JP5597684B2 - 車両のニーボルスター構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体前部のステアリングハンガビームに取り付けられ、衝突時に変形して衝撃荷重を吸収することにより乗員の膝部を保護する(支える)車両のニーボルスター構造に関する。
車体前部には乗員の膝部を保護するニーボルスター構造が備えられている。このニーボルスター構造として、ダッシュボードから軸心部材が車体後方に向けて突出され、軸心部材が硬質ウレタンフォームで覆われ、硬質ウレタンフォームがニーパッドで覆われたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ニーボルスター構造を乗員の膝部に向けて突出することにより、車体前部に衝撃が入力した際に、乗員の膝部をニーボルスター構造で支えて膝部を保護する(支える)ことが可能である。
実開昭64−44250号公報
ところで、ニーボルスター構造のなかには、ダッシュボードに代えてステアリングハンガビームに取り付けられたものがある。ステアリングハンガビームは、車体前部の左右の側部に車幅方向に向けて架け渡され、操舵系部品(例えば、ステアリング支持軸や、ステアリングホイール)などが支持されている。
ニーボルスター構造は、操舵系部品より車幅方向外側の部位、すなわちステアリングハンガビームの一端寄りの部位に設けられる。
ここで、オフセット衝突によりステアリングハンガビームの一端寄りの部位に衝撃荷重が入力した場合、ステアリングハンガビームが他端を中心にして回転する方向に移動する。
ステアリングハンガビームが回転する方向に移動することにより、ステアリングハンガビームと一体にニーボルスター構造が車幅方向内側に向けて円弧状に移動する。
ニーボルスター構造が円弧状に移動することにより、乗員の膝部がニーボルスター構造に車体後方(車幅方向内側寄り)から当接する。膝部がニーボルスター構造に当接することにより、ニーボルスター構造に膝部からの反力が車体後方(車幅方向内側寄り)に向けて斜めに作用する。
このため、反力のうち車幅方向の分力でニーボルスター構造が車幅方向に破損してしまい、ニーボルスター構造で乗員の膝部を好適に保護し難い(支え難い)ことが考えられる。
本発明は、車幅方向への荷重が入力した際に乗員の膝部を好適に保護する(支える)ことができる車両のニーボルスター構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体前部の左右の側部間に延びるステアリングハンガビームに取り付けられ、衝突時に乗員の膝部を支える車両のニーボルスター構造であって、前記ニーボルスター構造は、前記ステアリングハンガビームから車体後方に向けて突出された軸心部材と、該軸心部材を覆うニーパッドと、前記軸心部材および前記ニーパッドを前記ステアリングハンガビームに取り付けるための取付ブラケットと、を備え、前記軸心部材は、車幅方向に面し、かつ、車幅方向に所定間隔をおいて配置された一対の側壁と、該一対の側壁を連結する後壁と、を含み、前記一対の側壁および前記後壁により平面視略コ字状に形成され、前記取付ブラケットは、前記ステアリングハンガビームの上部側に設けられた上段部と、前記ステアリングハンガビームの下部側に設けられた下段部と、前記上段部および前記下段部を連結する側部と、前記上段部の車幅方向外側で、かつ、前記上段部よりも前記下段部側に位置する中段部と、を含み、前記上段部、前記下段部および前記側部で略断面コ字状に形成され、前記上段部、前記下段部、前記側部および前記中段部が前記ステアリングハンガビームの外周に結合されることを特徴とする。
請求項は、前記取付ブラケットは、前記上段部および前記中段部間を連結する連結部を含み、該連結部が前記一対の側壁の一方に車体前後方向で重なる位置に設けられることを特徴とする。
請求項は、前記ニーボルスター構造は、前記取付ブラケットと前記ニーパッドおよび前記軸心部材との間に介在され、前記ニーパッドおよび前記軸心部材を前記取付ブラケットに取り付ける取付座部と、該取付座部の下端から車体後方に向けて延出する支持部と、を備え、該支持部に前記ニーパッドを位置決めする位置決め孔を設けることを特徴とする。
請求項は、前記取付座部および前記支持部間の屈曲部位に補強用のビードを設けることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、軸心部材の一対の側壁を車幅方向に面して配置し、一対の側壁を後壁で連結することにより、軸心部材を一対の側壁および後壁で平面視略コ字状に形成した。軸心部材を平面視略コ字状に形成することにより、ニーボルスター構造に乗員の膝部が車体後方で、かつ、車幅方向から斜めに当接した場合に、ニーパッドを介して軸心部材に入力する荷重を軸心部材の側壁および後壁の面で受けることができる。
