JP5615537B2 - 抗病原性微生物剤、並びに、マスク及びフィルター - Google Patents
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Description
しかし、ウイルスを強固に吸着して不活性化することができないため、ウイルスがマスクを通過する可能性があり、問題であった。また、積層構造を有するため、通気性が悪く、長時間使用すると蒸れ易いという問題があった。
しかし、マスクは直接皮膚に接触するものであり、金属アレルギーの原因になる点で問題であり、安全性の高いマスクが求められているのが現状であった。
しかし、食品という形態は、既に体内に侵入したウイルスの感染を抑制することはできるものの、感染予防の観点から、体内へのウイルスの侵入を防ぐことができるものが望まれている。
しかし、前記ウイルス捕捉組成物は、水を基材とした組成物であり、マスクへ塗布する際、速乾性がなく使用感が悪いという問題があった。
<1> シアル酸が糖タンパク質に結合したシアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールとを少なくとも含有し、
前記シアル酸含有糖タンパク質を加水分解して分析したシアル酸の含有量が少なくとも0.001質量%であり、
前記低級アルコールの含有量が少なくとも5質量%であり、
ウイルス感染及び細菌増殖の抑制活性を有することを特徴とする抗病原性微生物剤である。
<2> シアル酸が糖タンパク質に結合したシアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールと、ノニオン性界面活性剤とを少なくとも含有し、ウイルス感染及び細菌増殖の抑制活性を有することを特徴とする抗病原性微生物剤である。
<3> ノニオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%以上1質量%未満である前記<2>に記載の抗病原性微生物剤である。
<4> シアル酸がN−アセチルノイラミン酸である前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤である。
<5> 清涼剤を更に含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤である。
<6> 清涼剤が、メントール、ハッカ油、ミント油、及びカンフルの少なくともいずれかである前記<5>に記載の抗病原性微生物剤である。
<7> 殺菌剤を更に含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤である。
<8> 殺菌剤がカチオン性界面活性剤である前記<7>に記載の抗病原性微生物剤である。
<9> カチオン性界面活性剤が塩化ベンザルコニウムである前記<8>に記載の抗病原性微生物剤である。
<10> スプレー剤である前記<1>から<9>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤を担持したことを特徴とするマスクである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の抗病原性微生物剤を担持したことを特徴とするフィルターである。
<13> エアコン及び空気清浄機に用いられる前記<12>に記載のフィルターである。
本発明の抗病原性微生物剤の第1の態様としては、少なくともシアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールとを含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。前記第1の態様の抗病原性微生物剤において、前記シアル酸含有糖タンパク質を加水分解して分析したシアル酸の含有量は、少なくとも0.001質量%であり、前記低級アルコールの含有量は、少なくとも5質量%である。
本発明の抗病原性微生物剤の第2の態様としては、シアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールと、ノニオン性界面活性剤とを少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
−シアル酸含有糖タンパク質−
前記シアル酸含有糖タンパク質とは、シアル酸が糖タンパク質に結合したものをいう。前記シアル酸含有糖タンパク質に含まれるシアル酸とは、ノイラミン酸の総称で、例えば、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸などが挙げられる。これらの中でも、N−アセチルノイラミン酸が、抗病原性微生物活性が高い点で好ましい。また、前記抗病原性微生物剤に含有されるシアル酸は、単体のシアル酸であってもよい。
前記シアル酸含有糖タンパク質を形成する糖タンパク質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ムチン型糖タンパク質、アスパラギン型糖タンパク質などが挙げられる。
前記シアル酸含有糖タンパク質を形成する糖としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンなどが挙げられる。
これらの中でも、前記シアル酸含有糖タンパク質の入手方法としては、燕窩から得る方法が、安全性が高い点で好ましい。
前記濾液は、そのまま使用してもよく、濃縮して濃縮液として使用してもよい。また、凍結乾燥や噴霧乾燥等により乾燥して粉末化してもよい。
