JP5603828B2 - せん断補強部材の定着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、せん断補強部材の定着方法に関する。
構造物の老朽化や建築基準の見直し等により、既設の構造体に対してせん断補強部材を定着させるせん断補強が行われている。この種のせん断補強は、たとえば次のように行われる。まず、構造体に対してせん断補強部材を挿入するためのせん断補強部材挿入孔を形成する。次に、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入し、続いて、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を充填する。その後、グラウト材を固化させてせん断補強部材挿入孔に挿入されたせん断補強部材を構造体に定着することにより、構造体のせん断補強を行うというものである。
このせん断補強を行うにあたり、せん断補強部材挿入孔は、略水平方向に沿って形成されることが構造体の補強の観点から好適であることが多い。ここで、せん断補強部材挿入孔に充填されるグラウト材は、充填時には流動性を有しているものが好適に用いられる。このため、せん断補強部材挿入孔が略水平方向に沿って形成されていると、せん断補強部材挿入孔に充填したグラウト材がその入口から漏れてしまい、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を充填することが困難となる問題がある。
この問題に対して、せん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置するせん断補強部材の定着方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このせん断補強部材の定着方法では、既設のコンクリート構造体の一面側からせん断補強部材挿入孔を形成する。
次に、このせん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置する。続いて、グラウト材貯留手段に形成された開口部をせん断補強部材挿入孔の穿孔位置の外周に密着させて、せん断補強部材挿入孔との間に密閉空間を形成するとともに、密閉空間とせん断補強部材挿入孔とを連通するようにする。
それから、せん断補強部材挿入孔に流動性を有するグラウト材を充填し、その際にせん断補強部材挿入孔から流出するグラウト材をグラウト材貯留手段で受ける。その後、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入する。そして、せん断補強部材挿入孔をグラウト材で実質的に充填させ、グラウト材を硬化させることによって、せん断補強部材を定着させるというものである。
特開2010−13858号公報
しかし、上記特許文献1に開示されたせん断補強部材の定着方法では、グラウト材貯留手段を設置し、せん断補強部材挿入孔との間に密閉空間を形成した後、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入している。このため、せん断補強部材をグラウト材貯留手段にいったん投入する必要があるので、グラウト材貯留手段の長さをせん断補強部材の長さよりも長くしなければならず、装置が大型化してしまうとともに、余分なグラウト材は回収されるものの、大量のグラウト材を用意しなければならないという問題があった。
また、グラウト材貯留手段を設置する前にせん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入しておくことも考えられる。しかし、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入した後にグラウト材をせん断補強部材挿入孔に充填すると、グラウト材がせん断補強部材挿入孔に十分に充満しにくくなるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分構造体に定着させることができるせん断補強部材の定着方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係るせん断補強部材の定着方法は、既設のコンクリート構造体にせん断補強部材挿入孔を穿孔し、せん断補強部材挿入孔の開口部の外側にグラウト材貯留手段を設置し、グラウト材貯留手段におけるせん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面に、せん断補強部材を通過させるせん断補強部材通過孔が形成され、せん断補強部材通過孔には、流体流出防止構造が形成されており、せん断補強部材挿入孔に流動性を有する状態のグラウト材を充填し、その際にせん断補強部材挿入孔から流出するグラウト材をグラウト材貯留手段で受けておき、せん断補強部材挿入孔をグラウト材で実質的に充満させた後、せん断補強部材通過孔を介してせん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入させることにより、せん断補強部材の全体をせん断補強部材挿入孔内に挿入し、その後、グラウト材を硬化させることによりせん断補強部材をせん断補強部材挿入孔に定着させることを特徴とする。
