JP5605334B2 - 多相回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多相回転機の駆動を制御する制御装置に関する。
従来、複数組の巻線組を有する多相回転機の駆動装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この電動機駆動装置は、複数のインバータの一部が故障した場合、故障したインバータから複数の巻線組への電力供給を停止し、故障したインバータ以外の正常なインバータから対応する巻線組への電力供給を行う。一部のインバータが故障しても正常なインバータだけで駆動することにより、電動機を継続して運転することができる。
特許文献2に記載の多相回転機の制御装置は、2系統のインバータのうち一方の系統のインバータ、又は対応する巻線組でショート故障が発生したとき、多相回転機の回転に伴って発生する逆起電圧によって生ずるブレーキトルクを抑制することを課題としている。そして、このブレーキトルクを打ち消すように制御して正常系統のインバータを駆動することで、多相回転機の出力トルクの脈動の低減を図っている。
特開2005−304119号公報 特開2011−078230号公報
ところで、故障した系統の電力変換器への出力を停止したとしても、正常系統の電力変換器の駆動により多相回転機が回転することによって、或いは、負荷側から多相回転機が回転されることによって、故障系統の巻線組に逆起電力が発生し、巻線および電力変換器のブリッジ回路に電流が流れる。そして、この電流による発熱が過剰となると、素子の故障や破損等を招くおそれがある。
しかし、特許文献1、2の従来技術では、故障した系統の電力変換器または対応する巻線組で発生する電流による発熱への対応については何ら考慮されていない。
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、2組の巻線組を有する多相回転機の駆動を制御する、2系統の電力変換器を備えた制御装置において、故障した系統の電力変換器または対応する巻線組で発生する電流を抑制し、過剰な発熱を防止することである。
請求項1に記載の発明は、複数相の巻線から構成される巻線組を2組有する多相回転機の駆動を制御する制御装置に係る発明である。
この制御装置は、2系統の電力変換器と、故障検出手段と、回転数検出手段と、制御部とを備える。
2系統の電力変換器は、2組の巻線組に対応して設けられ、2組の巻線組に電力を供給する。
故障検出手段は、電力変換器または巻線組について、多相回転機にブレーキ電流が流れる故障を検出する。
回転数検出手段は、多相回転機の回転数を検出する。
制御部は、多相回転機に対する電流指令値を演算し、電流指令値の上限である出力制限値を設定することで、電力変換器への出力を制御する。
制御部は、故障検出手段によっていずれか一方の系統の電力変換器または対応する巻線組の故障が検出されたとき、故障系統の電力変換器への出力を停止し、且つ、正常系統の電力変換器への出力について、回転数検出手段が検出した回転数が高いほど出力制限値を小さくするように出力制限値を設定する。
制御部は、故障した系統の電力変換器への出力を停止するので、まず、故障系統における直接の駆動電流による発熱を排除することができる。
しかし、正常系統の電力変換器が多相回転機を駆動することによって、或いは、負荷側から多相回転機が回転されることによって、故障系統の電力変換器に逆起電圧が発生し電流が流れる。この電流は、多相回転機の回転数が高いほど大きくなる。
そこで、制御部は、さらに正常系統の電力変換器への出力について、多相回転機の回転数が高いほど出力制限値を小さくするように出力制限値を設定する。これにより、逆起電圧によって発生する電流を抑制し、故障系統における過剰な発熱を防止することができる。
ここで回転数と出力制限値との関係パターンとしては、回転数を横軸、出力制限値を縦軸に取ると、(a)負の傾きが略一定で略直線的に単調減少するパターン、(b)回転数がある閾値以下の領域では負の傾きがゼロまたは相対的に小さく、回転数がある閾値を超えると負の傾きが相対的に大きくなる折れ線形のパターン、(c)略反比例形のパターン、等を例示することができる。
上記の請求項1に記載の発明は、多相回転機の回転数と逆起電圧による電流との間に正の相関があることを前提とし、回転数に基づいて出力制限値を設定する。それに対し、次の請求項2に記載の発明は、回転数に基づいて逆起電圧による電流推定値を一旦算出し、さらに電流推定値から出力制限値を設定するものである。
請求項2に記載の発明によると、制御部は電流推定手段を有する。電流推定手段は、故障検出手段によっていずれか一方の系統の電力変換器または対応する巻線組の故障が検出されたとき、回転数検出手段が検出した回転数に基づいて故障系統の電力変換器または対応する巻線組に流れる電流値を推定する。
