本発明に係るX線診断装置を備えるX線診断システムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
X線診断システムとしてのアンギオ装置は、DSA(digital subtraction angiography)撮影モードを有する。DSA撮影モードでは、造影剤の像を含まない2D(2 dimension)のX線透過像(マスク画像)の画像データと、造影剤の像を含む2DのX線透過像(コントラスト画像又はライブ画像)の画像データとをサブトラクション処理して2Dの血管像である差分画像(2D−DSA画像)の画像データを生成して一方向の2D−DSA画像の画像データを表示・記憶することができる。
また、アンギオ装置のDSA撮影モードでは、Cアームを高速回転(例えば、40°/sec.)させながらDSA撮影を行なって、多方向の2D−DSA画像の画像データを生成する回転DSA撮影を行なうことができる。回転DSA撮影によると、1回の造影剤注入で瞬時に多方向の2D−DSA画像の画像データを表示・記憶することができる。
さらに、アンギオ装置のDSA撮影モードでは、回転DSA撮影によって取得された多方向の2D−DSA画像の画像データを基に3D再構成を行なって、3Dの血管像である差分画像(3D−DSA画像)の画像データを生成することができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るX線診断システムの第1実施形態のハードウェア構成を示す概略図である。
図1は、本実施形態のX線診断システム1を示す。X線診断システム1は、X線診断装置としてのアンギオ装置6と、そのアンギオ装置6とネットワークNを介して通信可能に接続される3D−WS(work station)7とから構成される。アンギオ装置6は、大きくは、保持装置11及びDF(digital fluorography)装置12から構成される。
保持装置11は、X線管21、X線検出装置22、Cアーム23、天板(カテーテルテーブル)25、高電圧供給装置26、駆動機構27及び造影剤自動注入装置(インジェクタ)28を設ける。なお、保持装置11は、X線管21が天板25の下方に位置するアンダーチューブタイプである場合を説明するが、X線管21が天板25の上方に位置するオーバーチューブタイプである場合であってもよい。また、X線管21のX線の出射側に、複数枚の鉛羽で構成されるX線照射野絞りや、シリコンゴム等で形成されハレーションを防止するために所定量の照射X線を減衰させる補償フィルタを設けてもよい。
X線管21は、Cアーム23の一端に設けられ、高電圧供給回路26から高電圧電力の供給を受けて、この高電圧電力の条件に応じて被検体(患者)Pに向かってX線を曝射する。
X線検出装置22は、Cアーム23の他端であってX線管21の出射側に設けられ、患者Pを透過したX線を検出する。X線検出装置22は、I.I.(image intensifier)−TV系であり、大きくは、I.I.22a及びTVカメラ22bを備える。
I.I.22aは、患者Pを透過したX線を可視光に変換し、さらに、光−電子−光変換の過程で輝度の倍増を行なって感度のよい投影データを形成させる。TVカメラ22bは、CCD(charge coupled device)撮像素子を用いて光学的な投影データを電気信号に変換する。
なお、X線検出装置22は、平面検出器(FPD:flat panel detector)を有するものであってもよい。X線検出装置22が平面検出器を有する場合、X線検出装置22は、2D状に配列された検出素子によりX線を検出して電気信号に変換する平面検出器としての2Dアレイ型X線検出器と、その2Dアレイ型X線検出器の各検出素子によって電気信号として検出されたX線検出データを収集するDAS(data acquisition system)とによって構成される。
Cアーム23は、その一端にX線管21を、他端にX線検出装置22を支持することで、X線管21とX線検出装置22とを、患者Pを中心に対向配置させる。Cアーム24は、駆動機構27によって、その移動量、移動タイミング及び移動速度が制御される。
天板25は、患者Pを載置する。
高電圧供給装置26は、DF装置12の制御によって、X線管21に高電圧電力を供給する。
駆動機構27は、DF装置12による制御に従って、Cアーム23を円弧動(LAO(left anterior oblique view)方向及びRAO(right anterior oblique view)方向の移動)させたり、Cアーム23を回転動(CRA(cranial view)方向及びCAU(caudal view)方向の移動)させたりする。駆動機構27によってCアーム23の円弧動や回転動が制御されることによって、一方向の画像データを取得するDSA撮影や多方向の画像データを取得する回転DSA撮影が実現される。
また、駆動機構27は、DF装置12による制御に従ってCアーム23を患者Pの体軸方向に対して平行移動させたり、Cアーム23及び天板25を一体として起倒させたりする。さらに、駆動機構27は、X線管21及びX線検出装置22を患者Pの体軸方向に移動させて撮影するために、DF装置12による制御に従ってCアーム23を患者Pの体軸方向に直線移動させる。加えて、駆動機構27は、DF装置12による制御に従って天板25を上下方向、左右方向及び体軸方向に移動させる。
インジェクタ28は、DF装置12による制御に従って患者Pの患部に挿入されたカテーテル(カテーテルチューブ,図示しない)に対して造影剤を注入する装置である。
Cアーム構造の保持装置11によると、その構成要素たるCアーム23の開口端を利用して、医師等の検査者が患者Pに直接に触れることが可能であるから、患者Pの体内にカテーテルを挿入する等の手術又は検査を行ないつつ、これと並行して血管造影等に係るX線撮影をも同時に行なうことができる。よって、Cアーム構造のアンギオ装置6は、複雑なカテーテル操作等を含むIVR(interventional radiology)等を行なうことも可能である。
一方、DF装置12は、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNと相互通信可能である。DF装置12は、大きくは、及びA/D(analog to digital)変換回路30、画像生成・処理回路31、画像メモリ32、画像合成回路33a、表示装置34a、CPU(central processing unit)35a、包括メモリ36a、HD(hard disc)37a、入力装置38a、通信制御装置39a及びシステム制御装置40等のハードウェアから構成される。CPU35aは、共通信号伝送路としてのバスを介して、DF装置12を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、DF装置12は、記録媒体用のドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
A/D変換回路30は、X線検出装置22から出力された時系列的なアナログ信号(ビデオ信号)をデジタル信号に変換する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、A/D変換回路30から出力された投影データのデジタル信号に対して対数変換処理(LOG処理)行ない、必要に応じて加算処理してフレーム単位の画像データ(マスク画像の画像データ及びコントラスト画像の画像データ)を生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させる。また、画像生成・処理回路31は、フレーム単位の画像データに対して画像処理を施し、画像処理後の画像データを画像メモリ32に記憶させる。画像処理としては、画像データに対する拡大/諧調/空間ファイルタ処理や、時系列に蓄積された画像データの最小値/最大値トレース処理、サブトラクション処理及びノイズを除去するための加算処理等が挙げられる。なお、画像生成・処理回路31による画像処理後の画像データは、画像合成回路33aに出力されると共に、画像メモリ32等の記憶装置に記憶される。
画像メモリ32は、CPU35aの制御によって、画像生成・処理回路31から出力された画像データを記憶する。
画像合成回路33aは、画像生成・処理回路31から出力された画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力する。また、画像合成回路33aは、画像生成・処理回路31によってサブトラクション処理された2D−DSA画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力する。
図2は、表示装置34aの配置の一例を示す図である。
表示装置34aは、透視モニタ34aa、参照モニタ34ab及びシステムモニタ34acから構成される。
また、表示装置34aには、VRAM(video random access memory、図示しない)等の表示用画像メモリ、D/A(digital to analog)変換器及び表示回路が含まれる。CPU35aの制御によって、表示しようとするイメージデータを展開するVRAMにイメージデータ等を展開することで、2D−DSA画像等の画像データを表示装置34aに表示させる。
透視モニタ34aaは、主にライブ画像の画像データを表示する。透視モニタ34aaは、画像合成回路33aから出力されたマスク画像の画像データ及びコントラスト画像の画像データをライブ画像として表示する。
参照モニタ34abは、主に静止画像及び再生画像の画像データを表示する。画像合成回路33aから出力された2D−DSA画像の画像データを表示する。
システムモニタ34acは、FOV(field of view)切り替えのためのデータ等、主に保持装置11の制御を行なうためのデータを表示する。
CPU35aは、検査者によって入力装置38aが操作等されることにより指令が入力されると、包括メモリ36aに記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU35aは、HD37aに記憶しているプログラム、ネットワークNから転送され通信制御装置39aで受信されてHD37aにインストールされたプログラム、又は記録媒体用のドライブ(図示しない)に装着された記録媒体から読み出されてHD37aにインストールされたプログラムを、包括メモリ36aにロードして実行する。
