JP5591558B2 - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物超電導線材の製造方法に関し、特に酸化物中間層が形成された配向金属基材上に、MOD(Metal-organic Deposition)法を用いて超電導層を形成する技術に関する。
従来、MOD法を用いて超電導層を形成することが提案されている(特許文献1,2参照)。MOD法は、先ず、酸化物中間層が形成されたテープ状の基材を、超電導原料溶液(有機金属塩を有機溶媒に溶解させたもの)に浸し、この基材を超電導原料溶液から引き上げること(いわゆるディップコート法)により、基材の表面に超電導膜を付着させる。次に、仮焼及び本焼を行うことにより、酸化物超電導層を形成する。MOD法は、非真空中でも長尺の基材に連続的に酸化物超電導層を形成できるので、PLD(Pulse Laser Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相法よりも、プロセスが簡単で低コスト化が可能であることから、注目されている。
特開2004−335718号公報 特開2003−308746号公報 特開2004−161505号公報 特開2008−50190号公報
ところで、基材上に塗布される超電導膜の膜厚が不均一だと超電導の性能が低下するので、上記膜厚は均一であることが望まれる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、超電導膜の膜厚を均一化できる、酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法の一つの態様は、超電導原料溶液が収容された容器から、テープ状の基材を引き上げることにより、前記基材の表面に前記溶液を付着させる工程を有する、酸化物超電導線材の製造方法であって、前記基材が引き上げられるときに前記基材に付着する前記溶液のメニスカスは、前記基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、前記基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲に制御する。より好ましくは、1/2≦y/x≦2の範囲に制御する。
本発明によれば、基材を超電導原料溶液から引き上げていくときのメニスカスの形状が安定し、さらに基材からの超電導原料溶液の液だれを抑制できるので、基材の長手方向における超電導膜の膜厚を均一化できる。
基材の長手方向において超電導膜の膜厚が不均一になっている様子を示す図 実施の形態のメニスカスの説明に供する図 基材の構成例を示す図 実施の形態によって、基材の長手方向において超電導膜の膜厚が均一化された様子を示す図 基材の幅方向において超電導膜の膜厚が不均一になっている様子を示す図 排出口と基材との界面での位置関係を示す図 実施の形態2のメニスカスの様子を示す図 実施の形態2によって、基材の幅方向において超電導膜の膜厚が均一化された様子を示す図 実施例の製造装置の概略を示す図 実施例の製造装置の概略を示す図
[実施の形態1]
本発明の発明者らは、先ず、ディップコート法を用いてテープ状の基材に超電導膜を付着させる場合において、超電導膜の膜厚が不均一になる原因について詳細に検討した。
そして、発明者は、超電導原料溶液からの基材の引き上げ時に基材に付着するメニスカスの形状が変動することが、超電導膜が不均一になる大きな原因であることを見出した。
メニスカスの形状が変動することに起因する超電導膜の不均一は、主に、テープ状の基材の長手方向に現れる。図1に、その様子を示す。テープ状の基材10の表面に付着される超電導膜20の膜厚は、基材10の長手方向(すなわち超電導原料溶液からの引き上げ方向)に不均一となっている。
発明者は、基材を超電導原料溶液から引き上げていくときのメニスカスの形状を安定化させることができ、基材からの超電導原料溶液の液だれを抑制できれば、基材の長手方向における超電導膜の膜厚を均一化できると考え、本発明に至った。
図2に、基材を超電導原料溶液から引き上げていくときの様子を示す。容器30に収容された超電導原料溶液40から基材10を引き上げていくと、基材10の表面と液面との間にメニスカス50が形成される。
本発明は、図2に示すように、メニスカス50の形状を、基材10表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、基材10表面に直交する方向のメニスカス50の長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲に制御することである。より好ましくは、1/2≦y/x≦2の範囲に制御する。メニスカス50の形状をこのように制御することにより、基材10を引き上げるときに、メニスカス50の形状を安定化させることができ、基材10からの超電導原料溶液40(20)の液だれを抑制できる。
