JP5589465B2 - 自動車部材用繊維強化プラスチック - Google Patents

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本発明は、繊維と樹脂とを含有する自動車部材用繊維強化プラスチックに関する。
これに関連し、特許文献1には、熱硬化性樹脂をベースとし繊維を含有する繊維強化プラスチックが開示されている。特許文献1の繊維強化プラスチックでは、地球環境へ与える負荷の低減を目的とし、一般的に強化繊維として用いられるガラス繊維に代えて再生セルロース繊維であるリヨセルが用いられている。この繊維強化プラスチックは、ガラス繊維に比べて強度の劣るリヨセルのみにより最大限の補強効果を得るために、基本的にはリヨセルを織物又は編物の形態で用い、ハンドレイアップ成形又は加熱圧縮成形法により成形される。この繊維強化プラスチックは、タンク・容器類や銅張り積層板などの電機・電子部品類として好適であるが、自動車部材としても使用可能とされている。しかし、ハンドレイアップ成形又は加熱圧縮成形法では生産効率が悪く、自動車部材として大量生産するには不向きである。特許文献1には、リヨセルを織物又は編物の形態でなく、短繊維として使用可能であることが記載されており、射出成形可能であることも記載されている。
繊維強化プラスチックではないが、繊維と樹脂とを含む繊維マットであって、自動車の天井芯材やドア芯材のような自動車用内装材として用いられるものが特許文献2に開示されている。この繊維マットは、ガラス繊維等の無機繊維と植物繊維とを混在状態で含み、繊維を絡ませてマット状にしたうえで、その両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層し、加熱しながら圧縮して熱可塑性樹脂を溶融して含浸せしめ、その後、樹脂が溶融状態にあるうちに積層物を厚さ方向に引っぱって膨らませることで、空隙を形成してなる。
特開平6−257051号公報 特開2006−316285号公報
ところで、繊維強化プラスチックは、一般的に剛性向上が目的とされるが、自動車部材には、単に剛性が高いだけでなく、触れたときの感触や破断しにくくして安全性を高める観点から靭性も要求される。しかも量産可能な生産性も要求される。
特許文献1のように繊維強化プラスチックを射出成形できれば生産効率の向上は期待される。しかし、特許文献1には射出成形の好適条件の具体的な記載はない。また、もともとガラス繊維よりも強度の劣るリヨセルのみを用いているうえに、相互に絡み合いのない短繊維の形態で用いれば、補強効果が犠牲となることは明らかであり、自動車部材に要求される剛性を得られるか不明である。しかも、熱硬化性樹脂の射出成形では、大型部材や複雑形状部材は成形できない。したがって、現実的に自動車部材に適用するのは困難である。
また、特許文献2の繊維マットは、空隙により軽量化されていることに加え、植物繊維が用いられることで無機繊維のみを用いる場合よりも軽量となっており、植物繊維のみでなく無機繊維と併用されることで植物繊維のみを用いる場合よりも耐燃焼性にも優れる。しかし、天井芯材やドア芯材として用いることを目的としているため、単独で自動車部材を構成するための剛性や靭性は考慮されていない。しかも、空隙を形成するために製造過程が煩雑である。
そこで、本発明では、確実に射出成形可能であり、自動車部材に要求される剛性を確保しながら良好な靭性も有する繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。
本発明は、繊維と樹脂とを含有する繊維強化プラスチックであって、前記繊維として天然繊維と該天然繊維よりも硬い補強繊維とを含み、前記樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記天然繊維は繊維長が5mm以下であり、前記繊維を混合して射出成形してなる自動車部材用繊維強化プラスチックである。本発明の繊維強化プラスチックは、該繊維強化プラスチック中の前記繊維の含有率が10重量%以上であり、前記繊維中の前記天然繊維の含有率が30〜85重量%であると望ましい。
