JP5588611B2 - ラジカル生成固体触媒 - Google Patents

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本発明は固体触媒に関し,より詳細には,基材と,該基材上に形成された触媒機能を有する金属被膜によって構成され,加熱や光の照射なしにラジカルの生成により有機物の分解等の触媒としての機能を発揮するラジカル生成固体触媒に関する。
有機物である有害物質の分解や,親水性の付与等を目的として,光触媒機能を有する酸化物金属,例えば二酸化チタンを各種製品表面にコーティングすることが行われている。
このような酸化チタン等の酸化金属から成る光触媒は,光,一般には波長400nm以下の紫外線領域の光の照射を受けると触媒として活性化して,有機物の分解等の触媒としての機能を発揮する(非特許文献1参照)。
このように,酸化金属によって構成される光触媒において,触媒として機能させるためには,太陽光やブラックライトの照射等,紫外線領域の波長を持つ光の照射が必要で,使用環境が制限されることから,このような問題を解消するために,不純物をドーピングする等して触媒作用を励起する光の波長を長波長側にシフトさせて,可視光の照射によっても触反応を発揮するように改良した,「可視光応答型」と呼ばれる光触媒も提案されている。
しかし,このような可視光応答型の光触媒であっても,触媒機能の励起のためには光の照射が必要であることに変わりがなく,依然として使用環境が光を照射可能な環境に制約されるという課題を解消し得るものとなっていない。
このような光触媒の持つ欠点に着目し,光の照射を行うことなく触媒としての機能を発揮させることができる「電荷移動(Charge Transfer)型」と呼ばれる触媒も提案されている。
このような電荷移動型触媒の一例として,特許文献1には,電子供与元素と電子受容元素と前記電子供与元素から電子受容元素への電子の移動を促進する電子キャリアー元素と前記電子受容元素に移動した電子により還元反応を行う還元中心元素と電子の移動により生じた前記電子供与元素の正孔により酸化反応を行う酸化中心元素との複合酸化物結晶からなり,該複合酸化物の結晶構造内外に酸化反応を活性化する還元活性化材を含めた電荷移動型触媒が提案されている。
そして,このような電荷移動型触媒によれば,光の照射を行うことなく,触媒に触れた物質を酸化還元反応により分解し,防汚性,抗菌性,防臭性を発揮させることができるとしている(特許文献1の請求項1,及び「発明の効果」欄)。
この発明の先行技術文献情報としては,次のものがある。
光触媒工業界ホームページ中の「光触媒入門」(http://www.piaj.gr.jp/roller/contents/entry/200706118) 特開2002−1121号公報
酸化チタン系光触媒は,前述したように,近年ようやく可視光域でも作用する改良型が開発された状況である。
しかしながら,その作用は非常に長時間を要し,日照条件の良い環境でも有機物の分解(酸化分解)には,数日を要する。
また,酸化チタンは光触媒以外の用途として,工業排煙のNOx触媒基材として広く活用されているが,その際の使用温度は200℃以上である。
ここで,酸化チタン系の光触媒は,抗菌・防カビなどの効果が確認され実用化されているが,その際の作用は,菌やカビの有機物全量を酸化分解しているのではなく,DNAに分解の起点を与えることにより死滅させていると言われている。
又,酸化チタン系の光触媒では,連鎖反応の基点となるラジカルの生成に光の照射が不可欠である。
これに対し,特許文献1に記載された電荷移動型触媒にあっては,光の照射を必要とせずに電子移動とこれに伴う正孔の発生を生じさせることが可能であるとされている。
しかし,特許文献1の電荷移動型触媒にあっては,このような電子移動や正孔の発生,電子移動や正孔の発生に伴う酸化還元反応を可能とするために,触媒を複雑な「複合酸化物」と成す必要がある。
しかも,酸化中心体を構成する元素として高価な白金を使用する等,原材料が高価であると共に,複雑な構造を持つ複合酸化物構造の電荷移動型触媒を得るために,各構成成分を所定の配合で攪拌混合後,バインダーを添加して混合微粉砕して泥奨を得,これを焼成した後,更に微粉砕する等,多工程に亘る煩雑な作業を必要とし(特許文献1「0015」欄),その製造に多大な労力とエネルギーが費やされる。その結果,得られる電荷移動型触媒は高価である。
本発明は,有機物の分解等の連鎖反応を生じさせるためには,電子放出や電子移動,正孔の発生や,その発生方法のメカニズム如何に拘わらず,一連の連鎖反応の起点となるラジカルを生成することができれば良いのではないかという着眼点に基づき成されたもので,前述した荷電移動型触媒同様,光の照射を受けることなく触媒としての機能を発揮させることができるものでありながら,荷電移動型触媒のような高価な原料を使用した複雑な複合酸化物の構造を採用することなく,酸化チタンや酸化スズ等の,光触媒として既知の酸化金属に,比較的簡単な構造変化を与えることにより触媒としての機能を発揮し得るラジカル生成固体触媒を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明のラジカル生成固体触媒1は,基材10(アルミニウム−珪素合金の鋳鍛造品を除く。)と,前記基材10の表面を少なくとも部分的に被覆する金属被膜20を備えた固体触媒1において,
a)前記金属被膜20が,構成金属層24と,該構成金属層24の表面側に厚み0.1〜20μmの触媒層21を備え,前記構成金属層24は,金属チタンから成り,
a-1)前記触媒層21は,金属チタンと,該金属チタンの酸化物であるナノ結晶構造を有する酸化チタンとが混在する層から成り,
a-2)前記触媒層21の少なくとも最表面部分に,表面領域を有し,
a-2-1)前記表面領域は,結晶粒径1〜10nmのナノ結晶構造を有する前記酸化チタンから成る表面領域,又は,
a-2-2)前記酸化チタン23と未酸化の前記金属チタン22とが混在して成る表面領域から構成されると共に,
a-3)前記表面領域における前記酸化チタン23を,酸素との結合が欠乏した酸化状態とし,
a-4) 前記触媒層21において混在する前記金属チタン22と前記酸化チタン23との界面部分において,前記酸化チタン23側から前記金属チタン22の内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有し,
