JP5607637B2 - 接続器具および輸液チューブセット - Google Patents

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Description

本発明は、接続器具および輸液チューブセットに関するものである。
患者に輸液を投与する際に使用される輸液チューブセットが知られている。輸液チューブセットは、上流側に位置し、薬液容器の接続部に接続される上流側コネクタおよびホルダーで構成された接続器具と、上流側コネクタより下流側に位置する下流側コネクタと、上流側コネクタと下流側コネクタとを連結するチューブと備えている。
前記接続器具のホルダーは、薬液容器と上流側コネクタとの接続状態を保持する部材である。このホルダーは、2つの係合部を有しており、その一方を薬液容器の接続部に係合させ、他方を上流側コネクタの側の係合部に係合させることにより、薬液容器に接続された上流側コネクタが、その薬液容器から脱落してしまうことを防止することができる。
しかしながら、従来の接続器具(上流側コネクタおよびホルダー)では、例えば、形態や寸法の異なる複数種の薬液容器に対応するためには、それぞれに応じて、複数種のホルダーを用意する必要があり、また、薬液容器に上流側コネクタを接続する毎に、その都度、薬液容器に対応するホルダーを選択しなければならず、ホルダーの装着に手間と時間がかかるという問題があった。
このような問題を解決するため、ホルダーに3つ以上の係合部(例えば、突起等)を設け、上流側コネクタを接続する薬液容器に応じて、係合させる2つの係合部を選択することにより、複数種の薬液容器に対応できる接続器具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記特許文献1に記載の接続器具では、ホルダーに複数の係合部が設けられているので、ホルダーを装着する際、使用しない係合部が邪魔になり、装着できないことがある。また、ホルダーの複数の係合部のうちから使用する係合部を選択し、それに応じて、ホルダーの位置や向きを変更する必要があり、そのホルダーの装着に手間と時間がかかるという欠点がある。
実公平6−42679号公報
本発明の目的は、種々の薬液容器に対して使用することができ、操作性に優れる接続器具および輸液チューブセットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、薬液容器の接続部に着脱自在に接続され、長手形状をなす薬液容器接続部と、板状をなす複数の第1の係合部とを有するコネクタと、
前記接続部に係合する第2の係合部と、前記複数の第1の係合部のうちのいずれかに係合する第3の係合部とを有するホルダーとを備え、
前記薬液容器の前記接続部に前記コネクタの前記薬液容器接続部を接続した接続状態で、前記各第1の係合部は、前記薬液容器接続部の接続方向に沿って並設されており、
前記接続状態で、前記第2の係合部を前記接続部に係合させ、前記第2の係合部が係合した前記接続部の部位の位置に応じて生じる前記コネクタと前記第3の係合部との位置関係に応じて、前記複数の第1の係合部から所定の前記第1の係合部を選択し、該第1の係合部に前記第3の係合部を係合させるよう構成されていることを特徴とする接続器具である。
本発明の接続器具では、前記各第1の係合部は、前記コネクタの滑り止め手段を兼ねるものであるのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記第1の係合部の数は、2〜10であるのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記コネクタは、液体を注入する液体注入手段が接続可能な注入手段接続部を有しており、
前記注入手段接続部は、前記薬液容器接続部の基端部から側方に向って突出するように設けられているのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記コネクタは、前記薬液容器接続部の基端側に設けられ、チューブが接続可能なチューブ接続部を有しており、
前記各第1の係合部は、前記薬液容器接続部と前記チューブ接続部との間に設けられているのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記第3の係合部の厚さをDとしたとき、隣接する2つの前記第1の係合部の間の間隙距離は、0.96D〜2Dの範囲内の値に設定されるのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記薬液容器の前記接続部は、栓体を有しており、
前記コネクタの前記薬液容器接続部は、その先端に鋭利な針先を有するものであり、
前記薬液容器接続部が前記栓体を刺通することにより、前記接続状態となるよう構成されているのが好ましい。
本発明の接続器具では、前記ホルダーは、前記第2の係合部と前記第3の係合部とを連結する連結部を有しており、
前記第2の係合部は、前記連結部の一方の端部から側方に向って突出するように設けられた1対の突出片を有し、
前記第3の係合部は、前記連結部の他方の端部から側方に向って突出するように設けられた1対の突出片を有するのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、前記本発明の接続器具と、
前記コネクタよりも下流側に位置する下流側コネクタと、
一端側が前記下流側コネクタに接続され、他端側が前記コネクタに接続されたチューブとを備えることを特徴とする輸液チューブセットである。
図1は、本発明の輸液チューブセットの実施形態を示す平面図である。 図2は、図1に示す輸液チューブセットの使用状態の一例を示す図である。 図3は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタを示す斜視図である。 図4は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)である。 図5は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)である。 図6は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)である。 図7は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)である。 図8は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)である。 図9は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを示す斜視図である。 図10は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを示す縦断面図である。 図11は、図1に示す輸液チューブセットにおけるホルダーを示す斜視図である。 図12は、図2に示す薬液容器の接続部の縦断面図である。 図13は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを図2に示す薬液容器に接続した状態を示す斜視図である。 図14は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを他の薬液容器に接続した状態を示す斜視図である。 図15は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを他の薬液容器に接続した状態を示す斜視図である。