電流推定手段は、回転数に基づいて所定の計算式で電流値を算出してもよく、或いは、予め記憶した回転数−電流マップを参照して電流値を推定してもよい。
そして、制御部は、正常系統の電力変換器への出力について、電流推定手段が推定した電流値が高いほど出力制限値を小さくするように出力制限値を設定する。
これにより、逆起電圧によって発生する電流をより正確に抑制し、故障系統における過剰な発熱を防止することができる。
請求項3に記載の多相回転機の制御装置は、2系統の電力変換器から2組の巻線組に通電される相電流を系統毎に検出する電流検出手段を備え、故障検出手段は、電流検出手段が検出した電流検出値に基づいて故障を検出する。
請求項1に記載の「多相回転機にブレーキ電流が流れる故障」の具体例として、電力変換器を構成するスイッチング素子のショート故障や巻線の天絡、地絡等が挙げられる。この場合、相電流を系統毎に検出することで、故障を検出することができる。
なお、「多相回転機にブレーキ電流が流れる故障」を検出するその他の例として、電力変換器への入力電圧を系統毎に検出してもよい。或いは、多相回転機が駆動する負荷のトルクを検出し、例えば高周波のトルクリップルを検出したとき故障と判定してもよい。
請求項4に記載の発明は、電動パワーステアリング装置に係る発明である。この電動パワーステアリング装置は、運転者の操舵を補助するためのアシストトルクを発生する多相回転機と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多相回転機の制御装置と、多相回転機の回転をステアリングシャフトに伝達する動力伝達手段とを備える。
車両の運転者の操舵をアシストする電動パワーステアリング装置では、運転者がステアリングシャフトを操舵することにより、負荷側から多相回転機が回転されることがある。したがって、本発明の制御装置を含む構成とすることで、電力変換器の一方の系統でショート故障が発生した場合、故障した系統における過剰な発熱を防止することができる。
本発明の一実施形態による多相回転機の制御装置により制御される2系統インバータの回路模式図。 本発明の一実施形態による多相回転機の制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の概略構成図。 本発明の一実施形態による多相回転機の制御装置のブロック図。 ショート故障時の電流の流れを説明する説明図。 (a)、(b)、(c):電流推定値(または回転数)に対する出力制限値の設定例を示す図。 (d):回転数と電流推定値との関係を示す特性図。
以下、本発明による多相回転機の制御装置を車両の電動パワーステアリング装置に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による多相回転機の制御装置について、図1〜図5を参照して説明する。
図2は、電動パワーステアリング装置1を備えたステアリングシステム90の全体構成を示す。ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ94が設置されている。ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の直線運動変位に応じた角度について一対の車輪98が操舵される。
電動パワーステアリング装置1は、回転軸を回転させるアクチュエータ2、及び、回転軸の回転を減速してステアリングシャフト92に伝達する減速ギア89を含む。
アクチュエータ2は、操舵アシストトルクを発生する「多相回転機」としてのモータ80と、モータ80を駆動する「制御装置」としてのECU10とから構成される。本実施形態のモータ80は3相ブラシレスモータであり、減速ギア89を正逆回転させる。
ECU10は、制御部65、及び、制御部65の指令に従ってモータ80への電力供給を制御する「電力変換器」としてのインバータ60を含む。
回転角センサ85は、例えば、モータ80側に設けられる磁気発生手段である磁石と、ECU10側に設けられる磁気検出素子とによって構成される。
回転角センサ85は、モータ80の回転角θを検出すると共に、単位時間当たりの回転角θの変化量である角速度ωを検出する。角速度ωは、また、磁石対の数との関係から、モータ80の回転数Nに換算される。すなわち、本実施形態の回転角センサ85は、回転数センサでもあり、特許請求の範囲に記載の「回転数検出手段」に相当する。
制御部65は、回転角センサ85からの回転角信号、図示しない車速センサからの車速信号、トルクセンサ94からの操舵トルク信号、等に基づいて、インバータ60への出力を制御する。これにより、電動パワーステアリング装置1のアクチュエータ2は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクを発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
