JP5768917B2 - 車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、フロア部と立壁部とを有する車体構造に関する。
ボディの主要部がCFRPにて構成された車体フロア部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ダッシュパネルにフロアトンネルやフロア自体に繋がる傾斜部を形成した構成が知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開2008−155700号公報 特開平1−132474号公報 実開平3−84286号公報 特開2003−285766号公報
しかしながら、上記した各文献に記載の技術は、衝突荷重に対しフロア部を潰さずに効率良くフロア全体に荷重を伝達させる観点からは、改善の余地がある。
本発明は、衝突荷重を立壁部からフロア部の骨格構造に効率良く伝達することができる車体構造を得ることが目的である。
第1態様の車体構造は、平面視で矩形状に形成され、平坦な下壁と、該下壁の上側に設けられ該下壁の車幅方向の一部とで車両前後方向に長手でかつ閉断面の骨格構造を成す骨格形成部とを有するフロア部と、前記フロア部の車両前後方向の端部から上向きに立設され、第1壁と、該第1壁に車両前後方向の前記フロア部側から対向する第2壁とを有し車幅方向に長手の閉断面構造とされた立壁部と、側面視で車両上下方向及び前後方向に対し傾斜され、前記第2壁と、前記骨格形成部における前記下壁と対向する上壁とを繋ぐ傾斜壁と、を備えている。
第1態様の車体構造では、下壁から上向きに突出するように骨格構造が形成されており、骨格構造の前後方向端部には、一端が立壁部の第2壁に繋げられた傾斜壁の他端が繋げられている。このため、立壁部に入力された前後方向の荷重は、傾斜壁によって立壁部の倒れが抑制された状態で、該傾斜壁を介して骨格構造(を成す上壁)に伝達される。
このように、第1態様の車体構造では、衝突荷重を立壁部からフロア部の骨格構造に効率良く伝達することができる。また、下壁すなわち車両のフロア下が平坦であるため、別部材に頼ることなく適用された車両の空力性能の向上が図られる。
第2態様の車体構造は、第1態様の車体構造において、前記傾斜壁は、前記第2壁における車両上下方向の下部を兼ねており、前記下壁及び第1壁を含む第1部材と、前記骨格形成部及び第2壁を含む第2部材とを上下に重ねて接合することで、前記骨格構造、前記立壁部、及び前記傾斜壁が形成されている。
第2態様の車体構造では、傾斜壁が、第2壁の下部を構成して第1壁に対し車両前後方向に対向している。そして、第1部材と第2部材とを上下に重ねることで、平坦な下壁の上側に部分的に骨格構造を有するフロア部が形成されると共に、第1壁と傾斜壁を含む第2壁とが前後に対向する閉断面構造の立壁部が形成される。これにより、少ない部品点数で、衝突荷重を立壁部からフロア部の骨格構造に効率良く伝達することができる車体構造を構成することができる。
第3態様の車体構造は、第1態様又は第2態様の車体構造において、前記立壁部に対する車両前後方向の前記フロア部側と反対側で車輪を支持する支持部材の少なくとも一部が、前記下壁に固定されている。
第3態様の車体構造では、車輪を支持する支持部材は、少なくとも平坦な下壁に締結されている。このため、車輪からの入力荷重を下壁のせん断として受けることができ、また下壁の上側に骨格構造が形成されているので、下壁の曲げで受ける構造(下壁に凸凹が形成されている構成)と比べて、フロアの面外変形が効果的に抑制される。
第4態様の車体構造は、第1〜第3態様の何れか一態様の車体構造において、前記立壁部の車両上下方向の下部を車両前後方向に貫通するロッドと、前記ロッドにおける前記フロア部側の端部に連結されたブレーキペダルと、前記傾斜壁に形成され前記ロッドが挿通された窓部の周縁部に固定されて前記傾斜壁を補強する補強部と、前記補強部を介して前記傾斜壁に固定され、前記窓部内で前記立壁部の閉断面内に突出すると共に前記フロア部側に向けて開口する凹部を有し、少なくとも前記ブレーキペダルが操作された状態で該ブレーキペダルと前記ロッドとの連結部を前記凹部内に位置させる収容部と、が設けられている。
