JP5615053B2 - 総形カッターの製造方法および総形カッターの研削工具 - Google Patents
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Description
刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターの製造方法であって、
前記回転軸に沿って、直径の異なる山部と谷部とを切刃部材に形成する工程と、
前記切刃部材に前記溝を形成する工程と、
研削工具を軸心周りに回転させながら、前記溝の深さ方向に沿って前記溝の側壁に線接触させて、前記溝の前記側壁にすくい面を形成する工程とを備えることを特徴とする。
また、研削時に研削工具を溝の側壁に線接触させるので、隣接する刃と研削工具との干渉を防止することができる。したがって、溝を必要以上に幅広に設計する必要がなくなり、その分だけ切刃部自体を小径にすることができる。
そこで、溝底のプロファイルに応じて研削工具を変位させることで、溝底のプロファイルに起因するすくい角のずれを補正することができる。
この場合、前記ペンシル形状の前記研削工具は径が一定な円柱体であってもよい。
また、エンドミルによって溝を形成する際、エンドミルをその軸心方向に移動させながら溝を形成することで、溝の底面に凹凸を付けることができる。このため、例えば、刃先のプロファイルに応じて溝の底面に凹凸を付して、溝の底面から刃先までの距離(溝の深さ)を一定にして、切刃部の直径が大きい箇所(山部)と小さい箇所(谷部)との剛性を均等に高めることができる。
このように、上記研削工具を回転させながら、溝の深さ方向に沿って溝の側壁に線接触させてすくい面を形成することで、すくい面の加工自由度が向上し、すくい角を任意に設定することができる。
また、研削時に研削工具を溝の側壁に面接触ではなく線接触させるので、隣接する刃と研削工具との干渉を防止することができる。したがって、溝を必要以上に幅広に設計する必要がなくなり、その分だけ切刃部自体を小径にすることができる。
しかも、上述のように、点群を利用してペンシル形状の研削工具の輪郭を決定しているので、溝の深さ方向位置によらずすくい角を一定に近づけることができる。
このように、上記研削工具を回転させながら、溝の深さ方向に沿って溝の側壁に線接触させてすくい面を形成することで、すくい面の加工自由度が向上し、すくい角を任意に設定することができる。
また、研削時に研削工具を溝の側壁に面接触ではなく線接触させるので、隣接する刃と研削工具との干渉を防止することができる。したがって、溝を必要以上に幅広に設計する必要がなくなり、その分だけ切刃部自体を小径にすることができる。
しかも、上述のように、溝の底から刃先に近づくにつれ、前記側壁上の点における前記側壁の接線と、前記回転軸から前記点に延ばした直線とがなす角度が小さくなるようにペンシル形状の研削工具の輪郭を決定しているので、周速が互いに異なる、切刃部の直径が大きい箇所と小さい箇所との切削性を均一化することができる。
図2は、ねじれ溝8の底面に凹凸を付した総形カッターの構成例を示す斜視図である。同図に示す例では、ねじれ溝8の底面9には刃先7のプロファイルに応じた凹凸が形成されており、底面9から刃先7までの距離(ねじれ溝8の深さ)がほぼ一定になっている。これにより、切刃部2の直径が大きい箇所(山部6A)と小さい箇所(谷部6B)との剛性を均等に高めることができる。
図3(a)及び(b)に示すように、ねじれ刃6の山部6Aにおけるすくい角α1と、ねじれ刃6の谷部6Bにおけるすくい角α2とは、いずれもプラスの値を有し、大きさもほぼ同等である。なお、「すくい角」とは、回転軸Oから刃先7に向かって延びる直線Lに対して、刃先7におけるすくい面4の接線Tがなす角のことである。
ここで、角度θについては、tanθ=ΔX1/(R−ΔY1)の関係から求めることができる。
同様に、後続の点Q3〜Qn−1についても座標を算出すると、ねじれ溝8の深さ方向位置によらず角度αiが一定となるような点群Qiが得られる。
このようにして得られた点群Qiを結ぶことで、研削工具18の軸心を通る断面の輪郭形状を決定する。なお、各点間のピッチPを小さくすることで、点群Qiを結んで得られる研削工具18の輪郭形状が滑らかになる。
なお、研削工具18の剛性をより一層高める観点から、研削工具18は、隣接するねじれ刃6と干渉せずにねじれ溝8にスムーズに挿入可能な範囲で、直径ができるだけ大きいほど好ましい。
また、研削時に研削工具18をねじれ溝8の側壁に面接触ではなく線接触させるので、隣接するねじれ刃6と研削工具18との干渉を防止することができる。したがって、ねじれ溝8を必要以上に幅広に設計する必要がなくなり、その分だけ切刃部2自体を小径にすることができる。