ここで、例えばxに対してyが大きすぎると、基材10の引き上げ時にメニスカス50の形状の変動が大きくなったり、基材10に付着する溶液の量が多くなりすぎることによる引き上げ時の液だれなどが生じ、その結果、基材10の長手方向の超電導膜20の膜厚が不均一となる。これに対して、xとyとの関係を上述のようにしたことにより、メニスカス50の変動や、液だれを抑制し得る。
実際上、メニスカス50の形状を制御するパラメータとしては、基材10の引き上げ速度と、溶液の粘度と、がある。なお、基材10の表面張力などもメニスカス50の形状に影響を及ぼすが、基材10の引き上げ速度と、溶液の粘度と、が上記y/xを決定する主なパラメータである。よって、本実施の形態では、基材10の引き上げ速度と、溶液の粘度とを、所定の範囲に規定することで、メニスカス50の形状を0<y/x≦3の範囲、より好ましくは1/2≦y/x≦2の範囲に制御する。
実験を重ねた結果、メニスカス50の形状を0<y/x≦3の範囲に制御するためには、引き上げ速度を0.5〜100[m/h]の範囲とした場合、溶液40の粘度を5〜50[mPa.s]の範囲とすればよいことがわかった。より好ましくは、引き上げ速度を5〜50[m/h]の範囲とし、溶液40の粘度を10〜40[mPa.s]の範囲とすればよいことがわかった。
また、引き上げ速度を大きくするほどxに対してyが大きくなる。一方、粘度を大きくするほどxとyが共に大きくなるが、xの増加分の方が大きい。よって、引き上げ速度が大きいほど、粘度を大きく設定することにより、上述した0<y/x≦3の関係、又は1/2≦y/x≦2の関係を満たすことができる。
[実施例]
本実施例では、基材10として、図3に示すように、基板11と、第1中間層12と、第2中間層13とから構成されるものを用いた。基板11は、例えば、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、ステンレス鋼又は銀(Ag)である。第1中間層12は、例えば、ガドリニウムジルコニウム酸化物(GdZr)である。第2中間層13は、例えば、酸化セリウム(CeO)である。基板11の厚さは、例えば、50〜200[μm]である。第1中間層12及び第2中間層13の厚さは、例えば、1[μm]である。本実施例では、厚さが100[μm]の基材10を用いた。
基材10の幅方向の長さは、特に限定されるものではないが、本実施例では、幅が5[mm]のものを用いた。一般に、基材10の幅は、2〜30[mm]である。また、基材10の長手方向の長さは、500[m]のものを用いた。
また、本実施例では、超電導原料溶液40として、イットリウム(Y)のトリフルオロ酢酸塩(Y-TFA)、バリウム(Ba)のトリフルオロ酢酸塩(Ba-TFA)及び銅(Cu)のナフテン酸塩を、Y:Ba:Cuのモル比が1:b:3(但し、b<2)で混合したものを用いた。このような超電導原料溶液の詳細については、例えば特許文献3及び特許文献4で開示されている。
本実施例では、超電導原料溶液40からの基材10の引き上げ速度を20[m/h]に設定した。また、超電導原料溶液40の粘度を25[mPa.s]に設定した。この結果、y/x =1となり、0<y/x≦3の関係を満たすことができた。尚、粘度測定はデジタル回転式粘度計ビスコスタープラス(ビスコテック社製)を用いた。
ここで、下表1のように、y/xの値を変化させた。つまり、実施例1ではメニスカス形状をy/x=1/2に制御し、実施例2ではメニスカス形状をy/x=2に制御し、実施例3ではメニスカス形状をy/x=3に制御した。このようにメニスカス形状を制御した状態で、基材10を超電導原料溶液40から引き上げた。そして、そのときに得られる超電導膜20の厚さと、臨界電流密度Jc(MA/cm)とを測定した。
表1からも分かるように、実施例1及び実施例2では、基材10の長手方向への膜厚の均一性が非常に良い超電導膜20が形成された。この結果、臨界電流密度Jcも2.9[MA/cm]と3.0[MA/cm]と非常に良いものであった。また、実施例3でも、実用上問題のない均一性を有する膜厚の超電導膜20が形成され、臨界電流密度Jcも2.0[MA/cm]と良いものであった。つまり、実施例1〜実施例3によれば、図4に示すように、長手方向に均一性の良い超電導膜20を形成できた。因みに、超電導膜20の膜厚の中心値は、仮焼及び焼成を行う前でほぼ10[μm]、仮焼及び焼成を行った後でほぼ1.5[μm]であった。
一方、比較例1としてメニスカス形状をy/x=0に制御し、比較例2としてメニスカス形状をy/x=5に制御した。すると、表1からも分かるように、比較例1及び比較例2では、基材10の長手方向への膜厚の均一性が悪く、臨界電流密度Jcも0.8[MA/cm]と1.2[MA/cm]と低く、実用上問題があった。具体的には、比較例1及び比較例2では、図1に示したように、長手方向への均一性が悪かった。
Figure 0005591558