本発明に係るせん断補強部材の定着方法においては、せん断補強部材挿入孔の開口部の外側に設置するグラウト材貯留手段におけるせん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面に、せん断補強部材通過孔が形成されている。このため、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を充満させ、グラウト材貯留手段にグラウト材が貯留された状態であっても、せん断補強部材通過孔を通過させることにより、せん断補強部材をせん断補強部材挿入孔に挿入することができる。また、せん断補強部材通過孔には、流体流出防止構造が形成されている。このため、せん断補強部材通過孔にせん断補強部材を通過させた際にも、せん断補強部材通過孔からグラウト材が流出することを防止できる。したがって、グラウト材貯留手段などの装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分構造体に定着させることができる。
ここで、流体流出防止構造は、せん断補強部材通過孔の全体に配設された弾性部材を備え、せん断補強部材が通過する領域に変形部が形成されており、せん断補強部材が流体流出防止構造における変形部を通過する際に、変形部が開口してせん断補強部材を通過可能とし、補強部材の非通過時には、変形部が閉口して、グラウト材貯留手段に溜められたグラウト材のせん断補強部材通過孔を介した流出を防止する態様とすることができる。
このように、流体流出防止構造が弾性部材を備えており、せん断補強部材が流体流出防止構造における変形部を通過する際に、変形部が開口してせん断補強部材を通過可能となることにより、グラウト材の流出を好適に防止しながら、せん断補強部材の挿入を行うことができる。
また、グラウト材貯留手段が、せん断補強部材より短くされている態様とすることができる。
このように、グラウト材貯留手段が、せん断補強部材より短くされていることにより、装置の大型化やグラウト材の使用量の増加を抑制することができる。特に、最短では、せん断補強部材の端部に定着体を取り付ける場合の定着体が入る長さとしたり、作業するために作業員の手のひらが入る長さとしたりすることができる。
さらに、せん断補強部材通過孔は、せん断補強部材通過孔が形成された面の上端部から伸びる切欠き部によって形成されている態様とすることができる。
このように、せん断補強部材通過孔が形成された面の上端部から伸びる切欠き部としてせん断補強部材通過孔が形成されていることにより、せん断補強部材をせん断補強部材通過孔に容易に挿入することができる。
そして、せん断補強部材通過孔は、せん断補強部材挿入孔の延長線上におけるせん断補強部材通過孔が形成された面に形成された貫通孔である態様とすることができる。
このように、せん断補強部材通過孔が、せん断補強部材挿入孔の延長線上におけるせん断補強部材通過孔が形成された面に形成された貫通孔であることにより、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を容易に挿入することができるとともに、せん断補強部材通過孔の開口面積を小さく抑えることができる。その結果、グラウト材貯留手段からのグラウト材の流出を好適に抑制することができる。
本発明に係るせん断補強部材の定着方法によれば、装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分構造体に定着させることができる。
補強対象となるコンクリート構造体の正面図である。 コンクリート構造体にグラウト材貯留槽を固定した状態を示す斜視図である。 せん断補強部材を定着する工程を示す工程図である。 図3に続く工程を示す工程図である。 第2の形態に係るグラウト材貯留槽を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側断面図である。 第3の形態に係るグラウト材貯留槽を示す側断面図である。 せん断補強部材を押さえ部材によって押さえる状態の例を示す図である、(a)はその分解斜視図、(b)は、その斜視図、(c)は、さらに他の押さえ部材の斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
図1は、補強対象となるコンクリート構造体の正面図であり、2室のボックスカルバートを例として示す。図1に示すように、既設のコンクリート構造体1は、鉛直外側部材11,12、鉛直内側部材13、天板部材14、および底板部材15を備えている。なお,1室のボックスカルバートであれば、鉛直外側部材11,12、天板部材14、および底板部材15から構成され、開水路であれば一般に鉛直外側部材11,12、および底板部材15から構成されている。
