JP5597684B2 - 車両のニーボルスター構造 - Google Patents
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Description
ニーボルスター構造を乗員の膝部に向けて突出することにより、車体前部に衝撃が入力した際に、乗員の膝部をニーボルスター構造で支えて膝部を保護する(支える)ことが可能である。
ニーボルスター構造は、操舵系部品より車幅方向外側の部位、すなわちステアリングハンガビームの一端寄りの部位に設けられる。
ステアリングハンガビームが回転する方向に移動することにより、ステアリングハンガビームと一体にニーボルスター構造が車幅方向内側に向けて円弧状に移動する。
このため、反力のうち車幅方向の分力でニーボルスター構造が車幅方向に破損してしまい、ニーボルスター構造で乗員の膝部を好適に保護し難い(支え難い)ことが考えられる。
このように、ニーパッドと軸心部材とが面接触することで荷重を分散し、荷重入力から軸心部材の変形が終了するまでの間、ニーパッドの破損や軸心部材からの脱落がなくなり、乗員の膝部に作用する荷重を小さく抑えることができる。
これにより、ステアリングハンガビームに対する取付ブラケットの取付剛性を高めることができる。
さらに、中段部をステアリングハンガビームの外周に結合するようにした。
よって、ニーボルスター構造に車幅方向に向けて荷重が入力した際に、荷重を中段部で支えることができる。これにより、軸心部材が車幅方向に傾く(回転する)ことを中段部で阻止することができる。
これにより、ニーパッドを介して軸心部材に膝部から入力した荷重を一方の側壁および中段部を経てステアリングハンガビームに効率よく伝えることができるので、乗員の膝部を好適に支えることができる。
これにより、ニーパッドを取付座部に手間をかけないで簡単に取り付けることができるので組付作業の容易化が図れる。
これにより、支持部でニーパッドを正規の位置に支えることができ、ニーパッド(すなわち、ニーボルスター構造)で乗員の膝部を好適に支えることができる。
図1、図2に示すように、車体前部構造10は、車体前部の左右に設けられた左右のフロントピラー11(左フロントピラー11は図示せず)と、左右のフロントピラー11間に設けられたダッシュボード12と、ダッシュボード12の車体後方に設けられたステアリングハンガビーム13と、ステアリングハンガビーム13に設けられた操舵系部品15とを備えている。
左右のフロントピラー11は、略左右対称の部材であり、右フロントピラー11のみを図示する。
ステアリングハンガビーム13は、ダッシュボード12の車体後方に配置され、左右のフロントピラー11に架け渡されることにより車幅方向に延出されている。
ステアリング支持軸31の収縮ストロークを確保することにより、ステアリング支持軸31を車体前方に向けて収縮させることができる。
このステアリング支持軸31にステアリングホイール32が取り付けられている。
ステアリングホイール32を車体前方に移動させることにより、二次衝突による衝撃エネルギを吸収することができる。
このペダル系部品17は、ブレーキペダル18が操舵系部品15の下方に配置されている。
電装部品38は、ステアリングハンガビーム13に支持部34を介して取り付けられ、ペダル系部品17の車体後方側で、かつ、ペダル系部品17の一部(車幅方向外側の部位)に対して車体前後方向において重なる位置に設けられている。
このニーボルスター構造24を好適に変形させて荷重を吸収することにより乗員41の膝部42を保護する(支える)ことができる。
衝撃吸収材49は、通常のニーボルスター構造に使用されている硬質ウレタンフォームなどが用いられる。
この取付ブラケット45は、ステアリングハンガビーム13(取付部位13b)の上部側に設けられた上段部51と、取付部位13bの下部側に設けられた下段部52と、上段部51および下段部52を連結する側部53と、上段部51の車幅方向外側に位置する中段部54と、上段部51および中段部54間を連結する連結部55とを含む。
この上段部51は、後端51bが上方に向けて折り曲げられ、前端51aから後端51bに向けて補強用の上ビード57が上方に向けて膨出されている。
この下段部52は、後端52bが下方に向けて折り曲げられ、前端52aから後端52bに向けて補強用の下ビード58が下方に向けて膨出されている。
この側部53は、後端53bが車幅方向内側に向けて折り曲げられ、前端53aから後端53bに向けて補強用の側ビード59が車幅方向内側に向けて膨出されている。
側部53の上辺53cが上段部51に連結され、側部53の下辺53dが下段部52に連結されることにより、取付ブラケット45が上段部51、下段部52および側部53で略断面コ字状に形成されている。
