JP5599045B2 - 酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液及びその製造方法に関し、詳しくは、塗布熱分解法により酸化物超電導薄膜を製造する際に用いられる原料溶液及びその製造方法に関する。
酸化物超電導薄膜を用いた超電導線材のさらなる普及のため、臨界電流密度Jcや臨界電流値Icを高める酸化物超電導薄膜の製造の研究が行われている。
このような酸化物超電導薄膜の製造方法の1つに、塗布熱分解法(Metal Organic Deposition、略称:MOD法)と言われる方法がある(特許文献1)。この方法は、金属有機化合物を溶媒に溶解して製造した原料溶液(以下、「MOD溶液」とも言う)を基板に塗布した後、500℃付近で仮焼して熱分解させ、得られた熱分解物(以下、「MOD仮焼膜」とも言う)をさらに高温(例えば800℃付近)で熱処理(本焼)することにより結晶化を行って超電導薄膜を製造する方法である。このMOD法は、主に真空中で製造される気相法(蒸着法、スパッタ法、パルスレーザ蒸着法等)に比較して製造設備が簡単で済み、また大面積や複雑な形状への対応が容易である等の特徴を有している。そして、このようにして製造された酸化物超電導薄膜を細線化することにより、効率的に酸化物超電導線材が得られる。
特公平7−106905号公報
一方、近年、ユーザーからの強い要望を受け、薄膜超電導線材の一層の長尺化が図られ、このため、前記のMOD法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において、3日以上に亘って連続塗布および熱処理が行われる事態が発生している。そして、その際には、超電導薄膜の製造量に見合ったMOD溶液を予め製造し、酸化物超電導薄膜の製造開始時より終了時まで用いることが行われている。
しかしながら、酸化物超電導薄膜の製造が進むにつれて、即ち、MOD溶液の保管日数が経過するにつれて、特に保管日数が3日以上になると、得られる超電導薄膜のIcが低下する傾向にあり、製造開始時より終了時までIcの安定した超電導薄膜を製造することが困難であった。
そこで、本発明は、安定した高Jc、高Icが得られ易いYBCO等の希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)を含む酸化物超電導薄膜のMOD法を用いた製造において、3日以上に亘って連続塗布および熱処理が行われるような場合であっても、即ち、予め製造されたMOD溶液の保管日数が3日以上経過していても、得られる超電導薄膜のIcが低下することがなく、製造開始時より終了時までIcの安定した超電導薄膜を効率的に製造することが可能なMOD溶液とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、最初に、従来の予め製造されたMOD溶液が、保管日数が経過するにつれてどのように変化して、Icを低下させているのかについて検討した。その結果、従来のMOD溶液では、保管日数が経過するにつれて結晶が析出していることが分かった。
そこで、次に、MOD溶液より析出した結晶につき分析を行った。その結果、これらの結晶が主として、REおよびBaの各有機酸塩(例えば、プロピオン酸塩)であり、これらの有機酸塩が結晶としてMOD溶液より析出することにより、MOD溶液中のREのイオン濃度およびBaのイオン濃度が低下し、MOD溶液中におけるRE、Ba、Cuの各陽イオンの組成比が当初のイオン組成比から変化していることが分かった。
即ち、MOD溶液は、当初、RE、BaおよびCuの各有機酸塩や各アルコキシド、各有機キレート化合物等、金属有機化合物を、アルコール類、有機酸類等の溶媒に溶解し、RE、Ba、Cuの各陽イオンの組成比がRE:Ba:Cu=1:2:3の比率となるように製造されるが、前記結晶の析出によりREおよびBaのイオン濃度が低下して、MOD溶液におけるイオン組成比にズレが生じていることが分かった。また、注意深く観察するとMOD溶液作成直後から小さな結晶が析出する場合があることも分かった。
このようなREおよびBaのイオン濃度が低下したMOD溶液を用いて超電導薄膜を製造した場合、Cuが余剰となりCuOなどの非超電導相として膜中に生成される。このCuOなどの非超電導相は電流パスを阻害するため、得られた超電導薄膜においてIcを低下させる。