第4態様の車体構造では、傾斜壁の窓部に設けられた収容部にブレーキペダルとロッドとの連結部が配置されているため、該連結部を傾斜壁に対するフロア部側に配置した構成と比べて、ロッド長を短くすることができる。窓部が形成された傾斜壁は、該窓部の周縁部に固定される固定部にて補強され、所要の強度、剛性が担保される。また、補強部によって、立壁部から骨格構造への荷重伝達性も担保される。
第5態様の車体構造は、第1〜第4態様の何れか一態様の車体構造において、前記立壁として、前記フロア部の車両前後方向の前端部から上向きに立設されたダッシュ部、及び、前記フロア部の車両前後方向の後端部から上向きに立設されたロアバック部がそれぞれ設けられており、前記傾斜壁は、前記ダッシュ部及びロアバック部の少なくとも一方に設けられている。
第5態様の車体構造では、フロア部の前側から立壁部としてのダッシュ部が立設されると共に、フロア部の前側から立壁部としてのロアバック部が立設されている。これらダッシュ部及びロアバック部の少なくとも一方に傾斜壁が形成されているので、前面衝突及び後面衝突の少なくとも一方の荷重を効率よくフロア部の骨格構造に伝達することができる。
以上説明したように各態様の車体構造は、衝突荷重を立壁部からフロア部の骨格構造に効率良く伝達することができるという優れた効果を有する。
本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造の要部を示す図であって、図2の1−1線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造を構成するアンダボディを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造を構成するアンダボディの分解斜視図である。 図2の4−4線に沿った断面図である。 図2の5−5線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造を構成するブレーキブラケットを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造が適用された自動車の概略構成を示す側断面図である。 本発明の実施形態に係る樹脂ボディ構造の変形例を示す斜視図である。
本発明の実施形態に係る車体構造としての樹脂ボディ構造10について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印Wは車幅方向をそれぞれ示す。以下の説明で、特記なく前後、上下の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
図7には、樹脂ボディ構造10が適用された自動車Vが側断面図にて示されている。この図に示される如く、樹脂ボディ構造10は、アンダボディ12と、フロントサスペンションモジュール14と、フロントエネルギ吸収部材(以下、「フロントEA部材」という)16と、リヤサスペンションモジュール18と、リヤエネルギ吸収部材(以下、「リヤEA部材」という)20とを主要部として構成されている。
(アンダボディの構成)
アンダボディ12は、平面視で略矩形状を成すフロア部22と、フロア部22の前端から上向きに立設された立壁部としてのダッシュロア部24と、フロア部22の後端から上向きに立設された立壁部としてのロアバック部26とを含んで構成されている。ダッシュロア部24、ロアバック部26は、フロア部22の略全幅に亘る長さを有し、正面視では車幅方向に長手の略矩形状を成している。
また、ダッシュロア部24の車幅方向両端からは、後向きに前側壁28が延設されており、ロアバック部26の車幅方向両端からは、前向きに後側壁30が延設されている。前側壁28、後側壁30は、それぞれの下端がフロア部22(後述するロッカ36)の車幅方向外端部に連続しており、かつ互いに前後に離間している。以上により、アンダボディ12は、図2に示される如く全体としてバスタブ状(側壁の一部が切り欠かれたバスタブ状)に形成されている。
