JP5599171B2 - ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性変異微生物 - Google Patents

ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性変異微生物 Download PDF

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本発明は、スクラレオール(Sclareol)を基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を高効率に生産する変異微生物及びその作製方法、ならびに当該変異微生物を用いたドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の製造方法に関する。
ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン(アンブロキサン(登録商標)と呼ばれる場合もある)は残香性の高い香料であり、主にクラリーセージ(Salvia sclarea)から抽出されたスクラレオール(Sclareol)から化学変換によって製造されている。スクラレオールからドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フランを生産する工程を図1に示す。図1に示すように、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体としては、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノール及びスクラレオリド(Sclareolide;デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン−2(1H)−オン)が知られている。また、図1には示さないが、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体としては、環状エーテル体(8α,13−オキシド−12,13−デヒドロ−15,16−ジノルラブダン)が知られている。
また、非特許文献1にはCryptococcus albidusにおけるスクラレオールの推定変換経路が記されており、スクラレオールからスクラレオリドが生産されるまでに10段階あり、スクラレオリド1モルが生産される過程で2モルの酢酸が排出されることが報告されている。
微生物によるスクラレオールからドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の変換反応は、例えば特許文献1〜4に記載されている。特許文献1にはHyphozyma roseoniger(ATCC20624)によるデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールの生産が開示されている。また、特許文献2にはCryptococcus albidus(ATCC20918)、Bensingtonia cilliata(ATCC20919)、Cryptococcus laurentii(ATCC20920)及びCryptococcus albidus(ATCC20921)による、特許文献3にはCryptococcus sp.(KSM-JL3603)による、特許文献4にはAscomycete sp.(KSM-JL2842)、Ascomycete sp.(KSM-J3571)及びAscomycete sp.(KSM-JL4651)によるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産が開示されている。
このように、スクラレオールを基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を生産する能力を有する微生物として数種の微生物が知られているが、これら菌株の生産能力は、工業的規模の生産においては必ずしも満足し得るものではなく、デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体生産性のさらに高い微生物が望まれていた。
特開昭62−74281号公報 特開平3−224478号公報 特開2007−222110号公報 特開2007−252365号公報
Biochem. Soc. Trans., 19, 690-694 (1991)
本発明は、スクラレオールを基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を効率よく生産することができる変異微生物、及び当該変異微生物の作製方法を提供する。更に本発明は、当該変異微生物を用いたドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の製造方法を提供する。
本発明者らは、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を高効率に生産する変異微生物の取得を試みた。その結果、驚くべきことに、子嚢菌門に属しドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産能を有する微生物(以下「親微生物」と称する)に対して突然変異処理を施し、当該変異微生物を酢酸耐性の向上を指標に選択したところ、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産性が親微生物に比べて向上した変異微生物を極めて効率よく取得できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を提供するものである。
(1)以下の工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性変異微生物の作製方法:
(i)子嚢菌門(Ascomycota)に属し且つスクラレオール(Sclareol)を基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を生産する能力を有する親微生物を突然変異処理に付す工程;
(ii)得られた変異微生物を酢酸耐性を指標に選択する工程;及び