このように、MOD溶液の保管日数が経過するにつれて、MOD溶液から結晶が析出して、REおよびBaのイオン濃度を低下させ、RE、Ba、Cuのイオン組成比にずれを生じさせることが分かったため、次に、本発明者は、MOD溶液からの結晶析出を抑制する方法につき、種々の実験を行い鋭意検討した。特に析出した結晶が水に溶けることから、水を含む混合溶剤について重点的に調べた。その結果、MOD溶液からの結晶析出が溶媒の比誘電率と大きく関係しており、比誘電率27以上の水を含む混合溶媒を用いて製造されたMOD溶液の場合、イオン結晶として析出した結晶が溶媒に溶けるため、MOD溶液からの結晶析出が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に関連する技術は、上記の考察及び実験に基づくものである。即ち、第1の技術は、
塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液であって、
希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物が、比誘電率27以上の混合溶媒に溶解されており、
前記混合溶媒には、少なくとも水が含まれていることを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液である。
前記したように、RE、Ba、Cuの各金属有機化合物が比誘電率27以上の水を含む混合溶媒に溶解されたMOD溶液は、MOD溶液からの結晶析出を抑制することができるため、3日以上に亘って連続塗布および熱処理が行われるような場合であっても、即ち、予め製造されたMOD溶液の保管日数が3日以上経過しても、陽イオン組成比にずれが生じることなく、製造開始時より終了時までIcの安定した超電導薄膜を効率的に製造することができる。
技術において、REとしては、特に、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Luが好ましい。
RE、Ba、Cuの金属有機化合物としては、特に、有機酸塩、アルコキシド、有機キレート化合物の形が好ましい。
溶媒としては、RE、Ba、Cuの金属有機化合物を溶解することができ、比誘電率27以上の水を含む混合溶媒であれば特に限定されないが、水の比誘電率78.54を超えないことが好ましい。比誘電率が27以上の溶媒の中では、水は特に安全、取り扱いが容易、安価であるため好ましい。
なお、比誘電率27以上の溶媒であっても、メタノール(比誘電率:32.6)は、基板の最表層によく用いられる前記CeOに対する濡れ性が悪い(接触角が大きく、弾きやすい)ため、単独で使用することは避けた方が好ましい。また、前記の各金属有機化合物との溶解性に優れた比誘電率27未満の溶媒、例えば、ピリジン(比誘電率:12.01)や1−ブタノール(比誘電率:17.1)を用いて各金属有機化合物を溶解した後、比誘電率27以上の溶媒を添加することにより、混合溶媒としての比誘電率を27以上に調整しても良い。また、比誘電率27以上の溶媒の2種類以上を適宜組み合わせて使用しても良い。
第2の技術は、
前記混合溶媒が、少なくとも、1−ブタノール、メタノール、水の3種類を含む混合溶媒であることを特徴とする第1の技術に記載の酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液である。
技術は、前記した混合溶媒としてより好ましい組合せを規定するものである。1−ブタノールは、各金属有機化合物との溶解性に優れているが、比誘電率が小さいため、上記した結晶を生じやすい。そこで、比誘電率が大きな水およびメタノールと混合して比誘電率を27以上とすることにより、結晶の析出を防ぐことができる。これらの溶媒は、広く用いられているものであり、入手し易く安価であるという利点も有する。なお、1−ブタノールに水だけを添加すると、1−ブタノールへの水の溶解度が20℃で19.8wt%(16.7vol%)と低いため、混合比を上げると相分離してしまい、混合溶媒の比誘電率を27以上に上げることが困難である。1−ブタノールに、メタノールと水とを加えることにより、溶媒の均一な混合と27以上の比誘電率とを同時に実現することが可能となる。また、1−ブタノールにメタノールだけを添加すると比誘電率を27以上とするためのメタノールの比率が65vol%以上と高くなり、前記CeOに対する濡れ性が低下するという問題があるため、好ましくない。
第3の技術は、
前記混合溶媒に含まれる水の体積比率が、1/3未満であることを特徴とする第2の技術に記載の酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液である。
