JP5617212B2 - 導光板、導光板の製造方法及びバックライトユニット - Google Patents

導光板、導光板の製造方法及びバックライトユニット Download PDF

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Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)に用いられる導光板、導光板の製造方法及びバックライトユニットに関する。
液晶ディスプレイは、2枚の透明基板(液晶パネル)の間に液晶が封入された構造を有する表示装置である。この液晶パネル内の液晶に電圧が印加されると、液晶分子の向きが変わって光透過率が変化し、所望の映像が光学的に表示される。ここで、液晶パネル内の液晶はそれ自体が自発光しないため、液晶ディスプレイには液晶パネルの背面側から光を供給するバックライトユニットが備えられている。
バックライトユニットは、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を光源として備え、平板状導光板(以下、導光板という)を介して液晶パネルの背面側から全面に亘って均一かつ安定した照明光を照射するものである。バックライトユニットには、導光板の背面に光源を配置する直下型方式と、導光板の側面に光源を配置するエッジライト(サイドライト)方式があるが、この中でも薄型化が可能なエッジライト方式は、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ノートパソコン等の分野に数多く用いられている。
エッジライト方式のバックライトユニットでは、側面から導光板に入射した光がスネルの法則(屈折の法則)に従って反射・屈折を繰り返すため、その光を任意の方向に制御することが容易ではない。そこで、特許文献1に記載された導光板は、光の出射面(正面)側に多数の円柱体を規則的に配列し、当該円柱体と、円柱体間の空気層とでフォトニック結晶を形成する構成とした。また、光の反射面(背面)側に、入射面(側面)から入射した光を当該円柱体に導くための多数のV字状の溝を形成する構成とした。
このような構成を有する導光板は、導光板内に入射した光を多数のV字状の溝で反射し、円柱体と空気層とからなるフォトニック結晶に導くことで、光に指向性を持たせて任意の方向に制御することができた。なお、フォトニック結晶とは、屈折率の異なる媒質を交互に周期的に配列した多次元周期構造体であり、媒質同士の屈折率差と構造の周期性を調整することによって、光の進行方向(伝搬)を制御することができるものをいう。
特開2008−140688号公報
しかしながら、特許文献1に記載された導光板は、導光板に入射した光が導光板の外部に漏出することで発光効率が低下するという問題があった。すなわち、特許文献1に記載された導光板は、周囲の面(入射面及び出射面以外の面)を反射シート等の反射材で覆うことで、導光板外部に透過した光を導光板内に再入射させる構成を有している。しかし、導光板とその周囲の反射材の間には、わずかな空気層(隙間)が形成されているため、導光板に入射した光が一旦導光板外部に透過すると、その空気層によって光エネルギーが減少することになる。従って、導光板の周囲の面を反射材で覆ったとしても、入射した光の全てを導光板内部に再入射させることができず、発光効率が悪かった。
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、導光板に入射した光が導光板外部に漏出することを防止することで発光効率を向上させた導光板、導光板の製造方法及びバックライトユニットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る導光板は、エッジライト方式のバックライトユニット用の、一方の側面を入射面とし、前記入射面から入射した光を背面の主反射面で反射して、前記主反射面と対向する正面の出射面から出射する平板状の導光板であって、前記導光板の前記主反射面と、前記導光板の他方の側面と、前記他方の側面に隣接する左右の側面と、に沿って、前記導光板の内部にフォトニック結晶が形成され、前記出射面に沿った領域には前記フォトニック結晶が形成されず、前記フォトニック結晶は、複数の空孔が、前記入射面から入射する光の波長以下の所定の周期で多次元に配列されることで形成され、前記空孔の形状は、球形または擬似球形のいずれかであり、前記導光板は、前記一方の側面から前記他方の側面に向かって厚みが薄くなるように形成された構成とする。
