JP5590219B2 - カセットコイルの製造方法、分割ステータの製造方法及びステータの製造方法 - Google Patents

カセットコイルの製造方法、分割ステータの製造方法及びステータの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなるカセットコイルの製造方法、そのカセットコイルを備えた分割ステータ又は平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなる分割ステータの製造方法及びその分割ステータを複数備えてなるステータの製造方法に関する。
従来より、コイルを樹脂モールドすることにより製造されるカセットコイル、並びに、そのカセットコイルを分割コアに組み付けることにより製造される分割ステータの構造が提案されている。また、その分割ステータを複数円環状に組み付けることにより製造される一つのステータの構造が提案されている。このようなカセットコイル、分割ステータ及びステータを使用してモータを製造することで、モータの低コスト化及び高性能化を図ることができる。例えば、特許文献1及び2には、これらのカセットコイル、分割ステータ及びステータの構造が開示されている。
特開2006−187162号公報 特開2009−254171号公報
ところが、上記したようにコイルを樹脂モールドすることでカセットコイルを製造するときには、コイルターン間に入り込む樹脂の圧力により、コイルの一部が外方へ押し広げられおそれがあった。この場合、カセットコイルの側面に樹脂の充填不良部分ができてコイルが露出する懸念があった。特に、平角線を内外二層に巻いて形成したコイル63については、図19に樹脂充填の様子を概略的に示すように、金型のキャビティ61に充填される樹脂62が、内層コイル63Aと外層コイル63Bとの間に入り込み、外層コイル63Bが外方へ押し広げられるおそれがある。また、平角線を単層に巻いて形成したコイルであっても、コイルの中心にインシュレータを組み付けた場合には、コイルとインシュレータとの間に樹脂が入り込むことで、上記と同様の問題が生じるおそれがあった。
上記のようにカセットコイルに樹脂の充填不良部分ができると、その部分でコイルの絶縁性能を確保することができなくなる。図20に、ステータ71の一部を概略的に平面図により示す。図21に、ステータ71の一部を図20の矢印A視図で概略的に示す。すなわち、図20,21に示すように、カセットコイル72を分割コア73に組み付けてなる分割ステータ74を、複数環状に組み付けてステータ71を構成した場合、隣り合うカセットコイル72の間で樹脂の充填不良部分75が隣接すると、隣り合うカセットコイル72を構成するコイルの間で絶縁抵抗が低くなってしまう。
上記の問題は、カセットコイルを使わずに、平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなる分割ステータを製造する場合にも同様である。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、カセットコイルや分割ステータに樹脂の充填不良部分ができるのを防止し、コイルの絶縁性能を確保することができるカセットコイルの製造方法、分割ステータの製造方法及びステータの製造方法を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなるカセットコイルの製造方法であって、コイルを金型のキャビティに嵌め入れ、コイルの軸方向一端部を、軸方向の反対側及びコイルの内心方向へ向けて押さえながら、キャビティに樹脂を充填することにより、コイルの押さえられる部分とその押さえられる部分の内側に位置する部材との隙間を塞いで隙間にコイルの軸方向一端部側から樹脂が入り込むことを防止しながら、コイルを樹脂モールドすることを趣旨とする。
上記(1)の構成によれば、樹脂モールドするときに、コイルの軸方向一端部を、軸方向の反対側及びコイルの内心方向へ向けて押さえながら、金型のキャビティに樹脂を充填するので、樹脂充填時の初期に、コイルを構成する平角線の間に樹脂が入り込み難くなる。このため、コイルの平角線が樹脂によって外方へ押し広げられることがなく、カセットコイルに樹脂の充填不良部分ができ難くなる。
(2)上記目的を達成するために、上記(1)の構成において、コイルの側面を外側から内心方向へ押さえることが好ましい。
上記(2)の構成によれば、上記(1)の構成の作用に加え、コイルが確実に内心方向へ押さえられる。
(3)上記目的を達成するために、上記(2)の構成において、コイルの側面を押さえる位置を、コイルの平面視で左右非対称とすることが好ましい。
上記(3)の構成によれば、上記(2)の構成の作用に加え、このカセットコイルを含む分割ステータを複数環状に並べてステータを構成した場合に、隣り合う分割ステータのカセットコイルが隣接しても、コイル側面を押さえることによって樹脂モールドされなかった部位が、隣同士で接触することがない。
