JP5596807B2 - 可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法 - Google Patents

可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光触媒材料が担体に担持された光触媒体及びこれの製造方法、並びにこれを利用した浄化装置に関し、特には、大きな比表面積を有する光触媒体等に関する。
従来、紫外光照射下の光触媒により水や空気を浄化する技術が知られている。光触媒としては、酸化物半導体、特に酸化チタン(TiO)は優れた触媒作用があり、化学的に安定であり、溶出して環境汚染する可能性の低い安全な化合物であることが知られている。
酸化チタンの光触媒作用を利用して各種の環境汚染物質の分解除去が行われている。例えば、水の浄化、又は水中のアンモニア、アルデヒド類、アミン類等の悪臭物質の分解、及び菌類の殺菌、藻類の殺藻等に利用されている。
空気やガスの処理については、例えば、トイレの尿臭、ペットの臭い、煙草の臭い等の悪臭物質の分解、又は焼却炉から排出される窒素化合物、硫化化合物、ダイオキシン等の環境汚染物質の分解除去においても酸化チタンの光触媒作用が使われている。
酸化チタンを各種用途の光触媒として使用する場合、他の無機材料を担体として、それに担持させることが一般的である。なお、本明細書中においては、担体と該担体に担持させた光触媒材料とからなる複合体を、単に「光触媒体」と呼ぶ。
光触媒体を多孔質形状とし、光触媒材料が被処理物と接触できる比表面積を大きくすることにより、光触媒作用を効率良く発揮させるための試みが多々なされている。
例えば特許文献1には、陶磁器、セメント、発泡コンクリート、レンガ、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸バリウム等を主体とするセラミックス多孔体が担体として好ましいことが開示されている。この公報において多孔体と記述されているものは、上記各種無機材料をジョークラッシャー等の粉砕機により破砕し数mm〜数十mm、典型的には1〜100mmの細片状若しくは粒状にしたものである。
また、別の例として、特許文献2において活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト、多孔質ガラスが担体として用いられており、特に活性炭が好ましい旨が開示されている。活性炭の製造方法として、椰子殻を乾燥して微粉を除いた活性炭原料をロータリーキルン(550〜650℃)中に投入し、赤熱した状態で水蒸気、炭酸ガス(燃焼ガス中のCO)及び酸素(燃焼空気中のO)の混合雰囲気にて、温度850〜950℃で活性化処理することにより、粒状の活性炭としている。
また、特許文献3では、炭化ケイ素、シリカガラス、活性炭、ゼオライト、セピオライトを主成分とする無機紙を担体としその上に薄膜状酸化チタンを形成する例が示されている。
また、特許文献4及び5では、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラスが担体として用いられている光触媒を用いた水浄化装置の例、及び排気ガス浄化装置の例が示されている。
また、特許文献6では、ニッケルカドミウム、ステンレス、バーマロイ、アルミニウム合金、銅の多孔質金属担体、及び活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス粒状セラミックス、粘土の多孔質セラミック担体の例が示されている。
また、特許文献7では、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラスが担体として用いられる光触媒を用いた排気ガス処理装置の例が示されている。
しかしながら、これらのような従来の多孔質光触媒体は、比表面積を大きくするために多孔質としているにも関わらず、担体が紫外光に対して不透明であること等の理由から、その大きな比表面積から期待されるほどの処理能力が得られていなかった。また、これらのような従来の多孔質光触媒体は、一般に、耐熱性、耐薬品性、化学的安定性等が低く、また、機械的強度が弱い等の問題があり、長期間の使用や、特には、過酷な条件下での使用には耐えられなかった。
また、不純物が多く含まれる場合、例えば水の浄化においては、担体の不純物元素含有量が多くまた化学安定性が低いために、浄化した水にこれら担体に含有される不純物元素が溶出して混入することが多々起こる。あるいは空気の浄化においては、担体の不純物元素含有量が多くまた担体が破砕された粉体であるために、浄化した空気にこれら担体に含有される不純物元素含有微粉末が混入することが多々起こる。特に、処理する気体が高温で腐蝕性ガスを含んでいる場合には、担体が劣化することにより二次的不純物が発生してしまう。
また酸化チタンは、高いエネルギーバンドギャップ構造(3.2eV)を持つため、波長が短い紫外光しか吸収せず、可視光による触媒反応がほとんど起こらない。室内灯や太陽光の大部分を占める可視光を有効利用できる可視光応答型の酸化チタン光触媒の開発とその応用が現在の重要な研究課題である。
このような可視光応答型の酸化チタン粉末の製造方法が種々提案されている。例えば、特許文献8、9には、二酸化チタン等の光触媒にバナジウム、クロム、マンガン等の金属イオンを化学的にドーピングする製造方法が記載されている。しかしながら、前述のバナジウム等の金属陽イオンを化学的にドーピングした光触媒では、可視光における光触媒活性は認められるものの、ドーピング前の光触媒が本来保有していた紫外光における光触媒活性の低下が見られる場合が多い。これは、新たに導入した金属イオンが光触媒表面に凝集することにより新たな不純物エネルギー順位を形成し、これが紫外光照射により生じる正孔と電子の再結合中心となり、光触媒活性の低下をもたらすからだと推定されている。
特許文献10では、二酸化チタンの光触媒にバナジウム、クロム、マンガン等の遷移金属をイオン注入する製造方法が示されている。遷移金属イオンを注入した光触媒では注入された遷移金属イオンは、二酸化チタンの表面構造を劣化させることなく内部の適切な深さに均一に注入されるため、注入前に備えていた紫外光における固有の光触媒活性を維持しながら可視光においても光触媒活性が発現する。しかし、イオン注入する製造方法は大規模な製造装置や厳密な製造工程管理等を必要とし、生産性及びコストの両面で問題がある。
特許文献11では、可視光にも応答する光触媒材料として窒素を含む金属酸化物と酸化チタンの複合微粒子を高収率で得ることが示されている。また特許文献12では、この類似発明として窒素を含む酸化チタン微粒子を高収率で得ることが示されている。しかしながら、これらの文献に示された酸化チタンから成る光触媒は微粒子形状であるため、そのまま光触媒反応装置(ユニット)に搭載して、排気ガス処理や排水処理に使用できるものではなかった。
特開2004−230301号公報 特開2006−110470号公報 特開2004−305883号公報 特開2003−181475号公報 特開2002−35551号公報 特開2001−232206号公報 特開2001−170453号公報 特開平9−192496号公報 特開2000−237598号公報 特開平9−262482号公報 特開2005−138008号公報 特開2005−139020号公報
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、紫外光のみならず可視光照射下において光触媒作用を効率良く発揮させることができる光触媒体及びこれの製造方法、並びにこのような光触媒体を用いた浄化装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、少なくとも、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体と、該繊維状シリカガラス担体の表面に形成された、金属酸化物を主成分とする光触媒材料の被膜とからなる繊維状光触媒体であって、前記光触媒材料は、さらに添加元素として前記主成分の金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素のいずれか一種及び/又は窒素を含有し、可視光応答性を有するものであり、前記繊維状光触媒体が、可視光応答性を有する光触媒体として機能することを特徴とする可視光応答型繊維状光触媒体を提供する。
このような可視光応答型繊維状光触媒体であれば、紫外光のみならず可視光照射によっても光触媒作用を発生させることができる繊維状光触媒体となる。
また、担体が、高い光透過性を有するシリカガラス繊維からなるので、高い光透過性を有するとともに、繊維状であるがゆえに通気性及び通水性が高く、また、光触媒材料と被処理物とが接触することができる比表面積が大きい光触媒体とすることができる。そして、これらの特徴を同時に有することにより、光触媒作用を効率よく発揮させることができる。