このような構成を備える導光板は、導光板の主反射面に、フォトニック結晶が形成されているため、導光板内部に入射した光は当該フォトニック結晶により全反射される。従って、導光板内部の光が導光板の背面を越えて外部に漏出することがない。なお、全反射とは、屈折率の大きい媒質から小さい媒質に光が入射する際に、その光が媒質の境界面を透過せずに、全て反射する現象のことをいう。
また、導光板の他方の側面と、他方の側面に隣接する左右の側面と、に沿ってフォトニック結晶が形成されているため、導光板内部に入射した光は当該フォトニック結晶により全反射される。従って、導光板内部の光が導光板の側面を越えて外部に漏出することがない。
更にまた、フォトニック結晶が複数の空孔が所定の周期で多次元に配列されて形成され、かつ、その形状が三次元形状である球形または擬似球形であるため、三次元のあらゆる角度で入射する光を全反射することができる。
また、本発明に係る導光板は、前記導光板の前記入射面において光源が当接する位置以外の当該入射面の位置に、前記フォトニック結晶が形成されることが好ましい。
このような構成を備える導光板は、導光板の入射面において光源が当接する位置以外の入射面の位置に、フォトニック結晶が形成されているため、導光板内部に入射した光は当該フォトニック結晶により全反射される。従って、導光板内部の光が入射面を越えて外部に漏出することがない。
さらに、本発明に係る導光板の製造方法は、請求項1または請求項2に記載のバックライトユニット用の導光板の製造方法であって、透光性材料を加熱溶融するとともに、加圧しながら金型に充填し、前記導光板の素板を成形する工程と、前記導光板の素板の内部の前記主反射面、前記他方の側面、及び前記左右の側面となる位置にレーザー光を照射し、当該照射部位における光の屈折率を変化させて前記フォトニック結晶を形成する工程と、を有する構成とする。
このような構成を備える導光板の製造方法は、透光性材料を射出成形して導光板の素板を成形し、その導光板内部のフォトニック結晶を形成したい位置に焦点を合わせながらレーザー光を照射することで、当該照射部位の屈折率を変化させることができる。したがって、導光板の所望の部位にフォトニック結晶を容易に形成することができる。
また、本発明に係るバックライトユニットは、液晶パネルの背面側から光を供給するバックライトユニットであって、請求項1または請求項に記載の導光板と、前記入射面に対向して配設される光源と、前記光源を包囲するように配設されるとともに、前記光源からの光を前記導光板の内部に向って反射するリフレクタと、前記出射面に対面して配設された拡散シートと、を備える構成とする。
また、本発明に係るバックライトユニットは、前記導光板の前記主反射面の外側に、反射シートを設けることが好ましい。
このような構成を備えるバックライトユニットは、光を反射するフォトニック結晶が内部に形成された導光板を備えている。従って、導光板に入射した光が導光板外部に漏出することがなく、液晶パネルに対して光を効率良く供給することができる。
また、反射シートを設けた場合は、エバネッセント場が発生した場合も、反射シートによってその光を導光板内部に再入射させることができる。
本発明に係る導光板によれば、導光板内部の主反射面にフォトニック結晶が形成されているため、当該光が導光板外部に漏出することを防止することができる。従って、導光板の発光効率を高めることができる。
また、本発明に係る導光板の製造方法によれば、導光板内部に焦点を合わせてレーザー光を照射することによって、導光板内部に入射した光を全反射する機能を有するフォトニック結晶を容易に形成することができる。そして、当該フォトニック結晶によって光が外部に漏出することを防止することができる。従って、従来の導光板と比較して発光効率が向上した導光板を容易に製造することができる。
本発明に係るバックライトユニットによれば、光を全反射する機能を有するフォトニック結晶が内部に形成された導光板を備えているため、光が導光板外部に漏出することを防止することができる。従って、バックライトユニットの発光効率を高めることができる。