(4)上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、上記(1)の構成乃至上記(3)の構成の何れかの製造方法により製造されたカセットコイルを、ヨーク部とティース部とを含む分割コアのティース部に組み付けることにより分割ステータを製造することを趣旨とする。
上記(4)の構成によれば、分割ステータを構成するカセットコイルの樹脂モールドに、樹脂の充填不良部分ができ難くなる。
(5)上記目的を達成するために、本発明の第3の態様は、平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなる分割ステータの製造方法であって、コイルを、ヨーク部とティース部とを含む分割コアのティース部に組み付け、組み付けられたコイル及び分割コアを金型のキャビティに嵌め入れ、分割コアと当接しないコイルの軸方向一端部を、軸方向の反対側及びコイルの内心方向へ向けて押さえながら、キャビティに樹脂を充填することにより、コイルの押さえられる部分とその押さえられる部分の内側に位置する部材との隙間を塞いで隙間にコイルの軸方向一端部側から樹脂が入り込むことを防止しながら、コイルを樹脂モールドすることを趣旨とする。
上記(5)の構成によれば、樹脂モールドするときに、コイルの軸方向一端部を、軸方向の反対側及びコイルの内心方向へ向けて押さえながら、金型のキャビティに樹脂を充填するので、樹脂充填時の初期に、コイルを構成する平角線の間に樹脂が入り込み難くなる。このため、コイルの平角線が樹脂によって外方へ押し広げられることがなく、分割ステータに樹脂の充填不良部分ができ難くなる。
(6)上記目的を達成するために、本発明の第4の態様は、上記(4)又は(5)の構成の製造方法により製造された分割ステータを、複数環状に組み付けることにより一つのステータを製造することを趣旨とする。
上記(6)の構成によれば、環状に組み付けられた複数の分割ステータにおいて、隣り合う分割ステータのカセットコイルにつき、樹脂の充填不良部分が互いに接することがない。
上記(1)〜(3)の構成によれば、カセットコイルに樹脂の充填不良部分ができるのを防止することができ、コイルの絶縁性能を確保することができる。
上記(4)の構成によれば、分割ステータにつき不良品発生を抑えることができ、分割ステータの製造コストを削減することができる。
上記(5)の構成によれば、分割ステータに樹脂の充填不良部分ができるのを防止することができ、コイルの絶縁性能を確保することができる。
上記(6)の構成によれば、ステータにつき不良品の発生を抑えることができ、ステータの製造コストを削減することができる。
第1実施形態に係り、ステータを一部破断して示す平面図。 同実施形態に係り、ステータを構成する分割ステータを示す斜視図。 同実施形態に係り、分割ステータを構成するカセットコイルを示す斜視図。 同実施形態に係り、樹脂モールドされる前のインシュレータと、そのインシュレータにセットされたコイルとを示す斜視図。 同実施形態に係り、インシュレータを示す斜視図。 同実施形態に係り、(A)〜(E)は、ステータの製造方法に係る一連の工程を示す斜視図等。 同実施形態に係り、金型のキャビティにインシュレータとコイルをセットした状態を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、図7の状態からピンを移動させた状態を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、各ピンとコイルの上部の平角線との関係を拡大して概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、図8の状態からキャビティに樹脂を充填した状態を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、ステータの一部を概略的に示す平面図。 同実施形態に係り、ステータの一部を概略的に示す図11の矢印A視図。 第2実施形態に係り、コイルをセットしたインシュレータと、金型の主要構成を概略的に示す斜視図。 同実施形態に係り、モールド成形されたカセットコイルを示す斜視図。 同実施形態に係り、ステータの一部を概略的に示す平面図。 同実施形態に係り、ステータの一部を概略的に示す図15の矢印A視図。 第3実施形態に係り、(A)〜(E)は、ステータの製造方法に係る一連の工程を示す斜視図等。 同実施形態に係り、キャビティに樹脂を充填した状態を概略的に示す断面図。 従来例に係り、コイルを樹脂モールドする工程を示す断面図。 従来例に係り、ステータの一部を概略的に示す平面図。 従来例に係り、ステータの一部を概略的に示す図18の矢印A視図。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるカセットコイルの製造方法、分割ステータの製造方法及びステータの製造方法を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態のステータ1を一部(カセットコイルの部分)を破断して平面図により示す。このステータ1は、モータの構成要素であり、その内側にロータを組み付け、外側をハウジングで覆うことにより、モータが構成される。このステータ1は、複数の分割ステータ2を円環状に組み付けることにより製造される。
