以下、本発明によるコンベア装置の一参考例を図1ないし図13を参照して詳細に説明する。なお、図21に示した従来の構成と同一構成には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明のコンベア装置の第1の参考例を図1ないし図5を参照して説明する。
図1に示したように、第1の参考例のコンベア装置1は、踏段ガイドレール3に沿って踏段ローラ5が移動し、踏段ローラ5は所定ピッチ(リンク長r)で踏段チェーン7に連結されている。
踏段チェーン7が巻き掛けられた駆動スプロケット9は、回転駆動装置を構成する駆動モータ8及び駆動チェーン10の駆動力を受けて回転するので、踏段4は乗客搬送方向である矢印A方向に移動して乗客を運搬する。
レール本体3aの往路側の駆動スプロケット9近傍や、押さえレール3bの駆動スプロケット9近傍、及び可動レール3cの往路側及び帰還側の従動スプロケット11近傍には、踏段ローラ5における速度むらを吸収あるいは速度むらの発生を抑制するために山型の曲がり部17が設けられている。
踏段ローラ5は、これら曲がり部17の外側形状に沿った軌跡で移動通過するが、曲がり部17と対向する位置には、踏段ローラ5がこれら曲がり部17に沿って適切に移動できるように凹み14が設けられている。
往路側の駆動スプロケット9近傍に設けられた曲がり部17の前段における踏段ガイドレール3の対向位置には、先行する踏段ローラ5の曲がり部17の通過によって、後続する踏段ローラ5に浮き上がりが生じるのを防止するため、押さえ部材18が設けられ、踏段ローラ5の上端部はその押さえ部材18の下面に沿いころがり移動する。
この押さえ部材18は、図1に示した可動レール3cの往路側の従動スプロケット11近傍の部位に設けられた曲がり部17の後段で対向する位置にも同様に設けられている。
曲がり部17を、少なくともレール本体3aの往路側の駆動スプロケット9近傍に設け、またその前段に押さえ部材18を設けたことによって、踏段ローラ5の速度むらは効果的に吸収抑制されるので、踏段ローラ5に連結された踏段4は、滑らかに走行移動することができる。
なお、前段とは、踏段4が移動方向Aに沿って移動する際に先に通過する乗口1a側を指し、後段とは、踏段4が移動方向Aに沿って移動する際に後に通過する降口1b側を指す。
また、曲がり部17を、踏段ガイドレール3の帰還側に設けられた押さえレール3bの駆動スプロケット9近傍にも設けることによって、コンベア装置1を逆転運転させた場合でも、踏段ローラ5の動きを滑らかにして踏段4の振動を抑制できる。
ここで、曲がり部17における速度むら抑制作用の動作原理を、図2及び図3を参照して説明する。
駆動スプロケット9のピッチ円速度をVtとしたとき、各踏段ローラ5,5a,5b,5cには、Vtから一旦減速された後に増速されてVtに戻る周期の図2(a)に示した速度むらが生じる。
すなわち、踏段ローラ5の平均速度をVoとすると、各踏段ローラ5,5a,5b,5cは、踏段ガイドレール3上で図2(b)に示す位置にあるときに、その移動速度はVtであり、この位置から先頭の踏段ローラ5は次第に減速しつつ所定距離だけ駆動スプロケット9側に移行し、続く踏段ローラ5a,5b,5cが、図2(c)に示す位置となったときには、移動速度が平均速度Voとなる。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ5,5a,5b,5cのうち、踏段ローラ5に続いて、互いに隣り合う3つの踏段ローラ5a,5b,5cに着目すると、図2(b)に示すように、先頭の踏段ローラ5aが所定の位置(基準位置)を越えて駆動スプロケット9に近付くと、この先頭の踏段ローラ5aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。
このとき、2番目の踏段ローラ5bが踏段ガイドレール3の駆動スプロケット9近傍に設けられ、図2(d)に示した曲がり部17に到達するとすれば、その曲がり部17の山型(あるいは谷型)に応じて2番目の踏段ローラ5bの高さ位置が変化する。
2番目の踏段ローラ5bの高さ位置が変化すると、各踏段ローラ5a,5b,5c間のピッチ(リンク長r)は一定であるので、2番目の踏段ローラ5bにおける高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ5cが先頭の踏段ローラ5aに近付き、3番目の踏段ローラ5cが増速される。
これにより、先頭の踏段ローラ5aにおける移動速度の低下分が3番目の踏段ローラ5cの増速分で相殺され、3番目の踏段ローラ5cの移動速度は平均速度Voに維持される。
先頭の踏段ローラ5aが更に先に進むと、この先頭の踏段ローラ5aの移動速度は逆転して平均速度Voよりも速くなる。このとき、2番目の踏段ローラ5bが踏段ガイドレール3に設けられた曲がり部17の頂上(あるいは後述するように、曲がり部が谷型である場合は、押さえ部材の下方頂部)を越えるように設定しておくことで、2番目の踏段ローラ5bの高さ位置が元に戻り、3番目の踏段ローラ5cが先頭の踏段ローラ5aから離間し、3番目の踏段ローラ5cが減速される。
このようにして、先頭の踏段ローラ5aにおける移動速度の上昇分が3番目の踏段ローラ5cの減速分で相殺され、3番目の踏段ローラ5c以降の移動速度は平均速度Voに維持される。
従って、各踏段ローラ5a,5b,5cの移動速度がVtから減速されてVoとなる位置を基準位置としたとき、図2(d)に示すように、踏段ガイドレール3に沿って隣り合う2つの基準位置の間に位置する踏段ガイドレール3の部位に、山型(あるいは谷型)の曲線形状となる曲がり部17を設けることによって、踏段ローラ5bが曲がり部17の曲線形状の軌跡に沿って移動することによる高さ位置の変化から、この踏段ローラ5bに先行する踏段ローラ5aの速度むらを吸収し、後続する踏段ローラ5cへの速度むらの伝達を回避し、踏段ローラ5c以降の踏段ローラ5は平均速度Voに維持される。
次に、速度むらを吸収抑制すべく形成される曲がり部17のあるべき具体的形状について、図3を参照して説明する。
曲がり部17を越えて駆動スプロケット9へと移動する踏段ローラ5(5a,5b,5c)は、上述したように、駆動スプロケット9に噛込む過程で、平均速度Voより低下し、速度むらを引き起こすが、その速度むらを有する踏段ローラ5を速度むらローラ5aと称したとき、この速度むらローラ5aから山型の曲がり部17を挟んで踏段ガイドレール3の前段側(すなわち、乗口1a側)へ2つ目に位置する踏段ローラ5cは、速度むらローラ5aの次ぎに隣り合う踏段ローラ5bが曲がり部17に沿って移動して踏段ローラ5cを引き込むので、踏段ローラ5cは速度低下することなく一定速度(平均速度Vo)で移動する。このように、速度むらローラ5aから曲がり部17を挟んで踏段ガイドレール3の前段側に2つ目で、一定速度であることが期待される踏段ローラ5をここでは一定速度ローラ5cと称するものとする。
そこで、図3に示したように、これら各踏段ローラ5a,5b,5cが1ピッチ(リンク長r)分移動する際に、速度むらローラ5aの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C1と、一定速度ローラ5cの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C2との交点P1,P2が辿る軌跡を、点線で示したように、ローラ中心軌跡Lとしたとき、曲がり部17は、このローラ中心軌跡Lに倣う形状に形成されていることが望まれる。
すなわち、曲がり部17の形状を上記のように設定することにより、中間の踏段ローラ5bが曲がり部17を通過する過程で、速度むらローラ5aに生じる速度むらが、理論上、曲がり部17の形状に応じた踏段ローラ5bの高さ位置の変化によって完全に吸収され、一定速度ローラ5cの移動速度を正確に一定速度(平均速度Vo)に保つことができる。
そこで、踏段チェーン7には、バネ部材12からなるチェーン緊張機構によって所定の張力が付与されているから、2番目の踏段ローラ5bが曲がり部17に沿ってその高さ位置を変化させたとき、3番目の踏段ローラ5cは浮き上がろうとするが、図1に示した押さえ部材18によって浮き上がりが防止される。その結果、3番目の踏段ローラ5cは浮き上がることなく、適切に増速あるいは減速され、3番目の踏段ローラ5cの移動速度は平均速度Voに維持される。
なお、図2及び図3では、曲がり部17の形状を理解しやすくするために高さを誇張して示しているが、実際の高低差は極めて微少であるので、構造物2を小型化してコンベア装置1全体の薄型化を実現できる。
もっとも、踏段ローラ5に微少の速度むら(Vo−rωsin(ωt+φ))が許容される場合には、曲がり部17を高低差をより小さくすることができる。
すなわち、図3に示したように、曲がり部17と駆動スプロケット9との間に位置して、速度むらを有する速度むらローラ5aから、曲がり部17を挟んで踏段ガイドレール3の前段側(すなわち、乗口1a側)に2つ目に位置する踏段ローラ5cが、中間の踏段ローラ5bが曲がり部17に沿って移動することによって、微少の速度むら(Vo−rωsin(ωt+φ))に抑えられていることが期待される略一定速度ローラ5cとするものとする。
そのとき、前述のように、円C1と円C2との交点P1,P2が辿る軌跡をローラ中心軌跡Lとしたとき、曲がり部17を、そのローラ中心軌跡Lに倣う形状に形成することにより、曲がり部17の高低差を少なくしながら、曲がり部17を通過する踏段ローラ5bに後続する踏段ローラ5cの速度むらを許容される範囲内に抑えることができる。
なお、上記速度むら(Vo−rωsin(ωt+φ))において、ωは角速度、tは時間、φは位相差を示している。