本発明の自動車部材用繊維強化プラスチックによれば、繊維として天然繊維と補強繊維とを含むため、剛性を確保しながら靭性も担保される。そして、ベースとなる樹脂が熱可塑性樹脂であるため射出成形に好適である。これにより、大型部材や複雑形状部材の成形が可能である。また、射出成形時に混合されている天然繊維の繊維長が5mm以下であるから、繊維がスクリューに絡まったり、繊維がだまになってノズルに詰まったりすることなく確実に射出成形できる。これにより、連続的に効率よく生産することができ、生産性が高い。また、繊維強化プラスチック中の繊維の含有率が10重量%以上であり繊維中の天然繊維の含有率が30〜85重量%であると、剛性を高めながらも良好な靭性を確保できる。しかも、耐衝撃性向上効果をも得られる。
試験例1に係るグラフであり、繊維長とシャルピー衝撃値とを示すグラフである。 試験例2に係る曲げ荷重曲線である。 試験例3に係るグラフであり、繊維中の天然繊維の含有率と曲げ剛性とを示すグラフである。
本発明の繊維強化プラスチックは、主たる構成材料として熱可塑性樹脂が含まれており、該熱可塑性樹脂が繊維で補強されている。繊維としては、天然繊維と該天然繊維よりも硬い補強繊維とが含まれている。剛性向上に特に有効に作用する補強繊維と共に柔らかい天然繊維も含むことで、本来熱可塑性樹脂が有する靭性が損なわれるのを抑制しながら剛性が高められている。
繊維強化プラスチックを構成する熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
天然繊維としては、例えば、例えば、ラミー、ケナフ、リネン、ヘンプ、ジュート等の靭皮繊維、マニラ麻、サイザル麻、パイナップル等の葉脈繊維、マニラ麻、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、綿花、カポック等の種子毛繊維等の植物繊維が挙げられる。これらの植物繊維は、1種類のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。補強繊維としては、ガラス繊維や炭素繊維等が挙げられる。これらの補強繊維も1種類のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂に混合される天然繊維と補強繊維を含む全繊維の量は、繊維強化プラスチック全体の10重量%以上とするのが好ましい。10重量%以上とすることにより、効果的に熱可塑性樹脂を補強することができる。繊維強化プラスチック中の繊維含有率は、好ましくは20重量%以上とする。それにより、より剛性を高めることができる。最も好ましくは、30重量%以上とする。それにより、更に剛性を高めることができる。繊維強化プラスチック中の繊維含有率の上限は限定されないが、本発明の繊維強化プラスチックは、後述するように射出成形されるため、射出成形での成形性を確保する観点で、60重量%以下とするのが好ましい。また、繊維強化プラスチックであることを鑑みると熱可塑性樹脂が主体となるのが好ましい。具体的には、繊維強化プラスチック中の繊維の含有量は50重量%以下であるのが好ましい。繊維強化プラスチック全体に占める全繊維の割合は、好ましくは、10〜60重量%、より好ましくは、20〜60重量%、最も好ましくは、30〜50重量%である。
天然繊維と補強繊維とを含む繊維全体における補強繊維と天然繊維の割合は、目的とする自動車部材に要求される剛性と靭性とを考慮して調整される。天然繊維の割合を高めるほど靭性が高められ、補強繊維の割合を高めるほど剛性が高められる。靭性向上と剛性向上の両立を図るには、繊維全体における天然繊維の含有率は30〜85重量%以上であるのが好ましい。逆に言えば、補強繊維の含有率は15〜70重量%であるのが好ましい。天然繊維の含有率が30重量%以上であり補強繊維の含有率が70重量%以下であると、剛性を高めながら靭性を確保することできる。天然繊維の含有率が85重量%を超えても剛性を高めながら靭性を確保する効果は得られるが、85重量%以下であると耐衝撃性をも向上させることができる点で好ましい。