JP5610875B2 - 炭化水素油の水素化精製方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い脱硫活性を有する触媒を用いた炭化水素油の水素化精製方法に関する。
近年、環境保護の観点から燃料油の硫黄分の品質規制が強化されている。特に、ガソリンや軽油中の硫黄分は厳しい規制となっている。このため、この規制に対応できるよう高い脱硫性能を示す触媒の開発が進んでいる。
脱硫触媒の活性点は、担体に担持された活性金属の硫化物に起因し、主に積層構造をとる二硫化モリブデンの結晶層(以下、「二硫化モリブデン層」ともいう。)のエッジ部に存在すると考えられている。例えば、特許文献1には、二硫化モリブデン層の積層数の平均値が2.5〜5であり、結晶層の面方向の長さの平均値(平均値長さ)が1〜3.5nmである水素化処理触媒が高い軽油の脱硫性能を示すと記載されている。
また、チタニア担体は、アルミナ担体と比べ高脱硫性能を示すことが知られており、チタニア担体を使用した水素化処理触媒もその要求に応えられる触媒として期待が高まっている。しかし、チタニアは一般的に比表面積が小さく、また高温での熱安定性が低いといった問題がある。この問題を解決するために、含水酸化チタンのヒドロゾル又はヒドロゲル若しくはそれらの乾燥物に、焼成時の粒子成長を抑制する粒子成長抑制剤等を添加した後、乾燥、焼成して得られる多孔質チタニアが開発されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この多孔質チタニアのみを担体として用いた場合には、触媒が高価となるという問題がある。そこで、水溶性チタニア化合物をアルミナ担体に担持させて調製したアルミナ−チタニア担体を用いた水素化処理触媒も開発されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この水素化処理触媒は、価格を安くできるが、担体の吸水率分しかチタニアを担持できないため、触媒の性能が低いという欠点がある。また、アルミナ調製時にチタニアを混合することによりアルミナ中にチタニアを高分散させて調製したアルミナ−チタニア担体を用いた水素化処理触媒も開発されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この担体は、チタニアをアルミナ中に高分散させることができるが、チタニアの含有量が増えるにつれ比表面積が低下し、チタニアが凝集するため細孔分布のシャープネスが悪くなり、触媒の性能が低下するという欠点があった。
特開2003−299960号公報 特開2005−336053号公報 特開2005−262173号公報 特開平10−118495号公報
本発明は、チタニアを高分散させたシリカ−アルミナ−チタニア担体を使用した安価で高脱硫性能を示す水素化脱硫触媒を用いた炭化水素油の水素化精製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、特定構造のシリカ、アルミナおよびチタニアを含有する担体(以下、「シリカ−アルミナ−チタニア担体」という。)に、少なくともモリブデンを含む金属成分をキレート剤と共に含浸、担持して調製された水素化脱硫触媒を、二硫化モリブデンの結晶層の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、かつ、平均積層数が1.0を超え、1.9以下となるように予備硫化処理して得られる水素化脱硫触媒(本明細書において、予備硫化処理前の水素化脱硫触媒と区別するため、予備硫化処理して得られる水素化脱硫触媒を「予備硫化済み水素化脱硫触媒」ということがある。)を炭化水素油の水素化精製に用いることで、炭化水素油の脱硫性能が大きく向上し、前記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は、[1]シリカ、アルミナおよびチタニアを含有する担体と該担体に担持された周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分(ただし、モリブデンを必須として含有する)とを有し、
前記担体は、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積(チタニア回折ピーク面積)が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積(アルミナ回折ピーク面積)に対して1/4以下であり、シリカの含有量がSiO として1〜10質量%、チタニアの含有量がTiO として15〜35質量%、アルミナの含有量がAl として55〜84質量%であり、
前記金属成分がキレート剤あるいはさらにリン化合物と共に担体に含有された水素化脱硫触媒aを得、
前記水素化脱硫触媒aを予備硫化処理することによって、前記モリブデンが二硫化モリブデンの結晶となって担体上に層状に配設され、しかも、該二硫化モリブデンの結晶層は、該結晶層の面方向の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、かつ、平均積層数が1.0を超え、1.9以下となる予備硫化処理された水素化脱硫触媒とし、
該予備硫化処理された水素化脱硫触媒を用いて水素雰囲気下で炭化水素油を水素化処理することを特徴とする炭化水素油の水素化精製方法、に関する。
また、本発明は、[2]前記金属成分は、触媒基準で、酸化物として1〜35質量%の範囲にあり、前記モリブデンは、触媒基準で、MoOとして1〜25質量%の範囲にあることを特徴とする前記[1]に記載の炭化水素油の水素化精製方法、に関する。
また、本発明は、[3]前記炭化水素油が、直留軽油、減圧軽油、接触分解軽油、水素化分解軽油、および熱分解軽油から選ばれることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の炭化水素油の水素化精製方法、に関する。
