JP5605900B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。
自動車エンジンからの排ガス中の炭化水素ガス(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NO)等の有害成分を除去するために、従来から様々な排ガス浄化用触媒が用いられてきた。このような排ガス浄化用触媒においては、使用時に排ガス中に含まれる硫黄(S)成分を吸蔵して次第に蓄積してしまうこと(硫黄被毒)が問題視されており、硫黄成分の蓄積を抑制するために様々な試みがなされてきた。例えば、特開2008−279319号公報(特許文献1)においては、W、Ti、Si、P及びMoのから選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物からなる酸性酸化物が担持されたアルミナを含む担体と、前記担体に担持された貴金属とを含む排ガス浄化用触媒が開示されている。そして、特許文献1においては、かかる酸性酸化物によりSOの吸着が抑制されるという旨の記載がある。しかしながら、このような特許文献1に記載のような従来の排ガス浄化用触媒においては、高温に長時間晒された後の触媒活性が必ずしも十分なものではなく、硫黄成分の蓄積の抑制と触媒活性の高温耐久性との両立の点で必ずしも十分なものではなかった。
また、排ガス浄化用触媒においては、触媒活性の観点からも様々な研究が進められてきた。例えば、特開2005−185959号公報(特許文献2)においては、貴金属と、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属化合物とを担体に担持してなり、貴金属と遷移金属化合物とが複合物を形成している排ガス浄化用触媒が開示されている。しかしながら、このような特許文献2に記載のような排ガス浄化用触媒においては、硫黄成分の蓄積を抑制するという点で必ずしも十分なものではなかった。
特開2008−279319号公報 特開2005−185959号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができ、しかも高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能な排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、リン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持された金属酸化物を担体として用い、その担体にパラジウム及び鉄を担持し、前記添加成分、前記パラジウム及び前記鉄の担持量をそれぞれ、金属換算で、前記金属酸化物100質量部に対して、0.3〜9.0質量部(添加成分)、0.1〜10質量部(パラジウム)、0.06〜2.0質量部(鉄)とした排ガス浄化用触媒により、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができ、しかも高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、リン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持された金属酸化物からなる担体と、該担体に担持されたパラジウム及び鉄とを備え、
金属換算による担持量として、前記金属酸化物100質量部に対して、前記添加成分の担持量が0.3〜9.0質量部であり、前記パラジウムの担持量が0.1〜10質量部であり且つ前記鉄の担持量が0.06〜2.0質量部であること、及び、
前記担体が、CO 昇温脱離測定による担体1gあたりのCO の脱離量を基準として求められる塩基点量が17.8〜38μmol−CO /gの担体であること、
を特徴とするものである。
このような本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記金属酸化物がアルミナを含有することが好ましい。
また、上記本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記パラジウムの一部に前記鉄の一部が固溶していることが好ましい。
さらに、上記本発明の排ガス浄化用触媒においては、酸素吸放出能を有する酸化物を更に備えることが好ましい。
なお、本発明の排ガス浄化用触媒によって、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができ、しかも高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、本発明においては、担体に、リン(P)及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持された金属酸化物を用いている。このような添加成分が金属酸化物に担持されることによって、金属酸化物の硫黄成分の吸着サイトである塩基点が低減される。そのため、このような添加成分の担持されている金属酸化物を担体に用いることにより、硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができる。なお、上記特許文献1に記載のようなMo、Ti、Si添加成分として用いた場合においても、金属酸化物の塩基点を低減させること自体は可能である。しかしながら、先ず、Moに関しては、Moが高温で蒸散してしまうことから、高温に長期間晒された後においては必ずしも十分な効果が得られない。また、Tiに関しては、Feとともに用いた場合にFeと容易に反応してFeTiOを形成してしまうことから、Feを担持するような触媒系においては、Feを担持することにより得られる効果が低減してしまい、高温に長期間晒された後に触媒活性を十分に維持することができない。