本実施形態では、鉛直外側部材11,12にその一側面から有底のせん断補強部材挿入孔2を穿孔し、このせん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入して定着する。せん断補強部材3は、長尺のねじ節鉄筋からなり、全長にわたって雄ねじ部が形成されている。せん断補強部材3を定着する際には、せん断補強部材3の先端部に先端定着体が取り付けられ、後端部に後端定着体が取り付けられる。これらの定着体はセラミックス製であり、防錆性を備えている。
また、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入する際には、せん断補強部材挿入孔2の開口部に対して、図2に示す本発明のグラウト材貯留手段であるグラウト材貯留槽4が取り付けられる。図2に示すように、グラウト材貯留槽4は、たとえば金属製の箱状容器であり、その上面および側面が開口している。
さらに、せん断補強部材挿入孔2の開口部に取り付けられたグラウト材貯留槽4におけるせん断補強部材挿入孔2に対向する面である対向面41には、本発明のせん断補強部材通過孔である切欠き部42が形成されている。切欠き部42は、対向面41における上端部から伸びる切欠きとして形成されており、正面視した形状が略U字形状をなしている。
また、グラウト材貯留槽4におけるにおける切欠き部42には、本発明の流体流出防止構造を構成する弾性部材であるゴム板43が取り付けられている。ゴム板43は、板状をなすとともに、正面視した形状が切欠き部42と略同一形状をなす略U字形状をなしている。ゴム部材43は切欠き部42の全体に配設されており、このゴム板43によって、切欠き部42が閉塞されている。
ゴム板43における幅方向略中央位置には、本発明の変形部となる切り込み部43Aが形成されている。この切り込み部43Aに対してせん断補強部材3を押し付けることにより、ゴム板43の切り込み部43Aが変形して開口し、この開口部分を介してゴム板43をせん断補強部材3が通過可能となる。また、せん断補強部材3の非通過時には、切り込み部43Aが閉口して、グラウト材貯留槽4に貯留されたグラウト材の切欠き部42からの流出を防止している。
さらに、グラウト材貯留槽4には、図示しないドレンコックが設けられており、ドレンコックを開放することにより、グラウト材貯留槽4に溜まったグラウト材を排出可能とされている。また、グラウト材貯留槽4の下方位置には、切欠き部42から落下する流体を受け止める容器を載置する領域が確保されている。
本実施形態において、コンクリート構造体1にせん断補強部材3を定着する際には、せん断補強部材挿入孔2に流動性を有する状態のグラウト材を充填した後、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入する。このグラウト材が固化することによって、せん断補強部材3がコンクリート構造体1に対して定着される。以下、せん断補強部材3を定着する手順について説明する。
図3は、せん断補強部材を定着する工程を示す工程図である。せん断補強部材を定着するにあたり、まず、図3(a)に示すように、コンクリート構造体1における鉛直外側部材11,12に対してせん断補強部材挿入孔2を穿孔する。せん断補強部材挿入孔2を穿孔する際には、コンクリート構造体1の表面側から穿孔を開始し、有底の孔部となるようにする。また、せん断補強部材挿入孔2における端部には、拡径孔21を形成する。
せん断補強部材挿入孔2の掘削径は、極力小さいことが施工性、経済性の観点から好適である。せん断補強部材3の径はたとえば19〜25mm程度であり、せん断補強部材挿入孔2とせん断補強部材3との間の隙間はたとえば5mm程度とすることができる。このため、たとえば具体的なせん断補強部材挿入孔2の掘削径は、たとえば29mm〜35mm程度とすることができる。
せん断補強部材挿入孔2を穿孔したら、図3(b)に示すように、せん断補強部材挿入孔2の開口端部に、グラウト材貯留槽4を取り付ける。グラウト材貯留槽4は、グラウト材貯留槽取付け部44に具備された吸盤に真空ポンプを接続し、吸盤の負圧によってせん断補強部材挿入孔2の両端に取り付けられる。あるいは、グラウト材貯留槽4を外力により押し付けてもよい。
グラウト材貯留槽4を取り付ける際には、グラウト材貯留槽4の前面開口部をコンクリート構造体1の表面に向かい合わせ、グラウト材貯留槽4の前面開口部の周囲部をコンクリート構造体1の表面に当接させる。この状態で図示しない真空吸着装置を用いてグラウト材貯留槽4をコンクリート構造体1の表面に取り付ける。
コンクリート構造体1の表面におけるグラウト材貯留槽4が取り付けられている位置の上方には、蓋部材5が設けられている。蓋部材5は、図2に示すように、蓋部材本体51と案内部材52を備えている。案内部材52は、グラウト材貯留槽4が設けられている位置の上方から側方にまで延在している。この蓋部材本体51は、グラウト材貯留槽4が設けられている高さ位置にあるせん断補強部材挿入孔2の開口部の上方からその開口部の高さ位置に下降可能とされたスライド式とされている。また、蓋部材本体51が下降することにより、蓋部材本体51によって、グラウト材貯留槽4の前面開口部が閉塞される。また、蓋部材本体51および案内部材52は、グラウト材貯留槽4に対して着脱可能とされている。
