JP5588947B2 - ワイヤレス電力伝送装置およびそれを用いた車載システム - Google Patents
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Description
ワイヤレス電力伝送装置は、ある周波数の交流電力を電力伝送装置から、携帯機器に内蔵または付帯された電力受電装置に、電磁誘導などを用いて電力を伝送する。例えば、特許文献1には、車両に搭載されたワイヤレス電力伝送装置の技術が開示されている。
すなわち、本発明のワイヤレス電力伝送装置は、1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、前記送電手段は、前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を前記携帯機器を介さずに送信することを特徴とする。
また、本発明の車載システムは、1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置と、スマートキー(FOB)に対してLF波を送信するLFアンテナ、および、前記LF波を受信した前記スマートキーが送信するRF波を受信するRFアンテナを備え、車両の制御を行うスマートキーシステムとを含んでなる車載システムであって、前記車両用のワイヤレス伝送装置の前記送電手段は、前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信可能であり、前記送電手段が、前記スマートキーシステムが備えるLFアンテナとして機能することを特徴とする。
(実施形態)
図1は、本発明の車両用のワイヤレス電力伝送装置10を含む電波の干渉源となりうる与干渉システム100と、車両に搭載された電波の干渉を被るスマートキーシステム200などの被干渉システムとの関連についての概略を示した図である。
なお、「車両用のワイヤレス電力伝送装置」を「ワイヤレス電力伝送装置」と適宜、表記する。
また、以下に述べることは、車両用のワイヤレス電力伝送装置の説明であるとともに、このワイヤレス電力伝送装置が搭載された車両の車載システムの説明でもある。
図1において、ワイヤレス電力伝送装置10は、電力伝送部(送電手段)11とLF帯通信信号発生部13を備えている。電力伝送部11は1次側コイル(1次コイル)101を備えている。またLF帯通信信号発生部13はASK(Amplitude Shift Keying、振幅偏移変調)信号を発生する。
携帯機器12は電力を受電する電力受電部(受電手段)を備え、この電力受電部は2次側コイル(2次コイル)102を備えている。なお、電力受電部は図1において表記していない。また、携帯機器12は図示しない2次電池を持っていて、この2次電池の充電用に上記の電力受電部を含むワイヤレス電力伝送システムを利用する。
ワイヤレス電力伝送装置10は、電力伝送部11に備えられた1次側コイル101から携帯機器12の電力受電部に備えられた2次側コイル102へ電磁力によって電力を送る(電力伝送15W)。
このときに電力伝送15Wの一部(基本波)またはその高調波が、ノイズ経路18Wなどによって周囲に電磁波または交流磁界、交流電界として発生するので、ワイヤレス電力伝送装置10と携帯機器12とによって与干渉システム100が形成される可能性があることを示している。
なお、スマートキーシステム200は、LFアンテナ21の用いるLF帯通信21Wが前記した電力伝送15Wの一部または高調波の影響を受ける可能性があるので被干渉システム(200)でもある。
例えば、車両外の者(運転者など)の携帯するスマートキー23が、前記したLF信号21Wを感知したとする。
LFアンテナ21は、図10で後述するように車両20に複数個所設置されているが、LFアンテナ21から発信された電磁波が届く範囲(および方向)は限定されている。したがって、スマートキー23が受信したLF信号21Wに含まれるアンテナID(identification)を確認することで、どこのLFアンテナ21からの信号を受信したかを、この場合は後記のアンテナ21Oからの信号を受信したことを特定することができる。
このRF信号(23W)を車両20のRFアンテナ22が検知し、車両20のスマートキー23であることを認証すると、車両20のドアロックが解除する。また、このRF信号(23W)には、前記したように、LF信号21WがどこのLFアンテナ21から発信されたかの情報(アンテナID)も含まれているので、スマートキー23の位置にあわせた車両の制御(ドアの開閉など)が可能となる。
なお、LF帯通信21W(ASK信号)は概ね125kHzであり、RF帯通信23Wは概ね312MHzで行われる。
しかしながら、前記したように、スマートキーシステム200は、ワイヤレス電力伝送装置10の電力伝送15Wにともなうノイズを受けて干渉される可能性がある。
