JP5588757B2 - In−Se合金粉末、In−Se合金焼結体、Ga−Se合金粉末、Ga−Se合金焼結体、In−Ga−Se合金粉末、In−Ga−Se合金焼結体、Cu−In−Ga−Se合金粉末及びCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法 - Google Patents

In−Se合金粉末、In−Se合金焼結体、Ga−Se合金粉末、Ga−Se合金焼結体、In−Ga−Se合金粉末、In−Ga−Se合金焼結体、Cu−In−Ga−Se合金粉末及びCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリングターゲットの材料として用いることが可能なIn−Se合金粉末、In−Se合金焼結体、Ga−Se合金粉末、Ga−Se合金焼結体、In−Ga−Se合金粉末、In−Ga−Se合金焼結体、Cu−In−Ga−Se合金粉末及びCu−In−Ga−Se合金焼結体に関する。
Cu−In−Ga−Se合金(以下、CIGS)からなるCIGS層を吸収層とするCu(In、Ga)Se系太陽電池は、薄膜太陽電池の中では最も変換効率が高く長期信頼性も実証されているため、次世代太陽電池として有力視されている。このCIGS層の形成方法は、Cu−Ga膜及びIn膜を積層で成膜し、Se雰囲気中で熱処理する方法が広く知られている。
しかしながら、上記の方法では、多層膜の積層やSe雰囲気処理を行うためにCIGS層の製造コストを削減することは困難である。ここで、CIGSからなるスパッタリングターゲットであるCIGSターゲットを用いてスパッタリング法によりCIGS層を形成することができれば、多層膜の積層やSe雰囲気処理の必要はなく、製造コストを低減させることが可能である。
例えば、特許文献1には、CIGSターゲットの製造方法が記載されている。特許文献1に記載の方法では、CuとSeとを合金化してCu−Se合金溶湯を作製し、このCu−Se合金溶湯にInを少量ずつ投入してCu−Se−In合金溶湯を作製する。Cu−Se−In合金溶湯にGaを投入して加熱し、得られたCu−In−Ga−Se合金インゴットを加工してCu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製する。
特開2008−163367号公報(段落[0008])
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、加熱温度によってInとCu−Se合金が激しく反応して爆発を引き起こす場合があることが記載されている。これはCu−Se合金中に単体として残留しているSeとInの合金化反応によるものであると考えられる。そこで本発明者らは、この点を考慮してCIGSターゲットとして用いることが可能な、CIGS焼結体を安全に製造する方法を検討した。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、安全に製造することが可能なIn−Se合金粉末、In−Se合金焼結体、Ga−Se合金粉末、Ga−Se合金焼結体、In−Ga−Se合金粉末、In−Ga−Se合金焼結体、Cu−In−Ga−Se合金粉末及びCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るIn−Se合金粉末の製造方法は、In粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
上記In及びSe混合粉末は、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るIn−Se合金焼結体の製造方法はIn粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に上記In及びSe混合粉末を逐次的に投入して作製される。
上記In−Se合金粉末は焼結される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るGa−Se合金粉末の製造方法は、Ga粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製する。
上記Ga及びSe混合粉末は、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るGa−Se合金焼結体の製造方法はGa粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製する。
Ga−Se合金粉末は、上記Ga及びSe混合粉末をGa及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
上記Ga−Se合金粉末は焼結される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るIn−Ga−Se合金粉末の製造方法は、In粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製する。
上記In、Ga及びSe混合粉末は、In、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るIn−Ga−Se合金焼結体の製造方法はIn粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製する。
In−Ga−Se合金粉末は、上記In、Ga及びSe混合粉末をIn、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
上記In、Ga及びSe合金粉末は焼結される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るCu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法は、In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、上記In及びSe混合粉末をIn及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末は作製される。