以下、本発明の接続器具およびその接続器具を備える本発明の輸液チューブセットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の輸液チューブセットの実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す輸液チューブセットの使用状態の一例を示す図、図3は、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタを示す斜視図、図4〜図8は、それぞれ、図1に示す輸液チューブセットにおける下流側のコネクタの操作過程を順に示す図(図3中のA−A線断面図)、図9は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを示す斜視図、図10は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを示す縦断面図、図11は、図1に示す輸液チューブセットにおけるホルダーを示す斜視図、図12は、図2に示す薬液容器の接続部の縦断面図、図13は、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを図2に示す薬液容器に接続した状態を示す斜視図、図14および図15は、それぞれ、図1に示す輸液チューブセットにおける上流側のコネクタを他の薬液容器に接続した状態を示す斜視図である。
なお、以下では、説明の都合上、上流側のコネクタを除き、図1、図2、図9〜図15中の上側を「基端」または「上」、下側を「先端」または「下」と言い、図3〜図8中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。そして、上流側のコネクタに関しては、図1、図2、図9、図10、図13〜図15中の上側を「先端」または「上」、下側を「基端」または「下」と言う。
図1に示す輸液チューブセット1は、生体に薬液L等の輸液を投与する装置である。
輸液チューブセット1は、上流側に位置し、薬液容器20と接続される上流側コネクタであるコネクタ(薬液容器側コネクタ)50およびホルダー60を有する接続器具70と、コネクタ50より下流側に位置する下流側コネクタであるコネクタ2Aと、コネクタ50とコネクタ2Aとを連結(接続)するチューブ30とを備えている。また、チューブ30の途中には、その部分を閉塞するクランプ40が装着されていてもよい。このクランプ40は、チューブ30を外側から挟持するように押圧して、当該チューブ30内を圧閉するよう構成されたものである。
このような構成の輸液チューブセット1では、クランプ40を取り外した状態で、薬液(液体)Lがコネクタ50からチューブ30を経てコネクタ2Aに流入する。コネクタ2Aに流入した薬液Lは、当該コネクタ2A内を通過し排出される。
以下、各構成要素について順次説明するが、まずは、薬液容器20の接続部201について説明する。
図2および図12に示すように、薬液容器20は、接続部201を有しており、その接続部201は、筒状をなす接続部本体202と、接続部本体202内に設置された栓体(弾性栓)203とを有している。
栓体203は、弾性材料で構成されており、後述するコネクタ50のコネクタ本体502により穿刺し、そのコネクタ本体502が挿通し得るようになっている。
接続部本体202は、筒状をなしており、その中央部には、後述するホルダー60の係合部(第2の係合部)602と係合し得る係合部(第4の係合部)として、段差部204が形成されている。この段差部204は、接続部本体202の周方向に沿って、1周に亘って形成されている。
栓体203を構成する弾性材料としては、特に限定されず、例えば、後述する弁体5と同様のものを用いることができる。
図1、図9および図10に示すように、コネクタ50は、上端(先端)に鋭利な針先501を有し、薬液容器20の接続部201(図12参照)に着脱自在に接続されるコネクタ本体(薬液容器接続部)502と、コネクタ本体502の下端側(基端側)に設けられたチューブ接続部503と、コネクタ本体502の下端部(基端部)の外周部から側方に向って突出するように設けられたシリンジ接続部(注入手段接続部)504と、コネクタ本体502とチューブ接続部503との間に設けられ、複数(図示の構成では6つ)のフランジ(第1の係合部)507を有するホルダー取付部508とを備えている。
コネクタ本体502は、上端に鋭利な針先501を有する長手形状の中空体(瓶針)で構成され、その内部に輸液流入路505aと輸液流出路506aとを形成する。このコネクタ本体502は、薬液容器20の接続部201における弾性材料で構成された栓体203(図12参照)を刺通することができる。これにより、薬液容器20にコネクタ50を接続することができる。すなわち、コネクタ本体502が栓体203を刺通することにより、薬液容器20の接続部201にコネクタ50のコネクタ本体502を接続した接続状態(以下、単に「接続状態」とも言う)となる。
輸液流入路505aは、プレフィルドシリンジ80内の薬液を、当該薬液を収納可能な薬液容器20内に移送する流路である。輸液流入路505aの上端開口部505bは、コネクタ本体502の上端部(先端部)の外周部に開口している。この上端開口部505bを介して、輸液流入路505aと薬液容器20内とが連通し、薬液が薬液容器20内に流入することができる。また、輸液流入路505aは、コネクタ本体502の長手方向に沿った直線状をなす。なお、プレフィルドシリンジ80とは、その内部に予め薬液が充填されたシリンジのことである。
輸液流出路506aは、薬液容器20内に収納された薬液Lをチューブ30に移送する流路である。輸液流出路506aの上端開口部506bは、輸液流入路505aの上端開口部505bよりも下方で、コネクタ本体502の上端部の外周部に開口している。この上端開口部506bを介して、輸液流出路506aと薬液容器20内とが連通し、薬液容器20内の薬液Lが輸液流出路506a内に流出することができる。また、輸液流出路506aは、コネクタ本体502の長手方向に沿った直線状をなす。
このような輸液流入路505aと輸液流出路506aとは、互いに交差していない、すなわち、互いに独立している。
ホルダー取付部508は、輸液流出路506aの下端部に設けられている。このホルダー取付部508は、管状をなす部位の外周部に6つのフランジ507を設けたものであり、その内部の流路は、輸液流出路506aに連通している。なお、ホルダー取付部508は、後で詳述する。
チューブ接続部503は、ホルダー取付部508の下端部に設けられている。このチューブ接続部503は、管状をなす部位であり、その内部の流路は、ホルダー取付部508の内部の流路を介して、輸液流出路506aに連通している。チューブ接続部503には、チューブ30の基端部303を接続することができる(図1参照)。これにより、チューブ30内と輸液流出路506aとが連通する。
シリンジ接続部504は、輸液流入路505aの下端部に設けられている。このシリンジ接続部504は、側方(図10中右側)に向かって突出した管状をなす部位であり、その内部の流路は、輸液流入路505aに連通している。シリンジ接続部504には、プレフィルドシリンジ80の口部801を接続することができる。これにより、プレフィルドシリンジ80内と輸液流入路505aとが連通する。