この干渉を回避するために、車両用ワイヤレス電力伝送装置10に備えられたLF帯通信信号発生部13の発生するASK信号を電力伝送15Wに重畳させる方法をとる。
図2は、電力伝送15WにASK信号を重畳したときの波形例を示すものであり、(a)は、通常の電力伝送波形で一定の振幅と一定の周波数の波形を示す図であり、(b)は、スマートキーシステム200のLF帯通信信号を重畳したASK波形を示す図である。
図2(a)の通常の電力伝送波形は、電力伝送のみを行う場合の波形であって、一定の振幅と一定の周波数で電力伝送を行う。周波数は概ね100KHz〜500KHzが選択される。この周波数範囲は、スマートキーシステム200のLF帯通信21W(図1)が例えば前記したように125KHzで行われる場合には、両者の周波数が近いので、スマートキーシステム200(図1)が電力伝送のノイズをノイズ経路18W(図1)によって影響を受ける。
所定の区間で振幅が所定の低い値(略0)のときは信号が「0」の場合を示し、振幅が所定の高い値をとるときは信号が「1」であることを意味している。この信号「0」と「1」との時系列信号で情報を伝達する。
また、振幅が所定の高い値「1」をとる場合の周波数は(a)で示した電力伝送の際の周波数である。また、信号「0」と「1」との間で振幅(Amplitude)を偏移させるのでASK信号となっている。
なお、図2(b)で単純に「0」と「1」が交互に繰り返している例を示しているが、伝達すべき情報、もしくは方式によって、「0」と「1」の占める区間の長さと出現の仕方が異なる。これによって0、1の時系列信号として情報を伝達する。
図3は、車両用のワイヤレス電力伝送装置10と車両のスマートキーシステム200との関連を示すシステム図である。
図3において、ワイヤレス電力伝送1次側310は、ワイヤレス電力伝送装置10(図1)もしくは電力伝送部11に相当する。
ワイヤレス電力伝送2次側312は、携帯機器12(図1)の電力受電部に相当する。
ワイヤレス電力伝送1次側310からワイヤレス電力伝送2次側312へ前述した電力伝送15Wが行われる。
また、ワイヤレス電力伝送1次側310とワイヤレス電力伝送2次側312との間では、電力の伝送の必要性や充電が完了したなどの情報のやりとりが通信12W(2方向)を介して行われる。
ドアスイッチ(ドアSW)331は、車両のドアの開閉が指示されたか、または開閉されたか、あるいは開閉の状態をスマートキー制御ユニット330に信号(331S、332S)を送り、入力する。
エンジンスタートキー332は、エンジンスタートの指示がされたことをスマートキー制御ユニット330に入力する。
ドアロック333は、スマートキー制御ユニット330の指示する制御信号333Sによって車両20のドアロック解除あるいは施錠が行われる。
スマートキー制御ユニット330がLFアンテナ21とスマートキー(FOB)23との間で適切なLF帯通信21Wが、いずれのLFアンテナ(21A、21B、・・・、21*)においても行われていないと判定した場合には、電波の干渉によってLFアンテナ21が充分に機能しないと判定する。このときスマートキー制御ユニット330は、制御信号173Sによって、ワイヤレス電力伝送1次側310(ワイヤレス電力伝送装置10に含まれる)にLF信号(ASK信号)を電力伝送の電磁波に重畳させるか、もしくは単独で(すなわち電力伝送をその区間停止して)LF信号を発信するように制御する。
図4は、ワイヤレス電力伝送装置10(図1)のスマートキーシステム200(図1)への干渉の有無に関わらず、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側(310、図3)をスマートキーシステム200のLFアンテナ21(図1)として使用(代用)する場合のフローチャートである。
ステップS41において、まず、ドアスイッチ331、エンジンスタートキー332(図3)などが運転者などにより操作されると、その操作がトリガとなって、スマートキー制御ユニット330に前述の操作がされたことが信号(331S、332S)として伝達される。
するとワイヤレス電力伝送装置10のスマートキーシステム200への干渉の有無にかかわらず、LFアンテナ21に係るステップS42とワイヤレス電力伝送装置10に係るステップS43が併せて開始される。次に、まずステップS42を先に説明する。
なお、図4においては、ステップS41を「開始(トリガあり)」と表記している。
ステップS42では、LFアンテナ21からLF帯通信21W(21AW、21BW、・・・、21*W)の信号を送信する。この動作は、スマートキー制御ユニット330から複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)に信号(21AS、21BS、・・・、21*S)を送信することによって行われる。