このように、ニーパッドと軸心部材とが面接触することで荷重を分散し、荷重入力から軸心部材の変形が終了するまでの間、ニーパッドの破損や軸心部材からの脱落がなくなり、乗員の膝部に作用する荷重を小さく抑えることができる。
さらに、請求項に係る発明では、取付ブラケットを上段部、下段部および側部で略断面コ字状に形成し、上段部、下段部側部および中段部部をステアリングハンガビームの外周に結合した。
これにより、ステアリングハンガビームに対する取付ブラケットの取付剛性を高めることができる。
また、請求項に係る発明では、取付ブラケットの中段部を、上段部の車幅方向外側で、かつ、上段部よりも下段部側(すなわち、上段部および下段部間)に位置した。
さらに、中段部をステアリングハンガビームの外周に結合するようにした。
よって、ニーボルスター構造に車幅方向に向けて荷重が入力した際に、荷重を中段部で支えることができる。これにより、軸心部材が車幅方向に傾く(回転する)ことを中段部で阻止することができる。
請求項に係る発明では、取付ブラケットの連結部で上段部および中段部間を連結し、連結部を一対の側壁の一方に車体前後方向で重なるように設けた。よって、車体前後方向において、取付ブラケットおよび軸心部材の剛性・強度を高めることができる。
これにより、ニーパッドを介して軸心部材に膝部から入力した荷重を一方の側壁および中段部を経てステアリングハンガビームに効率よく伝えることができるので、乗員の膝部を好適に支えることができる。
請求項に係る発明では、支持部に位置決め孔を設け、位置決め孔でニーパッドを位置決めするようにした。よって、ニーパッドを取付座部に対して精度よく位置決めすることができる。
これにより、ニーパッドを取付座部に手間をかけないで簡単に取り付けることができるので組付作業の容易化が図れる。
請求項に係る発明では、取付座部および支持部間の屈曲部位に補強用のビードを設けた。よって、取付座部および支持部の屈曲部位をビードで補強することができるので、取付座部および支持部の剛性・強度を高めることができる。
これにより、支持部でニーパッドを正規の位置に支えることができ、ニーパッド(すなわち、ニーボルスター構造)で乗員の膝部を好適に支えることができる。
本発明に係るニーボルスター構造を備えた車体前部構造を車室側から見た状態を示す斜視図である。 図1のニーボルスター構造を示す平面図である。 図2のニーボルスター構造を示す側部図である。 図3のニーボルスター構造からニーパッドを分解した状態を示す分解斜視図である。 図4のニーボルスター構造を示す分解斜視図である。 図5の6部拡大図である。 図2のニーボルスター構造を示す断面図である。 本発明に係るニーボルスター構造で乗員の膝部を保護する(支える)例を説明する図である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
実施例に係る車両のニーボルスター構造24について説明する。
図1、図2に示すように、車体前部構造10は、車体前部の左右に設けられた左右のフロントピラー11(左フロントピラー11は図示せず)と、左右のフロントピラー11間に設けられたダッシュボード12と、ダッシュボード12の車体後方に設けられたステアリングハンガビーム13と、ステアリングハンガビーム13に設けられた操舵系部品15とを備えている。
さらに、車体前部構造10は、操舵系部品15の車幅方向外側近傍に設けられたペダル系部品17と、ペダル系部品17の車幅方向外側近傍に設けられた電装ユニット21と、電装ユニット21の上方に設けられたニーボルスター構造(車両のニーボルスター構造)24とを備えている。
左右のフロントピラー11は、車体前部の左右に設けられ、車体前部の左右の側部を構成する骨材である。
左右のフロントピラー11は、略左右対称の部材であり、右フロントピラー11のみを図示する。
ダッシュボード12は、左右のフロントピラー11間に設けられ、車室27とエンジンルーム28とを仕切る仕切板である。
ステアリングハンガビーム13は、ダッシュボード12の車体後方に配置され、左右のフロントピラー11に架け渡されることにより車幅方向に延出されている。
操舵系部品15は、ステアリングハンガビーム13のステアリング取付部13aにステアリング支持軸31が収縮ストロークを確保するように支持されている。