更に、Siに関しては金属酸化物(例えばアルミナ)と容易に反応して比表面積を著しく低下してしまう。一方、P及びWは、高温条件下で容易に蒸散することやFeと容易に反応することといった問題がなく、しかも担体の金属酸化物と反応して比評面積を著しく低下させるとこともなく、P及び/又はWを利用することで、塩基点を効率よく低減させて硫黄成分の蓄積を抑制する効果を十分なものとすることが可能となる。本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、添加成分に関して上述のような知見を見出し、Feを担持する触媒系において金属酸化物に担持する添加成分として様々な成分の中からP及びWを選択して用いている。また、本発明においては、このような添加成分の担持量は前記金属酸化物100質量部に対して0.3〜9.0質量部である。かかる添加成分の担持量を前記範囲とすることにより、金属酸化物の塩基点の量を十分に低減させながら、比表面積を十分に維持することが可能となるため、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制しながら高温に長期間晒された後においても触媒活性が低下することを十分に抑制することが可能となる。
また、本発明においてはパラジウム(Pd)が前記金属酸化物100質量部に対して0.1〜10質量部となる割合で担体に担持されている。このようにパラジウムを用いることにより、得られる触媒に十分な排ガス浄化性能を発現させることが可能となる。また、本発明においてはPdとともに鉄(Fe)が前記金属酸化物100質量部に対して0.06〜2.0質量部となる割合で担体に担持されている。このように、本発明においては、Pdの近傍にFeが存在するため、Pdの酸化及び還元が容易となるという効果が得られ、触媒活性が十分に高度なものとなる。また、このような触媒においては、高温に晒された場合に、FeとPdとが固溶(合金化)して、FeとPdとの固溶体(合金)が形成される。このように固溶したFeにより、Pd粒子の表面ではFe−O−Pd結合が形成され、Pdの蒸発に伴うPd粒子の粒成長(シンタリング)が十分に抑制される。また、Pdに固溶したFeは、金属酸化物の表面の金属(以下、場合により単に「M」と表します。)とFe−O−M結合を形成して、PdをMに繋ぎ止めるようなアンカーとしても働くため、Pdが担体の表面を移動することに伴う粒成長も十分に抑制される。このように、本発明においては、FeによりPdの蒸散や担体上のPdの表面移動が十分に抑制されるため、高温に長時間晒された後においても触媒活性の低下が十分に抑制されるものと本発明者らは推察する。このように、本発明においては、特定量の添加成分(P、W)を担持した金属酸化物を担体として用い、その担体にPdとFeとを特定量担持しているため、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制しながら、高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能となるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができ、しかも高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能な排ガス浄化用触媒を提供することが可能となる。
製造例1で得られた金属酸化物及び製造例2〜4で得られたFeを担持した金属酸化物の比表面積を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒は、リン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持された金属酸化物からなる担体と、該担体に担持されたパラジウム及び鉄とを備え、
金属換算による担持量として、前記金属酸化物100質量部に対して、前記添加成分の担持量が0.3〜9.0質量部であり、前記パラジウムの担持量が0.1〜10質量部であり且つ前記鉄の担持量が0.06〜2.0質量部であること、
を特徴とするものである。
このような金属酸化物としては、排ガス浄化用触媒の担体に用いることが可能な金属酸化物であればよく、特に制限されず、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテニウム(Lu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)等の金属の酸化物、これらの金属の酸化物の混合物、これらの金属の酸化物の固溶体、これらの金属の複合酸化物を適宜用いることができる。また、このような金属酸化物の中でも、高温条件下において、より十分に比表面積を維持することが可能であるという観点から、アルミナを含有するものが好ましい。このようなアルミナを含有する金属酸化物としては、アルミナ、ランタン安定化活性アルミナ、アルミナ−セリア−ジルコニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア等のアルミナを含有する公知の金属酸化物を適宜用いることができるが、より高い効果が得られることから、アルミナ、ランタン安定化活性アルミナ、アルミナ−セリアがより好ましい。また、このような金属酸化物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。更に、このような金属酸化物としては、市販のものを用いてもよい。
