JP5602558B2 - 減速機構付モータ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、減速機構付モータ装置に関するものである。
自動車の電動シート装置の駆動源には、車両に搭載されたバッテリなどの電源により作動する電動モータを使用した減速機構付モータ装置が用いられている。この減速機構付モータ装置には、モータの出力軸の回転数を所要の回転数に減速するための減速機構が取り付けられている。そして、減速機構付モータ装置により、シート座面が昇降動作したり、シート背面がリクライニング動作したりする。
この種の減速機構付モータ装置に関する先行文献として、モータ軸から出力された駆動トルクをウォームホイールと出力ギヤとで二段減速する減速機構付モータ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1で開示された減速機構付モータ装置は、正逆回転可能なモータ軸と、このモータ軸のウォームに噛合する大径ギヤと、該大径ギヤと同芯であって一体に回転する小径ギヤとを有したウォームホイールと、このウォームホイールの小径ギヤに噛合する出力ギヤと、これらウォーム、ウォームホイール及び出力ギヤから成る二段減速機構を収納する減速機構収納部を形成したギヤケースと、このギヤケースに締結されギヤケースの開口を覆うギヤケースカバーとを備えている。ウォームホイールは、ピン状の支軸により回転自在に支持されている。支軸の一端側はギヤケースに圧入され、他端側はギヤケースカバーに圧入されている。
特開2007−2975号公報
ところで、上述の従来技術にあっては、出力ギヤがロックすると、ウォームとウォームホイールの大径ギヤとの間、およびウォームホイールの小径ギヤと出力ギヤとの間に、各ギヤの噛み合い反力が発生する。特に、例えば負荷が大きいために各ギヤがロックした場合には、過大な噛み合い反力が発生する。この過大な噛み合い反力は、ウォームホイールを支持している支軸に対して、径方向に向かう荷重を発生させ、さらにこの荷重がギヤケースやギヤカバーに伝達される。これにより、支軸を支持するギヤケースとギヤケースカバーとの間にずれが発生するおそれがある。このとき、ギヤケースとギヤケースカバーとの間のずれに起因して、ギヤケースとギヤケースカバーとが摺動した時に雑音が発生するおそれがある。
そこで本発明は、各ギヤ間で過大な噛み合い反力が発生したときでも、ギヤケースとギヤケースカバーとの間のずれを抑制し、ギヤケースとギヤケースカバーとの摺動による雑音が発生するのを防止できる減速機構付モータ装置の提供を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係わる減速機構付モータ装置は、電動モータと、前記電動モータの動力が伝達されるウォームと、前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、前記ウォームホイールと噛み合う金属製の出力ホイールとを有する減速機構と、前記電動モータと取付けられるモータ取付部と、前記減速機構を収納する減速機構収納部と、を有するギヤケースと、平板状に形成され、前記ギヤケースの前記減速機構収納部を覆うギヤカバーと、前記ギヤケースと前記ギヤカバーとを固定する締結固定部材と、を有し、前記減速機構を介してモータの回転力を出力する減速機構付モータ装置であって、前記ギヤケースには、前記ウォームホイールを支持するウォームホイール軸の一端を保持するための軸受部と、前記出力ホイールを回転可能に保持するための出力取出孔と、が形成され、前記ギヤカバーには、前記ウォームホイールを軸支するウォームホイール軸の他端を保持するための軸受部と、前記出力ホイールを回転可能に保持するための出力取出孔と、が形成され、前記ギヤケース、および前記ギヤカバーの少なくとも何れか一方の合わせ面であって、平面視で前記出力ホイールの中心と前記ウォームホイールの中心とを結んだ仮想線分と直交し、前記出力ホイールの中心を通る仮想面よりも前記ウォームホイールと前記出力ホイールとの噛み合い部から離れる方向の領域に、他方の合わせ面に食い込み可能に突出して形成されたズレ防止凸部を少なくとも設け、前記締結固定部材の締め付け力を利用して前記ズレ防止凸部を前記他方の合わせ面に食い込ませたことを特徴とする。
また、本発明の請求項に係わる減速機構付モータ装置は、前記ギヤケースおよび前記ギヤカバーの前記締結固定部材に対応する箇所に座面を形成し、この座面に前記ズレ防止凸部を設けたことを特徴とする。
