JP5594119B2 - 水冷パイプの断熱構造 - Google Patents

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Description

本発明は、水冷パイプの断熱構造に関する。
鉄鋼生産工程において、鋼片などを加熱する加熱炉の中には水冷されたパイプが配置されることが多い。たとえばウォーキングビーム方式加熱炉は、鋼片を搬送する部材が水冷パイプで構成される。加熱炉内は1000℃以上の温度となるため、その中に配置される前記部材は、その強度を維持するために水冷する必要がある。
しかしながら、水冷パイプは加熱炉内の熱エネルギーを奪ってしまい、加熱炉の熱効率を悪化させてしまう。そこで、省エネルギーを目的に水冷パイプには断熱材がライニングされることが一般的である。断熱材によって、加熱炉内の熱が水冷パイプに奪われる量(熱損失)を抑制できる。
水冷パイプにライニングされる断熱材の構造の例として特許文献1に開示されたライニングが挙げられる。特許文献1は水冷パイプ側にセラミックファイバーが配置され、その外側にキャスタブル耐火物が配置され、キャスタブル耐火物は金属製のスタッドによって支持される。
キャスタブル耐火物は耐熱性およびスケールに対する耐食性が優れ、外側に配置されることで断熱材の構造の耐用を改善する。セラミックファイバーなどの断熱材は、キャスタブル耐火物に比べ耐熱性や耐食性が劣るため、水冷パイプ側に配置されるが、断熱性が高く熱損失を抑制する。このようなライニングは、キャスタブル耐火物とセラミックファイバーの特徴を生かした構造であり、一般的に採用されている。
また特許文献2に開示されるライニングは、セラミックファイバーのリング状成形体を水冷パイプ周囲にはめ込んだライニングである。成形体は円周方向に2分割されており、分割面をカギ型にすることで、リング状成形体の脱落を防いでいる。
特開平11−293335号公報 特開2004−43918号公報
しかしながら、特許文献1のようにキャスタブル耐火物が配置されるライニングは、キャスタブル耐火物をスタッドにより支持する必要があるため、スタッドからの熱損失が発生してしまう。スタッドには一般的にSUS304やSUS310Sなどの耐熱性ステンレス鋼が使用される。ステンレス鋼の熱伝導率は15〜25Wm-1K-1であり、セラミックファイバーの熱伝導率の0.08〜0.2Wm-1K-1に比べると著しく断熱性が悪い。またスタッドは水冷パイプに溶接されるため、スタッドからの熱損失を防ぐことは困難である。
これに対し、特許文献2はセラミックファイバーを予め整形し水冷パイプにはめ込むライニング構造であり、円周方向の分割目地部分をカギ型にして水冷パイプに拘束している。これによればスタッドを要しないため、スタッドからの熱損失分が抑制でき、省エネとなる。しかし特許文献2は、最も外側にセラミックファイバーを配置するため耐用性が劣り、炉内の温度が1300℃を超える場合やスケール(酸化鉄)が発生する場合は、セラミックファイバーが損傷し、ライニングとしての機能を保持できない問題がある。
セラミックファイバーが損傷する場合、セラミックファイバーに代えて予めリング状に成型した耐火物から成るブロック(以下、耐火物製ブロックと称す。)をモルタルで接着しライニングする方法がある。しかし、特許文献2と同等な形状にした場合、一般的な耐火物からなる耐火物製ブロックはセラミックファイバーに比べ柔軟性がなく、加熱炉内で熱膨張した際にカギ型に嵌合した目地部分に応力が集中し割れてしまう問題がある。
嵌合部分をカギ型ではなく、ストレートにすることも考えられるが、この場合は耐火物製ブロックの動きをモルタルの接着力だけで拘束することができず、加熱炉内で加熱と冷却の繰り返しにより目地部分が開いて耐火物製ブロックがずれてしまい崩落してしまう問題がある。これは、耐火物製ブロックが加熱されると外側に熱膨張し、冷却されると収縮し元の形状に戻るが、位置が元に戻らないため目地が開いてしまう。開いた目地に炉内で発生したスケールが目地を埋めてしまい、再加熱し熱膨張した場合、さらに外側に熱膨張してしまう。そして、冷却されたときに元の位置に戻らないため目地が開いてしまう。この繰り返しによって耐火物製ブロックは崩落してしまう。
耐火物製ブロックを崩落させないためには、冷却時に目地が開く量を小さくすること、すなわち固定が有効である。しかし、これまで有効な固定方法が無く、強固に固定しようとすると固定部分に応力が集中して割れてしまい、固定力が小さいと嵌合部がずれて崩落してしまう問題があった。このように、耐火物製ブロックを水冷パイプにライニングするためには固定方法が課題であった。
本発明は、スタッドを用いる場合よりも断熱性に優れ、高耐用な水冷パイプの断熱構造の提供を目的とする。
