JP2001220612A - 高炉用熱風出口管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱膨張による複雑な軸直角の変異に安定して
追従する伸縮構造、特に、熱風出口管の熱風遮断弁近傍
で安定した変位吸収代を確保できる伸縮構造を提供す
る。 【解決手段】 鉄皮の外側に伸縮蛇腹を設け、その内側
に金属製環状体を軸方向に凹凸に組み合わせて内張し、
該金属製環状体組合わせ部に可縮材を詰め、前記金属製
環状体の内側に耐火煉瓦を内張したことを特徴とする高
炉用熱風出口管の伸縮構造であり、前記金属製環状体の
内側には、耐火煉瓦が鋳込まれていること、また前記金
属製環状体には、該金属製環状体を冷却する水冷管を埋
設することができる。この高炉用熱風出口管は熱風遮断
弁を介して熱風本管に連結し、上記伸縮管を前記熱風遮
断弁に連接して設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高炉用熱風炉から
排出する熱風を搬送する系において、耐熱、耐圧、可縮
な伸縮管を設けた熱風炉の出口管に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、図１に示すように、高炉用熱風
炉の熱風遮断弁５は熱風出口管３の途中に設置され、熱
風炉１の送風切り替え時に遮断機能を発揮する。熱風本
管４及び熱風出口管３は、摂氏１２００度前後の熱風を
０．４ＭＰａ程度の高圧で搬送できるよう、図５および
図６に示す様に、外面を鉄皮６で構成し、内部には断熱
キャスタブル層７、断熱煉瓦層８、耐火煉瓦層９で構築
される多層構造としている。熱風出口管３は各熱風炉１
と熱風本管４を繋ぐ管であり、熱風本管４の軸方向の熱
膨張や熱風炉１の高さ方向の熱膨張の影響による複雑な
軸直角の変位を受ける。また、熱風遮断弁５の交換時に
は面間を２０ｍｍ程度拡げて隙間を確保する必要があ
り、軸方向の変位をも吸収できる構造が求められる。こ
のために、鉄皮６には伸縮蛇腹１０を設置し、煉瓦層に
は可縮材１１を挟み込んだ収縮代を設ける構造としてい
た。

【０００３】また、実開昭５８−１５５５９８号公報に
は、吹き付けキャスタブル層を内被した鉄皮の内側に数
種類のレンガ層を順次積層した熱風管連結部の目地構造
が開示されている。これは、目地中央部に１個の粘土質
耐火レンガを配し、これの両側に断熱レンガを左右に厚
みを違えて組み付けた第１レンガ層と、目地中央部にア
ルミナ系耐火レンガを千鳥に組み合わせこれの両側に左
右が等厚の断熱レンガを前記千鳥位置のレンガに整列し
て組み付けた第２のレンガ層と、粘土質耐火レンガで組
積形成した第３レンガ層と、目地中央の接合面における
段差と該段差に伴う融通空隙を有し前記各レンガ層より
も大きいアルミナ系耐火レンガによる第４レンガ層と、
キャスタブルと第１レンガ層との間の全面にわたって介
層形成したセラミックファイバーバルク層と、千鳥積や
厚み差によって各レンガ層間に形成された間隙に介装し
たセラミックファイバーバルク片とによって構成され、
要部を千鳥積みすることによって接合部をジグザグに形
成させると共に、熱膨張による半径方向の変動を各レン
ガ層間に形成した隙間を利用して吸収するように構成さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記したよ
うな構造においては、煉瓦層内の収縮代１１は煉瓦自体
の熱膨張により占有され、軸直角変位に対しては吸収代
が不十分となるため、鉄皮の伸縮蛇腹部１０が角変位し
てもこれに同調できず、結果として煉瓦層の破壊を生
じ、伸縮蛇腹部１０の赤熱をきたしていた。特に断熱煉
瓦８は圧縮強度が低く、粉化し易い傾向があるため、ガ
ス流れにより流失し、空洞を作りやすく鉄皮６や伸縮蛇
腹部１０の赤熱を生じやすいという問題があった。

