JP5602573B2 - マグネシウム合金部材の表面処理方法 - Google Patents

マグネシウム合金部材の表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム合金部材の表面処理方法に関する。
マグネシウム合金は、軽量で大きな比強度を有するため、自動車部品や電子機器など、様々な分野において、注目が集まっている。
しかしながら、マグネシウム合金は、比較的活性が高く、酸化や腐食が生じやすいという問題がある。そこで、通常の場合、マグネシウム合金を構成部材として使用する際には、酸化や腐食を防ぐための表面処理が適用される。
表面処理は、例えば、リン酸塩、ケイ酸塩等を含む水溶液中でマグネシウム合金を加熱することにより実施される(例えば、特許文献1)。
なお、最近では、マグネシウム合金を水により蒸気養生して、水酸化マグネシウムを形成させる方法が提案されている(特許文献2)。
特開2002−322567号公報 特開2010−7147号公報
しかしながら、従来のマグネシウム合金部材の表面処理方法は、薬剤を使用するため、得られる表面処理膜中に不純物が混入するという問題がある。表面処理膜中に、このような不純物が混入すると、表面処理後のマグネシウム合金部材に、十分な耐食性が得られなくなるおそれがある。
一方、前述の特許文献2に記載の表面処理方法では、薬剤等は使用されず、水(水蒸気)のみが使用される。しかしながら、この方法で得られる表面処理されたマグネシウム合金は、未だ十分な耐食性を有するとは言い難い。
このため、現在でも、十分な耐食性が得られるマグネシウム合金部材の表面処理方法に対するニーズは大きい。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて良好な耐食性が得られる、マグネシウム合金部材の表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明では、
マグネシウム合金部材の表面処理方法であって、
(a)アルミニウムを含むマグネシウム合金部材を準備する工程と、
(b)前記マグネシウム合金部材を、170℃〜190℃の温度で、0.25MPa〜1.0MPaの圧力の水蒸気を含む環境に保持する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法が提供される。
ここで、本発明による表面処理方法において、前記マグネシウム合金部材は、1質量%〜20質量%の範囲のアルミニウムを含んでも良い。
また、本発明による表面処理方法において、前記(b)の工程により、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物を含む表面処理皮膜が形成されても良い。
また、本発明による表面処理方法において、前記(b)の工程により、1μm〜200μmの範囲の膜厚を有する表面処理皮膜が形成されても良い。
本発明では、従来に比べて良好な耐食性が得られる、マグネシウム合金部材の表面処理方法を提供することができる。
本発明によるマグネシウム合金部材の表面処理方法のフローの一例を概略的に示した図である。 サンプル1の作製に使用した表面処理装置の簡略的な断面図である。 サンプル1におけるX線回折分析結果を示した図である。 サンプル1の複合サイクル試験前(a)および後(b)の外観写真である。 サンプル1の複合サイクル試験前(a)および後(b)の表面SEM写真である。 複合サイクル試験後のサンプル1のX線回折分析結果を示した図である。 サンプル4の複合サイクル試験前(a)および後(b)の外観写真である。 サンプル5の複合サイクル試験前(a)および後(b)の外観写真である。
前述のように、マグネシウム合金は、比較的活性が高く、酸化や腐食が生じやすいという問題がある。従って、マグネシウム合金を構成部材として使用する際には、表面処理を行う必要がある。
しかしながら、従来のような、リン酸塩やケイ酸塩などを含む水溶液中で表面処理を行う方法では、得られる表面処理膜中に、使用される薬剤の成分が不純物として混入するという問題がある。表面処理膜中に、このような不純物が混入すると、表面処理後のマグネシウム合金部材に、十分な耐食性が得られなくなるおそれがある。
また、マグネシウム合金を水により蒸気養生して、水酸化マグネシウムを形成させる方法では、薬剤は使用されないものの、この方法で得られるマグネシウム合金部材は、十分な耐食性を有するとは言い難い。