さらに、図4に示される如く、フロア部22は、略水平面に沿って平坦(フラット)な下壁32を有している。下壁32の車幅方向両側からは、上向きに外側壁34が立設されている。そして、下壁32の上側には、それぞれ前後方向に長手とされた骨格構造としての左右一対のロッカ36と、センタ骨格形成部38とが形成されている。
左右のロッカ36は、下壁32と、該下壁32と上下に対向する上壁40と、外側壁34と、該外側壁34と車幅方向に対向する内側壁42とで正面断面視で矩形枠状の閉断面構造を成している。センタ骨格形成部38は、下壁32と、該下壁32と上下に対向する上壁44と、互いに対向する一対のセンタ側壁46とで正面断面視で矩形枠状の閉断面構造を成している。
この実施形態では、上壁40と上壁44とは、下壁32との対向間隔が略同じ(略面一)とされている。すなわち、ロッカ36とセンタ骨格形成部38とで上下方向の高さが同等とされている。この実施形態では、ロッカ36を構成する上壁40、内側壁42が骨格形成部に相当し、センタ骨格形成部38を構成する上壁44、一対のセンタ側壁46が骨格形成部に相当する。
ダッシュロア部24は、図7に示される如く、閉断面構造とされて左右のロッカ36及びセンタ骨格形成部38の前端部を架け渡している。また、ロアバック部26は、閉断面構造とされて左右のロッカ36及びセンタ骨格形成部38の後端部を架け渡している。
具体的には、ダッシュロア部24は、前後に対向する第1壁としての前壁48及び第2壁としての後壁50と、下壁32に対向する上壁52とを有して構成されている。すなわち、ダッシュロア部24は、側断面視で、下壁32と、前壁48と、後壁50と、上壁52とで閉断面構造を成している。そして、この実施形態では、ダッシュロア部24を構成する後壁50の下部は、傾斜壁50Sとされている。
傾斜壁50Sは、前端側より後端側が下方に位置するように前後(水平)方向に対し傾斜されており、その前上端は後壁50の上下方向に略沿った上下壁50Vの下端に連続している。傾斜壁50Sの前上端(上下壁50Vとの境界部)の上下方向の位置は、側面視におけるフロントEA部材16の中心線(図心を通る線)CLの上下方向の位置に略一致されている。一方、傾斜壁50Sの後下端は、ロッカ36、センタ骨格形成部38の形成部位においては、下壁32と対向する上壁40、44に連続している。また、傾斜壁50Sの後下端は、フロア部22におけるロッカ36、センタ骨格形成部38の非形成部位においては、下壁32に接合される上フランジ12UF(後述)に連続されている。
また、ロアバック部26は、前後に対向する第1壁としての後壁54及び第2壁としての前壁56と、下壁32に対向する上壁58とを有して構成されている。すなわち、ロアバック部26は、下壁32と、後壁54と、前壁56と、上壁58とで側断面視で閉断面構造を成している。後壁54は、前端側が後端側よりも下方に位置するように、全体として前後(水平)方向に対し傾斜されている。
さらに、フロア部22は、左右のロッカ36とセンタ骨格形成部38とを前後方向の略中央部で架け渡すセンタクロス部60を有する。センタクロス部60は、下壁32と、該下壁32と上下に対向する上壁62と、前後に対向する前壁64及び後壁66とで側断面視で矩形枠状の閉断面構造を成している。
以上説明したアンダボディ12は、樹脂材にて構成されている。アンダボディ12を構成する樹脂材として、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維を含有する繊維強化樹脂を用いても良い。
そして、この実施形態におけるアンダボディ12は、第1部材としてのロアパネル12Lと第2部材としてのアッパパネル12Uとを上下に重ね合わせて接合することで構成されている。具体的には、図3に示される如く、ロアパネル12Lは、下壁32と、外側壁34と、ダッシュロア部24の前壁48と、ロアバック部26の後壁54と、前側壁28の外壁28Aと、後側壁30の外壁30Aと、平面視で周縁部から外向きに張り出された下フランジ12LFとを含んで構成されている。