詳しくは、図1に示すように、モータ80は、2組の巻線組801、802を有する。第1巻線組801は、U、V、W相の3相巻線811〜813から構成され、第2巻線組802は、U、V、W相の3相巻線821〜823から構成される。インバータ60は、第1巻線組801に対応して設けられる第1系統インバータ601と、第2巻線組802に対応して設けられる第2系統インバータ602から構成される。ここで、インバータ、及びそのインバータと対応する3相巻線組の組合せの単位を「系統」という。
ECU10は、第1系統電源リレー521、第2系統電源リレー522、コンデンサ53、第1系統インバータ601、第2系統インバータ602、第1系統電流検出器701、第2系統電流検出器702、及び制御部65等を備えている。電流検出器701、702は、特許請求の範囲に記載の「電流検出手段」に相当し、インバータ601、602が巻線組801、802に供給する相電流を系統毎に検出する。
バッテリ51は、例えば12Vの直流電源である。電源リレー521、522は、バッテリ51からインバータ601、602への電力供給を系統毎に遮断可能である。
コンデンサ53は、バッテリ51と並列に接続され、電荷を蓄え、インバータ601、602への電力供給を補助したり、サージ電流などのノイズ成分を抑制したりする。
第1系統インバータ601は、第1巻線組801の各巻線811〜813への通電を切り替えるべく、6つのスイッチング素子611〜616がブリッジ接続されている。本実施形態のスイッチング素子611〜616は、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)である。以下、スイッチング素子611〜616をMOS611〜616という。
高電位側のMOS(以下「上MOS」という)611〜613は、ドレインがバッテリ51の正極側に接続されている。また、上MOS611〜613のソースは、低電位側のMOS(以下「下MOS」という)614〜616のドレインに接続されている。下MOS614〜616のソースは、電流検出器701を構成する電流検出素子711〜713を介してバッテリ51の負極側に接続されている。上MOS611〜613と下MOS614〜616との接続点は、それぞれ、巻線811〜813の一端に接続されている。
電流検出素子711〜713は、それぞれ、第1系統U、V、W相の巻線811〜813に通電される相電流を検出する。
また、第1系統インバータ601の電源ラインとグランドラインとの間の所定分圧によって、入力電圧Vr1が検出される。
第2系統インバータ602についても、スイッチング素子(MOS)621〜626、電流検出器702を構成する電流検出素子721〜723の構成、及び入力電圧Vr2を検出する構成は、第1系統インバータ601と同様である。
制御部65は、マイコン67、駆動回路(プリドライバ)68等で構成される。マイコン67は、トルク信号、回転角信号等の入力信号に基づき、制御に係る各演算値を制御演算する。駆動回路は、MOS611〜616、621〜626のゲートに接続され、マイコン67の制御に基づいてスイッチング出力する。
次に、ECU10の制御ブロック図を図3に示す。図3では、ECU10の中で、特に制御部65(2点鎖線で示す)の構成について詳しく説明する。
制御部65は、第1系統、第2系統のそれぞれについて、電流指令値演算手段151、152、3相2相変換手段251、252、制御器301、302、2相3相変換手段351、352、及び故障検出手段751、752を含む。また、制御部65は、トルクセンサ94からの信号に基づき故障を検出する故障検出手段753を含む。
電流指令値演算手段151、152は、それぞれ、回転角センサ85による回転角θ、車速センサによる車速Vdc、トルクセンサ94による操舵トルクTq*の各信号が入力される。これらの入力信号に基づいて、電流指令値演算手段151は、第1系統のd軸電流指令値Id1*、及びq軸電流指令値Iq1*を演算し、電流指令値演算手段152は、第2系統のd軸電流指令値Id2*、及びq軸電流指令値Iq2*を演算する。
ここで、d軸電流指令値Id1*、Id2*は、磁束の向きに平行なd軸電流(励磁電流もしくは界磁電流)についての電流指令値であり、q軸電流指令値Iq1*、Iq2*は、d軸と直交するq軸電流(トルク電流)についての電流指令値である。
出力制限手段201、202は、いずれかの系統の故障が検出されたとき、故障していない正常系統について電流指令値の上限である出力制限値を設定する。この出力制限に係る具体的な作用については後述する。