本発明者らは、断熱性に優れる耐火物製ブロックのライニング構造において、加熱と収縮によって割れずに水冷パイプに拘束される構造を検討した結果、本発明にいたった。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 加熱炉内に設置される水冷パイプの周囲を被覆する水冷パイプの断熱構造であって、
前記水冷パイプを囲む環状の耐火物製ブロックが、前記水冷パイプの延出方向に複数積み重ねられた構造であり、
前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面には、相対する端面と嵌合するように
積み重ね方向を法線とする平面に対して径方向に傾斜する環状の傾斜面が少なくとも
一部に形成され、
前記耐火物製ブロックは、環状の周方向に少なくとも2個以上に分割され、
積み重ねられる前記耐火物製ブロックの周方向分割面の目地位置が、上下の耐火物製ブロックの周方向の中央部付近にくるように1段ずつ交互にずれていることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
(2) 前記(1)に記載の水冷パイプの断熱構造において、
前記傾斜面は、前記耐火物製ブロックの積み重ね方向を法線とする平面に対して、5°以上、40°以下傾斜していることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
(3) 前記(1)又は(2)に記載の水冷パイプの断熱構造において、
前記傾斜面は、前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面全体に形成されることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
(4) 前記(1)又は(2)に記載の水冷パイプの断熱構造において、
前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面には、積み重ね方向に段差が形成され、前記傾斜面は、前記段差をつなぐ面として形成されることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
(5) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の水冷パイプの断熱構造において、
前記耐火物製ブロックの水冷パイプ側に、耐火物製ブロックよりも熱伝導率が小さい断熱材が配置されたことを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
(6) 前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の水冷パイプの断熱構造において、
前記耐火物製ブロックが、CaO・6Alの化学組成からなる粒子が50質量%以上、100質量%以下含まれることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
本発明によれば、環状の耐火物製ブロックが、円周方向に少なくとも2個以上に分割され、積み重ねられる一対の耐火物製ブロックの目地位置が環状の周方向にずれているので、一方の耐火物製ブロックで熱膨張によって目地が開こうとしても、他方の耐火物製ブロックで拘束することができ、耐久性を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る水冷パイプの断熱構造を表わす垂直方向断面図である。 従来技術の水冷パイプの断熱構造が加熱された際に熱膨張し、周方向分割面の目地が開く状況を説明する図である。 前記実施形態における水冷パイプの断熱構造が加熱された際に熱膨張を抑え、周方向分割面の目地が開かない状況を説明する図である。 前記実施形態における周方向分割面の目地のずらし方を表す平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る水冷パイプの断熱構造を表わす断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る水冷パイプの断熱構造を表わす断面図である。 前記実施形態における水冷パイプの断熱構造の周方向分割面の形状を示す図である。
(第1の実施の形態)
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る水冷パイプの断熱構造が示されている。この水冷パイプの断熱構造は、水冷パイプ1と、この水冷パイプ1の周りに巻装されたヒュームドシリカ質断熱材2と、さらにその外側に巻装されたセラミックファイバー質断熱材3と、最外周に設けられる耐火物製ブロック4とを炉床5の上に備えている。耐火物製ブロック4は、水冷パイプ1を囲むように環状に形成され、水冷パイプの延出方向に複数積み重ねられて形成される。前記耐火物製ブロック4の積み重ね方向の端面6は、積み重ね方向を法線とする平面に対して径方向に傾斜している。前記耐火物製ブロック4は、環状の周方向に少なくとも2個以上に分割され、積み重ねられる一対の前記耐火物製ブロック4のうち、一方の前記耐火物製ブロック4の周方向分割面の目地位置と、他方の耐火物製ブロック4の周方向分割面の目地位置とが、環状の周方向にずれている。