切刃部2の直径が大きい箇所(山部6A)と小さい箇所(谷部6B)とでは周速差があるため、両者間には切削性の差異が生じる。そこで、ペンシル形状の研削工具18の輪郭を、溝8の底から刃6の刃先7に近づくにつれ、溝8の側壁(すくい面4)上の点Qiにおけるすくい面4の接線Tiと、回転軸Oから点Qiに延ばした直線Liとがなす角度αiが小さくなるように決定することで、切刃部2の直径が大きい箇所のすくい角を比較的小さく、切刃部2の直径が小さい箇所のすくい角を比較的大きくして、切刃部2の切削性を均一化することができる。
研削工具18の軸心を通る断面の輪郭を、溝8の側壁上の点における接線Tiと、回転軸Oから当該点に延ばした直線Liとがなす角度αiが、溝8の深さ方向位置によらず一定となる、あるいは、溝8の底から刃6の刃先7に近づくにつれ小さくなるように決定した場合(すなわち、所望のすくい面4が得られるように研削工具18の輪郭を決定した場合)、溝8の底のプロファイルの影響によって、すくい面4を規定する点群と回転軸Oとの関係が崩れ、すくい角にずれが生じてしまう。
図5は、溝8の底のプロファイルがすくい角に与える影響について説明するための図である。溝8の底9がテーパー形状の場合、溝8の底面の直径が小さい切刃部2の先端側の箇所(図5(a)参照)と、溝8の底面の直径が大きい切刃部2の基端側の箇所(図5(b)参照)とでは、溝8の深さが同じであり、研削工具18の同一の位置が刃先7に接触しており、刃先7におけるすくい面4の接線は共通している。一方、回転軸Oから刃先7に延ばした直線Lは、図5(a)の場合と図5(b)の場合とでは傾きが異なる。したがって、刃先7におけるすくい面4の接線と直線Lとがなす角度(すくい角)は、溝8の底9のプロファイルの影響によって、ずれが生じてしまう。
そこで、図5(c)に示すように、溝8の底9のプロファイルに応じて、研削工具18の切刃部材12に対する相対移動方向に直交する方向に研削工具18を変位させる(軸心22をずらす)ことで、溝8の底9のプロファイルに起因するすくい角のずれを補正することができる。
図6は、円柱形状の研削工具18を用いて、刃先7のプロファイルに応じて研削工具18を変位させながら研削を行う手法を説明するための図である。図6(a)及び(b)に示すように、刃先7と回転軸Oとの距離(刃先7のプロファイル)に応じて、研削工具18の切刃部材12に対する相対移動方向に直交する方向に研削工具18を変位させる(軸心22をずらす)ことで、山部6A及び谷部6Bのすくい角αをそれぞれ任意に設定することができる。これにより、特別な成形を施していない安価な円柱形状の研削工具18を用いて、形状の異なる多品種の総形カッター1について、切刃部2の直径が大きい箇所(山部6A)と小さい箇所(谷部6B)とのすくい角αをそれぞれ任意に設定することが可能となる。
例えば、回転軸Oを通るすくい面4に平行な直線とすくい面4との距離をdとし、回転軸Oから刃先7までの距離(切刃部2の半径)をRとしたときに、切刃部2のいずれの箇所においても次の式を満たすように決定されたdに基づいて、研削工具18を変位させることで、刃先7のプロファイルによらずすくい角を一定にできる。
2 切刃部
4 すくい面
5 逃げ面
6 ねじれ刃
7 刃先
8 ねじれ溝
10 シャンク
12 切刃部材
14 砥石
16 エンドミル
18 研削工具
19 砥石面
20 円盤砥石
22 軸心
100 円盤砥石
Claims (12)
- 刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターの製造方法であって、
前記回転軸に沿って、直径の異なる山部と谷部とを切刃部材に形成する工程と、
前記切刃部材に前記溝を形成する工程と、
研削工具を軸心周りに回転させながら、前記溝の深さ方向に沿って前記溝の側壁に線接触させて、前記溝の前記側壁にすくい面を形成する工程とを備え、
前記すくい面を形成する工程では、ペンシル形状の前記研削工具を軸心周りに回転させながら前記側壁に線接触させた状態で、前記溝に沿って、前記研削工具を前記切刃部材に対して相対移動させるとともに、
前記すくい面を形成する工程では、前記研削工具の前記切刃部材に対する相対移動方向に直交する方向に前記研削工具を変位させることで、前記刃の刃先のプロファイルに応じて、前記切刃部材の半径方向に対する前記研削工具の軸心のずれ量を前記回転軸から前記刃先までの距離に比例して変化させることを特徴とする総形カッターの製造方法。 - 前記ペンシル形状の前記研削工具は径が一定な円柱体である請求項1に記載の総形カッターの製造方法。