図2に、ステータ1を構成する分割ステータ2の一つを斜視図により示す。図1,2に示すように、分割ステータ2は、分割コア11と、カセットコイル21とを備える。分割コア11は、ヨーク部11aと、ティース部11bとを含む。分割ステータ2は、分割コア11のティース部11bにカセットコイル21を組み付けることにより製造される。
図3に、分割ステータ2を構成するカセットコイル21を斜視図により示す。このカセットコイル21は、略台形四角錐形状の外形を有し、中心に分割コア11のティース部11bに対応した平面視で長尺な孔部22を有する。このカセットコイル21は、外観上は、モールド樹脂23とインシュレータ24で構成される。孔部22の内壁部分と、カセットコイル21の底壁部分は、それぞれインシュレータ24で覆われる。
図4に、樹脂モールドされる前の、インシュレータ24と、そのインシュレータ24にセットされたコイル25とを斜視図により示す。このコイル25は、平角線25aを内外二層に巻いて形成したものであり、内側の内層コイル25Aと、外側の外層コイル25Bとを含む。平角線25aの両端部は、コイル25の一端部にて外方へ突出して一対の端子26を構成する。
図5に、インシュレータ24を斜視図により示す。このインシュレータ24は、四角枠形状の底部24aと、その底部24aから上方へ立ち上がる長尺な筒部24bとを含む。筒部24bは、略四角筒形状をなし、底部24aの中央に形成された長尺な孔(図示略)の内縁から上方へ立ち上がるように形成される。インシュレータ24は、その機能を確保するために絶縁材料により形成される。このインシュレータ24の筒部24bに、コイル25を組み付けることで、図4に示すセット状態が得られる。
ここで、ステータ1の製造方法について説明する。図6(A)〜(E)に、この実施形態におけるステータ1の製造に係る一連の工程を斜視図等により示す。
先ず、上記したインシュレータ24、コイル25及び分割コア11をそれぞれ予め製造しておく。
次に、図6(A)に示すように、インシュレータ24を準備し、続いて、図6(B)に示すように、インシュレータ24の筒部24bにコイル25をセットする。
次に、図6(C)に示すように、図6(B)に示すコイル25の周囲を樹脂によりモールド成形することにより、カセットコイル21を製造する。このモールド成形については、後に詳述する。
次に、図6(D)に示すように、図6(C)に示すカセットコイル21を、分割コア11にセットすることにより、分割ステータ2を製造する。
次に、図6(E)に示すように、複数の分割ステータ2を円環状に組み付けることにより、ステータ1を製造する。
ここで、図6(C)に示すモールド成形について詳しく説明する。図7に、金型31のキャビティ32に、インシュレータ24とコイル25をセットした状態を概略的に断面図により示す。図8に、図7の状態から複数のピン33を移動させた状態を概略的に断面図により示す。金型33は、上型34、中型35及び下型36を備える。上型34には、コイル25を押さえるための複数のピン33が、上下動可能に設けられる。複数のピン33は、コイル25の平面視で左右対称に配置される。
そして、図7に示すように、キャビティ32にインシュレータ24とコイル25を嵌め入れた状態で、上型34、中型35及び下型36を型締めする。この状態では、図7に示すように、各ピン33が上型34の中に退避している。
その後、図8に示すように、各ピン33を下方へ移動させて、各ピン33によりコイル25の軸方向一端部(図8のコイル25の上部)を、軸方向の反対側(図8のコイル25の下側)及びコイル25の内心方向へ向けて押さえる。図9に、各ピン33とコイル25の上部の平角線25aとの関係を拡大して概略的に断面図により示す。図9に示すように、ピン33の下端外側には、三角形状をなす突起33aが設けられる。そして、ピン33aが下方へ移動することにより、この突起33aの斜辺33aaが平角線25aのエッジに当たり、平角線25aをコイル25の内心方向(矢印Xの方向)へ押すようになっている。つまり、この実施形態では、樹脂モールドの際に、複数のピン33により、コイル25の積圧方向から外層コイル25Bの上部の平角線25aを押すだけで、その平角線25aを下側の方向(矢印Yの方向)及び内心方向(矢印Xの方向)へ向けて押すように構成される。