(iii)選択された微生物から、さらに酢酸によるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性を示す微生物を選択する工程。
(2)前記合成中間体が、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールである(1)記載の方法。
(3)前記酢酸耐性を指標に選択する工程が、親微生物の最小生育阻止濃度前後の酢酸を含有する培地で培養して当該培地で生育するコロニーを選択する工程である、(1)又は(2)記載の方法。
(4)前記最小生育阻止濃度前後の酢酸が30mM〜40mMの酢酸である、(3)記載の方法。
(5)前記突然変異処理が紫外線照射、放射線照射、又は塩基類似性物質、アクリジン、亜硝酸、ヒドロキシルアミン及びアルキル化試剤からなる群より選ばれる薬剤による処理である(1)〜(4)のいずれか1記載の方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか1記載の方法によって作製される、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性変異微生物。
(7)受託番号FERM P−21812(ACR−8)、もしくはFERM P−21813(ACR−35)で特定される変異微生物。
(8)(6)または(7)記載の変異微生物を用いるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の製造方法。
(9)前記合成中間体が、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールである(8)記載の製造方法。
本発明によれば、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を高生産可能な変異微生物が提供される。また本発明によれば、当該変異微生物を用いて上記合成中間体を効率よく製造することができるため、残香性の高い香料として有用なドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラナフト[2,1−b]フランをより高効率且つ大規模に生産することが可能になる。
スクラレオールからドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フランを生産する工程を示す図。 培養5日目における親微生物と変異微生物のスクラレオールからデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールへの変換率を示す図。 各種濃度の酢酸存在下での培養7日目における本発明の微生物とその親微生物とのスクラレオールからデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールへの変換率を示す図。
本発明の微生物の作製方法
本発明のドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性変異微生物は、(1)親微生物を突然変異処理に付す工程;(2)得られた変異微生物を酢酸耐性を指標に選択する工程;及び(3)選択された微生物から、さらにドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性を示す微生物を選択する工程を含むことを特徴とする方法によって作製される。
本発明に係る微生物の親微生物としては、子嚢菌門(Ascomycota)に属し、スクラレオールを基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成過程における中間体(ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体)を生産する能力を有する微生物であれば、いずれの微生物を用いてもよい。ここで、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体としては、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノール、デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン−2(1H)−オン(スクラレオリド)、環状エーテル体(8α,13−オキシド−12,13−デヒドロ−15,16−ジノルラブダン)等を挙げることができる。このうち、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールが好ましい。
好ましい親微生物としては、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールを生産する微生物であるAscomycete sp. KSM−JL2842(特開2007−252365号公報、FERM BP−10713)、Ascomycete sp. KSM−J3571(特開2007−252365号公報、FERM BP−10712)及びAscomycete sp. KSM−JL4651(特開2007−252365号公報、FERM BP−10714)等が挙げられる。
本明細書において、「親微生物から変異した微生物」としては、天然の突然変異を有する微生物、及び人工的な突然変異処理に付された微生物が挙げられる。人工的な突然変異処理としては、親微生物への放射線等の照射、突然変異剤による処理等の通常の方法が挙げられる。ここで、放射線等の照射の例としては、電離放射線照射、紫外線照射等が挙げられる。また、薬剤処理の例としては、塩基類似性物質(5−ブロモウラシル、ブロモデオキシウリジン等)、アクリジン、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、アルキル化試剤(エチルメタンスルフォネート(EMS)、N−メチル−N’−二トロ−N−二トロソグアニジン(NTG)、マスタードガス等)等の公知の突然変異誘発剤が挙げられる。その他に、当該分野で通常使用される突然変異誘発のための任意の方法を使用することができる。