このような金属酸化物としては、比表面積が200〜50m/gであることが好ましく、200〜100m/gであることがより好ましい。前記比表面積が前記上限を超えると、硫黄成分の付着サイトが多くなり、硫黄成分が蓄積し易くなる傾向にあり、他方、前記下限未満では、触媒性能が低下する傾向にある。なお、このような比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。なお、このようなBET比表面積は、市販の装置を利用して求めることができる。
また、本発明にかかる担体においては、前記金属酸化物にリン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持されている。このように、本発明においては、添加成分としてリン及び/又はタングステンを用いるが、このような添加成分を担持することにより、担体の比表面積が低下することや鉄と添加成分とが反応すること等を十分に抑制しながら、担体の塩基点の量を十分に低減させることができる。そのため、このような添加成分により、金属酸化物の塩基点の量を十分に低減させて硫黄成分が担体上に蓄積することを十分に高度な水準で抑制しながら、鉄を担持することにより得られる効果を十分に維持して、十分に高度な触媒活性を得ることが可能となる。また、このようなリン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分は、酸化物として担持されていてもよい。
また、このような添加成分の担持量は、金属換算で、前記金属酸化物100質量部に対して0.3〜9.0質量部である。このような担持量が前記下限未満では塩基点の量を十分に低減させることができず、硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができず、他方、前記上限を超えると、比表面積の低下及び活性サイトの被毒が発生するため、触媒活性が低下してしまう。また、このような添加成分の担持量としては、同様の点でより高い効果を得るという観点、すなわち、得られる触媒に硫黄成分の蓄積を十分に抑制する性能と触媒活性とをよりバランスよく発揮させるという観点から、前記添加成分がリンである場合、その担持量は金属換算で前記金属酸化物100質量部に対して0.3〜2.0質量部であることが更に好ましく、0.3〜1.8であることが特に好ましい。更に、前記添加成分がタングステンである場合には、その担持量は金属換算で前記金属酸化物100質量部に対して0.3〜3.0質量部であることが更に好ましく、1.0〜3.0であることが特に好ましい。このようなリン又はタングステンの担持量が前記下限未満では硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒活性が低下する傾向にある。なお、本明細書においてはリン(P)元素を金属元素として考慮して担持量を計算する。また、このような添加成分の中でも、高温条件下における酸化物の安定性の観点からは、Pが好ましい。
また、このような金属酸化物に添加成分が担持されてなる担体においては、担体の塩基点量が17.8〜38μmol−CO/gであることが好ましく、20〜30μmol−CO/gであることがより好ましい。このような塩基点量が前記下限未満では、触媒活性が低下し、触媒活性と硫黄成分の蓄積防止性能とをバランスよく発揮することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硫黄成分の蓄積を十分に抑制することが困難となる傾向にある。かかる塩基点量の値は、前記添加成分の担持量が前記金属酸化物100質量部に対して0.3〜9.0質量部となる範囲内において、担体の種類等に応じて前記添加成分の担持量を適宜変更することにより所望の値とすることができる。なお、ここにいう「塩基点」とは、CO昇温脱離測定における担体1gあたりのCOの脱離量として測定される値である。以下、CO昇温脱離測定を利用した本発明における「塩基点量」の測定方法を説明する。
このような「塩基点量」の測定方法においては、先ず、測定用の試料として担体を1g準備する。次に、H(4容量%)とN(96容量%)とからなるリッチガスと、O(4容量%)とN(96容量%)とからなるリーンガスとを60秒ごとに切り替えながら交互に供給して、前記担体にガス(前記リッチガス及び前記リーンガス)を接触させる。この際、前記担体に接触させるガス(前記リッチガス及び前記リーンガス)の温度は、初期温度を90℃とし、昇温速度を40℃/minとして600℃になるまで昇温する。そして、かかるガスの温度が600℃になった後においては、ガスの温度を600℃に保持し、前記リーンガスと前記リッチガスとを10秒ごとに切り替えながら交互に供給して、前記担体にガス(前記リッチガス及び前記リーンガス)を10分間接触させる。その後、前記リッチガス及び前記リーンガスの供給を停止し、90℃のNガスを30分間供給して、前記担体にNガスを接触させる。次に、90℃のCO(0.5容量%)とN(99.5容量%)とからなるガスを10分間供給して、前記担体にCOを含有するガスを接触させることにより、前記担体にCOを吸着させる(CO吸着処理)。その後、初期温度を90℃として40℃/minの昇温速度で600℃まで昇温しながらNガスを供給して、前記担体にNガスを接触させて、担体からCOを脱離させる(CO脱離処理)。そして、このようなCO脱離処理において、Nガスを昇温し始めた時点からガス温度が600℃になるまでの間の出ガス中のCOの量を測定する(CO昇温脱離測定)。このようなガス濃度の測定には、市販のガス測定装置(堀場製作所製の商品名「MEXA−4300FT」等)を測定装置として用いることができる。そして、このようにして測定された担体1gあたりのCOの量を、本発明においては「塩基点量」とする。なお、このような「塩基点量」の測定方法において前記担体に接触させるガスの流量は、いずれのガスも前記担体1gに対して5L/minとする。また、このような塩基点量の測定には特開2002−311013号公報に記載の反応装置を利用してもよい。