In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は、上記In−Se合金粉末と上記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することで作製される。
上記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は焼成される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法は、In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、上記In及びSe混合粉末をIn及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末は作製される。
In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は、上記In−Se合金粉末と上記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することで作製される。
Cu−In−Ga−Se合金粉末は、上記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成して作製される。
上記Cu−In−Ga−Se合金粉末は焼結される。
本発明の第1の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る逐次投下法を実施するための反応設備の模式図である。 比較例として示す、InとSeの合金化反応の様子を示す写真である。 InとSeの合金化反応についてのTG−DTA測定の結果を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るIn−Se合金粉末のXRD測定の結果を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るCu−In−Ga−Se合金粉末のXRD測定の結果を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るCu−In−Se合金のXRD測定の結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係るIn−Se合金粉末の製造方法は、In粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
上記In及びSe混合粉末は、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
この製造方法によれば、加熱部に投入されたIn及びSe混合粉末は溶融し、InとSeが発熱を伴なう合金化反応を生じる。ここで、In及びSe混合粉末は、加熱部に逐次的(断続的、間欠的)に投入されるため、In及びSe混合粉末の投入された部分に含まれるInとSeの合金化反応により発生した熱は次のIn及びSe混合粉末が投入されるまでに放熱される。したがって、InとSeの合金化反応に伴なう熱が爆発的に発生することが防止され、安全にIn−Se合金粉末を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るIn−Se合金焼結体の製造方法は、In粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、上記In及びSe混合粉末をIn及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
上記In−Se合金粉末は焼結される。
この製造方法によれば、In−Se合金粉末に含まれるInとSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程においてInとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生することがなく、安全にIn−Se合金焼結体を製造することが可能である。
本発明の一実施形態に係るGa−Se合金粉末の製造方法は、Ga粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製する。
上記Ga及びSe混合粉末は、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
この製造方法によれば、加熱部に投入されたGa及びSe混合粉末は溶融し、GaとSeが発熱を伴なう合金化反応を生じる。ここで、Ga及びSe混合粉末は、加熱部に逐次的(断続的、間欠的)に投入されるため、Ga及びSe混合粉末の投入された部分に含まれるGaとSeの合金化反応により発生した熱は次のGa及びSe混合粉末が投入されるまでに放熱される。したがって、GaとSeの合金化反応に伴なう熱が爆発的に発生することが防止され、安全にGa−Se合金粉末を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るGa−Se合金焼結体の製造方法はGa粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製する。
Ga−Se合金粉末は、上記Ga及びSe混合粉末をGa及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
上記Ga−Se合金粉末は焼結される。