次に、変異処理を施した微生物を、酢酸耐性を指標に選択する。酢酸耐性を指標とする選択は、例えば、酢酸含有培地での生存率が高い微生物を選択することで行うことができる。より具体的には、例えば、親微生物の最小生育阻止濃度前後の酢酸を含む培地で生育するコロニーを選択する。本明細書において、「親微生物の最小生育阻止濃度前後の酢酸を含む培地で生育するコロニー」とは、親微生物の最小生育阻止濃度前後の酢酸を含有する培地において、生育できるか、あるいは生育に遅延の認められない変異微生物のコロニーを指す。「親微生物の最小生育阻止濃度」とは、親微生物が生育できないかあるいは生育が遅延する濃度であって、微生物の菌株又は培養条件等により異なるが、親微生物を種々の濃度の酢酸を含有する培地で通常の手順により培養することで、当業者は適切な濃度を決定することができる。「最小生育阻止濃度前後」とは上記により決定された「最小生育阻止濃度」の前後10mM、好ましくは前後5mMの濃度範囲をいう。「生育が遅延する」とは、例えば、目視でより小さいコロニーを形成している状態を指す。
次いで、上記で選択した微生物から、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体高生産性を示すものを選択することによって、本発明の変異微生物を取得することができる。ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産性は、上記で選択されたコロニー由来の微生物をスクラレオール含有培地にて培養し、培地中に生産されるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を検出することで評価することができる。培地中に生産されるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体は、培養液から有機溶媒を用いて抽出した後、例えばガスクロマトグラフィー(GC)、気液クロマトグラフィー(GLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外スペクトル(IR)、核磁気共鳴(NMR)等の従来公知の分析方法によって検出することができる。
次いで、中間体生産性を同条件で培養した親微生物と比較する。例えば、スクラレオールから当該中間体への変換率や、中間体の生産量を親微生物と比較することができる。中間体生産性が、同条件で培養された親微生物より有意に高い、あるいは最大10%以上高い、好ましくは20%以上高い、より好ましくは30%以上高い、さらに好ましくは50%以上高い微生物を選択することで、本発明の変異微生物を取得することができる。
以上のような方法で得られた本発明の変異微生物の例としては、Ascomycete sp. KSM−JL2842を親微生物とし、これから突然変異誘発によって作製されるAscomycota sp. KSM−ACR8、及びAscomycota sp. KSM−ACR35等が挙げられる。これらは、子嚢菌門(Ascomycota)に属し、親微生物の最小生育阻止濃度下で生育することができ、且つスクラレオールを基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラナフト[2,1−b]フラン合成中間体を親微生物の約1.3〜1.5倍の生産性で生産する微生物である。Ascomycota sp. KSM−ACR8及びAscomycota sp. KSM−ACR35は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許微生物寄託センター(NPMD):〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2009年5月27日付けでそれぞれ受領番号FERM P−21812及びFERM P−21813として寄託された。
本発明の変異微生物によるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の製造
本発明に係る変異微生物を使用して、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を高効率に製造することができる。製造されたドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体は、残香性が高く付加価値の高い香料であるドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フランを製造する際の原料として使用することができる。
本発明に係る変異微生物を利用してドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を製造する際には、先ず、本発明に係る変異微生物をスクラレオールを含有する培地で培養する。培地としては、子嚢菌門に属する微生物が生育可能である培地であれば如何なる組成の培地をも使用することができる。本発明の微生物を培養した培地を回収し、目的のドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を単離し、さらに必要に応じて精製することにより、目的の中間体を製造することができる。
ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を培地から回収する方法は、公知の方法に従って行えば良く、特に限定されない。例えば、培地から菌体のみを分離除去した後、遠心分離、限外ろ過、イオン交換、逆浸透膜、電気透析、塩析、晶析等を組み合わせることによりデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を単離・精製することができる。
次に実施例及び参考例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
(参考例1 Ascomycete sp. KSM−JL2842(FERM BP−10713)の酢酸耐性評価)
Ascomycete sp. KSM−JL2842(FERM BP−10713)を各濃度の酢酸を添加した培地A(表1)に塗布し、酢酸の生育阻止濃度を求めた。すなわち、酢酸を添加した培地Aに上記 Ascomycete sp. KSM−JL2842を塗布した後、25℃で7日間放置し、該菌株の表面生育を目視で観察した。この結果を表2に示す。
Figure 0005599171
Figure 0005599171