包括メモリ36aは、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備え、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU35aのワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする記憶装置である。
HD37aは、不揮発性のディスク等によって構成される。HD37aは、DF装置12にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、データを記憶する記憶装置である。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置37aによって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
入力装置38aとしては、検査者によって操作が可能なキーボード及びマウス等が挙げられ、操作に従った入力信号がCPU35aに送られる。入力装置38aは、大きくは、メインコンソール及びシステムコンソールによって構成される。
通信制御装置39aは、各規格に応じた通信制御を行なう。通信制御装置39aは、電話回線を通じてネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、アンギオ装置6は、通信制御装置39aからネットワークN網に接続することができる。
システム制御装置40は、図示しないCPU及びメモリを含んでいる。システム制御装置40は、CPU35aからの指示に従って、保持装置11の高電圧供給装置26、駆動機構27及びインジェクタ28等の動作を制御する。
また、X線診断システム1の3D−WS7は、コンピュータをベースとして構成され、画像合成回路33b、表示装置34b、CPU35b、包括メモリ36b、HD37b、入力装置38b及び通信制御装置39b等から構成される。CPU35bは、共通信号伝送路としてのバスを介して、3D−WS7を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、3D−WS7は、記録媒体用のドライブ(図示しない)を具備する場合もある。
CPU35bは、入力装置38bが操作等されることにより指令が入力されると、包括メモリ36bに記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU35bは、HD37bに記憶しているプログラム、ネットワークNから転送され通信制御装置39bで受信されてHD37bにインストールされたプログラム、又は記録媒体用のドライブ(図示しない)に装着された記録媒体から読み出されてHD37bにインストールされたプログラムを、包括メモリ36bにロードして実行する。
包括メモリ36bは、ROM及びRAM等の要素を兼ね備え、IPL、BIOS及びデータを記憶したり、CPU35bのワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする記憶装置である。
HD37bは、不揮発性のディスク等によって構成される。HD37bは、3D−WS7にインストールされたプログラムや、データを記憶する記憶装置である。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置37bによって行なうことができるGUIを提供させることもできる。
入力装置38bとしては、検査者によって操作が可能なキーボード及びマウス等が挙げられ、操作に従った入力信号がCPU35bに送られる。
通信制御装置39bは、各規格に応じた通信制御を行なう。通信制御装置39bは、電話回線を通じてネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、3D−WS7は、通信制御装置39bからネットワークN網に接続することができる。
図3及び図4は、本発明に係るX線診断システムの第1実施形態の機能を示すブロック図である。
図3は、X線診断システム1の機能のうちアンギオ装置6の機能を示す。一方、図4は、X線診断システム1の機能のうち3D−WS7の機能を示す。
図3に示すように、CPU35a(図1に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6は、一連の検査において先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42として機能する。なお、先行画像生成部41は、アンギオ装置6に必須の構成要素ではない。また、本実施形態では、先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42がソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
先行画像生成部41は、患者Pの特定部位に対して3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を生成するための血管像(以下、「先行画像」という。)の画像データを生成する機能を有する。以下、先行画像として、2Dの血管像である2D−DSA画像の画像データを採用する場合を説明するが、3Dの血管像である3D−DSA画像の画像データを採用する場合であってもよい。先行画像生成部41は、特定部位に対する3D撮影に先立って、患者Pの複数部位に関する一方向のマスク像の画像データ及びコントラスト画像の画像データを生成し、また、それらを基にした一方向の先行画像の画像データを生成する。
具体的には、先行画像生成部41は、システム制御装置40(図1に図示)を制御してマスク撮影を行なって患者Pの各部位に関する一方向のマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる。また、先行画像生成部41は、システム制御装置40を制御してインジェクタ28から自動的に造影剤を注入した後、デフォルト値のディレイ時間(後述する“T0”)を採用してマスク画像に対応する部位に関するコントラスト撮影を行なって患者Pの各部位に関するコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる。なお、ディレイ時間として、部位毎にデフォルト値が設定されている場合もある。
さらに、先行画像生成部41は、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32(共に図1に図示)を制御して、マスク画像とコントラスト画像(又は、ライブ画像)とを基にサブトラクション処理により、2Dの血管像である先行画像の画像データを生成する。なお、先行画像は、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶される。先行画像生成部41が患者Pに関する複数部位について先行画像をそれぞれ生成することによって、記憶装置には、複数部位毎に先行画像が記憶される。
2D−DSA画像生成部42は、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52及び2D−DSA画像演算部53を有する。また、ディレイ時間設定部52は、コントラスト撮影開始タイミング設定部58及びディレイ時間演算部59を有する。
特定部位設定部51は、画像メモリ32等の記憶装置に記憶された部位毎の先行画像をそれぞれ読み出して、画像合成回路33aを介して部位毎に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にそれぞれ表示させる機能を有する。この場合、特定部位設定部51は、参照モニタ34ab上に、各部位における所定のフレームの先行画像のみを表示すればよい。また、特定部位設定部51は、参照モニタ34ab(図1に図示)上に表示された各部位の先行画像から選択された先行画像を基に、3D撮影を行なうための特定部位を設定する機能を有する。
ディレイ時間設定部52のコントラスト撮影開始タイミング設定部58は、特定部位設定部51によって設定された特定部位に対応する各フレームの先行画像を、画像合成回路33aを介して表示装置34a、例えば参照モニタ34ab(図1に図示)上にそれぞれ表示させる機能を有する。また、コントラスト撮影開始タイミング設定部58は、参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された特定フレームと、特定部位の先行画像(先行画像に含まれるコントラスト画像)を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、特定部位の3D撮影を行なうためのコントラスト撮影の開始に適したコントラスト撮影開始タイミングを設定する機能を有する。具体的には、コントラスト撮影開始タイミング設定部58は、特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された第nS(nS=1,2,3,…)フレームの先行画像と、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートRとを基に、コントラスト撮影開始タイミング(nS/R)を設定する。
ディレイ時間演算部59は、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって設定されたコントラスト撮影開始タイミング(nS/R)と、特定部位設定部51によって設定された特定部位の先行画像を生成する際に採用されたディレイ時間T0とを基に、特定部位を3D撮影(3D撮影に含まれるコントラスト撮影)する際に採用するディレイ時間T1を演算する機能を有する。例えば、ディレイ時間演算部59は、次の式(1)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T1を演算する。
[数1]
T1=T0+nS/R …(1)
図5は、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T1を演算するための式(1)を説明するための図である。