実施形態に係るバックライトユニットの構成について、一部を省略及び分解して示す側面断面図である。 実施形態に係る導光板の構成を示す図であり、(a)は、導光板の正面図、(b)は、導光板の側面図、(c)は、導光板の側面を示す図2(a)のX−X’断面図である。 実施形態に係る導光板におけるフォトニック結晶の具体的構成を示す断面図であり、(a)は、図2(c)のA部拡大図、(b)は、図2(c)のB部拡大図である。 実施形態に係るバックライトユニットに入射した光の進行の様子を示す概略図である。 実施形態に係る導光板の製造工程を示すフローチャートである。 実施形態に係る導光板の変形例を示す図であり、(a)は、フォトニック結晶を構成する屈折率変化部を板厚方向に3つずつ千鳥格子状に形成した導光板を示す拡大図、(b)は、フォトニック結晶を構成する屈折率変化部を板厚方向に2つずつ形成した導光板を示す拡大図、(c)は、フォトニック結晶を構成する屈折率変化部を板厚方向に1つずつ形成した導光板を示す拡大図である。 実施形態に係るバックライトユニットの変形例を示す図であり、(a)は、バックライトユニットの側面断面図、(b)は、一部を省略したバックライトユニットの正面図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態に係るバックライトユニット100は、内部にフォトニック結晶5が形成された導光板10と、光源20と、反射シート30と、拡散シート40と、リフレクタ50と、を主な構成として備えている。なお、以下に参照する図面では、フォトニック結晶5の縮尺を大きくすることで誇張して示す。
導光板10は、入射面1から入射した光Fを出射面3から出射するものである。導光板10は、図1及び図2(a)に示すように、透光性材料からなる略平板状の部材であり、平滑な6つの面を有する6面体である。すなわち、導光板10は、一方の側面に位置する入射面1と、底面に位置する主反射面2と、底面と対向する正面に位置する出射面3と、一方の側面と対向する他方の側面に位置する第1副反射面4aと、一方の側面と隣接する左右の側面に位置する第副反射面4及び第副反射面4と、を有している。以下、各面について詳細に説明する。
入射面1は、光源20から照射された光Fを、導光板10内部に取り込むための面である。入射面1は、図2(a)に示すように、導光板10における一方の側面に位置する。
主反射面2は、入射面1から入射した光Fを主に反射するための面である。主反射面2は、図2(a)に示すように、導光板10の広面となる背面に位置する。また、主反射面2が位置する背面には、後記するようにフォトニック結晶5が形成されている。なお、フォトニック結晶5についての詳細は後記する。
出射面3は、導光板10内部の光Fを出射するための面である。出射面3は、図2(a)に示すように、導光板10における主反射面2に対向する正面に位置する。
第1副反射面4aは、入射面1から入射した光Fを補助的に反射するための面である。第1副反射面4aは、図2(a)、(b)に示すように、導光板10における入射面1に対向する他方の側面に位置する。また、第1副反射面4aが位置する他方の側面には、後記するようにフォトニック結晶5が形成されている。
第2副反射面4b及び第3副反射面4cは、入射面1から入射した光Fを補助的に反射するための面である。第2副反射面4b及び第3副反射面4cは、図2(a)に示すように、導光板10における第1副反射面4aに隣接する左右の側面に位置する。また、第2副反射面4b及び第3副反射面4cが位置する左右の側面には、後記するようにフォトニック結晶5が形成されている。
このような構成を備える導光板10は、光源20から照射された光Fを入射面1で取り込んだ後、主反射面2と、出射面3と、第1副反射面4aと、第2副反射面4bと、第3副反射面4cと、の間で反射させながら、その内部の隅々まで光Fを導光する。そして、出射面3に対して光Fがなす角度が臨界角を超えると、その光Fは出射面3を透過して導光板10外部に面状に出射することになる。なお、臨界角とは、屈折率の大きい媒質から小さい媒質に光が入射する際に、全反射が起きる入射角のことをいう。
導光板10を構成する透光性材料は、光を透過する素材であれば特に限定されず、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルスチレン、ポリ塩化ビニル等の透明樹脂、またはガラス等が挙げられる。また、導光板10を構成するこれらの透光性材料の光の透過率は、導光板10の発光効率を向上させるために、光源20から照射される光Fの波長領域において、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
導光板10の形状は、図2(b)、(c)に示すように、一方の側面である入射面1から、他方の側面である第1副反射面4aの側に近づくにつれて、徐々に厚みが薄くなるように形成することが好ましい。導光板10をこのような形状に形成することで、光源20から照射された光Fが、出射面3に対して全反射する角度(臨界角)で導光板10内部に入射し易くなる。すなわち、導光板10内部に入射した光Fを、その内部の隅々にまで導光することができ、厚さを均一にする場合と比較して、導光板10の輝度をより向上させることができる。