表2から明らかなように、Ascomycete sp. KSM−JL2842に対する酢酸の最小生育阻止濃度は30〜40mMの範囲内であった。
(実施例1 本発明の変異微生物の作製)
1)酢酸耐性変異株の取得
Ascomycete sp. KSM−JL2842を液体培地B(表3)に接種し、25℃で3日間培養した時点で生理食塩水を用いて10倍希釈しUVを3分間照射した後、処理液を液体培地Bを用いてさらに10倍希釈し、25℃で6時間順化させた。その後、集菌し、液体培地C(表3)に懸濁し25℃で3日間程度培養したものを液体培地Cに植え継ぎ、さらに25℃で4日間程度培養した。この培養液から集菌し、30mMの酢酸を含む培地Aに塗布し、25℃で7日間程度放置した後、該培地表面上で生育したコロニーを選抜し、50個の微生物を得た。
Figure 0005599171
2)ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体生産性の評価
実施例1で取得した微生物を大型試験管中4.5mLの液体培地Bに接種し、25℃で3日間培養した時点で基質溶液A(表4)を0.5mL添加し、さらに4日間培養した。培養液5mLに酢酸エチル10mLにて目的物質を抽出し、適宜希釈してGC分析を行った。GC装置としては、Agilent technologies 6890Nを用い、分析条件は以下のとおりである。検出器:Flame Ionization Detector(FID)、注入口温度:250℃、注入法:スプリットモード(スプリット比100:1)、トータルフロー:200mL/分、カラム流速:0.4mL/分、オーブン温度:250℃、カラム:J&W社製DB−WAX(φ0.1mm×10m)。
上記条件により、上記1)で取得した微生物のドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体生産量を評価した結果、2株の微生物のデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノール生産量が親出願と比較して高かった。これらの変異微生物を、それぞれAscomycota sp. KSM−ACR8、Ascomycota sp. KSM−ACR35と命名し、NITE特許微生物寄託センター(NPMD)に、それぞれ受領番号FERM P−21812及びFERM P−21813として寄託した。
Figure 0005599171
(参考例2 酢酸存在下でのデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノール生産性評価)
変異微生物Ascomycota sp. KSM−ACR8とその親微生物Ascomycete sp. KSM−JL2842とを、大型試験管中4mLの液体培地Bに接種し、25℃で3日間培養した時点で基質溶液A及び所定濃度の酢酸を0.5mLずつ添加し(最終濃度:0〜40mM)、さらに4日間培養した。培養終了後、実施例1の2)の手法にて抽出及びGC分析を行い、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産性を評価した。その結果、図3に示すとおり、KSM−JL2842は酢酸添加培地ではデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールの生産性が低下するが、KSM−ACR8では、培地への酢酸添加濃度が20mM以下の場合、親微生物に見られるようなデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールの生産性の低下が緩和されており、酢酸未添加の場合と同様の高いデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノール生産性を示した。
親微生物KSM−JL2842では、参考例1(表2)に示したように5mM酢酸存在下で生育は阻害されなかった一方、同じ濃度の酢酸を添加した培地でのデカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールの生産性は低下した。Biochem. Soc. Trans., 19, 690-694 (1991)に記載されるように、スクラレオールを基質としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を生産する場合、同時に多量の酢酸が生産されることになる。よって当該中間体を産生する微生物は、その過程で高濃度の酢酸に曝されることとなり、結果として中間体合成の進行とともにその生産効率はむしろ低下していると推測される。親微生物KSM−JL2842の場合も、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体を生産する過程で、副産物である酢酸の影響を受け、結果として通常培養では充分生育できる濃度であっても合成中間体の生産性が低下したと推察される。一方、酢酸耐性が向上した変異微生物は、中間体生産過程で生成した酢酸からの悪影響が相対的に小さく、結果としてドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産性が向上すると推察される。
従って、酢酸耐性を指標として変異微生物を選択する工程を含む本発明の方法によれば、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の生産性が向上した変異微生物を極めて効率よく取得することが可能になる。

Claims (3)

  1. 受託番号FERM P−21812(ACR−8)、もしくはFERM P−21813(ACR−35)で特定される変異微生物。
  2. 請求項1記載の変異微生物をスクラレオールを含有する培地で培養することを含む、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン合成中間体の製造方法。
  3. 前記合成中間体が、デカヒドロ−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルナフタレンエタノールである請求項記載の製造方法。
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