本願発明者らは、このような背景の下、マグネシウム合金部材の耐食性をよりいっそう高めるため、マグネシウム合金部材の表面処理方法について様々な検討および実験を行ってきた。その結果、本願発明者らは、マグネシウム合金部材がアルミニウムを含む場合、所定の温度および圧力下の水(水蒸気)を含む環境下にマグネシウム合金部材を保持することにより、合金部材の表面に、緻密な表面処理皮膜が形成され、これにより、マグネシウム合金部材の耐食性が有意に向上することを見出した。
従って、本発明では、
マグネシウム合金部材の表面処理方法であって、
(a)アルミニウムを含むマグネシウム合金部材を準備する工程と、
(b)前記マグネシウム合金部材を、170℃〜190℃の温度で、0.25MPa〜1.0MPaの圧力の水蒸気を含む環境に保持する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法が提供される。
本願発明者らの知見では、処理温度を170℃〜190℃の範囲とし、処理圧力を0.25MPa〜1.0MPaの範囲とすることにより、表面処理後のマグネシウム合金部材の表面に、純粋な水酸化マグネシウム(Mg(OH))とともに、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物((Mg,Al)(OH))を含む表面処理皮膜が形成される。
なお、本発明による表面処理方法により、良好な耐食性を有する表面処理皮膜が形成される理由は、今のところ十分に把握されていない。しかしながら、分析結果等の検討から、以下のことが考えられる。
本発明による方法で得られる表面処理皮膜は、緻密な構造を有する。
また、表面処理皮膜は、マグネシウム合金部材の表面と平行な方向に優先配向を有する。従って、表面処理皮膜は、マグネシウム合金部材の表面に層状に形成されていると考えられる。
ここで、マグネシウムとアルミニウムとでは、価数が異なるため、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物は、アルミニウムの存在量分だけ、正の電荷を帯びる傾向にある。従って、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物が層状に形成された場合、各層と層の間には、電気的中性を維持するため、負のイオン(例えばCO 2−など)が取り込まれ易い状態となる。
このような皮膜構造では、腐食環境において、マグネシウム合金部材の腐食挙動に大きな影響を及ぼす陰イオン(例えば塩化物イオンCl、硫酸イオンSO 2−など)を皮膜内に閉じ込め、マグネシウム合金部材の側に移動することを抑制することができる。
従って、本発明では、緻密かつ層状に形成されたマグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物の存在により、マグネシウム合金部材の耐食性が向上するものと考えられる。
本発明において、マグネシウム合金部材は、1質量%〜20質量%のアルミニウムを含んでいることが好ましい。
また、本発明において、マグネシウム合金部材の表面処理によって得られる表面処理皮膜は、1μm〜200μmの範囲であっても良く、10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。膜厚が1μm未満では、表面に小さな傷が生じた場合に、この傷を起点として、侵食が始まるおそれがある。また、膜厚が200μmを超えると、熱衝撃や応力等によって、皮膜に欠陥が生じたり、皮膜が剥離したりする可能性がある。
(本発明による表面処理方法について)
以下、図面を参照して、本発明について、詳しく説明する。
図1には、本発明によるマグネシウム合金部材の表面処理方法のフローの一例を概略的に示す。
図1に示すように、本発明による方法は、
(a)アルミニウムを含むマグネシウム合金部材を準備する工程(ステップS110)と、
(b)前記マグネシウム合金部材を、170℃〜190℃の温度で、0.25MPa〜1.0MPaの圧力の水蒸気を含む環境に保持する工程(ステップS120)と、
を有する。以下、各ステップについて、詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、表面処理の適用対象となるマグネシウム合金部材が準備される。
前述のように、マグネシウム合金部材は、アルミニウムを含むマグネシウム合金で構成される。