また、前記添加成分を金属酸化物に担持する方法としては特に制限されず、P及び/又はWを担持することが可能な公知の方法を適宜採用することができる。このような方法としては、例えば、Pを担持する場合にはリンの化合物を水やアルコール等の溶媒に溶解した溶液(例えばリン酸水溶液など)を用いて前記溶液を金属酸化物接触せしめて乾燥した後に焼成する方法等が挙げられ、Wを担持する場合にはタングステンの化合物(例えば、パラタングステン酸アンモニウムなど)を水やアルコール等の溶媒に溶解した溶液を用いて前記溶液を金属酸化物に接触せしめて乾燥した後に焼成する方法等が挙げられる。なお、このような乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜140℃で1〜24時間程度加熱する条件を、焼成条件としては200〜700℃で0.5〜5時間程度加熱する条件をそれぞれ採用してもよい。
また、本発明においては、前記担体にパラジウムが担持されている。このようなパラジウムの担持量は、金属換算で、前記金属酸化物100質量部に対して0.1〜10質量部である。このようなパラジウムの担持量が前記下限未満では十分な触媒活性を発揮することが困難となり、他方、前記上限を超えると、担持密度の増大によりパラジウムのシンタリングが促進され易くなるとともに、活性が飽和するためコストが増大する。また、このようなパラジウムの担持量としては、上記と同様の点でより高い効果を得るという観点から、金属換算で、前記金属酸化物100質量部に対して0.1〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることが特に好ましい。なお、このようなパラジウムは、酸化物として担持されていてもよい。
また、このように担体に担持されているパラジウムの結晶子径としては、0.1〜100nm(より好ましくは2〜20nm)であることが好ましい。このような結晶子径が前記下限未満ではメタル化速度が遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると十分な触媒活性が得られなくなる傾向にある。なお、このようなパラジウムの結晶子径は、X線回析(XRD)による測定を行って得られるパラジウムの結晶の(111)面に由来するピークの半値幅に基づいて、シェラーの式:
D=0.9λ/βcosθ
(式中、Dは粒子径を示し、λは使用X線波長を示し、βはXRDの測定試料の半値幅を示し、θは回折角を示す)
を計算することにより求めることができる。このような結晶子径を確認する際におけるX線回折測定の方法としては、測定装置として、理学電機社製の商品名「RINT−TTR」を用いて、スキャンステップ0.01°、発散及び散乱スリット1/2deg、受光スリット0.15mm、CuKα線、40kV、30mA、スキャン速度2θ=0.25°/minの条件で測定する方法を採用する。
また、前記担体にパラジウムを担持させる方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、パラジウムの化合物(例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩等のパラジウムの塩や、パラジウムの錯体など)を水やアルコール等の溶媒に溶解した溶液に、前記担体を接触させた後に乾燥し、焼成する方法を採用してもよい。なお、このような乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜140℃で1〜24時間程度加熱する条件を、焼成条件としては200〜700℃で0.5〜5時間程度加熱する条件を、それぞれ採用してもよい。
また、本発明においては、前記担体に鉄が担持されている。このように、本発明の触媒においては、前記担体にパラジウムとともに鉄が担持されているため、パラジウムの近傍に鉄が存在することとなり、パラジウムの酸化及び還元が容易となって十分に高度な触媒活性が得られ、しかも高温条件下においてパラジウムが粒成長することを十分に抑制することが可能となり、高温で長期間使用した後においても触媒活性を十分に維持することが可能である。また、このように担体に鉄が担持されると、触媒の還元性が十分に向上し、より高度な触媒性能が得られる。なお、このような鉄は、酸化物として担持されていてもよい。
このような鉄の担持量は、金属換算で前記金属酸化物100質量部に対して0.06〜2.0質量部である。このような鉄の担持量が前記下限未満では鉄を担持することにより得られる効果が不十分となり、高温条件下においてパラジウムの粒成長を十分に抑制することが困難となり、他方、前記上限を超えると高温に長期間晒された場合に担体の比表面積が低下して、十分な触媒活性が得られなくなる。また、このような鉄の担持量としては、同様の観点から、0.1〜1.7質量部であることがより好ましく、0.5〜1.0質量部であることが特に好ましい。
また、前記担体に担持されている前記鉄の担持状態は特に制限されないが、前記鉄が前記パラジウムのより近傍に担持されていることが好ましい。パラジウムのより近傍に鉄を担持させることで、パラジウムの粒成長を抑制する効果がより向上する傾向にある。