図5の上段は、先行画像生成部41によって特定部位に対して行なわれた先行画像のコントラスト撮影及び先行画像の時系列(t)を示している。先行画像用のコントラスト撮影では、まず、あるタイミングで造影剤の注入が開始され、造影剤の注入開始からデフォルト値のディレイ時間T0の経過後、自動的にコントラスト撮影が開始されて先行画像が生成される。コントラスト撮影で採用されたディレイ時間T0は、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)規格に従って、画像データに付与される。なお、DICOM規格とは、医用情報を共通化するために米国で標準化された規格である。
図5の下段は、上段を基に設計される時系列(t)であり、特定部位に対して行なわれる3D撮影に含まれるコンストラスト撮影の時系列(t)を示している。コンストラスト撮影を行なう際に採用するディレイ時間T1は、コントラスト撮影開始タイミング(nS/R)と、ディレイ時間T0とを基に、式(1)によって演算される。
また、図2に示す2D−DSA画像演算部53は、システム制御装置40(図1に図示)を制御して、特定部位設定部51によって設定された特定部位に対して多方向のマスク撮影を実行して特定部位に関するマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる機能を有する。また、2D−DSA画像演算部53は、システム制御装置40を制御して、ディレイ時間設定部52によって設定されたディレイ時間T1を採用して多方向のコントラスト撮影を実行し、特定部位に関するコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる機能を有する。2D−DSA画像演算部53は、画像合成回路33aを介して、マスク画像及びコントラスト画像をライブ画像として表示装置34a、例えば透視モニタ34aa(図1に図示)に表示させる。
さらに、2D−DSA画像演算部53は、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32(共に図1に図示)を制御して、多方向のマスク画像とコントラスト画像とを基に、特定部位に関する多方向の2D−DSA画像の画像データを演算する機能を有する。2D−DSA画像生成部42によって生成された多方向の2D−DSA画像の画像データは通信制御装置39aを介して3D−WS7に転送される。
図4に示すように、CPU35b(図1に図示)がプログラムを実行することによって、3D−WS7は、3D−DSA画像生成部60として機能する。なお、本実施形態では、3D−DSA画像生成部60がソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、3D−DSA画像生成部60が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。また、本実施形態では、3D−DSA画像生成部60を3D−WS7に有する場合を説明するが、3D−DSA画像生成部60をアンギオ装置6のDF装置12に有する場合であってもよい。
3D−DSA画像生成部60は、X線診断装置6から通信制御装置39bを介して転送された多方向の2D−DSA画像の画像データに対して3D再構成処理を行なって、特定部位に関する3D−DSA画像の画像データを生成する機能を有する。3D−DSA画像生成部60は、画像合成回路33bを介して、3D−DSA画像を表示装置34b(図1に図示)に表示させる。
続いて、本実施形態のX線診断システム1の動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。また、X線診断システム1の動作に従って3D−WS7の表示装置34bに適宜表示される表示画面を図7に示す。
まず、天板25上に載置された患者Pの体内にカテーテルが挿入される。アンギオ装置6のCPU35aがプログラムを実行することによって、システム制御装置40を制御してマスク撮影を実行し、複数部位に関する一方向のマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
また、システム制御装置40を制御してインジェクタ28から自動的に造影剤の注入を開始する。造影剤の注入開始からデフォルト値のディレイ時間が経過した後、自動的にコントラスト撮影を開始する。コントラスト撮影の開始以降、マスク画像に対応する部位に関する一方向のコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
なお、複数部位に関するマスク画像の画像データ及びコントラスト画像の画像データの生成では、部位毎にマスク撮影及びコントラスト撮影を繰り返す場合もある。
次いで、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、一方向のマスク画像とコントラスト画像とを基に、2Dの血管像である先行画像の画像データを生成・記憶する(ステップS1)。複数部位に対してマスク画像及びコントラスト画像を生成することで、ステップS1では、複数部位毎に先行画像が生成・記憶される。
次いで、3D−DSA撮影プログラム選択時に、表示装置34a、例えばシステムモニタ34ac上に、「ディレイ時間設定画面」が表示される(ステップS2,図7(a))。「ディレイ時間設定画面」には、デフォルト値のディレイ時間が表示される。
「ディレイ時間設定画面」上で、検査者によって「確認」ボタンがクリックされると、ステップS1によって生成・記憶された部位毎の先行画像をそれぞれ読み出して、先行画像を部位毎に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS3,図7(b))。また、参照モニタ34ab上に表示された各部位の先行画像を基に、3D撮影を行なうための特定部位を設定する(ステップS4)。具体的には、参照モニタ34ab上に表示された各部位(部位C1,C2,C3,…)から、検査者が入力装置38aを用いて部位C2を選択することで、特定部位としての部位C2を設定する。
次いで、ステップS4によって設定された特定部位に対応する各フレームの先行画像を時系列に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS5,図7(c))。また、参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレーム(第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム、…)の先行画像を基に、コントラスト撮影の開始に相当する第nSフレームの先行画像を選択する。具体的には、特定部位としての部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて第nSフレーム、例えば第6フレームの先行画像C2−6を選択する。なお、検査者は、3D撮影を行なう上での関心領域(例えば、動脈瘤がある部分)に造影剤が到達したフレームを選択することが好適である。
さらに、選択された第nSフレームと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、コントラスト撮影の開始に適したコントラスト撮影開始タイミングを設定する(ステップS6)。
次いで、ステップS6によって設定されたコントラスト撮影開始タイミングと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたディレイ時間とを基に、式(1)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を演算する(ステップS7)。
ステップS7によって演算されたディレイ時間を、表示装置34a、例えばシステムモニタ34acに表示する(ステップS8,図7(d))。ここで、検査者が入力装置38aを用いて、画面上の「撮影」ボタンをクリックすると、3D撮影が開始される。
3D撮影では、まず、回転DSAによってマスク撮影が開始される。マスク撮影では、システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影に適したポジションにCアーム23を移動させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のマスク画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたマスク画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のマスク画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS9)。また、画像合成回路33aは、画像生成・処理回路31から出力されたマスク画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力し、マスク画像の画像データを表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させてもよい。
マスク撮影が終了すると、システム制御装置40を介してインジェクタ28から患者Pの体内のカテーテルに造影剤を注入する。造影剤の注入開始からステップS7によって設定されたディレイ時間の経過後、回転DSAによって自動的にコントラスト撮影を開始する。システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影時とは逆方向(マスク撮影時と同一方向であってもよい)にCアーム23を回転させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のコントラスト画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたコントラスト画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のコントラスト画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS10)。また、画像合成回路33aは、画像生成・処理回路31から出力されたコントラスト画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力し、コントラスト画像の画像データを表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させる。