その後、外層コイル25Bの上部を、複数のピン33により、コイル25の下側及びコイル25の内心方向へ向けて押さえながら、キャビティ32に樹脂を充填することにより、コイル25を樹脂モールドする。図10に、図8の状態からキャビティ32に樹脂41を充填した状態を概略的に断面図により示す。この場合、図10に示すように、金型31のキャビティ32に充填される樹脂41が、内層コイル25Aと外層コイル25Bとの間に入り込むことがない。このため、外層コイル25Bが外方へ押し広げられることがなく、カセットコイル21に樹脂41の充填不良部分ができ難くなる。
その後、上型34、中型45及び下型36を型開きすることにより、図3に示すように、モールド成形されたカセットコイル21が得られる。
図11に、ステータ1の一部を概略的に平面図により示す。図12に、ステータ1の一部を図11の矢印A視図により概略的に示す。この実施形態では、分割ステータ2を複数環状に組み付けることで製造されたステータ1において、隣り合う分割ステータ2のカセットコイル21の間でモールド樹脂23の充填不良部分が隣接することがなく、隣り合うカセットコイル21の間で絶縁抵抗が低くなってしまうことがない。図12において、各カセットコイル21の前面に並ぶ複数の円形部分は、上記した各ピン33が接することで樹脂41が充填されなかった未充填部分27を示す。
以上説明したこの実施形態のカセットコイル21の製造方法によれば、図6(C)のモールド成形時に、内外二層に巻いたコイル25のうち、外層コイル25Bの上部を、複数のピン33により、コイル25の下側及びコイル25の内心方向へ向けて押さえながら、キャビティ32に樹脂41を充填するようにしている。従って、その樹脂41の充填初期に、コイル25を構成する平角線25aの間に、すなわち内層コイル25Aと外層コイル25Bとの間に、上から樹脂41が入り込み難くなる。このため、外層コイル25Bが外方へ押し広げられることがなく、カセットコイル21に樹脂41の充填不良部分ができ難くなる。この結果、カセットコイル21の製造につき、不良品の発生を抑えることができ、モールド樹脂23によるコイル25の絶縁性を確保することができる。また、カセットコイル21につき、不良品の発生を抑えることができるので、カセットコイル21の製造コストを削減することができる。
この実施形態では、外層コイル25Bの上部の平角線25aのエッジを外側から、各ピン33の突起33aの斜辺33aaにより押すようしているので、外層コイル25Bの上部の平角線25aが確実に内心方向へ押される。このため、コイル25の上部の内層コイル25Aと外層コイル25Bとの隙間を確実に塞ぐことができ、内層コイル25Aと外層コイル25Bとの間に上から樹脂41が入り込むことを確実に防止することができる。
この実施形態では、複数のピン33により、コイル25の積圧方向から外層コイル25Bの上部の平角線25aを押すだけの構成である。このため、機械的にコイル25を抑える面積を少なくすることができ、キャビティ32の中の樹脂41の流動性を、ピン33により阻害することが少ない。この意味でも、カセットコイル21につき、不良品の発生を抑えることができ、カセットコイル21の製造コストを削減することができる。
この実施形態では、上記のように製造されたカセットコイル21を、分割コア11のティース部11bに組み付けることで分割ステータ2を製造するようにしている。従って、カセットコイル21に不良のない分割ステータ2が得られる。このため、分割ステータ2につき、不良品の発生を抑えることができ、分割ステータ2の製造コストを削減することができる。
この実施形態では、上記のように製造された分割ステータ2を、複数環状に組み付けることにより一つのステータ1を製造するようにしている。従って、環状に組み付けられた複数の分割ステータ2に不良のないステータ1が得られる。このため、隣り合う分割ステータ2のカセットコイル21につき、樹脂の充填不良部分が隣接することがない。この結果、ステータ1を構成する隣り合う分割ステータ2のコイル25につき、絶縁性を確保することができる。この意味で、ステータ1につき、不良品の発生を抑えることができ、ステータ1の製造コストを削減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるカセットコイルの製造方法、分割ステータの製造方法及びステータの製造方法を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