前記所望の平均粒径の燕窩の粉砕物を得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所望のメッシュサイズを有するふるい(自動のふるい振とう器、手動のふるいなど)にかけて選別する方法などが挙げられる。
前記酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プロテアーゼが好ましい。前記プロテアーゼとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品のプロテアーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
前記酵素の反応時間としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5時間〜24時間などが挙げられる。
前記酵素反応を停止させる方法としても、特に制限はなく、公知の方法の中から、適宜選択することができ、例えば、加熱して酵素を失活させる方法などが挙げられる。
前記酵素反応後の反応液を濾過して得られる濾液は、そのまま使用してもよく、濃縮して濃縮液として使用してもよい。また、凍結乾燥や噴霧乾燥等により乾燥して粉末化してもよい。
前記シアル酸の含有量は、多いほど抗病原性微生物が高くなる点で好ましく、その上限に臨界的な意義はない。
前記シアル酸含有量を定量する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、質量分析計、プロトンNMR、レゾルシノール−塩酸法(Miettinen.T, and Takki−Lukkainen.I.T., Acta Chem. Scand., 1959, 13, 856−858参照)、チオバルビツール酸法(Aminoff.D., 1961, Biochem. J., 1961, 81, 384−392参照)等で分析して定量する方法などが挙げられる。
前記低級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜5のアルコールなどが挙げられる。
前記炭素数1〜5のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エタノール、イソプロパノールが、安全性が高い点で好ましい。
前記低級アルコールの含有量が、5質量%未満であると、抗ウイルス活性及び抗菌活性等の抗病原性微生物活性が低下することがあり、55質量%を超えると、前記シアル酸含有糖タンパク質の分散安定性が悪くなることがある。
−シアル酸含有糖タンパク質−
第2の態様の抗病原性微生物剤において、前記シアル酸含有糖タンパク質は、前記第1の態様と同様のものが好ましい。
前記第2の態様の抗病原性微生物剤において、前記シアル酸含有糖タンパク質含有量としては、特に制限はなく、シアル酸の含有量などに応じて適宜選択することができる。
前記シアル酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。前記シアル酸の含有量は、多いほど抗病原性微生物が高くなる点で好ましく、その上限に臨界的な意義はない。
前記第2の態様の抗病原性微生物剤における、前記シアル酸含有量は、前記第1の態様の抗病原性微生物剤と同様の方法で分析して定量することができる。
第2の態様の抗病原性微生物剤において、前記低級アルコールは、前記第1の態様と同様のものが好ましい。
前記第2の態様の抗病原性微生物剤において、前記低級アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜55質量%が好ましく、15質量%〜45質量%がより好ましく、25質量%〜40質量%が更に好ましい。前記低級アルコールの含有量が、5質量%未満であると、抗ウイルス活性及び抗菌活性等の抗病原性微生物活性が低下することがあり、55質量%を超えると、前記シアル酸含有糖タンパク質の分散安定性が悪くなることがある。
前記第2の態様の抗病原性微生物剤における、前記ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分散安定性等の観点から、HLB値が概ね10以上のものが好ましく、13以上のものがより好ましい。
前記HLBが10以上のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましい。
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、1質量%以上であると、抗ウイルス活性及び抗菌活性等の抗病原性微生物活性が低下することがある。前記ノニオン性界面活性剤が0.01質量%未満であると、前記シアル酸含有糖タンパク質や、後述するその他の成分などにおける水難溶性成分が分散されず、析出や沈殿が起こる場合がある。
前記抗病原性微生物剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、薬理学上許容される担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。
前記添加剤及び前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼剤、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調節剤、緩衝剤、等調化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。