以上のことから、基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカス50の長さをy、基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲に制御すれば、基材10の長手方向の超電導膜20の膜厚均一性が良く、臨界電流密度が良い酸化物超電導線材を得ることができることが分かった。また、1/2≦y/x≦2に設定すれば、膜厚均一性がさらに良く、臨界電流密度がさらに良い酸化物超電導線材を得ることができることが分かった。
なお上述の実施例では、超電導原料溶液40として、イットリウム(Y)のトリフルオロ酢酸塩(Y-TFA)、バリウム(Ba)のトリフルオロ酢酸塩(Ba-TFA)及び銅(Cu)のナフテン酸塩を、Y:Ba:Cuのモル比が1:b:3(但し、b<2)で混合したものを用いた場合について述べたが、本発明はこれ以外の超電導原料溶液を用いた場合にも有効である。例えば、Re:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように調整された超電導原料溶液を用いた場合にも有効である。ここで、Reは、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)からなる群から選ばれた金属を示す。
なお、基材10及び超電導原料溶液40は、当然、上述したもの以外のものを用いてもよい。本発明で重要なのは、メニスカス50の形状を0<y/x≦3の範囲、より好ましくは1/2≦y/x≦2の範囲に制御することである。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1及び実施例では、基材が引き上げられるときに基材に付着する超電導原料溶液のメニスカスの形状を好ましい値に設定することで、特に、基材の長手方向に亘って均一性が高い超電導膜を形成することができる方法及び装置を提示した。
本実施の形態では、排出口と基材との位置関係を好ましい値に設定することで、特に、基材の幅方向に亘って均一性が高い超電導膜を形成することができる方法及び装置を提示する。
超電導膜が不均一になる一つの原因として、超電導原料溶液の濃度が経時的に変化することがある。MOD法で用いられる超電導原料溶液は、一般に、有機溶媒として、メタノールやトルエン等の揮発性が高いものが用いられるので、超電導原料溶液の粘度は経時的に変化する。また、基材は一般に長尺なので、基材は長い時間をかけて超電導原料溶液から引き上げられることになる。この結果、最初の方に引き上げられた基材部分と、最後の方に引き上げられた基材部分とでは、超電導原料溶液の経時的な粘度変化に起因して、付着される超電導膜の膜厚が異なってしまう。
このように、超電導原料溶液の粘度変化に起因する超電導膜の不均一は、特に基材の長手方向に亘って発生する。
そこで、本実施の形態では、超電導溶液から基材が引き上げられる位置に基材の排出口を設け、空気に晒される溶液の面積(つまり溶液界面の面積)をこの排出口によって小さくする(つまり規定する)ことにより、超電導原料溶液の溶媒の揮発を抑制する。これにより、超電導原料溶液の粘度変化を抑制できるので、基材の長手方向における超電導膜の膜厚を均一化できる。
つまり、本実施の形態の第1の特徴は、容器から基材が引き上げられる容器の位置に、基材が引き上げられる溶液の界面面積を規定する排出口を設ける点にある。
この排出口の設け方として、容器自体をチューブとすることを提案する。また、別の排出口の設け方としては、容器に別個に排出口を設けてもよい。要は、排出口は、基材が引き上げられる溶液の界面の面積を規定するものであればよい。
加えて、発明者は、排出口によって上記界面の面積を規定した場合における、超電導膜の膜厚の均一性についてさらに検討を進めた。すると、界面位置における、排出口と基材との位置関係によっては、基材の幅方向において超電導膜の膜厚が不均一になることを見出した。
図5に、その様子を示す。図5に示すように、基材10の幅方向の端部ほど超電導膜20が厚く、中央付近ほど膜厚が薄くなる。これは、基材10を溶液から引き上げる際に、排出口の内壁から基材へと回り込む溶液の量が端部付近と中央付近とで異なることが原因であると考えられる。具体的には、回り込む溶液の量が端部に近くなるほど多いと考えられる。
本実施の形態の第2の特徴は、排出口の界面における、排出口と基材との位置関係は、基材が引き上げられるときに基材に付着する溶液のメニスカスの形状が基材の幅方向でほぼ同一になるように設定する点にある。これにより、基材の幅方向における超電導膜の膜厚を均一にすることができる。
図6を用いて、その位置関係について説明する。図6は、断面が円形の排出口30−1から基材10を引き上げるときの様子を示したものである。図6は、基材10を引き上げる方向から排出口30−1の方向を見た図である。