ステアリング支持軸31の収縮ストロークを確保することにより、ステアリング支持軸31を車体前方に向けて収縮させることができる。
このステアリング支持軸31にステアリングホイール32が取り付けられている。
これにより、前面衝突(正突)やオフセット衝突の二次衝突によりステアリングホイール32に所定の荷重が入力した場合に、ステアリングホイール32を車体前方に移動させることができる。
ステアリングホイール32を車体前方に移動させることにより、二次衝突による衝撃エネルギを吸収することができる。
ペダル系部品17は、操舵系部品15の車幅方向外側近傍に配置され、ダッシュボード12およびステアリングハンガビーム13に取り付けられている。
このペダル系部品17は、ブレーキペダル18が操舵系部品15の下方に配置されている。
電装ユニット21は、ステアリングハンガビーム13のうちペダル系部品17の車幅方向外側近傍に設けられた支持部34と、支持部34に取り付けられた電装部品(例えば、ヒューズボックス)38とを備えている。
電装部品38は、ステアリングハンガビーム13に支持部34を介して取り付けられ、ペダル系部品17の車体後方側で、かつ、ペダル系部品17の一部(車幅方向外側の部位)に対して車体前後方向において重なる位置に設けられている。
図2、図3に示すように、ニーボルスター構造24は、ステアリングハンガビーム13のうち電装ユニット21の上方の取付部位13bに取り付けられ、乗員41の膝部42(すなわち、車体後方)に向けて突出されている。
このニーボルスター構造24を好適に変形させて荷重を吸収することにより乗員41の膝部42を保護する(支える)ことができる。
図4、図5に示すように、ニーボルスター構造24は、ステアリングハンガビーム13の取付部位13bに取り付けられた取付ブラケット45と、取付ブラケット45に取り付けられた支持ブラケット46と、支持ブラケット46に取り付けられた軸心部材47と、軸心部材47を覆うニーパッド48と、ニーパッド48の内部に充填された衝撃吸収材49(図3参照)とを備えている。
衝撃吸収材49は、通常のニーボルスター構造に使用されている硬質ウレタンフォームなどが用いられる。
図6に示すように、取付ブラケット45は、支持ブラケット46、軸心部材47およびニーパッド48(図4参照)をステアリングハンガビーム13の取付部位13bに取り付ける部材である。
この取付ブラケット45は、ステアリングハンガビーム13(取付部位13b)の上部側に設けられた上段部51と、取付部位13bの下部側に設けられた下段部52と、上段部51および下段部52を連結する側部53と、上段部51の車幅方向外側に位置する中段部54と、上段部51および中段部54間を連結する連結部55とを含む。
上段部51は、ステアリングハンガビーム(取付部位)13bの外周上面(外周)13cに前端51aが結合され、略水平に配置された平坦な板部である。
この上段部51は、後端51bが上方に向けて折り曲げられ、前端51aから後端51bに向けて補強用の上ビード57が上方に向けて膨出されている。
下段部52は、取付部位13bの外周下面(外周)13dに前端52aが結合され、上段部51の下方に所定間隔をおいて配置された平坦な板部である。この状態で、下段部52は上段部51に対して略水平に配置されている。
この下段部52は、後端52bが下方に向けて折り曲げられ、前端52aから後端52bに向けて補強用の下ビード58が下方に向けて膨出されている。
側部53は、前端53aが車幅方向内側に向けて取付部位13bの外周後面(外周)13eに沿って折り曲げられ、折り曲げられた前端53aが外周後面13eに結合される平坦な板部である。この状態で、側部53は略鉛直に配置されている。
この側部53は、後端53bが車幅方向内側に向けて折り曲げられ、前端53aから後端53bに向けて補強用の側ビード59が車幅方向内側に向けて膨出されている。
側部53の上辺53cが上段部51に連結され、側部53の下辺53dが下段部52に連結されることにより、取付ブラケット45が上段部51、下段部52および側部53で略断面コ字状に形成されている。
中段部54は、上段部51の車幅方向外側で、かつ、上段部51よりも下段部52側(換言すれば、上段部51よりも下方側)に設けられている。上段部51よりも下方側に中段部54が位置することにより、中段部54は上段部51および下段部52間で、かつ、上段部51寄りに位置する。
この中段部54は、前端54aが斜め上方に向けて折り曲げられ、折り曲げられた前端54aが外周上面13cの下方部位(外周)13fに結合された状態で略水平に配置された平坦な板部である。