マグネシウム合金は、例えば、AZ31(アルミニウム(2.5〜3.5質量%)−亜鉛(0.6〜1.4質量%)−マグネシウム合金)、AZ61(アルミニウム(5.5〜7.2質量%)−亜鉛(0.5〜1.5質量%)−マグネシウム合金)、AZ80(アルミニウム(7.5〜9.2質量%)−亜鉛(0.2〜1.0質量%)−マグネシウム合金)、およびAZ91(アルミニウム(8.3〜9.7質量%)−亜鉛(0.35〜1.0質量%)−マグネシウム合金)等であっても良い。
なお、マグネシウム合金部材は、例えば板状などの平坦な表面を有する形状であっても、曲面を有する形状であっても良い。また、マグネシウム合金部材は、複雑形状を有しても良い。
(ステップS120)
次に、マグネシウム合金部材が表面処理される。
表面処理は、マグネシウム合金部材を、高温高圧の水蒸気環境に保持することにより行われる。
表面処理の温度は、170℃〜190℃の範囲であり、175℃〜185℃の範囲であることが好ましい。表面処理の過熱蒸気圧力は、0.25MPa〜1.0MPaの範囲であり、0.30MPa〜0.70MPaの範囲であることが好ましい。なお、過熱蒸気圧力とは、表面処理の際に使用される水蒸気の圧力である。
このような処理は、例えば、水を含むオートクレーブ中に、マグネシウム合金部材を入れ、内部を高温高圧に保持することにより、実施することができる。
なお、表面処理の時間は、処理温度および処理圧力、ならびに要求される表面処理皮膜の膜厚によっても変化する。例えば、1μm〜200μmの厚さの表面処理皮膜を得る場合、表面処理の時間は、例えば、30分〜24時間程度である。
前述のように、本発明による方法では、マグネシウム合金部材の表面に、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物を含む、緻密な表面処理皮膜が形成され、これにより、マグネシウム合金部材の耐食性を有意に高めることができる。
また、本発明による表面処理方法では、水しか使用されず、薬剤等は使用されない。このため、形成される表面処理皮膜中に、不純物が混入することを回避することができる。
さらに、本発明のマグネシウム合金部材の表面処理方法は、表面処理の前に、予めマグネシウム合金部材の表面を洗浄しておく必要がない。これは、本発明では、表面処理反応に高温、高圧の水蒸気が使用されるためである。すなわち、本発明では、仮にマグネシウム合金部材の表面が汚染物(油脂、付着物、錆等)で汚れていたとしても、表面処理操作の開始直後に、そのような汚染物は、高温高圧の水蒸気の衝突により、容易に除去される。従って、この場合、マグネシウム合金部材は、汚染物のない表面が露出されてから、表面処理反応が開始されるようになり、最初から清浄な表面を準備しておくことが不要となる。
また、本発明の方法では、高圧の水蒸気を用いて表面処理を行うため、水蒸気は、例えば、パイプの内表面など、複雑部材の各部位に等しく供給される。このため、本発明では、複雑形状のマグネシウム合金部材にも、均一な表面処理皮膜を形成することができる。
また、従来の表面処理方法では、リン酸塩および/またはケイ酸塩などの薬剤が使用される。このため、処理後の廃液処理などの問題が生じ得る。これに対して、本発明の表面処理方法では、薬剤を使用しないため、環境に優しい方法を提供することができる。
さらに、本発明のマグネシウム合金部材の表面処理方法は、表面処理前に、予め部材の表面を活性化させる処理(例えば、ブラスト処理、酸洗浄処理など)を行う必要がない。
従って、本発明の表面処理方法では、各種前処理工程が排除され、これにより低コストでの処理が可能となる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図2に示すように、オートクレーブ100内に、ステンレス鋼製の針金110を用いて、縦40mm×横20mm×厚さ1.5mmの寸法のマグネシウム合金試料120(ケーエステクノス株式会社製、AZ31)を吊り下げた。このマグネシウム合金試料120中のアルミニウム含有量は、約3wt%である。また、マグネシウム合金試料120の下側に、水の入った容器140を配置した。
次に、オートクレーブ100内を、温度180℃、圧力0.50MPaとし、この状態で、30分間保持した。これにより、マグネシウム合金試料120の表面に、表面処理皮膜が形成された。この試料を以下、「サンプル1」と称する。
サンプル1の表面処理皮膜の膜厚を測定したところ、膜厚は、約80μmであった。なお、膜厚の測定には、光学顕微鏡(EPIPHOTO200、株式会社Nikon製)を使用した。
また、サンプル1を用いてX線回折分析を行った。
