JP5610313B2 - 光学的観察用チャンバー及び試料の光学的観察方法、並びに下側透明板の製造方法 - Google Patents

光学的観察用チャンバー及び試料の光学的観察方法、並びに下側透明板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、顕微鏡などの光学的観察手段を用いて試料を観察する際に、試料を保持させるのに適した光学的観察用チャンバーと、この光学的観察用チャンバーを用いて行う試料の光学的観察方法と、光学的観察用チャンバーにおける下側透明板を製造するための下側透明板の製造方法とに関する。
近年、豚や牛を始めとする各種の家畜において、人工授精による品質改良が盛んに行われるようになってきている。人工授精による家畜の品質改良は、優良な家畜の精液を選択的に使用することにより、家畜の改良増進を図るものである。このため、品質改良に供される人工授精用の精液は、市場に流通するよりも前に、その品質検査が行われている。この品質検査における精液の評価基準は様々であるが、重要な評価基準の一つとして、精液に含まれる精子の運動性が挙げられる。精液の運動性を評価するための装置や方法も、各種のものが提案されている。
例えば、精液が入れられる精液受容部(チャンバー)内における対向位置に光源と光センサを配した精子活性度評価器が知られている(特許文献1)。この精子活性度評価器は、微弱な光を光源から精液に照射し、その際の散乱光を光センサで検知することにより、精液に含まれる精子の活性度を測定するものとなっている。しかし、この精子活性度評価器では、近似的な精子の数や、多数の精子の全体としての活性度が分かるだけであり、個々の精子の運動性を知ることができない。
このため、人工授精用の精液の評価においては、顕微鏡によって精液を観察し、それに含まれる個々の精子の運動を評価することが今でも一般的に行われている。しかし、プレパラートを用いた観察では、スライドガラスとカバーガラスの隙間から精液の水分が蒸発していくため、精液を長時間観察できないという欠点があった。このような問題を解決できるものとして、特許文献2には、カバーガラスの片面における周辺部と、試料保持領域を備えた下部材(スライドガラスなど)との間をシーリング材で接着したプレパラートが提案されている。特許文献2には、前記シーリング材として、細胞などに対する影響の少ないシロキサン結合を主鎖とする高分子溶液(シリコーンアルコール溶液)が好ましい点も記載されている。
特許文献2のプレパラートは、試料(細胞など)の蒸発を防ぐことはできるものの、精液を試料として用いた場合には、それに含まれる精子の運動性を正当に評価することができないという欠点があった。というのも、精子は、スライドガラスやカバーガラスに吸着されやすく、この吸着によってその運動が阻害されてしまうからである。
また、顕微鏡による精液の観察では、専用のチャンバー(米国のダイアグノスティクス社製の「マクラーカウンティングチャンバー」(非特許文献1)が有名)に精液を入れることも行われている。しかし、この種のチャンバーも、ガラスや樹脂といった、精子を吸着しやすい素材で形成されていることには変わらず、精子の運動性を正当に評価できないことに関しては、プレパラートを用いた場合と同様であった。加えて、専用のチャンバーは高価で入手しにくいという欠点もあった。
このような実状に鑑みてか、これまでには、スライドガラスやカバーガラスの表面に、ウシ血清アルブミンなど、精子が吸着しにくい蛋白質を塗布することも行われている。これにより、スライドガラスやカバーガラスに精子が吸着しないようにすることができるので、精子の運動が前記観察部品に阻害されなくなるという利点がある。しかし、スライドガラスやカバーガラスの表面に蛋白質を均一に塗布することは必ずしも容易ではなく、場所によってむらが生じやすかった。このため、このむらが観察像を不鮮明なものとし、精子の運動性の評価に悪影響を及ぼすおそれがあった。
ところで、特許文献3には、チャンバーの下面にシリコーン膜を配し、そのシリコーン膜の上に細胞を載せて観察するようにした顕微鏡用細胞観察装置が記載されている。しかし、特許文献3には、試料として精液を採用することや、試料の蒸発を防ぐための工夫については何ら記載されていない。また仮に、特許文献3の顕微鏡用細胞観察装置のチャンバーに精液を入れて該チャンバーの上面に蓋をし、精液の蒸発を防いだとしても、その蓋で精液を薄く引き伸ばすことができないため、精液の厚さが場所によって不均一になってしまう。したがって、多数の精子が上下に重なったり、顕微鏡の焦点が合わないことなどにより、個々の精子の運動性を正確に評価することができないといった不具合が生じるおそれもある。
特開2007-017417号公報 特開2004-229548号公報 特開2009-025630号公報
"MAKLER COUNTING CHAMBER"、[Online]、MidAtlantic DIAGNOSTICS,INC.、[平成21年6月11日検索]、インターネット<http://www.midatlanticdiagnostics.com/documentation/pdf/makler/MaklerCountingChamber.pdf>