【０００５】この煉瓦層内の収縮代１１の部位は、その
前後の煉瓦構造の安定性を確保するためにある程度の煉
瓦長を取る必要があり、結果的に熱風遮断弁から遠くな
って、熱間補修するにも困難な位置になっていた。

【０００６】また、実開昭５８−１５５５９８号公報の
ようにレンガ層の目地部を千鳥配置とし、目地部からの
クラックによる熱風管の赤熱を防止する構造において
は、目地部を千鳥に配置し、各レンガ層の厚みを変更し
て各レンガ層における目地部がストレート配置にならな
いように配置されている。このように各レンガ層に目地
により熱風管の赤熱を防止しようとすると、目地の配置
が複雑となり、また各レンガ層のレンガ厚みも各層バラ
バラとりなり、レンガ積みが非常に複雑な配置となる。

【０００７】本発明は、上述の観点から、熱膨張による
複雑な軸直角の変異に安定して追従する伸縮構造を熱風
出口管の熱風遮断弁近傍に設け、安定した変位吸収代を
確保できる高炉用熱風炉出口管を提供せんとするもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】即ち本発明は、以下の構
成を要旨とする。 （１）熱風炉から排出する熱風を搬送する熱風出口管
を、熱風遮断弁を介して熱風本管に連結し、該熱風本管
より高炉本体に熱風を送る経路において、鉄皮の内側に
内張し、軸方向に凹凸を形成した金属製環状体を、その
凹凸部が組み合うように対向して設置し、該金属製環状
体の組み合わせ部に可縮材を詰め、前記金属製環状体の
内側に耐火煉瓦を内張し、さらに、鉄皮の外側に組み合
わせ部分を跨いで伸縮蛇腹を設けた伸縮構造を前記熱風
遮断弁に連接したことを特徴とする高炉用熱風出口管。 （２）前記金属製環状体の内側には、耐火煉瓦が鋳込ま
れていることを特徴とする前項（１）に記載の高炉用熱
風出口管。 （３）前記金属製環状体には、該金属製環状体を冷却す
る水冷管を埋設したことを特徴とする前記（１）又は
（２）に記載の高炉用熱風出口管。

【０００９】本発明になる熱風管構造では、耐火物をそ
の内面に保持する一対の金属製環状体を凹凸に組み合わ
せ、金属製環状体の間に可縮材を詰めて、その外面側に
伸縮蛇腹を設け、熱風管の一部となすものである。金属
母材は一般に鋳鉄または鋳鋼で、鋳造時に耐火煉瓦の外
周端部を鋳込むことで煉瓦を強固に保持することができ
る。

【００１０】

【実施例】以下に、本発明を図面に示す実施例に基づき
説明する。図１は各熱風炉で発生する熱風を熱風出口管
および熱風本管を介して高炉に送風するレイアウトを示
す。図２は、熱風炉で発生する熱風を送風する熱風出口
管の詳細を示す断面図。図３は、図２のＡ部詳細を示
す。図４は、図２のＢ−Ｂ断面図である。

【００１１】図１において、熱風炉１で発生する熱風
は、熱風炉１に連結されている熱風出口管３により熱風
本管４を介して高炉２へと送風される。熱風出口管３と
熱風本管４の間には熱風遮断弁５が配置されている。

【００１２】図２は、本発明の実施例であって、熱風炉
１に連結した熱風出口管３の内部構造でを示し、熱風炉
１と熱風遮断弁５との問で熱風遮断弁５に隣接して本発
明の伸縮管を配置している。

【００１３】図３は図２のＡ部詳細であって、本発明の
伸縮管部の詳細を示す。図３において鉄皮６は周方向に
２分割しており、分割部を伸縮蛇腹１０で覆ってシール
している。鉄皮６の内面には断熱キャスタブル７を張設
している。この断熱キャスタブル７の内側に金属製環状
体Ａ，Ｂを張設している。本実施例では金属環状体１２
として鋳鉄を使用した。この金属製環状体１２は鉄皮６
に合わせてＡ，Ｂに２分割（１２，１２’）しており、
分割面を凹凸形状に形成し、この凹凸部が可縮材１１を
介して嵌合している。この金属製環状体１２および１
２’の内面に耐火レンガ９を張設している。