また、シリンジ接続部504内には、弾性材料で構成された、自己閉塞性を有する弁体5が設置されている。シリンジ接続部504にプレフィルドシリンジ80の口部801が挿入された際には、弁体5は、当該口部801によって押圧されて変形し、開状態となる。これにより、プレフィルドシリンジ80の口部801から輸液流入路505aに薬液を流入させることができる。
弁体5を構成する弾性材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。このような弾性材料を用いることにより、弁体5の頂面511に適度な弾性を得ることができる。これにより、シリンジ接続部504にプレフィルドシリンジ80の口部801を接続した際、その口部801の端面と頂面511とが液密に密着することができる。
図10に示すように、弁体5は、管状の胴部55と、胴部55の一端部に一体的に設けられた頭部51とを有している。
頭部51は、その形状が有底筒状をなしており、薬液が通過可能な内腔部515と、平面状の頂面511から内腔部515に到達するスリット(開閉部)512とが形成されている。このスリット512は、その形状がほぼ一文字状をなしている。スリット512の形状がこのように簡単であることにより、頂面511を押圧した際に当該頂面511が変形し、よって、スリット512が容易に開口する。また、この押圧を解除した際には、頂面511が復元し、よって、スリット512が確実に閉じる。このように弁体5は、自己閉塞性を有するものである。
また、このようなスリット512の作動により、シリンジ接続部504内の流路を容易かつ確実に封止/封止解除することができる。
また、頂面511が平面状をなしていることにより、前記プレフィルドシリンジ80の口部801を接続する場合、予め、頂面511を容易に消毒することができる。
胴部55は、蛇腹状をなす筒状体で構成されている。すなわち、胴部55は、外形において大径リング部552と小径リング部553とが軸方向に交互に配列された蛇腹状をなしている。このような胴部55は、弁体5をその胴部55側から頭部51側に向って付勢する変形部として機能している。
このように胴部55が変形部として機能していることにより、別途に付勢手段を構成するための部品をコネクタ50に設ける必要がなく、部品点数の減少、構造の簡素化に寄与することができる。
また、この胴部55は、弁体5がその胴部55側から頭部51側に向って復元する復元力の大半を担っているが、頭部51がその復元力の一部を担っていてもよい。
なお、コネクタ50(弁体5を除く)の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等の各種硬質樹脂材料が挙げられる。
前記コネクタ本体502と、ホルダー取付部508と、チューブ接続部503とは、略同軸上、すなわち、コネクタ本体502の軸方向に沿って配置されている。以下、ホルダー取付部508について説明する。
ホルダー取付部508は、後述するホルダー60の係合部(第3の係合部)603(図11参照)を取り付ける部位であり、その係合部603と係合し得る板状をなす6つのフランジ507を有している。なお、各フランジ507の形状は、それぞれ、図示の構成では、平面視で(図1中の上側から見たとき)、円形状または円の一部を切り欠いた形状をなしているが、これに限定されないことは、言うまでもない。
各フランジ507は、コネクタ本体502の下端側、すなわち、コネクタ本体502とチューブ接続部503との間に設けられている。すなわち、コネクタ本体502の下端部(シリンジ接続部504の基端部)と、チューブ接続部503の上端部との間に、薬液容器接続部(コネクタ本体502)の接続方向に沿って、所定間隔で、並設されている。
また、図示の構成では、各フランジ507は、互いに平行となり、コネクタ本体502の長手方向に対して垂直となるように、等間隔で並設されている。
隣接する2つのフランジ507の間の間隔(間隙距離d)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定することができるが、ホルダー60の係合部603の厚さをD(図11参照)としたとき、その間隙距離dは、0.96D〜2Dの範囲内の値に設定されることが好ましく、1.0D〜1.2Dの範囲内の値に設定されることがより好ましい。図示の構成では、間隙距離dは、ホルダー60の係合部603の厚さとほぼ等しく設定されている。
なお、この接続器具70では、ホルダー60側の係合部603ではなく、コネクタ50側のフランジ507が複数設けられているので、間隙距離dを狭くしても、ホルダー60を装着する際、使用しないフランジが邪魔になることがなく、ホルダー60を確実に装着することができる。
ここで、ホルダー取付部508の各フランジ507は、コネクタ50の把持部を兼ねるものであり、そのフランジ507を手指で把持し、コネクタ本体502を薬液容器20の接続部201に接続する操作を行うことができる。そして、この操作の際、フランジ507は、滑り止め手段の機能を発揮する。
また、フランジ507の数は、図示の構成では、6つであるが、本発明では、複数であれば、これに限らず、5つ以下でもよく、また、7つ以上でもよい。但し、好ましい個数は、2〜10程度であり、より好ましい個数は、2〜8程度である。フランジ507の数を前記の個数に設定することにより、コネクタ50の長さを過剰に長くすることなく、フランジ507の厚みを十分に確保でき、必要かつ十分な強度を得ることができ、また、把持部としても好適である。
図1および図11に示すように、ホルダー60は、薬液容器20の接続部201にコネクタ50のコネクタ本体502が接続された接続状態で、接続部201に係合する係合部(第2の係合部)602と、複数のフランジ507のうちのいずれかに係合する係合部(第3の係合部)603と、係合部602と係合部603とを連結する連結部601とを有している。
連結部601は、若干湾曲した細長い板状をなしている。係合部602は、この連結部601の上端に、側方に向って突出するように形成された1対の突出片604を有しており、係合部603は、連結部601の下端に、側方(係合部602と同一の方向)に向って突出するように形成された1対の突出片605を有している。
すなわち、ホルダー60は、側面視で(図1の紙面に対して垂直な方向から見たとき)、コ字状をなしている。これにより、ホルダー60を装着する際、ホルダー60の内側に、コネクタ50および薬液容器20の接続部201の逃げ部が形成され、ホルダー60を確実に装着することができる。
なお、係合部602および603は、それぞれ、複数ではなく、1つずつ形成されているので、ホルダー60を装着する際、その係合部602および603が邪魔になることがなく、ホルダー60を確実に装着することができる。
また、ホルダー60の長さ(図1中の上下方向の長さ)、すなわち、係合部602と係合部603との間の間隔は、可変ではなく、一定である。
ホルダー60の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前記コネクタ50と同様のものを用いることができる。