さらに,
b)前記基材10と前記金属被膜20との界面部分において,前記金属被膜20の構成金属(構成金属層24)を,前記基材10の構成成分と合金化結合して成り,
内燃機関のガソリンの燃焼において,メタンによる以下の式2〜式7から成る連鎖反応によるラジカル生成過程を有する構造であることを特徴とする(請求項1)。
CH 4 → CH 3 * + H* [開始反応]・・・〔式2〕
CH 3 * + O 2 → CHO* + H 2 O [連鎖移動反応]・・・〔式3〕
2CHO* + O 2 → 2CO 2 + 2H* [連鎖移動反応]・・・〔式4〕
H* + O 2 → OH* + O* [連鎖分枝反応]・・・〔式5〕
O* + CH 4 → CH 3 * + OH* [連鎖分枝反応]・・・〔式6〕
OH* + CH 4 → CH 3 * [連鎖移動反応]・・・〔式7〕 等々
(上記各式において,*はラジカル種 (活性化学種))
また,前記酸化チタン23中にルチル型,アナターゼ型,ブルカイト型の異なる結晶構造の酸化チタンを混在させることが好ましい(請求項)。
の金属被膜20の表面から約100nm以下の範囲であって,前記触媒層21から前記構成金属層24に至る部分を前述の酸素欠乏傾斜構造とすることができる(請求項)。
また,前記表面領域における前記酸化チタン23の少なくとも最表面の一部をアモルファスに類似のナノ結晶構造とすることができる(請求項)。
また,本発明の別のラジカル生成固体触媒1は,基材10(アルミニウム−珪素合金の鋳鍛造品を除く。)と,前記基材10の表面を少なくとも部分的に被覆する金属被膜20を備えた固体触媒1において,
a)前記金属被膜20が表面側に厚み0.1〜20μmの触媒層21を備え,
a-1)前記触媒層21は,微粒子状の金属スズが,該金属スズの酸化物であるナノ結晶構造を有する酸化スズ中に分散して混在する層から成り,
a-2)前記触媒層21の少なくとも最表面部分に,表面領域を有し,
a-2-1)前記表面領域は,結晶粒径1〜10nmのナノ結晶構造を有する前記酸化スズによって構成された領域,又は,
a-2-2)前記酸化スズ23と未酸化の前記金属スズ22とが混在した領域から成り,かつ,
a-3)前記表面領域における前記酸化スズ23を,酸素との結合が欠乏した酸化状態とし,
a-4) 前記触媒層21において混在する前記金属スズ22と前記酸化スズ23との界面部分において,前記酸化スズ23側から前記金属スズ22の内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有し,
さらに,
b)前記基材10と前記金属被膜20との界面部分において,前記金属被膜20の構成金属(構成金属層24)を,前記基材10の構成成分と合金化結合して成り,
鎖状の脂肪族炭化水素を主成分とする軽油との接触により,以下の式1から成るラジカル開始反応を含む反応過程により前記軽油の燃焼性を向上させる事が可能な構造であることを特徴とする(請求項5)。
〔式1〕
C14: CH3(CH212 CH3
SnO2 と接触 →
C7ラジカル:2CH3(CH26
更に,前記構成のラジカル生成固体触媒1において,酸化スズ23の一部分に,他の部分に対し原子密度が低いポーラス〔図17中の矢示(A)部分〕を前記触媒層21の表面から基材側の界面に亘り連続して形成することが好ましい(請求項)。
この場合,前記触媒層21を前記金属被膜20の表面から基材10との界面に至る全域に亘り設けた構成とすることができる(請求項)。
更に,前記酸化スズ23が,SnO2とSn34とを混在している構成とすることができる(請求項)。
このように,スズ22及び酸化スズ23によって金属被膜20を形成する場合,前記酸化スズ23側から前記微粒子状の金属スズ22の内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する前記酸素欠乏傾斜構造に形成する(請求項)。
なお,上記構成のラジカル生成固体触媒1において,前記触媒層21が前記基材よりも低摩擦係数であることを特徴とする(請求項10)。
以上説明した本発明の構成により,本発明のラジカル生成固体触媒によれば,以下に示す顕著な効果を得ることができた。
基材と,前記基材の表面を少なくとも部分的に被覆する金属被膜20を備えた固体触媒において,前記金属被膜20が表面側に厚み0.1〜20μmの触媒層21を備え,前記触媒層21を,金属と,該金属の酸化物である酸化金属とが混在する層として構成し,前記触媒層21の少なくとも最表面部分に,結晶粒径1〜10nmのナノ結晶構造を有する前記酸化金属23によって構成された表面領域,又は前記酸化金属23と未酸化の前記金属22とが混在した表面領域を構成すると共に,前記表面領域における前記酸化金属23を酸素との結合が欠乏した酸化状態とし,前記触媒層21において前記酸化金属23と混在する前記金属22が,前記酸化金属23側から前記金属22の内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有する構成とすると共に,前記基材10と前記金属被膜との界面部分において,前記金属被膜20の構成金属を,前記基材10の構成成分と合金化結合して成る構成としたことで,該構造を備えた固体触媒1に,光の照射を行うことなく,有機物の分解等の触媒機能を発揮させることができた。
また,上記構成の固体触媒1にあっては,前記金属被膜20と基材10との強固な結合を得ることができ,金属被膜20を,基材10より剥離し難いものとすることができた。
なお,光触媒においてアナターゼ型,ルチル型の酸化チタンを共存させることにより,触媒機能の数千倍という向上が得られていることが報告されており(NIKKEI MECHANICAL 1999.3 NO.534),また,近年ブルカイト型の酸化チタンの光触媒活性がかなり高いことが見出されていることから(「光触媒のしくみ」藤島昭・橋本和仁・渡部俊也 著),前記酸化金属23を酸化チタンとし,前記酸化金属23中にルチル型,アナターゼ型,ブルカイト型の異なる結晶構造の酸化チタンを混在させた構成にあっては,同様に高い触媒性が得られることが期待される。
更に,前記表面領域における酸化金属23の少なくとも最表面の一部をアモルファスに類似のナノ結晶構造としたことにより,上記の効果に加えて金属被膜20の表面強度,耐摩耗性,低摩擦性,耐食性等を改善することができ,金属被膜20に基材10の保護膜としての機能を付与することができた。