図4は、図1に示した踏段ガイドレール3及び押さえ部材18の動作を説明するために示した模式図で、図4(a)に鎖線で示した踏段4に周期的に生じる速度むらは、山型の曲がり部17及び押さえ部材18の存在により、図4(a)に実線で示すように抑制され、後段の踏段ローラ5は平均速度Voに維持される。
すなわち、踏段ローラ5(5a,5b,5c)がチェーン緊張機構であるバネ部材12の付勢力を受けるので、踏段ガイドレール3の山型の曲がり部17に加わる加圧力は図4(b)に示すようになり、浮き上がり防止の押さえ部材18に案内されてころがり移動する踏段ローラ5は、浮き上がり防止力に抗して、図4(c)に示すように押さえ部材18を押圧するが、それらの押圧力(加圧力)いずれも中央部で最大となる。
そこで、図4(a)に示したように、駆動スプロケット9のピッチ円速度がVt、踏段ローラ5の平均速度がVoであるとき、踏段ローラ5の速度がVtからVoにまで減少する位置を、図示のように基準位置S1,S2,S3,・・・とする。
踏段ガイドレール3に沿って複数存在する基準位置S1,S2,S3,・・・のうち、図4(d)に示したように、駆動スプロケット9の近傍に位置する基準位直S1と、この基準位置S1に隣接する後方の他の基準位置S2との間に位置する踏段ガイドレール3に、速度むら発生抑制のための、山型の曲がり部17が設けられている。
また、踏段ガイドレール3の曲がり部17が設けられた部位の前段の対向位置に、通過する踏段ローラ5に当接する押さえ部材18が浮き上がり防止用に設けられている。
押さえ部材18は、基準位置S2と基準位置S3との間に、踏段ローラ5を水平方向に真っ直ぐ案内すべく、当接面は直線状となるように設けられているが、踏段ガイドレール3における押さえ部材18の対向位置の踏段ガイドレール3には、図4(d)に示すように、踏段ローラ5のリンク長rより少し長めに凹部3aaが形成されている。
この第1の参考例の踏段ローラ5(5a,5b,5c,・・・)は、回転移動時の騒音発生を抑制するために、回転軸回りにゴム等の撓み性のある弾性部材を有して構成されているものとして説明する。
軸回りに弾性部材を有する踏段ローラ5(5a,5b,5c,・・・)は、チェーン緊張機構のバネ部材12により、水平方向(図1の矢印Aの反対方向)に引っ張られるから、踏段ローラ5が踏段ガイドレール3の山型の曲がり部17を越えるとき、さらにまた、踏段ローラ5が押さえ部材18によって押さえ込まれたとき、それぞれ図4(b)及び図4(c)に示す特性の回転軸に向けた径方向に押圧力を受け、踏段ローラ5の弾性部材はその押圧力に対応して圧縮変形しつつころがり移動する。その結果、弾性部材の圧縮により径が短縮した分、曲がり部17及び押さえ部材18に案内されて移動する踏段ローラ5の軌跡は、予め速度むら抑制のために設定された軌跡から離れてしまうことになる。
しかも、弾性部材への押圧力は、上記のように、踏段ローラ5(5a,5b,5c,・・・)が山型の曲がり部17を移動通過するときのみならず、押さえ部材18をころが移動するとき、さらには踏段ガイドレール3から駆動スプロケット9に移行する際にも図4(b)(c)に示すように負荷される。
そこで、この第1の参考例では、踏段ガイドレール3及び押さえ部材18を移動する際の押圧力(加圧力)の負荷により圧縮する弾性部材に対応して、図4(d)に斜線で示したように、その負荷により縮小する踏段ローラ5の径寸法に見合う厚さ分、予め踏段ガイドレール3及び押さえ部材18の形状をかさ上げ形成を行ったものである。
従って、この第1の参考例では、踏段ガイドレール3や押さえ部材18を移動する際に、踏段ローラ5の弾性部材が圧縮し、その圧縮した分だけ踏段ローラ5がたどる軌跡は変化することになるが、予めその変化分を補正するように踏段ガイドレール3や押さえ部材18の形状を予めかさ上げ形成したので、踏段ローラ5は速度むらを適正に吸収抑制可能な軌跡に沿い移動することができ、踏段ローラ5及びそれに連結された踏段4の速度むら発生を回避して振動を抑制し安定した定速度移動が可能である。
またこの第1の参考例では、図4(d)に示したように、山型の曲がり部17が形成された部位の前段(すなわち、基準位置S2と基準位置S3との間)であって、押さえ部材18との対向面の踏段ガイドレール3に凹部3aaが設けられている。
従って、踏段ローラ5が押さえ部材18の下面に当接しつつころがり移動するとき、踏段ローラ5は、凹部3aaの形成により、下方の踏段ガイドレール3に接触しないように構成されたので、踏段ローラ5が押さえ部材18と踏段ガイドレール3の双方から、上下方向に挟まれてしまい、踏段ローラ5が円滑に回転移動することなく、踏段ローラ5はもとより押さえ部材18及び踏段ガイドレール3が損傷するのを回避できる。
踏段4の移動方向Aにおける、踏段ガイドレール3に形成される凹部3aaの踏段4の移動方向の長さは、要部を図5(a)に拡大して示したように、移動する踏段ローラ5のピッチ(リンク長r)よりやや長めに設定され、押さえ部材18の下面形状に沿いころがり移動する踏段ローラ5は、下方向からの挟み付けによるすべり摩擦を引き起こすことなく、円滑に移動する。
また、この第1の参考例の押さえ部材18及びそれに対応位置する踏段ガイドレール3は、図5(a)に拡大して示したように、バネ部材12の付勢力を受けつつ移動する踏段ローラ5が、上下動することなく、しかも踏段ガイドレール3から押さえ部材18へ、あるいは押さえ部材18から踏段ガイドレール3へと円滑に引き継がれつつ移動できるように、対向する押さえ部材18及び踏段ガイドレール3における各左右の出入口はテーパ状をなすように構成されている。
すなわち、図5(a)に示したように、押さえ部材18は、左右の各端部において外側に向けて傾斜するテーパ状をなし、一方、対向する踏段ガイドレール3も、凹部3aaにつらなるように、同じく左右の各端部(すなわち、基準位置S2,S3)において、内側に向けて傾斜するテーパ状をなして形成されている。
そして、各端部の基準位置S2,S3での位置ではテーパの略中間部に位置し、図示のように、通過する踏段ローラ5と押さえ部材18と踏段ガイドレール3との間に略均等な間隔Δdを形成するように構成されている。
図5(b)は図5(a)のA−A矢視断面である。図5(b)に示したように、この参考例の押さえ部材18は、ボルト2aにより踏段ガイドレール3と一体にトラス等の構造物2に取り付けられて構成されている。もっとも、押さえ部材18は踏段ガイドレール3とは分離し、別途、構造物2等に取り付け固定しても良い。
なお、上記第1の参考例において、コンベア装置1は、図1に示したように、駆動スプロケット9と従動スプロケット11との間に踏段チェーン7を掛け渡す旨説明したが、従動スプロケット11に代えて、図6に示したように、略U字状に形成された可動レール21を用い、駆動スプロケット9と可動レール21との間に踏段チェーン7を掛け渡すようにしても良い。
なお、可動レール21は、踏段チェーン7が掛け渡される部分が、駆動スプロケット9と略同径をなした円形部とされていて、その外周に、踏段チェーン7により連結された各踏段ローラ5を当接させて案内する。
この可動レール21は、従動スプロケット11と同様に、チェーン緊張機構のバネ部材12によって駆動スプロケット9から離間する方向に付勢されており、踏段チェーン7に対して最適な張力を付与する。
なお、可動レール21は、踏段ローラ5に速度むらが生じていると、その影響で駆動スプロケット9に近接離間する方向に振動する場合があるが、この可動レール21の往路側及び帰還側に、上述した曲がり部17を設けることによって、この可動レール21側での踏段ローラ5の速度むらは有効に抑制され、踏段4に生じる振動はもとより可動レール21の振動をも効果的に抑制し、コンベア装置1の乗り心地を極めて良好なものとすることができる。
また、可動レール21の往路側及び帰還側の双方への曲がり部17の形成は、コンベア装置1の逆転運転に対応できて好都合である。
いずれにしても、上記構成の第1の参考例によれば、走行移動する踏段ローラ5の騒音発生を抑制するために、踏段ローラ5を軸回りに弾性部材を介在させたとき、弾性部材の圧縮変形にともなう速度むら吸収抑制効果が阻害されるのを回避するために、山型の曲がり部17及び押さえ部材18等に、踏段ローラ5の径方向の圧縮に見合う高さ分、予めかさ上げ補正したので、速度むらは適切に軽減ないしは回避され、乗り心地の良いコンベア装置を提供できる。
なお、上記第1の参考例では、踏段ローラ5は軸回りに介在させた弾性部材により、走行移動の際に径が縮小するものとし、その縮小分に見合う分、相手側の押さえ部材18や踏段ガイドレール3を予めかさ上げ形成を行う旨説明したが、踏段ローラ5自体を硬質な材料で形成し、格別、圧縮変形が見込まれない場合は、そのかさ上げ部分を形成するまでもなく、踏段ガイドレール3に形成された凹部3aaの存在により、踏段ローラ5は円滑にころがり移動し、速度むらが抑制された乗り心地の良いコンベア装置を提供できる。
上記第1の参考例は、踏段ガイドレール3に山型の曲がり部17を設ける旨説明したが、前述のように、踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部17を設けても、同様に速度むらの発生を抑制できる。
踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部を設けた本発明の第2の参考例に係るコンベア装置を図7及び図8を参照して説明する。なお、第2の参考例におけるコンベア装置1においては、第1の参考例と対比し、山型の曲がり部17及び押さえ部材18に代えて、踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部を設け、その谷型の曲がり部に対応して押さえ部材を設けた点で第1の参考例と相違し、その他は第1の参考例と共通するので、特にその相違点における構成及び作用を説明する。
