JP5611425B2 - 軸受箱 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受箱に関し、特に、発電システムのタービンや圧縮機の間に配置される軸受箱に関するものである。
発電システムのタービンや圧縮機の間に配置される軸受箱としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
特開2002−317603号公報
ところで、上記特許文献1に開示されたタービンおよび圧縮機はそれぞれ、下車室本体部分(ケーシング)から回転軸の軸方向に沿って延びる猫足部分を介して、軸受箱に付随的かつ一体的に設けられた猫足台の上に設置されている。
また、発電システム稼働中、タービンケーシングおよび圧縮機ケーシングは高温(最低でも100℃以上)となるため、これらケーシングに付随的かつ一体的に設けられた猫足部分に大きな熱伸び差が生じる。
一方、猫足台を含む軸受箱は、その内部に収容された軸受(ジャーナル軸受およびスラスト軸受)が発熱源となるが、その周辺を油冷しているため低温(室温〜30℃前後)であり、熱伸びはわずかである。
その結果、猫足部分と猫足台との間に大きな水平方向(回転軸の軸方向と直交する方向)の熱伸び差が生じ、この熱伸び差により猫足部分と猫足台との接触面に摩擦力(ケーシング重量およびスラスト荷重にそれぞれ摩擦係数を乗じた値の力)が生じる。この摩擦力は、図9に示すように、軸受箱本体100の底板11bよりも高いところに位置する猫足部分(図示せず)と猫足台13との接触面13aに作用するため、猫足台13の下部(底部)を支点とした回転モーメントを引き起こす。
このような回転モーメントが生じると、軸受箱本体全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体100の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容された軸受が上方に持ち上げられるとともに、回転軸(より詳しくは、タービンの回転軸、圧縮機の回転軸、およびこれら回転軸を連結する連結軸)が上方に持ち上げられて、回転軸にアライメントずれが生じる。
そして、このようなアライメントずれは、タービンケーシングおよび圧縮機ケーシングの内部で、回転部(ロータ表面や動翼チップ等)と静止部(ケーシング、翼環、静翼やガスシール等の内面)とのクリアランスの増加・減少を引き起こす原因となり、タービンおよび圧縮機の性能を低下させ、場合によっては内部接触を引き起こして、発電システムの運転に支障をきたすおそれもある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、熱伸び差による軸受箱本体の底板の浮き上がりを防止することができ、軸受箱が軸受け支持する回転軸のアライメントずれを防止することができる軸受箱を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る軸受箱は、軸受を収容する収容部と底板とを備え、台板を介して基礎上に設置される平面視矩形状を有する軸受箱本体と、この軸受箱本体の上方を覆う上蓋とを備えた軸受箱であって、前記軸受箱本体の四隅にそれぞれ設けられた猫足台の側面と前記収容部の側面との間に空間が形成されており、前記猫足台の側面と前記収容部の側面とが前記底板の上面よりも高い位置において連結されておらず、前記猫足台の変形が、前記収容部に伝わらないように構成されている。
本発明に係る軸受箱によれば、熱伸び差によって軸受箱本体全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体の底板に浮き上がりが生じ、その内部に収容された軸受が上方に持ち上げられるとともに、軸受に支持された回転軸が上方に持ち上げられて、回転軸にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
本発明に係る発電システムは、回転軸のアライメントずれを防止する軸受箱を備えているので、タービンケーシングおよび圧縮機ケーシングの内部での、回転部(ロータ表面や動翼チップ等)と静止部(ケーシング、翼環、静翼やガスシール等の内面)とのクリアランスの増加または減少、接触等を防止することができて、タービンおよび圧縮機の性能低下を防止することができるとともに、発電システムの信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、熱伸び差による軸受箱本体の底板の浮き上がりを防止することができ、軸受箱が軸受け支持する回転軸のアライメントずれを防止することができるという効果を奏する。
本発明に係る軸受箱を具備した発電システムの要部斜視図である。 図1を回転軸の軸方向に沿って切った断面図である。 本発明の第1参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。 本発明の一実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。 本発明の第2参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。 本発明の第3参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体の概略を示す斜視図である。 本発明の第4参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。 本発明の第5参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。 熱伸び差による軸受箱本体の変形を説明するための図であって、従来の軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
以下、本発明に係る軸受箱の第1参考実施形態について、図1から図3を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る軸受箱を具備した発電システムの要部斜視図、図2は図1を回転軸の軸方向に沿って切った断面図、図3は本発明の第1参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
図1に示すように、発電システム1は、タービン2と、圧縮機3と、図示しない発電機と、タービン2と圧縮機3との間、およびタービン2と発電機との間にそれぞれ配置された軸受箱4とを備えている。