前記抗病原性微生物剤が、前記清涼剤を含有すると、使用時に清涼感を付与することができ、使用感がよくなる点で好ましい。
前記第1の態様の抗病原性微生物剤及び前記第2の態様抗病原性微生物剤は、1種単独で使用してもよいし、2種を併用してもよい。また、前記抗病原性微生物剤は、他の成分を有効成分とする薬剤と併せて使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする薬剤中に配合された状態で使用されてもよい。
前記抗病原性微生物剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳剤、懸濁剤、水和剤、水溶剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)、顆粒水和剤、粉剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、煙霧剤、スプレー剤、エアゾール剤、ペースト剤、パップ剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、スティック剤などが挙げられる。これらの中でも、スプレー剤が、マスクやフィルターに前記抗病原性微生物剤を簡単に付与できる点で好ましい。
前記各剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
前記抗病原性微生物剤の施用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記抗病原性微生物剤をそのまま、あるいは水やアルコール等で希釈した状態の抗病原性微生物剤を、噴霧する方法、被覆する方法、浸漬する方法などが挙げられる。これらの中でも、噴霧する方法が、簡便で好ましい。
−抗ウイルス活性−
前記抗病原性微生物剤の対象となるウイルスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インフルエンザウイルス、HIVウイルスなどが挙げられる。
前記抗病原性微生物剤の抗ウイルス活性を測定する方法としては、特に制限はなく、公知の手法の中から、適宜選択することができ、例えば、プラック測定法、細胞変性効果法、赤血球凝集試験法などが挙げられる。
前記抗病原性微生物剤の抗ウイルス活性としては、ウイルス感染抑制率が、82%〜100%が好ましく、90%〜100%がより好ましく、99%〜100%が更に好ましく、99.5%〜100%が特に好ましい。
前記抗病原性微生物剤の対象となる細菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、腸球菌、真菌などが挙げられる。
前記抗病原性微生物剤の抗菌活性を測定する方法としては、特に制限はなく、公知の手法の中から、適宜選択することができ、例えば、パームスタンプ法、フィンガー・ストリーク法、グローブジュース法などが挙げられる。
前記抗病原性微生物剤の抗菌活性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、細菌数が、10CFU/mL未満となることが好ましい。また、手指の常在菌に対する抗菌活性は、細菌増殖抑制率で判断してもよく、前記細菌増殖抑制率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90%〜100%が好ましく、99%〜100%がより好ましい。前記細菌増殖抑制率は、所望の施用対象における、前記抗病原性微生物剤を施用前の細菌数と、施用後の細菌数とを比較し、以下の計算式で算出することができる。
細菌増殖抑制率(%)=(施用前の菌数−施用後の細菌数)/施用前の菌数×100
前記抗病原性微生物剤は、優れた抗ウイルス活性及び抗菌活性等の抗病原性微生物活性を有し、安全性が高く、安価に製造可能であり、また速乾性、持続性、及び分散安定性を有し、かつ容易に使用できる使用感のよい製剤であることから、マスクや、エアコン、空気清浄機などのフィルター、手指の消毒などに好適に利用可能である。特に、本発明の抗病原性微生物剤は、抗ウイルス活性や抗菌活性を有さない市販のマスクなどに用いることができ、風邪やその他の疾患の原因となる空気中に浮遊する細菌やウイルスなどの吸入を効率よく防ぐことができる。
本発明のマスクは、前記第1の態様の抗病原性微生物剤及び前記第2の態様の抗病原性微生物剤の少なくともいずれかを担持し、必要に応じて、更にその他の構成を有する。
本発明のフィルターは、前記第1の態様の抗病原性微生物剤及び前記第2の態様の抗病原性微生物剤の少なくともいずれかを担持し、必要に応じて、更にその他の構成を有する。
前記マスク及びフィルターに、前記抗病原性微生物剤を担持させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記抗病原性微生物剤をそのまま、あるいは水やアルコール等で希釈した状態の抗病原性微生物剤を、噴霧する方法、被覆する方法、浸漬する方法などが挙げられる。
また、前記マスクや前記フィルターは、単層構造及び多層構造のいずれの構造であってもよい。多層構造の場合、前記抗病原性微生物剤は、少なくとも1層に担持されていればよい。
−参考例1〜18、21〜24、28、29、33、実施例19、20、25〜27、30〜32、及び比較例1〜13−
以下の参考例1〜18、21〜24、28、29、33、実施例19、20、25〜27、30〜32、及び比較例1〜13の被検試料の抗インフルエンザウイルス活性は、以下の方法を用いプラック測定法(PFU Assay)により評価した。