天然繊維の含有率が30重量%未満で補強繊維の含有率が70重量%を超えると、剛性は一層高められるが、靭性、つまり、しなやかさが著しく損なわれるおそれがあり、好ましくない。天然繊維の含有率を高めるほど靭性が高められるが、天然繊維の含有率が70重量%に達するまでには自動車部材に要求される靭性を十分に確保することができる。そのため、天然繊維の含有率を高めるにつれて剛性向上の度合いが小さくなること考慮し、良好な靭性を確保しつつも剛性をより高める観点で、天然繊維の含有率は上限を70重量%に抑えるのがより好ましく、天然繊維の含有率は、30〜70重量%とするのがより好ましい。最も好ましくは、より高い靭性を確保しながら、できるだけ高い剛性を確保する観点から、繊維中の天然繊維の含有率は50〜70重量%とする。
本発明の繊維強化プラスチックは、熱可塑性樹脂に繊維を混合して射出成形にて成形される。熱可塑性樹脂に混合される天然繊維は、長いほど補強効果を発揮しやすいものと推察されるが、繊維長は5mm以下とされる。繊維長が5mmを越えると、柔らかい天然繊維は成形機のスクリューに絡まったり、だまになってノズルに詰まったりするなどの成形時のトラブルを引き起こしやすくなる。繊維長が5mm以下であれば、円滑に射出成形することができる。一方、繊維が短くなるほど補強効果が小さくなるため、補強効果を確実に得る観点で、繊維長は1mm以上とするのが好ましい。より好ましくは、繊維長は3〜5mmとする。その場合、補強効果をより高めることができる。
本発明の繊維強化プラスチックに含有される補強繊維の繊維長は特に限定されないが、剛直な補強繊維は、熱可塑性樹脂との混合時に割れて短くなりやすいため、繊維長の長いものを熱可塑性樹脂に混合するのが好ましい。熱可塑性樹脂に混合する補強繊維の繊維長は好ましくは5〜10mm以上である。5mm以上であれば、混練時に短くなっても概ね3mm程度の繊維長は確保することができ、有効に補強効果を発揮することができる。繊維長が10mmを超える補強繊維も使用できないわけではないが、10mmを超えていても、混合に際して割れることで、その長さが10mm以下の補強繊維を使用した場合と大差なくなるため、混練しやすさ等を考慮すると10mm以下とするのが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチックは、天然繊維と補強繊維の双方を含むことにより、高い剛性を有するとともに良好な靭性も有する。しかも、射出成形されるため生産性が高く、熱可塑性樹脂をベースとするため、大型部材や複雑形状部材の成形が可能であり、所望の形状に成形して種々の自動車部材に展開することができる。例えば、インパネ、トリム、ドアモジュールやフロントエンドモジュールの基材等の内装部材や、外装部材であるバックドア、インナーパネル等に適用することができる。
[試験例1]
試験例1では、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用した。繊維長を検討するために、繊維としては天然繊維であるサイザル繊維のみを使用し、繊維含有率を10重量%で一定としながら、加える繊維の長さを変え、射出成形して試験片を得た。射出成形には三菱重工株式会社製ガラス・カーボン用長繊維専用射出成形機を用いた。
その結果、繊維長が5mmを超えると繊維がスクリューに絡み、結果的に繊維が短くなったり、ノズル詰りが起こり、著しく成形性が悪化することが明らかとなり、繊維長が5mm以下の場合は、スムーズに成形可能であることが明らかとなった。成形することのできた試験片について、シャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃試験値を算出した。シャルピー衝撃試験は、シャルピー衝撃試験機(株式会社上島製作所IM−1310)を用いてISO179−1に準じて行い、試験片の寸法は80mm×10mm×4mm、ノッチの大きさ2mmとし、ハンマーの仕事量は2Jとした。その結果を図1に示す。