そして、出力制限手段201は、第1系統について電流指令値Id1*、Iq1*が出力制限値を超える場合には、出力制限値以下の値に補正し、補正後の電流指令値Id1**、Iq1**を制御器301に指令する。一方、電流指令値Id1*、Iq1*が出力制限値以下の場合には、電流指令値Id1*、Iq1*をそのまま電流指令値Id1**、Iq1**として制御器301に指令する。また、出力制限手段202は、第2系統について同様に、電流指令値Id2*、Iq2*が出力制限値を超える場合には、出力制限値以下の値に補正し、補正後の電流指令値Id2**、Iq2**を制御器302に指令する。一方、電流指令値Id2*、Iq2*が出力制限値以下の場合には、電流指令値Id2*、Iq2*をそのまま電流指令値Id2**、Iq2**として制御器302に指令する。
次に、系統毎に実行される電流フィードバック制御に係る構成を説明する。
第1系統について、3相2相変換手段251は、回転角センサ85からフィードバックされた回転角θに基づき、電流検出器701が検出した3相の相電流検出値Iu1、Iv1、Iw1を、d軸電流検出値Id1およびq軸電流検出値Iq1に変換する。
制御器301には、d軸電流の補正指令値Id1**と検出値Id1との差分、及び、q軸電流の補正指令値Iq1**と検出値Iq1との差分がそれぞれ入力される。制御器301は、この差分を0(ゼロ)に収束させるように電圧指令値Vd1、Vq1を演算する。
制御器301は、例えば、PI(比例積分)制御演算等であって、比例ゲインと積分ゲインとに基づいて電圧指令値Vd1、Vq1を演算する。
2相3相変換手段351は、回転角センサ85からフィードバックされた回転角θに基づき、2相の電圧指令値Vd1、Vq1をU相、V相、W相の3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1に変換して第1系統インバータ601に出力する。
インバータ601が3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1に従ってモータ80に相電流Iu1、Iv1、Iw1を供給することにより、電流検出値Id1、Iq1は、電流指令値Id**、Iq**に追従しようとする。
第2系統について、3相2相変換手段252、制御器302、2相3相変換手段352の構成は、第1系統と同様である。
次に、故障検出手段751、752、753について説明する。故障検出手段751、752は、系統毎に、電流検出器701、702が検出した相電流検出値およびインバータ601、602の入力電圧Vr1、Vr2に基づいて、インバータ601、602または巻線組801、802のショート故障や、コンデンサ53のショート、インバータ601への入力の地絡故障等の「逆起電圧によって多相回転機にブレーキ電流が流れる故障」を検出する。
インバータ601、602のショート故障とは、上MOS611〜613、621〜623、又は、下MOS614〜616、624〜626のいずれかで、駆動回路68からゲートにオフ信号が入力されているにもかわらず、MOSがオン状態となり、ドレイン、ソース間が導通する故障等をいう。
また、巻線組801、802のショート故障とは、いずれかの相の巻線と電源ラインとが天絡、或いは、いずれかの相の巻線とグランドラインとが地絡する故障をいう。
これらのショート故障のときには相電流検出値が異常値となるため、故障検出手段751、752は、相電流検出値が異常値であることからショート故障を検出し、且つ、いずれの系統でショート故障が発生したかを特定することができる。また、故障検出手段753は、一方の系統が故障して残りの系統のみでアシストを継続している際に、通常では生じ得ない高周波のトルクリップルが継続的に発生した場合、ショート故障と判定する。
次に、ECU10の作用について説明する。ECU10は、制御部65によって出力が制御される2系統のインバータ601、602から、対応する2組の巻線組801、802へ電力を供給し、モータ80を駆動する。電流検出器701、702は、インバータ601、602から巻線組801、802へ供給される相電流値を検出する。電流検出器701、702によって検出された相電流検出値は、制御部65にフィードバックされ、インバータ601、602への電圧指令値の算出に用いられる。
続いて、いずれか一方の系統でインバータ601、602または巻線組801、802のショート故障が発生した状況を想定する。
ここでは、第1系統のインバータ601のU相MOSがショート故障し、第2系統が正常である場合を仮定する(図3参照)。すると、第1系統の故障検出手段751は、電流検出器701によって検出された相電流検出値Iu1、Iv1、Iw1に基づいて、第1系統でショート故障が発生したことを検出する。