後述する図10に示すように、このLFアンテナ21は車両の車内(21I)、車外(21O)にそれぞれ複数個所備えられている。なお、複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)は、車内(21I)、車外(21O)に複数個所備えられたLFアンテナ21(21I、21O)のいずれかに対応している。
そして、スマートキー(FOB)23の反応を待つステップ45へ進む。
なお、図4においては、ステップS42を「LFアンテナからLF帯信号送信」と表記している。
ステップS43では、ワイヤレス電力伝送装置10にスマートキー制御ユニット330から制御信号173Sによって、ワイヤレス電力伝送1次側310(ワイヤレス電力伝送装置10に含まれる)にLF信号(ASK信号)を電力伝送の電磁波に重畳させるか、もしくは単独で(すなわち電力伝送をその区間停止して)LF信号を発信するように制御する。そしてステップS44に進む。
なお、図4においては、ステップS43を「ワイヤレス充電装置にLF帯通信指令」と表記している。
ステップS44では、ワイヤレス電力伝送装置10の電力伝送部11の電力伝送15Wの電磁信号にLF帯通信波形(ASK波形)を重畳する。もしくは一時的に電力伝送を中断し、LF帯通信波形を送信する。この結果、電力伝送部11がスマートキーシステム200の追加のLFアンテナとして機能する。
そして、スマートキー23の反応を待つステップS45へ進む。
なお、図4においては、ステップS44を「LF帯通信波形を重畳or電力伝送中断し、LF帯通信波形を送信」と表記している。
また、ステップS44はワイヤレス電力伝送装置10の処理であるので、図4のS44が示すブロック枠のみを破線で表記している。
また、ステップS44において、ワイヤレス電力伝送装置10がLF帯通信波形を送信しているときに、ステップS42のLFアンテナ21からもLF帯信号が送信されており、これらの2箇所(以上)からLF帯信号が送信されていることになる。
ちなみに、この例では干渉の有無は問題としない。
ステップS45では、スマートキー23からのRF信号23Wを検出する。
より具体的には、スマートキー23がステップS42もしくはステップS44で出力されているLF帯信号を感知(検知)した場合に、スマートキー(FOB)23はRF信号23Wを発信する。例えば、ワイヤレス電力伝送1次側310からのLF信号18Wがスマートキー23に受信された場合も、当然RF信号23Wがスマートキー23から送信される。
なお、前記のLF帯信号が、スマートキー23が帰属する車両20からのLF帯信号であると認証(FOB認証)した場合に、スマートキー(FOB)23はRF信号23Wを発信する方式もある。
車両20に備えられたRFアンテナ22でこのスマートキー23からのRF信号23Wを検出し、スマートキー制御ユニット330に信号22Sを送る。
スマートキー制御ユニット330はRFアンテナ22からの信号22Sを受信すると、車両20に帰属するスマートキー23からのRF信号23Wであるか否かを検証(FOB認証)する。
また、スマートキー23からのRF信号23Wが検出されない場合(No)には、ステップS46に進む。
なお、図4においては、ステップS45を「FOBからのRF信号有り?」と表記している。
ステップS46では、規定時間内にスマートキー23からのRF信号23Wが受信(検出)されない場合の所定の動作のリトライ(再試行)回数をカウントしている。
リトライ回数が所定の回数Nに達していない場合(No)には、ステップS43とステップS42に戻り、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側およびスマートキーシステム200の複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)から順番にまたは同時にLF信号21Wが送信される一連のフローを再試行する。
また、リトライ(再試行)回数が所定の回数Nに達した場合(Yes)には、RF信号23Wが受信(検出)されなくとも一連の動作を終了(ステップS47)する。
なお、図4においては、ステップS46を「リトライ回数がNに達したか?」と表記している。
図5は、干渉の有無に関わらず、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側をスマートキーシステム200のLFアンテナ21として使用する場合のタイムチャートであり、(a)は電力伝送波にASK信号を重畳する場合であり、(b)はASK信号を送信するときには電力伝送を中断する場合のタイムチャートである。
まず、「トリガ」が発生すると、それにともなって「LFアンテナA〜LFアンテナ*」が順にLF信号を発信(送信)している。なお、「LFアンテナA〜LFアンテナ*」はLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)に相当する。
また、「ワイヤレス電力伝送」は干渉の有無に関わらず電力伝送波にLF信号(ASK信号)を重畳して送信している。