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、それに入れた試料が蒸発しにくいだけでなく、試料が吸着しにくく、試料の運動性などをより正確に評価することのできる光学的観察用チャンバーを提供するものである。特に、精液に含まれる精子など、ガラスやプラスチックに吸着しやすい物質を含む試料の光学的観察を行う際に好適に使用することのできる光学的観察用チャンバーを提供することを目的とする。また、簡素な構造で製造が容易であり、低価格で入手でき、取り扱いも容易な光学的観察用チャンバーを提供することも本発明の目的である。さらに、この光学的観察用チャンバーを用いて行う試料の観察方法を提供することも本発明の目的である。さらにまた、この光学的観察用チャンバーにおける下側透明板を容易に製造するための下側透明板の製造方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、試料を載せるための下側透明板と、試料の上側に被せるための上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーであって、下側透明板が可撓性を有する素材によって形成され、下側透明板の中央部に試料を載せて上側透明板を試料に被せた際に、下側透明板の中央部が自重及び試料の重さによって窪み、その状態で下側透明板の周縁部が上側透明板に接触することにより、上側透明板と下側透明板とで試料を密封できるようにしたことを特徴とする光学的観察用チャンバーを提供することによって解決される。
これにより、上側透明板と下側透明板という2つの単純な部材のみで、試料を密封することが可能になる。したがって、製造が容易で低価格で入手でき、取り扱いが容易でありながらも、試料が蒸発しにくく、精液などの蒸発しやすい試料であっても長時間観察することのできる光学的観察用チャンバーを提供することが可能になる。本発明の光学的観察用チャンバーにおいて、上側透明板は、特に可撓性を要求されないが、この上側透明板も、可撓性を有する素材によって形成すると好ましい。これにより、上側透明板と下側透明板の密封性をさらに高めることが可能になる。
また、本発明の光学的観察用チャンバーにおいて、下側透明板の下面における周縁部から下方に突出して脚部を設け、下側透明板に試料を載せた際に、下側透明板の自重及び試料の重量によって下側透明板の中央部が押し下げられるようにすると好ましい。このように、下側透明板の中央部が沈み込むようにすることで、試料に被せる上側透明板の撓み量を大きく確保できない場合であっても、上側透明板と下側透明板とで試料を好適に密封することが可能になる。
このとき、下側透明板の平面視形状は、特に限定されない。しかし、下側透明板の平面視形状は、長方形や楕円形など、ある一の方向における長さと、該一の方向に直交する他の方向の長さとが異なる形状とし、前記脚部を下側透明板の周縁部に沿って設けると好ましい。例えば、下側透明板を平面視略矩形状とし、前記脚部を下側透明板の周縁部に沿って平面視略矩形状に設けた場合などが該当する。これにより、下側透明板における試料を保持させる空間(試料保持領域)に異方性を持たせることが可能になる。したがって、後述するように、試料に含まれる精子の移動する方向などを操作しやすくして、精子の運動性の評価をより容易に行うことも可能になる。
本発明の光学的観察用チャンバーにおいて、上側透明板や下側透明板の素材は、透明で可撓性を有するものであれば特に限定されない。しかし、上側透明板や下側透明板を撥水性に乏しい素材で形成してしまうと、上側透明板や下側透明板に試料(運動精子など)が吸着されやすくなり、観察対象の運動性などを正確に観察できなくなるおそれがある。このため、上側透明板及び/又は下側透明板は、水接触角70°以上の素材によって形成すると好ましい。上側透明板及び/又は下側透明板の水接触角は、80°以上であるとより好ましく、90°以上であるとさらに好ましい。
上側透明板や下側透明板には、このように撥水性に優れた各種の素材を使用することができる。しかし、精子や細胞などの生体(運動性物質)が試料に含まれる場合には、上側透明板や下側透明板には、撥水性だけでなく、それらの生体に害を与えない素材であることが要求される。このような素材としては、具体的に、シロキサン結合による主骨格を持つシリコーンエラストマーなどが例示される。シリコーンエラストマーは、透明で可撓性を有していることに加えて、撥水性に優れて精子などを吸着せず、さらに精子などに害を及ぼす心配もないので、上側透明板や下側透明板の素材として好適に用いることができる。
ところで、上記課題は、下側透明板と上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーに試料を挟んだ状態で該試料を光学的観察手段によって観察する試料の光学的観察方法であって、可撓性を有する素材によって形成した上側透明板を試料に被せて、上側透明板の周縁部を自重によって垂れ下がらせて下側透明板に接触させることにより、上側透明板と下側透明板とで試料を密封した状態で試料を観察することを特徴とする試料の光学的観察方法を提供することによっても解決される。この光学的観察方法は、上述した本発明の光学的観察用チャンバーを用いて好適に行うことができる。