一方、アッパパネル12Uは、ロッカ36の上壁40及び内側壁42(骨格形成部)と、センタ骨格形成部38の上壁44及び一対のセンタ側壁46(骨格形成部)と、ダッシュロア部24の後壁50(上下壁50V、傾斜壁50S)及び上壁52と、ロアバック部26の前壁56及び上壁58と、センタクロス部60の上壁62、前壁64及び後壁66と、前側壁28の内壁28Bと、後側壁30の内壁30Bと、平面視で周縁部から外向きに張り出された上フランジ12UFとを含んで構成されている。上フランジ12UFは、内側壁42、センタ側壁46、傾斜壁50S(ロッカ36、センタ骨格形成部38の非形成部)、前壁56(ロッカ36、センタ骨格形成部38の非形成部)、前壁64及び後壁66の各下端にも形成されている。
アンダボディ12は、ロアパネル12Lとアッパパネル12Uとが、下フランジ12LFと上フランジ12UFとで接着されると共に、上フランジ12UFと下壁32とが接着されることで、互いに固着されて、上記の各閉断面構造を成している。この実施形態では、前側壁28は、外壁28Aと内壁28Bとで閉断面構造を成し、後側壁30は、外壁30Aと内壁30Bとで閉断面構造を成している。なお、アッパパネル12Uとロアパネル12Lとは、融着や溶着により接合されても良い。
(ブレーキペダル取付部の構成)
ダッシュロア部24には、ブレーキペダル68が取り付けられるペダルブラケット70が固定されている。具体的には、ペダルブラケット70は、傾斜壁50Sであって車幅方向の少なくとも一部(後述するポケット部70Pの少なくとも車幅方向一部)が正面視でロッカ36とオーバラップするように配置されている。以下、具体的に説明する。
図3及び図5に示される如く、傾斜壁50Sには、ブレーキペダル68に接続されるロッド72を通すための窓部50Wが形成されている。また、前壁48には、ロッド72を通すための窓部48Wが形成されている。前壁48の前面には、ブラケット74を介して油圧発生部としてのマスターシリンダ76が固定されている。図示は省略するが、マスターシリンダ76は、後述するサスペンションメンバ80内に収容されている。ロッド72は、ブレーキペダル68とマスターシリンダ76とを連結し、該マスターシリンダ76に所要の油圧を発生させるべくブレーキペダル68の変位をマスターシリンダ76に伝えるようになっている。
ペダルブラケット70は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム(合金)等の金属材より成り、図5及び図6に示される如く、傾斜壁50Sにおける窓部50Wの周縁部に固定された補強部としての矩形枠状のフランジ70Fと、フランジ70Fの内側に設けられた収容部としてのポケット部70Pとを主要部として構成されている。フランジ70Fは、周方向の複数箇所が締結によって傾斜壁50Sに固定されており、該傾斜壁50Sにおける窓部50Wの周縁部分を補強している。
ポケット部70Pは、ダッシュロア部24の閉断面内に突出すると共に車室(フロア部22)側に開口しており、図5に示す側断面視では略L字状を成している。より具体的には、ポケット部70Pの前部は前壁48と略並行とされ、ポケット部70Pの後部は下壁32と略平行とされている。図5に示される如く、対向するダッシュロア部24前壁48とペダルブラケット70のポケット部70Pの前部との間には、金属製のカラー75が介在されており(本実施形態では4本)、各カラー75に挿通されたボルト71Aとボルト71Aに螺合するナット71Bとを含む締結部材によってペダルブラケット70とブラケット74との相対変位が規制されている(小さく抑えられている)。
また、ペダルブラケット70は、ブレーキペダル68の下端を車幅方向に沿った軸周りに回転可能に支持するヒンジ部70Hを有する。そして、樹脂ボディ構造10では、ヒンジ部70Hに支持されると共にロッド72に連結された68は、該ブレーキペダル68との連結部Jがポケット部70P内に位置する構成とされている。
図5に想像線にて示すのは、傾斜壁50Sの傾斜表面に略一致するペダルブラケット70の開口面70Aであり、連結部Jは、開口面70Aに対しペダルブラケット70の底部70B側に位置する構成とされている。この実施形態では、連結部Jは、ブレーキペダル68の非操作状態で、すなわち常に、ポケット部70P内に位置する構成である。なお、連結部Jは、少なくともブレーキペダル68の所定量以上の操作(踏み込み)状態でポケット部70P内に位置する構成であっても良い。