グラウト材貯留槽4の取り付けが済んだら、図示しないグラウトホースからせん断補強部材挿入孔2に対して流動性を有する状態のグラウト材Gを吐出して充填し、図3(c)に示すように、せん断補強部材挿入孔2を実質的に充満させる。グラウト材Gは、流動性のあるセメント系材料などを用いることができる。また、グラウト材Gにおける流動性とは、たとえばJAロート流下時間が15〜30秒程度となるものである。さらに、グラウト材としては、グラウト材が硬化する際の過程でのせん断補強部材3とグラウト材との一体性を確保するため、グラウト材は、無収縮性とし、その膨張縮率が0.14〜0.23%程度であるものが好適に用いられる。
グラウト材Gの充填を続けていくと、せん断補強部材挿入孔2内にグラウト材Gが充填されるとともに、グラウト材貯留槽4にグラウト材Gが満たされる。このとき、グラウト材貯留槽4における対向面41に形成された切欠き部42には、ゴム板43が設けられており、ゴム板43における切り込み部43Aは閉口したままである。このため、グラウト材貯留槽4からのグラウト材の流出が防止されている。さらに、せん断補強部材挿入孔2内には、グラウト材Gが実質的に充満し、空気がほとんど残っていない状態となる。
グラウト材の充填が完了したら、図3(d)に示すように、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入する。せん断補強部材3の先端部には、筒状の先端定着体31が取り付けられている。先端定着体31は、せん断補強部材3をグラウト材貯留槽4における切り込み部43Aに挿入する前から取り付けておくこともできるし、切り込み部43Aに挿入した後、グラウト材貯留槽4内で取り付けることもできる。また、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入する際には、せん断補強部材3の先端部をグラウト材貯留槽4におけるゴム板43の切り込み部43Aに押し付けて、そのまません断補強部材3を押し込む。
このとき、ゴム板43における切り込み部43Aの変形によりわずかな開口が形成されることがあり、この開口からグラウト材貯留槽4内のグラウト材が若干漏れることがある、しかし、グラウト材貯留槽4から漏れるグラウト材の量はわずかであることから、グラウト材貯留槽4内におけるグラウト材を貯留したままとし、せん断補強部材挿入孔2内をグラウト材で充満させた状態は十分に維持することができる。変形したゴム板43における切り込み部43Aから漏れたグラウト材は、グラウト材貯留槽4の下方に載置したバケツBによって回収することができる。また、回収したグラウト材は、可使用時間内であり、所定の流動性を維持している場合には、グラウト材貯留槽4に戻したり、あるいは他のせん断補強部材挿入孔2に利用したりして再利用することもできる。
その後、せん断補強部材3を押し込み、図4(a)に示すように、せん断補強部材3の全体をせん断補強部材挿入孔2内に挿入する。このとき、せん断補強部材3における後端部は、せん断補強部材挿入孔2における拡径孔21に突出した状態としておく。それから、せん断補強部材3における後端部に、後端定着体32を取り付ける。
後端定着体32は、略ベル型をなしており、その内側には、せん断補強部材3の後端部に形成された雄ねじ部がねじ込み可能とされた雌ねじ部が形成されている。後端定着体32をせん断補強部材3に取り付ける際には、グラウト材貯留槽4にグラウト材が満たされた状態で、グラウト材貯留槽4内に後端定着体32を一旦没入する。
次に、グラウト材貯留槽4内で後端定着体32の雌ねじ部が形成されている側を上側にし、雌ねじ部に残っている空気を排出する。あるいは、後端定着体32をグラウト材貯留槽4に没入させる前に、後端定着体32における雌ねじ部にグラウト材を充填させておき、その後に後端定着体32をグラウト材貯留槽4に没入させることできる。その後、せん断補強部材3の後端部にねじ込み、後端定着体32をせん断補強部材3に固定して取り付ける。
このとき、せん断補強部材3の雄ねじ部と後端定着体32との間にグラウト材が流入することにより、両者の間のがたつきを防止することができる。さらに、定着体31,32の内側にエポキシ樹脂を所定量注入しておくこともできる。エポキシ樹脂を注入しておくことにより、せん断補強部材3の雄ねじ部に定着体31,32の雌ねじ部をねじ込んだ際に、両者の間のがたつきをより効果的に防止することができる。ただし、エポキシ樹脂を注入しなくともよい。