また、本発明は、[4]前記キレート剤がクエン酸又はリンゴ酸であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法、に関する。
また、本発明は、[5]前記炭化水素油の水素化処理によって得られる生成油の硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ窒素分が3質量ppm以下であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法、に関する。
また、本発明は、[6]反応圧力が1〜12MPa、液空間速度が0.1〜4.0h−1、水素/油比が80〜500NL/L、反応温度が250〜400℃の範囲であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭化水素の水素化精製方法、に関する。
本発明で使用する予備硫化済み水素化脱硫触媒は、脱硫の活性点となる二硫化モリブテン層の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、かつ平均積層数が1.0を超え、1.9以下であることから、脱硫の活性点を増やすことが出来る。また、含浸溶液に含まれるキレート剤でモリブデンをキレート化させることにより、二硫化モリブデン層と担体との相互作用を弱めることができ、一層目の二硫化モリブデンであっても高い脱硫性能を示すことが可能となる。また、本発明で使用する水素化脱硫触媒は担体中にチタンが高分散しているため、アルミナやシリカと比較して高価なチタンを比較的少ない量で高い脱硫性能を発揮することが出来る。
実施例1における担体aのX線回折分析結果を示す図である。 予備硫化済み水素化脱硫触媒の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 二硫化モリブデンの結晶層の面方向の積層数と長さを示すイメージ図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の炭化水素油の水素化精製方法に用いられる水素化脱硫触媒は、特定構造を有するシリカ−アルミナ−チタニア担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分(少なくともモリブデンを含む)を担持した水素化脱硫触媒を、さらに予備硫化処理することにより特定構造の二硫化モリブデン結晶層を形成してなる水素化脱硫触媒である。
本発明に係る水素化脱硫触媒に使用されるシリカ−アルミナ−チタニア担体は、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積(以下、「チタニア回折ピーク面積」ともいう。)が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積(以下、「アルミナ回折ピーク面積」ともいう。)に対して、1/4以下であることが必要であり、1/5以下であるのが好ましく、1/6以下であるのがより好ましい。
ここで、アルミナ回折ピーク面積に対するチタニア回折ピーク面積(チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積)が1/4より大きい場合は、チタニアの結晶化が進んでいることを示し、脱硫反応に有効な細孔が減少する。従って、この場合には、担体に含まれるチタニア量を増やしても、得られる水素化脱硫触媒はその経済性に見合う分の脱硫性能が発揮されず、安価で高性能な触媒とならない。
なお、アナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピークは2θ=25.5°で測定したものであり、ルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピークは、2θ=27.5°で測定したものである。また、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークは2θ=45.9°で測定したものである。
それぞれの回折ピーク面積の算出方法は、X線回折分析によって得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングしベースライン補正を行い、最大ピーク値からベースラインまでの高さを求め(ピーク強度W)得られたピーク強度の半分の値(W/2)のときのピーク幅(半値幅)を求め、この半値幅とピーク強度との積を回折ピーク面積とした。求めた各回折ピーク面積から、「チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積」を算出した(図1参照)。
前記担体は、シリカを担体基準でSiOとして1〜10質量%含有することが好ましく、2〜7質量%含有することがより好ましく、2〜5質量%含有することが更に好ましい。シリカ含有量が1質量%未満では、比表面積が低くなる上、担体の製造時(以下に後述する「第2工程」である。以下同様。)に焼成する際にチタニア粒子が凝集しやすくなり、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア及びルチル型チタニアの結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積が大きくなる。また、シリカの含有量が10質量%を超える場合には、得られる担体の細孔分布のシャープネスが悪くなり所望の脱硫活性が得られないことがある。