本実施の形態は金属製のスタッドを用いない構造なため、断熱性に優れている。
水冷パイプ1を垂直に配置する場合、この構造によれば、耐火物製ブロック4が膨張した際、すなわち外向きに変形する際に、下(または上)の耐火物製ブロック4が抵抗となり、周方向分割面の目地が開くことを防止できる。水冷パイプ1を垂直に配置する場合のこのメカニズムは以下の通りである。
図2に示される従来の耐火物製ブロック4Aでは、加熱炉の稼働中、耐火物製ブロック4Aは外側から加熱され、耐火物製ブロック4Aの外側の温度が高く、水冷パイプ1に近い内側の温度が低くなる。そのため図2(B)に示すように耐火物製ブロック4Aの外側が内側に比べ大きく膨張し、従来の水平な面で積み重ねた耐火物製ブロック4Aでは、周方向分割面の目地は内側から開く(図2(A))。その後、冷却されると、開いた目地は修復されることなく目地が開いた状態となる(図2(C))。
一方、本実施の形態では、積み重ね方向の端面には傾斜がつけられており、さらに周方向分割面の目地の位置が上下で違えていることで、図3(B)に示すように目地が開こうとすると下(または上)に配置された耐火物製ブロック4から目地を閉じる方向に力を受け、耐火物製ブロック4の水平断面に図3(B)のb−b’断面の矢印に示すような抵抗が発生する。これにより、耐火物製ブロック4を拘束でき、目地が開くことを防止できる(図3(A)、図3(C))。
この拘束による応力は耐火物製ブロック4の積み重ね方向の端面6の全体に分散するため、局部的に発生する応力が小さく割れにくい。さらに、連続的な傾斜であるため、応力は内側から外側にかけて連続的であり局部的に発生する応力が小さく、耐火物製ブロック4が割れにくい。
このように積み重ね方向の端面6に傾斜がつけられ、円周方向の分割面の目地がずらされたことによって、耐火物製ブロック4の崩落を防止し、かつ局部的な応力が小さいので割れることを防止でき、高耐用化を図れる。
周方向分割面の目地のずらし方は、2分割の場合は90°、4分割の場合は45°、1段ずつ交互に耐火物製ブロック4をずらすと、耐火物製ブロック4の上下の拘束力が最大となるため好ましい。2分割の場合の周方向分割面の目地のずらし方を図4に図示する。
耐火物製ブロック4の積み重ね方向の端面6の傾斜は、5°以上40°以下が好ましく、さらに5°以上、15°以下が好ましい。傾斜角度は、実際にライニング構造を適用して5°以上であれば本発明の効果が確認された。傾斜が大きすぎると耐火物製ブロック4の製作が困難になるため制約される。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図5により説明する。尚、以下の説明では、すでに説明した部材と同一の部材については、同一符号を付してその説明を省略する。前記の第1の実施形態に係る耐火物製ブロック4は、傾斜面がブロックの外側から内側に向かう平面状の傾斜面として端面全体に形成されていた。
これに対し、第2の実施形態に係る耐火物製ブロック7は、積み重ね方向の端面の傾斜面の少なくとも一部が湾曲している点で相違する。積み重ね方向の端面8は、一部が湾曲による傾斜面を形成することにより、本発明の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図6により説明する。耐火物製ブロック9の積み重ね方向の端面10の一部に、互いに嵌合する段差を有した構造である点で第1の実施の形態及び第2の実施の形態と相違する。
段差は、前述の傾斜と同様に耐火物製ブロック9の外向きの熱膨張を拘束する。上述の傾斜に比べ連続的な傾斜ではないため、段差がかみ合う部分に局部的な応力が発生するが、そこに傾斜が付けられるとさらに応力が分散できて好ましい。周方向分割面の目地は第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様にずらされる。
段差は、水冷パイプ側に配置されることが好ましい。水冷パイプ側(内側)は、加熱時に外側に比べ温度が低いため熱膨張が小さく、外向きに変形する際に抵抗となって耐火物製ブロック9を拘束する。
段差の大きさは、特に規定する必要は無いが、耐火物の材料強度が発現する大きさがあればよく、耐火物の骨材より大きい大きさとして5mm以上が例示される。上限の大きさも特に規定する必要は無いが、ライニングの厚み以上に大きくする必要はない。一般的には垂直方向と水平方向ともに10〜20mmの大きさが例示される。