なお、この第2の参考例においても、踏段ローラ5は、軸回りに弾性部材を介在させて構成したものとして以下説明する。
図7は第1の参考例を説明した図4に対応する模式図で、第2の参考例は、第1の参考例と相違して、速度むらの発生を抑制するために踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部19を形成させたものである。
そこで、駆動スプロケット9のピッチ円速度をVt、踏段チェーン7に連結されて移動する踏段ローラ5の平均速度をVoとし、踏段ローラ5の速度がVtからVoにまで減少した位置を基準位置としたときに、踏段ガイドレール3に沿って複数存在する基準位置S1,S2,S3,・・・のうち、図7(d)に示すように、駆動スプロケット9の近傍に位置する基準位置に隣接する第2の基準位置S2と、この基準位置に隣接する第3の基準位置S3との間に位置する踏段ガイドレール3の部位に、谷型の曲がり部19を設けたものである。
踏段ガイドレール3の谷型の曲がり部19が設けられた部位と対向する位置には、踏段ローラ5に当接する押さえ部材18Aを設け、この押さえ部材18Aの下面形状に沿って踏段ローラ5をころがり走行させるので、踏段4における速度むら発生を回避できる。
すなわち、踏段ローラ5が当接する押さえ部材18Aの下面は、第1の参考例で説明を行った図3のローラ中心軌跡Lに沿うものである。従って、押さえ部材18Aの下面の形状に沿い、踏段ローラ5がころがり移動するとき、後続の踏段ローラ5の速度は一定の平均速度Voに保持される。
この第2の参考例においても、踏段ローラ5は、バネ部材12であるチェーン駆動機構によって走行方向に緊張し、また踏段ローラ5が踏段ガイドレール3から駆動スプロケット9に移行するとき、踏段ローラ5と踏段ガイドレール3との間に押圧力が作用するので、図7(b)及び図7(c)にそれぞれ示したように、走行移動する踏段ローラ5は、踏段ガイドレール3及び押さえ部材18Aに対し押圧力(加圧力)が作用する。
そこで第2の参考例では、図7(b)及び図7(c)に示したように作用する加圧力によって、踏段ローラ5の弾性部材が径方向に圧縮変形し、その圧縮変形により踏段ローラ5の径寸法が縮小した分に見合う分、図7(d)に斜線で示したように、踏段ガイドレール3及び押さえ部材18Aの形状をかさ上げ補正を行うものである。
従って、たとえ踏段ローラ5が踏段ガイドレール3及び押さえ部材18Aに案内されて走行し、たとえ弾性部材が圧縮したとしても、かさ上げ補正により、踏段ローラ5は速度むらを適正に抑制吸収し得る軌跡に沿い適正に走行移動するので、図7(a)に実線で示したように、谷型の曲がり部19から後段の踏段ローラ5の移動速度は平均速度Voに維持され安定する。
また、この第2の参考例においては、押さえ部材18Aの対応位置に位置する踏段ガイドレール3の谷型の曲がり部19は、図8にも拡大して示したように、踏段ガイドレール3の踏段ローラ5のピッチ(リンク長r)より少し長めに形成されると共に、踏段ローラ5が押さえ部材18Aに当接する区間に対応する領域は、谷型の形状をさらに下方にえぐるように深さdの凹部3abを設けている。
従って、この第2の参考例では、深さdの凹部3abを谷型の曲がり部19に形成したので、押さえ部材18Aの下面に沿って回転移動する踏段ローラ5が、踏段ガイドレール3に接触し押圧を受けるのは回避され、踏段ガイドレール3により下方から挟まれることがないので、踏段ローラ5は押さえ部材18Aに形成された速度むら抑制のための形状に沿い、円滑にころがり移動できる。
このように、押さえ部材18Aの下面に沿い移動する踏段ローラ5は、踏段ガイドレール3側から押圧されることがないので、踏段ローラ5はもとより押さえ部材18A及び踏段ガイドレール3が、すり摩擦で損傷するのを回避できる。
また、図8に示したように、押さえ部材18A及び対向する谷型の曲がり部19の左右両端部の出入口において、押さえ部材18は、外側に向けて傾斜するテーパ状をなし、一方、対向する踏段ガイドレール3も、凹部3aaにつらなるように、内側に向けて傾斜するテーパ状をなすよう構成されている。
さらに、左右の基準位置S2,S3の位置において、押さえ部材18A及び踏段ガイドレール3は、いずれも通過する踏段ローラ5との間に略等間隔の隔たり(Δd)を有するように構成されている。
従って、バネ部材12の緊張力によって踏段チェーン7には張力が作用し、踏段チェーン7及び踏段ローラ5は、水平方向に直線性良く真直ぐに伸びようとするが、上下方向に上記隔たり(Δd)の余裕があるので、踏段ローラ5の案内は踏段ガイドレール3から押さえ部材18へ、あるいは押さえ部材18から踏段ガイドレール3へと円滑に引き継がれる。
この第2の参考例においても、踏段ローラ5が軸回りにゴムなど撓み性のある弾性部材を有しない場合は、押さえ部材18A及び踏段ガイドレール3におけるかさ上げ補正を行うことなく、速度むらを適切に抑制吸収できると共に、凹部3abの存在により、踏段ローラ5等は良好にころがり移動できる。
なお、押さえ部材18Aは、第1の参考例における押さえ部材18と同様に、踏段ガイドレール3あるいは構造物2に一体に取り付け構成できる。
次ぎに、前述の第1の参考例では、基準位置S1と基準位置Sとの間に踏段ガイドレール3に山型の曲がり部17を設けたが、基準位置S1と駆動スプロケット9との間の踏段ガイドレール3に山型の曲がり部17を設け、踏段ローラ5の速度むらを抑制して良好な乗り心地の確保と装置全体の薄型化を実現できる。
駆動スプロケット9に最も近い基準位置である基準位置S1と駆動スプロケット9との間の踏段ガイドレール3に山型の曲がり部17を設けた本発明のコンベア装置の第3の参考例を図9ないし図12を参照して説明する。なお、ここでも第1の参考例における構成と相違する点のみを特に説明する。
図9は、第1の参考例の図2に対応した説明図である。図9に示したように、踏段ガイドレール3に沿って複数存在する基準位置S1,S2,S3,・・・のうち、駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1から踏段チェーン7のピッチ(リンク長r)分離間した駆動スプロケット9上の点を駆動起点としたとき、この駆動起点と基準位置S1の間の踏段ガイドレール3に、踏段4側に突出する山型の曲がり部20を設けて、踏段4における速度むらを抑制ないしは吸収する。
駆動起点とは、踏段ローラ5が踏段ガイドレール3から駆動スプロケット9に移行し、駆動スプロケット9により円速度Vtで送り動作される起点であり、上記のように、駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1から踏段チェーン7のピッチ(リンク長r)分離間した駆動スプロケット9上に位置する。
この第3の参考例によるコンベア装置の基本動作を、図1に加え、図9及び図10を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ5のうち互いに隣り合う3つの踏段ローラに着目し、図9に示したように、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近付いて所定の位置(基準位置)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1と上記駆動起点との間の山型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の山型形状に沿い、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化する。
2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化すると、各踏段ローラ5間のピッチ(リンク長r)は一定であるから、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aに近付き、3番目の踏段ローラ51cは増速される。これにより、先頭の踏段ローラ51aの移動速度の低下分は3番目の踏段ローラ51cの増速分で相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
先頭の踏段ローラ51aが更に先に進むと、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は逆転し、平均速度よりも速くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが踏段ガイドレール3に設けられた山型の曲がり部20を越えてしまうので、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が元に戻り、3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aから離間して減速される。これにより、先頭の踏段ローラ51aの移動速度の上昇分が3番目の踏段ローラ51cの減速分で相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
以上説明のように、第3の参考例に係るコンベア装置1によれば、駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1と駆動スプロケット9上の駆動起点との間に位置する踏段ガイドレール3に山型の曲がり部20を設け、先行する踏段ローラ51aに生じる速度むらを吸収し、後続する踏段ローラ51c,51d・・・に伝達しないように構成したので、乗客が利用する踏段4の移動速度はほぼ平均速度Voに維持され、良好な乗り心地を確保することができる。
また、ここでも、踏段ガイドレール3に設ける山型の曲がり部20の高さは、実際にはそれほど高くする必要がないから、装置全体の薄型化を実現する上で有利である。