また、繊維状の光触媒体であるので、粒子状の光触媒体と比較して飛散しにくく取扱いが容易である。また、塊状の光触媒体と比較して任意の形状に成形しやすく、任意の形状の容器に容易に充填することができる。
また、繊維状の光触媒体であるので、目的に応じて充填密度、空隙率を容易に任意に設定することができる。また、用途に合わせて布状、ウール状、フェルト状等にすることができる。
また、このように担体がシリカガラス繊維からなるものであれば、化学的安定性が高く、耐熱性が高い可視光応答型繊維状光触媒体とすることができる。
この場合、前記光触媒材料は、前記主成分の金属酸化物が酸化チタンであり、前記添加元素としてチタン以外の遷移金属元素のいずれか一種及び/又は窒素を含有するものであることが好ましい。そして、前記チタン以外の遷移金属元素が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、白金、セリウム、ネオジムの少なくともいずれか一種であることが好ましい。
本発明に用いる光触媒材料をこのような成分からなるものとすれば、特に可視光領域において、より高い光触媒作用を有する光触媒体とすることができる。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体は、前記繊維状シリカガラス担体に含有される元素のうち、アルカリ金属元素Li、Na、K各々の含有量が100wt.ppb以下であり、アルカリ土類金属元素Mg、Ca各々の含有量が50wt.ppb以下である可視光応答型繊維状光触媒体とすることができる。
このように、繊維状シリカガラス担体に含有される元素のうち、各種金属元素が上記のような含有量であれば、純度が十分に高い繊維状シリカガラス担体とすることができる。そして、このような、不純物金属元素が非常に少なく、純度が十分に高い繊維状シリカガラス担体であれば、再結晶化などによる繊維状シリカガラス担体の劣化(失透)を効果的に防止することができ、また、可視光応答型光触媒材料を利用する際の環境中への不純物の放出も防止することができる。
また、前記シリカガラス繊維は、繊維径が5〜300μm、長さが100mm以上であることが好ましい。
このように、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体に係るシリカガラス繊維の繊維径が5μm以上であれば、シリカガラス繊維の強度を十分確保できるので、切断されて粒子様になってしまうことなどを防止することができ、より取り扱い易いものとすることができる。また、繊維径が300μm以下であれば、繊維の強度が強すぎることなく適度であり、より取り扱い易いものとすることができる。
なお、本明細書における繊維径とは、通常用いられる定義に準じ、繊維の断面積を、該繊維の断面形状が真円形であると仮定して換算したときの直径に該当する値を意味するものであり、断面形状が真円形でなくとも定義されるものである。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体のシリカガラス繊維の長さが100mm以上であれば、より取り扱いしやすい可視光応答型繊維状光触媒体とすることができる。
また、前記シリカガラス繊維は、ファイバーカール半径が200mm以下であることが好ましい。
このようにシリカガラス繊維のファイバーカール半径が200mm以下であれば、シリカガラス繊維に適度なカールを持たせることができ、可視光応答型繊維状光触媒体を塊状にまとめて取り扱うことをより容易にすることができる。
また、本発明は、少なくとも、光触媒反応器と、該光触媒反応器内に収容された、上記のいずれかの可視光応答型繊維状光触媒体と、少なくとも紫外光及び可視光を含む光線を発する光源とを具備し、前記光源で前記可視光応答型繊維状光触媒体に前記光線を照射しながら、前記可視光応答型繊維状光触媒体を収容した前記光触媒反応器に被処理物を通過させ、光触媒作用によって被処理物を浄化処理するものであることを特徴とする浄化装置を提供する。
このような、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体を具備する浄化装置であれば、紫外線のみならず可視光の照射によっても光触媒作用を効率よく発揮させることができる可視光応答型繊維状光触媒体を具備する浄化装置であるので、高い処理能力を有する浄化装置とすることができる。
また、本発明は、少なくとも、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体を作製する工程と、該繊維状シリカガラス担体の表面に、光触媒材料となる金属酸化物の被膜を形成する工程と、該金属酸化物の被膜を形成した繊維状シリカガラス担体に窒素ドープ処理を行う工程とを含むことを特徴とする可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法を提供する。
このような可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法であれば、繊維状シリカガラス担体と、その表面に形成された、金属酸化物を主成分とし、窒素を含有し、可視光応答性を有する光触媒材料の被膜とからなり、可視光応答性を有する光触媒体として機能する可視光応答型繊維状光触媒体を製造することができる。
この場合、前記金属酸化物を、酸化チタンとすることが好ましい。
このように、光触媒材料の主成分である金属酸化物を酸化チタンとすれば、より高い光触媒作用を有する光触媒体とすることができる。
また、本発明は、少なくとも、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体を作製する工程と、該繊維状シリカガラス担体の表面に、可視光応答性を有する光触媒材料の被膜として、金属酸化物及び添加金属元素として前記金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素のいずれか一種を含む被膜を形成する工程とを含むことを特徴とする可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法を提供する。
このような可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法であれば、繊維状シリカガラス担体と、その表面に形成された、金属酸化物を主成分とし、該金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素が添加された、可視光応答性を有する光触媒材料の被膜とからなり、可視光応答性を有する光触媒体として機能する可視光応答型繊維状光触媒体を製造することができる。
この場合、前記金属酸化物を酸化チタンとし、前記添加金属元素を、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、白金、セリウム、ネオジムの少なくともいずれか一種とすることが好ましい。
このような光触媒材料の成分とすれば、特に可視光領域における光触媒作用をより高いものとした光触媒体とすることができる。
また、この場合、製造された可視光応答型繊維状光触媒体に、さらに、窒素ドープ処理を行うことができる。
このように、上記のように、金属酸化物を主成分とし、該金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素が添加された光触媒材料被膜を有するように製造された可視光応答型繊維状光触媒体に、さらに、窒素ドープ処理を行うことができる。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法においては、前記窒素ドープ処理を、アンモニア含有雰囲気下、400℃〜700℃にて熱処理を行うことによって行うことができる。
このような条件で窒素ドープ処理を行うことによって、より適切に窒素ドープを行うことができる。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法においては、前記繊維状シリカガラス担体の作製を、少なくとも、ケイ素化合物を原料として、火炎加水分解法により、透明シリカガラス母材を形成する工程と、該透明シリカガラス母材を棒状体に加工する工程と、該透明シリカガラス棒状体を溶融し、繊維状に線引きしてシリカガラス繊維を作製する工程とにより行うことが好ましい。
このような工程を経て繊維状シリカガラス担体の作製を行えば、高純度のシリカガラスからなる繊維状担体を、より容易に製造することができる。