また、このような鉄を担体に担持させる方法としては特に制限されないが、例えば、鉄の化合物(例えば、炭酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、硫酸塩等の鉄の塩や鉄の錯体)を水やアルコール等の溶媒に溶解した溶液に、前記担体を接触させた後に乾燥し、焼成する方法を採用することができる。なお、このような乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜140℃で1〜24時間程度加熱する条件を、焼成条件としては200〜700℃で0.5〜5時間程度加熱する条件をそれぞれ採用してもよい。また、このような鉄の担持は前記パラジウムの担持と同時に行ってもよく、例えば、パラジウムの塩の水溶液と鉄の塩の水溶液の混合液を前記担体に接触させた後に乾燥し、更に焼成する方法を採用する方法を採用してもよい。また、担体に鉄とパラジウムとを別々に担持させる場合において、これらを担持する順序は特に制限されない。
また、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記担体に担持されている前記パラジウムの一部に、前記鉄の一部が固溶していることが好ましい。このように鉄が固溶することにより、高温条件下においてパラジウムが蒸発することが十分に抑制されるとともに固溶体中の鉄が金属酸化物の表面とも結合し得ることから、担体上をパラジウムが移動してしまうことが鉄により十分に抑制されるため、パラジウムの粒成長をより高度に抑制することができる。このような固溶体は、800℃以上で還元処理することにより生成することができ、鉄とパラジウムとを担持した触媒を高温条件下(例えば800℃以上の温度条件下)において1〜5時間使用することによっても生成することができる。なお、本発明の排ガス浄化用触媒を、例えば、自動車の排ガスを浄化するために用いた場合においては、その使用環境下においても固溶体が形成され得るため、本発明の排ガス浄化用触媒は耐久性の高い触媒として自動車の排ガスを浄化するための触媒に好適に利用することができる。また、このような固溶体の存在は、パラジウムの結晶子径を測定する際のX線回析測定と同様にしてパラジウムの結晶の(111)面に由来するピークを測定して、格子定数を求めることにより確認することができる。更に、このように固溶体に対してX線回析測定を行った場合、前記格子定数の変化からVegard則に基づいて固溶している鉄の量を求めることも可能である。このようにして求められるパラジウムに固溶している鉄の量としては、固溶体中の全金属を基準として0.1〜20at%であることが好ましい。このような鉄の固溶量が前記下限未満ではシンタリングをより高い水準で十分に抑制することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、露出するPdの数が減少して触媒活性が低下する傾向にある。
また、本発明の排ガス浄化用触媒としては、他の成分として、酸素吸放出能を有する酸化物を更に備えることが好ましい。このような酸素吸放出能を有する酸化物を更に備えることにより、排ガス雰囲気を安定してストイキ近傍に維持することが可能となり、より高い触媒活性を得ることが可能となる。このような酸素吸放出能を有する酸化物としては、酸素吸放出能(OSC能)により、リーン雰囲気で酸素を吸収し、リーン雰囲気で酸素を吸収しリッチ雰囲気で酸素を放出することができるものであることが好ましい。また、このような酸素吸放出能を有する酸化物としては、触媒分野において、いわゆるOSC材として利用されている公知の金属酸化物を適宜用いることができ、特に制限されず、例えば、セリア(CeO)、セリア−ジルコニア(CeO−ZrO)複合酸化物等が挙げられる。また、このような酸素吸放出能を有する酸化物としては、ランタン、イットリウム、ネオジム、プラセオジム等の希土類元素が担持されたものであってもよい。このように希土類元素が担持されたものを用いることにより、高温条件下における比表面積の低下をより十分に抑制できる傾向にある。
また、このような酸素吸放出能を有する酸化物(第二成分)の含有量は、前記担体と前記担体に担持されている前記パラジウム及び前記鉄とからなる触媒(第一成分)100質量部に対して、1〜500質量部であることが好ましく、100〜300質量部であることがより好ましい。このような酸素吸放出能を有する酸化物(第二成分)の含有量が前記下限未満ではOSC性能により雰囲気調整を行う効果が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコート層の厚さの増大により圧損が増大する傾向にある。なお、このような酸素吸放出能を有する酸化物としては市販のものを用いてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1〜4)
金属酸化物としてLaを3質量%(Laとして1.5質量%)含有するγ−アルミナ(La安定化活性アルミナ)を用い、製造例1(Feの担持量0.00質量部)においては、前記金属酸化物に対してFeを担持することなく、前記金属酸化物をそのまま用い、製造例2〜4においては、前記金属酸化物に対して鉄の担持量が下記表1に記載の割合となるようにして、前記金属酸化物を硝酸鉄水溶液中に分散させた後、加熱して水を蒸発させ、120℃で5時間乾燥し、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成して、Feが担持された金属酸化物(Fe担持体)をそれぞれ得た。
Figure 0005605900
[金属酸化物(製造例1)とFe担持体(製造例2〜4)の特性の評価]
製造例1で得られた金属酸化物及び製造例2〜4で得られたFe担持体をそれぞれ用いて比表面積を測定した。すなわち、先ず、製造例1で得られた金属酸化物及び製造例2〜4で得られたFe担持体に対して、大気中、1000℃の温度条件で5時間加熱する耐久試験(I)を行った後、測定装置としてマイクロデータ社製の商品名「全自動表面積計」を用いてBET等温吸着式に基づいて比表面積を求めた。得られた結果を図1に示す。