ここで、この第2の参考例における山型の曲がり部20の最適形状について、図10を参照して説明する。
曲がり部20を越えて駆動スプロケット9側へと移動した踏段ローラ51aは、駆動スプロケット9上の駆動起点で駆動スプロケット9に噛み合うことにより、その移動速度が駆動スプロケット9のピッチ円速度Vtと等しくなる。
駆動起点において、移動速度がVtとなる踏段ローラ5を、ここでは便宜上スプロケットローラ51aと称する。
また、このスプロケットローラ51aから曲がり部20を挟んで踏段ガイドレール3の前段側(コンベア装置1の乗口1a側)に2つ目の踏段ローラ51cは、スプロケットローラ51aに隣り合う踏段ローラ51bが、曲がり部20に沿って移動することによって、一定速度(平均速度Vo)で移動する。
そこで、スプロケットローラ51aから曲がり部20を挟んで踏段ガイドレール3の前段側に2つ目で、一定速度であることが期待される踏段ローラ51cを、ここでは便宜上一定速度ローラと称する。
各踏段ローラ51a,51b,51cが1ピッチ(リンク長r)分移動する際に、スプロケットローラ51aの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C1と、一定速度ローラ51cの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C2との交点P1が辿る軌跡をローラ中心軌跡Lとすると、曲がり部20は、このローラ中心軌跡Lに倣う形状に形成されているのが良い。
曲がり部20の形状を上記ローラ中心軌跡Lに倣い設定することにより、踏段ローラ51bが曲がり部20を通過する過程で、スプロケットローラ51aに生じる速度むらが、理論上、山型の曲がり部20の形状に応じた踏段ローラ51bの高さ位置の変化によって完全に吸収され、一定速度ローラ51cの移動速度が正確に一定速度(平均速度Vo)に保つことができる。
ここで、仮に、駆動スプロケット9の歯数が16枚、踏段チェーン7のリンク長が135mmとしたとき、曲がり部20を上述のローラ中心軌跡Lに倣う形状で形成したとすると、本発明者による試算では、曲がり部20の高低差は踏段ガイドレール3の上面から僅か1.53mmとなる。
以上のように、第3の参考例におけるコンベア装置1では、駆動スプロケット9に最も近い基準位置と駆動スプロケット9上の駆動起点との間に位置する踏段ガイドレール3の部位に、上述した中心軌跡Lに倣う形状で山型の曲がり部20を形成し、踏段チェーン7により連結される踏段ローラ5がこの山型の曲がり部20を通過することで、曲がり部20を通過する踏段ローラ5bに後続する踏段ローラ5c以降の移動速度は一定となり、踏段4の振動を効果的に抑制して、良好な乗り心地を確保することができる。
なお、この第3の参考例でも、第1の参考例と同様に、踏段ローラ5に微少の速度むら(Vo−rωsin(ωt+φ))が許容される場合には、山型の曲がり部20の高低差がより少ない形状に形成できる。
すなわち、駆動起点で駆動スプロケット9に噛み合うことで、移動速度がVtとなる踏段ローラ5を上記のようにスプロケットローラ51aとし、このスプロケットローラ51aから曲がり部20を挟んで踏段ガイドレール9の前段側(コンベア装置1の乗口1a側)に2つ目の踏段ローラ5cであって、スプロケットローラ51aに隣り合う踏段ローラ51bが曲がり部20に沿って移動することによって、微少の速度むら(Vo−rωsin(ωt+φ))に抑えられていることが期待される踏段ローラ5を略一定速度ローラ51cとしたとき、これら各踏段ローラ51a,51b,51cが1ピッチ(リンク長r)分移動する際に、スプロケットローラ51aの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C1と、略一定速度ローラ51cの中心から踏段チェーン7のリンク長rを半径として描かれる円C2との交点P1が辿る軌跡をローラ中心軌跡Lとすると、曲がり部20を、このローラ中心軌跡Lに倣う形状に形成することにより、曲がり部20の高低差を更に小さくしながら、曲がり部20を通過する踏段ローラ5に後続する踏段ローラ5の速度むらを許容範囲内に抑え、コンベア装置1全体の薄型化を図ることができる。
次ぎに、上記第3の参考例に係るコンベア装置1の具体的構造及び動作を図11を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された互いに隣り合う3つの踏段ローラ51a,51b,51cに着目して説明する。
上記のように、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9上の駆動起点に到達し、ピッチ円速度Vtとなったとき、2番目の踏段ローラ51bが、山型の曲がり部20に到達し高さ位置を変化させながら減速移動し、この2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化により、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aに近付き、3番目の踏段ローラ51cが増速される。
このように、踏段ローラ51bの移動速度の低下分が踏段ローラ51cの増速分で相殺され、踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持されるが、仮に山型の曲がり部20が設けられていない場合を考えると、先頭の踏段ローラ51aが更に先に進んだときに、2番目の踏段ローラ51bの移動速度は逆転して平均速度Voよりも速くなるはずである。
しかしながら、この第3の参考例では、駆動起点と基準位置S1との間に山型の曲がり部20により、2番目の踏段ローラ51bが山型の曲がり部20を越えるので、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が元に戻り、3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aから離間して、3番目の踏段ローラ51cが減速され、これにより、2番目の踏段ローラ51bの移動速度の上昇分が3番目の踏段ローラ51cの減速分で相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
また、このとき、踏段チェーン7には、上述したバネ部材12からなるチェーン緊張機構によって所定の張力が付与されているが、3番目の踏段ローラ51cは、図11に示した押さえ部材18によって浮き上がりが防止される。従って、2番目の踏段ローラ51bが曲がり部20に沿ってその高さ位置を変化させたときでも、3番目の踏段ローラ51cは、適切に増減速され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は確実に平均速度Voに維持される。
次ぎに、この第3の参考例において、回転軸回りに弾性部材を配置した踏段ローラ5を採用し、騒音等の発生を抑制を図った場合の踏段ガイドレール3及び押さえ部材18の形状補正について説明する。
すなわち、踏段ローラ5が踏段ガイドレール3及び押さえ部材18に接触するとき、踏段ローラ5の駆動スプロケット9への歯噛み過程、及び山型の曲がり部20における踏段4の速度むら抑制作用における踏段ローラ5の対踏段ガイドレール3及び押さえ部材18に対する加圧力によって弾性部材は圧縮する。
この弾性部材の圧縮に伴う、踏段ローラ5の軌道ずれを補正すべく、予め踏段ガイドローラ3及び押さえ部材18の踏段ローラ5の当接面形状を、第1の参考例と同様に、図11に斜線で示したようにかさ上げ補正を行ったものである。
すなわち、図11(a)に示したように、駆動スプロケット9のピッチ円速度をVt、踏段チェーン7に連結されて移動する踏段ローラ5の平均速度をVoとし、踏段ローラ5の速度がVtからVoにまで減少した位置を基準位置としたとき、駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1と、この基準位置S1から踏段チェーン7のピッチ(リンク長r)分だけ離間した駆動スプロケット9上の駆動起点との間に位置する踏段ガイドレール3に設けられた山型の曲がり部20の前段と対向する位置に、踏段ローラ5に当接する押さえ部材18が設けられている。
3番目の踏段ローラ51cの移動速度を確実に平均速度Voに維持するために、少なくとも、3番目の踏段ローラ51cの浮き上がりを防止するのに必要な踏段ガイドレール3上の降口1b側の位置をPLとしたとき、その位置PLと基準位置S2との間に差し渡されるように、直線状の押さえ部材18が踏段ガイドレール3に対向配置される。
そして、第1の参考例と同様に、踏段ローラ5が押さえ部材18の下面に当接しつつ回転移動しても、踏段ローラ5が接触しないように、踏段ガイドレール3に凹部3acが形成される。
図11に示した構成において、踏段ローラ5(51a,51b,51c,・・・)が基準位置S1、S2、・・・位置に位置したときには、踏段チェーン7は水平方向に真直ぐに伸びた状態であり、踏段ローラ5(51a,51b,51c,・・・)は押さえ部材18の下面に当接しつつ回転移動し、踏段ガイドレール3には凹部3acが形成されているので、たとえ踏段チェーン7にチェーン緊張機構による張力が作用しても、踏段ローラ5は踏段ガイドレール3側から押圧力されることはない。
踏段ローラ5が弾性部材を軸回りに形成していると、第1の参考例と同様に、踏段ローラ5と踏段ガイドレール3及び押さえ部材18との間には、図11に破線で示したように押圧力が作用し、踏段ローラ5の径は縮小する。
この第3の参考例においても、その踏段ローラ5の径の縮小に見合う高さ分だけ、押さえ部材18の下面形状及び踏段ガイドレール3の曲がり部20をかさ上げ形成したので、踏段ローラ5は、速度むらを防ぐために予め設定された軌跡に沿い走行移動することができる。