コントラスト撮影が終了すると、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、マスク画像とコントラスト画像とを基に、多方向の2D−DSA画像の画像データを生成する(ステップS11)。次いで、ステップS11によって生成された多方向の2D−DSA画像の画像データがネットワークNを介してX線診断装置6から3D−WS7に転送される。
3D−WS7のCPU35bがプログラムを実行することによって、X線診断装置6から転送された多方向の2D−DSA画像の画像データに対して3D再構成処理を行なって、3D−DSA画像の画像データを生成する(ステップS12)。ステップS12によって生成された3D−DSA画像は、画像合成回路33bに出力される。
画像合成回路33bは、多方向の2D−DSA画像を基に生成される3D−DSA画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34bに出力する。よって、表示装置34bには、ステップS4によって設定された特定部位に関する3D−DSA画像の画像データが表示される(ステップS13)。
本実施形態のX線診断システム1によると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/N(signal/noise)が向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1によると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のX線診断システム1Aは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Aと3D−WS7とから構成される。X線診断システム1Aは、本検査の3D撮影における生成条件(生成条件:X線技師及び医師等の検査者、患者P並びに部位のうち少なくとも1つ)と過去の検査の3D撮影において記憶させた生成条件とが一致する場合、過去の検査の生成条件で採用したディレイ時間を本検査で採用する点で第1実施形態のX線診断システム1と異なる。
第2実施形態のX線診断システム1Aのハードウェア構成は、図1に示す第1実施形態のX線診断システム1と同様であるので説明を省略する。
図8は、本発明に係るX線診断システムの第2実施形態の機能を示すブロック図である。
図8は、X線診断システム1Aの機能のうちアンギオ装置6Aの機能を示す。なお、X線診断システム1Aの機能のうち3D−WS7の機能は、図4を用いて説明した機能と同様であるので説明を省略する。
図8に示すように、CPU35a(図1に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6Aは、先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42Aとして機能する。なお、先行画像生成部41は、アンギオ装置6Aに必須の構成要素ではない。また、本実施形態では、先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42Aがソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
2D−DSA画像生成部42Aは、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52、2D−DSA画像演算部53A、ディレイ時間記憶制御部61及びディレイ時間生成判断部62を有する。
ディレイ時間記憶制御部61は、ディレイ時間設定部52のディレイ時間演算部59によって演算されたディレイ時間を生成条件と共にHD37a(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる機能を有する。
ディレイ時間生成判断部62は、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件がHD37a(図1に図示)等の記憶装置に記憶されているか否かを判断し、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件が記憶されていると判断した場合、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件に該当するディレイ時間を2D−DSA画像演算部53に供給する機能を有する。一方、ディレイ時間生成判断部62は、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件が記憶されていないと判断した場合、第1実施形態で説明したように、ディレイ時間設定部52にディレイ時間の生成を行なわせる機能を有する。例えば、検査条件が部位のみの場合、特定部位設定部51によって設定された本検査の特定部位と一致する部位がHD37a(図1に図示)等の記憶装置に記憶されているか否かを判断する。
2D−DSA画像演算部53Aは、2D−DSA画像演算部53と同様の機能に加え、ディレイ時間生成判断部62からディレイ時間が供給された場合、マスク撮影の終了後、ディレイ時間生成判断部62から供給されたディレイ時間を採用して特定部位に関するコントラスト画像の画像データを演算し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる機能を有する。
なお、図8に示すアンギオ装置6Aにおいて、図3に示すアンギオ装置6と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態のX線診断システム1Aの動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図9に示すフローチャートでは、図6に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
まず、天板25上に載置された患者Pの体内にカテーテルが挿入される。アンギオ装置6AのCPU35aがプログラムを実行することによって、システム制御装置40を制御してマスク撮影を実行し、複数部位に関するマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
また、システム制御装置40を制御してインジェクタ28から自動的に造影剤の注入を開始する。造影剤の注入開始からデフォルト値のディレイ時間が経過した後、自動的にコントラスト撮影を開始する。コントラスト撮影の開始以降、マスク画像に対応する部位に関するコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
次いで、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、マスク画像とコントラスト画像とを基に、先行画像としての2D−DSA画像の画像データを生成・記憶する(ステップS1)。複数部位に関してマスク画像及びコントラスト画像を生成することで、ステップS1では、複数部位毎に先行画像が記憶される。
次いで、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件がHD37a等の記憶装置に記憶されているか否かが判断される(ステップS21)。ステップS21の判断にてYES、すなわち、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件が記憶されていると判断された場合、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件に該当するディレイ時間を記憶装置から取得する(ステップS22)。次いで、3D撮影が開始される。
3D撮影では、まず、回転DSAによってマスク撮影が開始される。マスク撮影では、システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影に適したポジションにCアーム23及び天板25を移動させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のマスク画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に、画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたマスク画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のマスク画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS23)。
マスク撮影が終了すると、システム制御装置40を介してインジェクタ28から患者Pの体内のカテーテルに造影剤を注入する。造影剤の注入開始からステップS22によって取得されたディレイ時間の経過後、回転DSAによって自動的にコントラスト撮影を開始する。システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影時とは逆方向(マスク撮影時と同一方向であってもよい)にCアーム23を回転させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のコントラスト画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に、画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたコントラスト画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のコントラスト画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS24)。また、画像合成回路33aは、画像メモリ32に記憶されたコントラスト画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力し、コントラスト画像の画像データを表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させる。
コントラスト撮影が終了すると、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、マスク画像とコントラスト画像とを基に、多方向の2D−DSA画像の画像データを生成する(ステップS11)。