耐火物製ブロック9の延出方向の形状は、作業性の観点から50〜500mmが好ましく、さらに100mm〜200mmが好ましい。大きすぎると単品重量が大きくなり施工時の負荷が増大する。また小さすぎると施工数量が増え施工効率が悪化する。
耐火物製ブロック9の外径や内径は加熱炉の設計によって選択されるものである。
本発明において断熱性を向上させるため、耐火物製ブロックの内側に耐火物製ブロックよりも熱伝導率が小さい断熱材が配置された構造が好ましい。内側に配置される断熱材としてはセラミックファイバー質断熱材や断熱キャスタブルが例示される。内側に断熱材が配置されることで水冷パイプからの熱損失を効果的に防ぐことができ、省エネルギーとなる。
最良の形態としては、水冷パイプ側から、ヒュームドシリカおよびセラミックファイバーからなる熱伝導率が0.02〜0.05Wm-1K-1の断熱材(以下、ヒュームドシリカ質断熱材と記す。)を3〜20mmの厚みで配置され、その外側にセラミックファイバーを主とした熱伝導率0.08〜0.2Wm-1K-1の断熱材(以下、CF質断熱材と記す。)が10〜50mmの厚みで配置され、さらにその外側に耐火物製ブロックが30mm〜150mm配置された構造が好ましい。
それぞれの断熱材の厚みは、断熱材の耐熱性によって決定される。すなわち、ヒュームドシリカ質断熱材は、耐熱温度が800〜1000℃であり、厚すぎると表面の温度が耐熱温度以上に上がってしまい耐用が悪化する。CF断熱材の厚みも同様に設計される。耐火物製ブロックは加熱炉の最高温度よりも高い耐熱温度のため、合計の厚みは、加熱炉のバーナー位置などの制約によって決定される。
このように多層構造とすることで、断熱性を向上しつつ耐用を維持できる。ヒュームドシリカ質断熱材は、断熱性は高いが耐熱性が劣るため、水冷パイプ側に配置されることで耐熱温度の範囲内で使用される。同様に、CF質断熱材も耐火物製ブロックに比べると耐熱性が劣るため中間に配置される。
本発明で耐火物製ブロックに使用される材質は、CaO・6Alの化学組成の粒子(以下、CA6粒子という。)が50質量%〜100質量%含まれた耐火物(以下、CA6質耐火物という。)とすることが好ましい。CA6粒子は炉内で発生するスケール(酸化鉄)と反応して低融点物を生成するシリカの含有量が5質量%以下と少ないため、スケールに対する耐食性が優れる。また粒子自体に気孔を多く含んでおりCA6粒子を多く含有するCA6質耐火物の見かけ気孔率を上げることができ断熱性が向上できる。
このように、CA6質耐火物を適用すれば、耐用性と断熱性を改善できる。さらに、見かけ気孔率が高いことから、熱膨張時に発生する応力が小さく、割れにも強い。耐火物製ブロックは前述したように拘束部分での割れが問題となるため、CA6質の割れに強い特性は極めて有効である。
従来のAl・SiO質の耐火キャスタブルは、耐熱性は1600℃と高いが熱伝導率が2.0Wm-1K-1と高く断熱性に劣る。又従来の断熱キャスタブルは、熱伝導率は0.4 Wm-1K-1と低いが耐熱性が1400℃と劣り、耐スケ−ル性にも劣る。
鉄鋼生産工程における熱間圧延用のウォーキングビーム式加熱炉のウォーキングビームを支持する水冷パイプにおける実施例を示す。本加熱炉は炉内が1100〜1300℃に保たれ鋼片を1000℃〜1200℃に加熱する炉である。燃料にはCOG(Coke Oven Gas)を使用しており、側壁のバーナーによって炉内を加熱している。
(実施例1及び比較例1、2)
CA6を90質量%含むCA6質耐火物(以下、90質量%CA6質耐火物という。)を水冷パイプの断熱に1層だけ適用した試験を行った。CA6以外の含有物はAl2O3である。実施結果を表1に示す。
Figure 0005594119
比較例1は、90質量%CA6質耐火物製キャスタブルを水冷パイプの周りに厚さ120mmでライニングした1層からなり、水冷パイプに取り付けたスタッドによりライニングを支持した構造である。比較例2は、水冷パイプの周りに90質量%CA6質耐火物製ブロックを積み重ねた構造であり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が0°、即ち傾斜していないブロック構造であり、円周方向に2分割したブロックからなる構造である。実施例1は、水冷パイプの周りに90質量%CA6質耐火物製ブロックを積み重ねた構造であり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が15°であり、円周方向に2分割したブロックからなる構造である。 耐火物製ブロック単体の寸法は、2分割したブロックを組んだときに内径180mmと外径420mmになるように設定し、高さ方向を150mmとした。施工する水冷パイプの径は178mmであった。円周方向の分割は均等な2分割とし、周方向分割面の目地はストレート形状とした。