スマートキー(FOB)23は、LFアンテナA〜LFアンテナ*、もしくは電力伝送波に重畳されたLF信号のいずれかを検出すると「RF」信号を発生する。
RFアンテナ22(図3)は、RF信号23Wをキャッチすると、スマートキー制御ユニット330(図3)に信号22Sを送る。
以上の信号の流れにおいて、図5(a)の特徴は、「ワイヤレス電力伝送」において、電力伝送波による干渉の有無に関わらず電力伝送波にLF信号(ASK信号)を重畳している点である。
また、「トリガ」が発生してからの一連の動作も(a)と同様である。
図5(b)が(a)と異なるのは、ワイヤレス電力伝送波においてLF信号(ASK信号)を送信する区間は、電力伝送波の送信を中断している点である。電力伝送波の送信を中断することによって、干渉の影響が低減され、ワイヤレス電力伝送装置10からのLF信号(ASK信号)がスマートキー(FOB)23により確実に受信、認識される。
図6は、干渉が発生するときのみ、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側をスマートキーシステム200のLFアンテナ21として使用する場合のフローチャートである。
ステップS61において、まず、ドアスイッチ331、エンジンスタートキー332(図3)などが運転者などにより操作されると、その操作がトリガとなって、スマートキー制御ユニット330に前述の操作がされたことが信号(331S、332S)として伝達される。
なお、図6においては、ステップS61を「開始(トリガあり)」と表記している。
ステップS62では、LFアンテナ21からLF帯通信21W(21AW、21BW、・・・、21*W)の信号を送信する。この動作は、スマートキー制御ユニット330から複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)に信号(21AS、21BS、・・・、21*S)を送信することによって行われる。
このLFアンテナ21は車両20の車内(21I)、車外(21O)に複数個所備えられている。なお、複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)は、車内(21I)、車外(21O)に複数個所備えられたLFアンテナ21(21I、21O)のいずれかに対応している。
そして、スマートキー(FOB)23の反応を待つステップS63へ進む。
なお、図6においては、ステップS62を「LFアンテナからLF帯信号送信」と表記している。
ステップS63では、スマートキー23からのRF信号23Wを検出する。
より具体的には、スマートキー23がLF信号21Wを感知し、スマートキー23はRF信号23Wを発信する。
車両20に備えられたRFアンテナ22でこのスマートキー23からのRF信号23Wを検出し、スマートキー制御ユニット330に信号22Sを送る。
スマートキー制御ユニット330はRFアンテナ22からの信号22Sを受信すると、車両20に帰属するスマートキー23からのRF信号23Wであるか否かを検証(FOB認証)する。
スマートキー23からのRF信号23Wが検出された場合(Yes)には、ステップS61において述べたトリガに対応する処置をスマートキー制御ユニット330がとり、その後に一連の動作を終了(ステップS69)する。
このステップS64とステップS65に共に進むことによって、LFアンテナ21に係るステップS64とワイヤレス電力伝送装置10に係るステップS65が併せて開始される。
なお、図6においては、ステップS63を「FOBからのRF信号有り?」と表記している。
ステップS64では、ステップS62と同様に、LFアンテナ21からLF帯通信21W(21AW〜21*W)の信号を送信する。この動作は、スマートキー制御ユニット330から複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)に信号(21AS、21BS、・・・、21*S)を送信することによって行われる。
なお、図10に示すように、このLFアンテナ21は車両の車内(21I)、車外(21O)に複数個所備えられている。なお、複数のLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)は、車内(21I)、車外(21O)に複数個所備えられたLFアンテナ21(21I、21O)のいずれかに対応している。
そして、スマートキー(FOB)23の反応を待つステップS67へ進む。
なお、図6においては、ステップS64を「LFアンテナからLF帯信号送信」と表記している。
ステップS65では、ワイヤレス電力伝送装置10にスマートキー制御ユニット330から制御信号173Sによって、ワイヤレス電力伝送1次側310(ワイヤレス電力伝送装置10に含まれる)にLF信号(ASK信号)を電力伝送の電磁波に重畳させるか、もしくは単独で(すなわち電力伝送をその区間停止して)LF信号を発信するように制御する。そしてステップS66に進む。