ヒト由来のインフルエンザウイルス株(H1N1:A/PR8/34、北里研究所より入手)を、イーグルMEM(GIBCO社製)を用いて10倍段階希した。
マイクロプレート上で37℃、5%CO2の条件下で、10質量%ウシ胎児血清含有イーグルMEM(GIBCO社製)を用いて培養したMDCK細胞(イヌ腎上皮細胞:大日本製薬株式会社製)の単層細胞に、前記インフルエンザウイルス株を100CFU/mL接種し、同時に参考例1〜18、21〜24、28、29、33、実施例19、20、25〜27、30〜32、及び比較例1〜13の被検試料0.9mLを添加し、1時間インキュベートした。
次いで、感染に使用したインフルエンザウイルス株を含む培地を除去し、0.5質量%アガロース液をプレートに重層し、完全に凝固した後、37℃、5%CO2の条件下で3日間培養した。なお、前記被検試料を作用させず、インフルエンザウイルス株のみを作用させたものを対照試料とした。
被検試料又は対照試料の非作用時の平均プラック数に対する、被検試料又は対照試料の作用時の平均プラック数の割合を、以下の計算式を用いて算出し、ウイルス感染抑制率(%)を求めた。ウイルス感染抑制率は、その値が高い程、ウイルス感染抑制活性が高いことを示す。また、ウイルス感染価(PFU/mL)は、ウイルス希釈濃度のプラック数から算出した。なお、ウイルス感染抑制率及びウイルス感染価は、1種の被検試料又は対照試料を3ウエルで試験し、その平均値より算出した。
ウイルス感染抑制率(%)=(被検試料又は対照試料非作用時のプラック数−被検試料又は対照試料作用時のプラック数)/被検試料又は対照試料非作用時のプラック数×100
以下の参考例34、35、37、38、実施例36、及び比較例14〜16の被検試料の抗インフルエンザウイルス活性は、以下の方法を用いプラック測定(PFU Assay)により評価した。
参考例34、35、37、38、実施例36、及び比較例14〜16の被検試料(スプレー剤)をクリーンベンチ内でマスク素材又はフィルター素材などに噴霧した。
ヒト由来のインフルエンザウイルス株(H1N1:A/PR8/34、北里研究所より入手)は、イーグルMEM(GIBCO社製)を用いて106CFU/mLに調製した。
前記被検試料を噴霧直後のマスク素材又はフィルター素材などに前記インフルエンザウイルス株を0.1mL含浸させ、その後、イーグルMEMを0.9mL添加し、インフルエンザウイルス株を含む培地を回収した。なお、参考例34、35、37、実施例36、及び比較例14〜15においては、前記被検試料を噴霧後のマスク素材又はフィルター素材などを、参考例34、35、37、実施例36、及び比較例14〜15に示す時間クリーンベンチ内に静置した後、前記同様にインフルエンザウイルス株を含浸させた。
マイクロプレート上で37℃、5%CO2の条件下で、10質量%ウシ胎児血清含有イーグルMEM培地(GIBCO社製)を用いて培養したMDCK細胞(イヌ腎上皮細胞:大日本製薬株式会社製)の単層細胞に、前記マスク素材又はフィルター素材などから回収したインフルエンザウイルス株を含む培地を10倍階段希釈法で希釈後、0.1mL接種し、1時間インキュベートして感染させた。
感染後、感染に使用したインフルエンザウイルス株を含む培地を除去し、0.5質量%アガロース液をプレートに重層し、完全に凝固した後、37℃、5%CO2の条件下で3日間培養した。なお、前記被検試料を作用させず、インフルエンザウイルス株のみを作用させたものを対照試料とした。
被検試料又は対照試料の非作用時の平均プラック数に対する、被検試料又は対照試料の作用時の平均プラック数の割合を、参考例1〜18、21〜24、28、29、33、実施例19、20、25〜27、30〜32、及び比較例1〜13と同様の方法で算出した。
インフルエンザウイルスの感染において、シアル酸含有糖タンパク質水溶液のみを作用させた場合、低級アルコール水溶液のみを作用させた場合、及びシアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールとの混合水溶液を作用させた場合のウイスル感染抑制活性について検討した。シアル酸含有糖タンパク質としては、コンビ株式会社製のコロカリア(登録商標)を使用した。コロカリアのシアル酸含有量は、1.6質量%である(コンビ株式会社 試験成績書)。低級アルコールとしては、エタノール又はイソプロパノールを用いた。
表4〜5に示す各被検試料を調製した。なお、表4〜5において、残部は精製水である。各被検試料のウイルス感染抑制率を算出した結果を併せて表4〜5に示す。コロカリアの分散安定性は、目視して確認した。結果を併せて表4〜5に示す。なお、分散安定性の評価基準は、以下のとおりである。
[分散安定性の評価基準]
○:均一に分散しており、濁りが全くない
△:分散しているが、やや濁りがある
×:分散しておらず、析出乃至沈殿が認められる
シアル酸含有糖タンパク質及び低級アルコールに、ノニオン性界面活性剤を配合した場合のウイスル感染抑制活性について検討した。ノニオン性界面活性剤としては、POE(60)硬化ヒマシ油(HCO−60:日光ケミカルズ株式会社製、HLB値=14.0)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80:日油株式会社社製、HLB値=15.0)、及びPOE(23)セチルエーテル(BC−23:日光ケミカルズ株式会社社製、HLB値=18.0)のいずれかを用いた。また、その他の成分として、メントール及び塩化ベンザルコニウムを配合した。