ホルダー60を装着する際は、図13に示すように、接続状態で、ホルダー60の係合部602を薬液容器20の接続部201の段差部204に係合させ、係合部603をコネクタ50の対応するフランジ507に係合させる。この際、ホルダー60は、シリンジ接続部504と反対側から装着する。また、係合部602の2つの突出片604の間に、接続部201の段差部204の上方の部位を位置させ、その2つの突出片604で接続部201を挟持する。同様に、係合部603の2つの突出片605の間に、ホルダー取付部508の2つのフランジ507の間の部位を位置させ、その2つの突出片605でホルダー取付部508を挟持する。これにより、ホルダー60が装着された状態を確実に保持することができる。
このようにホルダー60を装着することにより、接続部201からコネクタ本体502が離脱することが阻止され、接続状態が保持される。
ここで、前記ホルダー60を装着する際は、接続状態で、係合部602を薬液容器20の接続部201の段差部204に係合させ、その係合部602が係合した段差部204の位置に応じて生じるコネクタ50と係合部603との位置関係(接続部201の下面と段差部204との距離)に応じて、6つのフランジ507から対応する所定のフランジ507を選択し、そのフランジ507に係合部603を係合させる。図13に示す構成の薬液容器20においては、最も上側のフランジ507が選択され、そのフランジ507に係合部603を係合させている。
また、図14に示すように、その図14に示す構成の薬液容器20においては、上側から3番目のフランジ507が選択され、そのフランジ507に係合部603を係合させている。
また、図15に示すように、その図15に示す構成の薬液容器20においては、上側から2番目のフランジ507が選択され、そのフランジ507に係合部603を係合させている。
なお、係合部603とフランジ507との位置が合わない場合は、穿刺深さを実質的に調節することなく(摩擦力によりコネクタ本体502と栓体203の接触箇所が維持されたまま)、栓体203の弾性による撓みを利用して微調節することで、いずれかのフランジ507と係合部603とを係合させることができる。
このようにして、形態や寸法等の異なる薬液容器20の接続部201にコネクタ50のコネクタ本体502を接続する場合でも、6つのフランジ507のうちのいずれかに、ホルダー60の係合部603を係合させることができ、確実に、そのホルダー60を装着することができる。すなわち、共通のホルダー60で、形態や寸法等の異なる複数種の薬液容器20に対応することができる。
図1に示すように、チューブ30は、その先端部301が後述するコネクタ2Aの注入ポート22に接続され、基端部303がコネクタ50のチューブ接続部503に接続されている。このチューブ30を介して、コネクタ50から流出した薬液Lがコネクタ2Aに供給される。
なお、チューブ30は、可撓性を有する材料で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等、あるいはこれらを主とする材料が挙げられる。
図1、図3〜図8示すように、コネクタ2Aは、管状をなすコネクタ本体21と、コネクタ本体21の外周側に設置されたロック部材3と、コネクタ本体21の先端部に着脱自在に装着されるキャップ10とを有している。
図5〜図8に示すように、コネクタ本体21は、その形状が管状をなし、その内部に薬液Lが通過する流路を形成する部材である。
図1に示すように、コネクタ本体21は、その基端部がチューブ30の先端部301が接続され、当該チューブ30を通過した薬液Lが注入される注入ポート22として機能する。注入ポート22は、その基端側の部分の外径が基端方向に向かって漸減したテーパ状をなしている。
また、注入ポート22の内部は、薬液容器20からチューブ30を介して注入された薬液Lが通過する第1の流路221となる。第1の流路221の先端部223を除く部分の内径は、その長手方向に沿ってほぼ一定となっている。第1の流路221の先端部223の内径は、先端方向に向かって漸減している。
注入ポート22の外周部には、その外径が拡径した拡径部222が形成されている。図1に示すように、チューブ30の先端302が拡径部222に当接するまで注入ポート22にチューブ30の先端部301を接続することができる。これにより、注入ポート22のチューブ30に対する挿入量が十分となり、チューブ30が注入ポート22から不本意に離脱するのが確実に防止される。
図8に示すように、コネクタ本体21は、その先端部が第1の流路221を通過した薬液Lを排出する排液ポート23として機能する。排液ポート23は、その外径および内径が長手方向に沿って一定となっている。
排液ポート23には、その内部に形成された第2の流路(排液流路)231を薬液Lが通過可能となるまで、キャップ10が装着されている(図4、図5参照)。そして、このキャップ10を取り外すことにより、後述する輸液装置100a(図2参照)が有するコネクタ90の管状部901を接続することができ、よって、管状部901内と第2の流路231とが連通し、第2の流路231から管状部901内に薬液Lを排出することができる(図7、図8参照)。
図3に示すように、キャップ10は、排液ポート23に着脱自在に装着される部材である。このキャップ10は、有底筒状をなすキャップ本体101と、キャップ本体101の外周側に設けられた把持部102とを有している。
キャップ本体101の内周部103は、その内径が基端方向に向かって漸増したテーパ状をなしている。キャップ10を排液ポート23に装着した際に、キャップ本体101の内周部103は、その内径が排液ポート23の外径と同じとなる部分で当該排液ポート23の外周部233に嵌合する(図4、図5参照)。これにより、キャップ10は、排液ポート23に装着された状態では、排液ポート23の開口部232を液密的(気密的)に封止することができる。よって、第2の流路231内の無菌状態が確実に維持される。
把持部102は、キャップ本体101の外周側に当該キャップ本体101と同心的に設けられたリング状の部位である。装着状態のキャップ10を取り外す際には、把持部102を把持して先端方向に向かって引張ることにより、その取り外し操作を行うことができる。把持部102の外周部には、その長手方向に沿った溝104が複数形成されている。これにより、把持部102を把持した際に、手指が把持部102から滑るのを防止することができる。
図4〜図8(図3も同様)に示すように、コネクタ本体21の中央部、すなわち、注入ポート22(第1の流路221)と排液ポート(排出ポート)23(第2の流路231)との間には、円筒状をなす円筒部24が形成されている。この円筒部24は、その中心軸がコネクタ本体21の中心軸と直交するように当該コネクタ本体21に対して配置されている。第1の流路221および第2の流路231は、それぞれが等しい高さ位置で円筒部24の内腔241に連通している。
また、円筒部24の外周部には、注入ポート22および排液ポート23と直交する方向に突出した排気ポート25が形成されている。この排気ポート25は、筒状をなし、その内部に空気Gが通過する第3の流路251を形成する。この第3の流路251は、第1の流路221および第2の流路231と同じ高さ位置で円筒部24の内腔241に連通している。
図4および5に示すように、第1の流路221が未だ薬液Lが注入されていない状態(図4に示す状態)から薬液Lが注入された状態(図5に示す状態)となったとき、第1の流路221内の空気Gは、薬液Lによって押され、第3の流路251を通過して、外方へ向かって排出される。このように、排気ポート25は、第1の流路221内の空気Gを排出する排気手段として機能するポートである。