以上のように、本発明に従う可視光応答型繊維状光触媒体及び可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法であれば、紫外光のみならず可視光照射によっても光触媒作用を発生させることができる繊維状光触媒体とすることができる。また、担体がシリカガラス繊維からなるので、高い光透過性を有するとともに、通気性及び通水性が高く、光触媒材料と被処理物とが接触することができる比表面積が大きい可視光応答型繊維状光触媒体とすることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述のように、従来の光触媒体は、比表面積を大きくする工夫がなされているにも関わらず、その大きな比表面積から期待されるほどの処理能力が得られていないという問題があった。
本発明者らは、これらのような問題を解決すべく、以下のような検討を行った。
例えば、特許文献1に記載されている光触媒体を構成する担体は、前述のように、多孔体ではあるが、各種無機材料を破砕し1〜100mmの細片状若しくは粒状にしたものである。粒子状であるので、光反応を促進させるために担体の外側から可視光ないし紫外光を照射しても担体粒子の表面で乱反射してしまい、光触媒体内側まで光が十分に届かないものである。また、粉砕過程により、どうしても金属等の不純物が混入し、純度を高く保てないものであった。このように不純物が入るため、耐熱性、耐薬品性、化学的安定性はよりいっそう低いものとなってしまう。
また、従来の担体は可視光ないし紫外光の透過性が無いのが一般的であり、比表面積を大きくした光触媒体を使用した光化学反応が、主にこれら光触媒体の表層部分でしか起こっておらず、効率の低いものとなっていた。
そこで、本発明者らは、まず、微粉末状の光触媒体や、微粉末を焼結することにより製造することにより比表面積を大きくした光触媒体に比べ、可視光ないし紫外線の透過性が高い繊維状シリカガラス担体を作製し、これを繊維状光触媒体とすることを考えた。
このような光触媒体であれば、紫外線の透過率が高く、また、繊維の間の空隙を被処理物が通過できるので、光触媒作用を効果的に発揮させることができると考えた。
一方、透明なシリカゲル粒子も同様に使用できるのではないかと考えられるが、粒径の大きいシリカゲルの場合、これを担体として使用しても浄化処理物の空気や水が粒子の隙間を流れてしまい、シリカゲル粒子内部の細孔には入りにくく、結果として光触媒反応の効率が悪いという結果になってしまう。反対に、粒子の細かいシリカゲルの場合、空気や水の処理時に目詰まりを起こしたり、粒子内部に紫外光が入りにくく、結果として光触媒反応の効率が悪いという結果になってしまう。
なお、繊維状シリカガラスの製造方法は古くから知られているが、最近の文献としては特開2004−99376号公報、特開2004−99377号公報、特開2004−352576号公報、特開2006−27960号公報、特開2006−282401号公報等が上げられる。
しかしながら、繊維状シリカガラスに関するこれら近年の発明は多層プリント配線に用いられる合成シリカガラス繊維、糸、布に関するものであり、特に1GHz以上の高周波回路に必要な低誘電率、低損失なプリント基板に関するものである。
また、特開2006−231171号公報において窒素酸化物(NO)を紫外線から可視光照射下における光触媒と尿素により、窒素へ還元する方法が示されている。この中で尿素の担体として、活性炭、活性炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、石英ウールが考えられている。
しかしながら、この文献の石英ウールはそもそも尿素の担体として考えられており、酸化チタンの担体ではない。
本発明者らは、これらの知見から、光触媒体に可視光ないし紫外光の光透過性と通気性及び通水性を付与すべく、繊維状シリカガラス担体を作製し、次いで、該繊維状シリカガラス担体の表面に、可視光応答性を有する光触媒となる材料の被膜を形成する処理を行うことによって可視光応答型繊維状光触媒体の製造を行うことを見出した。そして、このような製造方法によれば、高い光透過性を有するとともに、通気性及び通水性も高く、光触媒材料と被処理物とが接触することができる比表面積が大きい光触媒体とすることができることに想到し、本発明を完成させた。
また、従来の粉体や焼結体の担体のように、担体に不純物が多く含まれる場合、例えば水の浄化においては、担体の不純物元素含有量が多くまた化学的安定性が低いために、浄化した水にこれら担体に含有される不純物元素が溶出して混入することが多々起こる。あるいは空気の浄化においては、担体の不純物元素含有量が多くまた担体が破砕された粉体、あるいは粉体を焼結した塊状体であるために、浄化した空気にこれら担体に含有される不純物元素含有微粉末が混入することが多々起こる。特に、処理する気体が高温で腐蝕性ガスを含んでいる場合には、担体が劣化することにより2次的不純物が発生してしまうことがあった。
また、微粉末状の光触媒体は、飛散しやすいなどの問題に加え、一般に、耐熱性、耐薬品性、化学的安定性等が低く、長期間の使用や、特には、紫外線照射下での高温の流体を処理する様な過酷な条件下での使用には耐えられなかった。
また、固い塊状の光触媒体は加工性に難があった。
これに対し、本発明のように、繊維状シリカガラス担体の表面に、可視光応答性を有する光触媒材料の被膜が形成された可視光応答型繊維状光触媒体であれば、加工性にも優れ、また、担体の材質がシリカガラスであるので、可視光ないし紫外光の光透過性が良好であり、かつ、化学的安定性、耐熱性が高い光触媒体とすることができる。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体は、紫外光のみならず可視光照射によっても光触媒作用を発生させることができる。例えば太陽光に含まれる紫外光は全光エネルギーに比較すると少量であるが光触媒作用は可視光に比べると大きなものである。従って酸化チタン(TiO)等の光触媒材料に固有な紫外光触媒作用を維持しつつ可視光においても高い応答性を有する光触媒体の開発は重要である。また例えば各種水銀ランプでは、紫外光の他に多量の可視光が発生しており、紫外光のみならず可視光においても高い応答性を発揮する光触媒体の開発は大変重要である。
また本発明の可視光応答型繊維状光触媒体の最大の特徴は、光触媒体表面に照射される紫外光や可視光が内部まで透過、散乱することである。このことにより大きな体積を有する光触媒であっても、表面のみならず内部において光触媒反応を効率よく生じさせることができる。このようなことは従来の不透明なセラミックスを担体とし、光触媒材料を担持させた光触媒体では達成できないほどの光反応効率の向上をもたらす。
酸化チタンは、波長約400nm以下の紫外光を吸収することにより光触媒作用を発生する。酸化チタンは半導体の一種であり半導体は通常電気を通さない不導体であるが、光を照射すると電気を通すようになる。しかしどの様な光でも良いわけではなく、一定以上のエネルギーを持つ光が必要である。そのエネルギーをバンドギャップエネルギーと呼び、半導体の種類によって異なっている。バンドギャップエネルギー以上の紫外光を酸化チタンに照射すると価電子帯の電子がエネルギー準位の高い伝導帯というところに移動し、動けるようになる。伝導帯に電子が移動すると価電子帯には電子の抜けた孔が出来、この孔は正の電荷で持っており正孔と呼ばれる。電子と正孔は同時に生成し、電子は強い還元力を持ち正孔は強い酸化力を持つ。これが光触媒作用の基本メカニズムである。
窒素やチタン以外の遷移金属元素をドープした酸化チタンでは、400nm以下の紫外光の吸収のみならず約800nm以下の可視光も吸収することにより、より大きな光触媒作用が発生するようになる。なお、窒素とチタン以外の遷移金属元素を酸化チタンにドープすることによる可視光応答性の発生の詳細なメカニズムは完全には解明されていないが、いずれにしても、窒素とチタン以外の遷移金属元素をドープすることにより可視光応答性が生じる。
以下、本発明について図面を参照しながらさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造方法1)
まず、光触媒材料被膜として、金属酸化物を主成分とし、添加元素として少なくとも窒素を含有する被膜を具備する可視光応答型繊維状光触媒体を製造する方法について説明する。
図1に、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法の一例を示す。
まず、図1(a)に示したような、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体11を作製する(工程1a)。なお、図1(a−1)には、繊維の軸方向に沿った断面、図1(a−2)には、繊維の軸方向に対する垂直断面をそれぞれ模式的に示している。