また,前記金属をスズとし,前記触媒層21を,ナノ結晶構造を有する酸化スズ中に粒子状の金属スズが分散された構造とした構成にあっては,前記酸化スズの原子密度を低い構成とすることで酸化スズ23の結晶粒間に気体や液体等である処理対象物が入り込むことができ,酸化スズ23と処理対象物との接触面積を増大させることができ,これにより触媒反応の一層の向上を図ることができた。
この場合,前記触媒層21は,前記金属被膜20の表面から基材10との界面に至る全域に亘る構成としたことにより,処理対象と酸化スズ23との接触面積をより一層増大させることができ,これにより高い触媒機能を発揮させることができた。
次に,本発明の実施例につき以下説明する。
〔基本構造〕
図1(A),(B)において,符号1は本発明のラジカル生成固体触媒(以下,単に「固体触媒」という。)であり,この固体触媒1は,基材10と,この基材10上の金属被膜20によって構成されていると共に,この金属被膜20には触媒層21が設けられている。
前述の金属被膜20は,基材10の表面全体を覆う構成としても良く,又は,基材10の表面の一部を覆うものとして構成しても良く,基材10の表面の一部を覆うように構成する場合,基材10表面が部分的に露出するように,前記金属被膜20を斑状に構成するものとしても良い。
基材10の材質は,特に限定されるものではなく,金属,セラミックス,ガラス等の各種材質のものであって良い。
この基材10上の金属被膜20は,主としてチタンやスズ,亜鉛,ジルコニア等の金属,及びこれらの酸化物によって構成されており,不純物やこの不純物の酸化物等を一部に含むものであっても良い。
この金属被膜20の表面側に設けられる触媒層21は,0.1〜20μmの厚みを有する層として構成されており,その最表面部分である表面領域は,前記金属の酸化物である酸化金属23のみから成るものであっても良く,又は,前記酸化金属23と,未酸化の前記金属22とが混在した領域として構成しても良い。
図1(A),(B)に示す実施形態にあっては,いずれも表面領域を,酸化金属23と未酸化の金属22とを混在させたものとしている。
この酸化金属23は,図1(A)に示すように,触媒層21の最表面においてのみ存在するものとしても良く,又は,図1(B)に示すように,触媒層21の全域に亘り酸化金属23が存在するものとしても良い。
この酸化金属23は,結晶粒径が1〜10nmのナノ結晶構造を有し,表面領域においてこの酸化金属23の最表面は,酸素との結合量が欠乏した酸化状態(酸素欠乏構造)となっている。
また,前記触媒層21において混在する前記金属22と前記酸化金属23との界面部分において,前記酸化金属23側から前記金属22の内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有するものとなっており,図1(A)に示す例では,ナノ結晶層212(触媒層21)中に存在する未酸化金属22の,酸化金属23との界面部分(図中台形に現れた未酸化金属22の斜辺部分)の他,構成金属層24と酸化金属23との界面部分についても前記酸素欠乏傾斜構造とすることができ,また,図1(B)に示す例では,未酸化の金属22によって形成された微粒子が,表面から内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する前記酸素欠乏傾斜構造を有している。
更に,前記基材10と前記金属被膜20との界面部分において,前記金属被膜20の構成金属が前記基材10と合金化結合した構成を備えている。
このような構造を有する本発明の固体触媒1において,光の照射を必要とせずに有機物の分解等の触媒機能を発揮する理由は必ずしも明らかではないが,本発明の固体触媒1にあっては,表面領域において前述したように酸化金属23が酸素との結合量が欠乏した酸化状態にあることが,有機物の分解に至る連鎖反応の起点となるラジカルの生成に何らかの寄与を果たしていると考えられる。
また,酸化金属23をナノ結晶構造としたことにより,例えば結晶粒界の増加や欠陥の発生に伴うダングリングボンド(未結合手)が増大し,不安定で化学的に活性な電子が増大していること等も前述したラジカルの生成に寄与しているものと考えられる。
更には,酸化金属23が前述のナノ微結晶構造を取ることにより,バルクの状態に比較して禁制帯域が大幅に変化しており,このような禁制帯域の変化がラジカルの生成に有利な作用を及ぼしているものと考えられる。
なお,前述した酸化金属の他,触媒層21中に含まれる不純物やその酸化物の存在も,有機物の分解に至る連鎖反応の起点となるラジカルが生成に寄与している可能性も考えられる。
〔製造方法〕
上記構造を備えた固体触媒1は,金属,セラミックス,ガラス等の基材10の表面に,チタンやスズ,亜鉛,ジルコニア等の,金属被膜20を構成する主元素となる金属を含有する微粉体を,高いエネルギーを伴って衝突させることにより創成することができる。
このような微粉体の衝突は,既知の各種方法によって行うことが可能であり,一例として,圧縮空気等の圧縮気体の噴流と共に粒体を噴射するサンドブラスト装置乃至はショットピーニング装置等を使用して,前記元素を含む金属の粉体を噴射することにより行うことができる。
一例として,前述のサンドブラスト装置を使用して金属粉体の噴射を行うことにより基材に対して金属粉体の衝突を行う場合,金属粉体の粒径を平均粒径で20〜400μmとし,噴射速度を150m/sec以上として行うことにより,前述した構造の触媒層が得られる。
このように金属の微粉体を基材10の表面に衝突させると,衝突した微粉体は,基材の表面に衝突した後,弾き返される。この衝突時,微粉体と基材10部表面との衝突部分は,衝突時のエネルギーによって発熱し,微粉体中のチタン,スズ,亜鉛,ジルコニア等の元素が基材10の表面に溶着すると共に基材の表面から所定の深さの範囲に拡散浸透して合金化し,創成された金属被膜20と基材10との界面部分が合金化結合された,付着強度の高い金属被膜20が構成される。
また,前述した衝突時のエネルギーによる発熱によって,金属微粉体中のチタン,スズ,亜鉛,ジルコニウム等の元素が一部は酸化することなく基材10の表面に溶着し,また,一部は空気中の酸素と反応して酸化金属となって基材10の表面に溶着し,微粉体中に含まれる成分に応じて一例として以下のような金属被膜20を構成する。