さらに、中段部54は、後端54bが上方に向けて折り曲げられ、前端54aから後端54bに向けて補強用の中ビード61が上方に向けて膨出されている。
このように、取付ブラケット45によれば、上段部51、下段部52および側部53の3部で略断面コ字状が形成され、3部の前端51a,52a,53aが取付部位13b(外周13c,13d,13e)に結合されている。さらに、中段部54の前端54aが取付部位13b(外周13f)に結合されている。
これにより、ステアリングハンガビーム13に対する取付ブラケット45の取付剛性を高めることができる。
特に、取付ブラケット45に車幅方向内側から入力した荷重F1を、中段部54の前端54aおよび外周上面13cの結合部で良好に支えることができる。
すなわち、取付ブラケット45は、車幅方向内側から入力した荷重F1に対して特に取付剛性を高められている。
連結部55は、上段部51および中段部54間を連結する部位で、側部53に対して車幅方向外側に所定間隔をおいて配置されている。この状態で、連結部55は側部53に沿って配置されている。
この連結部55は、軸心部材47の外側壁(一対の側壁の一方)76に車体前後方向で重なる位置に設けられている。よって、ニーボルスター構造24は、車体前後方向において、取付ブラケット45および軸心部材47の剛性・強度が高められている。
図4、図5に示すように、取付ブラケット45に支持ブラケット46が取り付けられている。
支持ブラケット46は、取付ブラケット45に取り付けられる取付座部63と、取付座部63の下辺(下端)63bから車体後方に折り曲げられたパッド支持部(支持部)64と、取付座部63およびパッド支持部64に架け渡された一対の支持ビード(ビード)65とを備えている。
取付座部63は、取付ブラケット45と、ニーパッド48および軸心部材47との間に介在されている。換言すれば、軸心部材47がニーパッド48に覆われることによりニーパッド48および軸心部材47がまとめられ、まとめられたニーパッド48および軸心部材47と、取付ブラケット45との間に取付座部63が介在されている。
すなわち、ニーパッド48および軸心部材47は取付座部63を介して取付ブラケット45に取り付けられている。
具体的には、取付座部63は、上辺63a、下辺63b、内側辺63cおよび外側辺63dで略矩形状に形成されている。
取付座部63の外側辺63dから車幅方向外方に向けて取付突片67が突出され、取付突片67に取付孔68が形成されている。
なお、取付座部63の3箇所の凸角部にそれぞれ貫通孔69が形成されている。
取付座部63の上辺63aのうち前面に、上段部51の後端51bが車体前方から結合されている。また、取付座部63の下辺63bのうち前面に、下段部52の後端52bが車体前方から結合されている。
さらに、取付座部63の内側辺63cのうち前面に、側部53の後端53bが車体前方から結合されている。加えて、取付座部63の取付突片67のうち上片前面に、中段部54の後端54bが車体前方から結合されている。
これにより、取付ブラケット45の後端に取付座部63の前面が結合されている。
取付座部63の下辺63bからパッド支持部64が車体後方に向けて折り曲げられている。パッド支持部64は、取付座部63に対して略直交するように延出され、後部64aに位置決め孔71が設けられている。
位置決め孔71は、略矩形状に形成され、内外の辺にそれぞれ内外の位置決め突片72が設けられている。位置決め孔71にニーパッド48の位置決め突起86を差し込むことにより、ニーパッド48が取付位置に位置決めされる。
ここで、位置決め孔71に差し込んだ位置決め突起86が内外の位置決め突片72で挟持されることにより、ニーパッド48が取付位置に一層精度よく位置決めされる。
取付座部63の下辺63bからパッド支持部64が車体後方に向けて折り曲げられることにより、取付座部63およびパッド支持部64間に凹状の屈曲部位66が形成される。凹状の屈曲部位66に一対の支持ビード65が車幅方向に所定間隔をおいて設けられている。
図3に示すように、支持ビード65は、凹状の屈曲部位66において上方に向けて膨出されている。この支持ビード65は、支持ビード65の前端65aが取付座部63に設けられ、かつ、支持ビード65の下端65bがパッド支持部64に設けられる。
よって、屈曲部位66において、取付座部63およびパッド支持部64に支持ビード65が架け渡され、屈曲部位66が支持ビード65で補強されている。
屈曲部位66を支持ビード65で補強することにより、取付座部63およびパッド支持部64の剛性・強度を高めることができる。