この繊維状シリカガラス担体は、公知の方法(例えば、「高純度シリカの応用技術」(株式会社シーエムシー、1991年3月1日発行、P.202、第5章シリカ繊維とその応用)に概要が記載されている)によって作製することができるが、例えば、以下のような方法によって作製することが好ましい。
まず、以下のようにして透明シリカガラス母材を形成する(ステップ1)。
高純度ケイ素化合物、例えばSiClを原料とし、酸水素ガス又はプロパンガス等を用いた火炎加水分解法により透明シリカガラス母材を形成する。ここで行う火炎加水分解法は高温(1700℃以上)にして直接透明なシリカガラス母材を得る方法である直接溶融法や、比較的低温(500〜1000℃程度)で一度白色不透明のスート体を作った後、減圧下にて加熱溶融させて透明シリカガラス母材を得る方法であるスート法等の方法を適宜選択して行うことができる。火炎加水分解法以外の製造方法を用いて上記透明シリカガラス母材を製造してもよいが、火炎加水分解法によれば、より高純度なものが得られ、OH基の濃度も調節しやすいので好ましい。
次に、以下のようにして、上述の透明シリカガラス母材を棒状体に加工する(ステップ2)。これにより、次のステップ3における繊維形状への線引き加工を行いやすくする。
例えば、透明シリカガラス母材を加熱軟化させる熱加工により、直径5〜10mm、長さ500〜2000mm程度の棒状体に延伸加工する。このような加工方法とした場合、透明シリカガラス棒状体の軸方向に対する垂直断面形状は真円や楕円に近いものとなりやすい。
また、透明シリカガラス母材を切断機により加工し、必要に応じて、軸方向に対する垂直断面形状が正方形、長方形、三角形その他多角形の細長い棒状体に加工してもよい。寸法としては、多角形の辺の長さの合計が10〜50mm、長さ500〜2000mm程度とする。垂直断面形状を多角形とすることにより、次のステップ3の、繊維形状への延伸(線引き加工)によって繊維に適度な曲げ(ファイバーカール)を形成することができる。
次に、以下のようにして、上述の透明シリカガラス棒状体を溶融し、繊維状に線引きしてシリカガラス繊維を作製する(ステップ3)。
例えば、ステップ2で得られた直径5〜10mmの合成透明シリカガラス棒状体を10〜30本並列させてプロパン等の火炎、あるいは、ヒーターによる直接電気抵抗加熱、高周波誘導加熱にて加熱、溶融軟化し、延伸(線引き)させて、繊維径300μm程度以下のシリカガラス繊維とする。なお、溶融線引きの際の加熱方法は上記の方法を複数組み合わせてもよい。
このまま冷却し、連続繊維(長繊維)のシリカガラス繊維としてもよいが、このあと更に引き続き高速の流体を吹き付ける(例えば、火炎でジェットブローする)ことにより、繊維径5〜100μm程度のウール状(短繊維)のシリカガラス繊維を作製してもよい。
以上のような各ステップを経ることにより、図1(a)に示したような、繊維状シリカガラス担体11を作製することができる。
また、シリカガラス繊維を収束したり、紡糸したり、編み込んだりして、ストランド、ヤーン、クロス等と呼ばれる形態として、繊維状シリカガラス担体としてもよい。その他、本発明に係る繊維状シリカガラス担体の形態としては、一般にシリカガラス繊維がとりうる種々の形態を適宜選択することができる。
この繊維状シリカガラス担体は、シリカガラス繊維一本の寸法については、下記のような理由により、直径(繊維径)が5〜300μm、長さ(繊維長)は100mm以上であることが好ましい。
なお、本明細書における繊維径とは、前述したように、繊維の断面積を、該繊維の断面形状が真円形であると仮定して換算したときの直径に該当する値を意味するものである。また、上記好ましい繊維径、繊維長の限定は、多数本のシリカガラス繊維の平均(平均繊維径、平均繊維長)により規定することができる。
上記のように、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体に係るシリカガラス繊維の繊維径を5μm以上とすることが好ましい。このようにすれば、シリカガラス繊維の強度を十分確保できるので、切断されて粒子様になってしまうことなどを防止することができ、より取り扱い易いものとすることができる。また、繊維径が300μm以下であれば、繊維の強度が強すぎることがなく適度であり、より取り扱い易いものとすることができる。
また、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体に係るシリカガラス繊維の長さが100mm以上であれば、可視光応答型繊維状光触媒体をまとめて綿状の塊体とするときに適度にまとまりやすく、より取り扱いしやすい可視光応答型繊維状光触媒体とすることができるので好ましい。また、このシリカガラス繊維の長さは、3000mm以下であれば、繊維状光触媒体をまとめて綿状の塊体とするときに適度にまとまりやすく、より取り扱いやすい繊維状光触媒体とすることができるので好ましい。
なお、シリカガラス繊維の繊維径は、シリカガラス棒状体を線引きしてシリカガラス繊維とする時の、棒状体の送り速度、繊維の引っ張り速度、火炎量や温度等により制御することができる。
また、シリカガラス繊維の繊維長は、短繊維とする場合は、例えば、高速の流体を吹き付ける際の流速等により制御することができる。また、連続繊維とする場合には、巻き取った後に適度な長さで切断することなどにより調節することができる。
また、シリカガラス繊維中のOH基は、1〜1000wt.ppm程度含有させておくことが好ましく、1〜100wt.ppm程度とすることがより好ましい。このようにすれば、耐紫外線性が向上し、特に光透過率低下と強度劣化を防止できる。また、この劣化によって引き起こされる光触媒材料被膜の剥離を抑制することができる。
これは、OH基はシリカのSi原子とO原子の網目構造(ネットワークストラクチャー)を終端させるもの(ネットワークターミネーター)であり、適量存在させることによりシリカガラス構造を安定化させ(リラックスさせ)、Si−O−Siの結合角度を安定値にすることができ、その結果、紫外線照射による劣化を抑制させることが可能となるからである。
また、上記ステップ2において、透明シリカガラス母材を、軸方向に対する垂直断面形状が正方形、長方形、三角形その他多角形の細長い棒状体に加工した場合には、線引きしてシリカガラス繊維としたときに、該シリカガラス繊維の垂直断面形状が正方形、長方形、三角形その他多角形になりやすいが、このような断面形状であれば、シリカガラス繊維に適度な曲げ(ファイバーカール)を形成することができる。繊維状シリカガラス担体の繊維はストレートであるよりも、むしろカールがある方が担体を塊状にまとめて取り扱う際の容易性の点から好ましい。
カールの程度は繊維を空気中の室温25℃、相対湿度50%以下の雰囲気にて乾燥したシリカガラス板上に上から落下させた後の形状から判断することが可能である。
このときのシリカガラス繊維の曲率半径、すなわちファイバーカール半径は、200mm以下が好ましく、100mm以下であることがさらに好ましい。ファイバーカール半径の好ましい範囲の下限は特に限定されるものではないが、取り扱いのし易さ等により決定することができ、例えば10mm程度である。
上記したような繊維状シリカガラス担体の製造方法であれば、極めて純度の高いシリカガラスからなる繊維状担体とすることができるので好ましい。
以上のように、図1(a)に示したような繊維状シリカガラス担体11を作製した後、次に、図1(b)に示したように、この繊維状シリカガラス担体11の表面に、光触媒材料となる金属酸化物の被膜12を形成する(工程1b)。なお、この金属酸化物の被膜12を形成した繊維状シリカガラス担体11を、以下、中間複合体13と呼ぶことがある。
なお、図1(b−1)には、繊維の軸方向に沿った断面、図1(b−2)には、繊維の軸方向に対する垂直断面をそれぞれ模式的に示している。
本発明に用いられる光触媒材料となる金属酸化物としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、光触媒活性が高い等の理由により酸化チタンが好ましい。酸化チタンには、純粋な無水酸化チタン(TiO)の他、各種の水和物等が包含される。また、ドープ剤やバインダーなどを含んでいてもよい。
本発明の実施にあたって使用する酸化チタンとしては、光触媒活性の高いアナターゼ型結晶構造のもの(アナターゼ型酸化チタン)が特に好ましい。
以下では、好適な例として、この工程1bにおいて酸化チタンの被膜を形成する場合について主に説明する。
この金属酸化物被膜12は、例えば、以下のような方法により形成することができる。大きく分けて2種類、すなわち、乾式法と湿式法が挙げられる。