故障検出手段751は、ショート故障を検出すると、故障した第1系統インバータ601への出力を停止するべく、電流指令値演算手段151が指令する電流指令値Id1*、Iq1*を0にする。又は、出力制限手段201が設定する出力制限値を0とし、補正後の電流指令値Id1**、Iq1**を0としてもよい。或いは、回路上でインバータ601の電源ラインに設けられる電源リレー521を遮断したり、上MOS611〜613、下MOS614〜616を全て遮断してもよい。
これにより、インバータ601には直接の駆動電流による発熱は生じなくなる。
しかし、正常系統である第2系統インバータ602がモータ80を駆動することによって、或いは、運転者がステアリングシャフト92を操舵することにより負荷側からモータ80が回転されることによって、インバータ601には逆起電圧が発生する。この逆起電圧により、モータ80には、駆動に逆らうブレーキトルクが生じる。また、逆起電圧により、第1系統インバータ601に電流が流れ、発熱する。
ここで、図4を参照して、インバータのブリッジ回路の1相でMOSがショート故障したとき、逆起電圧によって、故障系統のインバータに電流が流れる原理を説明する。
図4に示すように、第1系統U相上MOS611がショート故障したと仮定する。V相上MOS612、W相上MOS613、及び各相下MOS614〜616は正常である。このとき、逆起電圧によって発生した電流は、<1>V相、W相の巻線812、813、<2>V相上MOS612、W相上MOS613の寄生ダイオード、<3>ショート故障したU相上MOS611、<4>U相巻線811の順に流れる。
このように故障系統のインバータ601に流れる電流は、モータ80の回転数Nが高いほど大きくなる。そこで、制御部65は、正常系統である第2系統のインバータ602について、モータ80の回転数Nに応じて出力を制限することで、インバータ601の発熱を防止する。
この出力制限に関する構成として、本実施形態では、電流推定手段401、402を備える。故障検出手段751により第1系統のショート故障が検出されたとき、正常系統である第2系統の電流推定手段402は、逆起電圧によって故障系統(第1系統)に流れる電流値Ibを、モータ80の回転数Nに基づいて推定する。ここで、図5(d)に示すように、回転数Nと電流推定値Ibとは、正の相関を有している。なお、電流推定手段402は、回転数Nに基づいて所定の計算式で電流値を算出してもよく、或いは、予め記憶した回転数−電流マップを参照して電流値Ibを推定してもよい。
そして、電流推定手段402は、推定電流値Ibを出力制限手段202に出力する。
出力制限手段202は、電流推定値Ibが高いほど出力制限値Ilimを小さくするように出力制限値Ilimを設定する。図5(a)〜(c)は、電流推定値Ibと出力制限値Ilimとの関係パターンの具体例を示すものである。本実施形態では、図5(a)〜(c)の横軸は「電流推定値Ib」であり、縦軸は「出力制限値Ilim」である。
図5(a)は、「負の傾きが略一定で略直線的に単調減少するパターン」を示している。故障系統に流れる電流の大きさに対し、発熱を線形的に抑制するのに適している。電流推定値Ibが最大許容値Ibmax以上では出力制限値Ilimを0とする。
図5(b)は、「電流推定値Ibが閾値Ibc以下の領域では負の傾きがゼロまたは相対的に小さく、電流推定値Ibが閾値Ibcを超えると負の傾きが相対的に大きくなる折れ線形のパターン」を示している。電流推定値Ibが閾値Ibc以下の小電流域では発熱に対する影響が無視できる場合に適している。
図5(c)は、「略反比例形のパターン」を示している。電流推定値Ibが大きくなっても、出力制限値Ilimを0としないため、例えば、低トルク高回転領域での駆動を維持したい場合に適している。
この他、出力制限手段202は、アクチュエータ2の使用環境や特性に応じて、適したパターンを採用することができる。
こうして、出力制限手段202が、出力制限値Ilimによって電流指令値Id2*、Iq2*を制限することで、正常系統のインバータ602への出力を制限する。これにより、逆起電圧によって発生する電流を抑制し、故障系統(第1系統)における過剰な発熱を防止することができる。
ところで、回転数Nと電流推定値Ibとは正の相関を有しているため、出力制限手段202が回転数Nに基づいて直接、出力制限値Ilimを設定することも可能である。しかし、本実施形態では、電流推定手段402を設け、回転数Nに基づいて一旦電流推定値Ibを推定した上で、出力制限手段202が、電流推定値Ibに基づいて出力制限値Ilimを設定する。これにより、逆起電圧によって発生する電流をより正確に抑制し、故障系統における過剰な発熱を防止することができる。
(その他の実施形態)
(ア)その他の実施形態では、上述のように、電流推定手段401、402を備えず、出力制限手段202が回転数Nに基づいて直接、出力制限値Ilimを設定してもよい。この場合、図5(a)〜(c)の横軸を「回転数N」として扱い、回転数Nと出力制限値Ilimとの関係パターンは、上記第1実施形態と同様に考えればよい。