【００１４】図４は、図３のＢ−Ｂ断面図であり、金属
製環状体１２および１２’には耐火レンガ９を鋳込んで
配置したものである。また、金属製環状体１２および１
２’には水冷管１３を埋設し、金属製環状体１２および
１２’を水冷してを保護している。

【００１５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は耐火物をその内面に保持し、凹凸に組み合う金属製環
状体と、金属製環状体の問に可縮材を詰めて、その外面
側の鉄皮に伸縮蛇腹を設置した伸縮構造体であり、これ
を熱風管の一部となす構造とすることにより、以下の優
れた効果が得られる。 （１）熱風出口管が受ける、熱風本管と熱風炉の熱膨張
による複雑な軸直角の変位に安定して追従することがで
きる。 （２）熱風遮断弁の交換に際して、確実な可縮代を確保
し、近傍の煉瓦を過大に圧迫して破壊したり、熱風炉や
熱風本管の煉瓦構造に悪影響を及ぼさなくてすむ。 （３）耐火煉瓦は金属製環状体にその外周端部を鋳込ま
れて堅固に保持されるため、安定した耐火層を形成で
き、背面の金属製環状体が直接、熱風に曝されることか
ら防ぐと共に、熱風温度の低下防止を図ることができ
る。 （４）金属製環状体は水冷することで過熱による強度低
下や、鉄皮の温度上昇を防止できる。冷却水は熱風弁冷
却用のものをバイパスできるので、このためにポンプや
熱交換器を増設する必要はない。 （５）金属製環状体を凹凸に組み合わせる際には、図１
のような円筒状に限らず、球面状に組み合わせることも
できる。 （６）断熱煉瓦を使用しないため、耐火煉瓦層の背面に
空洞ができることはなく、鉄皮や伸縮蛇腹の赤熱を生じ
にくい。 （７）伸縮蛇腹を熱風遮断弁に近接して設置でき、熱風
遮断風弁を取り外した際に保守・点検がし易い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における熱風管のレイアウトを
示す。

【図２】熱風炉で発生する熱風を送風する熱風出口管の
詳細を示す断面図。

【図３】図２のＡ部詳細を示す図。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】従来の構造例を示す部分拡大縦断面図。

【図６】図５のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１：熱風炉 ２：高炉 ３：熱風出口管 ４：熱風本管 ５：熱風遮断弁 ６：鉄皮 ７：断熱キャスタブル ８：断熱煉瓦 ９：耐火煉瓦 １０：伸縮蛇腹 １１：可縮材 １２：金属製環状体Ａ １２’：金属製環状体Ｂ １３：水冷管

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱風炉から排出する熱風を搬送する熱風
   出口管を、熱風遮断弁を介して熱風本管に連結し、該熱
   風本管より高炉本体に熱風を送る経路において、鉄皮の
   内側に内張し、軸方向に凹凸を形成した金属製環状体
   を、その凹凸部が組み合うように対向して設置し、該金
   属製環状体の組み合わせ部に可縮材を詰め、前記金属製
   環状体の内側に耐火煉瓦を内張し、さらに、鉄皮の外側
   に組み合わせ部分を跨いで伸縮蛇腹を設けた伸縮構造を
   前記熱風遮断弁に連接したことを特徴とする高炉用熱風
   出口管。
2. 【請求項２】 前記金属製環状体の内側には、耐火煉瓦
   が鋳込まれていることを特徴とする請求項１に記載の高
   炉用熱風出口管。
3. 【請求項３】 前記金属製環状体には、該金属製環状体
   を冷却する水冷管を埋設したことを特徴とする請求項１
   又は２に記載の高炉用熱風出口管。