また、上記課題は、試料を載せるための下側透明板と、試料の上側に被せるための上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーにおける下側透明板の製造方法であって、脚部形成用凹部が設けられた下側透明板成形用型枠に透明な熱硬化性樹脂を未硬化の状態で流し込んだ後、熱硬化性樹脂を下側透明板成形用型枠とともに加熱して硬化させることにより、脚部形成用凹部で下側透明板の下面における周縁部から下方に突出した脚部を形成することを特徴とする下側透明板の製造方法を提供することによっても解決される。これにより、上述した本発明の光学的観察用チャンバーにおける下側透明板を容易かつ低コストで製造することが可能になる。また、下側透明板を大量生産することも容易となる。
下側透明板成形用型枠は、それに設けられた脚部形成用凹部によって、下側透明板の下面における周縁部から下方へ突出した脚部を形成できるものであれば特に限定されない。しかし、下側透明板成形用型枠として、その脚部形成用凹部の底部に複数本の微細な溝が形成されたものを用いると好ましい。これにより、硬化後の熱硬化性樹脂(下側透明板)を下側透明板成形用型枠から剥がしやすくすることが可能になる。したがって、下側透明板の製造方法をより大量生産に適したものとすることが可能になる。また、下側透明板を下側透明板成形用型枠から剥がす際に下側透明板が破れにくくなるので、歩留まりを向上することも可能になる。
以上のように、本発明によって、それに入れた試料が蒸発しにくいだけでなく、試料が吸着しにくく、試料の運動性などをより正確に評価することのできる光学的観察用チャンバーを提供することが可能になる。この本発明の光学的観察用チャンバーは、特に、精液に含まれる精子など、ガラスやプラスチックに吸着しやすい物質を含む試料の光学的観察を行う際に好適に使用することができる。また、簡素な構造で製造が容易であり、低価格で入手でき、取り扱いも容易である。さらに、本発明の光学的観察用チャンバーを用いて行う試料の観察方法を提供することも可能になる。さらにまた、この光学的観察用チャンバーにおける下側透明板を容易に製造するための下側透明板の製造方法を提供することも可能になる。
本発明の光学的観察用チャンバーにおける下側透明板と上側透明板とを分離した状態を示した斜視図である。 本発明の光学的観察用チャンバーにおける下側透明板を裏返した状態を示した斜視図である。 本発明の光学的観察用チャンバーに試料を密封している途中の状態を示した斜視図である。 本発明の光学的観察用チャンバーに試料を密封した状態を中心部で切断した状態を模式的に示した断面図である。 比較例のプレパラートを作製してから15分経過後の精子運動解析装置の解析画像を撮影した写真である。 実施例のプレパラートを作製してから15分経過後の精子運動解析装置の解析画像を撮影した写真である。 運動性物質の移動経路線から精子の直進速度と頭部振幅を求めるアルゴリズムを説明する図である。 比較例のプレパラートを作製した直後における試料中の運動性物質の直進速度の分布(折れ線A)と、比較例のプレパラートを作製してから15分経過後における試料中の運動性物質の直進速度の分布(折れ線B)と、実施例のプレパラートを作製してから15分経過後における試料中の運動性物質の直進速度の分布(折れ線C)と、をそれぞれ示したグラフである。 比較例のプレパラートを作製した直後における試料中の運動性物質の頭部振幅の分布(折れ線D)と、比較例のプレパラートを作製してから15分経過後における試料中の運動性物質の頭部振幅の分布(折れ線E)と、実施例のプレパラートを作製してから15分経過後における試料中の運動性物質の頭部振幅の分布(折れ線F)と、をそれぞれ示したグラフである。 本発明の光学的観察用チャンバーを構成する下側透明板を成形する際に用いる下側透明板成形用型枠を示した斜視図である。 下側透明板成形用型枠の脚部形成用凹部の底部に設けられた微細な溝を該溝に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。
本発明の光学的観察用チャンバーの好適な実施態様について、図面を用いてより詳しく説明する。図1は、本発明の光学的観察用チャンバー10における下側透明板11と上側透明板12とを分離した状態を示した斜視図である。図2は、本発明の光学的観察用チャンバー10における下側透明板11を裏返した状態を示した斜視図である。図3は、本発明の光学的観察用チャンバー10に試料20を密封している途中の状態を示した斜視図である。図4は、本発明の光学的観察用チャンバー10に試料20を密封した状態を中心部で切断した状態を模式的に示した断面図である。
本実施態様の光学的観察用チャンバー10は、図1に示すように、試料20を載せるための下側透明板11と、試料20の上側に被せるための上側透明板12とを備えたものとなっている。下側透明板11と上側透明板12はいずれも、可撓性を有する素材によって形成されている。