なお、図6においては、ステップS65を「ワイヤレス充電装置にLF帯通信指令」と表記している。
ステップS66では、ワイヤレス電力伝送装置10の電力伝送部11の電力伝送15Wの電磁信号にLF帯通信波形(ASK波形)を重畳する。もしくは一時的に電力伝送を中断し、LF帯通信波形を送信する。
そして、スマートキー23の反応を待つステップS67へ進む。
なお、図6においては、ステップS66を「LF帯通信波形を重畳or電力伝送中断し、LF帯通信波形を送信」と表記している。
また、ステップS66はワイヤレス電力伝送装置10の処理であるので、図6のS66が示すブロック枠のみを破線で表記している。
また、ステップS66において、ワイヤレス電力伝送装置10がLF帯通信波形を送信しているときに、ステップS64のLFアンテナからもLF帯信号が送信されており、これらの2箇所(以上)からLF帯信号が送信されていることになる。
ステップS67では、スマートキー23からのRF信号23Wを検出する。
より具体的には、スマートキー23がステップS64もしくはステップS66で出力されているLF帯信号を感知し、スマートキー23はRF信号23Wを発信する。
車両20に備えられたRFアンテナ22でこのスマートキー23からのRF信号23Wを検出し、スマートキー制御ユニット330に信号22Sを送る。
スマートキー制御ユニット330はRFアンテナ22からの信号22Sを受信すると、車両20に適合するスマートキー23からのRF信号であるか否かを検証(FOB認証)する。
また、スマートキー23からのRF信号23Wが検出されない場合(No)には、ステップS68に進む。
なお、図6においては、ステップS67を「FOBからのRF信号有り?」と表記している。
ステップS68では、規定時間内にスマートキー23からのRF信号23Wが受信(検出)されない場合の所定の動作のリトライ(再試行)回数をカウントしている。
リトライ回数が所定の回数Nに達していない場合(No)には、ステップS65とステップS64に戻り、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側および複数のLFアンテナから順番にまたは同時にLF信号が送信される一連のフローを再試行する。
また、リトライ(再試行)回数が所定の回数Nに達した場合(Yes)には、RF信号23Wが受信(検出)されなくとも一連の動作を終了(ステップS69)する。
なお、図6においては、ステップS68を「リトライ回数がNに達したか?」と表記している。
図7は、干渉が発生するときのみ、ワイヤレス電力伝送装置10の1次側をスマートキーシステム200のLFアンテナ21として使用する場合のタイムチャートであり、(a)は電力伝送波にASK信号を重畳する場合であり、(b)はASK信号を送信するときには電力伝送を中断する場合のタイムチャートである。
まず、「トリガ」が発生すると、それにともなって「LFアンテナA〜LFアンテナ*」が順にLF信号を発信(送信)している。なお、「LFアンテナA〜LFアンテナ*」はLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)に相当する。
しかしながら、スマートキー(FOB)23がLFアンテナA〜LFアンテナ*のLF信号を検出できないために、スマートキー(FOB)23からRF信号23Wが送信されない。
そのため「LFアンテナA〜LFアンテナ*」が繰り返して順にLF信号を発信する。
しかしながら所定の期間、「LFアンテナA〜LFアンテナ*」が繰り返してLF信号を発信してもスマートキー(FOB)23からのRF信号23Wが発信されないもしくはキャッチできない場合には、「ワイヤレス電力伝送」による干渉の可能性が高いので、「ワイヤレス電力伝送」が電力伝送波にLF信号(ASK信号)を重畳して送信する。
スマートキー制御ユニット330(図3)は、送られてきたRF信号23Wに含まれる所定の信号によって、スマートキー(FOB)23が、その車両に帰属するものか否かを検証して、帰属するものであると判定した場合には認証し、「ドア開錠など」の所定の動作をする信号を関連する装置に送る。ちなみに、ワイヤレス電力伝送装置10は、車両内にあることから、ドア開錠以外の動作がなされる。
以上の信号の流れにおいて、図7(a)の特徴は、「ワイヤレス電力伝送」において、電力伝送波による干渉がある場合に、電力伝送波にLF信号(ASK信号)を重畳して送信する点である。
したがって、電力伝送波による干渉がない場合、すなわち「LFアンテナA〜LFアンテナ*」つまりLFアンテナ21(21A、21B、・・・、21*)によるLF信号(LF帯通信)21Wでスマートキー(FOB)23への信号伝達が充分に行われているときに、電力伝送波にLF信号(ASK信号)を重畳するという無駄な電力を消費することから回避できる。また、電力伝送の中断や電力伝送効率の低下を回避できる。
また、「トリガ」が発生してからの一連の動作も(a)と同様である。