前述の方法によって製造される金属被膜20が,チタン,又は亜鉛を含む粉体の衝突によって構成されたものである場合,この金属被膜20は,基材10上に金属チタン又は金属亜鉛から成る構成金属層24と,この構成金属層24上に約20nm程度の厚みの触媒層21とを備えるもので,この触媒層21を未酸化の金属22(チタンまたは亜鉛)と酸化金属23(酸化チタンまたは酸化亜鉛)とが混在したものとして形成することで,この触媒層21の最表面である表面領域においても,図1(A)に示すように,未酸化の金属22であるチタン又は亜鉛と,ナノ結晶構造の酸化チタン(二酸化チタン)又は酸化亜鉛23とが混在した状態が形成されている。
なお,図示の例では前記表面領域を前述のように酸化金属23と未酸化の金属22とが混在するものとして示したが,基材10の材質や金属被膜20の形成条件等の調整により,表面領域を酸化金属23のみによって構成することもできる。
酸化金属23が酸化チタンである場合,この酸化チタンの結晶構造は,ルチル型,アナターゼ型,ブルカイト型の各構造を持つものが混在しており,また,少なくともその最表面の一部領域は,アモルファスに類似のナノ結晶構造となっている。
また,表面領域の基材10側において,金属被膜20の表面から100nm以下の範囲であって,前記触媒層21(ナノ結晶層212)から前記構成金属層24に至る部分には,構成金属層24においても僅かにOが固溶していると共に,この酸素の固溶量は,表面側から内部に入るに従って,徐々に減少する傾斜構造(本明細書において「酸素欠乏傾斜構造」という。)となっている。
なお,光触媒の分野において,アナターゼ型,ルチル型の酸化チタンを共存させることにより触媒機能の約1000倍の向上が図れたことの報告がされており(NIKKEI MECHANICAL 1999.3 NO.534),また,近年ブルカイト型の酸化チタンの光触媒活性がかなり高いことが見出されていることから(「光触媒のしくみ」藤島昭・橋本和仁・渡部俊也 著),チタン及び酸化チタンにより構成された上記構成の触媒層21にあっては,同様の理由により高い触媒性能が発揮されているものと考えられる。
特にブルカイト型の酸化チタンは,紫外線ではなく可視光に応答させる目的での応用が試みられているように触媒としての効果が高いものであるにも拘わらず,現行の技術においてその合成が難しいとされている物質であり,前述のような比較的簡単な方法によってブルカイト型の酸化チタンが得られることは有利である。
また前述したように,酸化金属23がアモルファスに類似のナノ結晶構造となっていることにより,触媒層21に,高強度性,耐摩耗性,低摩擦性,耐食性が付与され,触媒層21に,構成金属10の保護,強化層としての機能をも付与できるものとなっている。
更に,前述の方法によって製造される金属被膜20が,スズを含む粉体の衝突によって創成されたものである場合,このようにして構成された固体触媒1は,図1(B)に示すように,図1(A)を参照して説明した固体触媒1における構成金属層24に対応する層を備えておらず,表面から基材10との界面に至る全体が,触媒層21となる。
そして,この触媒層21は,結晶粒径が2〜5nmのナノ結晶構造を有する酸化スズ23(SnO2,Sn34が混在)と,微粒子状の未酸化の金属スズ22とが混在したものとなっており,触媒層21の最表面である表面領域においても,この酸化スズ23と金属スズ22とが混在した状態で存在している〔図1(B)参照〕。
このナノ結晶構造を有する酸化スズ23には,部分的に原子密度が低い部分であるポーラス(空隙)が生じており,このポーラスが触媒層21の表面から基材10との界面に至る迄連続して形成されて多孔質的な構造を備える結果,液体や気体等である分解対象物がこのポーラス内に浸入することで,酸化スズと分解対象物との接触面積が増大され,高い触媒機能を発揮させることができるものとなっている。
以下,前述した圧縮空気の噴流によって金属粉体を衝突させることにより得た本発明の固体触媒を使用して,光の照射を行わない空間における触媒機能の確認試験を行った。以下に,各試験の方法及び結果を示す。
1.試料(試験対象)
(1)試料の製造方法
本試験に使用する試料として,基材であるセラミックス基板上に,チタン及び酸化チタンを主成分とする金属被膜(実施例1),スズ及び酸化スズを主成分とする金属被膜(実施例2)及び亜鉛及び酸化亜鉛を主成分とする金属被膜(実施例3)をそれぞれ有する三種類の固体触媒1を用意した。
各試料の製造条件を下記に示す。
(1-1)実施例1
セラミック板(幅30mm,長さ50mm,厚さ3mm)の表面に,平均粒径160μmのチタンの粉体(形状:球形)を,ノズル径:φ9mm,噴射距離100mmとしてブラスト加工装置〔(株)不二製作所製SG式ブラスト加工装置〕を使用して噴射した。
噴射気体として,圧縮空気を使用し,噴射圧力を0.6MPaとし,10秒間噴射し,厚さ1μmの触媒層を創成した。
(1-2)実施例2
セラミック板(幅30mm,長さ50mm,厚さ3mm)の表面に,平均粒径44μmのスズの粉体(形状:球形)を,ノズル径:φ9mm,噴射距離100mmとしてブラスト加工装置〔(株)不二製作所製SG式ブラスト加工装置〕を使用して噴射した。
噴射気体として,圧縮空気を使用し,噴射圧力を0.6MPaとし,10秒間噴射し,厚さ3μmの触媒層を創成した。
(1-3)実施例3
セラミック板(幅30mm,長さ50mm,厚さ3mm)の表面に,平均粒径50μmの亜鉛粉体(形状:球形)を,ノズル径:φ9mm,噴射距離100mmとしてブラスト加工装置〔(株)不二製作所製SG式ブラスト加工装置〕を使用して噴射した。
噴射気体として,圧縮空気を使用し,噴射圧力を0.6MPaとし,10秒間噴射し,厚さ0.1〜0.5μmの触媒層を創成した。
(2)構造の確認方法
上記により得られた試料(実施例1〜3)に創成された金属被膜20の構造は,TEM(Transmission Electron Microscope:透過電子顕微鏡),及び同装置付帯のEDX(Energy Dispersive X-ray Spectrometry:エネルギー分散型特性X線分析装置)を使用した断面観察,及びXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)による表面構造調査による表面付近の情報の取得に基づいて行った。
