JP5601822B2 - 薄膜トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置および有機エレクトロルミネッセンス(Electro-Luminescence;略称:EL)表示装置などの電気光学表示装置、ならびに半導体部品などの半導体デバイスに用いられる薄膜トランジスタおよびその製造方法に関する。
液晶表示装置の画素スイッチング素子には、薄膜半導体層を用いた薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;略称:TFT)が用いられている。TFTは、有機EL表示装置などの他の電気光学表示装置にも用いられている。TFTは、たとえば以下に述べる手順で製造される。
まず、ゲート電極材料をスパッタによって基板に成膜し、写真製版およびエッチングによってパターニングして、ゲート電極を形成する。その後、プラズマ化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;略称:CVD)法によって、ゲート絶縁膜となる窒化シリコン(SiN)膜、i型半導体となる非晶質シリコン膜、およびN型半導体となるN型非晶質シリコン膜を成膜する。次に、ソース電極およびドレイン電極となる電極材料をスパッタによって成膜し、写真製版およびエッチングによってパターニングして、ソース電極およびドレイン電極を形成する。その後、ソース電極とドレイン電極との間の領域にあるN型非晶質シリコン膜をドライエッチングによって除去する。次に、写真製版によって所望のレジストパターンを形成し、不要部分をエッチングによって除去する。その後、プラズマCVD法によって、保護膜となるSiN膜を形成する。以上の手順によって、i型半導体となるチャネル部のシリコン薄膜(以下「チャネル部シリコン薄膜」という場合がある)として非晶質シリコン膜を用いた逆スタガ型TFTが形成される。
TFTは、画素スイッチング素子だけでなく、ソースドライバおよびゲートドライバなどの駆動回路にも用いられている。液晶表示装置および有機EL表示装置などの表示装置の狭額縁化および低コスト化を実現するために、TFTを用いた駆動回路を画素部と同一のガラス基板上に形成した表示装置が開発されている。
駆動回路内のTFTは、画素スイッチング素子として用いられるTFTに比べて、大きな駆動電圧が長時間印加され続けるので、電気的特性の劣化が大きくなる。そこで、駆動回路内のTFTにおいて、チャネル部シリコン薄膜として、プラズマCVD法によって微結晶シリコン膜を形成することで、より安定性の優れたTFTを製造する方法が提案されている。
チャネル部シリコン薄膜として微結晶シリコン膜を用いたTFT(以下「微結晶シリコンTFT」という場合がある)には、チャネル部シリコン薄膜として非晶質シリコン膜を用いたTFT(以下「非晶質シリコンTFT」という場合がある)と比較して、TFTのゲートに電圧を印加し続けることによって発生する、しきい値電圧(Vth)の経時変化が小さいという利点がある。
その反面、微結晶シリコンTFTには、以下のような問題がある。微結晶シリコンのバンドギャップは、非晶質シリコンのバンドギャップに比べて狭いので、微結晶シリコンTFTでは、ゲートに逆バイアス電圧を印加したときに、微結晶シリコン膜とその上のN型非晶質シリコン膜との界面におけるバンド間トンネリングによるホール注入が起こりやすい。したがって、リーク電流が増大してしまうという問題がある。
リーク電流を抑制するための技術が、特許文献1および2に開示されている。特許文献1および2に開示される薄膜トランジスタでは、微結晶シリコン膜とN型非晶質シリコン膜との間に、非晶質シリコン膜を狭持することによって、N型非晶質シリコン膜との界面のバンドギャップの不整合を小さくし、リーク電流を抑制している。特許文献1および2に開示される薄膜トランジスタでは、微結晶シリコン膜に接するゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜または酸化シリコン膜が用いられている。
特開2005−167051号公報 特開2005−322845号公報
微結晶シリコンTFTにおいて、微結晶シリコン膜に接するゲート絶縁膜として窒化シリコン膜を用いた場合、大きなドレイン電圧およびゲート電圧が同時に印加され続けるときに起こる、いわゆるホットキャリア(Hot Carrier;略称:HC)劣化が大きくなるという問題がある。
たとえばゲート駆動回路において、駆動回路内の一部のTFTには、大きなドレイン電圧およびゲート電圧が同時に印加されるので、HC劣化として、TFTの電気的特性の劣化が生じる。HC劣化が大きくなると、回路動作の寿命が短くなるという問題が生じる。また回路動作のマージンを確保するために、TFTのサイズが大きくなり、狭額縁化が実現できなくなるという問題が生じる。
前述の微結晶シリコンTFTにおけるHC劣化は、大きなドレイン電圧およびゲート電圧が同時に印加されたときに、ゲート絶縁膜である窒化シリコン膜にホットキャリアが注入することによって生じる。したがって、ホットキャリア注入のブロッキング効果が高い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜に適用することによって、HC劣化を抑制することが可能である。
微結晶シリコンTFTのゲート絶縁膜として酸化シリコン膜を用いる場合、酸化シリコン膜表面には結晶成長するための核が少ないので、酸化シリコン膜上にプラズマCVD法によって微結晶シリコンを成膜しようとすると、微結晶シリコンが島状に成長してしまう。これに伴って、ボイドと呼ばれる空洞が大量に生じるので、TFTのオン特性が極端に低下するという問題が生じる。TFTのオン特性が極端に低下すると、画素スイッチング素子に用いられるTFTの書込み不足に起因する表示不良、および駆動回路内のTFTの書込み不足に起因する動作不良が生じる。
以上に述べた微結晶シリコン膜に接するゲート絶縁膜に窒化シリコン膜を用いたとき、および酸化シリコン膜を用いたときのTFTの電気的特性を表1にまとめて示す。表1に示すように、ゲート絶縁膜として窒化シリコン膜を用いた場合、オン特性は良好であり、またゲート電圧ストレスに対するVthシフト、すなわち、しきい値電圧(Vth)の経時変化は小さいが、HC劣化が大きい。またゲート絶縁膜として酸化シリコン膜を用いた場合、ゲート電圧ストレスに対するVthシフト、およびHC劣化は小さいが、オン特性の極端な低下が生じる。
Figure 0005601822
本発明の目的は、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さい薄膜トランジスタおよびその製造方法を提供することである。
本発明の薄膜トランジスタは、絶縁性基板上に設けられるゲート電極と、前記ゲート電極上に設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられ、前記ゲート絶縁膜と接して設けられる微結晶シリコン膜を含む活性層と、前記活性層上に設けられるソース電極およびドレイン電極とを備え、前記ゲート絶縁膜は、前記微結晶シリコン膜と接して設けられる酸化シリコン膜を含み、前記酸化シリコン膜は、成膜後に前記酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理が施されることによって、表面にダングリングボンドが存在する状態で形成されるアルゴン含有層を、前記微結晶シリコン膜と接する表面部有し前記活性層に含まれる前記微結晶シリコン膜は、前記表面にダングリングボンドが存在する状態の前記アルゴン含有層上への成膜中に結晶化して形成されることを特徴とする。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、絶縁性基板上に、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に、酸化シリコン膜を含むゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、微結晶シリコン膜を含む活性層を形成する工程と、前記活性層上に、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備え、前記ゲート絶縁膜を形成する工程では、前記酸化シリコン膜を成膜した後、前記酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理を施すことによって、表面にダングリングボンドが存在する状態のアルゴン含有層を前記酸化シリコン膜の前記表面部に形成し、前記活性層を形成する工程では、前記表面にダングリングボンドが存在する状態の前記アルゴン含有層上に、シランガスと水素ガスとを含む混合ガスを用いたプラズマ化学気相成長法によって、微結晶シリコンの成長を伴ってシリコン膜を堆積することによって、前記アルゴン含有層の前記表面に接するように前記微結晶シリコン膜を成膜することを特徴とする。
本発明の薄膜トランジスタによれば、ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜で活性層の微結晶シリコン膜と接する。微結晶シリコン膜は、アルゴン含有層上への成膜中に結晶化して形成される。酸化シリコン膜は、成膜後に酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理が施されることによって、表面にダングリングボンドが存在する状態で形成されるアルゴン含有層を、微結晶シリコン膜と接する表面部に有するので、酸化シリコン膜上に微結晶シリコン膜を形成するときに、酸化シリコン膜の微結晶シリコン膜と接する界面を、結晶成長の核となるシリコンダングリングボンドが高密度に存在する状態にすることができる。これによって、酸化シリコン膜上に、高密度に均一に結晶を成長させることができるので、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜を形成することができ、ボイドによるオン特性の低下を抑えることができる。
