JP5588043B2 - 2次電池集電体用電解銅箔 - Google Patents
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Description
このようにして得た銅箔は一般に生箔と言われているが、生箔のまま或いは表面処理を施して、リチウム電池用負極材用銅箔やプリント配線板用銅箔、等に使用されている。
この陰極ドラム1の外周下半分を取囲むように、不溶性金属アノード(陽極)2が設けられている。この陰極ドラム1とアノード2の間は一定の間隙3があり、この間を電解液が流動するようになっている。図1には、2枚のアノード板が配置されている。
陰極ドラム1が回転するにつれ、電解液から電着した銅は厚みを増大し、ある厚み以上になったところでこの生箔4を剥離し、連続的に巻き取っていく。このようにして製造された電解銅箔は、電解液に晒されている面は一定の粗度を有する粗面であり、反対側のドラム側の面は光沢面となっている。
発明者らは、「伸びしわ」の発生原因をつかむため、従来の電解銅箔の幅方向の箔重量の変化を調査したところ、図2に示すように、伸びしわ(ポケット伸び)の発生する部分に箔重量の変化があることを見出した。
なお、本出願人は、これまでも、板厚の均一性の問題を解決するために、銅箔引き出し側の陽極の一部に、分割陽極を配置し、これらの分割陽極に供給する電力量を個別に制御して、幅方向と長さ方向の銅箔厚みを任意に調整できるようにした数多くの提案をしてきた。そして、その多くは特許になっている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照:なお、これらの特許の特許権者又は出願人が変更されているが、いずれも本出願人によるものである)。現在でも、これらは有効である。
しかしながら、板厚を薄くし、表面粗度を小さくし、かつ、幅方向及び長さ方向の厚さを均一にするために、前記特許文献のように、銅箔引き出し側の陽極の一部に、分割陽極を配置し、これらの分割陽極に供給する電力量を個別に制御した場合に、長さ方向に沿って変色した筋が見えたりするという問題が解消されず、これを解決する必要が生じた。
1)幅方向の箔厚差が1.5%以下であり、銅箔の表面に長さ方向に沿って変色した筋がないことを特徴とする2次電池集電体用電解銅箔
2)幅方向の箔厚差が1.4%以下であることを特徴とする上記1)に記載の2次電池集電体用電解銅箔
3)幅方向の箔厚差が1.3%以下であることを特徴とする上記1)に記載の2次電池集電体用電解銅箔
4)幅方向の箔厚差が0.1%以上であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔
5)マット面の表面粗さRzが2.0μm以下であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔
6)マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが50%以下であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔
7)マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが40%以下であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔
8)マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが30%以下であることを特徴とする上記1)〜7)のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔
9)上記1)〜8)のいずれか一項に記載の銅箔を用いた2次電池集電体。
10)上記1)〜8)のいずれか一項に記載の銅箔を集電体に用いた2次電池、を提供する。
特に、マット面の幅方向の粗さのばらつきが小さく、また幅方向の箔厚差が小さいので、2次電池集電体用電解銅箔に有効であり、例えば、引張り強度が50〜80Kg/mm2、伸びが5〜9%が必要とされる2次電池集電体用電解銅箔に適用できるという効果を有する。
発明者らは、「伸びしわ」の発生原因は、図2に示すように、電解銅箔の幅方向の板厚の変動(箔重量の変化)にあり、板厚の変動を調査したところ、幅方向の箔厚差が1.5%以下であれば、伸びしわ(ポケット伸び)の発生を抑制できる。好ましくは、幅方向の箔厚差が1.4%以下、より好ましくは1.3%以下である。しかしながら、幅方向の箔厚差下限値は0.1%とするのが良い。これは補助分割アノードの分割数を極端に増加させなければならず、製造設備の管理、維持コストが増大するという理由による。すなわち、幅方向の箔厚差は0.1%〜1.5%とするのが望ましいと言える。