また、排気ポート25には、第3の流路251にフィルタ部材26が固定部材27を介して固定されている。フィルタ部材26は、空気Gは通過するが薬液Lは通過しない機能を有する部材である。なお、固定部材27を省略し、フィルタ部材26が第3の流路251に直接封入されていてもよい。
空気Gが排出される際、この空気Gとともに薬液Lは、第3の流路251内に流入するが、フィルタ部材26でせき止められる。これにより、薬液Lが排気ポート25から不本意に流出するのを確実に防止することができる。また、薬液Lが例えば直接手で触れることによって、皮膚表面が汚染される危険性の高い薬剤(例えば抗がん剤)である場合、フィルタ部材26によって指先等の皮膚表面が薬液Lで汚染されることが確実に防止される。
なお、フィルタ部材26は、その表面が疎水化処理されているか、または、疎水性膜(疎水膜)であるのが好ましい。前記疎水性膜の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、等が挙げられる。フィルタ部材26は、これらの材料を、延伸法、ミクロ相分離法、電子線エッチング法、焼結法、アルゴンプラズマ粒子等の方法で多孔質としたものが好適に用いられる。また、前記疎水化処理の方法は、特に限定されず、例えば、フィルタ部材26の表面に、疎水性を有する構成材料をコーティングする方法等が挙げられる。
固定部材27は、リング状をなす部材である。この固定部材27は、その外径が筒状の排気ポート25の内径よりも若干大きく、内径が円盤状のフィルタ部材26の外径よりも若干小さく設定されている。固定部材27が排気ポート25とフィルタ部材26との間に位置することにより、フィルタ部材26が固定部材27を介して排気ポート25に対して確実に固定され、よって、フィルタ部材26が排気ポート25から離脱するのが防止される。
前述したように、第1の流路221と、第1の流路221と同軸上に位置する第2の流路231と、第1の流路221および第2の流路231と直交する第3の流路251とは、円筒部24の内腔241を介して互いに連通している。すなわち、第1の流路221と第2の流路231と第3の流路251とは、それらの端部同士が円筒部24の内腔241で互いに交差している。コネクタ2Aでは、円筒部24の内腔241が、第1の流路221と第2の流路231と第3の流路251とが交差する交差部となっている。
図4〜図8に示すように、コネクタ2Aは、各第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251のそれぞれ開/閉状態、すなわち、各第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251同士の連通/非連通状態を切り替えることができるよう構成されている。コネクタ2Aには、この切替手段として、コック4が設けられている。
図3に示すように、コック4は、胴部41と、基部42と、レバー43とで構成されている。
胴部41は、円柱または円筒形状(図4〜図8では円柱形状)をなし、円筒部24の内腔241内に気密性または液密性をもって回動自在に嵌入されるものである。従って、コック4を円筒部24から抜き取った状態における胴部41の外径は、前述した円筒部24の内径より若干(例えば1〜6%程度)大きいものとするのが好ましい。また、胴部41の外周面411は、平滑なものとするのが好ましい。これにより、胴部41が回転した際、その回転が円滑に行われる。
図4〜図8に示すように、胴部41の内部には、各注入ポート22、排液ポート23および排気ポート25の第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251に対応する切替流路がT字状に形成されている。すなわち、90°の角度を隔てて胴部41の径方向に延在する3本の流路44、45および46が、胴部41の中心部付近にて互いに連通するように形成されている。また、これらの流路44〜46は、コック4を円筒部24に嵌入した状態で、各注入ポート22、排液ポート23および排気ポート25の第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251と一致する高さ位置に形成されている。
各流路44〜46は、胴部41の外周面411に開口し、それぞれ円形の開口441、451および461を形成している。なお、開口441〜461の直径は、各々ほぼ等しい値であるのが好ましいが、互いに異なっていてもよい。
胴部41の上部には、胴部41の外径より大きい外径を有する円盤状の基部(レバー支持部)42が好ましくは胴部41と一体的に形成されている。この基部42は、円筒部24の上方に露出した状態となる。
また、図3に示すように、基部42には、図中上側の部分に、各開口441、451および461の開口方向を表示するマーカ421、422および423が付されている。各マーカ421〜423は、それぞれ、各開口441〜461に対応した位置、すなわち、各流路44〜46の図3中上方に付されている。また、各マーカ421〜423は、それぞれ、形状が二等辺三角形をなしており、その頂部が対応する各開口441〜461の開口方向を向くように配置されている。
基部42の外周側には、流路45と逆方向に延長して突出するレバー43が好ましくは基部42と一体的に形成されている。このレバー43を手指で把持し、トルクを加えてコック4の回動操作を行う。従って、レバー43の両側面部には、滑り止めのための凹凸431が形成されている。なお、本発明では、回動操作を行うためのレバー43は、図示のような1方向に延出したものに限らず、2以上の方向に延出したもの、またはその他ハンドルのようなものであってもよい。
また、本実施形態では、コック4は、円筒部24に対し360°自由に回動することができる構成となっているが、これに限られるものではない。すなわち、コネクタ2Aには、円筒部24に対するコック4の回動角度範囲を規制する規制手段(図示せず)が設けられていてもよい。この規制手段としては、例えば、円筒部24および基部42にそれぞれ形成され、互いに係合し得る凸部で構成することができる。
このような構成のコック4を回動操作することにより、各第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251の開閉を選択することができる。
例えば、図1、図3に示すように、コック4のレバー43の位置を排液ポート23と同方向とした場合には、図4(図5〜図7も同様)に示すように、注入ポート22の第1の流路221と排気ポート25の第3の流路251とが、コック4の胴部41に形成された流路45および46を介して連通し、排液ポート23の第2の流路231は、胴部41の外周面411によって封止される。これにより、注入ポート22と排気ポート25とが開通状態、排液ポート23が閉鎖状態となる。以下、この状態を「第1の状態(初期状態)」と言う。
また、コック4のレバー43の位置を排気ポート25と同方向とした場合には、図8に示すように、注入ポート22の第1の流路221と排液ポート23の第2の流路231とが、コック4の胴部41に形成された流路44および46を介して連通し、排気ポート25の第3の流路251は、胴部41の外周面411によって封止される。これにより、注入ポート22と排液ポート23とが開通状態、排気ポート25が閉鎖状態となる。以下、この状態を「第2の状態」と言う。