この微結晶シリコン膜を含んで活性層が構成されるので、微結晶シリコン膜を含まない場合に比べて、しきい値電圧の経時変化を小さく抑えることができる。またゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜を含むので、ゲート絶縁膜へのホットキャリアの注入を防ぎ、ホットキャリア劣化を抑制することができる。したがって、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さい薄膜トランジスタを実現することができる。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法によれば、酸化シリコン膜の成膜後には、酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理が施されて、表面にダングリングボンドが存在する状態のアルゴン含有層が酸化シリコン膜の表面部に形成されるので、酸化シリコン膜表面の弱いシリコン結合を切断して、酸化シリコン膜の表面であるアルゴン含有層の表面を、結晶成長の核となるシリコンダングリングボンドが高密度に存在する状態にすることができる。この表面にダングリングボンドが存在する状態のアルゴン含有層上に、シランガスと水素ガスとを含む混合ガスを用いたプラズマ化学気相成長法によって、微結晶シリコンの成長を伴ってシリコン膜を堆積することによって、アルゴン含有層の表面に接するように微結晶シリコン膜を成膜するので、高密度に均一に結晶を成長させることができ、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜を形成することができる。これによって、ボイドによるオン特性の低下を抑えて、酸化シリコン膜を含むゲート絶縁膜、および微結晶シリコン膜を含む活性層を設けることができる。
酸化シリコン膜を含むようにゲート絶縁膜を構成することによって、ゲート絶縁膜へのホットキャリアの注入を防ぐことができるので、ホットキャリア劣化を抑制することができる。微結晶シリコン膜を含むように活性層を構成することによって、微結晶シリコン膜を含まない場合に比べて、しきい値電圧の経時変化を小さく抑えることができる。したがって、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さい薄膜トランジスタを製造することができる。
本発明の前提技術における薄膜トランジスタ1の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるTFTを備えるTFTアレイ基板20の構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるTFT基板20の画素部21の構成を示す平面図である。 図3の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。 Ar含有層52の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 微結晶シリコン膜62、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61のパターニングが終了した段階の状態を示す断面図である。 TFTチャネル部46の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 画素ドレインコンタクトホール47、ゲート端子部コンタクトホール48およびソース端子部コンタクトホール49の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 透明画素電極43、ゲート端子パッド44およびソース端子パッド45のパターン形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 ゲート端子パッド44に断線不良が生じた状態を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。 第1の参考形態におけるTFT基板20Aの画素部21Aの構成を示す平面図である。 図13の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。 第2ゲート絶縁膜51Aの形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 第1の参考形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。 第1の参考形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。 第2の参考形態におけるTFT基板20Bの画素部21Bの構成を示す平面図である。 図18の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。 酸化シリコン膜121Aの形成が終了した段階の状態を示す断面図である。 微結晶シリコン膜123、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61のパターニングが終了した段階の状態を示す断面図である。 第2の参考形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。 第2の参考形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。
<前提技術>
本発明の薄膜トランジスタおよびその製造方法を説明する前に、本発明の前提技術となる薄膜トランジスタおよびその製造方法について説明する。図1は、本発明の前提技術における薄膜トランジスタ1の構成を示す断面図である。薄膜トランジスタ(TFT)1は、逆スタガ型の薄膜トランジスタである。TFT1は、以下の手順に従って製造される。
まず、ガラスなどから成る基板11上に、ゲート電極材料をスパッタによって成膜し、写真製版およびエッチングによってゲート電極12を形成する。その後、ゲート電極12を覆うように、プラズマCVD法によって、窒化シリコン(SiN)から成るゲート絶縁膜13を形成する。次に、ゲート絶縁膜13上に、i型半導体膜として微結晶シリコン膜14aを形成した後、その上に非晶質シリコン膜14bを形成して、チャネル層14を形成する。次に、プラズマCVD法によって、チャネル層14上に、ソース層15aおよびドレイン層15bとなるN型半導体膜として、N型の不純物を含有する非晶質シリコン膜を形成する。その後、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセスによって、非晶質シリコン膜とその下層のチャネル層14とを島状にパターニングする。
次に、非晶質シリコン膜を覆うように、電極膜をスパッタによって成膜する。その後、電極膜および非晶質シリコン膜をパターニングすることによって、電極膜から成るソース電極16aおよびドレイン電極16bを形成し、さらに非晶質シリコン膜から成るソース層15aおよびドレイン層15bを形成する。このとき、ゲート電極12の中央部上方のチャネル層14上において、ソース電極16aおよびドレイン電極16b間、ならびにソース層15aおよびドレイン層15b間が分離されるようにパターニングを行う。以上の手順によって、微結晶シリコン膜14aに接するゲート絶縁膜13として窒化シリコン膜を用いた薄膜トランジスタ1が形成される。
TFT1は、たとえば液晶表示装置の画素スイッチング素子およびゲート駆動回路に用いられる。駆動回路内の一部のTFT1には、大きなドレイン電圧およびゲート電圧が同時に印加されるので、ホットキャリア劣化として、TFT1の電気的特性の劣化が生じ、回路動作の寿命が短くなるという問題がある。また回路動作のマージンを確保するために、TFT1のサイズが大きくなり、狭額縁化が実現できなくなるという問題が生じる。
またホットキャリア劣化を抑制するために、ゲート絶縁膜13として、窒化シリコン膜に代えて酸化シリコン膜を用いると、ゲート絶縁膜13上にプラズマCVD法によって微結晶シリコン膜14aを成膜するときに、微結晶シリコンが島状に成長してしまうという問題が生じる。これによって、微結晶シリコン膜14a内に大量のボイドが発生し、TFT1のオン特性が極端に低下するという問題が生じる。TFTのオン特性が極端に低下すると、画素スイッチング素子に用いられるTFTの書込み不足に起因する表示不良、および駆動回路内のTFTの書込み不足に起因する動作不良が生じる。そこで本発明では、以下に示す実施の形態の構成を採用している。
<第1の実施の形態>
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるTFTを備えるTFTアレイ基板20の構成を示す平面図である。本実施の形態では、TFTとして、TFTアレイ基板20に備えられるTFTを示す。本実施の形態では、TFTアレイ基板20として、表示素子に液晶を用いる液晶表示装置用のアクティブマトリックス型TFTアレイ基板(以下「TFT基板」という場合がある)、より詳細には、ゲートドライバを内蔵したTFT基板を例に挙げて説明する。TFT基板20は、画素部21およびゲートドライバ部22を備えて構成される。図示は省略するが、TFTは、画素部21およびゲートドライバ部22に形成される。画素部21では、複数のTFTが、マトリックス状に配置される。画素部21には、ゲート配線33およびソース配線40が形成される。ゲート配線33およびソース配線40は、各TFTに電気的に接続される。画素部21に形成されるTFTと、ゲートドライバ部22に形成されるTFTとは、同一の構成であるので、以下では、画素部21に形成されるTFTを代表として説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるTFT基板20の画素部21の構成を示す平面図である。図4は、図3の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。図4では、図3の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図を並べて示す。