(サスペンションモジュールの構成)
フロントサスペンションモジュール14は、支持部材としてのサスペンションメンバ80と、図示しない左右一対のフロントサスペンションとを少なくとも含んで構成されている。支持部材としてのサスペンションメンバ80は、車幅方向に長手とされると共に、図7に示される如く側断面視で閉断面構造とされている。
図示は省略するが、サスペンションメンバ80は、フロントサスペンションを介して前輪Wf(図7参照)を転舵可能に支持している。この実施形態では、サスペンションメンバ80は、左右のフロントサスペンションが全体として組み付けられている。すなわち、各フロントサスペンションは、自動車Vの車体を構成する他の部分に頼ることなく独立して機能するように、サスペンションメンバ80に支持されている。
一方、リヤサスペンションモジュール18は、支持部材としてのサスペンションメンバ84と、図示しない左右一対のリヤサスペンションとを少なくとも含んで構成されている。サスペンション支持部材としてのサスペンションメンバ84は、図3及び図7に示される如く車幅方向に長手とされると共に、図1に示される如く側断面視で閉断面構造とされている。
サスペンションメンバ84は、リヤサスペンションを介して後輪Wr回転可能に支持している。この実施形態では、サスペンションメンバ84は、左右のリヤサスペンションが全体として組み付けられている。すなわち、各リヤサスペンションは、自動車Vの車体を構成する他の部分に頼ることなく独立して機能するように、サスペンションメンバ84に支持されている。
さらに、後輪Wrには、ホイルインモータが内蔵されている。そして、リヤサスペンションモジュール18には、ホイルインモータを駆動するための図示しないバッテリ及び制御装置であるPCU(パワーコントロールユニット)が組み付けられている。すなわち、リヤサスペンションモジュール18は、自動車Vの駆動ユニットとして捉えることも可能である。
そして、図1及び図7に示される如く、フロントのサスペンションメンバ80は、ダッシュロア部24に締結にて固定されると共に、下壁32に締結にて固定されている。具体的には、サスペンションメンバ80は、その本体部80Mが車幅方向の複数箇所で締結部F1においてダッシュロア部24の前壁48に締結固定されている。また、サスペンションメンバ80は、本体部80Mの後下端の角部から後向きに延設されたフランジ80Fが、下壁32の下面に重ね合わされた状態で、車幅方向の複数箇所で締結部F2において、該下壁32(のダッシュロア部24を構成する部分)に締結固定されている。
また、図7に示される如く、リヤのサスペンションメンバ84は、ロアバック部26に締結にて固定されると共に、下壁32に締結にて固定されている。具体的には、サスペンションメンバ84は、その本体部84Mが車幅方向の複数箇所で締結部F3においてロアバック部26の後壁54に締結固定されている。また、サスペンションメンバ84は、本体部84Mの前下端の角部から前向きに延設されたフランジ84Fが、下壁32の下面に重ね合わされた状態で、車幅方向の複数箇所で締結部F4において、該下壁32(のロアバック部26を構成する部分)に締結固定されている。
(EA部材の構成)
フロントEA部材16は、車幅方向に長手とされた大型部品とされている。具体的には、フロントEA部材16は、サスペンションメンバ80の前面の車幅方向長さすなわち左右のフロントサスペンションの間隔と略同等の車幅方向に沿った長さを有している。この実施形態におけるフロントEA部材16は、後向きに開口するボックス形状(略矩形箱状)を成している。フロントEA部材16は、その後端から張り出されたフランジ16Fにおいて、サスペンションメンバ80に締結固定されている。なお、フロントEA部材16は、サスペンションメンバ80と共にダッシュロア部24に締結固定(共締め)されても良い。