このように、駆動起点と基準位置S1との間に山型の曲がり部20を設けた第3の参考例においても、たとえ踏段ローラ5が軸回りに弾性部材を有していたとしても、踏段ローラ5を速度むらの発生を抑制するための所定軌跡を適切に通過し得ると共に、押さえ部材18の対向位置の踏段ガイドレール3に深さdの凹部3acを設けたので、踏段ローラ5は上下方向からの挟み付けを受けることなく、円滑にころがり移動することができる。
また、この第3の参考例では、図11の要部を図12に拡大して示したように、押さえ部材18並びに押さえ部材18の対向位置で凹部3acを形成した踏段ガイドレール3は、踏段ローラ5が出入りする左右の出入口において、それぞれテーパ状を形成すると共に、位置PL及び基準位置S2においては上下に略均等な間隔Δdを形成したので、踏段ローラ5は、踏段チェーン7が水平方向に真直ぐに伸びている状態を維持しつつ円滑に出入りできる。
もっとも、この第3の本参考例においても、踏段ローラ5が弾性部材を軸回りに形成していない場合は、図11及び図12に斜線で示したかさ上げ形成する必要はなく、踏段ガイドレール3に設けられた深さdの凹部3acの存在により、踏段ローラ5は押さえ部材18の下面に沿い円滑にころがり移動するので、踏段ローラ等の損傷を回避することができる。
なお、上記各参考例の説明では、山型の曲がり部あるいは谷型の曲がり部をそれぞれ個別に採用したが、図13に示したように、第1(あるいは第3)の参考例の山型の曲がり部20と第2の参考例の谷型の曲がり部19とを走行方向に繋ぎ合わせた構成とすることができる。山型の曲がり部20と谷型の曲がり部19とをつなぎ合わせた構成によれば、同じ速度むらを吸収抑制するのに、小さな山の高さ及び浅い谷の深さで実現でき、それだけ踏段ローラ5の踏段ガイドレール3及び押さえ部材18Aとの間の押圧力、すなわち機械的負荷を軽減ができる。なお、第1(あるいは第3)の参考例の山型の曲がり部20と第2の参考例の谷型の曲がり部19とのつなぎ合わせ順次は逆でも良い。
もっとも、第1(あるいは第3)の参考例と第2の参考例とを組み合わせた場合、第1(あるいは第3)の参考例の山型の高さ距離と第2の参考例の谷型の深さ距離、(すなわち押さえ部材18Aの山の高さ距離)を一定の比率関係となるように構成しても良く、またいずれか一方の山あるいは谷の高さ(ないしは深さ)距離を適当に小さくした形状を基準に、他方の谷の高さ(ないしは深さ)あるいは山の高さ距離を設定しても良い。
また、上記説明の各参考例において、コンベア装置は、動く歩道を例について説明したが、本発明は建物の上下階に跨って設置されて乗客を運搬するエスカレータに対しても適用可能である。
以上説明したように、本発明のコンベア装置によれば、踏段ローラ5をその回転軸回りに弾性部材を介在させて構成したとき、少なくとも山型の曲がり部の中央部の高さ、あるいは谷型の曲がり部を設けた際の押さえ部材の中央部の高さを補正するので、踏段ローラ5は上下動することなく、全体の薄型化を実現しつつ、所定軌跡上を通過して速度むらの発生を抑制できる。
また、押さえ部材18あるいは押さえ部材18Aに対向する踏段ガイドレール3に凹部3aa,3ab,3acを設けたので、踏段ローラ5が回転軸回りに弾性部材を介在させているといないに拘わらず、踏段ローラ5はもとより、押さえ部材18や押さえ部材18A及び踏段ガイドレール3の損傷を回避して、踏段4における速度むら発生が抑制された乗り心地の良いコンベア装置を提供できる。
踏段ガイドレール3に山型の曲がり部20を設けた本発明のコンベア装置の第4の参考例を図14及び図22を参照して説明する。なお、ここでも第1の参考例における構成と相違する点のみを特に説明する。
図22は、第1の参考例の図2に対応した説明図で、従来のコンベア装置の構成図である。図22に示すように、踏段ガイドレール3に沿って複数存在する基準位置S1,S2,S3,・・・のうち、駆動スプロケット9の近傍に位置する基準位置S1と、この基準位置S1に隣接する他の基準位置S2の間において、図示しない踏段4側に突出する山型の曲がり部20を踏段ガイドレール3に設けて、踏段4における速度むらを抑制ないしは吸収している。この場合、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ前後の踏段チェーンがまっすぐで、後続の踏段ローラが微小の速度変化でも追従できないので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2は角度αの折れ点になり、ここを通過する踏段ローラに衝撃が発生する。
図14は、第4の参考例の構成図である。山型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側で、踏段ガイドレール3の高さを山型の曲がり部20の高さ以下にδだけオフセットさせたので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ前後の踏段チェーンがまっすぐでなくなる。これにより、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2が折れ曲がりのない滑らかな形状となる。
この第4の参考例によるコンベア装置の基本動作を、図14を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ5のうち互いに隣り合う3つの踏段ローラに着目すると、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近付いて所定の位置(基準位置S2)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、基準位置の間の山型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の山型形状に沿い、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化する。
2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化すると、各踏段ローラ5間のピッチ(リンク長r)は一定であるから、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aに近付き、3番目の踏段ローラ51cは増速される。この増速分で移動速度の減速分が相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
ところで、図14は、2番目の踏段ローラ51bがさらに進んで頂点を越えて下っている状態を示している。高さ位置が低いほうに変化すると、各踏段ローラ5間のピッチ(リンク長r)は一定であるから、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aから遠のき、3番目の踏段ローラ51cは減速される。この減速分で移動速度の減速分が相殺され、踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
ところで、山型の曲がり部20の駆動スプロケットより遠い側で、踏段ガイドレール3の高さをオフセットさせたので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ51b前後の踏段チェーンがまっすぐでない。したがって、踏段ローラ51bを僅かに上下するだけで3番目の踏段ローラ51cが速度変化に追従でき、踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。これによって、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上の説明のように、第4の参考例に係るコンベア装置1によれば、基準位置の間に位置する踏段ガイドレール3に山型の曲がり部20を設け、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となるので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
また、山型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側で、踏段ガイドレール3のオフセット(高さδ)を設けても、山型の曲がり部20の高さは駆動スプロケット9に対して半分のδ/2程度しか高くならないため、装置全体の薄型化を実現する上で有利である。
踏段ガイドレール3に山型の曲がり部20を設けた本発明のコンベア装置の第5の参考例を図15および図22を参照して説明する。なお、ここでも第1の参考例における構成と相違する点のみを特に説明する。
図15は、第5の参考例の構成図である。山型の曲がり部20の駆動スプロケットより遠い側で、山型の曲がり部20の略中央で山折りとなるように踏段ガイドレール3を折り曲げたので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ前後の踏段チェーンがまっすぐでなくなる。これにより、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となる。
この第5の参考例によるコンベア装置の基本動作を説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラのうち互いに隣り合う3つの踏段ローラに着目すると、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近付いて所定の位置(基準位置S2)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、基準位置の間の山型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の山型形状に沿って2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化する。