TFT基板20は、透明絶縁性基板31、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34、補助容量電極35、ゲート絶縁膜36、活性層37、ソース電極38、ドレイン電極39、ソース配線40、ソース端子部41、層間絶縁膜42、透明画素電極43、ゲート端子パッド44およびソース端子パッド45を備えて構成される。ゲート電極32、ゲート絶縁膜36、活性層37、ソース電極38、ドレイン電極39および層間絶縁膜42は、TFT100を構成する。
透明絶縁性基板31は、ガラスおよびプラスチックなどの透光性絶縁材料から成る。透明絶縁性基板31上、具体的には、透明絶縁性基板31の厚み方向一方側の表面部には、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35が少なくとも形成されている。ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35は、金属材料から成る金属膜によって形成される。ゲート配線33は、ゲート電極32と電気的に接続される。ゲート端子部34は、ゲート配線33と電気的に接続される。ゲート端子部34には、ゲートドライバ部22から、映像の走査信号が入力される。
ゲート電極32の近傍には、ゲート絶縁膜36を介して、TFT100の構成要素である活性層37が設けられる。活性層37は、チャネル層60と、N型半導体層61とを含む。N型半導体層61は、N型不純物を添加した非晶質シリコンから成るN型非晶質シリコン膜によって実現される。以下、N型半導体層61を、N型非晶質シリコン膜61という場合がある。
チャネル層60は、不純物が添加されていないノンドープの半導体層である。チャネル層60は、シリコン半導体層であり、不純物が添加されていないノンドープの微結晶シリコン膜62と、不純物が添加されていないノンドープの非晶質シリコン膜(以下「i型非晶質シリコン膜」という)63とを含む。本実施の形態では、チャネル層60は、微結晶シリコン膜62とi型非晶質シリコン膜63との2層構造のシリコン半導体層である。ここで、「微結晶シリコン膜」とは、結晶相と非晶質相との混合相を呈するシリコン膜をいう。
微結晶シリコン膜62は、ゲート絶縁膜36を介して、ゲート電極32上に設けられる。換言すれば、微結晶シリコン膜62は、ゲート電極32を覆う部分のゲート絶縁膜36上、具体的には、ゲート電極32を覆う部分のゲート絶縁膜36の厚み方向一方側の表面部に設けられる。すなわち、微結晶シリコン膜62は、ゲート絶縁膜36に接して設けられる。i型非晶質シリコン膜63は、微結晶シリコン膜62上、具体的には微結晶シリコン膜62の厚み方向一方側の表面部に設けられる。N型非晶質シリコン膜61は、i型非晶質シリコン膜63上、具体的にはi型非晶質シリコン膜63の厚み方向一方側の表面部に設けられる。
ゲート絶縁膜36は、第1ゲート絶縁膜50と第2ゲート絶縁膜51とを含む。第1ゲート絶縁膜50は、透明絶縁性基板31上、具体的には透明絶縁性基板31の厚み方向一方側の表面部に、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を覆うように設けられる。第1ゲート絶縁膜50は、本実施の形態では、窒化シリコン(SiN)から成る窒化シリコン膜である。第2ゲート絶縁膜51は、第1ゲート絶縁膜50上、具体的には、第1ゲート絶縁膜50の厚み方向一方側の表面部に設けられる。第2ゲート絶縁膜51は、酸化シリコンから成る酸化シリコン膜である。本実施の形態では、第2ゲート絶縁膜51を構成する酸化シリコン膜は、二酸化シリコン(SiO2)膜である。
このように本実施の形態では、ゲート絶縁膜36は、第1ゲート絶縁膜50である窒化シリコン膜と、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜との2層構造を有する。ゲート絶縁膜36は、第1ゲート絶縁膜50である窒化シリコン膜でゲート電極32に接し、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜で活性層37の微結晶シリコン膜62に接する。
第2ゲート絶縁膜51の微結晶シリコン膜62に接する部分である上部、具体的には厚み方向一方側の表面部には、アルゴン(Ar)を含有するアルゴン(Ar)含有層52が形成されている。Ar含有層52は、アルゴンを添加した酸化シリコンから成る。Ar含有層52は、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜の厚み方向一方側の表面部を構成する。このように第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜は、微結晶シリコン膜62と接する部分に、アルゴンを含有する。
ソース電極38およびドレイン電極39は、N型非晶質シリコン膜61と直接に電気的に接続される。ソース電極38およびドレイン電極39は、金属材料から成る金属膜によって形成される。N型非晶質シリコン膜61は、チャネル層60上の一部分が除去されて、ソース電極38に接する部分であるソース層61aと、ドレイン電極39に接する部分であるドレイン層61bとに分離されている。このように本実施の形態のTFT100は、チャネル層60上において直接、ソース層61aおよびドレイン層61bがパターンエッチングされた、いわゆるチャネルエッチ型のボトムゲート構造の薄膜トランジスタである。
ソース電極38とドレイン電極39とが分離され、さらにN型非晶質シリコン膜61の一部分が除去されて形成された領域を、TFTチャネル部46という。すなわち、ソース電極38およびドレイン電極39間、ならびにN型非晶質シリコン膜61のソース層61aおよびドレイン層61b間は、TFTチャネル部46において分離されている。
ソース配線40は、第2ゲート絶縁膜51のAr含有層52上、具体的にはAr含有層52の厚み方向一方側の表面部に設けられ、ソース電極38と電気的に接続される。ソース端子部41は、第2ゲート絶縁膜51のAr含有層52上、具体的にはAr含有層52の厚み方向一方側の表面部に設けられ、ソース配線40と電気的に接続される。ソース端子部41には、外部から映像信号が入力される。
層間絶縁膜42は、たとえばSiNから成り、TFTチャネル部46を含む基板全体を覆うように形成される。層間絶縁膜42内には、層間絶縁膜42の膜厚方向に貫通して、下層のドレイン電極39にまで達する画素ドレインコンタクトホール47が形成されている。また層間絶縁膜42内には、層間絶縁膜42の膜厚方向に貫通して、下層のゲート端子部34にまで達するゲート端子部コンタクトホール48が形成されている。また層間絶縁膜42内には、層間絶縁膜42の膜厚方向に貫通して、下層のソース端子部41にまで達するソース端子部コンタクトホール49が形成されている。
透明画素電極43は、画素ドレインコンタクトホール47を介してドレイン電極39と電気的に接続される。ゲート端子パッド44は、ゲート端子部コンタクトホール48を介してゲート端子部34と電気的に接続される。ソース端子パッド45は、ソース端子部コンタクトホール49を介してソース端子部41と電気的に接続される。
以上のように構成されるTFT基板20は、液晶表示装置に用いられる。液晶表示装置は、TFT基板20と、カラー表示用のカラーフィルタおよび対向電極などを具備した不図示の対向基板とを、セルギャップと呼ばれる予め定める間隙を空けて貼り合わせ、この間隙に液晶を注入して封止することによって製造される。TFT基板20は、液晶表示装置に限定されず、たとえばディスプレイ用途の光学表示用装置などの他の半導体デバイスに用いられてもよい。
次に、本発明の第1の実施の形態におけるTFT100の製造方法について説明する。本実施の形態では、TFT100の製造方法を用いたTFT基板20の製造方法について説明する。図5〜図9は、本発明の第1の実施の形態におけるTFT基板20の製造方法を説明するための図である。図5〜図9では、図4と同様に、TFT基板20の画素部21となる部分を示す。図5〜図9は、図3の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図に相当する。
図5は、Ar含有層52の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。まず、ガラス基板またはプラスチック基板などの透明絶縁性基板31を、洗浄液または純水を用いて洗浄した後、透明絶縁性基板31上に金属膜(以下「メタル膜」という場合がある)を成膜する。その後、第1回目のフォトリソグラフィプロセスによってメタル膜をパターニングして、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を形成する。
次いで、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を覆うように、第1ゲート絶縁膜50として窒化シリコン膜(以下「窒化シリコン膜50」という場合がある)を成膜した後、第1ゲート絶縁膜50上に第2ゲート絶縁膜51として酸化シリコン膜を成膜する。第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜(以下「酸化シリコン膜51」という場合がある)の膜厚は、100nm以下に選ばれる。次いで、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜にArプラズマ処理を施し、酸化シリコン膜51中、具体的には酸化シリコン膜51の厚み方向一方側の表面部に、Ar含有層52を形成する。このようにしてゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35上に、窒化シリコン膜50と酸化シリコン膜51とを含むゲート絶縁膜36を形成する。
第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜を成膜した後のArプラズマ処理は、プラズマCVD法によって行う。具体的には、プラズマCVD装置のチャンバ内にArガスを供給して、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜に照射することによって、Arプラズマ処理を行う。Arプラズマ処理は、たとえば、Arガスの流量を3000sccm、すなわち5.07×10-1Pa・m3/secとし、圧力を150〜600Paとし、パワー密度を0.1W/cm2として行う。ここで、sccm(Standard cc per minute)とは、気体の流量(cc/min)を表す単位であり、1分間あたりに流れる気体の体積を0℃かつ1atm(101325Pa)の状態に換算したときの気体の流量を表す。