同様に、リヤEA部材20は、車幅方向に長手とされた大型部品とされている。具体的には、リヤEA部材20は、サスペンションメンバ84の前面の車幅方向長さすなわち左右のリヤサスペンションの間隔と略同等の車幅方向に沿った長さを有している。この実施形態におけるリヤEA部材20は、前向きに開口するボックス形状(略矩形箱状)を成している。リヤEA部材20は、その前端から張り出されたフランジ20Fにおいて、サスペンションメンバ84に締結固定されている。なお、リヤEA部材20は、サスペンションメンバ84と共にロアバック部26に締結固定(共締め)されても良い。
以上説明したフロントEA部材16、リヤEA部材20は、樹脂材にて各部が一体に形成されている。フロントEA部材16、リヤEA部材20を構成する樹脂材として、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維を含有する繊維強化樹脂を用いても良い。また、フロントEA部材16、リヤEA部材20は、アルミニウムやその合金などの金属材で構成しても良い。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の樹脂ボディ構造10が適用された自動車Vは、サスペンションメンバ84に内蔵されたPCUからホイルインモータに電力が供給され、該ホイルインモータの駆動力により走行する。また、自動車Vでは、ブレーキペダル68の操作に応じて、ホイルインモータがジェネレータとして機能され、PCUを介してバッテリに電力が回収(回生)される。さらに、自動車Vでは、ステアリングホイールの操舵に応じてフロントサスペンションを介して支持された前輪Wfが転舵される。
この自動車Vの前面衝突が生じると、フロントEA部材16に衝突荷重が入力される。この荷重によりフロントEA部材16は圧縮変形され、衝撃エネルギ(動荷重)を吸収しつつ、サスペンションメンバ80に荷重(支持反力)を伝達する。この際、樹脂ボディ構造10では、フロントEA部材16に入力された衝突荷重がサスペンションメンバ80の広い面(車幅方向に長い前壁)で受けられ、フロントEA部材16は安定して軸圧縮変形される。そして、サスペンションメンバ80に伝達された荷重は、ダッシュロア部24を介してフロア部22に伝達される。
ここで、樹脂ボディ構造10では、ダッシュロア部24を構成する後壁50の下部が傾斜壁50Sとされているため、前面衝突の荷重を効率的にフロア部22に伝達することができる。以下、この点について補足する。
ダッシュロア部24とフロア部22とを有するアンダボディ12を、上下に長い梁であるダッシュロア部24の下端が該ダッシュロア部24の倒れ(後傾)方向に弾性的にフロア部22(剛体)の前端に連結されたモデルとして考える。このモデルにおいてダッシュロア部24からフロア部22へ荷重を効率的に伝達するためには、ダッシュロア部24の梁としての曲げ剛性は高い方が望ましく、連結部位の剛性(弾性係数)も高い方が望ましい。
そして、樹脂ボディ構造10では。ダッシュロア部24が前壁48と後壁50と下壁32と上壁52とで閉断面構造を成しているため、1枚板より成るダッシュロア部と比較してダッシュロア部24の梁としての曲げ剛性が高い。また、後壁50の下部が傾斜壁50Sとされているため、ダッシュロア部24を構成する閉断面は下部において幅広とされている。これにより、1枚板より成るダッシュロア部や側面視での幅が上下で略一定のダッシュロア部と比較して、ダッシュロア部24とフロア部22との連結部位は上記倒れ方向に弾性係数が高い。
さらに、樹脂ボディ構造10では、傾斜壁50Sの前上端の上下方向位置が側面視でフロントエネルギ吸収部材16の中心線CLの上下方向位置に略一致されると共に、傾斜壁50Sの後下端が上壁40、44に連続している。このため、フロントエネルギ吸収部材16からダッシュロア部24に入力された荷重は、フロア部22のロッカ36、センタ骨格形成部38に効率的に伝達される。すなわち、上記荷重(ダッシュロア部24を後方に倒す向きのモーメント)を、傾斜壁50Sの軸力として効率的にロッカ36、センタ骨格形成部38に伝達することができる。