また、前記担体は、チタニアを担体基準でTiOとして、好ましくは15〜35質量%、さらに好ましくは15〜25質量%含有するのが望ましい。チタニアの含有量が15質量%より少ない場合には、チタニア成分の添加効果が少なく、得られる触媒は所望の触媒活性が得られないことがある。また、チタニアの含有量が40質量%より多い場合には、触媒の機械的強度が低くなる虞がある上、担体の製造時に焼成する際にチタニア粒子の結晶化が進み易くなるため比表面積が低くなり、チタニア量を増やした分の経済性に見合うだけの触媒性能が発揮されず、安価で高性能な触媒とならず好ましくない。
さらに、前記担体は、アルミナを担体基準でAlとして50〜96質量%含有することが好ましく、より好ましくは58〜83質量%、さらに好ましくは70〜83質量%含有するのが望ましい。ここで、アルミナの含有量が50質量%未満の場合には、触媒劣化が大きくなる傾向にあるので好ましくない。また、アルミナの含有量が96質量%より多い場合には、触媒性能が低下する傾向にあるため好ましくない。
シリカ−アルミナ−チタニア担体に担持される金属成分は、周期表第VIA族(IUPAC第6族)及び第VIII族(IUPAC第8族〜第10族)から選ばれる。ただし、少なくともモリブデンを含むことが必須である。
周期表第VIA族の金属成分としては、モリブデン以外にはタングステンを好適に使用することができ、周期表第VIII族の金属成分としては、コバルト、ニッケルが好適に使用される。
周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる金属成分の総含有量は、触媒基準で、酸化物として、1〜35質量%の範囲が好ましく、15〜30質量%の範囲が更に好ましい。このうち、周期表第VIA族の金属成分(モリブデン含む)の含有量は、酸化物として、好ましくは1〜30質量%の範囲、より好ましくは13〜24質量%の範囲にあることが望ましく、周期表第VIII族の金属成分の含有量は、酸化物として、好ましくは1〜10質量%の範囲、より好ましくは2〜6質量%の範囲にあることが望ましい。また、必須成分として含まれるモリブデンの含有量は、酸化物として、好ましくは1〜25質量%の範囲、より好ましくは10〜22質量%の範囲であることが望ましい。
本発明に用いられる水素化脱硫触媒に上記金属成分をシリカ−アルミナ−チタニア担体に担持させるにあたっては、金属成分をキレート剤あるいはさらにリン化合物と共に該担体に含有させることが重要である。
キレート剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、テトラエチレングリコール(TEG)などが使用でき、特に、クエン酸、リンゴ酸が好適に用いられる。キレート剤は、酸化モリブデンに対して、35〜75質量%含有されることが好ましく、55〜65質量%の範囲で含有されることがより好ましい。ここで、キレート剤の含有量が、酸化モリブデンに対し75質量%を超えると該金属成分を含有した含浸液の粘度が上がり、製造での含浸工程が困難になるため好ましくなく、35質量%未満だと含浸液の安定性が悪くなる上、触媒性能が低下する傾向にあるので好ましくない。
前記含浸液には、更に、リン化合物を含有することが好ましい。キレート剤、リン化合物は、慣用の手段(含浸法、浸漬法等)で該担体と接触させることができる。
リン化合物としては、好ましくは、オルトリン酸(以下、単に「リン酸」ともいう)、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸が用いられ、より好ましくは、オルトリン酸を用いることができる。
リン化合物は、酸化モリブデンに対して、酸化物換算で3〜25質量%含有されることが好ましく、5〜15質量%の範囲で含有されることがより好ましい。リン化合物の含有量が、酸化モリブデンに対して、25質量%を超えると予備硫化済み水素化脱硫触媒の性能が低下する傾向にあり、3質量%未満であると含浸液の安定性が悪くなり好ましくない。
なお、上記担体に、上記金属成分、キレート剤あるいはさらにリン化合物を含有させる方法は、特に限定されず、含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング法、初期湿潤法等)、イオン交換法等の公知の方法を用いることができる。ここで、含浸法とは、担体に活性金属を含む含浸液を含浸させた後、乾燥する方法である。含浸法では、金属成分とを同時に担持することが好ましい。別々に金属を担持すると、脱硫活性又は脱窒素活性が不充分になることがある。
次に、本発明で用いられる水素化脱硫触媒の製造方法について説明する。
本発明で用いられる水素化脱硫触媒の製造方法は、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液(以下、単に「混合水溶液」ともいう。)と、塩基性アルミニウム塩水溶液とを、pHが6.5〜9.5になるように混合して水和物を得る第1工程と、前記水和物を順次洗浄、成型、乾燥、及び焼成して担体を得る第2工程と、前記担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分(ただし、モリブデンを必須として含む)とキレート剤あるいはさらにリン化合物を含む含浸液を接触させる第3工程と、第3工程で含浸液と接触させた担体を乾燥して水素化脱硫触媒を得る第4工程とを有する。以下、それぞれの工程について説明する。
(第1工程)
まず、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液(これは酸性の水溶液である。)と、塩基性アルミニウム塩水溶液(これはアルカリ性の水溶液である。)とを、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.5〜7.5になるように混合して、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物を得る。