図7(b)が(a)と異なるのは、ワイヤレス電力伝送波においてLF信号(ASK信号)を送信する区間は、電力伝送波の送信を中断している点である。
図8は、ワイヤレス電力伝送装置10の詳しい構成を示すブロック図である。
図8において、ワイヤレス電力伝送装置10は、電圧変換回路81、ドライブ回路82、LF帯通信信号発生部(ASK)13、ドライブ制御回路84、1次側コイル101を備えて構成される。
電圧変換回路81は、電源85から直流電力を供給され、直流電圧を変換(昇圧)してドライブ回路82の電源に供給している。ドライブ回路82はドライブ制御回路84の制御によって、スイッチングされて交流波形を出力し、1次側コイル101を駆動する。
1次側コイル101は電磁結合によって、携帯機器12の2次側コイル102に電力伝送15Wを行う。
図9は、ワイヤレス電力伝送装置10におけるドライブ回路82の詳しい構成を示す回路図である。
図9において、ドライブ回路82は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)911、912、913、914と、スイッチ回路920と並列切替回路931と直列切替回路941、942とコンデンサ951とを備えて構成される。
MOSFET(VH)913とMOSFET(VL)914は直列に接続されている。MOSFET913のソースは電圧変換回路81の出力する正電位線961に接続され、MOSFET914のソースは電圧変換回路81の出力する負電位線(アース)962に接続されている。MOSFET913とMOSFET914のそれぞれのドレインは互いに接続されインバータ出力964となっている。
ドライブ制御回路84がMOSFET911〜914(UH、UL、VH、VL)のそれぞれのゲートをオン・オフとその期間を所定の制御をすることによって、インバータ出力(インバータ出力線)963とインバータ出力(インバータ出力線)964との間に交流電力を発生させることができる。
また、例えば、MOSFET911〜914において、UHとVLがオンでULとVHがオフの場合はaと図示した方向に電流が流れ、VHとULがオンでUHとVLがオフの場合はbと図示した方向に電流が流れる。
また、インバータ出力963とコンデンサ951の第1端子との間に、スイッチ回路920が接続されている。
また、インバータ出力963とコンデンサ951の第1端子との間に、トランジスタとインピーダンスZとの直列回路が直列切替回路941、942として接続されている。
スイッチ回路920、並列切替回路931、直列切替回路941、942は、それらの中に備えられたトランジスタのゲートをドライブ制御回路84によって制御される。
なお、図9において、ドライブ制御回路84からスイッチ回路920、並列切替回路931、直列切替回路941、942への制御信号は、1本の線で図示されているが、実際には複数本で構成されている。
図9のドライブ回路82の第1の使用例(使用例1)について説明する。
図8において説明したように、スマートキーシステム200からの制御信号173S(図8)によって、LF帯通信信号発生部13で所定の時系列信号のLF信号を発生し、信号83Wによって電圧変換回路81を、制御信号83Sによってドライブ制御回路84を制御することにより、1次側コイル101からの電力伝送15Wの波形にLF信号を重畳するもしくは電力伝送を一時中断して1次側コイル101からLF信号を発信(送信)することができる。この方法がドライブ回路82の使用例1である。
なお、この場合には、並列切替回路931、直列切替回路941、942、スイッチ回路920は使用しないので、当初から削除してもよい。また、スイッチ回路920を削除する場合は、スイッチ回路920が備えられた間を短絡する。
また、図9において、並列切替回路931をオン・オフすることにより、振幅を変化させることができて、図2(a)で示したLF帯通信信号を重畳したASK波形を形成することができる。この方法がドライブ回路82の使用例2である。
なお、この場合には、直列切替回路941、942、スイッチ回路920は使用しないので、当初より削除してもよい。また、スイッチ回路920を削除する場合は、スイッチ回路920が備えられた間を短絡する。
また、図9において、直列切替回路941、942をオン・オフすることにより、振幅を変化させることができて、図2(a)で示したLF帯通信信号を重畳したASK波形を形成することができる。なお、コンデンサ951の作用により、1次側コイル101には直流分が除去される。この方法がドライブ回路82の使用例3である。
また、この場合には、並列切替回路931は使用しないので、当初より削除してもよい。また、スイッチ回路920が接続された箇所を切り離したままでスイッチ回路920を開閉することなしに用いてもよい。
図10は、車両におけるワイヤレス電力伝送システム(10)とLFアンテナ(21I、21O)、RFアンテナ22の配置を示す図である。