図1に示す結果からも明らかなように、耐久試験(I)の後においても、十分に比表面積を維持する(例えば、比表面積を90m/g以上に維持する)という観点からは、Feの担持量を金属換算で金属酸化物100質量部に対して2.0質量部以下とする必要があることが分かった。
(製造例5〜7)
先ず、製造例1で採用した方法と同様の方法を採用して金属酸化物(La安定化活性アルミナ)を得た。次いで、前記金属酸化物に対するリン(P)の担持量が下記表2に記載の割合となるようにして、前記金属酸化物をリン酸水溶液中に分散させた後、加熱して水を蒸発させた後、120℃で5時間乾燥し、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成して、Pが担持された金属酸化物(P担持体)をそれぞれ得た。
Figure 0005605900
(製造例8〜10)
先ず、製造例1で採用した方法と同様の方法を採用して金属酸化物(La安定化活性アルミナ)を得た。次いで、前記金属酸化物に対するタングステン(W)の担持量が下記表3に記載の割合となるようにして、前記金属酸化物をパラタングステン酸アンモニウム水溶液中に分散させた後、加熱して水を蒸発させた後、120℃で5時間乾燥し、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成して、Wが担持された金属酸化物(W担持体)をそれぞれ得た。
Figure 0005605900
[金属酸化物(製造例1)とP又はW担持体(製造例5〜10)の特性の評価]
製造例1で得られた金属酸化物、製造例5〜7で得られたP担持体及び製造例8〜10で得られたW担持体をそれぞれ1g準備し、上述の塩基点量の測定方法と同様の方法を採用して塩基点量を測定した。なお、かかる塩基点量の測定方法に際してガス濃度の測定には堀場製作所製の商品名「MEXA−4300FT」を測定装置として利用した。得られた測定結果を表4に示す。
Figure 0005605900
(実施例1)
先ず、製造例5で得られたPが担持された金属酸化物を担体として用いて、以下のようにして、担体にパラジウム(Pd)を担持した後に鉄(Fe)を担持して触媒(第一成分)を製造した後に、得られた触媒(第一成分)に対してランタン及びイットリウムを含有するセリア−ジルコニア複合酸化物(第二成分)を混合して排ガス浄化用触媒を得た。すなわち、先ず、パラジウムの担持量が担体中の金属酸化物100質量部に対して1.00質量部(金属換算)となるようにして、前記担体を硝酸パラジウム水溶液中に分散させ、加熱して水を蒸発させた後、120℃で5時間乾燥し、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成する工程(パラジウム担持工程)を実施して、パラジウムが担持された担体を得た。次に、鉄の担持量が担体中の金属酸化物100質量部に対して0.54質量部(金属換算)となるようにして、前記パラジウムが担持された担体を硝酸鉄水溶液中に分散させ、加熱して水を蒸発させた後、120℃で5時間乾燥し、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成する工程(鉄の担持工程)を実施して、担体にパラジウムと鉄とが担持された触媒(第一成分)を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
次いで、得られた触媒(第一成分)に対して、触媒100質量部に対する質量比が60質量部となる割合で、CeO(60wt%)、ZrO(30wt%)、La(3wt%)、Pr(7wt%)からなるセリア−ジルコニア複合酸化物を混合して、排ガス浄化用触媒を得た。
(実施例2)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例6で得られたPが担持された金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(実施例3)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例7で得られたPが担持された金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(実施例4)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例8で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例1)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例1で得られた金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例2)
鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例3)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例6で得られたPが担持された金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例4)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例7で得られたPが担持された金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例5)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例8で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例6)