この工程では、(1)珪酸イオンを含む塩基性アルミニウム塩水溶液に、混合水溶液を添加する場合と、(2)珪酸イオンを含む混合水溶液に、塩基性アルミニウム塩水溶液を添加する場合とがある。
ここで、(1)の場合、塩基性アルミニウム塩水溶液に含有される珪酸イオンは、塩基性または中性のものが使用できる。塩基性の珪酸イオン源としては、珪酸ナトリウム等の水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。また、(2)の場合、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩水溶液の混合液に含有される珪酸イオンは、酸性または中性のものが使用できる。酸性の珪酸イオン源としては、珪酸等の水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。
塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等が好適に使用され、チタニウム鉱酸塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン等が例示され、特に硫酸チタンは安価であるので好適に使用される。
例えば、所定量の塩基性の珪酸イオンを含有する塩基性アルミニウム塩水溶液を攪拌機付きタンクに張り込み、通常40〜90℃、好ましくは50〜70℃に加温して保持し、この溶液の温度±5℃、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃に加温した所定量のチタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩水溶液の混合水溶液をpHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.5〜7.5になるように、通常5〜20分、好ましくは7〜15分で連続添加し沈殿を生成させ、水和物のスラリーを得る。ここで、塩基性アルミニウム塩水溶液への混合水溶液の添加は、時間が長くなると擬ベーマイトの他にバイヤライトやギブサイト等の好ましくない結晶物が生成することがあるので、15分以下が望ましく、13分以下がさらに望ましい。バイヤライトやギブサイトは、焼成した時に比表面積が低下するので、好ましくない。
(第2工程)
第1工程で得られた水和物のスラリーを、所望により熟成した後、洗浄して副生塩を除き、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物のスラリーを得る。得られた水和物のスラリーを、所望により更に加熱熟成した後、慣用の手段により、例えば、加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押出成型などにより所望の形状に成型し、通常70〜150℃、好ましくは90〜130℃で乾燥した後、更に400〜800℃、好ましくは450〜600℃で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間焼成して、シリカ、アルミナ及びチタニアを含むシリカ−アルミナ−チタニア担体を得る。
(第3工程)
得られたシリカ−アルミナ−チタニア担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれた少なくとも1種の金属成分(ただし、モリブデンを必須として含有する)、キレート剤あるいはさらにリン化合物を含む含浸液を上述したとおり、慣用の手段(含浸法、浸漬法など)で担体と接触させる。
金属成分の原料としては、例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト等が好適に使用される。
(第4工程)
第3工程で含浸液と接触させて得られる金属成分を担持した担体を、200℃以下、好ましくは110〜150℃で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間乾燥して水素化脱硫触媒を得る。
なお、200℃を超える温度で乾燥もしくは焼成を行なった場合には、キレート剤が熱分解を起こし、担持された金属成分が凝集するので好ましくない。
本発明の炭化水素油の水素化精製方法では、上記の水素化脱硫触媒を予備硫化処理し、触媒中のモリブデンが二硫化モリブデンの結晶となって担体上に層状に配設され、しかも、該二硫化モリブデンの結晶層は、該結晶層の面方向の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、好ましくは3.6nm以上、6.5nm以下、より好ましくは3.7nm以上、5.5nm以下であり、かつ、平均積層数が1.0を超え、1.9以下、好ましくは1.1nm以上、1.7nm以下、より好ましくは1.2nm以上、1.5nm以下となる予備硫化済み水素化脱硫触媒を得る必要がある。
ここで、二硫化モリブデン層の面方向の平均値長さが、3.5nm以下である場合では、二硫化モリブデンの結晶性が低下して担体との相互作用を受けやすくなり、7nmより大きい場合では、活性点の数が逆に少なくなるため、得られる予備硫化済み水素化脱硫触媒が高脱硫活性を示さない。また、二硫化モリブデン層の平均積層数が、1.9を超える場合には、二硫化モリブデンが高分散されていないため、充分な脱硫性能を示さない。
なお、二硫化モリブデンの結晶層の平均積層数及び平均値長さは以下の方法によって求められる値である。
予備硫化終了後、予備硫化済み水素化脱硫触媒を室温まで冷却し、窒素雰囲気下で保存する。この予備硫化済み水素化脱硫触媒の一部を、例えば、20メッシュ以下に粉砕し、得られた粉末の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を撮影する(図2参照)。