下側透明板11と上側透明板12の素材は、透明性と可撓性を兼ね備えたものであれば特に限定されない。下側透明板11と上側透明板12の素材は、試料20の種類に応じて適宜決定される。本実施態様の光学的観察用チャンバー10は、試料20として精液を想定したものとなっており、下側透明板11と上側透明板12は、シロキサン結合による主骨格を持つシリコーンエラストマーで形成されたものとなっている。このため、下側透明板11と上側透明板12は、透明性と可撓性に優れているだけでなく、撥水性にも優れ、精子などの運動性物質(ガラスには吸着するガラス吸着性物質)を吸着しにくいものとなっている。また、精子などの生体にも無害なものとなっている。
下側透明板11や上側透明板12を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
[1] ポリアルキルアルケニルシロキサンと白金化合物からなる混合液(例えば、ジーイー東芝シリコーン株式会社製のTSE3032(A液))とポリアルキルアルケニルシロキサン及びポリアルキル水素シロキサンからなる混合液(例えば、ジーイー東芝シリコーン株式会社製TSE3032(B液))とを所定の比率(例えば10対1)で混合する。
[2] 上記[1]で得られた混合液を真空デシケータ内で脱泡する。
[3] 上記[2]で脱泡された混合液をスピンコーター(例えば、ミカサ株式会社製のOpticoat MS−A100)を使用して薄膜にする。
[4] 上記[3]で得られた薄膜に上から型枠を接着させた後、オーブンに入れて、所定温度(例えば70℃)で所定時間(例えば1時間)加熱して硬化させる。
[5] 上記[4]で硬化した薄膜を所定寸法に切断する。
この方法は、非常に容易に下側透明板11と上側透明板12を成形できるという利点がある。
また、上記[3]以降の工程を、
[3’] 上記[2]で脱泡された混合液を、鏡面加工が施された型枠に流し込む。
[4’] 上記[3’]で混合液が流し込まれた型枠をオーブンに入れて、所定温度(例えば70℃)で所定時間(例えば1時間)加熱して硬化させる。
[5’] 上記[4’]で硬化して薄膜状となった混合液を型枠から剥がし取る。
という工程で差し替えても、下側透明板11や上側透明板12を成形することができる。この方法は、後述するように、下側透明板11に脚部11aがあるなど、下側透明板11や上側透明板12が複雑な形状を有する場合にも好適に使用できる。また、上記[3’]で使用する型枠として、血球計算盤を使用すれば、下側透明板11や上側透明板12に血球計算盤の目盛りを転写することができ、後述する精子運動解析装置などを使用しなくても、精子の運動を解析することができるようになるという利点もある。
本実施態様の光学的観察用チャンバー10において、下側透明板11は、上記[3’]における型枠として、図10と図11に示す下側透明板成形用型枠100を用いて成形している。図10は、本発明の光学的観察用チャンバー10を構成する下側透明板11を成形する際に用いる下側透明板成形用型枠100を示した斜視図である。図11は、下側透明板成形用型枠100の脚部形成用凹部110の底部に設けられた微細な溝111を溝111に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。この下側透明板成形用型枠100は、図10に示すように、盤状のものとなっており、その片面に、下側透明板11(図2を参照。)における下面の周縁部に脚部11aを形成するための脚部形成用凹部110と、下側透明板11における下面の中央部11bに窪みを形成するための中央部形成用凸部120と、下側透明板成形用型枠100の外周部を囲う枠部130とが設けられたものとなっている。本実施態様の下側透明板成形用型枠100において、脚部形成用凹部110は格子状に設けられており、格子状の脚部形成用凹部110によって区切られた部分が中央部形成用凸部120となっている。脚部形成用凹部110は、縦方向に平行に5本、横方向に平行に5本、溝状に設けられており、中央部形成用凸部120は、平面視矩形のものが4行4列に形成されており、一つの下側透明板成形用型枠100で一度に16個の下側透明板11を成形できるようになっているが、この態様に限定されるものでなく、溝状の脚部形成用凹部110の本数や、形成される中央部形成用凸部120の個数は、適宜変更することができる。
下側透明板成形用型枠100は、未硬化の熱硬化性樹脂を成形できるものであれば、特に限定されないが、金属板の片面に切削加工(フライス加工など)を施すことにより、脚部形成用凹部110となる溝を形成したものを採用すると好ましい。この場合、切削された溝の底部には、フライス加工機などの切削装置における回転切削刃が切削する際に形成される多数本の微細溝が形成されるが、鏡面加工などを施すことなく、削り出したままの状態としておくと好ましい。このように、溝の底部に多数の微細溝を残しておくことにより、熱硬化性樹脂と下側透明板成形用型枠100の接触面積を減らし、下側透明板11の脚部11aの底面を下側透明板成形用型枠100に貼り付きにくくすることができるので、硬化後の下側透明板11を下側透明板成形用型枠100から剥がしやすくすることができる。本実施態様の下側透明板成形用型枠100も、図10に示すように、脚部形成用凹部110の底部に、回転切削刃が脚部形成用凹部110を切削した際に形成された多数の微細溝111が残ったままの状態のものを使用している。
