JP5611395B2 - 香炉 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明では、香炉本体の凹部内に灰等の難燃性の床を敷き詰めず、その代わりに、香炉本体の凹部内に着脱可能に香炉部を配置し、この香炉部の中に設けられた薫香装置の中又はその上で薫香できる。したがって、本発明では、香炉本体から香炉部を取り出せば香炉本体の凹部内は空の状態にすることができる。よって、香炉本体から香炉部を取り外した状態で携行することが可能であり、持ち運びの際に香炉本体を水平に保つ必要がなくなり、香炉の持ち運びを容易に行うことができる。
また、本発明では、香炉部を不燃性材料で形成することにより、薫香時の煙により付着したヤニをガスバーナーで燃焼させた後、洗剤,水で洗浄すれば簡単に取り除くことが可能である。
このように構成された本発明では、香炉部の開口部を蓋体で密閉することができるので、香炉部を持ち運ぶ際に、香炉がどのような角度になっても、内部の燃焼床が飛び出したり、薫香終了後の残留物が外部に漏れ出したりすることを防止することができる。
このように構成された本発明では、香炉本体の凹部内に、香炉部を永久磁石の磁力により固定的に保持することができるので、宗教儀式の際に、香炉(例えば、柄香炉)を携えて移動しながら薫香する場合、移動しながらの作法中に香炉部が香炉本体の凹部内で不所望に動くことを防止することができる。香炉部が香炉本体内で動くことを防止することにより、異音が発生したり、燃焼中の香が香炉部から飛び出したり、香の火が香炉部に接触して熱を奪われ立ち消えしたりすることを防止することができる。
また、香炉部を磁性材料で形成すれば、香炉本体に永久磁石を配置することにより、香炉部を香炉本体内に磁力による引力で固定することができる。この場合、磁性材料の香炉部内面には耐熱塗装を施すのが好ましい。一方、香炉部が陶磁器等の非磁性体である場合には、香炉部に磁石や磁性材料を取り付ければよい。
このように構成された本発明では、蓋体が香炉部の開口部を閉じた状態を保持するように収納部が香炉部を収納するので、持ち運びの際に、香炉部の蓋体が不用意に外れて、香炉部内の灰や残留物が外部に散乱するのを防ぐことができる。
このため、本発明では、伸縮自在な収納部に香炉部を入れることにより、蓋体が不用意に開かないように構成している。収納部は、例えば、ゴム,ナイロン等の樹脂製素材と繊維とでできた伸縮自在の織物で作製することができ、その寸法は縮んでいる状態で香炉部よりも小さく製作される。
このように構成された本発明では、香炉部に蓋体を取り付けた状態で、香炉部の開口部の先端部分(縁部)が蓋体のパッキンに押し当てられることにより、香炉部と蓋体とが気密的に閉じられ、香炉部内の灰等が開口部の縁部を越えて香炉部と蓋体の間に入り込むことが防止されるので、蓋体を開けたときに灰等が散乱することを防止することができる。
このため、本発明では蓋体の裏側面全体か、蓋体の裏側面のうち香炉部の開口部の先端部分が接触する部分に、可撓性を有するOリング等のパッキンを取り付けている。これにより、蓋体をねじ込んでいくと香炉部の開口部の先端部分がパッキンに食い込む。その結果、薫香後の灰や残留物がネジの谷間に入り込まないので、蓋体を開けたときに灰等が外部に飛散することを防止することができる。
このように構成された本発明では、香炉本体に通風孔を設けることにより、香炉部で燃焼する香へ空気を効率的に送り込むことができ、薫香途中の立ち消えを防止することができる。
そこで、本発明では、香炉本体の立ち上がり側面に通風孔を開け、空気の吸い込みを増加させることにより、燃焼効率を上げて立ち消えを防止している。
図1に示すように、本実施形態の香炉1は、凹部を有する香炉本体10と、香炉本体10の内部に配置された香炉部20と、香炉部20内に配置された薫香装置30と、香炉本体10の上部開口を閉じる本体蓋40と、香炉本体10に連結された柄50とを備えている。本体蓋40は、通風孔41を有しており、ヒンジ部を中心に開閉動作可能である。
なお、本実施形態では、香炉が柄香炉の形態を有するが、火舎香炉のような柄のないタイプの香炉であってもよい。