これにより、制御部65の構成が簡易になる。
(イ)上記実施形態では、第1系統と第2系統との相電流の位相の関係については言及していない。3相2相変換手段251、252および2相3相変換手段351、352にフィードバックされる回転角が共に「θ」である(図3参照)ことからもわかるように、原則として、第1系統と第2系統とで同位相の電流波形を想定している。
しかし、他の実施形態では、例えば、第2系統の相電流Iu2、Iv2、Iw2が、第1系統の相電流Iu1、Iv1、Iw1に対して、振幅が同一で、位相が30°ずれるような構成としてもよい。これにより、モータ80のトルクリップル(脈動)の低減に有効である。
(ウ)ECU10の具体的な構成は、上記実施形態の構成に限らない。例えばスイッチング素子は、MOSFET以外の電界効果トランジスタやIGBT等であってもよい。
(エ)多相回転機の相の数は3相に限らず、4相以上であってもよい。
(オ)本発明の多相回転機の制御装置は、電動パワーステアリング装置用のモータの制御装置に限らず、他の多相モータまたは発電機用の制御装置として適用されてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・電動パワーステアリング装置、
2 ・・・アクチュエータ
10 ・・・ECU(制御装置)、
151、152 ・・・電流指令値演算手段、
201、202 ・・・出力制限手段、
401、402 ・・・電流推定手段、
60、601、602 ・・・インバータ(電力変換器)、
65 ・・・制御部、
701、702 ・・・電流検出器(電流検出手段)、
751、752 ・・・故障検出手段、
80 ・・・モータ(多相回転機)、
801、802 ・・・巻線組、
85 ・・・回転角センサ(回転数検出手段)、
Id1*、Id2*・・・d軸電流指令値、
Iq1*、Iq2*・・・q軸電流指令値、
Ib ・・・電流推定値、
Ilim ・・・出力制限値。

Claims (4)

  1. 複数相の巻線から構成される巻線組を2組有する多相回転機の駆動を制御する制御装置であって、
    2組の前記巻線組に対応して設けられ、2組の前記巻線組に電力を供給する2系統の電力変換器と、
    前記電力変換器または前記巻線組について、前記多相回転機にブレーキ電流が流れる故障を検出する故障検出手段と、
    前記多相回転機の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記多相回転機に対する電流指令値を演算し、前記電流指令値の上限である出力制限値を設定することで、前記電力変換器への出力を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記故障検出手段によっていずれか一方の系統の前記電力変換器または対応する前記巻線組の故障が検出されたとき、故障系統の前記電力変換器への出力を停止し、且つ、正常系統の前記電力変換器への出力について、前記回転数検出手段が検出した回転数が高いほど前記出力制限値を小さくするように前記出力制限値を設定することを特徴とする多相回転機の制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記故障検出手段によっていずれか一方の系統の前記電力変換器または対応する前記巻線組の故障が検出されたとき、前記回転数検出手段が検出した回転数に基づいて故障系統の前記電力変換器または対応する前記巻線組に流れる電流値を推定する電流推定手段を有し、
    正常系統の前記電力変換器への出力について、前記電流推定手段が推定した電流値が高いほど前記出力制限値を小さくするように前記出力制限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の多相回転機の制御装置。
  3. 2系統の前記電力変換器から2組の前記巻線組に通電される相電流を系統毎に検出する電流検出手段を備え、
    前記故障検出手段は、前記電流検出手段が検出した電流検出値に基づいて故障を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の多相回転機の制御装置。
  4. 運転者の操舵を補助するためのアシストトルクを発生する多相回転機と、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の多相回転機の制御装置と、
    前記多相回転機の回転をステアリングシャフトに伝達する動力伝達手段と、
    を備えた電動パワーステアリング装置。
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