図6は、微結晶シリコン膜62、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61のパターニングが終了した段階の状態を示す断面図である。Ar含有層52の形成後は、半導体能動膜となる微結晶シリコン膜62と、ノンドープの非晶質シリコン膜であるi型非晶質シリコン膜63と、不純物を添加した非晶質シリコン膜であるN型非晶質シリコン膜61とを順次成膜する。このとき、図5に示す工程でArプラズマ処理が施された酸化シリコン膜51に接するように、微結晶シリコン膜62を成膜する。微結晶シリコン膜62は、シラン(SiH4)ガスと水素(H2)ガスとの混合ガスによって成膜する。
その後、第2回目のフォトリソグラフィプロセスによって、微結晶シリコン膜62、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61を、TFT100の構成要素となる形状にパターニングする。このようにしてゲート絶縁膜36上に、微結晶シリコン膜62およびi型非晶質シリコン膜63を含むチャネル層60と、N型非晶質シリコン膜61とを含む活性層37Aを形成する。ここで形成された活性層37Aは、後述する図7に示す工程で、N型非晶質シリコン膜61がソース層61aとドレイン層61bとに分離されて、前述の図4に示す活性層37となる。
図7は、TFTチャネル部46の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。前述のようにして活性層37Aを形成した後、活性層37Aを含む基板の厚み方向一方側全体を覆うように、ソース電極38およびドレイン電極39となる金属膜、たとえばアルミニウム(Al)合金膜を成膜する。その後、第3回目のフォトリソグラフィプロセスによって金属膜およびその下層のN型非晶質シリコン膜61をパターニングして、ソース電極38、ドレイン電極39、ソース配線40およびソース端子部41を形成するとともに、N型非晶質シリコン膜61をソース層61aとドレイン層61bとに分離する。これによって、TFTチャネル部46を形成するとともに、前述の図4に示す活性層37を形成する。このようにして活性層37上に、ソース電極38およびドレイン電極39を形成する。
図8は、画素ドレインコンタクトホール47、ゲート端子部コンタクトホール48およびソース端子部コンタクトホール49の形成が終了した段階の状態を示す断面図である。前述のようにしてTFTチャネル部46を形成した後、TFTチャネル部46を含む基板の厚み方向一方側全体を覆うように、パッシベーション膜として層間絶縁膜42を成膜する。層間絶縁膜42としては、たとえばSiN膜を成膜する。
その後、第4回目のフォトリソグラフィプロセスによって層間絶縁膜42をパターニングする。これによって、層間絶縁膜42を貫通してドレイン電極39の表面まで達する画素ドレインコンタクトホール47と、層間絶縁膜42を貫通してゲート端子部34の表面まで達するゲート端子部コンタクトホール48と、層間絶縁膜42を貫通してソース端子部41の表面まで達するソース端子部コンタクトホール49とを少なくとも形成する。画素ドレインコンタクトホール47、ゲート端子部コンタクトホール48およびソース端子部コンタクトホール49は、1回のフォトリソグラフィプロセスで同時に形成することができる。
図9は、透明画素電極43、ゲート端子パッド44およびソース端子パッド45のパターン形成が終了した段階の状態を示す断面図である。前述のようにして形成された画素ドレインコンタクトホール47、ゲート端子部コンタクトホール48およびソース端子部コンタクトホール49の内表面を含む基板の厚み方向一方側全体を覆うように、透明画素電極43、ゲート端子パッド44およびソース端子パッド45となる透明導電性膜を成膜する。透明導電性膜としては、たとえばスズを添加したインジウム酸化物(Indium Tin Oxide;略称:ITO)膜を成膜する。
次いで、第5回目のフォトリソグラフィプロセスによって透明導電性膜をパターニングする。これによって、画素ドレインコンタクトホール47を介して下層のドレイン電極39と電気的に接続するように透明画素電極43を形成する。また、ゲート端子部コンタクトホール48を介して下層のゲート端子部34に電気的に接続されるゲート端子パッド44のパターンを形成する。またソース端子部コンタクトホール49を介して下層のソース端子部41に電気的に接続されるソース端子パッド45のパターンを形成する。以上の手順によって、液晶表示装置用途として好適に用いられる前述の図4に示すTFT基板20が完成する。
完成したTFT基板20には、約200〜350℃の温度で熱処理を加えてもよい。これによって、TFT基板20全体に蓄積された静電荷および応力などを除去または緩和することができる。またゲート電極32、ソース電極38およびドレイン電極39などを構成するメタル膜の電気的比抵抗を下げることができる。したがって、TFT特性を向上して安定化させることができる。本実施の形態では、画素部21におけるTFT100の製造方法について説明したが、画素部21へのTFT100の形成と同時に、ゲートドライバ部22においてもTFTが形成される。
以上のように本実施の形態によれば、図5に示すように、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜の成膜後には、酸化シリコン膜51にArプラズマ処理を施してAr含有層52を形成する。このAr含有層52に接するように、図6に示す微結晶シリコン膜62を成膜する。これによって、酸化シリコン膜51上に、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができる。
アルゴンは、シリコンに比べて質量数が大きく、原子半径が大きいので、Ar含有層52では、酸化シリコンへのアルゴンの混合によって、弱いシリコン結合が切断される。このシリコン結合の切断によって、Ar含有層52の表面に存在するシリコン原子は、結合相手を失い、不対電子が占める結合であるダングリングボンドを有する状態となる。したがって、Ar含有層52の表面、すなわち酸化シリコン膜51の表面は、結晶成長の核となるシリコンダングリングボンドが高密度に存在する状態となる。このシリコンダングリングボンドが高密度に存在する酸化シリコン膜51の表面に微結晶シリコン膜62が成膜されるので、高密度に均一に結晶を成長させることができ、前述のように均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができるものと考えられる。
このように本実施の形態では、微結晶シリコン膜62に接する第2ゲート絶縁膜51として、酸化シリコン膜を用いた場合でも、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができるので、ボイドによるオン特性の低下を抑えることができる。つまり、ボイドによるオン特性の低下を抑えて、酸化シリコン膜51を含むゲート絶縁膜36、および微結晶シリコン膜62を含む活性層37を設けることができる。
酸化シリコン膜51を含むようにゲート絶縁膜36を構成することによって、ゲート絶縁膜36へのホットキャリアの注入を防ぐことができるので、ホットキャリア劣化を抑制することができる。また微結晶シリコン膜62を含むように活性層37を構成することによって、微結晶シリコン膜62を含まない場合に比べて、しきい値電圧の経時変化を小さく抑えることができる。したがって、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さいTFT100を実現することができる。
図10は、ゲート端子パッド44に断線不良が生じた状態を示す断面図である。図10では、第2ゲート絶縁膜51のAr含有層52の記載を省略する。本実施の形態では、第2ゲート絶縁膜51であるSiO2膜の膜厚は、100nm以下に選ばれる。SiO2膜51の膜厚が大きい場合、エッチングレートの差によって、図10に示すようにゲート端子部34において、SiO2膜51が突き出してしまう。これによって、ゲート端子パッド44に断線不良が生じやすい。SiO2膜51の膜厚を100nm以下としてSiO2膜51を形成したところ、断線不良は確認されなかった。そこで本実施の形態では、前述のようにSiO2膜51の膜厚を100μm以下としている。これによって、ゲート端子パッド44の断線不良を防ぐことができる。
以下、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜を成膜した後のArプラズマ処理の効果について、検証を行なった。Arプラズマ処理は、プラズマCVD法にて、Arガスの流量を3000sccmとし、圧力を150〜600Paとし、パワー密度を0.1W/cm2として行った。このとき、形成されたTFTチャネル部46の深さ方向の元素分布を二次イオン質量分析計(Secondary Ion Mass Spectrometer;略称:SIMS、CAMECA社製、IMS−6F)を用いて調べたところ、SiO2膜51の微結晶シリコン膜62との界面近傍にArが検出された。
また、SiO2膜を成膜した後にArプラズマ処理を施した場合と、Arプラズマ処理を施さなかった場合とについて、微結晶シリコン膜62を成膜した直後に、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;略称:SEM、日立株式会社製、S−806)を用いて表面写真を観察した。Arプラズマ処理を施さなかったサンプルの微結晶シリコンは、島状に成長しており、多数のボイドが観測された。これに対し、Arプラズマ処理を施したサンプルの微結晶シリコンは、高密度でかつ均一に成長しており、ボイドは殆ど観測されなかった。