図13に、この実施形態において、コイル25をセットしたインシュレータ24と、金型の主要構成を概略的に斜視図により示す。この実施形態では、金型の構成の点で第1実施形態と異なる。すなわち、金型のキャビティの中に、コイル25の両側面を押すための複数の押し柱37が設けられる。この実施形態では、コイル25の側面を押さえる位置が、コイル25の平面視で左右非対称となるように、各押し柱37が配置される。すなわち、コイル25の両側面の一方側には、押し柱37が二つ配置され、他方側には押し柱37が一つ配置される。この実施形態では、これら押し柱37の配置に対応して、コイル25を下方向へ押すためのピン(図示略)が、金型に設けられる。
図14に、上記金型でモールド成形されたカセットコイル21を斜視図により示す。図15に、図14のカセットコイル21を使用した分割ステータ2により構成されるステータ1の一部を概略的に平面図により示す。図16に、ステータ1の一部を概略的に図15の矢印A視図により示す。図14に示すように、モールド成形されたカセットコイル21の側面及び上面には、押し柱37及びピンに接することで樹脂が充填されなかった未充填部分27ができる。この未充填分部27は、カセットコイル21の平面視で左右非対称となるように配置される。すなわち、カセットコイル21の両側面の一方側には、未充填部分27が二つ配置され、他方側には未充填部分27が一つ配置される。
従って、この実施形態では、図15及び図16に示すように、カセットコイル21を含む分割ステータ2を複数環状に組み付けることで製造されたステータ1において、隣り合う分割ステータ2のカセットコイル21が隣接しても、樹脂の未充填分部27が、隣同士で接触することがない。このため、隣り合うカセットコイル21の間でコイル25の絶縁性を確保することができる。
この実施形態におけるその他の作用効果は、基本的に第1実施形態のそれと同じである。
<第3実施形態>
次に、本発明における分割ステータの製造方法及びステータの製造方法を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、分割ステータ2の製造方法の点で第1実施形態と構成が異なる。図17(A)〜(E)に、この実施形態におけるステータ1の製造に係る一連の工程を斜視図等により示す。
先ず、インシュレータ24、コイル25及び分割コア11をそれぞれ予め製造しておく。
次に、図17(A)に示すように、インシュレータ24を準備し、続いて、図17(B)に示すように、インシュレータ24に分割コア11を組み付ける。すなわち、インシュレータ24の筒部24bに分割コア11のティース部11bを嵌め合わせる。
次に、図17(C)に示すように、インシュレータ24の筒部24bにコイル25をセットする。
次に、図17(D)に示すように、図17(C)に示すコイル25の周囲を樹脂によりモールド成形することにより、分割ステータ2を製造する。このモールド成形については、後に詳述する。
次に、図17(E)に示すように、複数の分割ステータ2を円環状に組み付けることにより、ステータ1を製造する。
ここで、図17(D)に示すモールド成形について詳しく説明する。図18に、金型31のキャビティ32に、分割コア11,インシュレータ24及びコイル25をセットした後、キャビティ32に樹脂41を充填した状態を概略的に断面図により示す。図18は、図10に準ずる断面図である。
図18に示すように、キャビティ32に分割コア11、インシュレータ24及びコイル25を嵌め入れた状態で、上型34、中型35及び下型36を型締めする。その後、図18に示すように、各ピン33によりコイル25の軸方向一端部(図18のコイル25の上部)を、軸方向の反対側(図18のコイル25の下側)及びコイル25の内心方向へ向けて押さえる。その後、外層コイル25Bの上部を、複数のピン33により、コイル25の下側及びコイル25の内心方向へ向けて押さえながら、キャビティ32に樹脂を充填することにより、コイル25を樹脂モールドする。
すなわち、この実施形態の分割ステータの製造方法では、コイル25を、ヨーク部11aとティース部11bとを含む分割コア11のティース部11bに、インシュレータ24を介して組み付け、組み付けられたコイル25、分割コア11及びインシュレータ24を金型31のキャビティ32に嵌め入れ、分割コア11のヨーク部11a(インシュレータ24の底部24a)と当接しないコイル25の軸方向一端部(上部)を、軸方向の反対側(下側)及びコイル25の内心方向へ向けて押さえながら、キャビティ32に樹脂41を充填することにより、コイル25を樹脂モールドするようにしている。この場合も、図18に示すように、金型31のキャビティ32に充填される樹脂41が、内層コイル25Aと外層コイル25Bとの間に入り込むことがない。このため、外層コイル25Bが外方へ押し広げられることがなく、カセットコイル21に樹脂41の充填不良部分ができ難くなる。
その後、上型34、中型45及び下型36を型開きすることにより、図17(D)に示すように樹脂モールド成形された分割ステータ2が得られる。