表6に示す各被検試料を調製した。なお、表6において、残部は精製水である。各被検試料のウイルス感染抑制率を算出した結果を併せて表6に示す。
カチオン性界面活性剤は、殺菌作用や殺虫作用を有することが知られている。シアル酸含有糖タンパク質、低級アルコール、及びノニオン性界面活性剤に、更にカチオン性界面活性剤である塩化ベンザルコニウムを配合した場合のウイルス感染抑制活性について検討した。
表7〜8に示す各被検試料を調製した。なお、表7〜8において、残部は精製水である。各被検試料のウイルス感染抑制率を算出した結果を併せて表7〜8に示す。塩化ベンザルコニウムを配合しなかった場合のウイルス感染抑制率の結果を表7に、塩化ベンザルコニウムを配合した場合のウイルス感染抑制率の結果を表8に示す。
表9に示す各被検試料を調製した。なお、表9において、残部は精製水である。各被検試料をスプレー容器に収容し、スプレー剤とした。マスクに使用されるポリエステル不織布に該スプレー剤を0.9mL噴霧した直後又は表9に示す時間の経過ごとに、前記インフルエンザウイルス株を接触させ、ウイルス感染抑制率を算出した。結果を併せて表9に示す。
表11に示す各被検試料を調製した。なお、表11において、残部は精製水である。各被検試料をスプレー容器に収容し、スプレー剤とした。マスクに使用されるポリエステル不織布、マスクに使用されるガーゼ、及び空気清浄機やエアコン等に使用されるフィルターに、それぞれのサイズ(4cm×4cm)に対して該スプレー剤を0.3mL噴霧した直後に、前記インフルエンザウイルス株を接触させ、ウイルス感染抑制率を算出した。結果を併せて表11に示す。
表12に示す各被検試料を調製した。なお、表12において、残部は精製水である。各被検試料について、大腸菌(NBRC3972)及び黄色ブドウ球菌(NBRC12732)を用い、抗菌活性について検討した。
大腸菌及び黄色ブドウ球菌は、Tryptic Soy Agar(Difco社製)上で培養し、滅菌生理食塩液に浮遊させて約107CFU/mLに調製した。
調製した大腸菌及び黄色ブドウ球菌を各被検試料1mLに対して0.01mL添加し、25±2℃にて10分間静置した。その後、滅菌生理食塩液で前記大腸菌及び黄色ブドウ球菌を含む各被検試料の希釈系列を作製し、Tryptic Soy Agar(Difco社製)上で36±1℃で48時間培養することにより、生育した試験菌数を測定した。結果を表12に示す。
表13に示す各被検試料を調製した。なお、表13において、残部は精製水である。各被検試料をスプレー容器に収容し、スプレー剤とした。前記スプレー剤について、パームスタンプ法を用いて前記スプレー剤の手指に対する殺菌効果を検討した。前記パームスタンプ法は、消毒後手形培地に片方ずつ異なる時間に菌を採取することにより、消毒後の時間における殺菌効果を判定することができる試験方法である。試験は、前記スプレー剤の噴霧前、噴霧直後、及び噴霧1時間後に行った。
被験者は、前記スプレー剤による消毒前の手掌の菌数を測定するために、ハンドペタンチェック培地(栄研化学株式会社製)に手掌全体を押しつけて、手掌の菌を採取した。菌を採取したハンドペタンチェック培地を35℃で約18時間培養して、ハンドペタンチェック培地全体におけるコロニーを計数して手掌の菌数とした。噴霧前の手掌の菌数をベースラインとした。
前記噴霧前の試験を行った後、クリーンベンチ外で前記スプレー剤3mLをすり込み、乾燥させ、片方の手掌をクリーンベンチ内で前記噴霧前と同様の方法でハンドペタンチェック培地を用い、噴霧直後の手掌の菌数を算出した。
前記噴霧後の試験を行った後、そのままクリーンベンチ内でもう片方の手掌に手術用滅菌手袋(Cardiral Health社製)を装着し、クリーンベンチ外で1時間過ごした後、前記噴霧前と同様の方法でハンドペタンチェック培地を用い、噴霧直後の手掌の菌数を算出した。
細菌増殖抑制率(%)=(噴霧前の細菌数−噴霧直後又は噴霧1時間後の細菌数)/噴霧前の細菌数×100
Claims (9)
- シアル酸が糖タンパク質に結合したシアル酸含有糖タンパク質と、低級アルコールと、ノニオン性界面活性剤とを少なくとも含有し、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%以上1質量%未満であり、
ウイルス感染及び細菌増殖の抑制活性を有することを特徴とする抗病原性微生物剤。 - 清涼剤を更に含有する請求項1に記載の抗病原性微生物剤。
- 殺菌剤を更に含有する請求項1から2のいずれかに記載の抗病原性微生物剤。
- スプレー剤である請求項1から3のいずれかに記載の抗病原性微生物剤。
- 対象が細菌である請求項1から4のいずれかに記載の抗病原性微生物剤。
- 細菌が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、腸球菌、及び真菌からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の抗病原性微生物剤。
- 請求項1から6のいずれかに記載の抗病原性微生物剤を担持したことを特徴とするマスク。
- 請求項1から6のいずれかに記載の抗病原性微生物剤を担持したことを特徴とするフィルター。
- エアコン及び空気清浄機のいずれかに用いられる請求項8に記載のフィルター。
Priority Applications (1)
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