図4〜図7に示すように、初期状態では、チューブ30から注入ポート22の第1の流路221内に薬液Lが注入されると、その注入された薬液Lは、第1の流路221を流下し、第1の流路221内の空気Gを下流側へ押し出しつつ、コック4の流路45を経て、流路44および46に流入する。流路46に流入した薬液Lは、排気ポート25の第3の流路251に至る。この排気ポート25の第3の流路251に流入した薬液Lによって、前記第1の流路221内の空気Gは、排気ポート25のフィルタ部材26を介して、排出される。この空気Gのほとんどが排出されると、コネクタ2A内での薬液Lの流れ、すなわち、チューブ30からの注入ポート22の第1の流路221への薬液Lの注入が停止する。この停止状態は、コック4を回転操作して第2の状態(図8に示す状態)とするまで維持される。このようにコネクタ2Aでは、第1の流路221に薬液Lが注入された際、その薬液Lの流れは、排液ポート23の第2の流路231に至る(流入する)前に一旦停止する。従って、コネクタ2Aでは、コック4とコック4の胴部41が嵌入するコネクタ本体21の円筒部24とが、第1の流路221内に薬液Lが注入されたときに、当該注入された薬液Lが第2の流路231に至る前に、その流れを一旦停止させる阻止手段(停止手段)を構成していると言うことができる。
また、この阻止手段は、コック4を回転させるという簡単な操作で、各第1の流路221、第2の流路231および第3の流路251の開閉を選択可能に構成されているため、第1の状態から第2の状態への切り替えを容易かつ確実に行うことができる。また、この流路を切り替えるタイミングは、コック4を操作する操作者が薬液Lの流れが停止したのを確認してから判断することができる。このため、コネクタ2Aは、操作性に優れたものとなっている。
このような構成のコネクタ2A(フィルタ部材26を除く)の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。
特に、コネクタ本体21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。これにより、コネクタ本体21の壁部を介して、第1の流路221および第2の流路231内を視認することができ、よって、コネクタ本体21(コネクタ2A)内の薬液Lが当該コネクタ本体21のどこまで来ているのかを確認することができる。これにより、薬液Lが第1の流路221に満たされ、その流れが停止したのを確認してから、コック4を操作して第1の状態から第2の状態へ確実に切り替えることができる。このように、コネクタ本体21の壁部は、第1の流路221および第2の流路231内を視認可能とする窓部として機能している。
また、図4〜図8に示すように、コネクタ本体21の円筒部24の外周部には、その中心軸を介して排気ポート25と反対側に、変色部28が設置されている。この変色部28は、小片で構成され、コネクタ本体21の円筒部24の外周部に、例えば接着(接着剤や溶媒による接着)により固定されている。
変色部28は、それ自身の温度変化によって変色するものである。このような材料としては、特に限定されないが、例えば、テトラハロゲノ錯体、含窒素配位子錯体等の材料が挙げられる。
このような変色部28は、注入ポート22の第1の流路221内に薬液Lが充填された際に、通常、吸熱されて、温度が低下する。これにより、変色部28は、温度が下降する前に比べてその色が変化する。この変色により、薬液Lが第1の流路221内に充填された、すなわち、薬液Lが第2の流路231に流入可能な位置まで来た(薬液Lの流れが停止した)のを視認することができる。この場合に、コック4を操作して第1の状態から第2の状態へ確実に切り替えることができる。
図3に示すように、ロック部材3は、図中コネクタ本体21の円筒部24の下方に設置されている。ロック部材3は、キャップ10を取り外した排液ポート23に接続される相手体の構成によって、使用される、すなわち、前記相手体に接続される場合と、使用されない場合とがある。本実施形態では、前記相手体となる輸液装置100aのコネクタ90は、ロック部材3と接続可能な部分を有するものである。このため、ロック部材3は、排液ポート23とともにコネクタ90と接続される。これにより、コネクタ2Aとコネクタ90とが強固に接続されることとなる。
ロック部材3は、長尺なベース部31と、ベース部31の先端部に突出形成されたロック部32とを有している。
ベース部31は、板状をなす部分である。コネクタ2Aを例えばテーブル等のような支持台に載置する際には、このベース部31を下方にして載置することができる。これにより、コネクタ2Aは、前記支持台上に安定して載置される。
ロック部32は、棒状をなす軸部33と、軸部33の両側に形成された一対の爪部34とを有している。
軸部33は、先端方向に向かって突出形成されている。
一対の爪部34は、軸部33を介して互いに対向配置されている。また、各爪部34は、それぞれ、板片状をなし、その先端部341が軸部33の先端部に連結している。これにより、各爪部34は、それぞれ、弾性を有し、互いに接近/離間可能となる。ロック部材3が輸液装置100aのコネクタ90と連結した際には、各爪部34がそれぞれコネクタ90の所定の部位に係合することができる。
なお、ロック部材3は、コネクタ本体21と一体的に形成されたものであってもよいし、コネクタ本体21に対して着脱自在に構成されたものであってもよい。
次に、輸液チューブセット1の操作方法(使用方法)について、輸液チューブセット1を輸液装置100aに接続する場合を一例にして説明する。
まず、輸液装置100aについて説明する。
図2に示す輸液装置100aは、薬液容器101aと、2つのコネクタ90と、点滴筒102aと、ローラクレンメ103aと、コネクタ104aとを有し、これらの部材が上流側から順に配置されている。また、各部材同士は、それぞれ、チューブ105a、105b、105c、105dおよび105eによって互いに接続されている。また、チューブ105aの途中には、クランプ106aが装着されている。
薬液容器101aは、輸液Mが予め収納されたものである。この輸液Mは、輸液チューブセット1の薬液容器20内の薬液Lと同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
各コネクタ90は、それぞれ、輸液チューブセット1のコネクタ2Aの排液ポート23が接続可能に構成された、すなわち、管状部901を有するものである。
点滴筒102aは、実質的に透明な材料で構成されており、当該点滴筒102a内に薬液Lが流入した際、その薬液Lの流量を目視で確認することができる。また、点滴筒102aは、当該点滴筒102a内に薬液Lとともに流入した空気Gを貯留することができ、これにより、下流に空気Gが流れるのを防止することができる。
ローラクレンメ103aは、前記薬液Lの流量を調節するものである。
コネクタ104aは、患者に予め留置されている留置針(図示せず)に接続可能に構成されている。
クランプ106aは、チューブ105aを閉塞するものである。このクランプ106aを開放することで、薬液Lがチューブ105aを通過する。
このような構成の輸液装置100aは、薬液容器101aが鉛直上方に位置するように、当該薬液容器101aを吊り下げた状態で用いられる。