また、樹脂ボディ構造10では、ブレーキペダル68を支持するペダルブラケット70が、そのペダルブラケット70内に、ブレーキペダル68とロッド72との連結部Jを入り込ませている。このため、図5に想像線にて示される如く傾斜壁50S上に連結部Jが配置される比較例と比較して、ロッド72を図5に示すΔLだけ短くすることができる。これにより、上記の比較例との比較でロッドに要求される強度が低くて済み、ロッド72を構成する材料の高強度化やロッド72の外径拡大等の比較例で要求される対策を不要とすることができる。
そして、樹脂ボディ構造10では、上記の通りロッド72を短くするべく傾斜壁50Sに窓部50Wが形成されている。ここで、ペダルブラケット70のフランジ70Fが傾斜壁50Sにおける窓部50Wの周縁部に固定されることで、該傾斜壁50Sを補強している。このため、ダッシュロア部24からの前面衝突に伴う荷重は、車幅方向におけるペダルブラケット70の設置範囲においては、傾斜壁50S及びフランジ70Fを介してロッカ36に伝達される。また、ダッシュロア部24からの荷重の一部は、傾斜壁50S及びポケット部70P介してロッカ36に伝達される。このように、樹脂ボディ構造10では、窓部50Wの形成による後壁50(ダッシュロア部24)単体での強度低下を、ペダルブラケット70を設けることで解消している。
また、ポケット部70Pに相当する凹部を傾斜壁50Sに一体に形成する構成を採用する場合、左ハンドル車と右ハンドル車とでアンダボディ12を作り分けることとなる。これに対して樹脂ボディ構造10では、アンダボディ12の成形後に窓部50Wを開けてペダルブラケット70を取り付ける構造とすることができる。この構成では、左ハンドル車と右ハンドル車とでアンダボディ12を作り分けることが不要になる。
またここで、樹脂ボディ構造10では、フロア部22の下壁32が平坦(フラット)に形成されている。そして、サスペンションメンバ80は、フランジ80Fにおいて下壁32に締結固定されている。同様に、サスペンションメンバ84は、フランジ84Fにおいて下壁32に締結固定されている。このため、前輪Wf、後輪Wrからサスペンションメンバ80、84に伝達された各方向の荷重は、下壁32にシェア(せん断)として受けられる。
例えば、フロアの車幅方向中央部に路面側に開口するトンネルが形成された比較例では、該トンネルの開口幅が拡縮される方向にフロアパネルが変形(曲げ変形)されるので、前輪Wf、後輪Wrからの荷重をフロアパネルのシェアで受けることができない。
これに対して樹脂ボディ構造10では、上記の通り前輪Wf、後輪Wrからの荷重を下壁32にシェアとして受けられる。しかも、下壁32の上側にロッカ36、センタ骨格形成部38が形成されているので、前輪Wf、後輪Wrからの荷重による下壁32の面外変形が効果的に抑制される。これらにより樹脂ボディ構造10では、自動車Vの操縦安定性の向上に寄与する。
さらに、下壁32の上側にロッカ36、センタ骨格形成部38が形成されたフロア部22では、前面衝突の際には、下壁32が引張側、上壁40、44側が圧縮側となるように車幅方向に沿った軸回りの曲げを受ける。ここで、圧縮側には、上壁40と内側壁42との稜線、上壁44とセンタ側壁46と稜線が形成されるので、フロア部22の上下を逆にした構成と比較して、上記の曲げに対する強度が高い(耐力が大きい)。すなわち、前面衝突に対しては、下壁32をフラットにする構成が合理的である。
そして、下壁32をフラットにすることで、自動車Vの床下がフラット化され、該床下での整流作用が得られる。これにより、空力パーツ等に頼ることなく、樹脂ボディ構造10が適用された自動車Vの空力性能が向上する。また、同等の空力性能を得るために別体の空力パーツを設ける構成と比較して、部品点数の削減、軽量化のメリットがある。
なお、上記した実施形態では、傾斜壁50Sがロッカ36とセンタ骨格形成部38との間にも形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図8に示される如く、ダッシュロア部24におけるロッカ36とセンタ骨格形成部38との間の部分には傾斜壁50Sを形成しない構成としても良い。
また、上記した実施形態では、ダッシュロア部24に傾斜壁50Sが形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上記構成に加えて又は上記構成に代えて、立壁部としてのロアバック部26の前壁56の下部に傾斜壁を設け、後突荷重を効率的にロッカ36、センタ骨格形成部38に伝達する構成としても良い。