次に施工手順について説明する。比較例1では、水冷パイプにスタッドを取り付けて水冷パイプ周りにキャスタブルの厚みが120mmとなるような円筒状の型枠を設置し、型枠と水冷パイプ間に所定の水分で混練した90質量%CA6質耐火物製キャスタブルを流し込んだ。12Hr経過後、キャスタブルが硬化していることを確認し型枠を取り外した。乾燥は加熱炉の立ち上げ時の温度上昇によって行った。
比較例2及び実施例1では水冷パイプに直接モルタルを塗り、90質量%CA6質耐火物製ブロックをはめ込んで固定した。高さは1500mm(10段)とし、最上部は粘土状の耐火物を塗り込んで固定した。
なお、耐火物製ブロックの製作は、各耐火物を型枠に流し込み、12時間養生したあと脱枠し、350℃の熱風乾燥を行った。
各断熱構造の断熱性能は、表2に記載した耐火物および断熱材の物性値を用い、下記の式(1)によって求めた熱抵抗値で評価した。ただし物性値は品質のばらつきや測定誤差を含むものであり概ね±20%変化することが知られる。
Figure 0005594119
Figure 0005594119
ここでLは各層の耐火物の厚み(m)である。Kは各層の断熱材の熱伝導率(Wm-1K-1)である。この式で求めた熱抵抗値が高いほど断熱性能に優れる。
なお、比較例1のキャスタブルライニング構造は、各断熱材中にスタッドが含まれることを簡単に考慮するため、各断熱材の熱伝導率とスタッドの熱伝導率とを体積比で加重平均した熱伝導率を計算に用いた。スタッドの体積比は一般的な2体積%とし計算した。厳密には3次元の熱流束計算や実物によって断熱性能を評価するとよいが、本手法でも簡単な評価ができる。
耐用性は、各断熱構造を同一加熱炉の水冷パイプに施工し、通常の操業条件にて使用し、6ヶ月後に耐火物製ブロックのうち最も外側に移動している部分の周方向分割面の隙間を計測して評価した。この隙間が大きくなっていくと崩壊してしまうため、隙間が小さいほど加熱と冷却の繰り返しによる変形が小さく、耐用性に優れることになる。
比較例1はキャスタブルライニングの固定にスタッドを用いているため、スタッドからの熱損失が大きく熱抵抗値が低い。比較例2は、断熱性能には優れるものの、6ヵ月後の目地の隙間が8mmと大きく、さらにそのまま1年間使用したところ、部分的にブロックの崩落が認められた。
実施例1は、熱抵抗値が0.30W-1m2Kと、キャスタブルライニングをスタッドで固定した比較例1の0.17W-1m2Kに比べ、約2倍大きく、断熱性に優れる。また、6ヵ月使用後の目地の隙間はいずれも1mmと小さく、さらにそのまま1年間使用しても隙間は1mmで変化せず、耐用性に優れることが確認できた。
(実施例2〜7及び比較例3、4)
次に、水冷パイプに最も近い1層目にヒュームドシリカ質断熱材、2層目にCF質断熱材、3層目に種々の断熱材を配置した3層の断熱構造を、水冷パイプの断熱に適用した場合の試験を行った。実施結果を表3に示す。各断熱構造の断熱性能は、前記表2に記載した耐火物および断熱材の物性値を用い、前記式1によって求めた熱抵抗値で評価した。
Figure 0005594119
表3において、比較例3,4及び実施例2〜7は、1層目にヒュームドシリカ質断熱材15mm、2層目にCF質断熱材25mmを用いており、共通している。比較例3は、3層目を90質量%CA6質耐火物製キャスタブルで厚さ80mmにライニングした構造とし、スタッドによりライニングを支持した従来の構造である。比較例4は、3層目が90質量%CA6質耐火物製ブロックを積み重ねた構造であり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が0°、即ち傾斜していないブロック構造である。
実施例2〜4は、3層目が90質量%CA6質耐火物製ブロックであり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が5°〜25°であるブロックからなる構造である。実施例5は、3層目が50質量%CA6質耐火物製ブロックであり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が15°であるブロックからなる構造である。CA6以外の含有物はAl2O3である。実施例6は3層目がAl・SiO質耐火物製ブロックであり、積み重ね方向を法線とする平面の傾斜角度が15°であるブロックからなる構造である。Al含有量が60質量%、残りがSiOである。実施例7は、3層目が90質量%CA6質耐火物製ブロックであり、積み重ね方向を法線とする平面の一部に傾斜角度が66°の面を有する段差のあるブロックからなる構造である。段差部の構造(周方向分割面)を図7に示す。
耐火物製ブロック単体の寸法は、上記比較例3の断熱構造の寸法と同様な構造になるよう内径260mmと外径420mmに設定し、高さ方向を150mmとした。施工する水冷パイプの径は178mmであった。円周方向の分割は均等な2分割とし、周方向分割面の目地はストレート形状とした。