- 刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターの製造方法であって、
前記回転軸に沿って、直径の異なる山部と谷部とを切刃部材に形成する工程と、
前記切刃部材に前記溝を形成する工程と、
研削工具を軸心周りに回転させながら、前記溝の深さ方向に沿って前記溝の側壁に線接触させて、前記溝の前記側壁にすくい面を形成する工程とを備え、
前記すくい面を形成する工程では、ペンシル形状の前記研削工具を軸心周りに回転させながら前記側壁に線接触させた状態で、前記溝に沿って、前記研削工具を前記切刃部材に対して相対移動させるとともに、
前記ペンシル形状の前記研削工具の軸心を通る断面の輪郭は、その反転形状を前記溝の前記側壁に転写したときに、前記溝の深さ方向位置によらず、前記側壁上の点における前記側壁の接線と、前記回転軸から前記点に延ばした直線とがなす角度が一定となるように決定されることを特徴とする総形カッターの製造方法。 - 刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターの製造方法であって、
前記回転軸に沿って、直径の異なる山部と谷部とを切刃部材に形成する工程と、
前記切刃部材に前記溝を形成する工程と、
研削工具を軸心周りに回転させながら、前記溝の深さ方向に沿って前記溝の側壁に線接触させて、前記溝の前記側壁にすくい面を形成する工程とを備え、
前記すくい面を形成する工程では、ペンシル形状の前記研削工具を軸心周りに回転させながら前記側壁に線接触させた状態で、前記溝に沿って、前記研削工具を前記切刃部材に対して相対移動させるとともに、
前記ペンシル形状の前記研削工具の軸心を通る断面の輪郭は、その反転形状を前記溝の前記側壁に転写したときに、前記溝の底から前記刃の刃先に近づくにつれ、前記側壁上の点における前記側壁の接線と、前記回転軸から前記点に延ばした直線とがなす角度が小さくなるように決定されることを特徴とする総形カッターの製造方法。 - 前記すくい面を形成する工程では、前記溝の底のプロファイルに応じて、前記研削工具の前記切刃部材に対する相対移動方向に直交する方向に前記研削工具を変位させることを特徴とする請求項3又は4に記載の総形カッターの製造方法。
- 前記すくい面を形成する工程では、前記切刃部の半径Rに対する、前記回転軸を通る前記すくい面に平行な直線と前記すくい面との間の距離dの比d/Rが一定になるように前記研削工具を変位させることを特徴とする請求項2に記載の総形カッターの製造方法。
- 前記ペンシル形状の前記研削工具は、母材が焼入れをした高速度鋼であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の総形カッターの製造方法。
- 前記溝を形成する工程では、エンドミルで前記切刃部材を切削して前記溝を形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の総形カッターの製造方法。
- 前記溝は前記回転軸に対して捩れたねじれ溝であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の総形カッターの製造方法。
- 刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターのすくい面を形成するために用いられる研削工具であって、
軸心を通る断面の輪郭が、その反転形状を前記すくい面となる前記溝の側壁に転写したときに、前記溝の深さ方向位置によらず、前記側壁上の点における前記側壁の接線と、前記回転軸から前記点に延ばした直線とがなす角度が一定となるように決定されたペンシル形状を有することを特徴とする総形カッターの研削工具。 - 刃と溝とが交互に形成された切刃部を先端側に有し、回転軸を中心として前記切刃部が回転することで切削を行う総形カッターのすくい面を形成するために用いられる研削工具であって、
軸心を通る断面の輪郭が、その反転形状を前記すくい面となる前記溝の側壁に転写したときに、前記溝の底から前記刃の刃先に近づくにつれ、前記側壁上の点における前記側壁の接線と、前記回転軸から前記点に延ばした直線とがなす角度が小さくなるように決定されたペンシル形状を有することを特徴とする総形カッターの研削工具。 - 母材が焼入れをした高速度鋼であることを特徴とする請求項10又は11に記載の総形カッターの研削工具。
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