上記したこの実施形態の分割ステータ2の製造方法によれば、コイル25の軸方向一端部(コイル25の上部)を、軸方向の反対側(コイル25の下側)及びコイル25の内心方向へ向けて押さえながら、金型31のキャビティ32に樹脂41を充填するので、樹脂充填時の初期に、コイル25を構成する平角線25aの間に樹脂が入り込み難くなる。このため、コイル25の平角線25aが樹脂41によって外方へ押し広げられることがなく、分割ステータ2に樹脂の充填不良部分ができ難くなる。この結果、分割ステータ2に樹脂の充填不良部分ができるのを防止することができ、コイル25の絶縁性能を確保することができる。これにより、分割ステータ2につき、不良品の発生を抑えることができ、分割ステータ2の製造コストを削減することができる。
この実施形態では、上記のように製造された分割ステータ2を、複数環状に組み付けることにより一つのステータ1を製造するようにしている。従って、環状に組み付けられた複数の分割ステータ2に不良のないステータ1が得られる。このため、隣り合う分割ステータ2のカセットコイル21につき、樹脂の充填不良部分が隣接することがない。この結果、ステータ1を構成する隣り合う分割ステータ2のコイル25につき、絶縁性を確保することができる。この意味で、ステータ1につき、不良品の発生を抑えることができ、ステータ1の製造コストを削減することができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
例えば、前記第1実施形態及び前記第3実施形態では、複数のピン33によりコイル25を押さえる位置を、コイル25の平面視で左右対称としたが、その押さえる位置を、平面視で左右非対称としてもよい。
前記各実施形態では、平角線25aを内外二層に巻いて、内側の内層コイル25Aと外側の外層コイル25Bとを含むコイル25を使用したが、前記各実施形態と同様のインシュレータを使用した場合、平角線を単層で巻いたコイルを使用することもできる。この場合、コイルとインシュレータとの間に樹脂が入り込むことを防止することができ、前記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
この発明は、モータの製造に利用することができる。
1 ステータ
2 分割ステータ
11 分割コア
21 カセットコイル
25 コイル
25a 平角線
25A 内層コイル
25B 外層コイル
27 未充填部分
31 金型
32 キャビティ
33 ピン
33a 突起
33aa 斜辺
37 押し柱
41 樹脂

Claims (6)

  1. 平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなるカセットコイルの製造方法であって、
    前記コイルを金型のキャビティに嵌め入れ、前記コイルの軸方向一端部を、前記軸方向の反対側及び前記コイルの内心方向へ向けて押さえながら、前記キャビティに樹脂を充填することにより、前記コイルの押さえられる部分とその押さえられる部分の内側に位置する部材との隙間を塞いで前記隙間に前記コイルの軸方向一端部側から樹脂が入り込むことを防止しながら、前記コイルを樹脂モールドすることを特徴とするカセットコイルの製造方法。
  2. 前記コイルの側面を外側から前記内心方向へ押さえることを特徴とする請求項1に記載のカセットコイルの製造方法。
  3. 前記コイルの側面を押さえる位置を、前記コイルの平面視で左右非対称としたことを特徴とする請求項2に記載のカセットコイルの製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法により製造されたカセットコイルを、ヨーク部とティース部とを含む分割コアの前記ティース部に組み付けることにより分割ステータを製造することを特徴とする分割ステータの製造方法。
  5. 平角線からなるコイルを樹脂モールドしてなる分割ステータの製造方法であって、
    前記コイルを、ヨーク部とティース部とを含む分割コアの前記ティース部に組み付け、前記組み付けられたコイル及び分割コアを金型のキャビティに嵌め入れ、前記分割コアと当接しない前記コイルの軸方向一端部を、前記軸方向の反対側及び前記コイルの内心方向へ向けて押さえながら、前記キャビティに樹脂を充填することにより、前記コイルの押さえられる部分とその押さえられる部分の内側に位置する部材との隙間を塞いで前記隙間に前記コイルの軸方向一端部側から樹脂が入り込むことを防止しながら、前記コイルを樹脂モールドすることを特徴とする分割ステータの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の製造方法により製造された分割ステータを、複数環状に組み付けることにより一つのステータを製造することを特徴とするステータの製造方法。
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