本実施の形態では、基材10の幅方向の端部から排出口30−1の内壁面までの距離L1,L2は、いずれも、0より大きく10[mm]以下とされている。つまり、0<L1≦10[mm]であり、かつ、0<L2≦10[mm]である。これにより、基材10の表面での表面張力と、排出口30−1の内壁面での表面張力と、排出口30−1の内壁から基材10へと回り込む溶液の量と、の相互作用により、基材10が引き上げられるときに基材10に付着する超電導原料溶液のメニスカス50の形状を、図7に示すように、基材10の幅方向でほぼ同一になるように制御できる。この結果、図8に示すように、基材10の幅方向において膜厚が均一な超電導膜20を形成できる。
メニスカス50の形状を、図7に示すように、基材10の幅方向でほぼ同一になるように制御できるのは、超電導原料溶液40からの基材10の引き上げ時における、排出口30−1の内壁から基材10へと回り込む溶液の量と、表面張力とがバランスするためである。このバランスを成立させるための距離L1,L2の範囲が、0<L1≦10[mm]であり、かつ、0<L2≦10[mm]である。
具体的に説明する。排出口30−1の内壁から基材10へと回り込む溶液の量は、基材10の幅方向の端部ほど多くなる。一方、基材10の幅方向の端部ほど、排出口30−1の内壁面の表面張力が大きくなる。距離L1,L2が10[mm]よりも大きくなると、基材10の幅方向の端部の表面張力が小さくなるので、回り込む溶液の量が多い、基材10の幅方向の端部ほどメニスカスが大きくなり、この結果、基材10の幅方向の端部ほど超電導膜の膜厚が厚くなってしまう(図5に示すような状態)。
なお、排出口の形状(つまり界面の形状)は、円形に限らず、例えば方形であってもよい。要は、界面における位置関係が、上述した関係を満たすようにすればよい。
[実施例]
図9に、製造装置の例を示す。図9の例は、超電導原料溶液40を収容する容器としてU字状管60を用いた例である。U字状管60は、例えば、樹脂又は金属からなるチューブ等である。基材10は、U字状管60の一方の開口部(導入口)から導入され、他方の開口部(排出口)から排出される。なお、基材10の引き上げは、図示しない引き上げ機構によって行われる。図9の例の場合、排出口30−1は、容器であるU字状管60の一部により形成され、引き上げ時の界面41は、U字状管60の径により規定される。
図10に、製造装置の別の例を示す。図10の例は、容器を、容器本体71と、蓋部72と、導入口73と、排出口30−1と、により構成した例である。容器本体71には超電導原料溶液40が収容されている。蓋部72を設けたことにより、超電導原料溶液40の揮発が抑制されるので、超電導原料溶液40の粘度変化が抑制される。排出口30−1によって界面41が規定される。
本実施例では、基材10の幅方向の端部から排出口30−1の壁面(内壁)までの距離L(上述した距離L1,L2に相当する)を、下表2に示すように変化させた。つまり、実施例1ではL=3[mm]に設定し、実施例2ではL=5[mm]に設定し、実施例3ではL=10[mm]に設定した。このように設定した状態において、幅が5[mm]の基材10を20[m/h]の速度で超電導原料溶液40から引き上げた。そして、そのときに得られる超電導膜20の厚さと、臨界電流密度Jc(MA/cm)とを測定した。
表2からも分かるように、実施例1及び実施例2では、基材10の幅方向への膜厚の均一性が非常に良い超電導膜20が形成された。この結果、臨界電流密度Jcも3.0[MA/cm]と2.9[MA/cm]と非常に良いものであった。また、実施例3でも、実用上問題のない均一性を有する膜厚の超電導膜20が形成され、臨界電流密度Jcも2.5[MA/cm]と良いものであった。因みに、超電導膜20の膜厚の中心値は、仮焼及び焼成を行う前でほぼ10[μm]、仮焼及び焼成を行った後でほぼ1.5[μm]であった。
一方、比較例1としてL=15[mm]に設定し、比較例2としてL=0[mm]に設定し、この状態において、幅が5[mm]の基材10を20[m/h]の速度で超電導原料溶液40から引き上げた。すると、表2からも分かるように、比較例1及び比較例2では、基材10の幅方向への膜厚の均一性が悪く、臨界電流密度Jcも1.2[MA/cm]と0.8[MA/cm]と低く、実用上問題があった。具体的には、比較例1及び比較例2では、図5に示したように、幅方向の端部ほど膜厚の大きい超電導膜20が付着した。
Figure 0005591558
以上のことから、基材10の幅方向の端部から排出口30−1の壁面(内壁)までの距離Lを0<L≦10[mm]に設定すれば、基材10の幅方向の超電導膜20の膜厚均一性が良く、臨界電流密度が良い酸化物超電導線材を得ることができることが分かった。また、Lを0<L≦5[mm]に設定すれば、膜厚均一性がさらに良く、臨界電流密度がさらに良い酸化物超電導線材を得ることができることが分かった。
従って、実施の形態1で提示した方法と実施の形態2で提示した方法とを組み合わせれば、超電導膜の膜厚が基材の長手方向及び幅方向の両方で均一となり、臨界電流密度が高い酸化物超電導線材を得ることができる。
本発明にかかる酸化物超電導線材の製造方法は、ディップコート法によって基材に超電導膜を塗布する場合に広く適用可能である。
10 基材
11 基板
12 第1中間層