後端定着体32をせん断補強部材3に取り付けたら、図4(b)に示すように、後端定着体32がせん断補強部材挿入孔2における拡径孔21に入り込む位置までせん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入する。こうして、せん断補強部材3の後端部に取り付けられた後端定着体32は、拡径孔21に収容される。それから、図4(c)に示すように、蓋部材5における蓋部材本体51を下降させて、グラウト材貯留槽4の側面開口部を閉塞する。その後、グラウト材貯留槽4に設けられたドレンコックを開放し、グラウト材貯留槽4に溜まったグラウト材をグラウト材貯留槽4から排出する。排出されたグラウト材は、可使用時間内であり、所定の流動性を維持している場合には、他のせん断補強部材挿入孔2に利用することができる。
その後、グラウト材貯留槽4の側面開口部を蓋部材5によって閉塞した状態で、図4(d)に示すように、グラウト材貯留槽4は、蓋部材本体51と案内部材52を残して取り外し、せん断補強部材挿入孔2内におけるグラウトを所定期間、たとえば1日程度養生する。さらに、養生期間が経過した後、蓋部材本体51と案内部材52とを撤去し、適宜コンクリート構造体1の表面を清掃する。こうして、せん断補強部材3の定着が完了する。
このように、本実施形態に係るせん断補強部材の定着方法においては、せん断補強部材挿入孔2の開口部の外側に設置するグラウト材貯留槽4における対向面41に、切欠き部42が形成されている。このため、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材を充満させ、グラウト材貯留槽4にグラウト材が貯留された状態であっても、切欠き部42を通過させることにより、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入することができる。また、切欠き部42には、ゴム板43が設けられている。このため、切欠き部42にせん断補強部材3を通過させた際にも、切欠き部42からグラウト材が流出することを防止できる。したがって、グラウト材貯留槽4などの装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材3をコンクリート構造体1に十分に定着させることができる。
また、切欠き部42にはゴム板43が設けられており、せん断補強部材3がゴム板43における切り込み部43Aを通過する際に、切り込み部43Aが開口してせん断補強部材3を通過可能となる。このため、グラウト材のグラウト材貯留槽4からの流出を好適に防止しながら、せん断補強部材3の挿入を行うことができる。
さらに、切欠き部42は、対向面41の上端部から伸びる略U字形状とされている。このため、せん断補強部材3を切欠き部42に挿入する際に、せん断補強部材3の先端部を上方から差し込んでいくことができる。したがって、切欠き部42に対してせん断補強部材3を容易に挿入することができる。
次に、グラウト材貯留槽の他の形態について説明する。図5(a)は、第2の形態に係るグラウト材貯留槽の正面図、(b)は側断面図である。図5に示すように、第2の形態に係るグラウト材貯留槽7は、せん断補強部材挿入孔2の開口部に取り付けられた際に、せん断補強部材挿入孔2に対向する面である対向面71に貫通孔72が形成されている。この貫通孔72は、せん断補強部材挿入孔2の延長線上に形成されている。
貫通孔72は、正面視した形状が略円形状をなしており、貫通孔72には、弾性、たとえばゴム製の閉塞部材73が取り付けられている。閉塞部材73は、正面視して略円形状をなしており、その中心部から八方に向けてそれぞれ切込みがなされている。この切り込みが形成されていることにより、閉塞部材73は、平時は閉口しているが、閉塞部材73の中心部を押圧することにより、閉塞部材73が中心部から開口する。したがって、閉塞部材73は、いわば逆止弁的な機能を発揮している。
以上の構成を有する第2の形態に係るグラウト材貯留槽7を用いた場合、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材を充填してグラウト材貯留槽7にグラウト材Gを貯留する際、閉塞部材73は閉じた状態となっている。このため、グラウト材貯留槽7からグラウト材が流出することが防止される。
また、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材Gを充填してせん断補強部材3を挿入する際には、グラウト材貯留槽7における貫通孔72を介してせん断補強部材3を挿入する。このとき、せん断補強部材3の先端部には、先端定着体を取り付けておく。また、先端定着体は、せん断補強部材3の先端が貫通孔72を通過した後に、グラウト材貯留槽7の中で取り付けることもできる。せん断補強部材3を挿入すると、図5(b)に示すように、貫通孔72に設けられた閉塞部材73が中央から開口する。この開口を通じてせん断補強部材3がグラウト材貯留槽7を貫通し、せん断補強部材挿入孔2に挿入される。