以下、図1を参照しながらバックライトユニット100の残りの構成について説明する。
光源20は、バックライトユニット100における光の供給源である。本実施形態では、図1に示すように、光源20の一例として冷陰極蛍光ランプを用いているが、光源20は、導光板10に対して光を供給しうるものであれば特に限定されない。従って、冷陰極蛍光ランプ以外にも、発光ダイオード、熱陰極管(HCFL)及びエレクトロルミネセンスパネル(ELP)等を用いることができる。なお、光源20は、300〜500nmの波長の光を照射するように構成することが好ましい。
光源20は、図1に示すように、実施形態に係るバックライトユニット100においては、導光板10の入射面1に対向するように配設される。また、バックライトユニット100に配設される光源20の数は単数でも複数でもよく、導光板10の大きさやバックライトユニット100の用途に従って適宜調整される。
反射シート30は、導光板10の主反射面2を透過した光を、導光板10外部から反射、あるいは乱反射し、導光板10内部に再入射させる部材である。反射シート30は、図1に示すように、薄いシート状の部材である。反射シート30の素材としては、光を反射する素材であれば特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂に酸化チタン等の白色材料を混入した薄板状シート、熱可塑性樹脂にアルミニウム等を金属蒸着した薄板状シート、金属箔を積層したシート、あるいはシート状金属等が挙げられる。
反射シート30は、図1に示すように、実施形態に係るバックライトユニット100においては、主反射面2に対面するように配設される。また、反射シート30は、主反射面2に接着固定しても、あるいは、他の部材を用いて主反射面2に固定してもよい。なお、反射シート30は、振動や衝撃等によっても剥離しないように主反射面2に強固に固定されているため、導光板10内の光が反射シート30を超えて外部に漏出することはない。
ここで、図1に示すように、主反射面2に沿ってフォトニック結晶5が形成されており、導光板10内部に入射した光は、このフォトニック結晶5によって出射面3の方向に全反射される。従って、バックライトユニット100に反射シート30を配設しない構成としても、導光板10外部への光の漏出を防止するという本発明の課題は解決することができる。
しかし、フォトニック結晶5が光を全反射すると、エバネッセント場が発生してわずかな光がフォトニック結晶5を透過してしまう可能性がある。ここで、エバネッセント場とは、光の反射現象において、特定の条件下で反射する媒体の内部に光が透過してしまう現象のことをいう。従って、導光板10の外側にさらに反射シート30を設けることで、このようなエバネッセント場が発生した場合も、反射シート30によってその光を導光板10内部に再入射させることができる。すなわち、導光板10内部の光の漏出をより有効に防止することができる。
拡散シート40は、導光板10の出射面3から出射した光を散乱・拡散させて均一に分布させるためのものである。拡散シート40は、図1に示すように、薄いシート状の部材である。拡散シート40の素材としては、光を均一に分布しうる素材であれば特に限定されず、例えば、光拡散物質がコーティングされたフィルム、乳白色の樹脂フィルム等が挙げられる。
拡散シート40は、図1に示すように、実施形態に係るバックライトユニット100においては、出射面3に対面するように配設される。また、拡散シート40は、出射面3に接着固定しても、あるいは、他の部材を用いて出射面3に固定してもよい。実施形態に係るバックライトユニット100は、このような拡散シート40を備えることにより、輝度分布を滑らかにすることができる。
リフレクタ50は、反射率の高い部材で形成された部材であり、光源20から照射された光を導光板10内部に向かって反射して、導光板10内部に入射させるための部材である。リフレクタ50は、図1に示すように、シート状部材がU字状に折り曲げられた形状をなしている。リフレクタ50の素材としては、光を反射する素材であれば特に限定されず、例えば、白色の絶縁性材料からなるシート、アルミニウム等を金属蒸着したシート等が挙げられる。
リフレクタ50は、図1に示すように、実施形態に係るバックライトユニット100においては、光源20の周囲を覆うように配設される。実施形態に係るバックライトユニット100は、このようなリフレクタ50を備えることにより、光源20から導光板10以外の方向に照射された光を、導光板10の方向に反射することができる。
次に、図3を参照して、フォトニック結晶5について詳細に説明する。