これにより、パッド支持部64でニーパッド48を正規の位置に支えることができるので、ニーパッド48(すなわち、ニーボルスター構造24)で乗員41の膝部42を好適に支えることができる。
図4、図7に示すように、取付座部63の後面に軸心部材47が設けられている。
軸心部材47は、取付座部63の後面中央から車体後方に向けて突出され、内外の側壁(一対の側壁)75,76と、後壁77とを含む鋼製の衝撃吸収材である。
内外の側壁75,76は、それぞれ車幅方向に面するように略鉛直に配置され、かつ、車幅方向に所定間隔をおいて配置されている。
内側壁75は、前端75aが車幅方向内側に向けて折り曲げられ、折り曲げられた前端75aが取付座部63の後面中央に結合されている。内側壁75には、前端75aから後端75bに向けて補強用の内ビード81が外側壁76に向けて膨出されている。
外側壁76は、前端76aが車幅方向外側に向けて折り曲げられ、折り曲げられた前端76aが取付座部63の後面中央に結合されている。外側壁76には、前端76aから後端76bに向けて補強用の外ビード82が内側壁75に向けて膨出されている。
内側壁75の後端75bおよび外側壁76の後端76bが後壁77で連結されている。
後壁77は、車体前後方向に面するように略鉛直に配置されることにより乗員41の膝部42(図3参照)に対向される。
すなわち、軸心部材47は、内外の側壁75,76および後壁77により平面視略コ字状に形成されている。この軸心部材47は、内側壁75の前端75aおよび外側壁76の前端76aが取付座部63の後面中央に結合されることにより、取付座部63から車体後方に向けて突出されている。
取付座部63が取付ブラケット45を介してステアリングハンガビーム13の取付部位13bに設けられている。
よって、軸心部材47は、取付座部63および取付ブラケット45を介してステアリングハンガビーム13の取付部位13bから車体後方に向けて突出されている。
図3、図7に示すように、軸心部材47の外側壁76は、取付ブラケット45の連結部55に車体前後方向で略直線状に重なる位置に設けられている。よって、車体前後方向において、取付ブラケット45および軸心部材47の剛性・強度が外側壁76および連結部55で高められている。
これにより、二次衝突により乗員41の膝部42からニーボルスター構造24に入力した荷重F2を軸心部材47の外側壁76から中段部54および連結部55を経てステアリングハンガビーム13に効率よく伝えることができる。ステアリングハンガビーム13で荷重F2を支えることにより、乗員41の膝部42を軸心部材47で好適に支えることができる。
特に、車幅方向内側から軸心部材47に入力した荷重に対して、外側壁76に入力された荷重が連結部55に伝達されやすくなり、軸心部材47の車幅方向外側への回転を抑制することができる。
これにより、軸心部材47が回転するように変形することで逃げていた荷重を、軸心部材47で受けることができ、軸心部材47を確実に変形させて衝撃を吸収することができる。
また、軸心部材47が平面視略コ字状に形成されることにより、内側壁75や後壁77が略鉛直に配置されている。よって、例えば、軸心部材47の内側壁75に乗員41の膝部42が車体後方、かつ、車幅方向(すなわち、車幅方向内側寄りの車体後方)から当接した場合に、膝部41からニーパッド48を介して軸心部材47の内側壁75に入力する荷重F3を内側壁75の面で受けることができる。
これにより、ニーパッド48と軸心部材47とが面接触することで荷重を分散し、荷重入力から軸心部材47の変形が終了するまでの間、ニーパッド48の破損や軸心部材47からの脱落がなくなり、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
加えて、取付ブラケット45の中段部54が上段部51の車幅方向外側で、かつ、上段部51よりも下段部52側(図6も参照)に配置されている。さらに、中段部54の前端54aがステアリングハンガビーム13の外周上面13cの下方部位(外周)13f(図6参照)に結合されている。
よって、ニーボルスター構造24(具体的には、軸心部材47)に荷重F3の分力が車幅方向外側に向けて入力した際に、分力を中段部54で支えることができる。
これにより、軸心部材47が車幅方向外側に傾く(回転する)ことを中段部54で阻止できるので、ニーボルスター構造24の剛性・強度を高めることができる。
軸心部材47がニーパッド48(図4も参照)で覆われている。