本発明の減速機構付モータ装置によれば、ギヤケースとギヤカバーとを重ね合わせた際に、ギヤケースおよびギヤカバーの少なくとも何れか一方にズレ防止凸部が食い込み、ギヤケースおよびギヤカバーのズレを防止することができる。このため、各歯車間で過大な噛み合い反力が発生し、各歯車を枢支するギヤケースおよびギヤカバーに荷重が発生したときでも、ギヤケースとギヤカバーとの間のずれが防止され、ギヤケースとギヤカバーとの摺動による雑音の発生を防止できる。
減速機構付モータ装置の斜視図である。 ギヤカバーを取り外したときの減速機構付モータ装置の部分断面図である。 ギヤケースの平面図である。 ギヤカバーの底面図である。 図4のA−A線に沿った断面図である。 ギヤケースとギヤカバーとを締結固定部材を介して固定するときの説明図であり、図6(a)は締結前の説明図であり、図6(b)は締結後の説明図である。 実施形態の変形例の説明図であり、図7(a)は、ズレ防止凸部の拡大図であり、図7(b)は、図7(a)のB−B線に沿った断面図である。
(減速機構付モータ装置)
図1は、減速機構付モータ装置1の斜視図である。
図2は、ギヤカバー20(第2ケース)を取り外したときの減速機構付モータ装置1の部分断面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態の減速機構付モータ装置1は、主に減速機構付モータ装置1の一方側(図1、図2における左側)に配された電動モータ40と、他方側(図1、図2における右側)に配置され電動モータ40と連結された減速機構30と、減速機構30を収納するギヤケース10(第1ケース)およびギヤカバー20(第2ケース)と、を備えている。
(電動モータ)
電動モータ40は、不図示のブラシを用いて電力を給電する、いわゆるブラシ付モータである。電動モータ40は、有底筒状のモータハウジング41と、略中央に配置されたモータシャフト44と、モータシャフト44を回転軸として回転するアーマチュア43と、を備えている。
(モータハウジング)
モータハウジング41は、鉄等の金属からなる部材であり、例えば深絞りによるプレス加工等により成型される。モータハウジング41は、その開口部41aが、他端側に配置された減速機構30側を向くように取り付けられている。モータハウジング41の他端側にはフランジ部41bが形成されている。フランジ部41bには、フランジ部41bを貫通する取付孔(不図示)が形成されている。フランジ部41bの取付孔にボルト85を挿通して、ギヤケース10にボルト85を締結することで、ギヤケース10にモータハウジング41を固定している。
モータハウジング41の内周面41cには、複数のマグネット42が取り付けられている。マグネット42は、接着剤等によりモータハウジング41に貼付される。
モータハウジング41の底部には、一方側に突出した突出部48が形成されている。突出部48の内側には、すべり軸受45aが嵌合されている。
さらに、モータハウジング41の突出部48の底部には、スラストプレート46が設けられている。スラストプレート46は、スチールボール46aを介してモータシャフト44のスラスト荷重を受けている。スチールボール46aは、モータシャフト44とスラストプレート46との間の摺動抵抗を減少するとともにモータシャフト44の芯ズレを吸収し、モータシャフト44のスラスト荷重をスラストプレート46に確実に伝達するためのものである。
(アーマチュア)
アーマチュア43は、モータシャフト44と、モータシャフト44に外挿固定されるアーマチュアコア43aと、アーマチュアコア43aよりも減速機構30側に配置されたコンミテータ47と、を有している。
モータシャフト44は鉄等の金属からなる棒状部材である。モータシャフト44のモータハウジング41側端部は、モータハウジング41に設けられたすべり軸受45aを介して、モータハウジング41に回転自在に枢支されている。また、モータシャフト44の減速機構30側端部は、モータハウジング41に圧入される後述のブラシホルダ90に設けられた図示しないすべり軸受を介して、モータハウジング41に回転自在に枢支されている。
アーマチュアコア43aは、電磁鋼板等の磁性材を積層して形成した部材である。アーマチュアコア43aは、マグネット42に対応した位置に配置される。アーマチュアコア43aには不図示の巻線が巻回されており、この巻線の端末部がコンミテータ47に接続されている。
コンミテータ47は略円柱状の部材であって、アーマチュア43の他端側に配置されている。コンミテータ47の外周面には、板状に形成された不図示のセグメントが複数並設されている。これらセグメントに、巻線の端末部が接続されている。また、コンミテータ47には、ブラシホルダ90に収容された不図示のブラシが摺接する。なお、不図示のブラシは、コンミテータ47を挟んで両側に配置されている。