この製造方法によれば、Ga−Se合金粉末に含まれるGaとSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程においてGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生することがなく、安全にGa−Se合金焼結体を製造することが可能である。
本発明の一実施形態に係るIn−Ga−Se合金粉末の製造方法は、In粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製する。
上記In、Ga及びSe混合粉末は、In、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入される。
この製造方法によれば、加熱部に投入されたIn、Ga及びSe混合粉末は溶融し、InとSe及びGaとSeが発熱を伴なう合金化反応を生じる。ここで、In、Ga及びSe混合粉末は、加熱部に逐次的(断続的、間欠的)に投入されるため、In、Ga及びSe混合粉末の投入された部分に含まれるIn、Ga及びSeの合金化反応により発生した熱は次のIn、Ga及びSe混合粉末が投入されるまでに放熱される。したがって、InとSe及びGaとSeの合金化反応に伴なう熱が爆発的に発生することが防止され、安全にIn−Ga−Se合金粉末を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るIn−Ga−Se合金焼結体の製造方法はIn粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製する。
In−Ga−Se合金粉末は、上記In、Ga及びSe混合粉末をIn、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
上記In−Ga−Se合金粉末は焼結される。
この製造方法によれば、In−Ga−Se合金粉末に含まれるIn、Ga及びSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程においてInとSe及びGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生することがなく、安全にIn−Ga−Se合金焼結体を製造することが可能である。
本発明の一実施形態に係るCu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法は、In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、上記In及びSe混合粉末をIn及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末は作製される。
In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は、上記In−Se合金粉末と上記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することで作製される。
上記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は焼成される。
In及びSe混合粉末は逐次的(断続的、間欠的)に投入されるため、上述のようにInとSeの合金化反応に伴なう熱が爆発的に発生することが防止される。また、このとき、In及びSe混合粉末は、Inの全量がSeと合金化する割合でIn粉末とSe粉末が混合されているため、In−Se合金粉末にはInの単相はほぼ存在しない。これにより、In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末においては、単相のIn及びGaが存在しないため、焼成によってもInとSe及びGaとSeの発熱を伴なう合金化反応は発生せず、安全にCu−In−Ga−Se合金粉末を作製することが可能である。
本発明の一実施形態に係るCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法は、In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製する。
In−Se合金粉末は、上記In及びSe混合粉末をIn及びSeの融点以上に加熱された加熱部に逐次的に投入して作製される。
Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末は作製される。
In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末は、上記In−Se合金粉末と上記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することで作製される。
Cu−In−Ga−Se合金粉末は、上記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成して作製される。
上記Cu−In−Ga−Se合金粉末は焼結される。
上述のようにCu−In−Ga−Se合金粉末においてはIn、Ga及びSeの合金化反応は完了しているため、焼結工程においてInとSe及びGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生せず、安全にCu−In−Ga−Se合金焼結体を作製することが可能である。
上記Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法は、上記Cu−In−Ga−Se合金焼結体をターゲット形状に加工する工程をさらに有してもよい。
この製造方法によれば、上記Cu−In−Ga−Se合金焼結体からCu−In−Ga−Se合金からなるスパッタリングターゲットを製造することが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。同図に示す各ステップについて、順に説明する。
[In−Se合金粉末の製造方法]