ここで,TEM観察では,試料をFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム装置)により任意箇所の断面をマイクロサンプリング法により採取した。また,表面保護のために,サンプル表面にはカーボン蒸着膜を約10nm成膜し,さらにFIB装置によりカーボン保護膜を約1μm成膜してから断面薄膜加工を施した。
XPS法では,触媒層の表面(10nm以下)の分子構造を調査し,X線を直角方向から入射した条件で,表面の構成元素を測定し,さらに酸化金属の各成分(Sn,Ti)の分子構造を調査するために角度分解法により,10nmより浅い(表層部)表面近傍の分子構造を調査した。
角度分解法では,X線の入射角度を浅くしていくことでサンプル内へのX線入射量を少なくして,より浅い表層付近の情報を取得した。
(3)実施例1の試料の構造(主成分:チタン及び酸化チタン)
実施例1の試料における金属被膜20に創成された触媒層21は,断面において極表層の約20nmの範囲にナノ結晶構造を有する不定形のチタン酸化物23が点在する表面領域〔図3中の(1)部分〕を有すると共に,その下部にナノ結晶構造を有する未酸化のチタンから成るナノ結晶層212〔図3中の(2)部分〕を有する〔図3及び図1(A)参照〕。
前述の表面領域に存在するチタン酸化物23は,TiO2構造を有し,ルチル型,アナターゼ型,ブルカイト型の結晶構造が混在している(電子回折結果:図10,11,12)。
酸化チタン23が点在する表面領域は,比較的に均一な厚さで形成されており,この表面領域の結晶構造は,その一部において非結晶(アモルファス)に類似のナノサイズの微結晶構造を有する〔図6(A),(B)〕。
なお,図6(B)に示す電子回析像において,電子線径が約5nmであることから判断して,下記の理由によりこの部分の構造は,アモルファス(非結晶)に極めて近いナノ結晶構造を有することが判る。
すなわち,中心にある「1」で示す位置の点周辺には無数の超微細に斑点が微かに見えている。これは非晶質に限りなく近いナノ結晶構造であることを示している。この非晶質の周囲にある点は,明確な結晶構造による図形になることから,非晶質の周囲に明確な結晶が存在しており,一部が奥行き方向に重なっているために,同図形のようになっている。
また,前記表面領域の基材10側において,ナノ結晶層212〔図6(A)中の(4)に示す部分〕から,構成金属層24〔図6(A)中の(5)に示す部分〕にかけて,最表面から約100nm以下の範囲において僅かにO(酸素)の固溶が確認されていると共に,この酸素の固溶量は,内部に向かうに従い減少する前述の酸素欠乏傾斜構造を有している(図4,5)。
表面領域に存在する酸化チタンは略全てがTiO2であり(XPS分析),触媒層21の最表面部において該酸化チタン(TiO2)は,酸素の結合量が欠乏した酸化状態にあり(角度分解法:図14),かつ,酸素の結合量の欠乏は顕著である(ピークシフト量:図14)。
なお,前述したセラミックス基板に代え,ガソリンエンジン用ピストン(アルミ合金製)に対して上記チタン粉体を噴射すると共に,前記ピストンを切断して得た断面部をSEM−EDX にて面分析した結果を図15に示す。
上記分析結果から,ピストン(Al)表面より内部側にチタン成分が拡散浸透して,金属被膜と基材であるピストンとの界面部分では,両者が合金化していることが確認できた。
以下の実験例では,アミノ酸,水,軽油を対象としているため,ここで,本願における酸化チタン系の光触媒を燃料の改質等に使用する例として,内燃機関の燃料特に,ガソリンで考えると,分子結合の一部分に,その後に生じる燃焼という一連の連鎖反応の起点となる「キズ」を形成することができれば(図2),燃料はこれに続く燃焼反応に於いて大きな変化を生じ得るものと考えられる。
すなわち,ここで言う「キズ」とは,その後に生じる燃焼反応等の,一連の連鎖反応の起点となり得る変化であり,ラジカルの生成がここに言う「キズ」と成り得る。
一例として,最も単純な有機物であるメタンを例に挙げてラジカルの生成について説明すると,メタンの燃焼反応は,一般的に下記の〔式1〕で表される。
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O ・・・〔式1〕
しかしながら実際には上記〔式1〕の様な単純な反応ではなく,以下の〔式2〕〜〔式7〕に示すラジカルが関与した素反応の組み合わせ・連鎖と理解される。
CH4 → CH3 * + H* [開始反応]・・・〔式2〕
CH3 * + O2 → CHO* + H2O [連鎖移動反応]・・・〔式3〕
2CHO* + O2 → 2CO2 + 2H* [連鎖移動反応]・・・〔式4〕
H* + O2 → OH* + O* [連鎖分枝反応]・・・〔式5〕
O* + CH4 → CH3* + OH* [連鎖分枝反応]・・・〔式6〕
OH* + CH4 → CH3 * [連鎖移動反応]・・・〔式7〕 等々
(上記各式において,*はラジカル種 (活性化学種))
このように,ガソリンに限らないが,燃料が燃焼する場合,CO2化の前にCH3*等のラジカルへ分解される。
上記〔式2〕は,非常に小さな反応であるが,この反応が起こらなければ,それ以降の連鎖反応は始まらないため非常に重要な反応である。
従って,燃料の燃焼性能等を改善する場合,燃焼反応という一連の連鎖反応の起点となる前述した「キズ」となり得る,ラジカルの生成が重要となる。
ここで,前述した酸化チタン系の光触媒にあっては,光が照射されることにより電子を放出し,この電子放出と,これによって生じた正孔によって,表面に存在する空気と水から酸化作用の高い水酸基ラジカルと酸素ラジカルを発生させ,このような水酸基ラジカルや酸素ラジカルの発生が起点となって,連鎖的に有機物の分解が行われる。
本願触媒による作用は、式2の様に、微細かつ重要な変化(キズ)を化石燃料等の燃焼時に影響を与えているものと推察される。
以上の様な変化から、ガソリン等のキズの生成によるクラッキングが促進され、小分子化するため、酸素との接触頻度が高まり、燃焼性が向上する。
(4)実施例2の構造(主成分:スズ及び酸化スズ)
実施例2の試料では,基材10上に創成された触媒層21(図16)部分を拡大した状態(図17)において,この触媒層21には,未酸化の金属スズ22と,酸化スズ23とが,触媒層21の厚み方向の全域にわたり点在している(図17)。
この酸化スズ23は,結晶粒径を2〜5nm程度とするナノ結晶構造を持ち,SnO2に近似した結晶構造のもの(電子回折結果:図20)の他,Sn34に近似した結晶構造のもの(電子回折結果:図21)が混在する。