混合溶媒において、水の体積比率が1/3以上であると、塗布時における濡れ性が低下するため、均一な超電導薄膜の形成が困難となり、得られる超電導薄膜のIcが低下する恐れがある。
第4の技術は、
塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法であって、
希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物を、比誘電率27以上の水を含む混合溶媒に溶解して製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法である。
希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物を、比誘電率27以上の溶媒に溶解してMOD溶液を製造しているため、前記の通り、得られたMOD溶液は3日以上に亘って連続塗布および熱処理が行われるような場合であっても、陽イオン組成比にずれが生じることなく、製造開始時より終了時までIcの安定した酸化物超電導薄膜を効率的に製造することができる。
本発明は上記の各技術に基づいてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液であって、
希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物が、比誘電率27以上の混合溶媒に溶解されており、
前記混合溶媒が、少なくとも、1−ブタノール、メタノール、水の3種類を含む混合溶媒であることを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液である。
また、請求項2に記載の発明は、
前記混合溶媒に含まれる水の体積比率が、1/3未満であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液である。
また、請求項3に記載の発明は、
塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法であって、
希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物を、少なくとも、1−ブタノール、メタノール、水の3種類を含む、比誘電率27以上の混合溶媒に溶解して製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法である。
本発明によれば、3日以上に亘って連続塗布および熱処理が行われるような場合であっても、即ち、予め製造されたMOD溶液の保管日数が3日以上経過しても、陽イオン組成比にずれが生じることなく、製造開始時より終了時までIcの安定した超電導薄膜を効率的に製造することが可能なMOD溶液とその製造方法を提供することができる。
メタノール、1−ブタノール、水の混合溶媒を用いたMOD溶液から作製したYBCO薄膜の臨界電流値IcとMOD溶液作製からの経過日数の関係を示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1.比誘電率27未満の溶媒を用いたMOD溶液からの結晶析出についての調査
まず、メタノールと1−ブタノールと水とを、49.5:49.5:1の体積比で混合した混合溶媒を用いた比誘電率25のMOD溶液について結晶析出の内容を調査した。
(1)金属有機化合物の乾固物の作製
a.Y3+、Ba2+、Cu2+のアセチルアセトナート塩の乾燥粉末をモル比でY:Ba:Cu=1:2:3の比率となるように混合した。具体的には、Y(acac)・nHO、Ba(acac)・nHO、Cu(acac)・nHOをそれぞれ1.66g、2.94g、3.49g秤量して混合した。なお、「acac」は、アセチルアセトナート配位子(C )を表す。
b.前記Y3+、Ba2+、Cu2+に配位させるため、得られた混合粉末にピリジンを40ml添加した。
c.ピリジン添加後、プロピオン酸24mlを添加して粉末を完全に溶解させた。
d.得られた溶液をロータリーエバポレーターにより減圧蒸留してピリジンとプロピオン酸を蒸発させ、9.20gのY、Ba、Cuを含む金属有機化合物の乾固物を作製した。
(2)MOD溶液の作製と保管
前記金属有機化合物の乾固物をメタノールと1−ブタノールと水とを、49.5:49.5:1の体積比で混合した混合溶媒18mlに溶解した後濾過し、全陽イオン(Y3+、Ba2+、Cu2+)の濃度が約1mol/lのMOD溶液を作製した。その後、作製したMOD溶液を小瓶に入れて密封し、保管した。