In(インジウム)粉末及びSe(セレン)粉末を所定の割合で混合する(St101)。この混合割合は、後述する合金化の工程において、InがSeと完全に合金化する割合とする。具体的には、SeとInの合金化によって主にInSe相が形成されるため、物質量でInがSeの2/3倍以下となるようにする。In粉末とSe粉末が十分に混合されるように攪拌し、「In及びSe混合粉末」を作製する。
次に、In及びSe混合粉末を逐次投下法によって合金化する(St102)。図2は、逐次投下法を実施するための反応設備の模式図である。同図に示すように、本反応設備では、グローブボックス1の内部に、投下容器2、投下路3及び坩堝4が設けられている。投下容器2は坩堝4より上方に配置され、投下容器2と坩堝4の間には投下路3が架されている。投下容器2には、容器の内容物を坩堝4に導くための孔と、この孔を開閉する図示しない開閉機構が設けられている。また坩堝4には、坩堝4を加熱するためのマントルヒータ5が設けられている。なお、反応設備の構成はここに示すものに限られず、例えば、投下容器2は坩堝4の直上に配置されてもよい。
このような反応設備を用いた逐次投下法の手順について説明する。
投下容器2にIn及びSe混合粉末を投入した後、グローブボックス1内の空気をAr等の不活性ガスにより置換し、グローブボックス内の酸素濃度が0.0%以下となるようにする。これは、酸素とIn及びSeの酸化反応を防止するためである。また、マントルヒータ5により坩堝4をInとSeの融点(In:156℃、Se:217℃)以上、例えば220℃以上300℃以下に加熱しておく。
投下容器2の開閉機構により、収容されているIn及びSe混合粉末を所定量、投下路3に投下させる。投下量は、生産規模、反応設備の耐久性等に応じて決定する。投下路3に投下されたIn及びSe混合粉末は坩堝4の内部に投入される。ここで、坩堝4は所定温度に加熱されているため、投入されたIn及びSe混合粉末のIn及びSeは溶解して合金化反応が発生し、「In−Se合金粉末」が生成する。このInとSeの合金化反応について以下で説明する。
図3は比較として示す、InとSeの合金化反応の様子を示す写真である。図3(a)は合金化反応前のIn及びSe混合粉末、図3(b)及び図3(c)は合金化反応後のIn−Se合金粉末の写真である。図3(a)に示すIn及びSe混合粉末を大気中あるいは真空中で加熱すると、200℃(Seの融点近傍)で小爆発が発生し、In及びSe混合粉末の大半が飛散する。図3(b)及び図3(c)に示すように、合金化反応後には、Inを主成分とする未反応物(図中に矢印で示す)が残存する。また、坩堝には、割れや焦げたような反応痕が発生する。このような爆発的反応は、後述するGaとSeの合金化反応でも同様に発生する。
図4は、InとSeの合金化反応についてのTG−DTA(Thermogravimetry− Differential Thermal Analysis:熱重量・示差熱分析)測定の結果を示すグラフである。同図においてグラフの横軸はサンプル温度(℃)であり、縦軸はTGについてサンプルの重量変化(割合)(右目盛り)、DTAについてリファレンスとサンプルの温度差(熱電対の起電力(μV))(左目盛り)である。DTAのグラフについて、156℃(Inの融点)と217℃(Seの融点)においてそれぞれの元素の融解に伴なう吸熱ピークが観測される。また、180℃から240℃にかけて、InとSeの合金化反応による発熱ピークが観測される。この測定結果から、図3に示した爆発的反応は、InとSeの合金化反応によるものであることが確認される。
図1に戻り、St102では、坩堝4に投入されたIn及びSe混合粉末の合金化反応が収束し、発熱が低下した後、次のIn及びSe混合粉末を坩堝4に投入する。即ち、In及びSe混合粉末を逐次的(断続的、間欠的)に坩堝4に投入し合金化させる。これにより、In及びSeの合金化反応に伴なう発熱反応を時間的に分散させ、安全にIn−Se合金粉末を作製することが可能となる。
図5は、St102で作製されたIn−Se合金粉末のXRD(X‐ray diffraction:X線回折)測定の結果を示すグラフである。また、図5には、γ−InSe、β−InsSe及びInSeのそれぞれのXRDの文献値を併せて示す。γ及びβはそれぞれInSeの結晶構造を示す。同図に示すように、上記逐次投下法によって作製されたIn−Se合金はγ−InSeが主成分であり、β−InSe(不安定相)及びInSeも多少含まれていることがわかる。以上のようにしてIn−Se合金粉末が作製される。
このようにして作製されたIn−Se合金粉末は、次に説明するようにCIGS(Cu−In−Ga−Se合金)焼結体の原料とすることができる。また、In−Se合金粉末を焼結してIn−Se合金焼結体を作製し、それを加工してIn−Se合金ターゲットを作製することも可能である。In−Se合金粉末に含まれるInとSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程において発熱反応が生じることはなく安全にIn−Se合金焼結体を作製することが可能である。
[Cu−Ga合金粉末の製造方法]
図1に戻り、Cu(銅)インゴット及びGa(ガリウム)インゴットを溶解して混合する(St103)。この混合割合は、GaがCuと完全に合金化する割合とする。これにより「Cu−Ga合金インゴット」が形成される。
次に、Cu−Ga合金インゴットを粉砕する(St104)。Cu−Ga合金インゴットの粉砕方法は任意である。これにより「Cu−Ga合金粉末」が作製される。
[Cu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法]
St102で作製したIn−Se合金粉末及びSt104で作製したCu−Ga合金粉末に、新たにCu粉末とSe粉末を加えて混合する(St105)。このとき、各粉末の量は、目的とするCIGSの組成、例えばCuIn0.8Ga0.2Seとなるようにする。各粉末が十分混合するように攪拌し、「In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末」を作製する。