香炉本体10は、底部11と、底部11から上方へ立ち上がる側壁13とを有し、上部が開口した凹部形状を有している。香炉本体10内に香炉部20を配置した状態で、上部開口を本体蓋40によって閉じることができる。薫香中は、本体蓋40に設けられた複数の通風孔41を通して、香炉本体10の内部から外部へ煙が通過する。
また、香炉部20を金属製とする場合には、表面に耐熱塗料等を塗布して熱伝導率を低くするとよい。
図3(A)に示すように、香炉本体10の底部11の上面には、円板状の永久磁石12が接着材,ビス等により固定的に取り付けられている。また、香炉部20の底部21の下面にも、円板状の永久磁石22が接着剤,ビス等により固定的に取り付けられている。これにより、香炉部20を香炉本体10内に挿入したとき、永久磁石12,22の磁気引力により、香炉部20を香炉本体10内の中央部に位置決めした状態で固定することができる。永久磁石12,22は、例えば、直径12.5〜20mm、厚さ4〜6mmである。
香炉部20は、外径ができるだけ大きい方が望ましい。このため、図3(A)に示すように、香炉部20と香炉本体10との間には僅かな隙間しかなく、取り出しのために隙間に指先を入れることが困難である。
そこで、本実施形態では、香炉部20を取り出す場合、図3(B)及び図4に示すように、香炉部20の一端側の縁を下方へ指で押圧する。これにより、永久磁石同士が引き離され、永久磁石12,22をテコの支点として香炉部20の他端を持ち上げることができる。そして、持ち上げられた香炉部20の他端の縁を指で摘み上げることにより、簡単に香炉部20を取り出すことができる。
なお、好ましくは、香炉部20の上部開口端と香炉本体10の上部開口端との高さの差が10mm以下となるように、永久磁石12,22の高さが設定される。
このように、本実施形態では、指で香炉部20を傾けることにより、香炉部20を容易に取り出すことができる。
図5(A)に示す蓋体25は嵌め込み式であり、香炉部20の内側面に接触状態で嵌り込む挿入部25aと、挿入部25aよりも大きな径寸法を有する蓋本体25bと、挿入部25aと蓋本体25bとの境界部分に配置されたパッキン(Oリング)25cとを備えている。これにより、蓋体25を香炉部20の開口部に取り付けると、挿入部25aが香炉部20内に嵌まり込み、香炉部20の上端(開口部の縁部)とパッキン25cとが当接することにより、香炉部20を気密状態で閉じることができる。これにより、香炉部20を密閉状態とすることができるので、香炉部20を持ち運ぶ際に、香炉部20内から灰や香の残留物が外部に漏れ出すことを防止することができる。
また、香炉部20と蓋体25とをボルト及びナットでさらに固定するように構成してもよい。例えば、香炉部20の底部21から上方へ延びるようにボルトを固定し、蓋体25に対応するボルト貫通孔を設けることにより、蓋体25で香炉部20を閉じた後に、蓋体25のボルト貫通孔を貫通するボルトをナットで締め付けることができる。
収納部60は、蓋体25で密閉された状態の香炉部20を持ち運ぶ際に、誤って蓋体25が開いて内部から灰等が放出されることを防止する。図6(A)に示すように、収納部60は、一方側(右側)が開口した袋体であり、ゴム,ナイロンなど樹脂製の素材と繊維とでできた伸縮自在の織物である。非伸長状態では、収納部60の上下寸法(開口寸法)は、蓋体25で閉じられた香炉部20の外径よりも小さく設定されている。
なお、図6(A)は収納部60の片側に開口部61が設けられた例であるが、左右両側に開口部61が設けられていてもよい。
図6(B)の収納部160は、スポンジ状のクッション材で形成されており、一側に形成された開口部160aから蓋体25と一体の香炉部20を挿入可能に構成されている。香炉部20が内部に挿入されると、クッション材の収縮力により、蓋体25が香炉部20に対して押圧され蓋体25が不用意に開くことがなく、また、香炉部20が収納部160の外部へ飛び出さないように保持される。