フォトニック結晶5は、屈折率の異なる媒質が交互に所定の周期で配列された多次元周期構造体である。このようなフォトニック結晶5においては、前記したスネルの法則が成立せず、通常の光学材料を用いたレンズやプリズム等の光学部品では実現不可能な光の屈折・反射が現れる。
また、フォトニック結晶5は、所定の波長の光が伝播できない「フォトニックバンドギャップ(光の禁止帯)」を形成し、そのバンド内には光が存在、あるいは進行することができなくなる。すなわち、フォトニック結晶5に向って進む光は、当該フォトニック結晶5を透過することができず、全て全反射されることになる。従って、フォトニック結晶5を、導光板10内における光の進行を防止したい部位に形成することで、その部位に進行する光を全反射することが可能となる。
フォトニック結晶5は、図3(a)に示すように、屈折率の異なる2種類の媒質、すなわち屈折率変化部5aと、屈折率未変化部5bと、が光源20から照射される光の波長と同等以下の周期で交互に配列されることで形成される。そして、実施形態に係る導光板10は、主反射面2と、第1副反射面4aと、第2副反射面4bと、第3副反射面4cと、が位置する各面に沿ってフォトニック結晶5が形成されている。
なお、本実施形態における屈折率とは、真空を1.0とした物質固有の絶対屈折率のことを指している。また、一方の媒質(物質)の屈折率が他方の媒質(物質)の屈折率よりも高いとは、媒質に対する入射角度が同じ場合において、一方の媒質中を進む光の速度が他方の媒質中を進む光の速度よりも遅いことを意味している。
屈折率変化部5aは、導光板10を構成する物質よりも屈折率が低い部分であり、真空状態の空孔で構成された部分である。屈折率変化部(空孔)5aは、図3(a)、(b)に示すように、導光板10内部において、背面と、他方の側面と、に沿って形成されている。また図示は省略したが、屈折率変化部5aは、導光板10内部において、他方の側面に隣接する左右の側面にも形成されている。この屈折率変化部5aは、後記するように、導光板10の各面に沿って所定パルス幅のレーザー光を照射し、当該照射部位の屈折率を低下させることで、形成することができる。
屈折率未変化部5bは、導光板10を構成する物質と屈折率が同じ部分であり、導光板10と同じ物質で構成された部分である。すなわち、屈折率未変化部5bは、フォトニック結晶5において、屈折率変化部5aと、これと隣接する屈折率変化部5aとの間に位置する部分であり、後記するレーザー光が照射されていない部分である。従って、屈折率未変化部5bは、レーザー光によって屈折率が低下した前記屈折率変化部5aと比較して屈折率が相対的に高く形成されている。
ここで、屈折率変化部5aの径と、屈折率変化部5aの配列間隔(屈折率未変化部5bの幅)は、光源20が照射する光の波長を加味して決定される。すなわち、屈折率変化部5aの径及び配列間隔は、光源20が照射する光の波長と同等とすることが好ましく、光源20が照射する光の波長以下とすることがさらに好ましい。従って、例えば光源20が照射する光の波長を500nmとすると、屈折率変化部5aの径及び配列間隔は500nmとすることが好ましく、400nmとすることがより好ましい。
屈折率変化部5aの径及び配列間隔をこのような範囲とすることにより、導光板10の内部にフォトニック結晶5を容易に形成することができる。なお、屈折率変化部5aの径及び配列間隔が、光源20が照射する光の波長よりも2倍程度大きい場合であっても光を反射する領域としては機能するものの、これらを光源20の光の波長以下とすることで、光をより完全に反射するフォトニック結晶5を形成することができる。
屈折率変化部5a(空孔)は、図3(c)に示すように球形に形成することが好ましい。このように屈折率変化部5aを球形に形成することにより、三次元のあらゆる角度から入射する光を制御することができる。また、屈折率変化部5aは、平面視した場合の形状が楕円球形等である擬似球形に形成することもでき、この場合も前記球形と同様の効果を奏する。なお、屈折率変化部5aの形状を球形または擬似球形にするには、後記するフォトニック結晶5を導光板10内に形成する工程において、レーザー光の照射条件を適宜調整すればよい。
屈折率変化部5a(空孔)は、図3(a)に示すように、導光板10の板厚方向に3つずつ等間隔に配列することが好ましい。このように、屈折率変化部5aを所定の個数及び間隔で形成することにより、入射面1から入射した光の外部への漏出を効果的に防止することができる。