13 第2中間層
20 超電導膜
30 容器
30−1 排出口
40 超電導原料溶液
41 界面
50 メニスカス
60 チューブ
71 容器本体
72 蓋部
73 導入口

Claims (10)

  1. 超電導原料溶液が収容された容器から、テープ状の基材を引き上げることにより、前記基材の表面に前記溶液を付着させる工程を有する、酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記基材が引き上げられるときに前記基材に付着する前記溶液のメニスカスは、前記基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、前記基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲であり、
    前記基材の引き上げ速度と前記溶液の粘度との関係は、前記引き上げ速度が大きいほど、前記溶液の粘度が大きく設定されている、
    酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 超電導原料溶液が収容された容器から、テープ状の基材を引き上げることにより、前記基材の表面に前記溶液を付着させる工程を有する、酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記基材が引き上げられるときに前記基材に付着する前記溶液のメニスカスは、前記基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、前記基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲であり、
    前記容器は、U字状管である、
    酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 超電導原料溶液が収容された容器から、テープ状の基材を引き上げることにより、前記基材の表面に前記溶液を付着させる工程を有する、酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記基材が引き上げられるときに前記基材に付着する前記溶液のメニスカスは、前記基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、前記基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、0<y/x≦3の範囲であり、
    前記容器は、前記超電導原料溶液が貯められた容器本体と、前記超電導原料溶液に前記基材を導入するための導入口と、前記超電導原料溶液から前記基材を排出するための排出口と、前記容器本体の上部に取り付けられ、前記導入口及び前記排出口以外に存在する前記超電導原料溶液を覆う蓋部と、を有する、
    酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記基材表面に付着する引き上げ方向のメニスカスの長さをy、前記基材表面に直交する方向のメニスカスの長さをxとした場合、1/2≦y/x≦2の範囲である、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 前記溶液の粘度は、5〜50[mPa.s]の範囲である、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記溶液からの前記基材の引き上げ速度は0.5〜100[m/h]の範囲である、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記溶液の粘度は、10〜40[mPa.s]の範囲であり、
    前記溶液からの前記基材の引き上げ速度は5〜50[m/h]の範囲である、
    請求項4に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 前記基材の表面は、CeOであり、
    前記溶液は、Y、Ba、Cuを含む金属有機酸塩を有機溶媒に溶解したものである、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  9. 前記溶液はトリフルオロ酢酸溶液を含む、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  10. 前記溶液中のRe、Ba、Cu、のモル比をRe:Ba:Cu=1:b:3としたときにb<2の範囲内のBaモル比の溶液を用いる、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
JP2010031360A 2010-02-16 2010-02-16 酸化物超電導線材の製造方法 Active JP5591558B2 (ja)

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