さらに、これらのサンプルについて、ラマン分光装置(JASCO社製、MRS−3100)を用いて、微結晶シリコン膜62の結晶化率を測定した。Arプラズマ処理を施さなかったサンプルの結晶化率は40%であった。これに対し、Arプラズマ処理を施したサンプルでは、70%の結晶化率が得られた。
また、SiO2膜を成膜した後にArプラズマ処理を施した場合と、Arプラズマ処理を施さなかった場合とについて、微結晶シリコンTFTをそれぞれ作製し、図11に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。測定したTFTのチャネル幅は25μmであり、チャネル長は4μmである。
図11は、本発明の第1の実施の形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。図11において、縦軸は、Arプラズマ処理を施して作製したTFTにドレイン電圧を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。
図11では、Arプラズマ処理を施して作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果X1のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「○」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「△」で示す。またArプラズマ処理を施さずに作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果Y1のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「◇」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「□」で示す。
図11から明らかなように、参照符X1で示されるArプラズマ処理を施した場合、参照符Y1で示されるArプラズマ処理を施さなかった場合に比べて、ドレイン電圧Vdを1V印加したときで約9倍、ドレイン電圧Vdを10V印加したときで約17倍の値が確認され、良好なオン特性が得られることがわかった。
また微結晶シリコン膜62の膜厚を10nmから70nmまで10nmずつ変化させたTFTをそれぞれ作製し、図12に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。図12は、本発明の第1の実施の形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。図12において、縦軸は、微結晶シリコン膜62の膜厚を30nmとしたTFTにドレイン電圧を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。図12では、微結晶シリコン膜62の膜厚が10nmの場合を記号「×」で示し、20nmの場合を記号「▽」で示し、30nmの場合を記号「+」で示し、40nmの場合を記号「◇」で示し、50nmの場合を記号「□」で示し、60nmの場合を記号「△」で示し、70nmの場合を記号「○」で示す。
微結晶シリコン膜62の膜厚が小さくなっても、オン電流は一定となるが、オフ電流は、図12に示すように微結晶シリコン膜62の膜厚によって変化する。微結晶シリコン膜62の膜厚が70nmから30nmまでの間では、膜厚を小さくするに従って、オフ電流の最小値が減少する傾向を示した。しかし、微結晶シリコン膜62の膜厚を30nm以下に小さくしても、オフ電流の最小値はあまり小さくならずに飽和傾向を示した。このことから、微結晶シリコン膜62の膜厚を30nm以下にすることで、オン特性を低下させずに、リーク電流を小さくできることがわかる。
したがって、微結晶シリコン膜62の膜厚は、30nm以下であることが好ましい。微結晶シリコン膜62は、ホール移動度が大きいので、チャネル方向のオフ抵抗が小さく、リーク電流が増加する原因となる。微結晶シリコン膜62の膜厚を比較的小さく、具体的には30nm以下にすることによって、チャネル方向の抵抗を大きくすることができるので、リーク電流を減少させることができる。
以上のように、本実施の形態のTFT100である微結晶シリコンTFTは、充分なオン特性を確保しながら、大きな駆動電圧に対して劣化が少ない。したがって、本実施の形態のTFT100を用いることによって、TFTの書込み不足に起因する表示不良および回路動作不良を発生させることなく、高寿命の液晶表示装置を実現することができる。
また本実施の形態では、ゲート絶縁膜36は、ゲート電極32と第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜との間に介在される第1ゲート絶縁膜50である窒化シリコン膜を含んでおり、窒化シリコン膜50と酸化シリコン膜51との積層構造を有する。窒化シリコン膜は酸化シリコン膜よりも誘電率が大きいという理由から、前述のようにゲート絶縁膜36を窒化シリコン膜50と酸化シリコン膜51との積層構造にすることによって、ゲート絶縁膜36の物理膜厚を厚くすることができる。したがって、酸化シリコン膜のみでゲート絶縁膜を構成する場合と比べて、ゲート電極32からのリーク電流の抑制、およびゲート絶縁膜36の経時破壊の抑制が可能となる。
また本実施の形態では、活性層37は、微結晶シリコン膜62上に設けられるi型非晶質シリコン膜63を含んでおり、チャネル層60が、微結晶シリコン膜62とi型非晶質シリコン膜63との積層構造を有する。これによって、バンドギャップの不整合を抑えて、チャネル層60上にN型非晶質シリコン膜61を形成することができる。したがって、ゲート電極32に逆バイアス電圧を印加したときに、微結晶シリコン膜62とN型非晶質シリコン膜61との間で、バンド間トンネリングによるホール注入が起こることを防ぐことができるので、リーク電流を抑制することができる。
以上に述べた本実施の形態では、微結晶シリコン膜62は、SiH4ガスとH2ガスとの混合ガスによって成膜したが、この混合ガスに、さらにArガスを混合して成膜してもよい。Arガスを混合すると、微結晶シリコンの結晶成長過程で発生する弱いシリコン結合を、Arのスパッタ作用によって排除することができるので、結晶性の良好な微結晶シリコン膜62を形成することができる。
第1の参考形態>
図13は、第1の参考形態におけるTFT基板20Aの画素部21Aの構成を示す平面図である。図14は、図13の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。本参考形態のTFT基板20Aにおいて、前述の第1の実施の形態におけるTFT基板20の第2ゲート絶縁膜51を除くその他の構成は、第1の実施の形態におけるTFT基板20と同様であるので、異なる部分についてのみ説明し、同様の構成には同一の参照符を付して共通する説明を省略する。
参考形態のTFT基板20Aは、第1の実施の形態におけるTFT基板20に備えられるTFT100と同様の構成のTFT110を備える。本参考形態のTFT110は、ゲート絶縁膜36Aを構成する第2ゲート絶縁膜51Aとして、Arを含有する酸化シリコン膜を備えている。本参考形態では、第2ゲート絶縁膜51Aである酸化シリコン膜は、二酸化シリコン(SiO)膜である。第1の実施の形態のTFT100では、第2ゲート絶縁膜51である酸化シリコン膜は、Ar含有層52を有していたが、本参考形態のTFT110では、第2ゲート絶縁膜51Aである酸化シリコン膜は、Ar含有層を有するのではなく、酸化シリコン膜自体にArを含有する。
次に、第1の参考形態におけるTFT110の製造方法について説明する。本参考形態におけるTFT110の製造方法は、第1の実施の形態におけるTFT100の製造方法と類似するので、同様の工程については説明を省略する。本参考形態では、TFT110を備えるTFT基板20Aの製造方法について説明する。図15は、第2ゲート絶縁膜51Aの形成が終了した段階の状態を示す断面図である。図15では、図14と同様に、TFT基板20Aの画素部21Aとなる部分を示す。図15は、図13の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図に相当する。
第1の実施の形態と同様に、まずガラス基板またはプラスチック基板などの透明絶縁性基板31を、洗浄液または純水を用いて洗浄した後、透明絶縁性基板31上にメタル膜を成膜する。その後、第1回目のフォトリソグラフィプロセスで前記メタル膜をパターニングして、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を形成する。次いで、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を覆うように、第1ゲート絶縁膜50を形成する。
次いで、第1ゲート絶縁膜50上に、第2ゲート絶縁膜51Aとして、Arを含有する酸化シリコン膜を形成する。第2ゲート絶縁膜51Aは、シラン(SiH)ガス、一酸化二窒素(NO)ガスおよびArガスを含む混合ガスで成膜する。本参考形態では、混合ガスとして、SiHガスとNOガスとArガスとを混合した混合ガスを用いる。成膜は、プラズマCVD法を用いて、たとえば、SiHガスの流量を60〜120sccmとし、NOガスの流量を2000〜5000sccmとし、Arガスの流量を1000sccmとし、圧力を100〜150Paとし、パワー密度を0.05〜0.3W/cmの間で、所望の電気的特性が得られるように調整して行う。本参考形態においても、第2ゲート絶縁膜51Aである、Arを含有する酸化シリコン膜の膜厚は、100nm以下に選ばれる。
このようにして第1ゲート絶縁膜50と第2ゲート絶縁膜51Aとの2層構造のゲート絶縁膜36Aを形成する。その後は、ゲート絶縁膜36A上、具体的には第2ゲート絶縁膜51A上に、第1の実施の形態と同様にして、活性層37となる微結晶シリコン膜62、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61を成膜する。このとき、第2ゲート絶縁膜51Aである酸化シリコン膜に接するように、微結晶シリコン膜62を成膜する。微結晶シリコン膜62は、第1の実施の形態と同様に、SiH4ガスとH2ガスとの混合ガスによって成膜する。これ以降の製造工程は、前述の第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。以上のようにして、前述の図14に示すTFT110を備えるTFT基板20Aを製造する。