なお、フォトニック結晶5は、導光板10の各面と、一つ目の屈折率変化部5aとの距離が、0.1〜1.0mm、さらに好ましくは0.1〜0.5mmとなるように、導光板10内部に形成することが好ましい。フォトニック結晶5をこのような位置に形成することで、導光板10内に入射した光を、導光板10内部の最も外側で反射させることができる。従って、光Fが導光板10内部を反射する角度を調整することができ、発光効率を向上させることができる。
このように、実施形態に係る導光板10は、主反射面2と、第1副反射面4aと、第2副反射面4bと、第3副反射面4cと、に沿ってフォトニック結晶5が形成されている。ここで、フォトニック結晶5は、前記した「フォトニックバンドギャップ」により、あらゆる角度から入射する光Fを全反射する機能を有している。従って、このように導光板10内部における光が漏れやすい部位にフォトニック結晶5を形成することにより、入射面1から入射した光が外部に漏出することを防止することができる。
次に、図4を参照して、実施形態に係るバックライトユニット100の動作及び機能について詳細に説明する。なお、ここでは、バックライトユニット100に反射シート30を配設した場合を例にとって説明する。
まず光源20が点灯すると、照射された光Fは入射面1から導光板10内部に入射する。導光板10内部に入射した光Fは、主反射面2及び第1副反射面4aのフォトニック結晶5と、出射面3との間で全反射を繰り返しながら導光板10内部を進行する。
なお、図4における光Fのように、前記したエバネッセント場が原因で光Fがフォトニック結晶5を透過した場合でも、その光Fは反射シート30によって出射面3側に反射される。従って、フォトニック結晶5及び反射シート30を配設することで、導光板10内の光F及び光Fは、導光板10の主反射面2及び第1副反射面4aから外部に漏出することがない。
光F及び光Fは、出射面3に対する全反射の臨界角を超えると、出射面3から導光板10外部に面状に出射される。またその際、光F及び光Fは、拡散シート40によって均一な光となるように調整される。そして、光F及び光Fは、バックライトユニット100と対向するように配設された図示しない液晶パネルに供給されることになる。
このように、実施形態に係るバックライトユニット100は、光F及び光Fを全反射する機能を有するフォトニック結晶5が内部に形成された導光板10を備えることで、導光板10内部に入射した光F及び光Fが導光板10外部に漏出することを防止することができる。従って、バックライトユニット100の発光効率を高めることができる。
また、実施形態に係るバックライトユニット100は、導光板10外部に加工を施さないため、導光板10の各面が平滑に形成されている。従って、導光板10を覆う部材(反射シート30、拡散シート40等)も平滑に形成することで、振動や衝撃等による導光板10表面の傷つきを防止することができる。そして、導光板10表面の傷つきを原因とするバックライトユニット100の発光ムラや発光にじみを防止することができる。
次に、実施形態に係る導光板10の製造方法について、詳細に説明する。図5に示すように、実施形態に係る導光板10の製造方法は、大きく4つの工程に分類することができる。第1工程は、透光性材料を加熱・溶融する工程である(ステップS1)。ここで、透光性材料としては、前記したようにアクリル等の透明樹脂を用いる。また、加熱・溶融の際の条件については、導光板10を製造する際に一般的に用いられる条件を用いる。
第2工程は、加熱・溶融した透光性材料を、金型に圧力を加えながら充填する工程である(ステップS2)。このように、透光性材料を金型で射出成形することよって、平板状の導光板10の素板を容易に製造することができる。なお、金型に加える圧力等の条件は、導光板10を製造する際に一般的に用いられる条件を用いる。
第3工程は、透光性材料を冷却・固化し、導光板10の素板を金型から取り出す工程である(ステップS3)。また、第4工程は、導光板10の素板の内部にレーザー光を照射してフォトニック結晶5を形成する工程である(ステップS4)。
ここで、実施形態に係る導光板10の製造方法は、導光板10内部にレーザー光を照射して当該照射部位の屈折率を変化させ、フォトニック結晶5を形成することを特徴としている。導光板10に照射するレーザー光としては、導光板10を構成する素材の屈折率を変化させるものであれば特に限定されないが、屈折率が変化した領域を連続して形成するには、なるべくエネルギーの高いレーザー光を用いることが好ましい。
このようなレーザー光としては、例えばフェムト秒チタンサファイアレーザー等のフェムト秒レーザーが挙げられる。フェムト秒レーザーを用いることで、短時間で屈折率変化部(空孔)5aを形成することができる。また、レーザー光によって非熱加工を行なうため、導光板10に与えるダメージも軽減することができる。