図7(A)は香炉部20を上から見た図であり、図7(B)は図7(A)のB−B矢視図である。図7(A)に示すように、燃焼床として用いる薫香装置30は、平面視略円形の金網籠を逆さまにして香炉部20内に配置した構成となっている(金網籠式)。金網籠は、線径が0.2mm以下、網目寸法が2mm角以上5mm角以下となるようにステンレス鋼で形成されることが好ましい。
また、金網籠をグラスファイバー,スチールウール,セラミックファイバー等で形成してもよい。
平面部31aに配置された香Aは、儀式中に香炉1が動かされても、一段高くなった外周縁部31bによって平面部31a内に保持される。また、たとえ香Aが移動したとしても、外周縁部31bによって香Aが香炉部20と直接接触することを防止することができる。平面部31aには、馬蹄形香,渦巻形香を配置することができる。
また、香Aが板状,棒状,円錐状の形状である場合には、窪み溝31c内に配置することにより、より安定的に保持することができる。
このように、本実施形態の香炉1では、薫香中に香炉1が移動した際にも、香Aを不用意に薫香装置30上で移動させることなく、最後まで安定して燃焼させることができる。
香Aが燃え尽きた場合には、香炉本体10から香炉部20を取り出して、燃焼した香Aを有する別の香炉部20を香炉本体10に挿入すれば、連続的に薫香を継続することができる。
なお、上記実施形態と同様な構成には同様な符号を付し、重複する説明は省略する。
先ず、図8及び図9は、コイル状のバネを薫香床として用いるコイルバネ式の薫香装置を備えた例である。
なお、本例では、基部132が磁力によって香炉部20に固定されるが、これに限らず、接着材やビス等によって香炉部20の任意の部位に固定してもよい。
また、例えば、図8のような渦巻き線香の場合、香Aの中央部分をコイルバネ131で支持することにより、香Aの両端に点火して薫香することが可能であり、香Aからの煙の量を調整することができる。具体的には、両端に点火することにより、煙の量を2倍にすることができる。
図10(A),(B)に示すように、本実施形態では薫香装置230が、バインダーにより香Aを保持するように構成されている。
薫香装置230は、香Aを挟んで薫香するためのバインダー231と、バインダー231を支持する基部232とを備えている。基部232は、永久磁石232aと、バインダー231を支持する取付部(図示せず)とを有しており、香炉部20の底部21に配置されている。これにより、基部232は、永久磁石232aと永久磁石22との磁気的な引力によって、香炉部20の底部21に着脱可能に固定される。
なお、薄板状の断熱材233(シリコンゴム等)を基部232と香炉部20との間に配置してもよい。
なお、バインダーとして、一般的なバネクリップを用いる代わりに、2個の磁石の間に香Aを挟み込む構成としてもよい。
図11(A),(B)に示すように、本実施形態では薫香装置330が、剣山により香Aを保持するように構成されている。
薫香装置330は、香Aを載置して薫香するための剣山331である。剣山331は、円板状の基部332と、基部332から垂直方向に延びる多数の針333とを備えている。剣山331は、任意に配置可能な薄板状の断熱材(図示せず)を介して、香炉部20の底部21に配置されている。剣山331は、磁性材料である基部332に対する永久磁石22からの磁気的な引力により、着脱可能に香炉部20の底部21に固定されている。また、基部332が磁性材料でない場合は、永久磁石又は磁性体を基部332の内部に取り付けるとよい。さらに、剣山331を香炉部20内に接着剤,ビス等によって固定してもよい。
図12(A)に示すように、本実施形態では薫香装置430が、軽石(人工軽石)により香Aを保持するように構成されている。
薫香装置430は、香Aを載置して薫香するための円板状をなす軽石431である。軽石431は、香炉部20内に固定配置されている。軽石431は、上面に香Aを配置するための窪み432が形成されている。この窪み432により上面の周縁部が中央部分よりも一段高くなっており、薫香中に香Aを窪み432内に保持することができる。