タービン2は、内部を流れる作動流体(例えば、空気、高温の蒸気や燃焼ガス等)によって回転力を得て、この回転力によって回転軸5(図2参照)および連結軸6(図2参照)を介して連結された圧縮機3および発電機をそれぞれ駆動するものである。
図2に示すように、軸受箱4は、回転軸5の端部を軸受け支持するジャーナル軸受7と、連結軸6の中央部を軸受け支持するスラスト軸受8と、これらジャーナル軸受7およびスラスト軸受8を収容するとともに、台板9を介して基礎(支持台:架台)10上に配置(固定)された軸受箱本体11と、軸受箱本体11の上方を覆う上蓋12とを備えている。
軸受箱本体11の四隅に位置する各角部には、タービン2の下車室本体部分2a(図1参照)の四隅に位置する各角部から回転軸5の軸方向に沿って突出する(延びる)猫足部分2b(図1参照)、および圧縮機3の下車室本体部分3a(図1参照)の四隅に位置する各角部から回転軸5の軸方向に沿って突出する(延びる)猫足部分3b(図1参照)を支持する猫足台13(図6参照)が設けられている。
また、軸受箱本体11の中央部には、回転軸5の軸方向に沿って延びて、ジャーナル軸受7およびスラスト軸受8を収容する収容部11aが設けられている。
そして、図3に示すように、軸受箱本体11には、猫足台13の各側面と軸受箱本体11の底板11bとを連結(結合)する複数枚(例えば、4枚)の補強リブ14が設けられている(固定されている)とともに、収容部11aと猫足台13との間には、収容部11aの各側面と猫足台13とを連結(結合)する複数枚(例えば、8枚)の接続リブ15が設けられている(固定されている)。
本実施形態に係る軸受箱4によれば、軸受箱本体11に新設された補強リブ14によって、軸受箱本体11全体の剛性が高められる(向上させられる)こととなるので、熱伸び差によって軸受箱本体11全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体11の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
また、このような回転軸5のアライメントずれが防止されることにより、タービンケーシングおよび圧縮機ケーシングの内部での、回転部(ロータ表面や動翼チップ等)と静止部(ケーシング、翼環、静翼やガスシール等の内面)とのクリアランスの増加または減少、接触等を防止することができて、タービンおよび圧縮機の性能低下を防止することができるとともに、発電システムの信頼性を向上させることができる。
本発明に係る軸受箱の一実施形態について、図4を参照しながら説明する。図4は本発明の一実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
本実施形態に係る軸受箱21は、軸受箱本体11の代わりに軸受箱本体22を備えているという点で上述した第1参考実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1参考実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
図4に示すように、軸受箱本体22は、第1参考実施形態のところで説明した軸受箱本体11から補強リブ14および接続リブ15を取り除いた(省略した)ものである。すなわち、軸受箱本体22は、補強リブ14および接続リブ15を備えていないという点で、第1参考実施形態のところで説明した軸受箱本体11と異なっている。
本実施形態に係る軸受箱21によれば、熱伸び差により猫足部分2b,3b(図1参照)と猫足台13との接触面13aに生じた摩擦力(ケーシング重量およびスラスト荷重にそれぞれ摩擦係数を乗じた値の力)は、猫足台13だけ(のみ)を猫足台13の下部(底部)を支点として変形させることとなるので、熱伸び差によって軸受箱本体21全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体21の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
その他の作用効果は、上述した第1参考実施形態と同じであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る軸受箱の第2参考実施形態について、図5を参照しながら説明する。図5は本発明の第2参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
本実施形態に係る軸受箱31は、補強リブ14の代わりに締結手段33を備えているという点で上述した第1参考実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1参考実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
締結手段33は、例えば、台板9の上面中央部に軸方向に沿って形成された直線状のT形溝34と、底板11bの下面中央部にボルト35を介して取り付けられ、T形溝34にスライド可能に嵌り込むT形キー36とを備えている。
本実施形態に係る軸受箱31によれば、台板9の中央部と底板11bの中央部とが、締結手段33を介して強固(堅固)に連結(結合)されており、これにより、軸受箱本体32全体の剛性が高められる(向上させられる)こととなるので、熱伸び差によって軸受箱本体32全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体32の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
その他の作用効果は、上述した第1参考実施形態と同じであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る軸受箱の第3参考実施形態について、図6を参照しながら説明する。図6は本発明の第3参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体の概略を示す斜視図である。
本実施形態に係る軸受箱41は、補強リブ14の代わりに摩擦力(摩擦係数)低減手段43を備えているという点で上述した第1参考実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1参考実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