フェムト秒レーザーによる照射条件としては、例えば、パルス幅:1000fs(フェムト秒)以下、発振波長:1064nm以下(より好ましくは800nm以下)、スポット径:1000nm以下とすることが好ましい。また、レーザー光の発振方式は、断続的にレーザー光を出すパルスレーザーと、連続的にレーザー光を出すCWレーザー(Continuous Wave Laser)と、のどちらの方式でも構わない。
なお、例えば導光板10に形成する屈折率変化部5aの径及び配列間隔を800nmにするには、基本的にはフェムト秒レーザーの発振波長及びスポット径も同じ800nmに設定する必要がある。但し、導光板10に形成する屈折率変化部5aの径及び配列間隔は、使用するフェムト秒レーザー装置の性能に依存する。従って、高性能のフェムト秒レーザー装置を用いることで、設定された発振波長とスポット径よりも、導光板10の屈折率変化部5aの径及び配列間隔を小さくすることができる。すなわち、例えばフェムト秒レーザーの発振波長及びスポット径を800nmとして、屈折率変化部5aの径及び配列間隔を600nm前後に形成することもできる。
本実施形態では、このような高エネルギーのレーザー光を導光板10内部に照射することで照射部位に空孔(屈折率変化部5a)を形成するが、例えば、導光板10の素材をアクリル樹脂とした場合、その屈折率は約1.4である。一方、レーザー光の照射によって導光板10内部に形成した空孔は真空であるため、その屈折率は1.0である。従って、レーザー光の照射によって、照射部位の屈折率が約29%低下していることになる。本実施形態では、前記したようにこのような2種類の媒質の屈折率差を利用して、前記したようなフォトニック結晶5を導光板10に形成する。
次に、図6を参照して、実施形態に係る導光板10の変形例について詳細に説明する。なお、図6において、これまで説明したものと同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1の変形例に係る導光板11は、図6(a)に示すように、フォトニック結晶7を構成する屈折率変化部(空孔)を板厚方向に3つずつ、千鳥格子状に形成したものである。ここで、千鳥格子状とは、図6(a)に示すように、直近の3つの屈折率変化部7a,7b,7cが略正三角形の頂点となるように、少なくとも三方向に一定のピッチで形成された態様のことをいう。導光板11内のフォトニック結晶7をこのような配列で構成することにより、導光板11の出射面3からフォトニック結晶7の最上部までの距離lが、前記した第1実施形態に係る導光板10の出射面3からフォトニック結晶5の最上部までの距離l(図3(a)参照)よりも長くなる。従って、光Fが導光板11内部を反射する角度を調整することができ、発光効率をさらに向上させることができる。
第2の変形例に係る導光板12は、図6(b)に示すように、フォトニック結晶8を構成する屈折率変化部(空孔)を板厚方向に2つずつ等間隔で形成したものである。導光板12内のフォトニック結晶8をこのような配列で構成することにより、導光板12の出射面3からフォトニック結晶8の最上部までの距離lが、前記した図6(a)に係る導光板11の出射面3からフォトニック結晶7の最上部までの距離lよりもさらに長くなる。従って、光Fが導光板12内部を反射する角度を調整することができ、発光効率をさらに向上させることができる。また、フォトニック結晶8を板厚方向に2つずつ形成すればよいため、導光板12の製造工程をより簡略化することができる。
第3の変形例に係る導光板13は、図6(c)に示すように、フォトニック結晶9を構成する屈折率変化部(空孔)を板厚方向に1つずつ形成したものである。導光板13内のフォトニック結晶9をこのような配列で構成することにより、導光板13の出射面3からフォトニック結晶9の最上部までの距離lが、前記した図6(b)に係る導光板12の出射面3からフォトニック結晶8の最上部までの距離lよりもさらに長くなる。従って、光Fが導光板13内部を反射する角度を調整することができ、発光効率をさらに向上させることができる。また、フォトニック結晶9を板厚方向に1つずつ形成すればよいため、導光板12の製造工程をより簡略化することができる。
なお、フォトニック結晶5を構成する屈折率変化部5aの配置を図6(a)、(c)、(e)のようなものにするには、前記した導光板10の製造方法におけるフォトニック結晶5の作成時において、レーザー光の出力及び照射時間を適時調節すればよい。
次に、図7を参照して、実施形態に係るバックライトユニット100の変形例について詳細に説明する。なお、図7において、これまで説明したものと同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