酸化金属23は,粒径100〜500nmの大きさの塊を成し,一部は触媒層21の表層に露出していると共に,表面から基材10との界面にまでほぼ均一に点在している(STEM像:図16において灰色に見える点在箇所がスズの酸化物に相当。)。
この酸化スズ23は,図17中に矢印(A)として示す白抜き(円状)の部分において原子密度が低い状態に形成されており(以下,この部分を「ポーラス」という。),このポーラスが連続して金属被膜20の表面から基材10に至る流路を形成することで,処理対象である気体や液体は,このポーラス内に浸入することで酸化スズ23との接触面積が増大されている。
触媒層21の最表面である表面領域は,略全て酸化スズで構成されているが(XPS分析のスズのピーク位置:図22),この中には未酸化のスズ22の露出面に生じた自然酸化膜をも含むものと考えられる。
さらに,触媒層21の最表面部分である表面領域において,酸化スズが酸素との結合量が欠乏した酸化状態となっている(図23)。
(5)実施例3の試料の構造(主成分:亜鉛及び酸化亜鉛)
実施例3の試料に創成された金属被膜20は,断面TEM明視野像(図24)及びTEM−EDX分析結果(図25〜27)に示したように,断面においてナノ結晶構造を有する亜鉛の酸化物23が存在するナノ結晶層212(触媒層21)〔図24中の(1)部分〕を有すると共に,その下部に未酸化の亜鉛から成る構成金属層24〔図24中の(2)部分〕が形成されており,更に,この構成金属層24と基材10とが,その境界部分において亜鉛(酸化亜鉛)と基材とが合金化結合したものとなっている〔図24中の(3)部分〕。
そして,酸化亜鉛によって構成された触媒層21との界面部分〔図24中の(4)部分〕において,構成金属層24には僅かな酸素の固溶が確認されていると共に,触媒層21側から,構成金属層24の内部に入るに従って酸素の固溶が減少する酸素欠乏傾斜構造を有している。
極電子回析(図28,29)の結果から,金属被膜20の極表面に形成された触媒層21〔図24中の(1)部分〕は,微細な結晶構造(ナノサイズ)を有する酸化亜鉛であり(図28参照),その下層の構成金属層24〔図24中の(2)部分〕は,金属亜鉛であることが確認できる(図29参照)。
XPS分析の結果,金属被膜20の表面には,C,O,Al,Si,Zn,Agが検出され(図30参照),Znのピークは,1022.0eVで検出されているが(図31),ピーク形状から亜鉛金属及びZnOの形態で存在するものと考えられる。
Znのピークがやや高エネルギー側に検出されるが,亜鉛金属とZnOがほぼ同じエネルギー位置に検出され,そのため,495eV付近のオージェピークで(図32参照),亜鉛金属とZnOの両方が存在することを確認した。
角度分解XPS分析結果から,90°で高エネルギー側にシフトしており,表面領域における酸化亜鉛は,酸素との結合が欠乏した酸化状態にあることが判る。
2.試験1(アミノ酸の分解試験)
(1)実験の目的
本発明の固体触媒が,光の無い環境下(遮光された空間内)で有機物(アミノ酸)に対して与える影響を観察する。
(2)実験方法
L−システイン100mmol/Lの溶液100mLと,L−メチオニン100mmol/L の溶液100mLを準備し,それぞれの溶液を入れた容器内に実施例1の固体触媒20個を浸漬し,室温,無光の環境下で48時間放置した後,13C−NMR測定を実施し,各溶液の変化を測定した。
(3)実験結果
13C−NMR測定結果より,アミノ酸のピークに新たなピークが観測された。
L−システインでは,SHに隣接するC,NH2に隣接するCに於いて高磁場側に新たなピークが観測されており,実施例1の固体触媒との相互作用が確認された(図33中の矢印部分)。
L−メチオニンでは,Sに隣接するC(16.6ppm),NH2に隣接するCに於いて低磁場側に新たなピークが観測されており,分子鎖の一部切断や分子間の相互作用が減少したものと考えられる(図34中の矢印部分)。
3.試験2(水の分解試験)
(1)実験の目的
本発明の固体触媒が,光の無い環境下(遮光された空間内)で水に対して与える影響を観察する。
(2)実験方法
飲料水200mLを入れた容器内に実施例1の固体触媒20個を浸漬し,室温,無光の環境下で48時間放置した後の飲料水(実施例)と,固体触媒を浸漬することなしに同様の条件下に放置した飲料水(比較例)の溶存酸素量とをそれぞれ比較した。
(3)実験結果
両飲料水(実施例及び比較例)の溶存酸素量を測定した結果を表1に示す。
以上の結果から,本発明の固体触媒(実施例1)と接触させた飲料水にあっては,溶存酸素量が増加して,過飽和状態になっていることが確認された。
このことから,本発明の固体触媒によって水が分解され,溶存酸素量が増加したものと考えられる。
4.試験3(軽油分解試験)
(1)実験の目的
本発明の固体触媒が,光の無い環境下で燃料(軽油)に対して与える影響を観察する。
(2)実験方法
本発明の固体触媒(前掲の実施例1及び実施例2の各試料)に対し,常温,暗環境内(遮光された容器内で実施。)で燃料(軽油)を接触させた後,熱分解GC−MS測定による成分分析を行った。
比較例として,未処理の軽油に対してGC−MS測定による分析を行って,これらの結果と比較した。
(3)実験結果
GC−MS測定の結果を図35,及び図36に示す。
ここで,図35,36に示すピーク番号(丸数字の1〜7)の化合物及び分子式を下記の表2に示す。
また,未処理の軽油と実施例1の触媒層に接触させた後の軽油におけるナフタレン(丸数字の7)とC14の面積相対比を表3に,未処理の軽油と実施例2の触媒層に接触させた後の軽油におけるトルエン(丸数字の5)とC14の面積相対比の変化を表4にそれぞれ示す。
一般に軽油の主成分はC14〜C20の脂肪族炭化水素であり,GC−MS測定に於いてC13以降に規則的に認められる脂肪族炭化水素は,元々,軽油に含まれた構成成分である。
本測定に用いた熱分解装置は,装置の特性上,1秒以下の瞬時に700℃まで昇温し,それによって熱分解・揮発した成分が瞬時に分析ラインへ導入される為空気中加熱であるが完全燃焼まで至らない。
従って,脂肪族炭素(C13〜C25)の周辺ピークや,C13以下に変化が認められるのであれば,丸数字1〜7の分解生成物に差異が現れる。
図35,36に示したGC−MS測定結果より,実施例1の固体触媒(チタン),及び実施例2の固体触媒(スズ)共に,未処理の軽油に比べて,丸数字1〜6にピークを示す生成物量がC14〜C20の軽油成分に比べて異なる事が確認された。