第1の方法は繊維状シリカガラス担体の表面への金属酸化物の蒸着である(乾式法)。蒸着法としては、酸化チタン(TiO)を、スパッタリング法、グロー放電法、熱蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、イオンプレーティング法等の膜付け技術により蒸着することができる。技術的な手軽さやコスト面からは特に熱蒸着法が好ましい。被膜として形成される酸化チタンは二酸化チタン(TiO)が好ましく、構造としてはアナターゼ型酸化チタンが好ましい。
第2の方法は、金属酸化物の前駆体となる有機金属化合物の溶液、又は、金属酸化物の前駆体となる化合物からなる微粒子の分散液(酸化チタンの場合は、有機チタン化合物の溶液又は酸化チタン分散液)に、繊維状シリカガラス担体を含浸させた後、加熱乾燥処理することにより行うものである(ディップコーティング法、湿式法)。
例えば、有機チタン化合物を酸触媒下で加水分解によって調整した酸化チタン(TiO)のゾル溶液に繊維状シリカガラス担体を浸漬して含浸させ、次いで一定速度で引き上げて乾燥、300〜700℃程度で加熱焼成する。均一で高品質の酸化チタンの被膜を作製するためには、前述の浸漬・含浸・乾燥・焼成の各段階を複数回繰り返すのが好ましい。有機チタン化合物としては、チタンエトキシド[Ti(OC]、チタンプロキシド[Ti(OC]、チタンブロキシド[Ti(OC]等のチタンアルコキシドが利用できる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、又は蓚酸、乳酸、酢酸などの有機酸を使用することができる。
この工程1bにおいて繊維状シリカガラス担体の表面部に形成、担持させる金属酸化物の量は、特に限定されるものではなく、その用途や目的、被処理体の気体又は液体かの物質形態等に応じて適宜選択することができる。一般的には繊維状シリカガラス担体100wt.%に対して、光触媒材料0.1〜50wt.%程度を被膜として担持させることができる。
以上のように、図1(b)に示したような金属酸化物の被膜12を表面に形成した繊維状シリカガラス担体11(中間複合体13)に窒素ドープ処理を行う(工程1c)。
なお、図1(c−1)には、繊維の軸方向に沿った断面、図1(c−2)には、繊維の軸方向に対する垂直断面をそれぞれ模式的に示している。
この窒素ドープ処理は、金属酸化物の被膜12に窒素が添加されるものであれば特に限定されないが、好ましくは以下のような処理によって行うことができる。
すなわち、アンモニア(NH)ガス含有雰囲気下で、400℃〜700℃の温度範囲にて熱処理を行うことができる。このアンモニアガス熱処理は、例えばシリカガラスチャンバーを設置した電気加熱炉の中に金属酸化物被膜形成処理後の繊維状シリカガラス担体を入れ、チャンバー内部をアンモニアガス雰囲気とし、次いで600℃に昇温し、1時間保持後室温まで冷却処理を行う。また必要に応じて引き続きチャンバー内をアンモニアガスから窒素ガス雰囲気に切り替えて200℃〜300℃3時間程度のベーキング処理を行う。このベーキング処理は窒素ドープされた金属酸化物の被膜を物理的、化学的に安定化させる効果がある。
このような窒素ドープ処理を行うことにより、光触媒材料となる金属酸化物の被膜12に窒素を添加し、光触媒材料に可視光応答性を付加することができる。
以上のような工程1a、1b、1cを経ることにより、繊維状シリカガラス担体11の表面に、光触媒材料被膜として、金属酸化物を主成分とし、添加元素として少なくとも窒素を含有する可視光応答型光触媒材料の被膜15が形成された、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体16を製造することができる。
(製造方法2)
次に、光触媒材料被膜として、金属酸化物を主成分とし、添加元素として少なくとも該金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素を含有する被膜を具備する可視光応答型繊維状光触媒体を製造する方法について説明する。
図2に、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法の別の一例を示す。
まず、図2(a)に示したような、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体11を作製する(工程2a)。なお、図2(a−1)には、繊維の軸方向に沿った断面、図2(a−2)には、繊維の軸方向に対する垂直断面をそれぞれ模式的に示している。
この繊維状シリカガラス担体11の作製方法は、上記した製造方法1の工程1aと同様である。
次に、図2(b)に示したように、繊維状シリカガラス担体11の表面に、可視光応答性を有する光触媒材料の被膜として、金属酸化物及び添加金属元素として該金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素のいずれか一種を含む被膜17を形成し(工程2b)、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体18を製造する。添加金属元素としての遷移金属元素は、被処理体の特性又は光反応の光源の種類等にもよるが、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、白金、セリウム、ネオジム等を採用することができる。
なお、図2(b−1)には、繊維の軸方向に沿った断面、図2(b−2)には、繊維の軸方向に対する垂直断面をそれぞれ模式的に示している。
前述したように、本発明に用いられる光触媒材料となる金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、光触媒活性が高い等の理由により酸化チタンが好ましい。酸化チタンには、純粋な無水酸化チタン(TiO)の他、各種の水和物等が包含される。
本発明の実施にあたって使用する酸化チタンとしては、光触媒活性の高いアナターゼ型結晶構造のもの(アナターゼ型酸化チタン)が特に好ましい。
以下では、好適な例として、この工程2bにおいて形成する光触媒材料の主成分の金属酸化物を酸化チタンとする場合について主に説明する。
この金属酸化物被膜17は、例えば、以下のような方法により形成することができる。上記した製造方法1の場合と同様に、大きく分けて2種類、すなわち、乾式法と湿式法が挙げられる。
第1の方法は繊維状シリカガラス担体の表面への金属酸化物の蒸着である(乾式法)。蒸着法としては、添加金属元素としてチタン以外の遷移金属元素を少量ドープさせた酸化チタン(TiO)を、スパッタリング法、グロー放電法、熱蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、イオンプレーティング法等の膜付け技術により蒸着する。技術的な手軽さやコスト面からは特に熱蒸着法が好ましい。
第2の方法は、金属酸化物の前駆体となる有機金属化合物の溶液、又は、金属酸化物の前駆体となる化合物からなる微粒子の分散液(酸化チタンの場合は、有機チタン化合物の溶液又は酸化チタン分散液)に、繊維状シリカガラス担体を含浸させた後、加熱乾燥処理することにより行うものである(ディップコーティング法、湿式法)。そして、このとき、酸化チタンの触媒活性を高めるために、被処理体の特性や光反応に用いる光源の種類等にもよるが、添加金属元素としてチタン以外の遷移金属元素の硝酸塩又は塩化物、その他の化合物を微量、有機チタン化合物又は酸化チタン分散液に混合する。
この工程2bは、上記した乾式法と湿式法ともに、添加金属元素を加える以外は、製造方法1の工程1bと同様である。
以上のような工程2a、2bを経ることにより、繊維状シリカガラス担体11の表面に、光触媒材料被膜として、金属酸化物を主成分とし、添加元素として少なくとも主成分の金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素のいずれか一種を含有する可視光応答型光触媒材料の被膜17が形成された本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体18を製造することができる。
また、上記の工程2a、2bを経て製造された可視光応答型繊維状光触媒体に、さらに、窒素ドープ処理を行うこともできる。すなわち、図2(b)に示したような可視光応答型繊維状光触媒体18に対し、窒素ドープ処理を行う(工程2c)。
この窒素ドープ処理条件は、金属酸化物の被膜17に窒素が添加されるものであれば特に限定されないが、製造方法1の工程1cと同様に行うことができる。
以上説明したように、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法によれば、少なくとも、シリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体と、該繊維状シリカガラス担体の表面に形成された可視光応答性を有する光触媒材料の被膜からなる繊維状光触媒体を製造することができる。また、この可視光応答性を有する光触媒材料は、金属酸化物を主成分とし、さらに添加元素として主成分の金属酸化物を構成する金属元素以外の遷移金属元素のいずれか一種及び窒素のうち少なくとも一種の元素を含有している。そして、この繊維状光触媒体は、可視光応答性を有する光触媒体として機能する。