一方、ステップS21の判断にてNO、すなわち、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件が記憶されていないと判断された場合、「ディレイ時間設定画面の表示」を行なう(ステップS2)。
また、ステップS7によって演算されたディレイ時間を、生成条件と共にHD37a(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる(ステップS25)。
本実施形態のX線診断システム1Aによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/Nが向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1Aによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のX線診断システム1Bは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Bと3D−WS7とから構成される。X線診断システム1Bは、第2実施形態のX線診断システム1Aの変形例を示す。
第3実施形態のX線診断システム1Bのハードウェア構成は、図1に示す第1実施形態のX線診断システム1と同様であるので説明を省略する。
図10は、本発明に係るX線診断システムの第3実施形態の機能を示すブロック図である。
図10は、X線診断システム1Bの機能のうちアンギオ装置6Bの機能を示す。なお、X線診断システム1Bの機能のうち3D−WS7の機能は、図4を用いて説明した機能と同様であるので説明を省略する。
図10に示すように、CPU35a(図1に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6Bは、先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42Bとして機能する。なお、先行画像生成部41は、アンギオ装置6Bに必須の構成要素ではない。また、本実施形態では、先行画像生成部41及び2D−DSA画像生成部42Bがソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
2D−DSA画像生成部42Bは、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52、2D−DSA画像演算部53B、ディレイ時間記憶制御部61、ディレイ時間生成判断部62及び透視時間設定部63を有する。
透視時間生成部63は、ディレイ時間生成判断部62によって本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件が記憶されていると判断された場合、本検査の生成条件と一致する過去の検査の生成条件に該当するディレイ時間より少ない透視時間を生成する機能を有する。透視時間は、ディレイ時間生成判断部62から出力されたディレイ時間から、予め部位毎に設定された時間、例えば2,3秒を減算して求められる。
2D−DSA画像演算部53Bは、2D−DSA画像演算部53(図3に図示)の機能に加え、透視時間生成部63から透視時間が供給された場合、造影剤の注入開始から透視時間生成部63によって生成された透視時間の間であって、コントラスト撮影の開始の入力信号が入力装置38aから入力されるまでの間、透視を行なって透視画像を、画像合成回路33aを介して表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させる機能を有する。コントラスト撮影の開始の入力信号が入力装置38aから入力されると、2D−DSA画像演算部53Bは、透視を終了してコントラスト撮影を開始してコントラスト画像の画像データを演算し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる機能を有する。
なお、図10に示すアンギオ装置6Bにおいて、図3に示すアンギオ装置6と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態のX線診断システム1Bの動作について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図11に示すフローチャートでは、図9に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
ステップS22によって取得されたディレイ時間を基に、透視時間を生成する(ステップS25)。透視時間は、ステップS22によって取得されたディレイ時間から、予め部位毎に設定された時間を減算して求められる。次いで、3D撮影が開始される。
3D撮影では、まず、回転DSAによってマスク撮影が開始される。マスク撮影では、システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影に適したポジションにCアーム23及び天板25を移動させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のマスク画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたマスク画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のマスク画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS26)。また、画像合成回路33aは、画像生成・処理回路31から出力されたマスク画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力し、マスク画像の画像データを表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させる。
マスク撮影が終了すると、システム制御装置40を介してインジェクタ28から患者Pの体内のカテーテルに造影剤を注入する。造影剤の注入開始からステップS25によって生成された透視時間の間に自動的に透視が行なわれ、透視画像が表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示される(ステップS27)。
検査者は、ステップS27によって表示された透視画像を見ながら入力装置38aを用いてコントラスト撮影の開始を入力する。入力装置38aによってコントラスト撮影の開始が指示されると、その入力のタイミングから回転DSAによって手動的にコントラスト撮影を開始する。システム制御装置40を介して高電圧供給装置26及び駆動装置27の動作を制御して、マスク撮影時とは逆方向(マスク撮影時と同一方向であってもよい)にCアーム23を回転させながら、X線管21から患者Pの特定部位に向かって多方向からX線を曝射する。
画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、X線検出装置22から出力されデジタル化された投影データを基に、フレーム単位のコントラスト画像の画像データを生成し、その画像データを画像メモリ32に記憶させると共に、画像合成回路33aに出力する。画像生成・処理回路31は、CPU35aの制御によって、画像メモリ32に記憶されたコントラスト画像の画像データに対して必要に応じて画像処理を施し、画像処理後のコントラスト画像の画像データを画像メモリ32に記憶させる(ステップS28)。また、画像合成回路33aは、画像メモリ32に記憶されたコントラスト画像の画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示装置34aに出力し、コントラスト画像の画像データを表示装置34a、例えば透視モニタ34aaに表示させる。
コントラスト撮影が終了すると、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、マスク画像とコントラスト画像とを基に、多方向の2D−DSA画像の画像データを生成する(ステップS11)。
本実施形態のX線診断システム1Bによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/Nが向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1Bによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態のX線診断システム1Cは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Cと3D−WS7とから構成される。X線診断システム1Cは、3D撮影に先立って行なわれる先行画像の生成において、検査者が手動的に造影剤の注入を行なう点で第1実施形態のX線診断システム1Cと異なる。検査者が手動的に造影剤の注入を行なう場合、造影剤注入の正確なタイミングは不明となる。
第4実施形態のX線診断システム1Cのハードウェア構成は、図1に示すX線診断システム1と同様であるので説明を省略する。
図12は、本発明に係るX線診断システムの第4実施形態の機能を示すブロック図である。
図12は、X線診断システム1Cの機能のうちアンギオ装置6Cの機能を示す。なお、X線診断システム1Cの機能のうち3D−WS7の機能は、図4を用いて説明した機能と同様であるので説明を省略する。
図12に示すように、CPU35a(図1に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6Cは、一連の検査において先行画像生成部64及び2D−DSA画像生成部42Cとして機能する。なお、本実施形態では、先行画像生成部64及び2D−DSA画像生成部42Cがソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
先行画像生成部64は、患者Pの特定部位に対して3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を生成するための先行画像の画像データを生成する機能を有する。