検証の為,丸数字4〜6のピーク中で,隣接ピークとの重複が比較的少なく,定量可能と判断された丸数字5のピーク(トルエン),丸数字7のピーク(ナフタレン)について,軽油成分のC14(テトラデカン)との相対比を調べた。
その結果,実施例1の固体触媒の場合は,未処理の軽油に比べてナフタレン(丸数字7)の量が大きく減少した(表3参照)。
また,実施例2の固体触媒の場合に,未処理の軽油に比べて,トルエン/C14比が2倍弱に増えて(表4参照),ナフタレン量が大きく減少する傾向が認められた。
尚,本測定の再現性を調べる為,再度同様の測定を実施したが,同様の結果が得られた。
(4)考察
一般に,脂肪族炭化水素は,加熱されると先ず熱分解ラジカルが発生し,ラジカルを起点として種々の分解,反応が進むと言われており,その中で,環化反応(芳香族化)は代表的な反応として知られている。
以上のことから各現象について推定する。
(4-1) 実施例1の固体触媒(酸化チタン)
ナフタレンは,10個のCからなる分子(C108 )であり,前記の生成ラジカルがC10よりも少ないC数であれば,生成するナフタレン量が減少したと考える。
(4-2) 実施例2の固体触媒(酸化スズ)
軽油主成分である鎖状の脂肪族炭化水素が,本願固体触媒(実施例2)の共存時には,触媒層と接触させていない軽油に比べて多く分解が生じ,その結果芳香族であるトルエンを多く生成したと考える。
〔式1〕
C14: CH3(CH212CH3
SnO2 と接触 →
C7ラジカル:2CH3(CH26 ・→
環化→トルエン:C65−CH3
なお,上記試験は,本発明の固体触媒が燃料に与える燃焼性の変化を見るために,瞬時700℃へ昇温させ燃焼を途中で止めた状態(大気中ではあるが完全燃焼まで至っていない領域)で揮発したガスを冷却後,成分を分析しているものであり,ラジカル終端反応後の生成物を示すものではない。従って,上記トルエンの発生は,燃焼後の排ガス等にトルエンが含まれることを意味するものではない。
(4-3) まとめ
以上の熱分解GC−MSの測定結果より,実施例1,実施例2の固体触媒共に,ガソリン及び軽油の内燃機関の燃料の熱分解挙動に変化を与える事が確認できた。よって光の無い環境下に於いても触媒機能を発揮することが確認できた。
5.その他
亜鉛及び酸化亜鉛によって構成された金属被膜を備えた実施例3の固体触媒にあっては,図1(A)を参照して説明したようにチタン及び酸化チタンによって構成された金属被膜を備えた実施例1の固体触媒と極めて近似した構造を有するものであり,前述した実施例1の固体触媒同様の触媒効果を発揮するものである。
また,以上のようにして得られた本発明の固体触媒1の摩擦係数を測定したところ,実施例1〜3の固体触媒のいずれにおいても,摩擦係数が未処理の基材に比較して約46%程減少していることが確認された。
従って,本発明の固体触媒は,摺動部品等を基材とし,その表面に前記触媒層を備えた金属被膜を創成することで,固体触媒として機能すると共に,創成された金属被膜に,基材の保護膜や潤滑性向上性の機能を付与することが可能である。
以上説明した本発明の固体触媒は,従来技術として説明した光触媒や荷電移動型触媒で利用されている各種分野において使用することが可能である。
具体的には,
燃料タンクや燃料供給管の内壁,内燃機関のピストンスカート部やクラウン部分を基材とし,これに対して触媒層を備えた金属被膜を創成して本発明の固体触媒と成し,又は,セラミック球等の基材に触媒層を備えた金属被膜から成る本発明の固体触媒を燃料タンク内に投入等することによる燃料改質用の触媒としての使用。
各種製品を基材とし,その表面に触媒層を備えた金属被膜を創成することによる抗菌,防臭,抗黴,ホルムアルデヒド等の有害な有機物の分解作用の付与等。
本発明の固体触媒の模式図であり,(A)は金属被膜の表面付近に触媒層を設けた例,(B)金属被膜の全域に亘り触媒層を設けた例。 ガソリン分解の説明図。 実施例1の固体触媒の断面電子顕微鏡写真(TEM明視野像)。 図3の(1)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図3の(2)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 実施例1の固体触媒における金属被膜の観察結果を示し,(A)は金属被膜の断面電子顕微鏡写真(TEM明視野像),(B)は図6(A)中の(3)部分の極電子回析像。 図6の(3)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図6の(4)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図6の(5)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 実施例1の触媒層の極電子回折像(アナターゼ型)。 実施例1の触媒層の極電子回折像(ルチル型)。 実施例1の触媒層の極電子回折像(ブルカイト型)。 実施例1の触媒層のXPSワイドスキャン結果を示すグラフ。 実施例1の触媒層の角度分解XPS分析結果を示すグラフ。 母材(アルミ合金)にチタン粉体を噴射して形成した金属被膜の断面電子顕微鏡写真部(SEM)。 実施例2の固体触媒の断面電子顕微鏡写真(STEM像)。 実施例2の固体触媒の断面電子顕微鏡写真(TEM明視野像)。 図17の(1)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図17の(2)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 実施例2の触媒層の極電子回折像(SnO2)。 実施例2の触媒層の極電子回折像(Sn34)。 実施例2の触媒層のXPSワイドスキャン結果を示すグラフ。 実施例2の触媒層の角度分解XPS分析結果を示すグラフ。 実施例3の固体触媒の断面電子顕微鏡写真(TEM明視野像)。 図24の(1)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図24の(2)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 図24の(3)部分のTEM−EDX分析結果を示すグラフ。 実施例3の触媒層の極電子回折像(ZnO)。 実施例3の構成金属層の極電子回折像(Zn)。 実施例3の触媒層のXPSワイドスキャン結果を示すグラフ。 実施例3の触媒層の角度分解XPS分析結果を示すグラフ。 実施例3の触媒層の角度分解XPS分析結果(オージェピーク)を示すグラフ。 試験1(アミノ酸分解試験)におけるL−システインの13C−NMR測定結果を示すグラフ。 試験1(アミノ酸分解試験)におけるL−メチオニンの13C−NMR測定結果を示すグラフ。 試験2(軽油の分解試験)における軽油の熱分解GC−MS測定結果を示すグラフであり,(A)は未処理,(B)は実施例1の触媒層と接触させたもの。 試験2(軽油の分解試験)における軽油の熱分解GC−MS測定結果を示すグラフであり,(A)は未処理,(B)は実施例2の触媒層と接触させたもの。