下側透明板成形用型枠100の脚部形成用凹部110の底部に形成する微細溝111のピッチP(微細溝111の隣り合う山部111aの間隔。図11を参照。)や高さ(深さ)H(微細溝111の谷部111bから山部111aの高さ。図11を参照。)は、特に限定されない。ピッチPや高さHは、回転切削刃の形状や送り速度を変えることにより、変更することができる。しかし、微細溝111のピッチPを狭くするのは限界があるため、ピッチPは、通常、0.55μm以上とされる。ピッチPは、1μm以上であると好ましく、2μm以上であるとより好ましい。一方、ピッチPを広くしすぎると、未硬化の熱硬化性樹脂が微細溝111の谷部111bに入りこむようになり、逆に、硬化後の下側透明板11を下側透明板成形用型枠100から剥がしにくくなるおそれがある。このため、ピッチPは、通常、100μm以下とされる。ピッチPは、50μm以下であると好ましく、20μm以下であるとより好ましい。また、微細溝111の高さHを低くしすぎると、未硬化の熱硬化性樹脂が微細溝111の谷部111bに入りこむようになり、やはり、硬化後の下側透明板11を下側透明板成形用型枠100から剥がしにくくなるおそれがある。このため、高さHは、通常、0.5μm以上とされる。高さHは、1μm以上であると好ましく、2μm以上であるとより好ましい。一方、高さHを高くしすぎると、微細溝111の山部111aが強度的に脆弱になるおそれがある。このため、高さHは、通常、100μm以下とされる。高さHは、50μm以下であると好ましく、20μm以下であるとより好ましい。
下側透明板11や上側透明板12の形状は、特に限定されない。本実施態様の光学的観察用チャンバー10においては、図1に示すように、下側透明板11と上側透明板12は、いずれも略矩形の板状体となっている。このうち、上側透明板12は、その上下面が平坦に形成されているものの、下側透明板10は、図2に示すように、その下面の周縁部に他の部分よりも突き出た脚部11aが設けられている。脚部11aは、略矩形状の下側透明板11の四辺部の全周に沿って環状に設けられている。これにより、下側透明板11と上側透明板12とで試料20をより密封しやすくすることが可能となっている。すなわち、図4に示すように、下側透明板11の中央部11bに試料20を載せた際に、下側透明板11の中央部11bが、その自重及び試料20の重さによって下側に窪みやすくなるため、下側透明板11の周縁部と上側透明板12の周縁部とが密着しやすくなる。試料20の上側に被せられた上側透明板12は、試料20の上面形状に沿って撓む。
この際、試料20が厚く、試料20の最も高い点が下側透明板11の周縁部よりも高く突き出た状態となっている場合には、図4に示すように、上側透明板12は、その周縁部が垂れ下がって下側透明板11の周縁部に密着する。逆に、試料20が薄く、試料20における最も高い点が下側透明板11の周縁部よりも低くなっている場合には、上側透明板12の中央部が下方へ窪み、上側透明板12の周縁部が高くなった状態で下側透明板11の周縁部に密着する。いずれの場合も、下側透明板11の周縁部と上側透明板12の周縁部は、密着した状態となり、それに密封された試料20が蒸発するのを防ぐことができる。
また、下側透明板11と上側透明板12を略矩形状としたことによって、試料20に含まれる運動性物質(精子など)の移動する方向を操作しやすくして、精子の運動性の評価をより容易に行うことも可能になる。すなわち、図3に示すように、試料20に対して上側透明板12をx軸負側からx軸正側へ被せていくと、試料20に含まれる精子はx軸負側からx軸正側へ移動するものが多くなるのであるが、下側透明板11を略矩形状とし、その長軸方向が上側透明板12を被せる方向と一致するようにすることによって、精子の運動を長時間観察することができるようになる。
下側透明板11と上側透明板12の各辺の長さは、試料20の種類や、使用する顕微鏡の種類などによっても異なり、特に限定されないが、通常、その一辺が5〜50mm、好ましくは10〜30mm程度とされる。また、下側透明板11と上側透明板12の厚さは、それを形成する素材によっても異なり、その透明性や可撓性を阻害しない程度であれば特に限定されないが、通常、10μm〜2mm、好ましくは50μm〜1mm、より好ましくは、100〜500μm、さらに好ましくは150〜300μmとされる。本実施態様の光学的観察用チャンバー10において、下側透明板11と上側透明板12はいずれも、縦の長さ(図1のy軸方向の長さ)が15mm、横の長さ(図1のx軸方向の長さ)が10mmで、その厚さ(下側透明板11にあってはその中央部11bの厚さ)は約200μmとなっている。