具体的には、先行画像生成部64は、システム制御装置40(図1に図示)を制御してマスク撮影を行なって患者Pの各部位に関するマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる。また、先行画像生成部64は、システム制御装置40を制御してコントラスト撮影の開始後、マスク画像に対応する部位に関するコントラスト撮影を行なって患者Pの各部位に関するコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶させる。なお、コントラスト撮影の開始後、検査者は任意のタイミングで手動的に造影剤を注入する。
さらに、先行画像生成部64は、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32(共に図1に図示)を制御して、マスク画像とコントラスト画像とを基にサブトラクション処理により、2Dの血管像である先行画像の画像データを生成する。なお、先行画像は、画像メモリ32(図1に図示)等の記憶装置に記憶される。先行画像生成部64が患者Pに関する複数部位について先行画像をそれぞれ生成することによって、記憶装置には、複数部位毎に先行画像が記憶される。
2D−DSA画像生成部42Cは、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52C及び2D−DSA画像演算部53を有する。また、ディレイ時間設定部52Cは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58、造影剤注入開始タイミング設定部65及びディレイ時間演算部59Cを有する。
造影剤注入開始タイミング設定部65は、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された特定フレームと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、特定部位の3D撮影を行なうための造影剤注入の開始に適した造影剤注入開始タイミングを設定する機能を有する。具体的には、造影剤注入開始タイミング設定部65は、特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された第na(na<nS,na=1,2,3,…)フレームの先行画像と、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートRとを基に、造影剤注入開始タイミング(na/R)を設定する。
ディレイ時間演算部59Cは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって設定されたコントラスト撮影開始タイミング(nS/R)と、造影剤注入開始タイミング設定部65によって設定された造影剤注入撮影開始タイミング(na/R)とを基に、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T2を演算する機能を有する。例えば、ディレイ時間演算部59Cは、次の式(2)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T2を演算する。
[数2]
T2=(nS−na)/R …(2)
図13は、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T2を演算するための式(2)を説明するための図である。
図13の上段は、先行画像生成部41によって特定部位に対して行なわれた先行画像のコントラスト撮影及び先行画像の時系列(t)を示している。先行画像用のコントラスト撮影では、まず、あるタイミングでコントラスト撮影が開始され、コントラスト撮影の途中の不明なタイミングで手動的に造影剤の注入が開始される。
図13の下段は、上段を基に設計される時系列(t)であり、特定部位に対して行なわれる3D撮影に含まれるコンストラスト撮影の時系列(t)を示している。コンストラスト撮影を行なう際に採用するディレイ時間T2は、第naフレームと、第nSフレームと、画像データに付与されたフレームレートRとを基に、式(2)によって演算される。
なお、図12に示すアンギオ装置6Cにおいて、図3に示すアンギオ装置6と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態のX線診断システム1Cの動作について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図14に示すフローチャートでは、図6に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
まず、天板25上に載置された患者Pの体内にカテーテルが挿入される。アンギオ装置6CのCPU35aがプログラムを実行することによって、システム制御装置40を制御してマスク撮影を実行し、複数部位に関する一方向のマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
また、システム制御装置40を制御してコントラスト撮影を開始する。コントラスト撮影の開始から任意の時間経過後、検査者は手動的に造影剤の注入を開始する。コントラスト撮影の開始以降、マスク画像に対応する部位に関する一方向のコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
次いで、及び画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、一方向のマスク画像とコントラスト画像とを基に、2Dの血管像である先行画像としての2D−DSA画像の画像データを生成・記憶する(ステップS31)。複数部位に対してマスク画像及びコントラスト画像を生成することで、ステップS31では、複数部位毎に先行画像が生成・記憶される。
次いで、3D−DSA撮影プログラム選択時に、表示装置34a、例えばシステムモニタ34ac上に、「ディレイ時間設定画面」が表示される(ステップS32,図7(a))。「ディレイ時間設定画面」には、デフォルト値のディレイ時間が表示される。
「ディレイ時間設定画面」上で、検査者によって「確認」ボタンがクリックされると、ステップS31によって生成・記憶された部位毎の先行画像をそれぞれ読み出して、先行画像を部位毎に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS33,図7(b))。また、参照モニタ34ab上に表示された各部位の先行画像を基に、3D撮影を行なうための特定部位を設定する(ステップS34)。具体的には、参照モニタ34ab上に表示された各部位(部位C1,C2,C3,…)から、検査者が入力装置38aを用いて部位C2を選択することで、特定部位としての部位C2を設定する。
次いで、ステップS34によって設定された特定部位に対応する各フレームの先行画像を時系列に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS35,図7(c))。また、参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレーム(第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム、…)の先行画像を基に、コントラスト撮影の開始に相当する第nSフレームの先行画像を選択する。具体的には、特定部位としての部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて第nSフレーム、例えば第6フレームの先行画像C2−6を選択する。なお、検査者は、3D−DSA画像を生成する上での関心領域(例えば、動脈瘤がある部分)に造影剤が到達したフレームを選択することが好適である。
さらに、選択された第nSフレームと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、コントラスト撮影の開始に適したコントラスト撮影開始タイミングを設定する(ステップS36a)。
次いで、ステップS35によって参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレームの先行画像を基に、造影剤注入の開始に相当する第naフレームを選択する。具体的には、部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて第naフレーム、例えば第3フレームの先行画像C2−3を選択する。
さらに、選択された第naフレームと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、造影剤注入の開始に適した造影剤注入開始タイミングを設定する(ステップS36b)。
次いで、ステップS36aによって設定されたコントラスト撮影開始タイミングと、ステップS36bによって設定された造影剤注入開始タイミングとを基に、式(2)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を演算する(ステップS37)。
ステップS37によって演算されたディレイ時間を、表示装置34a、例えばシステムモニタ34acに表示する(ステップS8,図7(d))。ここで、検査者が入力装置38aを用いて、画面上の「撮影」ボタンをクリックすると、3D撮影が開始される。
本実施形態のX線診断システム1Cによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/Nが向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1Cによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態のX線診断システム1Dは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Dと3D−WS7とから構成される。X線診断システム1Dは、3D撮影に先立って行なわれる先行画像の生成において、検査者が手動的に造影剤の注入を行なう点で第4実施形態のX線診断システム1Cと共通する。また、第4実施形態のX線診断システム1Cを構成するアンギオ装置6Cに有する造影剤注入開始タイミング設定部65は、特定部位に対応する各フレームの先行画像から第naフレームの先行画像を選択することで、第naフレームを造影剤注入の開始に適したフレームとして設定する。しかし、第naフレームを選択することが困難な場合がある。X線診断システム1Dは、造影剤注入のタイミングを実測することで、第naフレームを検査者が選択することを不要とする点で第4実施形態のX線診断システム1Cと異なる。