車両(自動車)20において、ワイヤレス電力伝送システム(ワイヤレス電力伝送装置)10が車内に装備され、ワイヤレス電力伝送装置10においてワイヤレス(無接点)電力伝送による携帯機器12の充電が可能である。
また、この例ではスマートキー(FOB)23が運転者によって車内に持ち込まれている。ただし、スマートキー23は運転者などが所有し携帯するものであるから、運転者とともに車内でも車外にでも存在することがある。そして、このようなことから、スマートキー23の位置に応じた制御が必要となる。
また、RFアンテナ22が車体(20)に設置されている。この位置に設置されているのはスマートキー(FOB)23が車両近くであれば何処に位置しても、そのRF信号23WをRFアンテナ22がキャッチしやすいようにするためである。
スマートキー23がLFアンテナ21(21I、21O)のいずれかが送信したLF信号21Wをキャッチすると、スマートキー23はRF信号23Wを発信する。
RFアンテナ22は、スマートキー23からのRF信号23Wをキャッチするとスマートキーシステム200(図3)のスマートキー制御ユニット330(図3)に信号を送る。
ワイヤレス電力伝送装置10の周囲に付した複数の破線の輪とLFアンテナ21(21I、21O)の周囲に付した複数の破線の輪が交差しているように、ワイヤレス電力伝送装置10の電力伝送にともなう電磁波が、LFアンテナ21(21I、21O)のLF帯信号と干渉することがあり、干渉が激しいとスマートキー23は、LFアンテナ21(21I、21O)のLF信号21Wを認識できなくなる。
このとき、ワイヤレス電力伝送装置10の電力伝送部11(図1)からもLF信号18Wを発信する。
次に、ワイヤレス電力伝送装置とワイヤレス電力伝送システムのその他の実施形態について、説明する。
本実施形態のワイヤレス電力伝送装置によれば、ワイヤレス電力伝送を行いながら、干渉なくスマートキーシステムを正常に動作させることが可能となる。
また、車両におけるスマートキーシステムはトリガが発生したときに、その信号を落とすことがあっては商品性の低下を招く。したがって、本実施形態のワイヤレス電力伝送装置によって、スマートキーシステムのLFアンテナが充分に機能しない状況においても高い確度でトリガの発生をスマートキーシステムに伝達することは商品性を確保する上で高い効果がある。
また、ワイヤレス電力伝送装置の1次側コイルをスマートキーシステムのLFアンテナとして用いることができるので、スマートキーシステムのLFアンテナを削減できる。この削減によって、コストダウンを図ることができる。
11 電力伝送部
12 携帯機器
12W 通信
13 LF帯通信信号発生部
15W 電力伝送
18W ノイズ経路、通信信号
100 与干渉システム
101 1次側コイル(1次コイル)
102 2次側コイル(2次コイル)
172S、173S 制御信号
20 車両、自動車
21 LFアンテナ
21A、21B、・・・、21* LFアンテナ
21AS、21BS、・・・、21*S 信号
21AW、21BW、・・・、21*W LF信号
21I LFアンテナ、車内のLFアンテナ
21O LFアンテナ、車外のLFアンテナ
21W LF帯通信、LF信号、ASK信号
22 RFアンテナ
22S 信号
23 スマートキー、FOB(車両用ワイヤレス作動機器)
23W RF帯通信、RF信号
200 スマートキーシステム、被干渉システム(車両用ワイヤレス作動機器)
310 ワイヤレス電力伝送1次側
312 ワイヤレス電力伝送2次側
330 スマートキー制御ユニット
331 ドアスイッチ、ドアSW
331S 信号
332 エンジンスタートキー
332S 信号
333 ドアロック
333S 制御信号
81 電圧変換回路
82 ドライブ回路
83S 制御信号
83W 信号
84 ドライブ制御回路
84S 制御信号
85 電源
911、912、913、914 MOSFET
920 スイッチ回路
931 並列切替、並列切替回路
941、942 直列切替、直列切替回路
951 コンデンサ
961 正電位線
962 負電位線(アース)
963、964 インバータ出力、インバータ出力線
Claims (13)
- 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、
前記送電手段は、
前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を前記携帯機器を介さずに送信することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。 - 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、
前記送電手段は、