摩擦力(摩擦係数)低減手段43は、例えば、優れた自己潤滑性、耐候性、および低摩擦特性を有する四フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなるシート状の部材であり、各猫足台13の接触面13aを覆うように取り付けられている(配置されている)。
本実施形態に係る軸受箱41によれば、猫足部分2b,3bと猫足台13との接触面13aにおける摩擦係数を低減させることができるとともに、猫足台13の下部(底部)を支点とした回転モーメントを低減させることができるので、熱伸び差によって軸受箱本体42全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体42の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
その他の作用効果は、上述した第1参考実施形態と同じであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る軸受箱の第4参考実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は本発明の第4参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
本実施形態に係る軸受箱51は、補強リブ14の代わりにテンションワイヤ53を備えているという点で上述した第1参考実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1参考実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
テンションワイヤ53は、軸受箱本体52の上に上蓋12を被せた状態で、上蓋12の上方を通って、軸受箱本体52の左側に位置する猫足台13と右側に位置する猫足台13とを連結(結合)する複数本(例えば、2本)のワイヤロープであり、各テンションワイヤ53は、所定のテンション力をかけた状態で架け渡されている。
本実施形態に係る軸受箱51によれば、テンションワイヤ53によって、軸受箱本体52全体の剛性が高められる(向上させられる)こととなるので、熱伸び差によって軸受箱本体52全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体52の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
その他の作用効果は、上述した第1参考実施形態と同じであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る軸受箱の第5参考実施形態について、図8を参照しながら説明する。図8は本発明の第5参考実施形態に係る軸受箱の軸受箱本体を正面から見た正面図である。
本実施形態に係る軸受箱61は、補強リブ14の代わりにテンションワイヤ63を備えているという点で上述した第1参考実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1参考実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
テンションワイヤ63は、収容部11aの下方(より詳しくは、台板9の内部)に配置された滑車64に掛け回されて、軸受箱本体62の左側に位置する猫足台13と底板11bの中央部とを連結(結合)し、軸受箱本体62の右側に位置する猫足台13と底板11bの中央部とを連結(結合)する複数本(例えば、4本)のワイヤロープであり、各テンションワイヤ63には、所定のテンション力がかけられている。
本実施形態に係る軸受箱61によれば、テンションワイヤ63および滑車64によって、軸受箱本体62全体の剛性が高められる(向上させられる)こととなるので、熱伸び差によって軸受箱本体62全体が上に凸の蒲鉾形状に変形し、軸受箱本体62の底板11bに浮き上がりが生じ、その内部に収容されたジャーナル軸受7およびスラスト軸受8が上方に持ち上げられるとともに、回転軸5および連結軸6が上方に持ち上げられて、回転軸5にアライメントずれが生じるのを防止することができる。
その他の作用効果は、上述した第1参考実施形態と同じであるので、ここではその説明を省略する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、適宜必要に応じて変形実施、変更実施することができる。
例えば、上述した第3参考実施形態では、摩擦力(摩擦係数)低減手段43として、優れた自己潤滑性、耐候性、および低摩擦特性を有する四フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなるシート状の部材を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ころ軸受等、摩擦力(摩擦係数)を低減させるものであればいかなるものであってもよい。
1 発電システム
2 タービン
3 圧縮機
4 軸受箱
7 ジャーナル軸受(軸受)
8 スラスト軸受(軸受)
9 台板
10 基礎
11 軸受箱本体
11a 収容部
11b 底板
12 上蓋
13 猫足台
13a 摩擦面
14 補強リブ
15 接続リブ
21 軸受箱
22 軸受箱本体
31 軸受箱
32 軸受箱本体
33 締結手段
41 軸受箱
42 軸受箱本体
43 摩擦係数低減手段
51 軸受箱
52 軸受箱本体
53 テンションワイヤ
61 軸受箱
62 軸受箱本体
63 テンションワイヤ
64 滑車
100 軸受箱本体

Claims (2)

  1. 軸受を収容する収容部と底板とを備え、台板を介して基礎上に設置される平面視矩形状を有する軸受箱本体と、この軸受箱本体の上方を覆う上蓋とを備えた軸受箱であって、
    前記軸受箱本体の四隅にそれぞれ設けられた猫足台の側面と前記収容部の側面との間に空間が形成されており、前記猫足台の側面と前記収容部の側面とが前記底板の上面よりも高い位置において連結されておらず、前記猫足台の変形が、前記収容部に伝わらないように構成されていることを特徴とする軸受箱。
  2. 請求項1に記載の軸受箱と、圧縮機やタービンの回転により発電を行う発電機を有するターボマシンと、内部を流れる作動流体との間で熱交換を行う熱交換器とを備えてなることを特徴とする発電システム。
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