ニーパッド48は、軸心部材47を覆う矩形筒状のパッド本体85と、パッド本体85の下壁92から下方に突出された位置決め突起86と、パッド本体85の外壁94から車幅方向外側に突出されたパッド取付部87とを含む樹脂製の衝撃吸収材である。
図4、図7に示すように、パッド本体85は、上壁91、下壁92、内壁93および外壁94で矩形筒状に形成され、前端85aが開口されるとともに後端85bが後壁95で閉塞されている。
よって、パッド本体85の前端85a(開口)から軸心部材47にパッド本体85を嵌め込むことにより軸心部材47がパッド本体85で覆われる。
位置決め突起86は、パッド本体85の下壁92から下方に突出されることによりパッド支持部64の位置決め孔71に差し込み可能に形成されている(図3も参照)。
パッド取付部87は、パッド本体85の外壁94から車幅方向外側に突出され、パッド取付孔97が車体前後方向に向けて貫通されている。
位置決め突起86を位置決め孔71に差し込むことにより、ニーパッド48が取付位置に位置決めされる。これにより、ニーパッド48のパッド取付孔97が取付座部63(取付突片67)の取付孔68に対して同軸上に位置決めされる。
ここで、位置決め孔71に差し込んだ位置決め突起86が内外の位置決め突片72で挟持されることにより、パッド取付孔97が取付孔68に対して同軸上に一層精度よく位置決めされる。
パッド取付孔97および取付孔68に取付ボルト98を差し込み、差し込んだ取付ボルト98が溶接ナット99にねじ結合することにより、取付座部63にニーパッド48を取り付けることができる。
これにより、ニーパッド48を取付座部63に手間をかけないで簡単に取り付けることができるので組付作業の容易化が図れる。
さらに、取付座部63の複数の貫通孔69を用いてニーパッド48の前端85aがボルト・ナット(図示せず)で取り付けられている。
つぎに、ニーボルスター構造24で乗員41の膝部42を保護する(支える)例を図8に基づいて説明する。なお、図8においては、ニーボルスター構造24の作動を理解し易くするため衝撃吸収材49を省略する。
図8(a)に示すように、オフセット衝突によりステアリングハンガビーム13の右端寄りの部位13gに衝撃荷重F4が入力した場合、ステアリングハンガビーム13が左端(図示せず)を中心にして矢印A方向に回転するように移動する。
よって、ステアリングハンガビーム13と一体にニーボルスター構造24が矢印Aの如く車幅方向内側に向けて円弧状に移動する。
ニーボルスター構造24が円弧状に移動することにより、乗員41の膝部42がニーボルスター構造24に車幅方向内側から斜めに当接する。よって、ニーボルスター構造24に膝部からの反力F5が車体前方で、かつ車幅方向外側に向けて斜めに作用する。
ここで、ニーボルスター構造24の軸心部材47が平面視略コ字状に形成され、内側壁75や後壁77が略鉛直に(車幅方向に面するように)配置されている。よって、例えば、ニーボルスター構造24(軸心部材47)の内側壁75に乗員41の膝部42から入力する反力F5を内側壁75の面で受けることができる。
これにより、内側壁75の面に反力F5を分散させて、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
さらに、軸心部材47の内外の側壁75,76が車幅方向に面し、かつ、軸心部材47が平面視略コ字状に形成されている。よって、膝部42からニーパッド48を介して軸心部材47の内側壁75に反力F5が入力した場合に、ニーパッド48と軸心部材47とが面接触して反力F5を分散させることができる。
これにより、荷重入力から軸心部材47の変形が終了するまでの間、ニーパッド48の破損や軸心部材47からの脱落がなくなり、図8(b)に示すように、軸心部材47に入力した反力F5をニーパッド48および軸心部材47で吸収することで、オフセット衝突の際に、乗員41の膝部42をニーボルスター構造24で好適に保護する(支える)ことができる。
ところで、前面衝突(正突)の場合には、ニーパッド48を介して軸心部材47の後壁77に乗員41の膝部42が車体後方から当接する。よって、軸心部材47の後壁77に入力する荷重を後壁77の後面全体で受けることができる。
これにより、後壁77の全域に荷重を分散させて、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
さらに、軸心部材47の後壁77に膝部42が車体後方から当接した場合に、ニーパッド48および軸心部材47を好適に変形させて荷重を軸心部材47で吸収することができる。