さらに、上記した実施形態では、傾斜壁50Sが後壁50の下部を構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、傾斜壁50Sが後壁50(上下壁50Vを下壁32まで延長したもの)の中間部と上壁40、44とを連結する構成としても良い。すなわち、アッパパネル12Uは、全体として一体に形成される構成には限定されず、ロアパネル12Lとの接合前に各部が一体化されていれば、複数の部材を接合して構成したものであっても良い。同様に、ロアパネル12Lは、全体として一体に形成される構成には限定されず、アッパパネル12Uとの接合前に各部が一体化されていれば良い。
その他、本発明は、上記した実施形態における具体的な構成等に限定されることはなく、各種変形して実施可能であることはいうまでもない。
10 樹脂ボディ構造(車体構造)
12 アンダボディ(車体構造)
12L ロアパネル(第1部材)
12U アッパパネル(第2部材)
22 フロア部
24 ダッシュロア部(立壁部)
26 ロアバック部(立壁部)
32 下壁
36 ロッカ(骨格構造)
38 センタ骨格形成部(骨格構造)
40 上壁(骨格形成部)
42 内側壁(骨格形成部)
44 上壁(骨格形成部)
46 センタ側壁(骨格形成部)
48 前壁(第1壁)
50 後壁(第2壁)
50S 傾斜壁
50W 窓部
54 後壁(第1壁)
56 前壁(第2壁)
68 ブレーキペダル
70 ペダルブラケット
70F フランジ(補強部)
70P ポケット部(凹部、収容部)
72 ロッド
80 サスペンションメンバ(支持部材)
84 サスペンションメンバ(支持部材)

Claims (6)

  1. 平面視で矩形状に形成され、平坦な下壁と、該下壁の上側に設けられ該下壁の車幅方向の一部とで車両前後方向に長手でかつ閉断面の骨格構造を成す骨格形成部とを有するフロア部と、
    前記フロア部の車両前後方向の端部から上向きに立設され、第1壁と、該第1壁に対し車両前後方向の前記フロア部側から対向する第2壁とを有し、前記第1壁と前記第2壁とが互いに前後に離間して配置された立壁部と、
    側面視で車両上下方向及び前後方向に対し傾斜され、前記第2壁と、前記骨格形成部における前記下壁と対向する上壁とを繋ぐ傾斜壁と、
    車幅方向に長手とされると共に前記第1壁に固定され、車輪を支持する支持部材と、
    を備えた車体構造。
  2. 前記支持部材における車両前後方向で前記第1壁側とは反対側に固定されたエネルギ吸収部材をさらに備える請求項1記載の車体構造。
  3. 前記傾斜壁は、車両上下方向の上端の位置が、前記エネルギ吸収部材の中心線の車両上下方向における位置に一致されている請求項2記載の車体構造。
  4. 前記フロア部の車両前後方向の前端部から上向きに立設された前記立壁部としてのダッシュロア部と、
    前記フロア部の車両前後方向の後端部から上向きに立設された前記立壁部としてのロアバック部と、
    を含んで構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車体構造。
  5. 前記立壁部は、前記フロア部の車両前後方向の前端部から上向きに立設され、前記第1壁としての前壁と前記第2壁としての後壁とが車両前後方向に対向して配置されたダッシュロア部であり、
    前記支持部材は、車幅方向に長手とされ、前記ダッシュロア部の前記前壁に固定されたフロントのサスペンションメンバである請求項1請求項の何れか1項記載の車体構造。
  6. 前記立壁部は、前記フロア部の車両前後方向の後端部から上向きに立設され、前記第1壁としての後壁と前記第2壁としての前壁とが車両前後方向に対向して配置されたロアバック部であり、
    前記支持部材は、車幅方向に長手とされ、前記ロアバック部の前記後壁に固定されたリヤのサスペンションメンバである請求項1〜請求項の何れか1項記載の車体構造。
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