結果を図3に示す。
X線回折分析の結果、2θ=18.5°、32.8°、37.9°、50.8°、58.7°、62.1°、および72.1°の位置に、回折ピーク(図において●で表示したピーク)が観察された。これらのピークは、それぞれ、Mg(OH)の(001)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、(111)面、および(201)面に相当する。
また、X線回折分析の結果、2θ=11.3°、および22.8゜の位置にも回折ピーク(図において■で表示したピーク)が観察された。これらのピークは、それぞれ、[Mg1−xAl(OH)](CO)・nHOの(003)面、および(006)面に相当する(Z.P.Xu et al.,J.Phys.Chem.B,105,1743−1749(2001))。
なお、その他のピーク(図において▲で表示したピーク)は、マグネシウム合金試料基材のマグネシウムのピークに相当する。
この結果から、サンプル1では、表面に、水酸化マグネシウム、およびマグネシウムとアルミニウムの複合水酸化物が形成されていることがわかる。
また、図3において、58.7°でのMg(OH)の(110)面の強度は、非常に強くなっている。このことは、サンプル1の表面処理皮膜において、水酸化マグネシウムの結晶は、高い配向性を有することを示唆している。特に、(110)面は、基材であるマグネシウム合金試料の表面と平行な方向に相当する。このことから、サンプル1の表面処理皮膜は、基材上に層状に成長、形成されていることがわかる。
回折ピークの半値幅から、シェラーの式を用いて、水酸化マグネシウムの(110)面に垂直な方向の結晶子サイズを算出した。その結果、結晶子サイズは、約15.2nmと見積もられ、水酸化マグネシウムは、極めて微細な、ナノスケールオーダの結晶として形成されていることがわかった。
(実施例2)
前述の実施例1と同様の方法により、実施例2に係る表面処理試料(以下、「サンプル2」という)を作製した。
ただし、この実施例2では、オートクレーブ100内を、温度170℃、圧力0.25MPaとし、この状態で、0.5時間保持することにより、表面処理試料を作製した。表面処理皮膜の膜厚は、約60μmであった。
X線回折の結果、サンプル2においても、表面に、水酸化マグネシウム、およびマグネシウムとアルミニウムの複合水酸化物が形成されていることが確認された。
(実施例3)
前述の実施例1と同様の方法により、実施例3に係る表面処理試料(以下、「サンプル3」という)を作製した。
ただし、この実施例3では、オートクレーブ100内を、温度190℃、圧力0.70MPaとし、この状態で、0.5時間保持することにより、表面処理試料を作製した。表面処理皮膜の膜厚は、約115μmであった。
X線回折の結果、サンプル3においても、表面に、水酸化マグネシウム、およびマグネシウムとアルミニウムの複合水酸化物が形成されていることが確認された。
(比較例1)
前述の実施例1と同様の方法により、比較例1に係る表面処理試料(以下、「サンプル4」という)を作製した。
ただし、この比較例1では、オートクレーブ100内を、温度160℃、圧力0.12MPaとし、この状態で、8時間保持することにより、表面処理試料を作製した。表面処理皮膜の膜厚は、約15μmであった。
(比較例2)
前述の実施例1と同様の方法により、比較例2に係る表面処理試料(以下、「サンプル5」という)を作製した。
ただし、この比較例2では、オートクレーブ100内を、温度85℃、圧力0.05MPaとし、この状態で、1時間保持することにより、表面処理試料を作製した。表面処理皮膜の膜厚は、約20μmであった。
(耐食性評価)
次に、サンプル1〜サンプル5について、耐食性の評価を行った。
耐食性の評価は、複合サイクル試験により実施した。試験装置には、塩乾湿複合サイクル試験機(CYP−90、スガ試験機株式会社製)を使用した。
まず、5重量%の塩水溶液(関東化学株式会社製)を準備した。この溶液および各サンプルを試験装置内に配置した。
次に、試験装置内で、塩水噴霧→乾燥→湿潤の複合サイクルを25回繰り返した(総試験時間200時間)。その後、サンプル1〜サンプル5を試験装置から取り出し、試験後の各サンプルの状態を目視観察した。
複合サイクルの条件は、以下の通りである:
(i)塩水噴霧工程 35℃、2時間;
(ii)乾燥工程 60℃、25%RH、4時間;
(iii)湿潤工程 50℃、95%RH以上、2時間。