次に、上記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成する(St106)。焼成温度は例えば620℃とすることができる。これにより、Cu、In、Ga及びSeが合金化され、「Cu−In−Ga−Se合金粉末」が作製される。ここで、In−Se合金粉末では上述(St101)のようにInがSeと完全に合金化する割合で合金化されているため、Inの単相はほとんど存在しない。また、Cu−Ga合金粉末では、上述(St103)のようにGaがCuと完全に合金化する割合で合金化されているためGaの単相はほとんど存在しない。このため、Cu、In、Ga及びSeが合金化される際に、InとSe又はGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生せず、安全に合金化させることが可能となる。
図6は焼成により作製されたCu−In−Ga−Se合金粉末のXRD測定の結果を示すグラフである。焼成温度は620℃である。図6にはCIGS(CuIn0.8Ga0.2Se)の文献値を併せて示す。同図に示すように、焼成によりCu−In−Ga−Se相が形成されていることが確認される。
[Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法]
次に、St106において作製されたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結し、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製する(St107)。焼結は、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)やホットプレス法(HP:Hot press)等の方法によって行うことができる。焼結の際には、Cu−In−Ga−Se合金粉末に単相のIn、Se及びGaは含まれていないため、SeとIn及びGaとInの発熱反応に起因する爆発的反応は発生せず、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を安全に製造することが可能である。このようにして作製されたCu−In−Ga−Se合金焼結体はカルコパイライト型結晶構造を有する。
次に、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を加工して、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製する(St108)。この加工は、切削、研削等の任意の手法によって行うことができる。以上のようにして、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製することが可能である。なお、本実施形態では、In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成(St106)した後、得られたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結(St107)して、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製した。しかし、In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼結して直接Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製することも可能である。
また、St105では、In−Se合金粉末と、Cu−Ga合金粉末、Cu粉末及びSe粉末を混合して目的とするCIGSの組成としたが、In−Se合金粉末と混合する材料はこれらに限られない。In−Se合金粉末と混合する材料として、単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Seのいずれか、又はいずれかの組み合わせとすることができる。例えば、In−Se合金粉末とCu−Se合金粉末を混合した場合、焼成及び焼結工程によって、ターゲットの材料となるCu−In−Se合金(CIS)を作製することが可能である。
図7は、In−Se合金(InSe)とCu−Se合金(CuSe)から作製されたCu−In−Se合金のXRD測定の結果を示すグラフである。図7にはCIS(CuInSe)の文献値を併せて示す。このCu−In−Se合金は、In−Se合金粉末とCu−Se合金粉末とを混合して、750℃で4時間焼成したものである。同図に示すように、CIS相が形成されていることが確認される。このように、本実施形態のIn−Se合金粉末は単相のInを含有しないため、Seと合金化発熱反応を生じない単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Se等の材料と混合し、合金化させることが可能である。
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。同図に示す各ステップについて、順に説明する。
[Ga−Se合金粉末の製造方法]
Ga粉末及びSe粉末を所定の割合で混合する(St201)。この混合割合は、後述する合金化の工程において、GaがSeと完全に合金化する割合とする。Ga粉末とSe粉末が十分に混合されるように攪拌し、「Ga及びSe混合粉末」を作製する。
次に、Ga及びSe混合粉末を第1の実施形態と同様の反応設備を用いて逐次投下法により合金化する(St202)。具体的な手順としては、投下容器2にGa及びSe混合粉末を投入した後、グローブボックス1内の空気をAr等の不活性ガスにより置換し、グローブボックス内の酸素濃度が0.0%以下となるようにする。これは、酸素とGa及びSeの酸化反応を防止するためである。また、マントルヒータ5により坩堝4をGaとSeの融点(Ga:30℃、Se:217℃)以上、例えば220℃以上300℃以下に加熱しておく。