2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化すると、各踏段ローラ5間のピッチ(リンク長r)は一定であるから、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aに近付き、3番目の踏段ローラ51cは増速される。この増速分により減速分が相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
ところで、山型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側で、踏段ガイドレール3を山型の曲がり部20の略中央で山折りとなるように折り曲げたので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ51b前後の踏段チェーンがまっすぐでない。したがって、踏段ローラ51bを僅かに上下するだけで3番目の踏段ローラ51cが速度変化に追従でき、踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。これによって、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上の説明のように、第5の参考例に係るコンベア装置1によれば、基準位置の間に位置する踏段ガイドレール3に山型の曲がり部20を設け、山型の曲がり部への繋ぎ部S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
また、山型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側での、山型の曲がり部20の中央で山折りとなるような踏段ガイドレール3の折り曲げ角度θは微小でも良いため、装置全体の薄型化を実現する上で有利である。
踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部17を設けた本発明のコンベア装置の第6の実施例を図16及び図23を参照して説明する。なお、ここでも第1の参考例における構成と相違する点のみを特に説明する。
図23は、第1の参考例の図2に対応した説明図で、従来のコンベア装置の構成図である。図23に示したように、踏段ガイドレール3に沿って複数存在する基準位置S1,S2,S3,・・・のうち、駆動スプロケット9の近傍に位置する基準位置S2と、この基準位置S2に隣接する他の基準位置S3の間において、図示しない踏段4側とは反対側に谷型の曲がり部20を設けて、踏段4における速度むらを抑制ないしは吸収している。この場合、谷型の曲がり部20の両側の繋ぎ部S2,S3での踏段ローラ前後の踏段チェーンがまっすぐで、後続の踏段ローラが微小の速度変化でも追従できないので、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3は角度α’の折れ点になり、ここを通過する踏段ローラに衝撃が発生する。
図16は、第6の参考例の構成図である。谷型の曲がり部20の駆動スプロケットより遠い側で、谷型の曲がり部20の略中央で谷折りとなるように踏段ガイドレール3を折り曲げたので、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3での踏段ローラ前後の踏段チェーンがまっすぐでなくなる。これにより、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3は折れ曲がりのない滑らかな形状となる。
この第6の参考例によるコンベア装置の基本動作を、図16を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ5のうち互いに隣り合う3つの踏段ローラに着目すると、図16に示したように、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近付いて所定の位置(基準位置S2)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、基準位置の間の谷型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の谷型形状に沿って2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化する。
2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が変化すると、各踏段ローラ5間のピッチ(リンク長r)は一定であるから、2番目の踏段ローラ51bの高さ位置の変化分だけ3番目の踏段ローラ51cが先頭の踏段ローラ51aに近付き、3番目の踏段ローラ51cは増速される。この増速分により減速分が相殺され、3番目の踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。
ところで、谷型の曲がり部20の駆動スプロケットより遠い側で、踏段ガイドレール3を谷型の曲がり部20の略中央で谷折りとなるように角度θ’折り曲げたので、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3での踏段ローラ51b前後の踏段チェーンがまっすぐでない。そこで、踏段ローラ51bを僅かに上下するだけで3番目の踏段ローラ51cが速度変化に追従でき、踏段ローラ51cの移動速度は平均速度Voに維持される。これによって、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3は折れ曲がりのない滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上説明のように、第6の参考例に係るコンベア装置1によれば、基準位置S2,S3の間において踏段ガイドレール3に谷型の曲がり部20を設け、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S2,S3は折れ曲がりのない滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
また、谷型の曲がり部20の駆動スプロケットより遠い側で、踏段ガイドレール3が谷型の曲がり部20の略中央で谷折りとなるため、装置全体の薄型化を実現する上で有利である。
図17は第1の実施例の構成図である。第1の実施例で第5の参考例と同一の箇所には同一の符号を付して、重複する説明は一部省略してある。第1の実施例では、第5の参考例と同じ様に、山型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側において、山型の曲がり部20の略中央で山折りとなるように踏段ガイドレール3を折り曲げたので、山型の曲がり部20への繋ぎ部S2での踏段ローラ前後の踏段チェーンが真っ直ぐでなくなる。これにより、第1の実施例でも山型の曲がり部20への繋ぎ部S1、S2は折れ曲がりのない滑らかな形状となる。
第1の実施例が第5の参考例と異なるのは、踏段ガイドレール3の山型の曲がり部20の略中央で折り曲げる角度を大きくし、曲がり部20が踏段ガイドレール3の水平面に対して盛り上がらず、踏段チェーンと駆動スプロケット9との噛み合い位置に向かってなだらかに下降し、曲がり部20とその前後の部分とが単調に繋がる起伏が無い形状とした点である。
例えば、踏段チェーンのリンク長が133.33mmであり、駆動スプロケットが8歯である場合には、このような折り曲げの最小角度は18.3度であり、この時、駆動スプロケットの接線に対する踏段ガイドレール3の水平面のオフセットδは38.8mmとなる。
なお、駆動スプロケットの接線とは、駆動スプロケットの隣接する歯と歯の間の溝底部を円周とする円に接する接線であって、踏段ガイドレールの水平面に平行な接線をいう。この接線に対する踏段ガイドレール3の水平面のオフセットがδであるが、図17では、図面を見やすくするために、駆動スプロケット9のピッチ円に接する接線と踏段ローラ51の中心点との距離をδとして表している。
図17には、特許文献3のオフセットδを5.14mmとした場合を二点鎖線で付記してある。特許文献3のオフセットδである5.14mmは、各踏段ローラの移動速度が基準位置にてVtからVoに減少した後にVo未満に減少しないように設定された値である。
この第1の実施例によるコンベア装置の基本動作を図17を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ51のうち互いに隣り合う踏段ローラに着目すると、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近づいて所定の位置(基準位置S1)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、基準位置の間の山型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の曲がり形状に沿って2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が下がる。
踏段ガイドレール3の曲がり部20を、その前後の部分と単調に繋がる起伏を生じない形状としたことで、踏段ローラ51が曲がり部20を通過する際に上に上がる力を受けないので、第5の参考例で踏段ガイドレール3に対向して設けていた押さえ部材が不要となる。これにより、踏段ローラ51は上下動することがなくなると共に、押さえ部材の強度不足や押さえ部材における振動の発生を懸念したり、踏段ガイドレール3における押さえ部材との対向面に凹状のクリアランスを設けて踏段ローラが通過しやすくする等の必要が無くなる。