図13(A)に示すように、本実施形態の薫香装置530は、香炉部20内に敷き詰められた草木灰等の灰531と、この灰531に埋め込まれた網籠532とを備えている。図13(B)に示すように、網籠532は略円錐形を有している。網籠532は、水平に保った状態で尖った先端部分を下に向け、開口部の縁がほとんど見えなくなるまで灰531の中に埋め込まれる。
また、図13(C)に示すように、角錐形の網籠533を円錐形の網籠532の代わりに用いてもよい。
図14(B)は本実施形態の薫香装置630の断面図、図14(A)は薫香装置630を構成する2枚の網枠を示している。
薫香装置630は、香炉部20内に配置された金網籠631と、金網籠631の上部開口を覆うように金網籠631に取り付けられた第1の金網枠632と、香炉部20の上部開口を覆うように香炉部20に取り付けられた第2の金網枠633とを備えている。第1の金網枠632及び第2の金網枠633は、線香Aの転倒防止用である。
また、金網籠631,第1の金網枠632,第2の金網枠633に付着したヤニは、ガスの炎等で燃焼可能であり、水洗いもできて整備が簡単である。
図15(A)に示すように、本実施形態の薫香装置730は、本体蓋40から針金等の支持部材732によって、着脱可能に吊り下げられた金網籠731からなる。金網籠731は、他の実施形態と同様に、熱伝導率の低い金属等で形成するのが好ましい。
なお、本実施形態では、香炉部20が配置されていないが、金網籠731の網目を通して落下するおそれのある灰を回収できるように、香炉本体10内に香炉部20を配置するように構成してもよい。また、この香炉部20が金網籠731を収納可能であることが好ましい。
薫香後は、金網籠731を本体蓋40から取り外すことにより、容易に残留物や灰を除去することができる。また、水で簡単に洗浄することもできる。
墓参の時に使う香炉は金属の皿に、ステンレスの網が皿の底から浮かせて配置された構成であり、網の上に着火した線香を載せ薫香する。従来の香炉は皿状の香炉の深さが浅いため、参拝者の人数が多い場合、あるいは線香の量が多い場合、着火した線香が皿からこぼれ落ち、見た目も荘厳さにかけていた。
図17は、図16に対応しており、延長枠833を開いた状態を示している。
10 香炉本体
20 香炉部
25 蓋体
30 薫香装置
40 本体蓋
60 収納部
Claims (3)
- 凹部を有する香炉本体と、
開口部を有すると共に香を薫香するための薫香装置を内部に配置可能な香炉部と、
前記香炉本体を移動させながら薫香するために前記香炉本体に連結された柄と、を備えた携行用の香炉であって、
前記香炉を携行するときに前記香炉部を前記香炉本体から取り出した状態で携行可能とするように、前記香炉本体が前記香炉部を永久磁石による引力により前記凹部内に保持することにより、前記香炉部が、前記香炉本体の凹部内に着脱可能に保持されるように構成されており、
前記香炉部を前記香炉本体から取り出した状態において前記香炉部の開口部を密閉して閉じるための嵌め込み式又はねじ蓋式の蓋体であって、前記香炉部の開口部を気密的に閉じるために、前記香炉部の開口部の縁部との接触部分にパッキンを有する前記蓋体を備え、
前記蓋体により前記開口部が閉じられた前記香炉部を収納する伸縮自在な収納部を更に備え、前記収納部は、前記香炉部を収納した状態で、前記蓋体が前記香炉部の開口部を閉じた状態を保持するように、前記蓋体を前記香炉部に押し付けるように構成されている、香炉。 - 前記永久磁石は、前記香炉本体の凹部の底部よりも上方に前記香炉部の底部を離間させた状態で前記香炉部を保持すると共に、前記香炉部を前記香炉本体から取り出す際に、前記香炉部の開口部の一端側を下方へ押圧することによって前記香炉部の開口部の他端側を一端側よりも上方へ移動させることが可能なように、前記香炉部の底部と前記香炉本体の凹部の底部との間に配置されている、請求項1に記載の香炉。
- 前記香炉本体は、その底面及びこの底面から立ち上がる側面の少なくとも一方に、外部空気を前記香炉部へ供給するための通風孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の香炉。
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