参考形態によれば、図15に示すように、第2ゲート絶縁膜51Aである酸化シリコン膜は、SiHガス、NOガスおよびArガスを含む混合ガスによって成膜される。これによって、第2ゲート絶縁膜51Aとして、Arを含有する酸化シリコン膜(以下「Ar含有酸化シリコン膜51A」という場合がある)を形成することができる。このAr含有酸化シリコン膜51Aに接するように、微結晶シリコン膜62を成膜するので、Ar含有酸化シリコン膜51A上に、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができる。
アルゴンは、シリコンに比べて質量数が大きく、原子半径が大きいので、酸化シリコン膜51Aの原料ガスであるSiH4ガスとN2Oガスとの混合ガスにArガスを混合すると、酸化シリコン膜51Aが形成されるときに、弱いシリコン結合が生じても、Arによって切断される。このシリコン結合の切断によって、酸化シリコン膜51Aの表面に存在するシリコン原子は、結合相手を失い、不対電子が占める結合であるダングリングボンドを有する状態となる。したがって、酸化シリコン膜51Aの表面は、結晶成長の核となるシリコンダングリングボンドが高密度に存在する状態となる。このシリコンダングリングボンドが高密度に存在する酸化シリコン膜51Aの表面に微結晶シリコン膜62が成膜されるので、高密度に均一に結晶を成長させることができ、前述のように均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができるものと考えられる。
このように本参考形態では、微結晶シリコン膜62に接するゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜51Aを用いた場合でも、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜62を形成することができるので、ボイドによるオン特性の低下を抑えることができる。つまり、ボイドによるオン特性の低下を抑えて、酸化シリコン膜51Aを含むゲート絶縁膜36A、および微結晶シリコン膜62を含む活性層37を設けることができる。
酸化シリコン膜51Aを含むようにゲート絶縁膜36Aを構成することによって、ゲート絶縁膜36Aへのホットキャリアの注入を防ぐことができるので、ホットキャリア劣化を抑制することができる。また微結晶シリコン膜62を含むように活性層37を構成することによって、微結晶シリコン膜62を含まない場合に比べて、しきい値電圧の経時変化を小さく抑えることができる。したがって、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さいTFT110を実現することができる。
また本参考形態では、第1の実施の形態と同様に、第2ゲート絶縁膜51Aの膜厚は、100nm以下に選ばれる。第2ゲート絶縁膜51Aである、Arを含有するSiO膜の膜厚が大きい場合、エッチングレートの差によって、前述の図10に示すように、ゲート端子部34において、SiO膜51Aが突き出してしまう。これによって、ゲート端子パッド44に断線不良が生じやすい。SiO膜51Aの膜厚を100nm以下としてSiO膜51Aを形成したところ、断線不良は確認されなかった。そこで本参考形態においても、第2ゲート絶縁膜51AであるSiO膜の膜厚を100μm以下としている。これによって、ゲート端子パッド44の断線不良を防ぐことができる。
以下、第2ゲート絶縁膜51Aである、Arを含有するSiO2膜およびその効果について、検証を行った。第2ゲート絶縁膜51Aは、シラン(SiH4)ガス、一酸化二窒素(N2O)ガスおよびArガスを混合したガスで成膜した。成膜は、プラズマCVD法を用いて、SiH4ガスの流量を60〜120sccmとし、N2Oガスの流量を2000〜5000sccmとし、Arガスの流量を1000sccmとし、圧力を100〜150Paとし、パワー密度を0.05〜0.3W/cm2の間で、所望の電気的特性が得られるように調整して行った。このとき、形成されたTFTチャネル部46の深さ方向の元素分布を、SIMS(CAMECA社製、IMS−6F)を用いて調べたところ、SiO2膜51A中にArが検出された。
また、SiO2膜中にArを含有させた場合と、SiO2膜中にArを含有させなかった場合とについて、微結晶シリコン膜62を成膜した直後に、SEM(日立株式会社製、S−806)を用いて表面写真を観察した。SiO2膜中にArを含有させなかったサンプルの微結晶シリコンは、島状に成長しており、多数のボイドが観測された。これに対し、SiO2膜中にArを含有させたサンプルの微結晶シリコンは、高密度でかつ均一に成長しており、ボイドは殆ど観測されなかった。
さらに、これらのサンプルについて、ラマン分光装置(JASCO社製、MRS−3100)を用いて、微結晶シリコン膜62の結晶化率を測定した。SiO2膜中にArを含有させなかったサンプルの結晶化率は、40%であった。これに対し、SiO2膜中にArを含有させたサンプルでは、72%の結晶化率が得られた。
また、SiO2膜中にArを含有させた場合と、SiO2膜中にArを含有させなかった場合とについて、微結晶シリコンTFTをそれぞれ作製し、図16に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。測定したTFTのチャネル幅は25μmであり、チャネル長は4μmである。
図16は、第1の参考形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。図16において、縦軸は、SiO膜中にArを含有させて作製したTFTにドレイン電流を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。
図16では、SiO2膜中にArを含有させて作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果X2のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「○」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「△」で示す。またSiO2膜中にArを含有させずに作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果Y2のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「◇」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「□」で示す。
図16から明らかなように、参照符X2で示されるSiO2膜中にArを含有させた場合、参照符Y2で示されるArを含有させなかった場合に比べて、ドレイン電圧を1V印加したときで約9倍、ドレイン電圧を10V印加したときで約17倍の値が確認され、良好なオン特性が得られることがわかった。
また微結晶シリコン膜62の膜厚を10nmから70nmまで10nmずつ変化させたTFTをそれぞれ作製し、図17に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。図17は、第1の参考形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。図17において、縦軸は、微結晶シリコン膜62の膜厚を30nmとしたTFTにドレイン電圧を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。図17では、微結晶シリコン膜62の膜厚が10nmの場合を記号「×」で示し、20nmの場合を記号「▽」で示し、30nmの場合を記号「+」で示し、40nmの場合を記号「◇」で示し、50nmの場合を記号「□」で示し、60nmの場合を記号「△」で示し、70nmの場合を記号「○」で示す。
図17から明らかなように、微結晶シリコン膜62の膜厚が小さくなっても、オン電流は一定となるが、微結晶シリコン膜62の膜厚が70nmから30nmまでの間では、膜厚を小さくするに従って、オフ電流の最小値が減少する傾向を示した。しかし、膜厚を30nm以下に小さくしても、オフ電流の最小値はあまり小さくならずに飽和傾向を示した。このことから、微結晶シリコン膜62の膜厚を30nm以下にすることで、オン特性を低下させずに、リーク電流を小さくできることが示された。
したがって微結晶シリコン膜62の膜厚は、本参考形態においても、第1の実施の形態と同様に、30nm以下であることが好ましい。微結晶シリコン膜62は、ホール移動度が大きいので、チャネル方向のオフ抵抗が小さく、リーク電流が増加する原因となる。微結晶シリコン膜62の膜厚を比較的小さく、具体的には30nm以下にすることによって、チャネル方向の抵抗を大きくすることができるので、リーク電流を減少させることができる。
以上のように、本参考形態のTFT110である微結晶シリコンTFTは、第1の実施の形態のTFT100と同様に、充分なオン特性を確保しながら、大きな駆動電圧に対して劣化が少ない。したがって、本参考形態のTFT110を用いることによって、TFTの書込み不足に起因する表示不良および回路動作不良を発生させることなく、高寿命の液晶表示装置を実現することができる。
以上に述べた本参考形態では、微結晶シリコン膜62は、第1の実施の形態と同様に、SiHガスとHガスとを混合した混合ガスによって成膜したが、この混合ガスに、さらにArガスを混合して成膜してもよい。Arガスを混合すると、微結晶シリコンの結晶成長過程で発生する弱いシリコン結合を、Arのスパッタ作用によって排除することができるので、結晶性の良好な微結晶シリコン膜62を形成することができる。
第2の参考形態>