図15は、本発明に係るX線診断システムの第5実施形態のハードウェア構成を示す概略図である。
図15は、本実施形態のX線診断システム1Dを示す。X線診断システム1Dは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Dと、そのアンギオ装置6DとネットワークNを介して通信可能に接続された3D−WS7とから構成される。アンギオ装置6Dは、大きくは、保持装置11D及びDF装置12から構成される。
保持装置11Dは、X線管21、X線検出装置22、Cアーム23、天板25、高電圧供給装置26、駆動機構27、インジェクタ28及び圧力検出装置(センサ)71を設ける。
センサ71は、インジェクタ28又はインジェクタ28から造影剤を誘導する管等に設けられる。センサ71は、造影剤や造影剤を注入した時の圧力を検出して、DF装置12のCPU35aに検出信号を送る。なお、図15に示すアンギオ装置6Dでは、インジェクタ28の内部にセンサ71を設ける場合を示している。
なお、図15に示すX線診断システム1Dでは、図1に示すX線診断システム1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図16は、本発明に係るX線診断システムの第5実施形態の機能を示すブロック図である。
図16は、X線診断システム1Dの機能のうちアンギオ装置6Dの機能を示す。なお、X線診断システム1Dの機能のうち3D−WS7の機能は、図4を用いて説明した機能と同様であるので説明を省略する。
図16に示すように、CPU35a(図15に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6Dは、先行画像生成部64D及び2D−DSA画像生成部42Dとして機能する。なお、本実施形態では、先行画像生成部64D及び2D−DSA画像生成部42Dがソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
先行画像生成部64Dは、先行画像生成部64(図12に図示)の機能に加え、センサ71(図15に図示)からの検出信号を受信した際に生成された第nbフレームのコントラスト画像に、造影剤の注入開始を示す造影剤注入開始情報を付与する機能を有する。
2D−DSA画像生成部42Dは、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52D及び2D−DSA画像演算部53を有する。また、ディレイ時間設定部52Dは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58及びディレイ時間演算部59Dを有する。
ディレイ時間演算部59Dは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって設定されたコントラスト撮影開始タイミング(nS/R)と、造影剤注入開始情報が付与された第nbフレームを基に求められる造影剤注入開始タイミング(nb/R)とを基に、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T3を演算する機能を有する。例えば、ディレイ時間演算部59Dは、次の式(3)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T3を演算する。
[数3]
T3=(nS−nb)/R …(3)
図17は、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T3を演算するための式(3)を説明するための図である。
図17の上段は、先行画像生成部64Dによって特定部位に対して行なわれた先行画像のコントラスト撮影及び先行画像の時系列(t)を示している。先行画像用のコントラスト撮影では、まず、あるタイミングでコントラスト撮影が開始されて先行画像が生成され、コントラスト撮影の途中の不明なタイミングで手動的に造影剤の注入が開始される。
図17の下段は、上段を基に設計される時系列(t)であり、特定部位に対して行なわれる3D撮影に含まれるコンストラスト撮影の時系列(t)を示している。コンストラスト撮影を行なう際に採用するディレイ時間T3は、第nSフレームと、造影剤注入開始情報が付与された第nbフレームと、画像データに付与されたフレームレートRとを基に、式(3)によって演算される。
なお、図16に示すアンギオ装置6Dにおいて、図3に示すアンギオ装置6と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態のX線診断システム1Dの動作について、図18に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図18に示すフローチャートでは、図6に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
まず、天板25上に載置された患者Pの体内にカテーテルが挿入される。アンギオ装置6DのCPU35aがプログラムを実行することによって、システム制御装置40を制御してマスク撮影を実行し、複数部位に関する一方向のマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
また、システム制御装置40を制御してコントラスト撮影を開始する。コントラスト撮影の開始から任意の時間経過後、検査者は手動的に造影剤の注入を開始する。コントラスト撮影の開始以降、マスク画像に対応する部位に関する一方向のコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。なお、センサ71からの検出信号を受信した際に生成された第nbフレームのコントラスト画像に、造影剤の注入開始を示す造影剤注入開始情報を付与する。
次いで、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、一方向のマスク画像とコントラスト画像とを基に、2Dの血管像である先行画像としての2D−DSA画像の画像データを生成・記憶する(ステップS41)。複数部位に対してマスク画像及びコントラスト画像を生成することで、ステップS41では、複数部位毎に先行画像が生成・記憶される。
次いで、3D−DSA撮影プログラム選択時に、表示装置34a、例えばシステムモニタ34ac上に、「ディレイ時間設定画面」が表示される(ステップS42,図7(a))。「ディレイ時間設定画面」には、デフォルト値のディレイ時間が表示される。
「ディレイ時間設定画面」上で、検査者によって「確認」ボタンがクリックされると、ステップS41によって生成・記憶された部位毎の先行画像をそれぞれ読み出して、先行画像を部位毎に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS43,図7(b))。また、参照モニタ34ab上に表示された各部位の先行画像を基に、3D撮影を行なうための特定部位を設定する(ステップS44)。具体的には、参照モニタ34ab上に表示された各部位(部位C1,C2,C3,…)から、検査者が入力装置38aを用いて部位C2を選択することで、特定部位としての部位C2を設定する。
次いで、ステップS44によって設定された特定部位に対応する各フレームの先行画像を時系列に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS45,図7(c))。また、参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレーム(第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム、…)の先行画像を基に、コントラスト撮影の開始に相当する第nSフレームの先行画像を選択する。具体的には、特定部位としての部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて第nSフレーム、例えば第6フレームの先行画像C2−6を選択する。なお、検査者は、3D−DSA画像を生成する上での関心領域(例えば、動脈瘤がある部分)に造影剤が到達したフレームを選択することが好適である。
さらに、選択された第nSフレームと、特定部位の先行画像を生成した際に採用されたフレームレートとを基に、コントラスト撮影の開始に適したコントラスト撮影開始タイミングを設定する(ステップS46)。
次いで、ステップS41によって造影剤注入開始情報が付与された第nbフレームと、特定部位の先行画像を生成した際に採用されたフレームレートとを基に、コントラスト撮影の開始に適した造影剤注入開始タイミングを求める。そして、その造影剤注入開始タイミングと、ステップS46によって設定されたコントラスト撮影開始タイミングとを基に、式(3)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を演算する(ステップS47)。
ステップS47によって演算されたディレイ時間を、表示装置34a、例えばシステムモニタ34acに表示する(ステップS8,図7(d))。ここで、検査者が入力装置38aを用いて、画面上の「撮影」ボタンをクリックすると、3D撮影が開始される。
本実施形態のX線診断システム1Dによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/Nが向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1Dによると、患者PへのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態のX線診断システム1Eは、X線診断装置としてのアンギオ装置6Eと3D−WS7とから構成される。X線診断システム1Eは、第5実施形態のX線診断システム1Dの他の実施形態である。X線診断システム1Eは、造影剤がインジェクタ28からカテーテルの末端(造影剤の流出口)に到達するまでの流動時間をカテーテルの代表的な長さ及び太さのうち少なくとも一方(部位)毎に設定して、流動時間をデフォルト値Dfとして予めHD37a(図1に図示)等の記憶装置に記憶する。X線診断システム1Eは、3D撮影時に部位によって決まるカテーテルの長さ及び太さのうち少なくとも一方を入力することで流動時間のデフォルト値Dfを取得し、その流動時間のデフォルト値Dfを用いてディレイ時間T4を演算するものである。なお、カテーテルの代表的な長さ及び太さのうち少なくとも一方毎に設定される流動時間のデフォルト値Dfは、事前に実測されるものであってもよい。また、部位によってカテーテルの長さ及び太さのうち少なくとも一方が変わるため、部位毎に流動時間のデフォルト値Dfをもつことが好適である。