(3)結晶析出の確認と析出した結晶の同定
保管開始から4日目に目視による検査を行い結晶が析出していることを確認した。析出した結晶を単結晶X線構造解析により同定した結果、この結晶は、BaイオンとYイオンをモル比で5:3で含有し、これらの金属イオンの周囲に主としてプロピオン酸(CHCHCOO)が配位した構造であることが分った。即ち、BaイオンとYイオンにプロピオン酸が配位して組成式Ba[CHCHCOO19[CH][CH(CHで表される有機酸塩の結晶が析出していることが分った。なお、Yイオンに替えて、Hoイオン、Gdイオンについても同様の実験をし、同様の結果を得た。
2.MOD溶液用の溶媒の検討
次に、上記結果に基づきMOD溶液の溶媒の組成の面から結晶析出抑制に有効な方法の検討を行った。具体的には、混合溶媒中の水やメタノールの比率等について検討を行った。また、結晶析出抑制の効果を確認するため、保管後の各種MOD溶液を用いてYBCO薄膜を作製し、超電導特性を調べた。以下、検討内容と検討結果について説明する。
(1)MOD溶液の作製
イ.金属有機化合物の乾固物の作製
前記した方法と同様の方法で9.20gのY、Ba、Cuを含む金属有機化合物の乾固物を作製した。
ロ.各種溶媒の調整と比誘電率の測定
メタノール(比誘電率:32.6)、1−ブタノール(比誘電率:17.1)、水(比誘電率:78.54)を用いて以下の溶媒を用意した。
a.メタノールと1−ブタノールを1:1の体積比で混合した混合溶媒に所定の体積比率で水を添加した混合溶媒
b.メタノールと1−ブタノールを種々の体積比で混合した混合溶媒に所定の体積比率で水を添加した混合溶媒。
上記a、bの溶媒についてa、bをそれぞれ実施例1、2とした。
次に、誘電率計(日本ルフト社製、Model 871)を用いて周波数10kHzで調整した各種混合溶媒の比誘電率を測定した。実施例1、2の測定結果をそれぞれ表1、2に示す。
ハ.金属有機化合物の乾固物の溶解
次に、前記した実施例1、2の各溶媒それぞれ18mlに前記金属有機化合物の乾固物9.20gを溶解させた後、濾過してMOD溶液を作製した。
(2)MOD溶液の保管と保管時の結晶析出の有無の調査
作製したMOD溶液を小瓶に入れて3日間保管し、保管開始後4日目に目視により結晶析出の有無を調べた。実施例1、2の結果をそれぞれ表1、2に示す。
(3)YBCO薄膜の作製と特性評価
イ.YBCO薄膜の作製
a.塗膜の作製
(001)が基板の法線方向に配向しているCeO膜が表面に形成された幅1cm、長さ1cmの基板を用意した。そして、基板を予め熱処理して表面の水分を除去した後、前記結晶析出の有無を調べた後の各種MOD溶液をスピンコート法により所定のウェット膜厚となるように基板上に塗布した。また、塗膜の作製に際して目視により各種MOD溶液の基板に対する濡れ性を調べた。
b.仮焼
次に、大気中、マッフル炉を用いて500℃で2時間仮焼して、塗膜に含まれるピリジン、プロピオン酸、メタノール、1−ブタノール等の有機物を熱分解し、Y3+、Cu2+の酸化物およびBa2+の炭酸塩が微細に分散したMOD仮焼膜を形成した。
c.本焼
次に、MOD仮焼膜を管状炉内の石英管の中に入れ、アルゴン/酸素混合ガスフロー、酸素濃度50ppmの雰囲気中において770℃で10分間保持した後、炉冷を開始し、550℃より雰囲気を酸素ガス(酸素濃度100%)に切り替え、200℃まで6時間半で炉冷して厚さ150nmのYBCO薄膜からなる酸化物超電導薄膜を形成した。
ロ.YBCO薄膜の超電導特性の評価
a.評価方法
77K、自己磁場下において作製したYBCO薄膜の臨界電流値Icを測定し、超電導特性を評価した。
b.検討結果と考察
b−1.実施例1
実施例1の各種試料の結果をまとめて表1の試料番号1〜6に示す。なお、溶媒の比誘電率が27以上である試料は実施例であり、27未満の試料は比較例である。
Figure 0005599045
表1に示したように、溶媒の比誘電率が27未満である試料番号1(比較例)の場合は結晶析出が起きているのに対して、27以上である試料番号2〜6(実施例)の場合は、結晶析出が起きていないことが確認された。
また、溶媒の比誘電率を高めるには、比誘電率が高い水を添加することが有効であり、27以上の比誘電率を確保するためには、メタノールと1−ブタノールを1:1の体積比で混合した混合溶媒に水を体積比率で4.8%以上添加することが有効であることが分った。