なお、第1の実施例においても、第5の実施例と同じように、山型の曲がり部20への繋ぎ部S1、S2は折れ曲がりの無い滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上説明したように、第1の実施例に係るコンベア装置によれば、踏段ガイドレールにおける複数の基準位置の間に位置する部位に設けた山型の曲がり部20を、前後の部分と単調に繋がる起伏を生じない形状としたので、押さえ部材を設けるスペースが無い場合にも採用できる。また、繋ぎ部S1、S2は折れ曲がりの無い滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
第1の実施例を図17に二点鎖線で付記した特許文献3の場合と比較する。図17は踏段チェーンのリンク長が133.33mm、駆動スプロケットが8歯の場合である。いずれも曲がり部が水平面に対して盛り上がらない単調な下り形状で、押さえ部材が不要であり、曲がり部とその前後の部分との繋ぎ部は滑らかであるという特徴を有している。
この二例の相違点は、駆動スプロケットに対する踏段チェーンの噛み合い角度と、駆動スプロケットの接線に対する踏段ガイドレールの水平面のオフセットδである。第1の実施例における踏段チェーンの駆動スプロケットに対する噛み合い角度の損失は18.3度となり、特許文献3の場合の27.5度より改善されている。一方、第1の実施例のオフセットδは38.8mmとなり、特許文献3の場合の5.14mmより大きくなっている。
第1の実施例は、踏段チェーンの駆動スプロケットに対する噛み合い率を高める場合、すなわち負荷を意識した設計に適しており、特許文献3の場合は、コンベア装置の厚み寸法を減らす場合、すなわち省スペースを意識した設計に適しており、用途に応じて使い分けることになる。
図18は第2の実施例の構成図である。第2の実施例で第6の参考例と同一の箇所には同一の符号を付して、重複する説明は一部省略してある。第2の実施例では、第6の参考例と同じ様に、谷型の曲がり部20の駆動スプロケット9より遠い側において、谷型の曲がり部20の略中央で谷折りとなるように踏段ガイドレール3を折り曲げたので、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S3、S4での踏段ローラ前後の踏段チェーンが真っ直ぐでなくなる。これにより、第2の実施例でも谷型の曲がり部20への繋ぎ部S3、S4は折れ曲がりのない滑らかな形状となる。
第2の実施例においては、踏段ガイドレール3の谷型の曲がり部20の略中央で折り曲げる角度を大きくし、曲がり部20が踏段ガイドレール3の水平面に対して盛り上がらず、踏段チェーンと駆動スプロケット9との噛み合い位置に向かってなだらかに下降し、曲がり部20とその前後の部分とが単調に繋がる起伏が無い形状としている。また、第2の実施例においては、特許文献3に記載の曲がり部20’を、駆動スプロケット9との踏段チェーンの受け渡しの往路側に設けている。
この曲がり部20’は、踏段ガイドレール3’の水平面の高さ位置を、第1の実施例で述べたような所定のオフセット量分加算した位置に設定した状態で、駆動スプロケット9に最も近い基準位置が踏段ガイドレール3’の水平面からの切り替え点となるように山型に形成している。
第2の実施例によるコンベア装置の基本動作を図18を参照して説明する。
踏段チェーン7で連結された各踏段ローラ51のうち互いに隣り合う踏段ローラに着目すると、先頭の踏段ローラ51aが駆動スプロケット9に近づいて所定の位置(基準位置S3)を越えたとき、この先頭の踏段ローラ51aの移動速度は平均速度よりも遅くなる。このとき、2番目の踏段ローラ51bが、基準位置の間の谷型の曲がり部20に到達すると、その曲がり部20の曲がり形状に沿って2番目の踏段ローラ51bの高さ位置が単調に変化する。
曲がり部20とその前後の部分とが単調に繋がる起伏が無い形状としたことで、踏段ローラ51が上下動することがなくなり、踏段ガイドレール3に対向して押さえ部材を設ける必要が無くなる。これにより、押さえ部材の強度不足や押さえ部材における振動の発生を懸念したり、踏段ガイドレール3における押さえ部材との対向面に凹状のクリアランスを設けて踏段ローラが通過しやすくする等の必要が無くなる。
なお、第2の実施例においても、第6の参考例と同じように、谷型の曲がり部20への繋ぎ部S3、S4は折れ曲がりの無い滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上説明したように、第2の実施例に係るコンベア装置によれば、踏段ガイドレール3における複数の基準位置の間に位置する部位に設けた谷型の曲がり部20を前後の部分と単調に繋がる起伏を生じない形状としたので、押さえ部材を設けるスペースが無い場合にも採用できる。また、繋ぎ部S3、S4は折れ曲がりの無い滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
特許文献3に記載の曲がり部20’は、その前後の部分との繋ぎ部の折れ曲がりが無く滑らかであるが、曲がり部20’は駆動スプロケット9上まで食い込む形で形成されているので、駆動スプロケット9と踏段チェーンとの噛み合い歯数が低下している。
しかしながら駆動スプロケット9との踏段チェーンの受け渡しの帰路側に設けた曲がり部20の側では、踏段ガイドレール3における曲がり部20より左側の部位を、曲がり部20’を設けた踏段ガイドレール3’と平行になるように曲げるので、この曲げた角度の分だけ踏段チェーンとの駆動スプロケット9の噛み合い歯数が増える。
これにより、曲がり部20’が有る往路側で減少した噛み合い歯数と曲がり部20が有る帰路側で増加した噛み合い歯数とが相殺されるので、駆動スプロケット9と踏段チェーンとの噛み合い歯数が維持されて駆動スプロケット9が踏段チェーンに十分な駆動力を伝達することができる。
例えば、踏段チェーンのリンク長が133.33mmであり、駆動スプロケットが8歯である場合には、往路側で失う噛み合い角度は27.5度であり、帰路側で増える噛み合い角度は24.6度である。なお、帰路側では、駆動スプロケット9と曲がり部20の間に直線部を2リンク分以上設けて、左右の踏段ガイドレール3での踏段ローラの受け渡しをこの直線部で行い、踏段ガイドレール3と踏段ローラの間のクリアランスが0となるようにしている。なお、直線部を1リンク分短くすれば、さらに駆動スプロケット9と踏段チェーンの噛み合い角度を増やすことができる。
以上説明したように、第2の実施例に係るコンベア装置によれば、往路側には特許文献3記載の曲がり部20’を設け、帰路側には前後の部分と単調に繋がる谷型の曲がり部20を設けたので、いずれも押さえ部材を必要としない。また、いずれの曲がり部についても、その前後の繋ぎ部は折れ曲がりの無い滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
そして、踏段ガイドレール3’と踏段ガイドレール3は駆動スプロケット9の近傍で間隔を狭くして平行に配置することができ、動く歩道等のコンベア装置を薄型に構成することができるので、コンベア装置を地面に埋設して設置する場合には、ピットを深く掘る必要が無くなる。また、コンベア装置を上階に設置する場合には、下階への寸法的制約が少なくなり、建造物の設計自由度を増やすことができる。
なお、第2の実施例では、特許文献3記載の曲がり部を往路側の踏段ガイドレールにおける駆動スプロケットとの踏段チェーンの受け渡し箇所に設け、谷型の曲がり部を帰路側の踏段ガイドレールにおける駆動スプロケットとの踏段チェーンの受け渡し箇所に設けているが、特許文献3記載の曲がり部を帰路側の踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設け、谷型の曲がり部を往路側の踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設けるようにしてもよい。
また、特許文献3記載の曲がり部に代えて特許文献2記載の曲がり部を踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設けるようにしてもよい。特許文献2記載の曲がり部が特許文献3記載の曲がり部と相違する点は、踏段ガイドレールの水平面の高さ位置をオフセットさせていない点で、その他は特許文献3記載の曲がり部と同様である。
図19は第3の実施例の構成図である。第3の実施例で第2の実施例と同一の箇所には同一の符号を付して、重複する説明は一部省略してある。
第3の実施例では、駆動スプロケット9に最も近い基準位置と、この基準位置に対して駆動スプロケットとは反対の側に隣接する他の基準位置との間に、曲率半径を大きくして谷型に曲げた曲がり踏段ガイドレール3’’を備えており、これと駆動スプロケット9との間に、特許文献3に記載の山型の速度補正用の曲がり部20’’を設け、曲がり踏段ガイドレール3’’において踏段ローラが速度Vo’(曲がっているためVoより僅かに速い)で等速運動するように速度補正用の曲がり部20’’の形状を定義している。
ただし、曲がり踏段ガイドレール3’’の曲率半径を駆動スプロケット9のピッチ円の半径ほど小さくすることはできない。曲がり踏段ガイドレール3’’の曲率半径を駆動スプロケット9のピッチ円の半径に近づけると、踏段チェーンが逆折れとなってしまい、速度補正用の曲がり部20’’の形状を定義できない。