第6実施形態のX線診断システム1Eのハードウェア構成は、図1に示すX線診断システム1と同様であるので説明を省略する。
図19は、本発明に係るX線診断システムの第6実施形態の機能を示すブロック図である。
図19は、X線診断システム1Eの機能のうちアンギオ装置6Eの機能を示す。なお、X線診断システム1Eの機能のうち3D−WS7の機能は、図4を用いて説明した機能と同様であるので説明を省略する。
図19に示すように、CPU35a(図1に図示)がプログラムを実行することによって、アンギオ装置6Eは、先行画像生成部64、2D−DSA画像生成部42E及び流動時間記憶制御部81として機能する。なお、本実施形態では、先行画像生成部64、2D−DSA画像生成部42E及び流動時間記憶制御部81がソフトウェア的に構築される場合について説明するが、その場合に限定されるものではなく、全部又は一部が回路等によってハードウェア的に構築される場合であってもよい。
流動時間記憶制御部81は、造影剤がインジェクタ28からカテーテルの末端まで到達するまでの流動時間をカテーテルの代表的な長さ及び太さのうち少なくとも一方(部位)毎に設定して、造影剤の流動時間をデフォルト値Dfとして予め記憶する機能を有する。
2D−DSA画像生成部42Eは、大きくは、特定部位設定部51、ディレイ時間設定部52E及び2D−DSA画像演算部53を有する。また、ディレイ時間設定部52Eは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58、造影剤流出開始タイミング設定部82及びディレイ時間演算部59Eを有する。
造影剤流出開始タイミング設定部82は、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された特定フレームと、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートとを基に、特定部位の3D撮影を行なうための造影剤流出の開始に適した造影剤流出開始タイミングを設定する機能を有する。具体的には、造影剤流出開始タイミング設定部82は、特定部位に対応する各フレームの先行画像から選択された第nc(nc<nS,nc=1,2,3,…)フレームの先行画像と、特定部位の先行画像を生成する際に採用されたフレームレートRとを基に、カテーテルの末端からの造影剤の流出開始に相当する造影剤流出開始タイミング(nc/R)を設定する。
ディレイ時間演算部59Eは、コントラスト撮影開始タイミング設定部58によって設定されたコントラスト撮影開始タイミング(nS/R)と、造影剤流出開始タイミング設定部82によって設定された造影剤流出開始タイミング(nc/R)と、HD37a等に記憶された流動時間のデフォルト値Dfとを基に、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T4を演算する機能を有する。ディレイ時間演算部59Eは、次の式(4)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T4を演算する。
[数4]
T4=Df+(nS−nc)/R …(4)
図20は、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間T4を演算するための式(4)を説明するための図である。
図20の上段は、先行画像生成部41によって特定部位に対して行なわれた先行画像のコントラスト撮影及び先行画像の時系列(t)を示している。先行画像用のコントラスト撮影では、まず、あるタイミングでコントラスト撮影が開始され、コントラスト撮影の途中の不明なタイミングで手動的に造影剤の注入が開始される。
図20の下段は、上段を基に設計される時系列(t)であり、特定部位に対して行なわれる3D撮影に含まれるコンストラスト撮影の時系列(t)を示している。コンストラスト撮影を行なう際に採用するディレイ時間T4は、第nSフレームと、第ncフレームと、流動時間のデフォルト値Dfと、画像データに付与されたフレームレートRとを基に、式(4)によって演算される。
なお、図19に示すアンギオ装置6Eにおいて、図3に示すアンギオ装置6及び図12に示すアンギオ装置6Cと同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態のX線診断システム1Eの動作について、図21に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図21に示すフローチャートでは、図6に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
まず、インジェクタ28からカテーテルの末端までの造影剤の流動時間をカテーテルの代表的な長さ及び太さのうち少なくとも一方(部位)毎に設定して、流動時間をデフォルト値Dfとして予め記憶する(ステップS50)。
次いで、天板25上に載置された患者Pの体内にカテーテルが挿入される。アンギオ装置6EのCPU35aがプログラムを実行することによって、システム制御装置40を制御してマスク撮影を実行し、複数部位に関する一方向のマスク画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
また、システム制御装置40を制御してコントラスト撮影を開始する。コントラスト撮影の開始から任意の時間経過後、検査者は手動的に造影剤の注入を開始する。コントラスト撮影の開始以降、マスク画像に対応する部位に関する一方向のコントラスト画像の画像データを生成し、画像メモリ32等の記憶装置に記憶させる。
次いで、画像生成・処理回路31及び画像メモリ32を制御して、一方向のマスク画像とコントラスト画像とを基に、2Dの血管像である先行画像としての2D−DSA画像の画像データを生成・記憶する(ステップS51)。複数部位に対してマスク画像及びコントラスト画像を生成することで、ステップS51では、複数部位毎に先行画像が生成・記憶される。
次いで、3D−DSA撮影プログラム選択時に、表示装置34a、例えばシステムモニタ34ac上に、「ディレイ時間設定画面」が表示される(ステップS52,図7(a))。「ディレイ時間設定画面」には、デフォルト値Dfのディレイ時間が表示される。
「ディレイ時間設定画面」上で、検査者によって「確認」ボタンがクリックされると、ステップS51によって生成・記憶された部位毎の先行画像をそれぞれ読み出して、先行画像を部位毎に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS53,図7(b))。また、参照モニタ34ab上に表示された各部位の先行画像を基に、3D撮影を行なうための特定部位を設定する(ステップS54)。具体的には、参照モニタ34ab上に表示された各部位(部位C1,C2,C3,…)から、検査者が入力装置38aを用いて部位C2を選択することで、特定部位としての部位C2を設定する。
次いで、ステップS54によって設定された特定部位に対応する各フレームの先行画像を時系列に表示装置34a、例えば参照モニタ34ab上にサムネイル表示させる(ステップS55,図7(c))。また、参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレーム(第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム、…)の先行画像を基に、コントラスト撮影の開始に相当する第nSフレームの先行画像を選択する。具体的には、特定部位としての部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて第nSフレーム、例えば第6フレームの先行画像C2−6を選択する。なお、検査者は、3D−DSA画像を生成する上での関心領域(例えば、動脈瘤がある部分)に造影剤が到達したフレームを選択することが好適である。
さらに、選択された第nSフレームと、特定部位の先行画像を生成した際に採用されたフレームレートとを基に、コントラスト撮影の開始に適したコントラスト撮影開始タイミングを設定する(ステップS56a)。
次いで、ステップS55によって参照モニタ34ab上に表示された特定部位に対応する各フレームの先行画像を基に、造影剤流出の開始に相当する第ncフレームを選択する。具体的には、部位Cに対応する各フレームの先行画像から、検査者が入力装置38aを用いて造影剤流出の開始に適した第ncフレーム、例えば第5フレームの先行画像C2−5を選択する。なお、検査者は、先行画像上に造影剤が現れる最初のフレームを選択することが好適である。
さらに、選択された第ncフレームと、特定部位の先行画像を生成した際に採用されたフレームレートとを基に、造影剤流出の開始に適した造影剤流出開始タイミングを設定する(ステップS56b)。
次いで、ステップS56aによって設定されたコントラスト撮影開始タイミングと、ステップS56bによって設定された造影剤流出開始タイミングと、ステップS50によって記憶された流動時間のデフォルト値Dfとを基に、式(4)を用いて、特定部位の3D撮影を行なう際に採用するディレイ時間を演算する(ステップS57)。
ステップS57によって演算されたディレイ時間を、表示装置34a、例えばシステムモニタ34acに表示する(ステップS8,図7(d))。ここで、検査者が入力装置38aを用いて、画面上の「撮影」ボタンをクリックすると、3D撮影が開始される。
なお、より正確なディレイ時間を設定するためには、ステップS56bにおいて、カテーテル末端が、表示された先行画像上に現れるようにすればよい。その場合、検査者は、表示された先行画像上でカテーテルの末端に造影剤が現れた最初のフレームを選択すればよい。
本実施形態のX線診断システム1Eによると、被検体へのX線被曝を低減させつつ、3D撮影用のディレイ時間を最適化することで、S/Nが向上されたアーチファクトの少ない3D−DSA画像を生成・表示することができる。すなわち、本実施形態のX線診断システム1Eによると、被検体へのX線被曝を低減させつつ、X線診断の精度を向上させることができる。