このような可視光応答型繊維状光触媒体であれば、紫外光のみならず可視光照射によっても光触媒作用を発生させることができる光触媒体とすることができる。また、担体がシリカガラス繊維からなるので、高い光透過性を有するとともに、通気性及び通水性が高く、光触媒材料と被処理物とが接触することができる比表面積が大きい可視光応答型繊維状光触媒体とすることができ、光触媒作用を効率よく発揮させることができる。
また、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体は、担体中に含まれるアルカリ金属元素Li、Na、K各々の含有量が100wt.ppb以下、特には50wt.ppb以下、アルカリ土類金属元素Mg、Ca各々の含有量が50wt.ppb以下、特には20wt.ppb以下とすることができる。
これらの金属元素は、それぞれ、作業者の人体、建築物の構成材料等から混入しやすいものであるが、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法によれば、可視光応答型繊維状光触媒体に含まれる不純物金属元素を上記範囲に抑制することが可能である。このように、不純物金属元素が非常に少なく、高純度の繊維状シリカガラス担体であれば、可視光ないし紫外光の透過率がさらに高くなり、水の浄化処理や空気の浄化処理における光化学反応をより促進させることができる。また、不純物が少ない繊維状シリカガラス担体であることにより、高温腐蝕性ガスや腐蝕性排水の処理時における繊維状シリカガラス担体の変質、劣化、再結晶化(失透)及びそれによって起こる強度低下及び透過率低下等を効果的に防止することができ、光触媒体として利用する際の環境中への不純物の放出も防止することができる。このような高純度は、従来の焼結法等による多孔質光触媒体の製造方法などでは達成することは極めて困難であった。従って、本発明の可視光応答型繊維状光触媒体は、耐久性に関しても優れている。
このような光触媒体は、耐熱性、耐薬品性、耐紫外線性、耐候性があり、高温下での排ガス処理、腐蝕性の排水処理、腐蝕性の排ガス処理等に好ましい。
そして、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体を光触媒反応器内に収容し、少なくとも紫外光及び可視光を含む光線(以下紫外可視光と呼ぶことがある)を発する光源により可視光応答型繊維状光触媒体に光線を照射しながら、可視光応答型繊維状光触媒体に被処理物を接触させ、光触媒作用によって被処理物を浄化処理する浄化装置とすることができる。
浄化装置の構成は、様々な態様とすることができる。図3に可視光応答型繊維状光触媒体と光源とを具備する汚染ガス浄化装置の一例として、可視光応答型繊維状光触媒体の中心部に紫外可視光源が配置された例を示した。なお、図3(a)は光触媒反応ユニットの側面方向から見た概略断面図であり、図3(b)は、図3(a)中のA−A’面の概略断面図である。この汚染ガス浄化装置は、金属製(ステンレス、アルミニウム等)チャンバー21に覆われており、例えばらせん状の仕切り板22aを有するシリカガラスチャンバー22が反応器となる。また、その中心部に紫外可視光源23が配置されている。本発明の可視光応答型繊維状光触媒体25はシリカガラスチャンバー22内に充填される。紫外可視光源23により可視光応答型繊維状光触媒体25に紫外光及び可視光を照射しながら汚染ガス導入口26から汚染ガスを導入し、可視光応答型繊維状光触媒体25を通過させることにより汚染ガスを浄化し、浄化ガス排出口27から浄化されたガスを排出させる。仕切り板22aはなくてもよいが、このようならせん状の仕切り板22aを反応器内に配置することで、光触媒体内におけるガスの通過距離を長くすることができ、汚染ガスの浄化処理を効果的に行うことができる。
なお、紫外可視光源23は、少なくとも紫外光及び可視光を含む光線を照射できるものであれば良いが、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、レーザーダイオード、発光ダイオード等を用いることが可能である。
また、図4に可視光応答型繊維状光触媒体と紫外可視光源とを具備する汚染ガス浄化装置の別の一例として、可視光応答型繊維状光触媒体の外周部に紫外可視光源が配置された例を示した。なお、図4(a)は光触媒反応ユニットの側面方向から見た概略断面図であり、図4(b)は、図4(a)中のB−B’面の概略断面図である。この汚染ガス浄化装置は金属製チャンバー31に覆われたシリカガラス製外管32内に、反応器として、仕切り板34aを有するシリカガラス製内管34と紫外可視光源33が配置されている。そして、シリカガラス製内管34内に本発明の可視光応答型繊維状光触媒体35が配置されている。紫外可視光源33によりシリカガラス製内管34内の可視光応答型繊維状光触媒体35に紫外可視光を照射しながら汚染ガス導入口36から汚染ガスを導入し、可視光応答型繊維状光触媒体35を通過させることにより汚染ガスを浄化し、浄化ガス排出口37から浄化されたガスを排出させる。
また、図5に可視光応答型繊維状光触媒体と紫外可視光源とを具備する汚染ガス浄化装置のさらに別の一例を示した。なお、図5(a)は光触媒反応ユニットの上方から見た概略断面図であり、図5(b)は、図5(a)中のC−C’面の概略断面図である。この汚染ガス浄化装置は、特に車両等の排気ガス浄化処理ユニットに用いることができる。
この汚染ガス浄化装置は、楕円断面形状の筒型アルミニウム製排気ガス処理ユニットカバー40の内部に光触媒反応器としてシリカガラス製光触媒反応チャンバー41が配置されている。また、上記の楕円断面形状の焦点に相当する2箇所に紫外可視光源43a、43bが配置されている。また、シリカガラス製光触媒反応チャンバー41の内部に可視光応答型繊維状光触媒体42が配置されている。
また、車両のエンジンから排出される排気ガスは排気ガス導入口44に入り光触媒反応により浄化された後、浄化ガス排出口45から外部へ出される。排気ガスは高温であるため、光源を保護する目的から、冷却用空気が冷却空気入口46から入り冷却空気出口47から外部へ出る構造となっている。
そして、車両排気ガス処理の際には、紫外可視光源43a、43bにより、シリカガラス製光触媒反応チャンバー41内の可視光応答型繊維状光触媒体42に紫外可視光を照射しながら排気ガス導入口44から汚染ガスを導入し、可視光応答型繊維状光触媒体42を通過させることにより排気ガスを浄化し、浄化ガス排出口45から浄化されたガスを排出させる。また、排気ガスによる熱を冷却するため、冷却空気入口46及び冷却空気出口47によって排気ガス処理ユニットカバー40と光触媒反応チャンバー41との間の空間に冷却空気を流通させる。
なお、紫外可視光源43a、43bは高効率で紫外可視光を発光するものであれば良いが、水銀ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード、レーザーダイオード等を用いることが可能である。
このような、本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体を具備する浄化装置であれば、高い化学的安定性を有するとともに、光触媒作用を効率よく発揮することができる光触媒体を具備する浄化装置であるので、高耐久性と高い処理能力を併せ持つ浄化装置とすることができる。したがって、悪臭や空気中の有害物質を除去する浄化装置として利用でき、特に、熱反応装置から排出される高温燃焼ガス中の環境汚染物質の除去等の過酷な環境下においても使用できる。例えば、焼却炉、火力発電所、自動車等の排ガスの処理に用いることができる。特に、高純度のシリカガラス繊維を担体とすれば、このような目的にさらに合致する。更に本装置の光触媒反応を高効率化、大型化させることにより、太陽光を光源として水を光触媒分解反応させて水素燃料を取り出すことも可能となる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示したような、可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法(製造方法1)に従い、以下のように、可視光応答型繊維状光触媒体を製造した。
まず、繊維状シリカガラス担体の作製を、四塩化ケイ素(SiCl)を原料とし、酸水素ガスを用いた火炎加水分解によるスート法によって以下のように行った(工程1a)。