(減速機構) 減速機構30は、電動モータ40の動力が伝達されるウォーム31と、このウォーム31と噛み合うウォームホイール33(第1ギヤ)と、このウォームホイール33と噛み合う出力ホイール35(第2ギヤ)と、により構成されている。
ウォーム31およびウォームホイール33は、樹脂や金属等からなる部材であり、インジェクション成型や焼結、機械加工等により形成される。また、出力ホイール35は金属からなる部材であり、焼結や機械加工等により形成される。
ウォーム31は、モータシャフト44と同軸上に、モータシャフト44の他端側に設けられている。ウォーム31は樹脂等からなる部材であり、モータシャフト44に対してジョイント部材37を介して相対回転不能に連結されている。また、ウォーム31は、両端をギヤケース10に設けられたすべり軸受45bおよび図示しないすべり軸受を介してギヤケース10に回転自在に枢支されている。
ウォーム31に噛合うウォームホイール33は、大径ギヤ33aと、小径ギヤ33bとを有している。大径ギヤ33aと小径ギヤ33bとは同芯に配置されており、大径ギヤ33aはウォーム31に噛合され、小径ギヤ33bは出力ホイール35の出力ギヤ35aと噛合している。
ウォームホイール33は、ウォームホイール軸34により軸支されている。また、ウォームホイール軸34は、軸受部17(図3参照)および軸受部27(図4参照)を介してギヤケース10およびギヤカバー20により支持されている。
(出力ホイール)
出力ホイール35は、出力ギヤ35aを有している。出力ギヤ35aは、出力ホイール35の外周に形成されており、ウォームホイール33の小径ギヤ33bと噛合している。
出力ホイール35の略中央には、外部に回転トルクを出力する出力取出部35cが形成されている。出力取出部35cは、出力ホイール35の表裏を貫通する孔となって形成されており、不図示の出力軸が挿通されるようになっている。出力取出部35cの内周面には、周方向に沿って凸部が形成されており、出力軸の凹部と係合している。これにより、出力軸および出力取出部35cは、出力ホイール35に対する相対回転が規制されるので、出力軸から回転トルクを出力することができる。
また、出力ギヤ35aの内径側には、出力ホイール35と同芯となるように軸方向平面視で略円環状の凹部が形成されている。この凹部の外周側面は、ギヤカバー20と摺接する摺接部35bとなっている。なお、この摺接部35bは、出力ホイール35の両面に形成されている。後述するようにギヤケース10およびギヤカバー20には、摺接部35bと対応した位置に、円環状のリブからなる軸支持部15,25が形成されている。この軸支持部25の外周面と摺接部35bとが摺接しつつ、出力ホイール35を支持することで、出力ホイール35を回転可能としている。
(ギヤケース)
図3はギヤケース10の平面図である。
上述した減速機構30は、ギヤケース10およびギヤカバー20に収納される。ギヤケース10およびギヤカバー20は、例えば樹脂等からなる部材であり、インジェクション成型等により形成される。
ギヤケース10は、電動モータ40側(図3における左側)に形成されたモータ取付部11と、このモータ取付部11の電動モータ40とは反対側に形成された減速機構収納部13と、により構成されている。
モータ取付部11は、電動モータ40側が開口されており、この開口と減速機構収納部13とは、モータシャフト44が収容される貫通孔(不図示)を介して連通している。そして、開口側から貫通孔にモータシャフト44を挿通しつつ、ボルト85を用いてモータ取付部11にモータハウジング41を固定することにより、電動モータ40がギヤケース10に取り付けられる。また、モータ取付部11には、ブラシホルダ90を介して電動モータ40に給電するためのコネクタ部材70が組みつけられる。
減速機構収納部13は、収納壁部14で囲まれた領域に形成されており、ウォーム31を収容するウォーム収容部13aと、ウォームホイール33を収容するウォームホイール収容部13bと、出力ホイール35を収容する出力ホイール収容部13cと、が形成されている。ギヤケース10の収納壁部14の端面14aは、後述するギヤカバー20との合わせ面となっている。
ウォーム収容部13aは、減速機構収納部13の底面におけるウォーム31に対応した位置を凹ませることにより形成される。
ウォームホイール収容部13bおよび出力ホイール収容部13cは、収納壁部14をウォームホイール33および出力ホイール35の外形に沿わせることで形成される。
ウォームホイール収容部13bの径方向略中央には、底面を凹ませることにより軸受部17が形成されている。この軸受部17にウォームホイール軸34を挿入することにより、このウォームホイール軸34が軸受部17を介してウォームホイール収容部13bに枢支される。