投下容器2の開閉機構により、収容されているGa及びSe混合粉末を所定量、投下路3に投下させる。投下量は、生産規模、反応設備の耐久性等に応じて決定する。投下路3に投下されたGa及びSe混合粉末は坩堝4の内部に投入される。ここで、坩堝4は所定温度に加熱されているため、投入されたGa及びSe混合粉末のGa及びSeは溶解して合金化反応が発生し、「Ga−Se合金粉末」が生成する。
St102では、坩堝4に投入されたGa及びSe混合粉末の合金化反応が収束し、発熱が低下した後、次のGa及びSe混合粉末を坩堝4に投入する。即ち、Ga及びSe混合粉末を逐次的(断続的、間欠的)に坩堝4に投入し合金化させる。これにより、Ga及びSeの合金化反応に伴なう発熱反応を時間的に分散させ、安全にGa−Se合金粉末を作製することが可能となる。
このようにして作製されたGa−Se合金粉末は、次に説明するようにCIGS(Cu−In−Ga−Se合金)焼結体の原料とすることができる。また、Ga−Se合金粉末を焼結してGa−Se合金焼結体を作製し、それを加工してGa−Se合金ターゲットを作製することも可能である。Ga−Se合金粉末に含まれるGaとSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程において発熱反応が生じることはなく安全にGa−Se合金焼結体を作製することが可能である。
[Cu−In合金粉末の製造方法]
図1に戻り、Cuインゴット及びInインゴットを溶解して混合する(St203)。この混合割合は、InがCuと完全に合金化する割合とする。これにより「Cu−In合金インゴット」が形成される。
次に、Cu−In合金インゴットを粉砕する(St204)。Cu−In合金インゴットの粉砕方法は任意である。これにより「Cu−In合金粉末」が作製される。
[Cu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法]
St202で作製したGa−Se合金粉末及びSt204で作製したCu−In合金粉末に、新たにCu粉末とSe粉末を加えて混合する(St205)。このとき、各粉末の量は、目的とするCIGSの組成、例えばCuIn0.8Ga0.2Seとなるようにする。各粉末が十分混合するように攪拌し、「Ga−Se、Cu−In、Cu、及びSe混合粉末」を作製する。
次に、上記Ga−Se、Cu−In、Cu、及びSe混合粉末を焼成する(St206)。焼成温度は例えば620℃とすることができる。これにより、Cu、In、Ga及びSeが合金化され、「Cu−In−Ga−Se合金粉末」が作製される。ここで、Ga−Se合金粉末では上述(St201)のようにGaがSeと完全に合金化する割合で合金化されているため、Gaの単相はほとんど存在しない。また、Cu−In合金粉末では、上述(St203)のようにInがCuと完全に合金化する割合で合金化されているためInの単相はほとんど存在しない。このため、Cu、In、Ga及びSeが合金化される際に、InとSe又はGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生せず、安全に合金化させることが可能となる。
[Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法]
次に、St206において作製されたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結し、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製する(St207)。焼結は、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)やホットプレス法(HP:Hot press)等の方法によって行うことができる。焼結の際には、Cu−In−Ga−Se合金粉末に単相のIn、Se及びGaは含まれていないため、SeとIn及びGaとInの発熱反応に起因する爆発的反応は発生せず、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を安全に製造することが可能である。このようにして作製されたCu−In−Ga−Se合金焼結体はカルコパイライト型結晶構造を有する。
次に、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を加工して、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製する(St208)。この加工は、切削、研削等の任意の手法によって行うことができる。以上のようにして、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製することが可能である。なお、本実施形態では、Ga−Se、Cu−In、Cu、及びSe混合粉末を焼成(St206)した後、得られたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結(St207)して、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製した。しかし、Ga−Se、Cu−In、Cu、及びSe混合粉末を焼結して直接Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製することも可能である。