下側透明板11における中央部11bの凹み(観察部)の寸法も、特に限定されないが、小さくしすぎると、試料20を狭い範囲でしか観察できなくなる。このため、下側透明板11における観察部の短辺の長さは、通常、2mm以上とされる。観察部の短辺の長さは、5mm以上であると好ましく、7mm以上であるとより好ましい。同様の理由で、観察部の長辺の長さは、通常、5mm以上とされる。観察部の長辺の長さは、6mm以上であると好ましく、7mm以上であるとより好ましい。一方、観察部の寸法を大きくしすぎると、使用する熱可塑性樹脂の量が多くなり経済的でないばかりか、下側透明板11の当該部分が破れやすくなるなどの不具合が生じるおそれもある。加えて、試料20の観察のしやすさに関しても大きなメリットはなくなる。このため、観察部の短辺の長さは、通常、20mm以下とされる。観察部の短辺の長さは、15mm以下であると好ましく、10mm以下であるとより好ましい。同様の理由で、観察部の長辺の長さは、通常、40mm以下とされる。観察部の長辺の長さは、30mm以下であると好ましく、20mm以下であるとより好ましい。
下側透明板11における中央部11bの凹み(観察部)の短辺の長さ(Lとする。)に対する長辺の長さ(Lとする。)の比(L/L)は、1よりも大きければ特に限定されない。しかし、上述したように精子の運動を操作するためには、比(L/L)は、1.2以上とすると好ましい。比(L/L)は、1.5以上であるとより好ましく、1.7以上であるとさらに好ましい。一方、比(L/L)を大きくしすぎてもあまり意味がない。このため、比(L/L)は、通常、10以下とされる。比(L/L)は、5以下であると好ましく、3以下であるとより好ましい。本実施態様の光学的観察用チャンバー10において、下側透明板11における観察部の短辺の長さは5mm、比(L/L)は2となっている。
下側透明板11における脚部11aの高さは、下側透明板11の寸法などによっても異なり、特に限定されない。しかし、脚部11aを低くしすぎると、脚部11aを設けた意義がなくなってしまう。このため、脚部11aの高さは、通常、50μm以上とされる。脚部11aの高さは、100μm以上であると好ましく、150μm以上であるとより好ましい。一方、脚部11aが高すぎると、下側透明板11が歪な形に変形しやすくなるおそれがある。また、下側透明板11の設置安定性が悪くなるおそれがある。このため、脚部11aの高さは、通常、1mm以下とされる。脚部11aの高さは、500μm以下であると好ましく、300μm以下であるとより好ましい。本実施態様の光学的観察用チャンバー10において、脚部11aの高さは、約200μmとなっている。
また、下側透明板11と上側透明板12とで挟んだ際の試料20の厚さ(最も厚い部分の厚さ。以下同じ。)も肝要である。というのも、試料20が薄くなりすぎると、試料20が存在しない場所ができて観察を適切に行えなくなるおそれがある。このため、試料20の厚さは、通常、5μm以上とされる。試料20の厚さは、50μm以上であると好ましく、100μm以上であるとより好ましい。一方、試料20が厚くなりすぎると、使用する顕微鏡などの光学的観察手段の被写界深度を超えた場所にも試料20が存在するようになり、観察画像が不鮮明になるおそれがある。このため、試料20の厚さは、通常、1mm以下とされる。試料20の厚さは、700μm以下であると好ましく、500μm以下であるとより好ましい。
続いて、本発明の光学的観察用チャンバーの効果を調べるために、スライドガラスとカバーガラスに試料を挟んで作製したプレパラート(比較例)と、本発明の光学的観察用チャンバーに試料を密封して作製したプレパラート(実施例)とを用いて、前記試料に含まれる各運動性物質の運動性を評価する実験を行った。比較例のプレパラートにおけるスライドガラスとカバーガラスの水接触角は、約30°である。一方、実施例のプレパラートにおける本発明の光学的観察用チャンバーの下側透明板と上側透明板の水接触角は、約100°である。また、比較例と実施例のいずれの場合においても、ポリビニルアルコール(PVA)を含有するHEPES−緩衝タイロードの乳酸(TL−HEPES)培養液で5倍に希釈した豚の精液(2μL)を試料として用いた。したがって、ここでいう「運動性物質」とは「豚の精子」のことである。
本実験においては、比較例のプレパラートと実施例のプレパラートのそれぞれが精子(運動性物質)の直進速度と頭部振幅にどのような影響を及ぼすかについて調べてみた。精子の直進速度及び頭部振幅は、比較例と実施例のそれぞれのプレパラートを顕微鏡のステージ上のスライドガラス30(図4の符号30)に載せ、該顕微鏡の観察画像を、精子運動解析装置(Sperm Motility Analysis System:SMAS)で解析することにより求めた。顕微鏡は、正立顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社製の生物顕微鏡CX41)を用いてもよいが、ここでは、倒立顕微鏡(株式会社ニコン製のエクリプス)を用いた。精子運動解析装置は、加賀電子株式会社製のものを用いた。倒立顕微鏡のレンズには、株式会社ニコン製の10倍対物レンズ(品名:BM10×A)を使用した。スライドガラスには、松浪硝子工業株式会社製のものを用いた。