この中段部54は、前端54aが斜め上方に向けて折り曲げられ、折り曲げられた前端54aが外周上面13cの下方部位(外周)13fに結合された状態で略水平に配置された平坦な板部である。
さらに、中段部54は、後端54bが上方に向けて折り曲げられ、前端54aから後端54bに向けて補強用の中ビード61が上方に向けて膨出されている。
特に、取付ブラケット45に車幅方向内側から入力した荷重F1を、中段部54の前端54aおよび外周上面13cの結合部で良好に支えることができる。
すなわち、取付ブラケット45は、車幅方向内側から入力した荷重F1に対して特に取付剛性を高められている。
この連結部55は、軸心部材47の外側壁(一対の側壁の一方)76に車体前後方向で重なる位置に設けられている。よって、ニーボルスター構造24は、車体前後方向において、取付ブラケット45および軸心部材47の剛性・強度が高められている。
支持ブラケット46は、取付ブラケット45に取り付けられる取付座部63と、取付座部63の下辺(下端)63bから車体後方に折り曲げられたパッド支持部(支持部)64と、取付座部63およびパッド支持部64に架け渡された一対の支持ビード(ビード)65とを備えている。
すなわち、ニーパッド48および軸心部材47は取付座部63を介して取付ブラケット45に取り付けられている。
取付座部63の外側辺63dから車幅方向外方に向けて取付突片67が突出され、取付突片67に取付孔68が形成されている。
なお、取付座部63の3箇所の凸角部にそれぞれ貫通孔69が形成されている。
さらに、取付座部63の内側辺63cのうち前面に、側部53の後端53bが車体前方から結合されている。加えて、取付座部63の取付突片67のうち上片前面に、中段部54の後端54bが車体前方から結合されている。
これにより、取付ブラケット45の後端に取付座部63の前面が結合されている。
ここで、位置決め孔71に差し込んだ位置決め突起86が内外の位置決め突片72で挟持されることにより、ニーパッド48が取付位置に一層精度よく位置決めされる。
よって、屈曲部位66において、取付座部63およびパッド支持部64に支持ビード65が架け渡され、屈曲部位66が支持ビード65で補強されている。
これにより、パッド支持部64でニーパッド48を正規の位置に支えることができるので、ニーパッド48(すなわち、ニーボルスター構造24)で乗員41の膝部42を好適に支えることができる。
軸心部材47は、取付座部63の後面中央から車体後方に向けて突出され、内外の側壁(一対の側壁)75,76と、後壁77とを含む鋼製の衝撃吸収材である。
内外の側壁75,76は、それぞれ車幅方向に面するように略鉛直に配置され、かつ、車幅方向に所定間隔をおいて配置されている。
外側壁76は、前端76aが車幅方向外側に向けて折り曲げられ、折り曲げられた前端76aが取付座部63の後面中央に結合されている。外側壁76には、前端76aから後端76bに向けて補強用の外ビード82が内側壁75に向けて膨出されている。
後壁77は、車体前後方向に面するように略鉛直に配置されることにより乗員41の膝部42(図3参照)に対向される。
すなわち、軸心部材47は、内外の側壁75,76および後壁77により平面視略コ字状に形成されている。この軸心部材47は、内側壁75の前端75aおよび外側壁76の前端76aが取付座部63の後面中央に結合されることにより、取付座部63から車体後方に向けて突出されている。
よって、軸心部材47は、取付座部63および取付ブラケット45を介してステアリングハンガビーム13の取付部位13bから車体後方に向けて突出されている。
特に、車幅方向内側から軸心部材47に入力した荷重に対して、外側壁76に入力された荷重が連結部55に伝達されやすくなり、軸心部材47の車幅方向外側への回転を抑制することができる。
これにより、軸心部材47が回転するように変形することで逃げていた荷重を、軸心部材47で受けることができ、軸心部材47を確実に変形させて衝撃を吸収することができる。
これにより、ニーパッド48と軸心部材47とが面接触することで荷重を分散し、荷重入力から軸心部材47の変形が終了するまでの間、ニーパッド48の破損や軸心部材47からの脱落がなくなり、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
よって、ニーボルスター構造24(具体的には、軸心部材47)に荷重F3の分力が車幅方向外側に向けて入力した際に、分力を中段部54で支えることができる。