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例9で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例7)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例10で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用い、且つ、鉄の担持工程を実施せずに担体にパラジウムのみを担持した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例8)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例1で得られた金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例9)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例9で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
(比較例10)
製造例5で得られたPが担持された金属酸化物の代わりに製造例10で得られたWが担持された金属酸化物を担体として用いた以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた触媒(第一成分)中の各成分の金属酸化物100質量部に対する担持量を表5に示す。
[実施例1〜4及び比較例1〜10で得られた排ガス浄化用触媒の特性の評価]
〈耐久試験(II)〉
実施例1〜4及び比較例1〜10で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ用いて、以下のようにして耐久試験(II)を行った。すなわち、各触媒2.5gに対して、1000℃の温度条件下においてガス流量が0.5L/分となるようにして、H(5容量%)とHO(3容量%)とN(残部)とからなるリッチガスと、O(5容量%)とHO(3容量%)とN(残部)とからなるリーンガスとを5分ごとに切り替えながら交互に供給して、各触媒にガス(リッチガス及びリーンガス)を5時間接触せしめた。
〈NOx浄化活性の測定試験〉
上記耐久試験(II)を実施した後の実施例1〜4及び比較例1〜10で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ1g用い、以下のようにしてNOx20%浄化温度を測定した。すなわち、先ず、触媒を1gに対して、O(0.43容量%)、NO(0.12容量%)、CO(1.12容量%)、C(0.17容量%C(炭素原子換算による容量%))、HO(10容量%)、CO(10容量%)及びN(残部)からなるガスを、20L/minの流量で110℃(初期温度)から12℃/分の昇温速度で昇温しながら接触させて、触媒に接触した後のガス(出ガス)中のNOxの濃度を測定して、触媒に接触する前のガス中のNOx量を基準として、NOxが20%浄化されている温度(NOx20%浄化温度)を求めた。各触媒のNOx20%浄化温度を表5に示す。
〈硫黄成分の蓄積量の測定〉
上記耐久試験(II)を実施した後の実施例1〜4及び比較例1〜10で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ1g用い、以下のようにして硫黄成分の蓄積量を測定した。すなわち、先ず、触媒1gに対してHO(10容量%)とCO(10容量%)とN(残部)とからなるガスを25L/minの流量で接触させた。なお、この際のガスの温度は、初期温度を90℃とし、昇温速度40℃/minとして780℃になるまで昇温し、780℃で20分間保持した後、ガスの温度を480℃に変更して5分間保持した(前処理)。
次に、H(0.3容量%)、O(0.1容量%)、HO(10容量%)、CO(10容量%)、SO(20ppm)及びN(残部)からなるリッチガスと、H(0.2容量%)、O(0.15容量%)、HO(10容量%)、CO(10容量%)、SO(20ppm)及びN(残部)からなるリーンガスとを、ガス温度を480℃に保持しながら、30秒ごとに切り替えて交互に15分間供給し、前処理後の触媒1gに対して25L/minの流量でガス(前記リッチガス及び前記リーンガス)を接触させた(硫黄被毒処理)。そして、このような硫黄被毒処理中において、触媒に接触した後のガス(出ガス)中のSOの量を測定し続け、出ガス中のSOの量の積算量を求め、SOの全供給量と前記積算量との差に基づいて触媒に蓄積したSOの量を算出し、硫黄(S)の蓄積量(μmol/g)を測定した。
Figure 0005605900
表5に示した結果から明らかなように、本発明の排ガス浄化用触媒を用いた場合(実施例1〜4)には、NOx20%浄化温度が414.8℃以下と十分に低い温度となっており、しかも硫黄成分の蓄積量も40.4μmol/g以下と低い値を示していることから、高温の耐久試験(耐久試験(II))の後においても、触媒活性と硫黄成分の蓄積を抑制する性能とを十分に高い水準でバランスよく発揮できることが確認された。