図5は、比較例のプレパラートを作製してから15分経過後の精子運動解析装置の解析画像を撮影した写真である。図6は、実施例のプレパラートを作製してから15分経過後の精子運動解析装置の解析画像を撮影した写真である。図5と図6においては、当該解析画像が撮影された直前の1秒間に亘る各精子の運動軌跡が線で示されてある。以下においては、精子の運動軌跡を表すこの線のことを「移動経路線」と呼ぶ。
図7は、精子(運動性物質)の移動経路線から精子の直進速度と頭部振幅を求めるアルゴリズムを説明する図である。精子の直進速度は、図7に示すように、精子の移動経路線の始点と終点とを結ぶ線分(直進経路)の長さを求め、該直進経路の長さを、精子が前記始点から終点に至るまでに要した時間(本実験においては最大1秒間)で序することによって求める。この方法によって、各精子の直進速度を求め、その分布を求めた。また、精子の頭部振幅は、図7に示すように、移動経路線の包絡線の間隔を測定することにより求めた。この方法によって、各精子の頭部振幅を求め、その分布を求めた。
図8は、
比較例のプレパラートを作製した直後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の直進速度の分布(折れ線A)と、
比較例のプレパラートを作製してから15分経過後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の直進速度の分布(折れ線B)と、
実施例のプレパラートを作製してから15分経過後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の直進速度の分布(折れ線C)と、
をそれぞれ示したグラフである。このうち、折れ線Aの直進速度の分布は、プレパラートを作製した直後において、上述した方法と同様の方法で精子の直進速度を求めることにより得たものである。
図8の折れ線Aを見ると、直進速度が5μm/s未満の精子が約2%、直進速度が5〜10μm/s未満の精子が約4%と、直進速度の遅い精子が非常に少ないことが分かる。折れ線Aにおいては、直進速度が10〜15μm/s、15〜20μm/s、20〜25μm/s、25〜30μm/s、30〜35μm/s、35〜40μm/s、40〜45μm/sの精子は、それぞれ10%前後で推移しており、直進速度が45μm/s以上の精子は25%以上も存在している。比較例のプレパラートを作製した直後における各精子の直進速度の平均値は、約34.3μm/sであった。このことから、比較例のプレパラートであっても、該プレパラートを作製した直後においては、精液(試料)中の精子(運動性物質)が活発に運動していることが分かった。
これに対し、図8の折れ線Bを見ると、直進速度が20μm/s以上の精子が略皆無となっていることが分かる。その反面、折れ線Bにおいては、直進速度が20μm/s未満の精子が約98%を占めており、直進速度の遅い精子ばかりであることが分かる。比較例のプレパラートを作製してから15分経過後における各精子の直進速度の平均値は、約7.9μm/sであった。折れ線Aと折れ線Bは、同じプレパラートを用いた結果であるにもかかわらず、このように、精子の直進速度の分布に大きな差が生じたのは、時間が経過するにつれて精子が比較例のプレパラートを形成するスライドガラスやカバーガラスに吸着してしまい、運動できなくなったことが原因であると考えられる。
一方、図8の折れ線Cを見ると、折れ線Cが折れ線Aに略一致しており、実施例のプレパラートにおいては、直進速度の遅い精子が非常に少ないことが分かる。実施例のプレパラートを作製してから15分経過後における各精子の直進速度の平均値は、約33.3μm/sであり、比較例のプレパラートを作製した直後の数値と比較して有意差(有意水準0.05)は認められなかった。プレパラートを作製してから約15分が経過しているにもかかわらず、本発明の光学的観察用チャンバーを用いた実施例のプレパラートにおいて、精子の直進速度に殆ど影響が見られなかったのは、本発明の光学的観察用チャンバーの下側透明板や上側透明板に精子が殆ど吸着せず、各精子の運動が阻害されなかったことが原因であると考えられる。以上の結果から、本発明の光学的観察用チャンバーが、精液に含まれる精子など、ガラスやプラスチックに吸着しやすい物質を含む試料の光学的観察を行う際に好適に使用できるものであることが分かった。
図9は、
比較例のプレパラートを作製した直後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の頭部振幅の分布(折れ線D)と、
比較例のプレパラートを作製してから15分経過後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の頭部振幅の分布(折れ線E)と、
実施例のプレパラートを作製してから15分経過後における精液(試料)中の精子(運動性物質)の頭部振幅の分布(折れ線F)と、