予備硫化済み水素化脱硫触媒中の二硫化モリブデンの結晶層の平均積層数は、得られたTEM写真から、例えば、20個、好ましくは50個、より好ましくは100個以上の二硫化モリブデン層について、それぞれの積層数Nを測定(図3参照)し、それらの平均値により算出する。
また、二硫化モリブデン層の長さは、平均積層数と同様にTEM写真から、それぞれの二硫化モリブデン層の長さLを測定し、それらの平均値により算出する。
本発明に係る予備硫化処理とは、上記水素化脱硫触媒と、炭化水素油及び硫化剤の混合油、或いは硫化水素とを、温度200〜400℃で接触させ、水素化脱硫触媒に含有される金属成分を硫化物の状態にする処理のことをいう。
より具体的には、(1)水素化脱硫触媒と、硫黄化合物を含む石油蒸留物(本発明における「炭化水素油」である。)及び硫化剤を混合した混合油とを、或いは、(2)水素化脱硫触媒と硫化水素とを、200〜400℃、好ましくは240〜340℃、常圧あるいはそれ以上の水素分圧の水素雰囲気下で接触させて、予備硫化処理を行い、予備硫化済み水素化脱硫触媒を得る。
ここで、予備硫化処理の温度が、200℃未満の場合には、担持金属の硫化度が低いため、脱硫活性が低下する傾向にあるので好ましくなく、また、400℃を超える場合には、二硫化モリブテンの結晶層の積層数が著しく増加し、脱硫活性が低下する傾向にあるので好ましくない。ここで、混合油を水素化脱硫触媒と接触させる場合には、初期の温度を常温から120℃の範囲にすることが好ましい。ここで、混合油を120℃を超えてから接触させるとキレート剤の効果が減少し、結果として脱硫活性が低下する傾向にある。
予備硫化処理に用いる硫化剤としては、特に限定されないが、二硫化炭素、硫化水素等に加えて、チオフェン、ジメチルサルファイド、ジメチルジスルフィド、ジオクチルポリスルフィド、ジアルキルペンタスルフィド、ジブチルポリスルフィド等の有機硫黄化合物及びそれらの混合物を挙げることができ、ジメチルサルファイド、ジメチルジスルフィド、二硫化炭素、硫化水素等が一般的に用いられる。
本発明の炭化水素油の水素化精製方法では、上記予備硫化済み水素化脱硫触媒を用いて水素雰囲気下で炭化水素油の水素化処理を行う。水素化処理は、特に限定されるものではないが、流通式固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。
本発明に用いられる炭化水素油としては、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油、又は直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油、又は接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解灯油、又は水素化分解軽油、コーカー等の熱分解装置から得られる熱分解灯油、又は熱分解軽油等が挙げられ、沸点が180〜390℃の留分を80容量%以上含んだ留分である。常圧蒸留装置で処理される油は特に限定されないが、石油系の原油、オイルサンド由来の合成原油、石炭液化油、ビチュメン改質油などを挙げることができる。
なお、ここでいう蒸留性状(沸点)の値は、JIS K2254「石油製品‐蒸留試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
本発明に係る炭化水素油の水素化精製方法は、以下の反応条件で行なわれることが好ましい。
水素分圧(反応圧力)は特に制限されないが、1〜12MPaであることが好ましい。反応圧力が1MPa未満では脱硫および脱窒素活性が著しく低下する傾向にあるため、1MPa以上が好ましく、3MPa以上がより好ましい。一方、反応圧力が12MPaを超えると水素消費が大きくなり運転コストが増加するので好ましくないため、12MPa以下が好ましく、10MPa以下がより好ましく、7MPa以下がさらに好ましい。
液空間速度は特に制限されないが、0.1〜4h−1であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2h−1である。液空間速度が0.1h−1未満では処理量が低いので生産性が低くなり実用的ではない。また、液空間速度が4h−1を超えると反応温度が高くなり、触媒劣化が速くなるので好ましくない。
水素/油比は特に制限されないが、80〜500NL/Lであることが好ましく、より好ましくは150〜350NL/Lである。水素/油比が80NL/L未満では脱硫率が低下するので好ましくない。また、500NL/Lを超えても脱硫活性に大きな変化がなく、運転コストが増加するだけなので好ましくない。
反応温度は特に制限されないが、250〜400℃であることが好ましく、より好ましくは300〜380℃である。反応温度が250℃未満では脱硫および脱窒素活性が著しく低下する傾向にあり実用的でない。また、反応温度が400℃を超えると触媒の劣化が著しくなり、触媒寿命が短くなるので好ましくない。
本発明に係る炭化水素油の水素化精製方法によって得られる生成油の硫黄分は、10質量ppm以下であることが好ましく、8質量ppm以下であることよりが好ましく、7質量ppm以下であることがさらに好ましい。また生成油の窒素分は3質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以下がより好ましい。本発明では、炭化水素油を上述の特定の水素化脱硫触媒を用いて水素化処理することにより、生成油の硫黄分濃度および窒素分を高度に低減することが可能となる。
なお、ここでいう硫黄分(硫黄分濃度)の値は、JIS K2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。また窒素分(窒素分濃度)の値は、JIS K2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
[触媒Aの調製]