図18は、第2の参考形態におけるTFT基板20Bの画素部21Bの構成を示す平面図である。図19は、図18の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図である。本参考形態のTFT基板20Bにおいて、前述の第1の実施の形態におけるTFT基板20の第2ゲート絶縁膜51および微結晶シリコン膜62を除くその他の構成は、第1の実施の形態におけるTFT基板20と同様であるので、異なる部分についてのみ説明し、同様の構成には同一の参照符を付して共通する説明を省略する。
参考形態のTFT基板20Bは、第1の実施の形態におけるTFT基板20に備えられるTFT100と同様の構成のTFT120を備える。本参考形態のTFT120は、ゲート絶縁膜36Bを構成する第2ゲート絶縁膜121として、Ar含有層122を有する酸化シリコン膜を備え、活性層125のチャネル層124を構成する微結晶シリコン膜123として、Arを含有する微結晶シリコン膜を備えている。微結晶シリコン膜123は、第2ゲート絶縁膜121である酸化シリコン膜と接する部分、より詳細には微結晶シリコン膜123全体に、アルゴンを含有する。
次に、第2の参考形態におけるTFT120の製造方法について説明する。本参考形態におけるTFT120の製造方法は、第1の実施の形態におけるTFT100の製造方法と類似するので、同様の工程については説明を省略する。本参考形態では、TFT120の製造方法を用いたTFT基板20Bの製造方法について説明する。図20および図21は、第2の参考形態におけるTFT基板20Bの製造方法を説明するための図である。図20および図21では、図19と同様に、TFT基板20Bの画素部21Bとなる部分を示す。図20および図22は、図18の切断面線A−A、B−B、C−Cから見た断面図に相当する。
図20は、酸化シリコン膜121Aの形成が終了した段階の状態を示す断面図である。第1の実施の形態と同様に、まずガラス基板またはプラスチック基板などの透明絶縁性基板31を、洗浄液または純水を用いて洗浄した後、透明絶縁性基板31上にメタル膜を成膜する。その後、第1回目のフォトリソグラフィプロセスで前記メタル膜をパターニングして、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を形成する。次いで、ゲート電極32、ゲート配線33、ゲート端子部34および補助容量電極35を覆うように、第1ゲート絶縁膜50を成膜した後、第1ゲート絶縁膜50上に、第2ゲート絶縁膜121となる酸化シリコン膜121Aを成膜する。本参考形態では、酸化シリコン膜121Aとして、二酸化シリコン(SiO)膜を成膜する。この時点では、SiO膜121Aには、Ar含有層122は形成されていない。第2ゲート絶縁膜121となるSiO膜121Aの膜厚は、100nm以下に選ばれる。
図21は、微結晶シリコン膜123、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61のパターニングが終了した段階の状態を示す断面図である。次いで、SiO2膜121A上に、半導体能動膜となる、Arを含有する微結晶シリコン膜123と、ノンドープの非晶質シリコン膜であるi型非晶質シリコン膜63と、不純物を添加した非晶質シリコン膜であるN型非晶質シリコン61とを順次成膜する。
このとき、SiO2膜121Aに接するように、微結晶シリコン膜123を成膜する。微結晶シリコン膜123がArを含有することによって、SiO2膜121Aの微結晶シリコン膜123との界面近傍にArが混入し、SiO2膜121A中にAr含有層122が形成される。これによって、Ar含有層122を有する第2ゲート絶縁膜121が形成される。
微結晶シリコン膜123は、SiHガス、HガスおよびArガスを含む混合ガス、本参考形態では、SiHガスとHガスとArガスとの混合ガスによって成膜する。微結晶シリコン膜123は、プラズマCVD法にて、SiHガスとHガスとArガスとの流量比(SiH/H/Ar)を1:150:150〜300、すなわちSiHガスの流量を1としたときにHガスの流量を150とし、Arガスの流量を150〜300とし、圧力を100〜150Paとし、パワー密度を0.05〜0.2W/cmとし、成膜温度を200〜300℃として堆積することによって、形成することができる。
その後、第1の実施の形態と同様にして、第2回目のフォトリソグラフィプロセスによって、Ar含有微結晶シリコン膜123、i型非晶質シリコン膜63およびN型非晶質シリコン膜61をTFTの構成要素となる形状にパターニングして、活性層125Aを形成する。ここで形成された活性層125Aは、後の工程でN型非晶質シリコン膜61がソース層61aとドレイン層61bとに分離されて、前述の図19に示す活性層125となる。これ以降の製造工程は、前述の第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。以上のようにして、前述の図18に示すTFT120を備えるTFT基板20Bを製造する。
参考形態によれば、微結晶シリコン膜123は、アルゴンを含有しており、図21に示すように、SiHガス、NOガスおよびArガスを含む混合ガスによって、第2ゲート絶縁膜121となる酸化シリコン膜121Aに接するように成膜される。これによって、ゲート絶縁膜121上に、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜123を形成することができる。
微結晶シリコン膜123の原料ガスであるSiH4ガスとN2Oガスとの混合ガスにArガスを混合すると、微結晶シリコン膜123が形成されるときに、下地となる酸化シリコン膜121Aにアルゴンを混入させて、Ar含有層122を形成することができる。アルゴンは、シリコンに比べて質量数が大きく、原子半径が大きいので、アルゴンの混入によって、酸化シリコン膜121Aの表面であるAr含有層122の表面では、弱いシリコン結合が切断される。このシリコン結合の切断によって、酸化シリコン膜121Aの表面であるAr含有層122の表面を、結晶成長の核となるシリコンダングリングボンドが高密度に存在する状態にすることができる。このシリコンダングリングボンドが高密度に存在する酸化シリコン膜121Aの表面に微結晶シリコン膜123が成膜されるので、高密度に均一に結晶を成長させることができ、前述のように均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜123を形成することができるものと考えられる。
このように本参考形態では、微結晶シリコン膜123に接する第2ゲート絶縁膜121として、酸化シリコン膜を用いた場合でも、均一でボイドの少ない微結晶シリコン膜123を形成することができるので、ボイドによるオン特性の低下を抑えることができる。つまり、ボイドによるオン特性の低下を抑えて、酸化シリコン膜121を含むゲート絶縁膜36B、および微結晶シリコン膜123を含む活性層125を設けることができる。
酸化シリコン膜121を含むようにゲート絶縁膜36Bを構成することによって、ゲート絶縁膜36Bへのホットキャリアの注入を防ぐことができるので、ホットキャリア劣化を抑制することができる。また微結晶シリコン膜123を含むように活性層125を構成することによって、微結晶シリコン膜123を含まない場合に比べて、しきい値電圧の経時変化を小さく抑えることができる。
また本参考形態では、微結晶シリコン膜123の形成中に生成される弱いシリコン結合も切断することができるので、微結晶シリコンの形成と同時に非晶質シリコンが形成されてしまうことを抑制することができる。これによって、結晶性の高い微結晶シリコン膜123を形成することができる。
つまり、本参考形態では、SiHガス、NOガスおよびArガスを含む混合ガスで微結晶シリコン膜123を成膜することによって、下地となる酸化シリコン膜121Aにアルゴンを混入させて、微結晶シリコン膜123を均一に結晶成長させるだけでなく、微結晶シリコン膜123にもアルゴンを混入させて、微結晶シリコンの形成と同時に形成される非晶質シリコンを排除し、微結晶シリコン膜123の結晶性を高めることができる。これによって、TFT120のオン特性を向上させることができる。
したがって、しきい値電圧の経時変化およびホットキャリア劣化が可及的に小さく、かつオン特性の低下が可及的に小さいTFT120を実現することができる。
また本参考形態では、第2ゲート絶縁膜121となるSiO膜121Aの膜厚は、100nm以下に選ばれる。SiO膜121Aの膜厚が大きい場合、エッチングレートの差によって、前述の図10に示すように、ゲート端子部34において、SiO膜121Aから形成された第2ゲート絶縁膜121が突き出してしまう。これによって、ゲート端子パッド44に断線不良が生じやすい。SiO膜121Aの膜厚を100nm以下としてSiO膜121Aを形成したところ、断線不良は確認されなかった。そこで本参考形態では、第2ゲート絶縁膜121となるSiO膜121Aの膜厚を100μm以下としている。これによって、ゲート端子パッド44の断線不良を防ぐことができる。
以下、Arを含有する微結晶シリコン膜123による効果について、検証を行った。Arを含有する微結晶シリコン膜123は、原料ガスであるSiH4ガスおよびH2ガスにArガスを混合した混合ガスを用いて、プラズマCVD法にて、SiH4ガス、H2ガス、Arガスの流量比を1:150:150とし、圧力を150Paとし、パワー密度を0.06W/cm2とし、成膜温度を300℃として形成した。このとき、形成されたTFTチャネル部46の深さ方向の元素分布を、SIMS(CAMECA社製、IMS−6F)を用いて調べたところ、第2ゲート絶縁膜121であるSiO2膜の微結晶シリコン膜123との界面近傍、および微結晶シリコン膜123中にArが検出された。
また、原料ガスにArガスを混合して微結晶シリコン膜にArを含有させた場合と、原料ガスにArガスを混合せず、微結晶シリコン膜にArを含有させなかった場合とについて、微結晶シリコン膜を成膜した直後に、SEM(日立株式会社製、S−806)を用いて表面写真を観察した。Arを含有させなかったサンプルの微結晶シリコンは、島状に成長しており、多数のボイドが観測された。これに対し、Arを含有させたサンプルの微結晶シリコンは、高密度でかつ均一に成長しており、ボイドは殆ど観測されなかった。