このとき、グラウト材貯留槽7に形成された貫通孔72は、せん断補強部材挿入孔2の延長線上に形成されているため、せん断補強部材3を容易に挿入することができる。このように、せん断補強部材挿入孔2の延長線上における対向面71に貫通孔72が形成されていることにより、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を容易に挿入することができるとともに、貫通孔72の開口面積を小さく抑えることができる。
その結果、グラウト材貯留槽7からのグラウト材Gの流出を好適に抑制することができる。また、閉塞部材73が開口した際のわずかな開口部からグラウト材が少量流出することが考えられるが、ここでも図3(d)に示すようにグラウト材貯留槽7の下方にバケツを載置しておくことにより、流出したグラウト材を回収することができる。
こうして、せん断補強部材3の全体が貫通孔72を貫通したら、閉塞部材73が閉口して貫通孔72を閉塞する。その後、せん断補強部材3がせん断補強部材挿入孔2に完全に挿入する手前位置でせん断補強部材3の後端部に後端定着体を取り付ける。そして、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に完全に挿入して、せん断補強部材3の定着が完了する。このように、グラウト材貯留槽7を用いた場合にも、好適にせん断補強部材3の定着を行うことができる。
さらに、第3の形態に係るグラウト材貯留槽について説明する。図6は、第3の形態に係るグラウト材貯留槽の側断面図である。図6に示すように、第3の形態に係るグラウト材貯留槽8は、せん断補強部材挿入孔2の開口部に取り付けられた際に、せん断補強部材挿入孔2に対向する面である対向面81に貫通孔82が形成されている。この貫通孔82は、せん断補強部材挿入孔2の延長線上に形成されている。
貫通孔82は、正面視した形状が略円形状をなしており、貫通孔82における外側面には、ナット部材83がたとえば溶接によって取り付けられて固定されている。ナット部材83は、せん断補強部材3に形成された雄ねじ部をねじ込み可能な雌ねじ部を備えており、せん断補強部材3を回転させながらせん断補強部材挿入孔2の方向に進行させることにより、せん断補強部材3が前進する。
さらに、グラウト材貯留槽8における貫通孔82の内側開口部には、図示しない封止部材が取り付けられている。この封止部材は、たとえば対向面81の内側面に貼り付け可能な使い捨てのシールからなり、グラウト材貯留槽8にグラウト材を貯留する前に、対向面81の内側面に貼着された状態となっている。
以上の構成を有する第3の形態に係るグラウト材貯留槽8を用いた場合、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材を充填してグラウト材貯留槽8にグラウト材Gを貯留する際、貫通孔82は、図示しない封止部材によって閉塞されている。このため、グラウト材貯留槽8にグラウト材Gを貯留した際に、グラウト材貯留槽8からグラウト材Gが流出することが防止される。
また、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入する際には、ナット部材83の外側からせん断補強部材3をナット部材83にねじ込んで前進させる。このとき、グラウト材貯留槽8における貫通孔82は、せん断補強部材挿入孔2の延長線上に形成されている。このため、せん断補強部材3をナット部材83にねじ込んで前進させることにより、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入することができる。
その後、せん断補強部材3が貫通孔82を完全に貫通したら、貫通孔82の外側から図示しない栓部材によって貫通孔82を閉塞することにより、貫通孔82からのグラウト材の流出を防止することができる。また、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に完全に挿入する手前でせん断補強部材3の後端部に後端定着体を取り付ける。そして、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に完全に挿入して、せん断補強部材3の定着が完了する。このように、グラウト材貯留槽8を用いた場合にも、好適にせん断補強部材3の定着を行うことができる。また、この形態に係るグラウト材貯留槽8では、貫通孔82をせん断補強部材3の径と略同径とすればよく、小さな径とすることができる。したがって、せん断補強部材3を挿入する際のグラウト材の流出を少なくすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、定着体としてセラミックス製のものを用いているが、金属製の定着体などを用いることもできる。また、その形状についても種々のものとすることができる。たとえば、ねじ節鉄筋に金属製の定着体などを接合したり、鉄筋の端部にねじ棒を摩擦圧接したりして取り付け、ねじ棒に定着体を接合することもできる。あるいは、定着体の形状についても板状の部材や、定着板とナットが一体となったものとすることもできる。金属製の定着体を用いる場合には、防錆のためのかぶり厚が必要となるが、充填したグラウトでかぶり厚を確保することができる。