高純度四塩化ケイ素を原料とした酸水素火炎加水分解法のスート法により、OH基を30wt.ppm含有する高純度透明合成シリカガラス母材を作製した。この透明合成シリカガラス母材を切断加工することにより、3mm×10mm角、長さ2mのシリカガラス棒状体を20本作製した。次にこれら20本のシリカガラス棒状体を繊維製造装置に原料棒としてセットし、第1のガスバーナにて火炎加熱により軟化延伸して直径200〜300μm程度の太い繊維とし、引き続き第2のガスバーナにて火炎加熱により軟化延伸して線引きして直径10〜50μm程度の細い繊維とすると同時にジェットブローにより短繊維(ウール)の作製を行った。ウールの直径は原料棒としてのシリカガラス棒状体の送り速度、繊維の引っ張り速度(線引き速度)、火炎量と温度コントロールにより制御することができた。ウールを巻き取り器に収容した後、長さ200〜500mm程度になるように切断し、混合して綿状で塊状の繊維状高純度シリカガラス担体を作製した。ファイバーカール半径は50〜100mmであった。
また、プラズマ発光分析法(ICP−AES)及びプラズマ質量分析法(ICP−MS)により、繊維状シリカガラス担体の不純物金属元素濃度分析を行った。
次に、以下のように、繊維状シリカガラス担体の表面に、光触媒材料として酸化チタンを用いて、被膜をディップコーティング法により形成した(工程1b)。
光触媒の酸化チタン源となるチタンアルコキシドと溶媒となるエチルアルコール、安定化剤となるエチレングリコール等の試薬を混合してディップコーティング液として調整した。次いで、耐圧製のグローブボックス内に先に作られた繊維状シリカガラス担体と容器入りのディップコーティング液を入れ、次いでグローブボックス内を10−2Torr(約0.13Pa)以下の減圧にしつつ繊維状シリカガラス担体内部(多数本のシリカガラス繊維間の空隙)を脱ガスして、次いで常圧に戻しつつこの担体をディップコーティング液に入れてチタン化合物液に浸漬させた。このディップコーティング操作を10回繰り返した後、グローブボックスより取り出し、電気炉内に設置し、450℃1時間で焼成を行い透明の被膜とした。
次に、酸化チタンの被膜を形成した繊維状シリカガラス担体に窒素ドープ処理を以下のように行った(工程1c)。
酸化チタンを含有する光触媒材料被膜が形成された繊維状シリカガラス担体の綿状塊を100g程度取り、シリカガラスチャンバーが内部に設置されている電気炉内に入れた。そしてチャンバー内部へ窒素ガスで希釈されたアンモニアガス(窒素ガス50Vol.%、アンモニアガス50Vol.%)を導入し、60ml/minでフローさせつつ600℃1時間のアンモニアドープ処理を行った。次いでチャンバー内を窒素ガス100%雰囲気に変え、300℃3時間のベーキング処理を行い、添加した窒素を安定化させた。
その後この透明被膜をX線回折分析法等により調べたところ、アナターゼ型の酸化チタン(TiO)であることが確認され、また走査型電子顕微鏡(SEM)等により観察したところ被膜表面は粒径5〜10nm程度の酸化チタンの超微粒子から成り、2〜3nm程度の細孔を有しており、比表面積は約80m/gであった。
(実施例2)
図2に示したような、可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法(製造方法2)に従い、以下のように、可視光応答型繊維状光触媒体を製造した。
まず、実施例1と同様に繊維状シリカガラス担体を作製した(工程2a)。
次に、以下のようにして、繊維状シリカガラス担体の表面に、光触媒材料の主成分として酸化チタンを、添加元素としてクロム、バナジウムを用いて、被膜をディップコーティング法により形成した(工程2b)。
光触媒の酸化チタン源となるチタンアルコキシドと溶媒となるエチルアルコール、安定化剤となるエチレングリコール等の試薬、及び塩化クロムと塩化バナジウム(チタン重量に対して各々100分の1比率の各添加元素量)を混合してディップコーティング液として調整した。次いで、耐圧製のグローブボックス内に先に作られた繊維状シリカガラス担体と容器入りのディップコーティング液を入れ、次いでグローブボックス内を10−2Torr(約0.13Pa)以下の減圧にしつつ繊維状シリカガラス担体内部(多数本のシリカガラス繊維間の空隙)を脱ガスして、次いで常圧に戻しつつこの担体をディップコーティング液に入れてチタン化合物液に浸漬させた。このディップコーティング操作を10回繰り返した後、グローブボックスより取り出し、電気炉内に設置し、450℃1時間で焼成を行い透明の被膜とした。
この透明被膜をX線回析分析法等により調べたところ、アナターゼ型の酸化チタン(TiO)であることが確認され、また走査型電子顕微鏡(SEM)等により観察したところ被膜表面は粒径10〜20nm程度の酸化チタンの超微粒子から成り、2〜5nm程度の細孔を有しており、比表面積は50m/gであった。次いで酸化チタン被膜が形成された後の繊維状光触媒体の重量(g)を測定することにより、シリカガラス担体重量に対する光触媒重量比率(%)を求めた。
また、各物性値を実施例1と同様に測定した。
(実施例3)
まず、実施例2と同様に、工程2bまで行った。さらに、実施例1と同様の窒素ドープ処理条件によって、酸化チタンを含有し、バナジウム、クロムを含有する被膜が形成された繊維状シリカガラス担体に対して窒素ドープ処理を行い、繊維状光触媒体とした(工程2c)。
また、各物性値を実施例1と同様に測定した。
(比較例1)
実施例1と同一の繊維状シリカガラス担体を所定量準備した。次に繊維状シリカガラス担体の表面に光触媒材料として酸化チタンのみの被膜形成処理を行い、繊維状光触媒体を製造した。
また、各物性値を実施例1と同様に測定した。
(比較例2)
粒径1〜2mmのアルミナ(Al)セラミックス粒、純度99.99%グレード品をそのまま担体として用い、比較例1と同様に酸化チタンの被膜形成処理を行い、光触媒体とした。
この光触媒体は見た目でも不透明であった。
また、各物性値を実施例1と同様に測定した。なお、粉体であるため、繊維径、繊維長は定義できない。
実施例1〜3、比較例1、2で製造したそれぞれの光触媒体について、以下のように、アセトアルデヒド浄化試験と、NOx浄化試験を行い、光触媒特性を測定した。
(光触媒作用の性能評価(アセトアルデヒド浄化試験))
作製した可視光応答型繊維状光触媒体を、アセトアルデヒド光分解反応を用いて、光触媒作用の性能評価を行った。
先ず、可視光応答型繊維状光触媒体の綿状体120gを、寸法100mm×100mm×10mmの板状に成形して準備した。
図6に示した可視光応答型繊維状光触媒体とアセトアルデヒドの反応装置は、閉鎖系装置であり、供試体である可視光応答型繊維状光触媒体57bを載置する高純度合成シリカガラス製容器57aを内部に設置する高純度合成シリカガラス製の内容量5Lの反応容器(チャンバー)55と光源(ランプ)56aから構成される。反応ガスは、アセトアルデヒドボンベ51から供給される、660Torr(約88kPa)のCHCHO(1000vol.ppm)及び希釈ガスとしてのHeと、酸素ガスボンベ52から供給される100Torr(約13kPa)Oの計760Torr(約101kPa)(ほぼ大気圧と同一)混合ガスとした。光源56aとしては、紫外〜可視光を照射することができる中圧水銀ランプを用いた。その他、ガス供給側にはガス圧力調整器53a、53b、マスフローコントローラ54a、54b等を具備する。また、ガス排出側には、ガス分析器(ガスクロマトグラフ装置)58、排気ファン59a、59b等を具備し、排出されたガスを分析する。
(アセトアルデヒド浄化試験1)
以下のような手順にて、紫外〜可視光の照射による光触媒作用を評価した。
(1) 光触媒反応用チャンバーの中に綿状供試体(可視光応答型繊維状光触媒体)重量120g、寸法100mm×100mm×10mm、1個を設置し、内部を25℃空気雰囲気とし、波長400nm以下の紫外線強度10mW/cm程度の出力で中圧水銀ランプ光を照射しつつ6時間保持する。
(2) 反応チャンバー内を一度10Pa以下の真空にして排気した後、アセトアルデヒド混合ガス(660Torr(約88kPa)分圧のHe希釈されたCHCHO、1000vol.ppmガスと100Torr(約13kPa)分圧のOガス)を、10Pa(ほぼ大気圧)にて導入し、300ml/minの流量で流しつつ室温25℃で6時間放置した。この時ランプ光源は点灯していない。
(3) アセトアルデヒド混合ガスのガスフローを停止し反応チャンバー内(内容量5L)を封じ切り、中圧水銀ランプ照射を開始する。中圧水銀ランプの分光スペクトル分布を図8に、ランプ仕様を表1に示す。供試体の表面における波長400nm以下の紫外線強度は10mW/cmに設定する。
Figure 0005596807
(4) 反応チャンバーの温度を25℃に保ち中圧水銀ランプ光を連続照射し、6時間後の混合ガスのアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフィーで測定を行う。