符号の説明
1 (ラジカル生成)固体触媒
10 基材
20 金属被膜
21 触媒層
212 ナノ結晶層
22 未酸化の金属(金属チタン又は金属スズ)
23 酸化金属(酸化チタン又は酸化スズ)
24 構成金属層

Claims (10)

  1. 基材(アルミニウム−珪素合金の鋳鍛造品を除く。)と,前記基材の表面を少なくとも部分的に被覆する金属被膜を備えた固体触媒において,
    前記金属被膜は,構成金属層と,該構成金属層の表面側に厚み0.1〜20μmの触媒層を有し,
    前記構成金属層は,金属チタンから成り,
    前記触媒層は,金属チタンと,該金属チタンの酸化物であるナノ結晶構造を有する酸化チタンとが混在する層から成り,
    前記触媒層の少なくとも最表面部分は,表面領域を有し,
    前記表面領域は,結晶粒径1〜10nmのナノ結晶構造を有する前記酸化チタンによって構成された領域,又は
    前記酸化チタンと未酸化の前記金属チタンとが混在した領域から成り,かつ,
    前記表面領域における前記酸化チタンは,酸素との結合が欠乏した酸化状態から成り,
    前記触媒層において混在する前記金属チタンと前記酸化チタンとの界面部分において,前記酸化チタン側から前記金属チタンの内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有すると共に,
    前記基材と前記金属被膜との界面部分において,前記金属被膜の構成金属を,前記基材の構成成分と合金化結合して成り,
    内燃機関のガソリンの燃焼において,メタンによる以下の式2〜式7から成る連鎖反応によるラジカル生成過程を有することを特徴とするラジカル生成固体触媒。
    CH 4 → CH 3 * + H* [開始反応]・・・〔式2〕
    CH 3 * + O 2 → CHO* + H 2 O [連鎖移動反応]・・・〔式3〕
    2CHO* + O 2 → 2CO 2 + 2H* [連鎖移動反応]・・・〔式4〕
    H* + O 2 → OH* + O* [連鎖分枝反応]・・・〔式5〕
    O* + CH 4 → CH 3 * + OH* [連鎖分枝反応]・・・〔式6〕
    OH* + CH 4 → CH 3 * [連鎖移動反応]・・・〔式7〕
    (上記各式において,*はラジカル種 (活性化学種))
  2. 記酸化チタン中に異なる結晶構造の酸化チタンを混在させたことを特徴とする請求項1記載のラジカル生成固体触媒。
  3. 前記金属被膜の表面から100nm以下の範囲であって,前記触媒層から前記構成金属層に至る部分を前記酸素欠乏傾斜構造としたことを特徴とする請求項記載のラジカル生成固体触媒。
  4. 前記表面領域における前記酸化チタンの少なくとも最表面の一部をアモルファスに類似のナノ結晶構造としたことを特徴とする請求項記載のラジカル生成固体触媒。
  5. 基材(アルミニウム−珪素合金の鋳鍛造品を除く。)と,前記基材の表面を少なくとも部分的に被覆する金属被膜を備えた固体触媒において,
    前記金属被膜は,表面側に厚み0.1〜20μmの触媒層を有し,
    前記触媒層は,微粒子状の金属スズが,該金属スズの酸化物であるナノ結晶構造を有する酸化スズ中に分散して混在する層から成り,
    前記触媒層の少なくとも最表面部分は,表面領域を有し,
    前記表面領域は,結晶粒径1〜10nmのナノ結晶構造を有する前記酸化スズによって構成された領域,又は
    前記酸化スズと未酸化の前記金属スズとが混在した領域から成り,かつ,
    前記表面領域における前記酸化スズは,酸素との結合が欠乏した酸化状態から成り,
    前記触媒層において混在する前記金属スズと前記酸化スズとの界面部分において,前記酸化スズ側から前記金属スズの内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する酸素欠乏傾斜構造を有すると共に,
    前記基材と前記金属被膜との界面部分において,前記金属被膜の構成金属を,前記基材と合金化結合して成り,
    鎖状の脂肪族炭化水素を主成分とする軽油との接触により,以下の式1から成るラジカル開始反応を含む反応過程により前記軽油の燃焼性を向上させる事が可能であることを特徴とするラジカル生成固体触媒。
    〔式1〕
    C14: CH3(CH212 CH3
    SnO2 と接触 →
    C7ラジカル:2CH3(CH26
  6. 前記酸化スズの一部分に,他の部分に対し原子密度が低いポーラスを前記触媒層の表面から基材側の界面に亘り連続して形成したことを特徴とする請求項記載のラジカル生成固体触媒。
  7. 前記触媒層は,前記金属被膜の表面から基材との界面に至る全域に亘ることを特徴とする請求項5又は6記載のラジカル生成固体触媒。
  8. 前記酸化スズがSnO2とSn34とを混在していることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項記載のラジカル生成固体触媒。
  9. 前記酸化スズ側から前記微粒子状の金属スズの内部に入るに従って酸素の固溶量が減少する前記酸素欠乏傾斜構造としたことを特徴とする請求項記載のラジカル生成固体触媒。
  10. 前記触媒層が,前記基材よりも低摩擦係数であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のラジカル生成固体触媒。
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