また、実施例の試料番号2〜6の場合は、臨界電流値Icが比較例の試料番号1のIcを上回る良好な値が得られることが確認された。このように、実施例の場合に良好なIcが得られたのは、結晶析出が認められず、Y:Ba:Cuの比率がモル比で正確に1:2:3に維持されたMOD溶液を用いてYBCO薄膜を作製できたためである。
また、MOD溶液の基板に対する濡れ性調査の結果、試料番号2〜5は濡れ性が良好であり、試料番号6は濡れ性が劣ることが分った。表1に示すように実施例の中でも試料番号6に比べて試料番号2〜5のIcが大きいのはMOD溶液の濡れ性が良好であり、膜厚が均一なYBCO薄膜を作製できたためである。そして、試料5と6の結果から、水添加量は体積比率で33.3%未満、即ち1/3未満が好ましく、また、表1の試料番号2〜4の結果から水添加量を体積比率で13%以下にすることがより好ましいことが分った。
b−2.実施例2
実施例2の各種試料の結果をまとめて表2の試料番号2−1〜2−8に示す。
Figure 0005599045

表2から1−ブタノール、メタノールおよび水の混合溶媒において、1−ブタノール:メタノールの比を種々変化させた場合にも、溶媒の比誘電率が27以上の場合に結晶析出が起きず、大きなIcのYBCO薄膜が得られることが分かる。また、メタノールの体積割合が特定の値のときにIcが最大になり、Icが最大となるメタノールの体積割合は水の比率によって異なることが分かる。具体的には、水の比率が5vol%、10vol%の場合、それぞれ約48vol%、約45vol%である。
3.MOD溶液を長時間保管した時の結晶析出の有無の調査
メタノールと1−ブタノールを1:1の体積比で混合した混合溶媒に水を1、5、10vol%添加した混合溶媒を用いて、前記と同様の方法でMOD溶液を作製し、作製後15日間保管し、結晶析出の有無を調査した。その結果、水添加量が1vol%の混合溶媒を用いたMOD溶液(比誘電率25)では結晶析出が起きていたが、それ以外のMOD溶液では結晶析出が起きていなかった。このように、水を5、10vol%添加した混合溶媒、即ち比誘電率が27以上の溶媒を用いたMOD溶液では、作製から2週間以上経過した後も結晶析出が起きないことが確認された。
参考までに前記水添加量が1、5、10vol%の混合溶媒を用いたそれぞれのMOD溶液について、作製直後および作製から15日経過したMOD溶液を用いて作製したYBCO薄膜の臨界電流値Icを測定した結果を図1に示す。図1より、水添加量が1vol%では、作製から15日経過したMOD溶液を用いた場合、臨界電流値Icが0A/cmであるのに対して、水を5、10vol%添加した混合溶媒、即ち比誘電率が27以上の混合溶媒を用いたMOD溶液の場合、作製から15日経過した溶液を用いても作製直後の溶液を用いた場合とほぼ等しい臨界電流値Icを有するYBCO薄膜を作製できることが確認された。
上記した実施例によれば、少なくとも1−ブタノール、メタノール、水の3種類を含み、比誘電率が27以上の溶媒を用いることにより結晶析出が抑制されるため、Icの安定した超電導薄膜を効率的に製造することができる。

Claims (3)

  1. 塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液であって、
    希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物が、比誘電率27以上の混合溶媒に溶解されており、
    前記混合溶媒、少なくとも、1−ブタノール、メタノール、の3種類を含む混合溶媒であることを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液。
  2. 前記混合溶媒に含まれる水の体積比率が、1/3未満であることを特徴とする請求項に記載の酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液。
  3. 塗布熱分解法を用いた酸化物超電導薄膜の製造において使用される酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法であって、
    希土類元素、バリウム、銅の各金属有機化合物を、少なくとも、1−ブタノール、メタノール、水の3種類を含む、比誘電率27以上の混合溶媒に溶解して製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜製造用の原料溶液の製造方法。
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