さらに、これらのサンプルについて、ラマン分光装置(JASCO社製、MRS−3100)を用いて、微結晶シリコン膜の結晶化率を測定した。Arを含有させなかったサンプルの結晶化率は、40%であった。これに対し、Arを含有させたサンプルでは、84%の結晶化率が得られた。
また、微結晶シリコン膜にArを含有させた場合と、微結晶シリコン膜にArを含有させなかった場合とについて、微結晶シリコンTFTをそれぞれ作製し、図22に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。測定したTFTのチャネル幅は25μmであり、チャネル長は4μmである。
図22は、第2の参考形態における微結晶シリコンTFTのゲート電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。図22において、縦軸は、微結晶シリコン膜にArを含有させて作製したTFTにドレイン電流を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。
図22では、微結晶シリコン膜にArを含有させて作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果X3のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「○」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「△」で示す。また微結晶シリコン膜にArを含有させずに作製したTFTのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果Y3のうち、ドレイン電圧Vdを1V印加したときの結果を記号「◇」で示し、ドレイン電圧Vdを10V印加したときの結果を記号「□」で示す。
図22から明らかなように、参照符X3で示される微結晶シリコン膜にArを含有させた場合、参照符Y3で示されるArを含有させなかった場合に比べて、ドレイン電圧を1V印加したときで約10倍、ドレイン電圧を10V印加したときで約24倍の値が確認され、良好なオン特性が得られることがわかった。
また、Arを含有する微結晶シリコン膜123の膜厚を10nmから70nmまで10nmずつ変化させたTFTをそれぞれ作製し、図23に示すように、ゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。図23は、第2の参考形態における微結晶シリコンTFTの微結晶シリコン膜厚依存性を示すグラフである。図23において、縦軸は、微結晶シリコン膜123の膜厚を30nmとしたTFTにドレイン電圧を10V印加したときのドレイン電流の最大値で規格化した値Idsを示し、横軸は、ゲート電圧Vgs(V)を示す。図23では、微結晶シリコン膜123の膜厚が10nmの場合を記号「×」で示し、20nmの場合を記号「▽」で示し、30nmの場合を記号「+」で示し、40nmの場合を記号「◇」で示し、50nmの場合を記号「□」で示し、60nmの場合を記号「△」で示し、70nmの場合を記号「○」で示す。
図23から明らかなように、微結晶シリコン膜123の膜厚が小さくなっても、オン電流は一定となるが、微結晶シリコン膜123の膜厚が70nmから30nmまでの間では、膜厚を小さくするに従って、オフ電流の最小値が減少する傾向を示した。しかし、膜厚を30nm以下に小さくしても、オフ電流の最小値はあまり小さくならずに飽和傾向を示した。このことから、微結晶シリコン膜123の膜厚を30nm以下にすることで、オン特性を低下させずに、リーク電流を小さくできることが示された。
したがって、Arを含有する微結晶シリコン膜123の膜厚は、30nm以下であることが好ましい。微結晶シリコン膜123は、ホール移動度が大きいので、チャネル方向のオフ抵抗が小さく、リーク電流が増加する原因となる。微結晶シリコンの膜厚を比較的小さく、具体的には30nm以下にすることによって、チャネル方向の抵抗を大きくすることができるので、リーク電流を減少させることができる。
以上のように、本参考形態のTFT120である微結晶シリコンTFTは、前述の第1の実施の形態および第1の参考形態のTFT100,110と同様に、充分なオン特性を確保しながら、大きな駆動電圧に対して劣化が少ない。したがって、本参考形態のTFT120を用いることによって、TFTの書込み不足に起因する表示不良および回路動作不良を発生させることなく、高寿命の液晶表示装置を実現することができる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、第1ゲート絶縁膜50は、前述の実施の形態および各参考形態では窒化シリコン膜であるが、これに限定されず、他の絶縁性材料から成る絶縁膜であってもよい。またゲート絶縁膜36,36A,36Bは、前述の実施の形態および各参考形態では、第1ゲート絶縁膜50である窒化シリコン膜と、第2ゲート絶縁膜51,51A,121である酸化シリコン膜との2層構造であるが、これに限定されない。ゲート絶縁膜は、少なくとも微結晶シリコン膜62,123と接する部分が、アルゴンを含有する酸化シリコンから成る構成であればよく、たとえば単層構造または3層以上の積層構造であってもよい。
また第2ゲート絶縁膜51,51A,121である酸化シリコン膜は、前述の実施の形態および各参考形態では、組成式SiOのxの値、すなわち酸素原子(O)の組成比xが2である二酸化シリコン(SiO)膜であるが、これに限定されず、酸化シリコン膜における酸素原子(O)の組成比xは2を超える値、または2未満の値であってもよい。ゲート絶縁膜へのホットキャリアの注入を防ぐという観点からは、酸化シリコン膜における酸素原子(O)の組成比xは、2程度であることが好ましい。
また前述の実施の形態および各参考形態では、チャネルエッチ型のTFTの製造方法を説明したが、エッチストッパー型のTFTであっても、同様にして製造することができる。

20,20A,20B TFT基板、21,21A,21B 画素部、22 ゲートドライバ部、31 透明絶縁性基板、32 ゲート電極、33 ゲート配線、34 ゲート端子部、35 補助容量電極、36,36A,36B ゲート絶縁膜、37,125 活性層、38 ソース電極、39 ドレイン電極、40 ソース配線、41 ソース端子部、42 層間絶縁膜、43 透明画素電極、44 ゲート端子パッド、45 ソース端子パッド、46 TFTチャネル部、47 画素ドレインコンタクトホール、48 ゲート端子部コンタクトホール、49 ソース端子部コンタクトホール、50 第1ゲート絶縁膜(窒化シリコン膜)、51,51A,121 第2ゲート絶縁膜(酸化シリコン膜)、52,122 アルゴン(Ar)含有層、60,124 チャネル層、61 N型半導体層(N型非晶質シリコン膜)、61a ソース層、61b ドレイン層、62,123 微結晶シリコン膜、63 i型非晶質シリコン膜、100,110,120 薄膜トランジスタ(TFT)。

Claims (5)

  1. 絶縁性基板上に設けられるゲート電極と、
    前記ゲート電極上に設けられるゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられ、前記ゲート絶縁膜と接して設けられる微結晶シリコン膜を含む活性層と、
    前記活性層上に設けられるソース電極およびドレイン電極とを備え、
    前記ゲート絶縁膜は、前記微結晶シリコン膜と接して設けられる酸化シリコン膜を含み、
    前記酸化シリコン膜は、成膜後に前記酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理が施されることによって、表面にダングリングボンドが存在する状態で形成されるアルゴン含有層を、前記微結晶シリコン膜と接する表面部有し
    前記活性層に含まれる前記微結晶シリコン膜は、前記表面にダングリングボンドが存在する状態の前記アルゴン含有層上への成膜中に結晶化して形成されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記微結晶シリコン膜は、前記酸化シリコン膜と接する部分に、アルゴンを含有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極と前記酸化シリコン膜との間に介在される窒化シリコン膜をさらに含み、前記窒化シリコン膜と前記酸化シリコン膜との積層構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記活性層は、前記微結晶シリコン膜上に設けられる非晶質シリコン膜をさらに含み、前記微結晶シリコン膜と前記非晶質シリコン膜との積層構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜トランジスタ。
  5. 絶縁性基板上に、ゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極上に、酸化シリコン膜を含むゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に、微結晶シリコン膜を含む活性層を形成する工程と、
    前記活性層上に、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備え、
    前記ゲート絶縁膜を形成する工程では、
    前記酸化シリコン膜を成膜した後、前記酸化シリコン膜の表面部にアルゴンプラズマ処理を施すことによって、表面にダングリングボンドが存在する状態のアルゴン含有層を前記酸化シリコン膜の前記表面部に形成し、
    前記活性層を形成する工程では、
    前記表面にダングリングボンドが存在する状態の前記アルゴン含有層上に、シランガスと水素ガスとを含む混合ガスを用いたプラズマ化学気相成長法によって、微結晶シリコンの成長を伴ってシリコン膜を堆積することによって、前記アルゴン含有層の前記表面に接するように前記微結晶シリコン膜を成膜することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
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