また、St205では、Ga−Se合金粉末と、Cu−In合金粉末、Cu粉末及びSe粉末を混合して目的とするCIGSの組成としたが、Ga−Se合金粉末と混合する材料はこれらに限られない。Ga−Se合金粉末と混合する材料として、単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Seのいずれか、又はいずれかの組み合わせとすることができる。例えば、Ga−Se合金粉末とCu−Se合金粉末を混合した場合、焼成及び焼結工程によって、ターゲットの材料となるCu−Ga−Se合金(CGS)を作製することが可能である。このように、本実施形態のGa−Se合金粉末は単相のGaを含有しないため、Seと合金化発熱反応を生じない単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Se等の材料と混合し、合金化させることが可能である。
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係るCIGSターゲット及びその原料の製造方法を示すフローチャートである。同図に示す各ステップについて、順に説明する。
[In−Ga−Se合金粉末の製造方法]
In粉末、Ga粉末及びSe粉末を所定の割合で混合する(St301)。この混合割合は、後述する合金化の工程において、In及びGaがSeと完全に合金化する割合とする。In粉末、Ga粉末及びSe粉末が十分に混合されるように攪拌し、「In、Ga及びSe混合粉末」を作製する。
次に、In、Ga及びSe混合粉末を第1の実施形態と同様の反応設備を用いて逐次投下法により合金化する(St302)。具体的な手順としては、投下容器2にIn、Ga及びSe混合粉末を投入した後、グローブボックス1内の空気をAr等の不活性ガスにより置換し、グローブボックス内の酸素濃度が0.0%以下となるようにする。これは、酸素とIn、Ga及びSeの酸化反応を防止するためである。また、マントルヒータ5により坩堝4をIn、Ga及びSeの融点(In:156℃、Ga:30℃、Se:217℃)以上、例えば220℃以上300℃以下に加熱しておく。
投下容器2の開閉機構により、収容されているIn、Ga及びSe混合粉末を所定量、投下路3に投下させる。投下量は、生産規模、反応設備の耐久性等に応じて決定する。投下路3に投下されたIn、Ga及びSe混合粉末は坩堝4の内部に投入される。ここで、坩堝4は所定温度に加熱されているため、投入されたIn、Ga及びSe混合粉末のIn
、Ga及びSeは溶解して合金化反応が発生し、「In−Ga−Se合金粉末」が生成する。
St302では、坩堝4に投入されたIn、Ga及びSe混合粉末の合金化反応が収束し、発熱が低下した後、次のIn、Ga及びSe混合粉末を坩堝4に投入する。即ち、In、Ga及びSe混合粉末を逐次的(断続的、間欠的)に坩堝4に投入し合金化させる。これにより、In、Ga及びSeの合金化反応に伴なう発熱反応を時間的に分散させ、安全にIn−Ga−Se合金粉末を作製することが可能となる。
このようにして作製されたIn−Ga−Se合金粉末は、次に説明するようにCIGS(Cu−In−Ga−Se合金)焼結体の原料とすることができる。また、In−Ga−Se合金粉末を焼結してIn−Ga−Se合金焼結体を作製し、それを加工してIn−Ga−Se合金ターゲットを作製することも可能である。In−Ga−Se合金粉末に含まれるIn、Ga及びSeは既に合金化が完了しているため、焼結工程において発熱反応が生じることはなく安全にIn−Ga−Se合金焼結体を作製することが可能である。
[Cu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法]
St302で作製したIn−Ga−Se合金粉末、新たにCu粉末とSe粉末を加えて混合する(St303)。このとき、各粉末の量は、目的とするCIGSの組成、例えばCuIn0.8Ga0.2Seとなるようにする。各粉末が十分混合するように攪拌し、「In−Ga−Se、Cu、及びSe混合粉末」を作製する。
次に、上記In−Ga−Se、Cu、及びSe混合粉末を焼成する(St304)。焼成温度は例えば620℃とすることができる。これにより、Cu、In、Ga及びSeが合金化され、「Cu−In−Ga−Se合金粉末」が作製される。ここで、In−Ga−Se合金粉末では上述(St301)のようにIn及びGaがSeと完全に合金化する割合で合金化されているため、In及びGaの単相はほとんど存在しない。このため、Cu、In、Ga及びSeが合金化される際に、InとSe又はGaとSeの発熱を伴なう合金化反応が発生せず、安全に合金化させることが可能となる。
[Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法]
次に、St304において作製されたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結し、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製する(St305)。焼結は、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)やホットプレス法(HP:Hot press)等の方法によって行うことができる。焼結の際には、Cu−In−Ga−Se合金粉末に単相のIn、Se及びGaは含まれていないため、SeとIn及びGaとInの発熱反応に起因する爆発的反応は発生せず、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を安全に製造することが可能である。このようにして作製されたCu−In−Ga−Se合金焼結体はカルコパイライト型結晶構造を有する。
次に、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を加工して、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製する(St306)。この加工は、切削、研削等の任意の手法によって行うことができる。以上のようにして、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを作製することが可能である。なお、本実施形態では、In−Ga−Se、Cu、及びSe混合粉末を焼成(St304)した後、得られたCu−In−Ga−Se合金粉末を焼結(St305)して、Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製した。しかし、In−Ga−Se、Cu、及びSe混合粉末を焼結して直接Cu−In−Ga−Se合金焼結体を作製することも可能である。