すなわち、曲がり踏段ガイドレール3’’における踏段チェーンの折れ曲がり方向が、駆動スプロケット9上における踏段チェーンの折れ曲がり方向と逆であると、踏段チェーンが駆動スプロケット9にスムーズに巻き付くことができないので、図19に示すように、踏段ローラ51が駆動スプロケット9に最も近い基準位置S1にある際には、その前後のリンクは、駆動スプロケット9に巻き付いた場合と同じ方向に曲がっているか又は直線状である必要がある。したがって、あるリンク長において、曲がり踏段ガイドレール3’’の曲率半径は、それよりも小径の駆動スプロケット9のピッチ円の半径に対してある一定以上の大きさが必要という制約がある。
例えば、踏段チェーンのリンク長が133.33mmであり、駆動スプロケット9が8歯である場合には、曲がり踏段ガイドレール3’’のピッチ円(曲がり踏段ガイドレール3’’の曲率半径と踏段ローラの半径との和を半径とする円)の半径は465mmが限界であり、それ以上小さくすることはできない。このとき、駆動スプロケット9のピッチ円と、曲がり踏段ガイドレール3’’のピッチ円とのオフセット(曲がり踏段ガイドレール3’’の曲率半径の中心点と駆動スプロケット9のピッチ円の中心点とを結ぶ直線上における二つのピッチ円間の距離)は8.7mmとなる。
さらに、曲がり踏段ガイドレール3’’のピッチ円の半径を465mmまで小さくした場合は、S1点に踏段ローラが有る際に前後のチェーンリンクが直線状に並ぶことになる。そこで、S1点において、踏段ローラと曲がり踏段ガイドレール3’’との間、及び踏段ローラと曲がり部20と’’の間にそれぞれクリアランスを設け、左右の踏段ガイドレールにおける踏段チェーンの駆動スプロケットへの受け渡しをS1点で行うようにしている。
なお、図19に示すように、踏段ガイドレール3上における踏段チェーンリンクの脈動を防ぐために、曲がり踏段ガイドレール3’’と踏段ガイドレール3との間にも特許文献3記載の曲がり部20’’’を設けることが可能である。ここでは、前記オフセットδは1.9mmとなる。
上述したように、このオフセットδは、駆動スプロケット9の歯と歯の間の溝底部を円周とする円に接する接線であって踏段ガイドレール3の水平面に平行な接線と、踏段ガイドレール3の水平面との間の距離であるが、図19では、図面を見やすくするために、同じ寸法となる別の箇所にδ(=1.9mm)を図示している。
また、第3の実施例では、踏段チェーンの駆動スプロケット9との受け渡しの往路側において、第2の実施例と同様に特許文献3記載の曲がり部20’を設けている。
第3の実施例のコンベア装置の動作を図19を参照して説明する。踏段チェーンで連結された各踏段ローラは踏段ガイドレール3上を平均速度Voで移動し、曲がり部20’’’を越えた後、曲がり踏段ガイドレール3’’上を平均速度Vo’で等速円運動する。そして、速度補正用の曲がり部20’’を経由して駆動スプロケット9上の等速円運動へと移行する。
曲がり部20’’’と速度補正用の曲がり部20’’は単調に変化する起伏を生じない形状であるので、踏段ローラは上下動することはなく、第6の参考例で踏段ガイドレール3に対向して設けていた押さえ部材が不要となる。これにより、押さえ部材の強度不足や押さえ部材における振動の発生を懸念したり、踏段ガイドレール3における押さえ部材との対向面に設けた凹状のクリアランスの不良による踏段ローラの挟み付けを懸念する必要が無くなる。
加えて、第3の実施例においても、曲がり部20’’’から速度補正用の曲がり部20’’への繋ぎ部S0、S1、S0’’’、S1’’’は折れ曲がりの無い滑らかな形状となり、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避できる。
以上説明したように、第3の実施例に係るコンベア装置によれば、駆動スプロケット9と踏段ガイドレール3の間を、曲がり部20’’’、曲がり踏段ガイドレール3’’、及び速度補正用の曲がり部20’’で単調に繋ぐ起伏が無い形状としたので、押さえ部材を設けるスペースが無い場合にも採用できる。また、S0、S1、S0’’’、S1’’’は折れ曲がりの無い滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
また、第3の実施例では、特許文献3に記載の曲がり部20’を駆動スプロケット9との踏段チェーンの受け渡しの往路側に設け、帰路側に曲がり踏段ガイドレール3’’を設けている。特許文献3に記載の曲がり部20’は、その前後の部分との繋ぎ部の折れ曲がりが無く滑らかであるが、駆動スプロケット9上まで食い込む形で形成されているので、駆動スプロケット9と踏段チェーンとの噛み合い歯数が低下している。
しかしながら、駆動スプロケット9との踏段チェーンの受け渡しの帰路側に設けた曲がり踏段ガイドレール3’’の側では、踏段ガイドレール3における曲がり部20’’’より左側の部位を、曲がり部20’を設けた踏段ガイドレール3’と平行になるように曲げるので、この曲げた角度の分だけ踏段チェーンとのプロケット9の噛み合い歯数が増える。
これにより、曲がり部20’が有る上側で減少した噛み合い歯数と曲がり部20’’’が有る下側で増加した噛み合い歯数とが相殺されるので、駆動スプロケット9と踏段チェーンとの噛み合い歯数が必要数に維持されて駆動スプロケット9が踏段チェーンに十分な駆動力を伝達することができる。
例えば、踏段チェーンのリンク長が133.33mmであり、駆動スプロケットが8歯である場合には、往路側で失う噛み合い角度は27.5度であり、帰路側で増える噛み合い角度は17.4度である。
以上説明したように、第3の実施例に係るコンベア装置によれば、往路側には、特許文献3記載の曲がり部20’を設け、帰路側には、曲がり部20’’’、曲がり踏段ガイドレール3’’及び速度補正用の曲がり部20’’を設けたので、いずれも押さえ部材を必要としない。また、いずれの曲がり部についても、その前後の繋ぎ部は折れ曲がりの無い滑らかな形状となるように構成したので、そこを踏段ローラが通過する際の衝撃振動の発生を回避でき、良好な乗り心地を確保することができる。
そして、踏段ガイドレール3’と踏段ガイドレール3は駆動スプロケット9の近傍で間隔を狭くして平行に配置することができ、動く歩道等のコンベア装置を薄型に構成することができるので、コンベア装置を地面に埋設して設置する場合には、ピットを深く掘る必要が無くなる。また、コンベア装置を上階に設置する場合には、下階への寸法的制約が少なくなり、建造物の設計自由度を増やすことができる。
なお、第3の実施例では、特許文献3 記載の曲がり部を往路側の踏段ガイドレールにおける駆動スプロケットとの踏段チェーンの受け渡し箇所に設け、谷型の曲がりガイドレール及び速度補正用の山型の曲がり部を帰路側の踏段ガイドレールにおける駆動スプロケットとの踏段チェーンの受け渡し箇所に設けているが、特許文献3 記載の曲がり部を帰路側の踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設け、谷型の曲がりガイドレール及び速度補正用の山型の曲がり部を往路側の踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設けるようにしてもよい。
また、特許文献3記載の曲がり部に代えて特許文献2記載の曲がり部を踏段ガイドレールの受け渡し箇所に設けるようにしてもよい。
第3の実施例と第2の実施例を比較すると、図19と図18はどちらも踏段チェーンのリンク長が133.33mmであり、駆動スプロケットが8歯である場合である。いずれも曲がり部が単調な形状で押さえ部材が不要であり、繋ぎ部は滑らかであり、コンベア装置を薄型にすることができるという特徴を有している。
これらの実施例の違いは、踏段チェーンと駆動スプロケットの噛み合い角度と踏段ガイドレールにおける不等速の直線部の有無である。図19に示す第3の実施例における帰路側の噛み合い角度の増加分17.4°と比べて、図18に示す第2の実施例における帰路側の噛み合い角度の増加分24.6°であり、より改善されている。一方、図19には踏段ガイドレール3に不等速の直線部がはく、図18には踏段ガイドレール3にリンク長二つ分強の不等速の直線部が有り、この部位では踏段は振動している。
なお、比較検討できるように、図18および図19では共に帰路側の踏段ローラ51の中心を通る軌跡は、駆動スプロケットの中心軸より16mm高くなる位置で記載している。
これらの差異は微小であるが、第2の実施例は踏段チェーンと駆動スプロケットの噛み合い率を高める負荷を意識した設計に適しており、第3の実施例は内部振動を減らす静粛性を意識した設計に適しており、いずれを採用するかは用途に応じて決定することになる。
ところで、第3の実施例では、大径の曲率半径のローラ軌道(曲がり踏段ガイドレール3’’)と小径の曲率半径のローラ軌道(駆動スプロケット9)とがローラの進行方向の両側に交互に現れるようになっているが、大径の曲率半径のローラ軌道と小径の曲率半径のローラ軌道とがローラの進行方向の同じ側に有り、これらが繋がっていてローラ軌道の曲率半径が途中で変化しているような場合においても、第3の実施例の構造を適用すると、ローラの振動を低減してリンクの脈動を押さえることができる。
すなわち、図20に示すように、大径の曲率半径R1のローラ軌道W1と小径の曲率半径R2のローラ軌道W2の中心点p1、p2間を結ぶ直線上にオフセットXを設け、ローラの速度がVo’となる基準点S0、S1で両軌道W1、W2を繋ぐようにする。このようにすると、ローラの振動を低減してこれらを連結するリンクに脈動が生じるのを防ぐことができる。このような構造の適用分野としては、例えば工作機械等を挙げることができる。
なお、このように、二つの円弧状のローラ軌道をローラ進行方向の同じ側に設ける場合には、二つの軌道でのリンクの折れ曲がり方向が逆になることは無いので、上述したような二つの円弧状のローラ軌道がローラ進行方向の異なる側に有る場合のように、大径R1の大きさが小径R2の大きさよりもある一定以上必要であるという制約条件は無い。