このアセトアルデヒド浄化試験1における浄化率は、以下の計算式(1)によって求めた。
浄化率(%)=100×{(CHCHO初期濃度)−(CHCHO最終濃度)}/(CHCHO初期濃度)・・・(1)
浄化率の評価は、浄化率が100〜90%の場合は◎(極めて良好)、90〜70%の場合は○(良好)、70〜40%の場合は△(やや不良)、40〜0%の場合は×(不良)とした。
(アセトアルデヒド浄化試験2)
可視光のみの照射による光触媒作用を評価した。
具体的には、アセトアルデヒド浄化試験1と同様に、ただし、(3)(4)において、390nm以下の紫外線を吸収するランプ光源調整用フィルター56bを付けて供試体表面における400nm以上の可視光強度を5mW/cmに調整して中圧水銀ランプ照射を開始し、温度25℃、6時間照射試験を行った。
このアセトアルデヒド浄化試験2の浄化率の計算及び評価はアセトアルデヒド浄化試験1と同様とした。
(NOx浄化試験)
光触媒体の浄化処理能力を評価するため、図7に概念図を示したような評価装置を用いて、窒素酸化物(NOx)の分解実験を行った。NOxとしては、具体的には、一酸化窒素(NO)を用いた。
円筒形の反応容器65内には、中心に紫外・可視光ランプ66を通し、その周りに光触媒体67を配置した。その他NO100wt.ppm標準ガスを流せるNOxガスボンベ61、空気ガスボンベ62、圧力調整器63a、63b、マスフローコントローラ64a、64b、各種バルブ、NOx濃度計68、排気ファン69a、69b等を備えているシステムである。
なお、反応容器65の外寸法は120mm長さ320mm、光触媒体の収納シリカガラスチャンバーの外径100mm、内径20mm、長さ300mm、容積約2Lであり、各光触媒体の投入量200gとした。
実験条件は以下の通りである。
(1)吸着安定化を図るため、NOxガスフローを、NO濃度1wt.ppm、ガス流量60ml/minで30分行った。
(2)次に、反応容器内の紫外可視光光源を点灯、紫外線の強度10mW/cmとした。この状態で、NOxガスフロー、NO濃度1wt.ppm、ガス流量6L/min、温度25℃、相対湿度50%、3時間の連続運転を行い、光触媒作用によるNOの分解実験を行った。
NO浄化率の評価は、下記の式(2)により計算された数値に基づいて行った。
{(NO初期濃度)−(NO浄化後濃度)}/(NO初期濃度) …式(2)
NO分解率が90%以上を◎(極めて良好)、90%〜70%を○(良好)、70%〜40%を△(やや不良)、40%未満を×(不良)と評価した。
(耐候性試験)
各光触媒体に対して、低圧水銀ランプを用い、10mW/cmの紫外線照射エネルギー密度にて温度50℃、湿度90%以上500時間の連続耐候性実験を行い、その後光触媒体の目視観察、実体顕微鏡観察を行った。変化が検知されない時は○(良好)、若干の変色が生じたり酸化チタンの剥離が認められた時は△(やや不良)、変色が認められ、酸化チタンの1割以上に剥離が認められた時は×(不良)と評価した。
(耐熱性試験)
各光触媒体を、高純度アルミナ保温材、ニケイ化モリブデンヒータを具備する大気炉内に設置し、500℃にて1000時間の連続耐熱性実験を行い、その後の光触媒体の目視観察、実体顕微鏡観察を行った。評価基準は上記耐候性試験と同じく、変化が検知されない時は○(良好)、若干の変色が生じたり酸化チタンの剥離が認められた時は△(やや不良)、変色が認められ、酸化チタンの1割以上に剥離が認められた時は×(不良)と評価した。
実施例1〜3、比較例1、2で製造したそれぞれの光触媒体について、物性値と、光触媒としての特性評価の結果を下記の表2、3にまとめた。
Figure 0005596807
Figure 0005596807
実施例1〜3、比較例1は、比較例2に対してNOx浄化試験が良好な結果であった。これは、担体がシリカガラス繊維からなるため、紫外線に対する透明度が高く、紫外線が光触媒体の内部に十分に行き渡り、光触媒作用が効果的に発揮されたためと考えられる。
一方、比較例2は、NOx浄化試験はやや不良であった。これは、比較例2のようなアルミナセラミックス粉体に酸化チタンが担持された光触媒体は、紫外線が十分に行き渡らないためであると考えられる。
また、実施例1〜3は、可視光のみを照射した場合(アセトアルデヒド浄化試験2)であっても、比較例1よりも良好な結果を得られ、高い浄化能力を有していた。
また、実施例1〜3及び比較例1の光触媒体は、成形が容易であり、NOx浄化試験では反応容器への充填が容易であった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法の一例を、各工程における構造の概念図とともに示す図である。 本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法の別の一例を、各工程における構造の概念図とともに示す図である。 本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体と紫外可視光源とを具備する浄化装置の一例を示した概略断面図である。 本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体と紫外可視光源とを具備する浄化装置の別の一例を示した概略断面図である。 本発明に係る可視光応答型繊維状光触媒体と紫外可視光源とを具備する浄化装置のさらに別の一例を示した概略断面図である。 光触媒体の処理能力を評価する装置の一例として、実施例のアセトアルデヒド浄化試験装置を示した概略図である。 光触媒体の処理能力を評価する装置の別の一例として、実施例のNOx浄化試験装置を示した概略図である。 中圧水銀ランプの相対分光強度スペクトル(波長365nmを相対強度100とする)を示すグラフである。
11…繊維状シリカガラス担体、 12…光触媒材料となる金属酸化物の被膜、
13…中間複合体、
15…可視光応答型光触媒材料の被膜、
16…本発明の可視光応答型繊維状光触媒体、
17…可視光応答型光触媒材料の被膜、
18…本発明の可視光応答型繊維状光触媒体、
21…金属製チャンバー、
22…シリカガラスチャンバー、 22a…らせん状仕切り板、
23…紫外可視光源、 25…可視光応答型繊維状光触媒体、
26…汚染ガス導入口、 27…浄化ガス排出口、
31…金属製チャンバー、 32…シリカガラス製外管、 33…紫外可視光源、
34…シリカガラス製内管、 34a…仕切り板、
35…可視光応答型繊維状光触媒体、
36…汚染ガス導入口、 37…浄化ガス排出口、
40…排気ガス処理ユニットカバー、 41…光触媒反応チャンバー、
42…可視光応答型繊維状光触媒体、
43a、43b…紫外可視光源、
44…排気ガス導入口、 45…浄化ガス排出口、
46…冷却空気入口、 47…冷却空気出口。

Claims (3)

  1. ケイ素化合物を原料として、火炎加水分解法により、透明シリカガラス母材を形成し、該透明シリカガラス母材を棒状体に加工し、該透明シリカガラス棒状体を溶融し、繊維状に線引きしてシリカガラス繊維を作製することにより、アルカリ金属元素Li、Na、K各々の含有量が100wt.ppb以下であり、アルカリ土類金属元素Mg、Ca各々の含有量が50wt.ppb以下であり、OH基を1〜1000wt.ppm含有するシリカガラス繊維からなる繊維状シリカガラス担体を作製する工程と、
    該繊維状シリカガラス担体の表面に、添加金属元素としてバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、白金、セリウム、ネオジムの少なくともいずれか一種を含み、光触媒材料となる酸化チタンの被膜を形成する工程と、
    該酸化チタンの被膜を形成した繊維状シリカガラス担体に窒素ドープ処理をアンモニア含有雰囲気下、400℃〜700℃にて熱処理を行うことによって行う工程と
    を含むことを特徴とする可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法。
  2. 前記繊維状シリカガラス担体を作製する工程において、前記透明シリカガラス母材を、軸方向に対する垂直断面形状が正方形、長方形、三角形その他多角形の細長い棒状体に加工した後、該棒状体を溶融し繊維状に線引きしてファイバーカールを有する繊維状シリカガラス担体を作製することを特徴とする請求項1に記載の可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法。
  3. 前記繊維状シリカガラス担体をファイバーカール半径が200mm以下のものとすることを特徴とする請求項2に記載の可視光応答型繊維状光触媒体の製造方法。
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