また、上記実施形態においては、せん断補強部材3の両端部に雄ねじ部を設けるとともに、定着体に雌ねじ部を形成している。これに対して、せん断補強部材3の両端部に雌ねじ部を形成し、定着体に雄ねじ部を形成する態様とすることもできる。あるいは、せん断補強部材3の両端部に雄ねじ部と雌ねじ部とをそれぞれ形成し、これらに対応する定着体に雌ねじ部と雄ねじ部とをそれぞれ形成する態様とすることもできる。
さらに、上記実施形態ではグラウト材貯留槽4を吸盤によって取り付けているが、アンカーボルトなどの他の手段によって取り付ける態様とすることもできる。グラウト材貯留槽4が小さいと、これらの吸盤やアンカーボルトによる保持力を小さく済ませることができる。また、上記実施形態においては、切欠き部42からのグラウト材の流出を防止する流体流出防止構造としてゴム板43を用いているが、ゴム板43を複数枚重ねることができる。あるいは、ゴム板43に代えて、スポンジ等を用いることもできる。流体流出防止構造としては、弾性を有するとともに、止水性を有する素材を好適に用いることができる。ここでの止水性とは、水の止める性質ではなく、グラウト材などのスラリー状の流体を止める性質を有すれば足りるものである。
また、上記各実施形態では、切欠き部や貫通孔を1つのみ形成しているが、これらを複数形成する態様とすることもできる。切欠き部や貫通孔を複数形成しておくことにより、貫通孔の位置を精度よく形成しなくても、いずれかの貫通孔等がせん断補強部材挿入孔2の延長線上に配置することになる。したがって、貫通孔の形成位置を精度よく形成する必要が小さくなるので、グラウト材貯留槽8の形成を容易にすることができる。
さらに、上記実施形態では、切欠き部や貫通孔からのグラウト材の流出を防止するために、ゴム板やゴム製の蓋部材などを用いているが、せん断補強部材3を挿入する前後においては、グラウト材貯留槽の外側に止水シートを貼り付け、切欠き部や貫通孔からのグラウト材の流出を防止することもできる。このとき、グラウト材貯留槽を鋼製としておくことにより、止水シートとして磁石付の止水シートを用いることにより、グラウト材貯留槽に止水シートを容易に貼り付けることができる。また、複数の貫通孔を形成する場合などには、せん断補強部材3を貫通させる貫通孔の貫通孔の部分に、この止水シートを貼り付けておくことが好適である。
また、上記実施形態では、グラウト材貯留槽を取り付ける際に、真空ポンプを用いた吸盤の負圧によってグラウト材貯留槽を取り付けるグラウト材貯留槽取り付け部を用いているが、グラウト材貯留槽が小さく、軽量である場合には、その保持力も小さく済ませることができる。したがってグラウト材貯留槽をさらに簡易な構造で保持することができる。たとえば、吸盤にコックを取り付けておき、一旦真空ポンプで真空状態を形成した後、真空ポンプを取り外して真空状態を保たせる態様とすることもできる。また、複数箇所にグラウト材貯留槽を取り付ける際に、吸盤にコックを取り付けておき、複数に分岐したホースを介して真空ポンプによって吸盤を真空状態にする態様とすることもできる。
さらに、上記実施形態においては、蓋部材5として、蓋部材本体51が案内部材52に沿ってスライドするスライド式のものを用いているが、コンクリート構造体1の表面に下敷きのような薄い板を配置しておく態様とすることもできる。この場合、せん断補強部材3がせん断補強部材挿入孔2に挿入された後、グラウト材貯留槽7が取り外されない状態でグラウト材が溜まったまま、板を挟んでせん断補強部材挿入孔2内のグラウト材を数時間かけて凝固するまで初期硬化させる。グラウト材が初期硬化した後にグラウト材貯留槽を取り外し、コンクリート構造体1の表面に板が張り付いた状態としておく。その後、ビニールシート等の養生シートをテープで貼り付け、1日程度養生し、板を外して清掃し、施工を完了する態様とすることもできる。
あるいは、図7(a)に示すように、コンクリート構造体1の表面におけるせん断補強部材挿入孔2の入口部分を押さえ部材9によって押さえる態様とすることもできる。押さえ部材9は、押さえ板91を備えており、押さえ板91の表面に弾性部材としてのスプリング92が固定されて取り付けられている。
この場合、せん断補強部材挿入孔2をグラウト材で充満させた後、図7(a)に示すように、押さえ部材9をグラウト材貯留槽4の中に押し込む。このとき、スプリング92は、グラウト材貯留槽4の長さよりも短い長さに押し縮めておく。それから、図7(b)に示すように、押さえ板91によってせん断補強部材挿入孔2の入口部を閉塞する。
その後、グラウト材貯留槽4に溜まったグラウト材を排出し、グラウト材貯留槽4は取り付けたままの状態としておく。グラウト材貯留槽4から反力を取ったスプリング92の付勢力により、押さえ板91によってせん断補強部材挿入孔2の入口を閉塞した状態に維持することができる。この状態を数時間維持してグラウト材を凝縮させることにより、せん断補強部材挿入孔2内のグラウト材を初期硬化させる。