をそれぞれ示したグラフである。このうち、折れ線Dの頭部振幅の分布は、プレパラートを作製した直後において、上述した方法と同様の方法で精子の頭部振幅を求めることにより得たものである。
図9を見ると、本発明の光学的観察用チャンバーを用いた実施例のプレパラートにおけるプレパラートを作製してから15分経過後の頭部振幅の分布(折れ線F)は、スライドガラスとカバーガラスに試料を挟んで作製した比較例のプレパラートにおけるプレパラートを作製した直後の頭部振幅の分布(折れ線D)よりは全体的に小さくなる方向にシフトしているものの、該比較例のプレパラートにおけるプレパラートを作製してから15分経過後の頭部振幅の分布(折れ線E)よりは全体的に大きくなっていることが分かる。折れ線D,E,Fにおける頭部振幅の平均値は、それぞれ、5.4μm、2.1μm、3.7μmであった。以上の結果からも、本発明の光学的観察用チャンバーが、精液に含まれる精子など、ガラスやプラスチックに吸着しやすい物質を含む試料の光学的観察を行う際に好適に使用できるものであることが定量的に裏付けられた。
本発明の光学的観察用チャンバーは、各種の試料を観察する際に用いることができる。なかでも、精子や細胞などの生体(運動性物質)を観察する際に用いると好適である。また、精子や細胞などは、ガラスに吸着されやすく、ガラス(スライドガラスやカバーガラス)を試料に接触させる従来のプレパラートでは、その運動性を評価しにくいものの、本発明の光学的観察用チャンバーにおいては、下側透明板や上側透明板には、精子などのガラス吸着性物質が吸着しにくくなる。本発明の光学的観察用チャンバーは、精子などのガラス吸着性物質を観察する際に好適に使用することができる。本発明の光学的観察用チャンバーは、豚などの家畜の精子だけでなく、人間の精子を観察する際にも使用することができる。
10 光学的観察用チャンバー
11 下側透明板
11a 脚部
11b 中央部
12 上側透明板
20 試料
30 スライドガラス
100 下側透明板成形用型枠
110 脚部形成用凹部
111 微細溝
111a 山部
111b 谷部
120 中央部形成用凸部
130 枠部
P 溝のピッチ
H 溝の高さ(深さ)

Claims (9)

  1. 試料を載せるための下側透明板と、試料の上側に被せるための上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーであって、
    下側透明板が可撓性を有する素材によって形成され、下側透明板の中央部に試料を載せて上側透明板を試料に被せた際に、下側透明板の中央部が自重及び試料の重さによって窪み、その状態で下側透明板の周縁部が上側透明板に接触することにより、上側透明板と下側透明板とで試料を密封できるようにしたことを特徴とする光学的観察用チャンバー。
  2. 下側透明板の下面における周縁部から下方に突出して脚部が設けられ、下側透明板に試料を載せた際に、下側透明板の自重及び試料の重量によって下側透明板の中央部が押し下げられるようにした請求項1記載の光学的観察用チャンバー。
  3. 下側透明板が平面視略矩形状とされ、前記脚部が平面視略矩形状に設けられた請求項2記載の光学的観察用チャンバー。
  4. 上側透明板が可撓性を有する素材によって形成された請求項1〜3いずれか記載の光学的観察用チャンバー。
  5. 上側透明板及び/又は下側透明板が、水接触角70°以上の素材によって形成された請求項1〜4いずれか記載の光学的観察用チャンバー。
  6. 上側透明板及び/又は下側透明板が、シリコーンエラストマーである請求項5記載の光学的観察用チャンバー。
  7. 下側透明板と上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーに試料を挟んだ状態で該試料を光学的観察手段によって観察する試料の光学的観察方法であって、
    可撓性を有する素材によって形成した下側透明板の中央部に試料を載せて上側透明板を試料に被せて、下側透明板の中央部を自重及び試料の重さによって窪ませ、その状態で下側透明板の周縁部を上側透明板に接触させることにより、上側透明板と下側透明板とで試料を密封した状態で試料を観察することを特徴とする試料の光学的観察方法。
  8. 試料を載せるための下側透明板と、試料の上側に被せるための上側透明板とを備えた光学的観察用チャンバーにおける下側透明板の製造方法であって、
    脚部形成用凹部が設けられた下側透明板成形用型枠に透明な熱硬化性樹脂を未硬化の状態で流し込んだ後、熱硬化性樹脂を下側透明板成形用型枠とともに加熱して可撓性を有する状態で硬化させることにより、脚部形成用凹部で下側透明板の下面における周縁部から下方に突出した脚部を形成し、使用時においてその中央部に試料を載せて上側透明板を試料に被せた際にその中央部が自重及び試料の重さによって窪む構造の下側透明板を得ることを特徴とする下側透明板の製造方法。
  9. 下側透明板成形用型枠として、その脚部形成用凹部の底部に複数本の微細な溝が形成されたものを用いる請求項8記載の下側透明板の製造方法。
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