図1に示されるように、繊維が長いほどシャルピー衝撃値が高くなり、逆に繊維が短いほどシャルピー衝撃値が低くなることが明らかとなった。この結果から、自動車部材として用いるには、繊維長を1mm以上とするのが好ましいことが明らかとなった。より補強効果を高めるためには、繊維長を3〜5mmとするのがより好ましいことが明らかとなった。
[試験例2]
<試験片の作成>
熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用した。天然繊維として繊維長3mmのサイザル繊維を、補強繊維として繊維長6mmのガラス繊維(太さ22μm)を使用した。繊維含有率を20重量%で一定としながら、天然繊維と補強繊維のバランスを、No.1〜6のようにして一般射出成形機(住友重機械工業株式会社製SE−185)を用いて射出成形し、板状の試験片(80mm×10mm×4mm)を作成した。また、対照として、繊維を含有しないポリプロピレン(No.8)と、ポリプロピレンにゴム成分を配合して耐衝撃性を向上させた、インパネ等に用いられている従来の自動車部材用材料(No.9)を射出成形し、試験片を作成した。なお、No.9は繊維を含まないが、試験片中に20重量%のフィラー(タルク)を含有する。
<曲げ試験>
No.1〜9について、ISO178に準拠して曲げ試験を行った。板状の試験片(80mm×10mm×4mm)の両端を支持し、中央部に試験力(荷重)を付与する曲げ試験を行い、曲げ強度と曲げ剛性とを測定した。その結果を表1に示す。また、曲げ試験における荷重と、それに対応する荷重方向の変位とを示す曲げ荷重曲線を図2に示す。
<シャルピー衝撃試験>
No.1〜9の各試験片について、上記試験例1と同様にISO179−1に準拠してシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃試験値を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0005589465
繊維を含むNo.1〜7と繊維を含まないNo.8を比較すると、繊維を含むNo.1〜7は、繊維を含まないNo.8よりも曲げ強度及び曲げ剛性が高いことが確認された。繊維を含むNo.1〜7で比較すると、ガラス繊維と天然繊維との合計である全繊維中のガラス繊維の含有率が高いほど曲げ強度及び曲げ剛性が高く、ガラス繊維のみを含むNo.1が最も高いことが明らかとなった。そこで、図2の曲げ荷重曲線を参照すると、ガラス繊維のみを含むNo.1は、天然繊維を含むNo.2〜7に比べて最大荷重が大きいが、最大荷重に至ると荷重が急激に落ち込み試験片が破断したことから、ねばり強さ(靭性)が欠如していることが明らかとなった。これに対し、ガラス繊維に加えて天然繊維も含むNo.2〜6では、No.1よりも最大荷重に達した後の変位が大きかった。これにより、ガラス繊維に加え天然繊維を含むことで、ガラス繊維のみを含む場合に比べて靭性を高めることができることが明らかとなった。
また、図2から明らかなように、繊維中の天然繊維の含有率が15重量%のNo.2は、最大荷重に達した後の変位量はガラス繊維のみのNo.1に比べると大きいものの、その曲げ荷重曲線の線形(挙動)は、No.1と似ており比較的シャープな線形となっていた。それに対し、繊維中の天然繊維の含有率が30重量%のNo.3の曲げ荷重曲線の線形は、ガラス繊維のみのNo.1とは異なり、最大荷重に達した後の荷重の低下が緩やかで、変位がより大きかった。これにより、ガラス繊維と天然繊維とを含む繊維中の天然繊維の含有率が30重量%以上であると、より効果的に靭性を高めることできることが明らかとなった。
また、繊維中の天然繊維の含有率が高いほど靭性を高めることができ、繊維中の天然繊維の含有率が85重量%のNo.6の曲げ荷重曲線の線形は、最大荷重に達した後の荷重低下が極めて緩やかなNo.9の従来の自動車部品用材料の線形と極めて似ており、繊維中の天然繊維の含有率が85重量%に至るまでには十分に靭性が確保されることが明らかとなった。併せて剛性向上効果は繊維中の天然繊維の含有率が高くなるほど小さくなることを考慮すると、繊維中の天然繊維の含有率が85重量%以下であるのが好ましいことが明らかとなった。また、表1から明らかなように、シャルピー衝撃値を比較すると、繊維中の天然繊維の含有率が85重量%のNo.6では繊維を含まないNo.8と同等であり、繊維中の天然繊維の含有率が低くなりガラス繊維の含有率が高くなるほどシャルピー衝撃値が高くなることが明らかとなった。このことから、繊維中の天然繊維の含有率が85重量%以下であると、シャルピー衝撃値向上効果をも奏する点で好ましいことが明らかとなった。これらのことから、繊維中の天然繊維の含有率は30〜85重量%とすることが好ましいことが明らかとなった。