変形例に係るバックライトユニット101は、前方に対する指向性に優れたLEDを光源21として備え、当該光源21が入射面1に当接するように複数配設されているものである。また、図7(a)、(b)に示すように、導光板14内部において、入射面1における光源21が当接する位置以外の当該入射面1の位置に、フォトニック結晶60が形成されている。
このような構成を備えるバックライトユニット101は、入射面1から導光板14内部に入射した光が、当該入射面1から外部に漏出することがなくなる。従って、光源21を覆うリフレクタ50(図1参照)が不要となり、バックライトユニット101の省スペース化、薄型化、軽量化を図ることができる。
なお、バックライトユニット100は、前記したように、反射シート30を設けない構成としてもよい。バックライトユニット100に反射シート30を設けない構成とすれば、バックライトユニット100の省スペース化、薄型化、軽量化を図ることができる。
また、フォトニック結晶5は、図2(b)、(c)、図3(b)のように各面に沿って同じ厚さで形成する必要はなく、各面に対して進行する光の量に合わせて、適宜フォトニック結晶5の厚さに差を持たせることもできる。
さらに、フォトニック結晶5における屈折率変化部5aは、空孔ではなく、導光板10を構成する素材と屈折率差のあるイオンによって構成することもできる。すなわち、前記した導光板10の製造工程において、集束イオンビームを走査することで導光板10内部に屈折率の高い物質のイオンを注入し、フォトニック結晶5を形成することもできる。
1 入射面
2 主反射面
3 出射面
4a 第1副反射面
4b 第2副反射面
4c 第3副反射面
5 フォトニック結晶
5a 屈折率変化部(空孔)
5b 屈折率未変化部
7 フォトニック結晶
7a 屈折率変化部(空孔)
7b 屈折率変化部(空孔)
7c 屈折率変化部(空孔)
8 フォトニック結晶
9 フォトニック結晶
10 導光板
11 導光板
12 導光板
13 導光板
14 導光板
20 光源
21 光源(LED)
30 反射シート
40 拡散シート
50 リフレクタ
60 フォトニック結晶
F 光


S1 ステップS1
S2 ステップS2
S3 ステップS3
S4 ステップS4
100 バックライトユニット
101 バックライトユニット

Claims (5)

  1. 一方の側面を入射面とし、前記入射面から入射した光を背面の主反射面で反射して、前記主反射面と対向する正面の出射面から出射する平板状の導光板であって、
    前記導光板の前記主反射面と、前記導光板の他方の側面と、前記他方の側面に隣接する左右の側面と、に沿って、前記導光板の内部にフォトニック結晶が形成され、前記出射面に沿った領域には前記フォトニック結晶が形成されず、
    前記フォトニック結晶は、複数の空孔が、前記入射面から入射する光の波長以下の所定の周期で多次元に配列されることで形成され、前記空孔の形状は、球形または擬似球形のいずれかであり、
    前記導光板は、前記一方の側面から前記他方の側面に向かって厚みが薄くなるように形成されていることを特徴とするエッジライト方式のバックライトユニット用の導光板。
  2. 前記導光板の前記入射面において光源が当接する位置以外の当該入射面の位置に、前記フォトニック結晶が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバックライトユニット用の導光板の製造方法であって、
    透光性材料を加熱溶融するとともに、加圧しながら金型に充填し、前記導光板の素板を成形する工程と、
    前記導光板の素板の内部の前記主反射面、前記他方の側面、及び前記左右の側面となる位置にレーザー光を照射し、当該照射部位における光の屈折率を変化させて前記フォトニック結晶を形成する工程と、
    を有することを特徴とする導光板の製造方法。
  4. 液晶パネルの背面側から光を供給するバックライトユニットであって、
    請求項1または請求項2に記載の導光板と、
    前記入射面に対向して配設される光源と、
    前記光源を包囲するように配設されるとともに、前記光源からの光を前記導光板の内部に向って反射するリフレクタと、
    前記出射面に対面して配設された拡散シートと、
    を備えることを特徴とするバックライトユニット。
  5. 前記導光板の前記主反射面の外側に、反射シートを設けることを特徴とする請求項4に記載のバックライトユニット。
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