これに対して、比較のための排ガス浄化用触媒を用いた場合(比較例1〜10)には、触媒活性の高温耐久性と硫黄成分の蓄積を抑制する性能とをバランスよく発揮することができないことが分かった。特に、添加成分(P及びW)を担持していない金属酸化物(製造例1)を担体として用いた場合(比較例1及び8で得られた排ガス浄化用触媒の場合)においては、硫黄成分の蓄積量が60.0μmol/g以上となっており、硫黄成分の蓄積を十分に抑制できないことが分かった。また、比較例1〜7で得られた排ガス浄化用触媒の結果から、Feを担持せずにパラジウムと添加成分(P及びW)とを担持した場合には、耐久試験後の触媒活性が低下し、触媒活性の高温耐久性が低下することが分かった。また、添加成分(P及びW)の担持量が9.0質量部を超えている担体(製造例8及び9)を用いた場合(比較例6〜7及び比較例9〜10で得られた排ガス浄化用触媒の場合)には、担体に鉄を担持した場合(比較例9〜10)においてもNOx20%浄化温度が464.8℃以上となっており、触媒活性の高温耐久性が十分なものとならないことが分かった。また、担体にFeを担持していない比較例2〜5で得られた排ガス浄化用触媒と実施例1〜4で得られた本発明の排ガス浄化用触媒の結果に基づいて、同じ担体を用いた場合の効果の違いを検討すると、添加成分(P及びW)とともにFeを担持することにより、触媒活性の高温耐久性と硫黄成分の蓄積を抑制する性能とがより高度な水準でバランスよく向上されることが分かった。このような結果から、鉄を担持するとともに、添加成分(P及びW)の担持量を0.3〜9.0質量部とすることにより、触媒活性の高温耐久性と硫黄成分の蓄積量を十分に低減させる性能とがバランスよく達成されることが分かった。なお、表5に示す結果と図1に示す結果とを併せ勘案すれば、鉄を担持した効果を十分に得ながら比表面積を十分に維持するという観点からは、Feを金属換算で金属酸化物100質量部に対して少なくとも0.06質量部以上担持する必要があることが分かる。さらに、表5に示す結果と表4に示す結果とを合わせ勘案すると、添加成分(P及びW)を担持することで金属酸化物の塩基点量が低下することが確認され、塩基点量が17.8〜40.0μmol−CO/gの範囲にある担体(製造例5〜8)を用いて鉄を担持した場合に、触媒活性の高温耐久性と硫黄成分の蓄積量を十分に低減させる性能とがバランスよく達成されることも分かった。
〈X線回折(XRD)測定〉
実施例1で得られた排ガス浄化用触媒(Feの担持量:0.54質量部)及びFeを担持していない比較例1で得られた排ガス浄化用触媒(Feの担持量:0.00質量部)をそれぞれ用いて、各触媒にそれぞれ上記耐久試験(II)を実施した後、各触媒中のパラジウムの(111)面に帰属されるXRDパターンを測定し、かかるXRDパターンの半値幅に基づいて、各触媒中のパラジウムの結晶子径及びパラジウムへの鉄の固溶率(固溶体中の全原子に対するFeの含有量)を算出した。なお、このようなX線回折によるXRDパターンの測定は、測定装置として、理学電機社製の商品名「RINT−TTR」を用いて、スキャンステップ0.01°、発散及び散乱スリット1/2deg、受光スリット0.15mm、CuKα線、40kV、30mA、スキャン速度2θ=0.25°/minの条件で行った。得られた結果を表6に示す。Feの固溶率はVegard則に基づいて算出した。
Figure 0005605900
表6に示す結果からも明らかなように、Feが金属酸化物100質量部に対して0.54質量部担持された実施例1で得られた排ガス浄化用触媒においては、パラジウムの結晶子径が30nmとなっているのに対して、Feを担持していない比較例1で得られた排ガス浄化用触媒においてはパラジウムの結晶子径が41nmとなっており、Feを担持することによりパラジウムの粒成長(シンタリング)を十分に抑制できることが確認された。また、実施例1で得られた排ガス浄化用触媒においてはFeの固溶率(固溶体中の全原子に対するFeの含有量)が3.4at%となっていた。このような結果から、固溶したFeにより、Pd粒子の表面においてはFe−O−Pd結合が形成されるとともに、金属酸化物の表面の金属(M)においてFe−O−M結合が形成され、FeがPdをMに繋ぎ止め、Pdの蒸発やPdが担体の表面を移動することに伴うPdの粒成長が十分に抑制され、高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能となるものと本発明者らは推察する。
以上説明したように、本発明によれば、触媒への硫黄成分の蓄積を十分に抑制することができ、しかも高温に長期間晒された後においても十分に高度な触媒活性を示すことが可能な排ガス浄化用触媒を提供することが可能となる。このように、本発明の排ガス浄化用触媒は、高温耐久性に優れるとともに硫黄被毒を十分に防止できるため、特に自動車からの排ガスを浄化するための触媒等として有用である。

Claims (4)

  1. リン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が担持された金属酸化物からなる担体と、該担体に担持されたパラジウム及び鉄とを備え、
    金属換算による担持量として、前記金属酸化物100質量部に対して、前記添加成分の担持量が0.3〜9.0質量部であり、前記パラジウムの担持量が0.1〜10質量部であり且つ前記鉄の担持量が0.06〜2.0質量部であること、及び、
    前記担体が、CO 昇温脱離測定による担体1gあたりのCO の脱離量を基準として求められる塩基点量が17.8〜38μmol−CO /gの担体であること、
    を特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記金属酸化物がアルミナを含有することを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記パラジウムの一部に前記鉄の一部が固溶していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 酸素吸放出能を有する酸化物を更に備えることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
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