また、St303では、In−Ga−Se合金粉末と、Cu粉末及びSe粉末を混合して目的とするCIGSの組成としたが、In−Ga−Se合金粉末と混合する材料はこれらに限られない。Ga−Se合金粉末と混合する材料として、単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Seのいずれか、又はいずれかの組み合わせとすることができる。このように、本実施形態のIn−Ga−Se合金粉末は単相のIn及びGaを含有しないため、Seと合金化発熱反応を生じない単体Cu、Cu−Ga合金、Cu−Se合金、単体Se等の材料と混合し、合金化させることが可能である。
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
上記実施形態では、Cu、In、Ga及びSeを合金化するものとしたが、他の元素をさらに追加してもよい。この場合であっても、GaとIn及びSeとInの合金化反応に伴う発熱を逐次投下法により抑制することが可能である。
上記実施形態では、Cu−In−Ga−Se合金焼結体の例として、Cu−In−Ga−Se合金ターゲットを示した。しかし、Cu−In−Ga−Se合金焼結体はスパッタリングターゲットには限られず、他の用途に用いることも可能である。

Claims (9)

  1. In粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In及びSe混合粉末を逐次的に投入する
    In−Se合金粉末の製造方法。
  2. In粉末とSe粉末を混合してIn及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In及びSe混合粉末を逐次的に投入してIn−Se合金粉末を作製し、
    前記In−Se合金粉末を焼結する
    In−Se合金焼結体の製造方法。
  3. Ga粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記Ga及びSe混合粉末を逐次的に投入する
    Ga−Se合金粉末の製造方法。
  4. Ga粉末とSe粉末を混合してGa及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記Ga及びSe混合粉末を逐次的に投入してGa−Se合金粉末を作製し、
    前記Ga−Se合金粉末を焼結する
    Ga−Se合金焼結体の製造方法。
  5. In粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In、Ga及びSe混合粉末を逐次的に投入する
    In−Ga−Se合金粉末の製造方法。
  6. In粉末、Ga粉末及びSe粉末を混合してIn、Ga及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In、Ga及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In、Ga及びSe混合粉末を逐次的に投入してIn−Ga−Se合金粉末を作製し、
    前記In−Ga−Se合金粉末を焼結する
    In−Ga−Se合金焼結体の製造方法。
  7. In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In及びSe混合粉末を逐次的に投入してIn−Se合金粉末を作製し、
    Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末を作製し、
    前記In−Se合金粉末と前記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することでIn−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を作製し、
    前記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成する
    Cu−In−Ga−Se合金粉末の製造方法。
  8. In粉末とSe粉末を、Inの全量がSeと合金化する割合で混合してIn及びSe混合粉末を作製し、
    不活性ガス雰囲気下で、In及びSeの融点以上に加熱された加熱部に前記In及びSe混合粉末を逐次的に投入してIn−Se合金粉末を作製し、
    Gaの全量がCuと合金化しているCu−Ga合金粉末を作製し、
    前記In−Se合金粉末と前記Cu−Ga合金粉末にCu粉末とSe粉末を加えて混合することでIn−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を作製し、
    前記In−Se、Cu−Ga、Cu及びSe混合粉末を焼成してCu−In−Ga−Se合金粉末を作製し、
    前記Cu−In−Ga−Se合金粉末を焼結する
    Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法。
  9. 請求項8に記載のCu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法であって、
    前記Cu−In−Ga−Se合金焼結体をターゲット形状に加工する工程をさらに有する
    Cu−In−Ga−Se合金焼結体の製造方法。
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