図4(a)、(b)には、それぞれ、複合サイクル試験前および後のサンプル1の状態を示す。両者の比較から、複合サイクル試験前後において、サンプル1の状態は、外観上ほとんど変化していないことがわかる。
図5(a)、(b)には、それぞれ、複合サイクル試験前および後のサンプル1の表面SEM写真を示す。両者の比較から、微細レベルにおいても、複合サイクル試験前後において、サンプル1の状態は、ほとんど変化していないことがわかる。
図6には、サンプル1の試験後のX線回折結果を示す。前述の図3との比較から、サンプル1のX線回折ピークにはほとんど変化が認められず、表面処理皮膜は、試験後にもほとんど変化していないことがわかる。
図7(a)、(b)には、それぞれ、複合サイクル試験前および後のサンプル4の状態を示す。両者の比較から、複合サイクル試験後のサンプル4には腐食が生じ、表面に腐食生成物が形成されていることがわかる。
図8(a)、(b)には、それぞれ、複合サイクル試験前および後のサンプル5の状態を示す。両者の比較から、複合サイクル試験後のサンプル5には激しい腐食が生じていることがわかる。
以上の結果から、サンプル1〜サンプル3(実施例1〜3の表面処理試料)は、サンプル4およびサンプル5(比較例4、5の表面処理試料)に比べて、良好な耐食性を有することが確認された。
表1には、各サンプルの表面処理条件と、サンプルの耐食性評価試験結果とをまとめて示した。なお、表1において、「耐食性」の欄の「◎」は、耐食性評価試験において、腐食がほとんど生じなかったことを示し、「×」は、耐食性評価試験において、相当の腐食が生じたことを示している。
(硬度評価)
次に、各サンプル1〜5の硬度評価を実施した。
硬度評価には、硬度測定器(DUR−O−Test、株式会社東洋精機製作所製)を使用した。評価は、各サンプルの約40mm×約20mmの表面に、圧子棒を用いて10Nの一定荷重を加えた後、サンプルの状態を目視観察することにより行った。具体的には、変形(窪み)が全く生じない状態を「◎」とし、変形(窪み)がほとんど生じてない状態を「○」とし、(窪み)が生じた状態を「×」とした。
結果を前述の表1に示す。
測定の結果、サンプル1〜サンプル3では、変形(窪み)が全く生じなかった。これに対して、サンプル4およびサンプル5では、大きな変形(窪み)が生じた。このことから、サンプル4およびサンプル5では、合金試料の表面に、サンプル1〜サンプル3のような緻密な表面処理皮膜が形成されていないことが予想される。
この結果は、前述の耐食性評価の結果と対応する。すなわち、サンプル4およびサンプル5の耐食性評価試験において良好な結果が得られなかったのは、サンプル4およびサンプル5の表面処理皮膜の緻密性が、サンプル1〜サンプル3に比べて劣るためであると考えられる。一方、サンプル1〜サンプル3では、表面処理後に、試料表面に緻密な表面処理皮膜が形成され、これにより、良好な耐食性が得られたものと考えられる。
本発明は、マグネシウム合金を含む各種部材、例えば、航空機のホイールおよびエンジンのギアボックスハウジング、自動車のホイール、オイルパン、自動変速機ミッションケース、およびステアリングホイール芯金、自転車のリムおよびフレーム、ならびに鉄道車両用部材等に利用することができる。
100 オートクレーブ
110 針金
120 マグネシウム合金試料
140 容器。

Claims (4)

  1. マグネシウム合金部材の表面処理方法であって、
    (a)アルミニウムを含むマグネシウム合金部材を準備する工程と、
    (b)前記マグネシウム合金部材を、170℃〜190℃の温度で、0.25MPa〜0.70MPaの過熱蒸気圧力の水蒸気を含む環境に保持する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
  2. 前記マグネシウム合金部材は、1質量%〜20質量%の範囲のアルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記(b)の工程により、マグネシウムとアルミニウムの混合水酸化物を含む表面処理皮膜が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  4. 前記(b)の工程により、1μm〜200μmの範囲の膜厚を有する表面処理皮膜が形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の表面処理方法。
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