また、出力ホイール収容部13cの略中央には、出力取出孔16が形成されている。不図示の出力軸がこの出力取出孔16を挿通している。さらに、出力ホイール収容部13cの底面には、円環状のリブからなる軸支持部15が形成されている。この軸支持部15の外周面15aと、出力ホイール35の摺接部35bとが摺接することにより、ギヤケース10は出力ホイール35を回転可能に支持している。
ギヤケース10とギヤカバー20とを締結する締結固定部材としてのタッピングネジ87(図1参照)に対応した位置には、平面部18が複数箇所(本実施形態では5箇所)形成されている。平面部18は、前述の収納壁部14の端面14aと同様に、ギヤカバー20との合わせ面となる。なお、平面部18に、タッピングネジ87を挿入する凹部12を形成してもよい。これにより、タッピングネジ87を締結する際に、タッピングネジ87の位置決めを容易にすることができ、作業性も向上する。
また、モータ取付部11と減速機構収納部13との間には、減速機構付モータ装置1を車両等に固定するための取付孔19が形成されている。取付孔19にボルト(不図示)を挿通して車両側に締結することにより、減速機構付モータ装置1を車両等に固定することができる。なお、取付孔19には、金属製のカラー19aが内嵌されており、ボルトを締結した際、ギヤケース10の取付孔19の座屈変形が防止される。
(ギヤカバー)
図4は、ギヤカバー20の底面図である。ギヤカバー20は、略平板状に形成されており、ギヤケース10の減速機構収納部13を覆うカバーとして機能している。ギヤカバー20は、ウォームホイール33を覆うウォームホイールカバー部21と、出力ホイール35を覆う出力ホイールカバー部23と、を有している。
ウォームホイールカバー部21は、ウォームホイール33の外形よりも若干大きく形成されている。ウォームホイールカバー部21の略中央には、略円形状に凹ませた軸受部27が形成されている。軸受部27にはウォームホイール軸34が挿入され、ウォームホイール軸34は軸受部27を介してギヤカバー20により枢支される。
出力ホイールカバー部23は、出力ホイール35の外形よりも若干大きく形成されている。出力ホイールカバー部23の略中央には、出力取出孔26が形成されている。不図示の出力軸がこの出力取出孔26を挿通している。さらに、出力ホイールカバー部23には、円環状のリブからなる軸支持部25が形成されている。この軸支持部25の外周面25aと、出力ホイール35の摺接部35bとが摺接することで、出力ホイール35を回転可能に支持している。
ウォームホイールカバー部21および出力ホイールカバー部23の外周側には、ギヤケース10の収納壁部14の端面14aと当接する当接面24が形成されている。また、タッピングネジ87に対応した位置に、座面28が複数箇所(本実施形態では5箇所)形成されている。座面28は、タッピングネジ87の座面に対応した大きさで形成される。座面28には、ギヤカバー20の表裏を貫通する締結孔22が形成されている。この締結孔22にタッピングネジ87を挿通し、ギヤケース10にタッピングネジ87を締結することで、ギヤケース10にギヤカバー20が固定される。なお、ギヤケース10とギヤカバー20とを固定する手段は、タッピングネジ87に限られるものではなく、これに代わってさまざまな固定部材を用いることが可能である。
図5は、図4のA−A線に沿った断面図である。
座面28には、座面28の全体に渡って、複数のズレ防止凸部29が形成されている。ズレ防止凸部29は、インジェクション成型等によりギヤカバー20と一体的に形成される。ズレ防止凸部29は、略半球形状をしており、ギヤカバー20の座面28からギヤケース10の平面部18側に向かって突出するように形成されている。このため、ズレ防止凸部29の頂部は球面となっている。したがって、ギヤケース10とギヤカバー20とをタッピングネジ87を介して固定した際に、ズレ防止凸部29は、ギヤケース10の平面部18に食い込み可能となっている。なお、ズレ防止凸部29の個数や大きさ等は、ギヤケース10およびギヤカバー20の材質やタッピングネジ87の軸力等により適宜選択される設計事項である。
(作用)
次に、ギヤケース10とギヤカバー20を固定したときの、ズレ防止凸部29の作用について説明する。
図6は、ギヤケース10とギヤカバー20とをタッピングネジ87を介して固定するときの説明図であり、図6(a)は締結前の説明図であり、図6(b)は締結後の説明図である。