これにより、軸心部材47が車幅方向外側に傾く(回転する)ことを中段部54で阻止できるので、ニーボルスター構造24の剛性・強度を高めることができる。
ニーパッド48は、軸心部材47を覆う矩形筒状のパッド本体85と、パッド本体85の下壁92から下方に突出された位置決め突起86と、パッド本体85の外壁94から車幅方向外側に突出されたパッド取付部87とを含む樹脂製の衝撃吸収材である。
よって、パッド本体85の前端85a(開口)から軸心部材47にパッド本体85を嵌め込むことにより軸心部材47がパッド本体85で覆われる。
パッド取付部87は、パッド本体85の外壁94から車幅方向外側に突出され、パッド取付孔97が車体前後方向に向けて貫通されている。
ここで、位置決め孔71に差し込んだ位置決め突起86が内外の位置決め突片72で挟持されることにより、パッド取付孔97が取付孔68に対して同軸上に一層精度よく位置決めされる。
これにより、ニーパッド48を取付座部63に手間をかけないで簡単に取り付けることができるので組付作業の容易化が図れる。
さらに、取付座部63の複数の貫通孔69を用いてニーパッド48の前端85aがボルト・ナット(図示せず)で取り付けられている。
図8(a)に示すように、オフセット衝突によりステアリングハンガビーム13の右端寄りの部位13gに衝撃荷重F4が入力した場合、ステアリングハンガビーム13が左端(図示せず)を中心にして矢印A方向に回転するように移動する。
ニーボルスター構造24が円弧状に移動することにより、乗員41の膝部42がニーボルスター構造24に車幅方向内側から斜めに当接する。よって、ニーボルスター構造24に膝部からの反力F5が車体前方で、かつ車幅方向外側に向けて斜めに作用する。
これにより、内側壁75の面に反力F5を分散させて、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
これにより、後壁77の全域に荷重を分散させて、乗員41の膝部42に作用する荷重を小さく抑えることができる。
これにより、前面衝突(正突)の際においても、乗員41の膝部42をニーボルスター構造24で好適に保護する(支える)ことができる。
例えば、前記実施例では、ニーボルスター構造にオフセット衝突により車幅方向から荷重が入力する例を説明したが、オフセット衝突に限らないで、他の衝突などでニーボルスター構造に車幅方向から荷重が入力する場合に適用することも可能である。
Claims (4)
- 車体前部の左右の側部間に延びるステアリングハンガビームに取り付けられ、衝突時に乗員の膝部を支える車両のニーボルスター構造であって、
前記ニーボルスター構造は、
前記ステアリングハンガビームから車体後方に向けて突出された軸心部材と、
該軸心部材を覆うニーパッドと、
前記軸心部材および前記ニーパッドを前記ステアリングハンガビームに取り付けるための取付ブラケットと、を備え、
前記軸心部材は、
車幅方向に面し、かつ、車幅方向に所定間隔をおいて配置された一対の側壁と、
該一対の側壁を連結する後壁と、を含み、
前記一対の側壁および前記後壁により平面視略コ字状に形成され、
前記取付ブラケットは、
前記ステアリングハンガビームの上部側に設けられた上段部と、
前記ステアリングハンガビームの下部側に設けられた下段部と、
前記上段部および前記下段部を連結する側部と、
前記上段部の車幅方向外側で、かつ、前記上段部よりも前記下段部側に位置する中段部と、を含み、
前記上段部、前記下段部および前記側部で略断面コ字状に形成され、
前記上段部、前記下段部、前記側部および前記中段部が前記ステアリングハンガビームの外周に結合されることを特徴とする車両のニーボルスター構造。 - 前記取付ブラケットは、
前記上段部および前記中段部間を連結する連結部を含み、
該連結部が前記一対の側壁の一方に車体前後方向で重なる位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両のニーボルスター構造。 - 前記ニーボルスター構造は、
前記取付ブラケットと前記ニーパッドおよび前記軸心部材との間に介在され、前記ニーパッドおよび前記軸心部材を前記取付ブラケットに取り付ける取付座部と、
該取付座部の下端から車体後方に向けて延出する支持部と、を備え、
該支持部に前記ニーパッドを位置決めする位置決め孔を設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両のニーボルスター構造。 - 前記取付座部および前記支持部間の屈曲部位に補強用のビードを設けることを特徴とする請求項3記載の車両のニーボルスター構造。
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