次に施工手順について説明する。
まず、水冷パイプの表面にヒュームドシリカ質断熱材およびCF質断熱材を、接着材を用いて巻きつけ固定した。ここで使用したヒュームドシリカ質断熱材は、水分を含むと組織が崩壊してしまうため、アルミ箔およびポリエチレンフィルムによって真空パックしたものを用いた。また1枚の厚みを5mmとし、3層巻いて15mmの厚みとした。CF質断熱材はブランケット状のもので含水させ密度を高めたものとした。
比較例3の3層目の耐火物製キャスタブルの施工は、比較例1と同様な方法で行った。
比較例4と実施例2〜7の3層目は、耐火物製ブロックにモルタルを塗ってはめ込み1500mm(10段)の高さまで施工した。最上部は粘土状の耐火物を塗りこんで固定した。
耐用性は、各断熱構造を同一加熱炉の水冷パイプに施工し、通常の操業条件にて使用し、6ヶ月後に耐火物製ブロックのうち最も外側に移動している部分の周方向分割面の隙間を計測して評価した。この隙間が大きくなっていくと崩壊してしまうため、隙間が小さいほど加熱と冷却の繰り返しによる変形が小さく、耐用性に優れることになる。
比較例3はキャスタブルライニングの固定にスタッドを用いているため、スタッドからの抜熱が大きく熱抵抗値が低い。比較例4は、断熱性能には優れるものの、6ヵ月後の目地の隙間が6mmと大きく、さらにそのまま1年間使用したところ、部分的にブロックの崩落が認められた。
実施例2〜7は、熱抵抗値が1.1〜1.26W-1m2Kと、キャスタブルライニングをスタッドで固定した従来構造である比較例1の0.21W-1m2Kの約5倍大きく、断熱性に優れる。また、6ヵ月使用後の目地の隙間はいずれも1mmと小さく、さらにそのまま1年間使用しても隙間は1mmで変化せず、耐用性に優れることが確認できた。
鉄鋼生産工程における加熱炉で断熱性に優れ、高耐用な水冷パイプとして用いることができる。
1…水冷パイプ、2…ヒュームドシリカ質断熱材、3…セラミックファイバー質断熱材、4,7,9…耐火物製ブロック、5…炉床、6,8,10…耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面

Claims (6)

  1. 加熱炉内に設置される水冷パイプの周囲を被覆する水冷パイプの断熱構造であって、
    前記水冷パイプを囲む環状の耐火物製ブロックが、前記水冷パイプの延出方向に複数積み重ねられた構造であり、
    前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面には、相対する端面と嵌合するように
    積み重ね方向を法線とする平面に対して径方向に傾斜する環状の傾斜面が少なくとも
    一部に形成され、
    前記耐火物製ブロックは、環状の周方向に少なくとも2個以上に分割され、
    積み重ねられる前記耐火物製ブロックの周方向分割面の目地位置が、上下の耐火物製ブロックの周方向の中央部付近にくるように1段ずつ交互にずれていることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
  2. 請求項1に記載の水冷パイプの断熱構造において、
    前記傾斜面は、前記耐火物製ブロックの積み重ね方向を法線とする平面に対して、5°以上、40°以下傾斜していることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の水冷パイプの断熱構造において、
    前記傾斜面は、前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面全体に形成されることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の水冷パイプの断熱構造において、
    前記耐火物製ブロックの積み重ね方向の端面には、積み重ね方向に段差が形成され、前記傾斜面は、前記段差をつなぐ面として形成されることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水冷パイプの断熱構造において、
    前記耐火物製ブロックの水冷パイプ側に、耐火物製ブロックよりも熱伝導率が小さい断熱材が配置されたことを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水冷パイプの断熱構造において、
    前記耐火物製ブロックが、CaO・6Alの化学組成からなる粒子が50質量%以上、100質量%以下含まれることを特徴とした水冷パイプの断熱構造。
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