薬液Lとしては、特に限定されず、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤等、医療従事者が誤って触れると危険な薬剤、この他、鎮静薬、静脈麻酔薬、麻酔系鎮痛薬、局所麻酔薬、非脱分極性筋弛緩薬、昇圧薬、降圧薬、冠血管拡張薬、利尿薬、抗不整脈薬、気管支拡張薬、止血剤、ビタミン剤、抗生剤、脂肪乳剤等いかなるものでもよい。なお、薬液Lは、本実施形態では、濃度が比較的高い薬液がプレフィルドシリンジ80に収納されており、このプレフィルドシリンジ80から当該薬液を、希釈液が充填された薬液容器20に移送して、希釈することにより得る。薬液Lを得る方法としては、これに限定されず、例えば、薬液Lがプレフィルドシリンジ80に予め収納されており、このプレフィルドシリンジ80から空の状態の薬液容器20に移送して得る方法が挙げられる。また、他の方法としては、例えば、薬液Lとなる成分が含有された第1の液体がプレフィルドシリンジ80に収納され、当該第1の液体と混合することにより薬液Lとなる成分が含有された第2の液体が薬液容器20に収納されており、第1の液体をプレフィルドシリンジ80から薬液容器20に移送して、第1の液体と第2の液体とを混合することにより得る方法が挙げられる。
次に、輸液チューブセット1の操作方法について説明する。なお、本実施形態では、2つの輸液チューブセット1を使用した場合を一例として挙げているが、これに限定されず、1つまたは3つ以上の輸液チューブセット1を使用することもできる。
[A1] 図2に示すように、輸液装置100aと、輸液チューブセット1とを用意する。また、この他、薬液容器20と、プレフィルドシリンジ80とを用意する。以下、1つ目の輸液チューブセット1の操作について説明するが、2つ目の輸液チューブセット1の操作方法も同様である。
ここでは、輸液装置100aを、患者に薬液Lを投与するための主ライン、すなわち、主に基本液等としての輸液Mが流されるラインとして用い、各輸液チューブセット1を補助ライン、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤等の医療従事者が誤って触れると危険な薬液Lが流されるラインとして用いる場合を例に挙げて説明する。また、患者の血管(例えば、末梢静脈等)には、予め留置針が留置されている。
[A2] 輸液装置100aのコネクタ104aを、患者の血管に留置されている留置針に接続する。
[A3] 輸液装置100aのクランプ106aを開放して、輸液装置100aをプライミングする。
[A4] 輸液装置100aのローラクレンメ103aを操作し、輸液装置100aの輸液Mの流量(投与速度)を所定の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液Mを投与する。
[A5] 患者の容態によって、一定時間の間隔をおいて、例えば抗生剤を投与するために用いる輸液チューブセット1(コネクタ2Aの排液ポート23)を輸液装置100a(コネクタ90の管状部901)に接続するにあたり、まず、薬液容器20に輸液チューブセット1のコネクタ50を接続する(図2参照)。なお、薬液容器20は、空の状態のものであっても、予め生理食塩水等が充填された状態のものであってもよい。
具体的には、まず、薬液容器20の接続部201の栓体203に、コネクタ50のコネクタ本体502を刺通する。これにより、接続状態となる。
そして、ホルダー60を装着する。すなわち、接続状態で、ホルダー60の係合部602を薬液容器20の接続部201の段差部204に係合させ、係合部603をコネクタ50の対応するフランジ507に係合させる。これにより、接続部201からコネクタ本体502が離脱することが阻止され、接続状態が保持される。
[A6] 薬液容器20に接続されたコネクタ50のシリンジ接続部504にプレフィルドシリンジ80を接続して、当該プレフィルドシリンジ80の押し子(図示せず)を押圧操作する。これにより、コネクタ50を介して、プレフィルドシリンジ80から薬液容器20内に薬液が移送される。
[A7] 輸液チューブセット1のクランプ40を開放して、薬液容器20内の薬液Lを流下させ、輸液チューブセット1をプライミングする。このように、輸液チューブセット1では、当該輸液チューブセット1を薬液容器20に接続した状態で、薬液容器20に対し薬液Lの供給/排出を行うことができる。これにより、例えば薬液容器20に対し薬液Lの供給/排出を行うごとにコネクタ50の抜き差しを行うのを省略することができ、よって、操作性に優れる。
また、このとき、コネクタ2Aは、排液ポート23にキャップ10が装着され、当該排液ポート23の開口部232が封止されている。また、コネクタ2Aは、コック4の切替流路(流路45および46)を介して注入ポート22の第1の流路221と排気ポート25の第3の流路とが連通した初期状態となっている(図4参照)。
この状態で、薬液容器20内の薬液Lが流下すると、当該薬液Lは、コネクタ50、チューブ30を順に通過して、コネクタ2Aの注入ポート22の第1の流路221に流入する(図5参照)。このとき、コネクタ2Aでは、第1の流路221に流入した薬液Lによって、当該第1の流路221内の空気Gが排気ポート25の第3の流路251を介して排出される。また、空気Gが排出されるのに伴って、第1の流路221内、コック4の流路44〜46および第3の流路251内は、徐々に薬液Lで満たされる。そして、遂には、これらの流路全体が薬液Lで満たされて、薬液Lの流れが一旦停止する。また、その際には、変色部28が前述したように変色して、第1の流路221内、コック4の流路44〜46および第3の流路251内全体が薬液Lで満たされた(薬液Lの流れの停止)のを視認することができる。また、排液ポート23の第2の流路231は、第1の流路および第3の流路と連通していないため、空気Gで満たされている。
[A8] 変色部28の変色が確認されたら、輸液チューブセット1のチューブ30をクランプ40で封止する。
[A9] コネクタ2Aの排液ポート23からキャップ10を取り外し、排液ポート23の開口部232に対する封止状態を解除する(図6参照)。
[A10] コネクタ2Aの排液ポート23と輸液装置100aのコネクタ90の管状部901とを接続する(図7参照)。この接続時では、前述したように第2の流路231内に空気Gが満たされている(空の状態である)、すなわち、第2の流路231内に未だ薬液Lが流入していないため、コネクタ2A(第1の流路221)内の薬液Lが第2の流路231から外方へ漏出したり、飛散したりするのが確実に防止されている。これにより、輸液チューブセット1のコネクタ2Aと輸液装置100aのコネクタ90との接続を安全に(円滑に)行うことができる。
[A11] コネクタ2Aのコック4のレバー43を把持して、図8中反時計回りに当該コック4を90°回転操作する。これにより、排気ポート25が閉鎖し、注入ポート22の第1の流路221と排液ポート23の第2の流路231とが連通する。
[A12] 輸液チューブセット1のチューブ30のクランプ40を再度開放する。これにより、薬液Lの流れが再開し、輸液チューブセット1から輸液装置100aに薬液Lが流入する。そして、この輸液装置100aに流入した薬液Lは、患者に投与される。このように、コネクタ2Aでは、輸液チューブセット1のコネクタ2Aと輸液装置100aのコネクタ90との接続を完了した後には、薬液Lの流れが迅速かつ確実に再開し、薬液Lの投与を行うことができる。このとき、点滴筒102aは、当該点滴筒102a内に薬液Lとともに流入した空気Gを貯留することができ、これにより、下流に空気Gが流れるのを防止することができる。
なお、本実施形態では、輸液チューブセット1は、クランプ40が装着されたもの(図2参照)となっているが、これに限定されず、クランプ40が省略されたものとなっていてもよい。