図6(a)に示すように、まずギヤケース10の平面部18に、ギヤカバー20のズレ防止凸部29の頂部を当接させる。このとき、ギヤカバー20は、ギヤケース10とギヤカバー20との間にズレ防止凸部29の高さ分だけ隙間を有した状態で、ギヤケース10に載置される。その後、ギヤケース10の凹部12およびギヤカバー20の締結孔22にタッピングネジ87を挿通し、所定位置にタッピングネジ87をセットする。
続いて、タッピングネジ87を締め付けて、ギヤケース10にギヤカバー20を締結する。タッピングネジ87を所定トルクで締め付けると、タッピングネジ87の軸力によりギヤカバー20がギヤケース10側に移動する。ここで、ズレ防止凸部29の頂部は球面となっている。したがって、ギヤケース10の平面部18とズレ防止凸部29の頂部とは点接触となり、ギヤケース10の平面部18とズレ防止凸部29の頂部との接触面積は非常に小さい。このため、タッピングネジ87を締め込んでいくにつれて、平面部18の面圧が増大し、ズレ防止凸部29の頂部が平面部18に食い込んでいく。
そして、さらにタッピングネジ87を締め付けると、図6(b)に示すように、ズレ防止凸部29がギヤケース10の平面部18に食い込んだ状態で、ギヤケース10の平面部18と、ギヤカバー20の座面28とが当接する。以上のようにして、ギヤケース10とギヤカバー20とをタッピングネジ87を介して固定している。
(効果)
本実施形態の減速機構付モータ装置1によれば、ギヤカバー20の座面28に、ギヤケース10の平面部18に食い込み可能なズレ防止凸部29が形成されている。ここで、ギヤケース10の平面部18と、ギヤカバー20の座面28とを重ね合わせる際に、ギヤカバー20の座面28に形成されたズレ防止凸部29の頂部と、ギヤケース10の平面部18とが当接する。ギヤケース10とギヤカバー20とを重ね合わせて固定すると、ズレ防止凸部29の頂部とギヤケース10の平面部18との接触面積は小さいため、ギヤケース10の平面部18の面圧が増大する。これにより、ズレ防止凸部29がギヤケース10の平面部18に食い込む。このように、ズレ防止凸部29がギヤケース10の平面部18に食い込むため、ギヤケース10の平面部18およびギヤカバー20の座面28と平行な方向に、ギヤケース10およびギヤカバー20がずれるのを抑制できる。したがって、ウォームホイール33と出力ホイール35との間で過大な噛み合い反力が発生し、ウォームホイール33および出力ホイール35を枢支するギヤケース10およびギヤカバー20に荷重が発生したときでも、ギヤケース10とギヤカバー20との間のずれを抑制できる。したがって、ギヤケース10とギヤカバー20との摺動による雑音が発生するのを防止できる。
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例について、図7を用いて説明する。
図7は、実施形態の変形例の説明図であり、図7(a)は、ズレ防止凸部29の拡大図であり、図7(b)は、図7(a)のB−B線に沿った断面図である。
実施形態のズレ防止凸部29は、略半球形状をした複数の突起により形成されていた。しかし、本変形例のズレ防止凸部29は、複数の突条により形成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、実施形態と同様に構成の部分については、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、本変形例の本変形例のズレ防止凸部29は、複数の突条29aを格子状に配置することにより形成されている。図7(b)に示すように、突条29aは、突条29aの延設方向に垂直な方向に沿った断面形状が略三角形状に形成されている。したがって、ギヤケース10とギヤカバー20とを、タッピングネジ87を介して固定した際に、各突条29aは、ギヤケース10の平面部18に食い込み可能となっている。突条29aの高さや大きさ等は、ギヤケース10およびギヤカバー20の材質やタッピングネジ87の軸力等により適宜選択される。
(変形例の効果)
実施形態の変形例の減速機構付モータ装置1によれば、ギヤケース10とギヤカバー20とを重ね合わせて固定すると、突条29aの頂部とギヤケース10の平面部18との接触面積は小さいため、ギヤケース10の平面部18の面圧が増大する。このように、突条29aの頂部がギヤケース10の平面部18に食い込むため、ギヤケース10の平面部18およびギヤカバー20の座面28と平行な方向に、ギヤケース10およびギヤカバー20がずれるのを抑制できる。さらに、複数の突条29aが格子状に配置されているため、高い強度を有するズレ防止凸部29を構成することができる。したがって、ギヤケース10とギヤカバー20との間のずれを確実に抑制し、ギヤケース10とギヤカバー20との摺動による雑音が発生するのを防止できる。