これにより、前面衝突(正突)の際においても、乗員41の膝部42をニーボルスター構造24で好適に保護する(支える)ことができる。
なお、本発明に係る車両のニーボルスター構造は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、ニーボルスター構造にオフセット衝突により車幅方向から荷重が入力する例を説明したが、オフセット衝突に限らないで、他の衝突などでニーボルスター構造に車幅方向から荷重が入力する場合に適用することも可能である。
また、前記実施例では、取付ブラケット45の連結部55を軸心部材47の外側壁76に車体前後方向で重なる位置に設けた例について説明したが、これに限らないで、連結部55を軸心部材47の内側壁(一対の側壁の他方)75に車体前後方向で重なる位置に設けることも可能である。
さらに、前記実施例で示した車体前部構造10、左右のフロントピラー11、ステアリングハンガビーム13、ニーボルスター構造24、取付ブラケット45、軸心部材47、ニーパッド48、取付座部63、パッド支持部64、支持ビード65、内外の側壁75,76および後壁77などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明は、車体前部のステアリングハンガビームに取り付けられ、衝突時に乗員の膝部を保護する(支える)車両のニーボルスター構造を備えた自動車への適用に好適である。
10…車体前部構造、11…左右のフロントピラー(車体前部の左右の側部)、13…ステアリングハンガビーム、13c…外周上面(外周)、13d…外周下面(外周)、13e…外周後面(外周)、13f…外周上面の下方部位(外周)、24…ニーボルスター構造(車両のニーボルスター構造)、42…乗員の膝部、45…取付ブラケット、47…軸心部材、48…ニーパッド、51…上段部、52…下段部、53…側部、54…中段部、55…連結部、63…取付座部、63b…取付座部の下辺(下端)、64…パッド支持部(支持部)、65…支持ビード(ビード)、66…屈曲部位、71…位置決め孔、75…内側壁(一対の側壁の他方)、76…外側壁(一対の側壁の一方)、77…後壁。

Claims (4)

  1. 車体前部の左右の側部間に延びるステアリングハンガビームに取り付けられ、衝突時に乗員の膝部を支える車両のニーボルスター構造であって、
    前記ニーボルスター構造は、
    前記ステアリングハンガビームから車体後方に向けて突出された軸心部材と、
    該軸心部材を覆うニーパッドと、
    前記軸心部材および前記ニーパッドを前記ステアリングハンガビームに取り付けるための取付ブラケットと、を備え、
    前記軸心部材は、
    車幅方向に面し、かつ、車幅方向に所定間隔をおいて配置された一対の側壁と、
    該一対の側壁を連結する後壁と、を含み、
    前記一対の側壁および前記後壁により平面視略コ字状に形成され
    前記取付ブラケットは、
    前記ステアリングハンガビームの上部側に設けられた上段部と、
    前記ステアリングハンガビームの下部側に設けられた下段部と、
    前記上段部および前記下段部を連結する側部と、
    前記上段部の車幅方向外側で、かつ、前記上段部よりも前記下段部側に位置する中段部と、を含み、
    前記上段部、前記下段部および前記側部で略断面コ字状に形成され、
    前記上段部、前記下段部、前記側部および前記中段部が前記ステアリングハンガビームの外周に結合されることを特徴とする車両のニーボルスター構造。
  2. 前記取付ブラケットは、
    前記上段部および前記中段部間を連結する連結部を含み、
    該連結部が前記一対の側壁の一方に車体前後方向で重なる位置に設けられることを特徴とする請求項記載の車両のニーボルスター構造。
  3. 前記ニーボルスター構造は、
    前記取付ブラケットと前記ニーパッドおよび前記軸心部材との間に介在され、前記ニーパッドおよび前記軸心部材を前記取付ブラケットに取り付ける取付座部と、
    該取付座部の下端から車体後方に向けて延出する支持部と、を備え、
    該支持部に前記ニーパッドを位置決めする位置決め孔を設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両のニーボルスター構造。
  4. 前記取付座部および前記支持部間の屈曲部位に補強用のビードを設けることを特徴とする請求項記載の車両のニーボルスター構造。
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