容量が100Lのスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液8.16kgを入れ、イオン交換水41kgで希釈後、SiO濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩水溶液を作成した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.38kgを13kgのイオン交換水で希釈した酸性アルミニウム塩水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン1.82kgを10kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液とを混合し、60℃に加温して、混合水溶液を作成した。塩基性アルミニウム塩水溶液が入ったタンクに、ローラーポンプを用いて混合水溶液をpHが7.2となるまで一定速度で添加(添加時間:10分)し、シリカ、チタニア、及びアルミナを含有する水和物スラリーaを調製した。
得られた水和物スラリーaを攪拌しながら60℃で1時間熟成した後、平板フィルターを用いて脱水し、更に、0.3質量%アンモニア水溶液150Lで洗浄した。洗浄後のケーキ状のスラリーをAl濃度換算で10質量%となるようにイオン交換水で希釈した後、15質量%アンモニア水でpHを10.5に調整した。これを還流機付熟成タンクに移し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押出成型機にて直径が1.8mmの円柱形状に成型し、110℃で乾燥した。乾燥した成型品は電気炉で550℃の温度で3時間焼成し、担体aを得た。担体aは、シリカがSiO濃度換算で3質量%(担体基準)、チタニアがTiO濃度換算で20質量%(担体基準)、アルミニウムがAl濃度換算で77質量%(担体基準)含有されていた。
また、担体aを(株)リガク社製のX線回折装置RINT2100にて、X線回折分析を行った(以下の実施例についても同様である)。その結果を図3に示す。ここで、得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングし、ベースライン補正を行い2θ=25.5°に示されるアナターゼ型チタニア(101)面に帰属されるピークの半値幅を求め、この半値幅とベースラインからのピーク強度との積をアナターゼ型チタニア回折ピーク面積とした。同様に2θ=27.5°に示されるルチル型チタニア(110)面に帰属されるピークの半値幅を求め、この半値幅とベースラインからのピーク強度との積をルチル型チタニア回折ピーク面積とした。ここで、アナターゼ型チタニア回折ピーク面積とルチル型チタニア回折ピーク面積との合計の面積を、チタニア回折ピーク面積とした。なお、担体aにおいては、ルチル型チタニアのピークは検出されなかった。更に、2θ=45.9°に示されるγ−アルミナ(400)面に帰属されるピークの半値幅を求め、この半値幅とベースラインからのピーク強度との積をアルミナ回折ピーク面積とした。担体aは、アナターゼ型チタニア及びルチル型チタニアの結晶構造を示す回折ピーク面積が、アルミニウムに帰属される結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/8であった(チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積=1/8。以下同様)。
三酸化モリブデン232gと炭酸コバルト97gとを、イオン交換水500mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流措置を施して加熱した後、リンゴ酸145gを加えて溶解させ、含浸液aを作製した。この含浸液aを、担体a1000gに噴霧含浸させた後、110℃で1時間乾燥させて触媒Aを得た。触媒Aの金属成分は、MoOが18質量%(触媒基準)で、CoOが4.5質量%(触媒基準)であった。
[触媒Bの調製]
担体は実施例1と同様の担体aを用いた。三酸化モリブデン235gと炭酸コバルト98gとを、イオン交換水500mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流措置を施して加熱した後、リン酸21gとクエン酸147gを加えて溶解させ、含浸液bを作製した。この含浸液bを、担体a1000gに噴霧含浸させた後、110℃で1時間乾燥させて触媒Bを得た。触媒Bの金属成分は、MoOが18質量%(触媒基準)で、CoOが4.5質量%(触媒基準)で、Pが1.0質量%(触媒基準)であった。触媒Bの性状を表1に示す。
[触媒Cの調製]
担体は実施例1と同様の担体aを用いた。三酸化モリブデン235gと炭酸ニッケル107gとを、イオン交換水500mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流措置を施して加熱した後、リン酸21gとクエン酸147gを加えて溶解させ、含浸液cを作製した。この含浸液cを、担体a1000gに噴霧含浸させた後、110℃で1時間乾燥させて触媒Cを得た。触媒Cの金属成分は、MoOが18質量%(触媒基準)で、NiOが4.5質量%(触媒基準)で、Pが1.0質量%(触媒基準)あった。触媒Cの性状を表1に示す。
[触媒Dの調製]
Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液8.82kgを入れ、イオン交換水34kgで希釈後、SiO濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して作製した塩基性アルミニウム塩水溶液に、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液13.86kgを25kgのイオン交換水で希釈した酸性アルミニウム塩水溶液を、一定速度でpHが7.2となるまで添加して、水和物スラリーdを調製した点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、水和物スラリーdから担体dを調製した。担体dは、SiO濃度が3質量%(担体基準)、TiO濃度が0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl濃度換算で97質量%(担体基準)であった。
また、実施例1と同様にX線回折分析を行った結果(図示せず)、チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積は0であった。
更に、実施例1と同様にして、担体dと含浸液aから触媒Dを製造した。触媒Dは、MoOを18質量%(触媒基準)、CoOを4.5質量%(触媒基準)含有していた。表1に触媒Dの性状を示す。
[触媒Eの調製]
含浸液aにおいてリンゴ酸を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の担体aおよび調製方法により触媒Eを得た。触媒Eの性状を表1に示す。
[触媒Fの調製]
Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.09kgを入れ、イオン交換水47kgで希釈後、SiO濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して作製した塩基性アルミニウム塩水溶液に、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン4.09kgを23kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液を、一定速度でpHが7.2となるまで添加して、水和物スラリーfを調製した点が、実施例1と異なる。
実施例1と同様にして、水和物スラリーfから担体fを調製した。担体fは、SiO濃度が3質量%(担体基準)、TiO濃度が45質量%(担体基準)、アルミニウムがAl濃度換算で52質量%(担体基準)であった。
また、実施例1と同様にX線回折分析を行った結果(図示せず)、チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積は1/3であった。
更に、実施例1と同様にして、担体fと含浸液f(含浸液a中の三酸化モリブテン量を232gから256gに変更)から触媒Fを製造した。触媒Fは、MoOを20質量%(触媒基準)、CoOを4.5質量%(触媒基準)含有していた。表1に触媒Fの性状を示す。
[実施例1]
流通式固定床反応装置に触媒Aを200ml充填した。予備硫化は硫黄分2.0重量%に調整された直留軽油とジメチルジスルフィドの混合油を常温からフィードし、圧力5.0MPa、液空間速度2.0h−1、水素/油比200NL/Lの下、反応温度250℃で8時間、さらに320℃で5時間保持して終了した。
日立製作所社製の透過型電子顕微鏡装置H−800により、予備硫化処理後の触媒A(予備硫化済み水素化脱硫触媒A)のTEM写真を撮影し、得られたTEM写真から、50個の二硫化モリブデン層を観察し、各二硫化モリブデン層にについてそれぞれ積層数及び長さを測定し、平均積層数及び平均値長さを算出した。(以下の実施例についても同様である)。二硫化モリブデンの積層数Nや長さLの規定については図3に示す。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.3、平均値長さは4.4nmであった。
予備硫化後、原料油を直留軽油(沸点220〜385℃、硫黄分1.27質量%)に切り替え、圧力6.0MPa、液空間速度1.5h−1、水素/油比200NL/L、反応温度340℃にて触媒の脱硫活性評価(水素化精製実験)を実施した。生成油の硫黄分を表1に示す。
[実施例2]
触媒Aの代わりに触媒Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.3、平均値長さは4.3nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[実施例3]
触媒Aの代わりに触媒Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.3、平均値長さは3.7nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例1]
触媒Aの代わりに触媒Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.2、平均値長さは4.7nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例2]
触媒Aの代わりに触媒Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は2.8、平均値長さは7.2nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例3]
触媒Aの代わりに触媒Fを用いたこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.8、平均値長さは7.1nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例4]
予備硫化において320℃で5時間保持する代わりに、410℃で5時間保持したこと以外は、実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は3.8、平均値長さは4.5nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[実施例4]