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
実施形態のズレ防止凸部29は、略半球形状をした複数の突起により形成されていた。しかし、突起の形状は略半球形状に限られず、例えば、略円錐形状の突起でもよい。突起を略円錐形状とすることにより、突起の頂部が尖塔形状となるため、ギヤケース10の平面部18にさらに食い込みやすくなる。ただし、金型を簡単に製造できる点で本実施形態に優位性がある。
実施形態および実施形態の変形例では、ギヤカバー20の座面28にのみズレ防止凸部29を形成している。しかし、例えば、ギヤケース10の平面部18にのみズレ防止凸部29を形成してもよい。さらに、ギヤケース10の平面部18およびギヤカバー20の座面28の双方にズレ防止凸部29を形成してもよい。
実施形態および実施形態の変形例では、タッピングネジ87を使用してギヤケース10にギヤカバー20を固定している。しかし、例えばギヤケース10側にナットをインサート成型し、ボルトを使用してギヤケース10にギヤカバー20を固定してもよい。
実施形態および実施形態の変形例では、ギヤカバー20の座面28にズレ防止凸部29を形成している。しかし、ギヤカバー20の座面28以外の、ギヤケース10の平面部18およびギヤカバー20の当接面(例えば、ギヤケース10の収納壁部14の端面14a)にズレ防止凸部29を形成してもよい。ただし、座面28に形成することにより、ズレ防止凸部29にタッピングネジ87の軸力を直接的に作用させて、ズレ防止凸部29を食い込ませることができる。したがって、ズレ防止凸部29を容易に食い込ませることができる点で、本実施形態に優位性がある。
ズレ防止凸部29が形成されている一方のケースを、ズレ防止凸部29が形成されていない他方のケースよりも硬い樹脂材料で成型してもよい。これにより、ズレ防止凸部29を容易に食い込ませることができる。
実施形態および実施形態の変形例では、ギヤケース10およびギヤカバー20は樹脂により形成されている。しかし、例えば、ズレ防止凸部29が形成される一方のケースを、アルミ等の金属により形成してもよい。これにより、樹脂で形成された他方側のケースに、金属で形成されたズレ防止凸部29を容易に食い込ませることができる。ただし、軽量化の観点で本実施形態に優位性がある。
1 減速機構付モータ装置
10 ギヤケース(第1ケース)
13 減速機構収納部(収納部)
20 ギヤカバー(第2ケース)
28 座面
29 ズレ防止凸部
30 減速機構
31 ウォーム
33 ウォームホイール(第1ギヤ)
35 出力ホイール(第2ギヤ)
40 電動モータ(モータ)
87 締結固定部材

Claims (2)

  1. 電動モータと、
    前記電動モータの動力が伝達されるウォームと、前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、前記ウォームホイールと噛み合う金属製の出力ホイールとを有する減速機構と、
    前記電動モータと取付けられるモータ取付部と、前記減速機構を収納する減速機構収納部と、を有するギヤケースと、
    平板状に形成され、前記ギヤケースの前記減速機構収納部を覆うギヤカバーと、
    前記ギヤケースと前記ギヤカバーとを固定する締結固定部材と、
    を有し、前記減速機構を介してモータの回転力を出力する減速機構付モータ装置であって、
    前記ギヤケースには、前記ウォームホイールを支持するウォームホイール軸の一端を保持するための軸受部と、前記出力ホイールを回転可能に保持するための出力取出孔と、が形成され、
    前記ギヤカバーには、前記ウォームホイールを軸支するウォームホイール軸の他端を保持するための軸受部と、前記出力ホイールを回転可能に保持するための出力取出孔と、が形成され、
    前記ギヤケース、および前記ギヤカバーの少なくとも何れか一方の合わせ面であって、平面視で前記出力ホイールの中心と前記ウォームホイールの中心とを結んだ仮想線分と直交し、前記出力ホイールの中心を通る仮想面よりも前記ウォームホイールと前記出力ホイールとの噛み合い部から離れる方向の領域に、他方の合わせ面に食い込み可能に突出して形成されたズレ防止凸部を少なくとも設け
    前記締結固定部材の締め付け力を利用して前記ズレ防止凸部を前記他方の合わせ面に食い込ませたことを特徴とする減速機付モータ装置。
  2. 前記ギヤケースおよび前記ギヤカバーの前記締結固定部材に対応する箇所に座面を形成し、この座面に前記ズレ防止凸部を設けたことを特徴とする請求項に記載の減速機構付モータ装置。
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