また、図2から明らかなように、繊維中の天然繊維の含有率が50重量%のNo.4の曲げ荷重曲線の線形は、最大荷重に達する線形の頂点がはっきりしない程、最大荷重に達する前後の荷重変化が緩やかで、No.9の従来の自動車部品用材料の線形により近づいていた。そして、繊維中の天然繊維の含有率が70重量%のNo.5では最大荷重に達した後の荷重低下が一層緩やかになるとともに変位量が飛躍的に伸び、繊維中の天然繊維の含有率が70重量%に達するまでには従来の自動車部品用材料と遜色ない靭性を確保可能であることが明らかとなった。繊維中の天然繊維の含有率が高くなるほど剛性向上効果が小さくなることを考慮すると、靭性をある程度確保しながら剛性をより高める観点で、繊維中の天然繊維の含有率を30〜70重量%とするのがより好ましいことが明らかとなった。また、靭性をより従来の自動車部品用材料と略同レベルで確保しながら剛性を高める観点で、繊維中の天然繊維の含有率を50〜70重量%とするのが最も好ましいことが明らかとなった。
[試験例3]
試験例3では、試験例2と同じ原材料を用い、繊維含有率の異なる繊維強化プラスチックを射出成形し、板状の試験片を作成した。繊維強化プラスチック中の繊維含有率は、10、15、25、30重量%とし、更に、各繊維含有率において、繊維中の天然繊維率が0、50、100重量%である試験片を作成した。ただし、繊維含有率が30重量%の場合については、繊維中の天然繊維の含有率を50、70重量%とした。作成した各試験片について曲げ剛性を測定した。その結果を、繊維中の天然繊維の含有率と、それに対応する曲げ剛性を示すグラフとして図3」に示した。図3のグラフには、上記試験例2における繊維含有率20重量%の繊維強化プラスチック(No.1〜7)と、対照の繊維を含まないポリプロピレン(No.8)及び従来の自動車部材用材料(No.9)の曲げ試験の測定結果も併せて示した。
図3から明らかなように、繊維を含む繊維強化プラスチックは、繊維を含まないNo.8に比べて曲げ剛性が高められることが改めて確認された。また、繊維中の天然繊維率が同じであれば、繊維強化プラスチック中の繊維率が高いほど曲げ剛性が高められ、逆に繊維率が低いほど繊維を含まない熱可塑性樹脂に対する剛性向上効果は小さくなることが改めて明らかとなった。ここで、上記試験例2で明らかになったように、シャルピー衝撃値向上効果をも奏することを考慮した繊維中の天然繊維率の最大値である85重量%の場合に注目すると、繊維強化プラスチック中の繊維含有率が10重量%で曲げ剛性がNo.9の従来の自動車部材用材料と同等に確保可能であることが明らかとなった。これにより、繊維強化プラスチック中の繊維含有率が10重量%以上であり、且つ繊維中の天然繊維率を85重量%以下とすることで、繊維を含まないポリプロピレンに対してシャルピー衝撃値向上効果を発揮可能とし、且つ、曲げ剛性を従来の自動車部材用材料と比較しても高いレベルまで高められることが明らかとなった。

Claims (1)

  1. 繊維と樹脂とを含有する自動車部材用繊維強化プラスチックであって、
    前記繊維として天然繊維とガラス繊維とを含み、
    前記樹脂は熱可塑性樹脂であり、
    前記繊維強化プラスチック中の前記繊維の含有率が10重量%以上30重量%以下であり、
    前記天然繊維は繊維長が1mm以上5mm以下であり、
    前記繊維中の前記天然繊維の含有率が30〜70重量%であり、
    前記繊維を混合して射出成形してなる自動車部材用繊維強化プラスチック。
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