以上説明したように、この輸液チューブセット1によれば、ホルダー60を装着することにより、薬液容器20に接続されたコネクタ50がその薬液容器20から脱落してしまうこと、すなわち、薬液容器20の接続部201に接続されたコネクタ50のコネクタ本体502がその接続部201から離脱してしまうことを防止することができる。そして、特に、接続器具70は、輸液バッグとの接続に好適に用いられる。
また、コネクタ50に複数(図示の構成では、6つ)のフランジ507が設けられているので、形態や寸法等の異なる薬液容器20の接続部201にコネクタ50のコネクタ本体502を接続した場合でも、複数のフランジ507のうちのいずれかに、ホルダー60の係合部603を係合させることができ、確実に、そのホルダー60を装着することができる。すなわち、共通のホルダー60で、形態や寸法等の異なる複数種の薬液容器20に対応することができる。
また、ホルダー60側の係合部603ではなく、コネクタ50側のフランジ507が複数設けられているので、ホルダー60を装着する操作を容易に行うことができ、また、使用しないフランジ507(係合部603に係合しないフランジ507)が邪魔になることがなく、ホルダー60を確実に装着することができる。
また、使用しないフランジ507が邪魔になることがないので、フランジ507を数多く設けることができ、これにより、対応可能な薬液容器20の種類を多くすることができる。
なお、例えば、ホルダー60の長さを調整することができるものや、ホルダー60側に複数の係合部603を設けたものでは、そのホルダー60の装着に手間と時間がかかるが、この輸液チューブセット1では、コネクタ50側に複数のフランジ507が設けられているので、容易かつ迅速に、ホルダー60を装着することができる。
なお、本発明では、第1の係合部が、孔または凹部であり、第3の係合部が、その孔または凹部に挿入される凸部等の挿入部であってもよい。
以上、本発明の接続器具および輸液チューブセットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
なお、前記実施形態では、接続器具のコネクタの内部に、互いに独立する2本の流路(輸液流入路505a、輸液流出路506a)が設けられているが、本発明では、これに限定されず、例えば、輸液流入路と輸液流出路の一部または全部が共通であってもよい。
また、前記実施形態では、接続器具のコネクタは、シリンジ接続部(注入手段接続部)を有するものであるが、本発明では、シリンジ接続部は、省略されていてもよい。
また、前記実施形態では、下流側コネクタの排液ポートに接続されるものとしては、他のコネクタの管状部であったが、本発明では、これに限定されず、例えば、チューブの端部であってもよい。また、本発明では、下流側コネクタの構成も前記実施形態に限定されるものではない。
本発明によれば、ホルダーを装着することにより、薬液容器に接続されたコネクタがその薬液容器から脱落してしまうこと、すなわち、薬液容器の接続部に接続されたコネクタの薬液容器接続部がその接続部から離脱してしまうことを防止することができる。
そして、コネクタに複数の第1の係合部が設けられているので、形態や寸法等の異なる薬液容器の接続部にコネクタの薬液容器接続部を接続した場合でも、複数の第1の係合部のうちのいずれかに、ホルダーの第3の係合部を係合させることができ、確実に、そのホルダーを装着することができる。すなわち、共通のホルダーで、形態や寸法等の異なる複数種の薬液容器に対応することができる。
また、ホルダー側の第3の係合部ではなく、コネクタ側の第1の係合部が複数設けられているので、ホルダーを装着する操作を容易に行うことができ、また、使用しない第1の係合部が邪魔になることがなく、ホルダーを確実に装着することができる。
また、使用しない第1の係合部が邪魔になることがないので、第1の係合部を数多く設けることができ、これにより、対応可能な薬液容器の種類を多くすることができる。したがって産業上の利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. 薬液容器の接続部に着脱自在に接続され、長手形状をなす薬液容器接続部と、板状をなす複数の第1の係合部とを有するコネクタと、
    前記接続部に係合する第2の係合部と、前記複数の第1の係合部のうちのいずれかに係合する第3の係合部とを有するホルダーとを備え、
    前記薬液容器の前記接続部に前記コネクタの前記薬液容器接続部を接続した接続状態で、前記各第1の係合部は、前記薬液容器接続部の接続方向に沿って並設されており、
    前記接続状態で、前記第2の係合部を前記接続部に係合させ、前記第2の係合部が係合した前記接続部の部位の位置に応じて生じる前記コネクタと前記第3の係合部との位置関係に応じて、前記複数の第1の係合部から所定の前記第1の係合部を選択し、該第1の係合部に前記第3の係合部を係合させるよう構成されていることを特徴とする接続器具。
  2. 前記各第1の係合部は、前記コネクタの滑り止め手段を兼ねるものである請求項1に記載の接続器具。
  3. 前記第1の係合部の数は、2〜10である請求項1または2に記載の接続器具。
  4. 前記コネクタは、液体を注入する液体注入手段が接続可能な注入手段接続部を有しており、
    前記注入手段接続部は、前記薬液容器接続部の基端部から側方に向って突出するように設けられている請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具。
  5. 前記コネクタは、前記薬液容器接続部の基端側に設けられ、チューブが接続可能なチューブ接続部を有しており、
    前記各第1の係合部は、前記薬液容器接続部と前記チューブ接続部との間に設けられている請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具。
  6. 前記第3の係合部の厚さをDとしたとき、隣接する2つの前記第1の係合部の間の間隙距離は、0.96D〜2Dの範囲内の値に設定される請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具。
  7. 前記薬液容器の前記接続部は、栓体を有しており、
    前記コネクタの前記薬液容器接続部は、その先端に鋭利な針先を有するものであり、
    前記薬液容器接続部が前記栓体を刺通することにより、前記接続状態となるよう構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具。
  8. 前記ホルダーは、前記第2の係合部と前記第3の係合部とを連結する連結部を有しており、
    前記第2の係合部は、前記連結部の一方の端部から側方に向って突出するように設けられた1対の突出片を有し、
    前記第3の係合部は、前記連結部の他方の端部から側方に向って突出するように設けられた1対の突出片を有する請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載の接続器具と、
    前記コネクタよりも下流側に位置する下流側コネクタと、
    一端側が前記下流側コネクタに接続され、他端側が前記コネクタに接続されたチューブとを備えることを特徴とする輸液チューブセット。
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