脱硫活性評価において圧力3.7MPa、液空間速度0.5h−1、水素/油比180NL/L、反応温度320℃としたこと以外は実施例1と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.3、平均値長さは4.4nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例5]
触媒Fを使用したこと以外は、実施例4と同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.8、平均値長さは7.1nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[実施例5]
脱硫活性評価の原料油に直留軽油80重量%と流動接触分解軽油(沸点170〜360℃、硫黄分0.19質量%)20重量%の混合油(硫黄分1.05重量%)を用いたこと以外は、実施例4同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.3、平均値長さは4.4nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例6]
触媒Dを用いたこと以外は、実施例5同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.2、平均値長さは4.7nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例7]
触媒Eを用いたこと以外は、実施例5同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は2.8、平均値長さは7.2nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
[比較例8]
触媒Fを用いたこと以外は、実施例5同様の予備硫化および脱硫活性評価を実施した。予備硫化済み水素化脱硫触媒の二硫化モリブデンの平均積層数は1.8、平均値長さは7.1nmであった。生成油の硫黄分を表1に示す。
表1の結果より、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/4以下であるシリカ−アルミナ−チタニア担体に、周期表第VIA族、及び第VIII族から選ばれた少なくとも1種の金属成分をキレート剤と共に担持し、さらに予備硫化処理を施された水素化精製用触媒の二硫化モリブテン層の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、かつ、平均積層数が1.0を超え、1.9以下であることを特徴した水素化精製触媒を用いることで高い脱硫活性を得ることが出来る。
本発明の方法により、炭化水素油を高度に水素化精製することができるため産業上きわめて有用である。

Claims (6)

  1. シリカ、アルミナおよびチタニアを含有する担体と該担体に担持された周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分(ただし、モリブデンを必須として含有する)とを有し、
    前記担体は、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積(チタニア回折ピーク面積)が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積(アルミナ回折ピーク面積)に対して1/4以下であり、シリカの含有量がSiO として1〜10質量%、チタニアの含有量がTiO として15〜35質量%、アルミナの含有量がAl として55〜84質量%であり、
    前記金属成分がキレート剤あるいはさらにリン化合物と共に担体に含有された水素化脱硫触媒aを得、
    前記水素化脱硫触媒aを予備硫化処理することによって、前記モリブデンが二硫化モリブデンの結晶となって担体上に層状に配設され、しかも、該二硫化モリブデンの結晶層は、該結晶層の面方向の平均値長さが3.5nmを超え、7nm以下、かつ、平均積層数が1.0を超え、1.9以下となる予備硫化処理された水素化脱硫触媒とし、
    該予備硫化処理された水素化脱硫触媒を用いて水素雰囲気下で炭化水素油を水素化処理することを特徴とする炭化水素油の水素化精製方法。
  2. 前記金属成分は、触媒基準で、酸化物として1〜35質量%の範囲にあり、前記モリブデンは、触媒基準で、MoOとして1〜25質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
  3. 前記炭化水素油が、直留軽油、減圧軽油、接触分解軽油、水素化分解軽油、および熱分解軽油から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
  4. 前記キレート剤がクエン酸又はリンゴ酸であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
  5. 前記炭化水素油の水素化処理によって得られる生成油の硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ窒素分が3質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
  6. 反応圧力が1〜12MPa、液空間速度が0.1〜4.0h−1、水素/油比が80〜500NL/L、反応温度が250〜400℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の炭化水素の水素化精製方法。
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