せん断補強部材挿入孔2内のグラウト材が初期硬化したら、グラウト材貯留槽4および押さえ部材9を取り外し、せん断補強部材挿入孔2の入口にビニールシート等の養生シートをテープで貼り付ける。こうして、さらに1日程度養生し、清掃し、施工を完了する態様とすることもできる。
さらに、押さえ部材9としては、図7(c)に示すように、弾性部材としてスプリングに代えてスポンジ93を用いることもできる。スポンジ93は、弾性を有する円筒形状をなしており、グラウト材貯留槽4の長さよりも長くされている。このため、グラウト材貯留槽4内に収容される際には、仮想線で示すように、円筒形状が収縮して押さえ板91に対して付勢力を付与する。このような態様とすることもできる。
また、上記実施形態では、図1に示すコンクリート構造体1における鉛直外側部材11,12における補強を行うため、コンクリート構造体1の片面側からせん断補強部材3を挿入するようにしている。これに対して、たとえば鉛直内側部材13にせん断補強部材3を挿入する際には、鉛直内側部材13の両側にグラウト材貯留槽を取り付け、その片側からせん断補強部材3を挿入する態様とすることもできる。
さらに、上記実施形態では、せん断補強部材挿入孔2に対してせん断補強部材3を1本のみ挿入しているが、複数に分割されたせん断補強部材分割部をカプラによって接続したせん断補強部材をせん断補強部材挿入孔2に挿入する態様とすることもできる。このように、複数の複数のせん断補強部材分割部を接続してせん断補強部材を形成することにより、作業領域が狭隘な場所である場合においても、せん断補強部材を容易のせん断補強部材挿入孔2に挿入することができる。
1…コンクリート構造体
2…せん断補強部材挿入孔
3…せん断補強部材
4…グラウト材貯留槽
5…蓋部材
7…グラウト材貯留槽
8…グラウト材貯留槽
9…押さえ部材
11,12…鉛直外側部材
13…鉛直内側部材
14…天板部材
15…底板部材
21…拡径孔
31…先端定着体
32…後端定着体
41,71,81…対向面
42…切欠き部
43…ゴム板
43A…切り込み部
44…グラウト材貯留槽取付け部
51…蓋部材本体
52…案内部材
71…対向面
72,82…貫通孔
73…閉塞部材
83…ナット部材
91…押さえ板
92…スプリング
93…スポンジ
B…バケツ
G…グラウト材

Claims (5)

  1. 既設のコンクリート構造体にせん断補強部材挿入孔を穿孔し、
    前記せん断補強部材挿入孔の開口部の外側にグラウト材貯留手段を設置し、
    前記グラウト材貯留手段における前記せん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面に、せん断補強部材を通過させるせん断補強部材通過孔が形成され、前記せん断補強部材通過孔には、流体流出防止構造が形成されており、
    前記せん断補強部材挿入孔に流動性を有する状態のグラウト材を充填し、その際に前記せん断補強部材挿入孔から流出するグラウト材を前記グラウト材貯留手段で受けておき、
    前記せん断補強部材挿入孔をグラウト材で実質的に充満させた後、前記せん断補強部材通過孔を介して前記せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入させることにより、前記せん断補強部材の全体を前記せん断補強部材挿入孔内に挿入し、
    その後、前記グラウト材を硬化させることにより前記せん断補強部材を前記せん断補強部材挿入孔に定着させることを特徴とするせん断補強部材の定着方法。
  2. 前記流体流出防止構造は、前記せん断補強部材通過孔の全体に配設された弾性部材を備え、前記せん断補強部材が通過する領域に変形部が形成されており、
    前記せん断補強部材が前記流体流出防止構造における前記変形部を通過する際に、前記変形部が開口して前記せん断補強部材を通過可能とし、
    前記補強部材の非通過時には、前記変形部が閉口して、前記グラウト材貯留手段に溜められたグラウト材の前記せん断補強部材通過孔を介した流出を防止する請求項1に記載のせん断補強部材の定着方法。
  3. 前記グラウト材貯留手段が、前記せん断補強部材より短くされている請求項1または請求項2に記載のせん断補強部材の定着方法。
  4. 前記せん断補強部材通過孔は、前記せん断補強部材通過孔が形成された面の上端部から伸びる切欠き部によって形成されている請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のせん断補強部材の定着方法。
  5. 前記せん断補強部材通過孔は、前記せん断補強部材挿入孔の延長線上における前記せん断補強部材通過孔が形成された面に形成された貫通孔である請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のせん断補強部材の定着方法。
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