し、比較例1〜3、5〜6は0.5mm以上のボテがみられ、比較例2はカスレがみられた。
比較例1と比較例5は、溶剤Y/溶剤Xの値が大きく、溶剤Yと溶剤Xの混合溶剤の水への溶解度が高くなりすぎるので、液滴が得られず、ボテを防止する効果が得られなかったものと推察される。
比較例2は水分が多く、インキの配合成分の溶解のバランスがくずれ、水と他溶剤が分離し、筆跡濃度が安定しなかったり、カスレを生じたものと推察される。
比較例3と比較例6は、溶剤Y/溶剤Xの値が小さく、溶剤Xと溶剤Yの混合溶剤に対する水への溶解度が小さくなり、液滴が壊れた後の体積減少量が小さくなり、ボテを防止する効果が得られなかったものと推察される。
比較例4は、水分が少なく、液滴の形成が少なく、液滴が壊れた後の体積減少量が小さく、ボテを防止する効果が得られなかったものと推察される。
比較例7は、水への溶解度が70重量%以上かつ溶剤Xへの溶解度が70重量%以上である溶剤Yに替えて、水への溶解度が70重量%以上かつ溶剤Xへの溶解度が70重量%未満であるグリセリンを使用したため、溶剤Xと水との相溶性を向上できず、液滴が壊れた後の体積減少量が小さくなり、ボテを防止する効果が得られなかったものと推察される。
いづれにしても「溶剤の比」と、「水分」の構成2要素の一つでも欠けるとボテが悪くなる結果となった。

Claims (1)

  1. 着色剤と、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種若しくは2種以上の界面活性剤と、水への溶解度が40重量%以下の溶剤Xと、水への溶解度が70重量%以上かつ溶剤Xへの溶解度が70重量%以上の溶剤Yと、インキ全量に対し1.0重量%以上30.0重量%以下の水分とから少なくともなり、溶剤Xと溶剤Yの配合比率が0.4≦溶剤Y/溶剤X≦0.8を満足し、少なくとも水と溶剤Xとを含有する成分の一部が界面活性剤によって粒子状となりエマルション状態を形成しているボールペン用油性インキ。
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