当該送電手段による電力送信出力に前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を重畳して送信することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。 - 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、
前記送電手段は、
当該送電手段による電力送信出力を中断し前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。 - 前記送電手段による電力送信出力を中断し前記車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信することを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス電力伝送装置。
- 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、
前記送電手段は、
前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信し、
前記車両用ワイヤレス作動機器は車両用スマートキーシステムの携帯機器であり、前記送電手段の前記1次コイルまたは1次アンテナをスマートキーシステムの車両側送信アンテナとして使用することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。 - 前記車両用ワイヤレス作動機器は車両用スマートキーシステムの携帯機器であり、前記送電手段の前記1次コイルまたは1次アンテナをスマートキーシステムの車両側送信アンテナとして使用することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送装置。
- 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置であって、
前記送電手段は、
前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信し、
前記車両用ワイヤレス作動機器と前記車両との通信が前記送電手段の出力によって妨げられる場合において、前記車両用ワイヤレス作動機器に対する信号を前記送電手段により送信することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。 - 前記車両用ワイヤレス作動機器と前記車両との通信が前記送電手段の出力によって妨げられる場合において、前記車両用ワイヤレス作動機器に対する信号を前記送電手段により送信することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送装置。
- 1次コイルまたは1次アンテナにより電力を送出する送電手段を有し、
前記1次コイルまたは1次アンテナと電磁結合可能な2次コイルまたは2次アンテナにより電力を受電する受電手段を備える携帯機器に、前記1次コイルまたは1次アンテナを介して無線で電力を伝送する車両用のワイヤレス電力伝送装置と、
スマートキーに対してLF波を送信するLFアンテナ、および、前記LF波を受信した前記スマートキーが送信するRF波を受信するRFアンテナを備え、車両の制御を行うスマートキーシステムと、
を含んでなる車載システムであって、
前記車両用のワイヤレス伝送装置の前記送電手段は、
前記電力伝送による給電の対象となる携帯機器以外の車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信可能であり、
前記送電手段が、前記スマートキーシステムが備えるLFアンテナとして機能することを特徴とする車載システム。 - 前記送電手段による電力送信出力に前記車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を重畳して送信することを特徴とする請求項9に記載の車載システム。
- 前記送電手段による電力送信出力を中断し前記車両用ワイヤレス作動機器に対する通信信号を送信することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の車載システム。
- 前記車両用ワイヤレス作動機器は車両用スマートキーシステムの携帯機器であり、前記送電手段の前記1次コイルまたは1次アンテナをスマートキーシステムの車両側送信アンテナとして使用することを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の車載システム。
- 前記車両用ワイヤレス作動機器と前記車両との通信が前記送電手段の出力によって妨げられる場合において、前記車両用ワイヤレス作動機器に対する信号を前記送電手段により送信することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の車載システム。
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