前記記載の特許文献の記載のごとく、引き出し側(リア側)に補助電極をもちいれば、板厚は均一に近づく。しかしながら、低粗度銅箔にすると、銅箔の表面に変色が顕著となるという問題を生ずるので避けなければならない。
なお、銅箔の幅方向の十点平均表面粗さの平均値Rzavgの下限は、特に限定する必要は無いが、例えば0.3μm以上、例えば0.5μm以上、例えば0.8μm以上、例えば1.0μm以上とすることができる。これは、製造条件に応じて、上記の範囲を任意に設定できる。
すなわち、補助分割電極をフロント側に設置することにより、幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgを50%以下、さらには40%以下に、さらには30%以下に調節が可能となる。
本発明の電解銅箔製造装置の基本的な構造を図1に示す。この図1のように、回転する陰極ドラム1と該陰極ドラム1に対面し、その周囲の一部を囲む(下1/4程度)円弧状のアノード2を備える。
電解槽には銅電解液となる硫酸銅溶液を収容する。この銅電解液は電着が良好に行われるように、濃度、温度、pH等を調整し循環・再生使用する。この電解液は従来使用されている電解液を使用できる。
この陰極ドラム1は、前記電解液に部分的に浸漬させ、例えば図1に示すように時計方向に回転させる。上記アノード2は上記のように、陰極ドラム1の表面から一定間隔をおいて、例えば円弧上に陰極ドラム1の周囲に配置する。
このアノード2は、図4では2枚(A1、A2)となっているが、陰極ドラム1を覆うように複数枚とすることもできる。陰極ドラム1とアノード2との間隔は通常2〜100mm以下の範囲で一定位置に保持する。この間隔が小さいほど電気量は少なくてすむが、板厚及び品質の管理が難しくなるので、上記の範囲とするのが望ましい。
陰極ドラム1とアノード2の間には整流器を介して、両者の間に所定の電圧が維持できるようになっており、陰極ドラム1が回転するにつれ、電解液から電着した銅は陰極ドラム1上で厚みを増大する。ある厚みになったところで図1に示すように、この生箔4を陰極ドラム1から剥離させ、巻き取り装置により(図示せず)連続的に巻き取っていく。
すなわち、銅電解液に一部浸漬して回転する陰極ドラム1、該陰極ドラム1に対面させ、その周囲の一部を囲むアノード2、陰極ドラム1とアノード2との間に銅電解液を流して陰極ドラム1上に銅を電着させる装置、電着した銅箔を該陰極ドラムから剥離する装置からなる電解銅箔製造装置を構成し、銅箔の引き出し側とは反対側のアノード2の側壁に配置した陰極ドラム1に対面する補助分割アノードB、及びアノード2及び補助分割アノードBに供給する電気量を個別に制御する装置を設置する。
補助分割アノードBとアノードA1の電気量を個別に制御できるようにする。したがって、補助分割アノードBは、アノードA1とは電気的に絶縁できる固着具により取付ける。
また、補助分割アノードBの取付けによる装置の改造は、既存の電解銅箔製造装置において容易にできるという特徴を有する。
なお、本発明は低粗度銅箔が前提であり、表面粗さRzを2.0μm以下とする。より好ましくは、1.6μm以下である。
さらに、補助分割電極をフロント側に設置することにより、先に補助分割電極で形成される電着粒の上、アノードによって均一な電着粒が全面に形成されるため、補助分割電極で形成した銅層電着粒の影響がなくなり、幅方向の粗さのばらつきが小さくなり。すなわち、(Rzmax−Rzmin)/Rzavgを50%以下に、さらには40%以下に、さらには30%以下に調節ができる。(Rzmax−Rzmin)/Rzavgの下限は、特に限定する必要は無いが、例えば1.0%以上に、あるいは5.0%以上とすることができる。
なお、表1には、容量が初期の80%未満となったサイクル数(N=10)の平均(a)、容量が初期の80%未満となったサイクル数(N=10)の最大値(b)、容量が初期の80%未満となったサイクル数(N=10)の最小値(c)、サイクル数のばらつき(b−c)/a×100(%)も示す。
比較例12についてはフロント側とリア側の双方に補助分割アノードを配置したケースである。また、比較例13〜16についてはフロント側に補助分割アノードを設置した場合であるが、分割数が少ないために、幅方向の厚みのばらつき及び表面粗さのばらつきが増加したケースである。
次に、このカットした箔を幅方向に4回折にし、幅方向に16分割する。これを30mm角シートに打ち抜き、そしてこの30mm角シートの重量を測定する。なお、巾方向の板厚差は以下の式により算出した。
(式)幅方向の板厚差(%)=3×(幅方向の各点で測定した30mm角シートの重量の標準偏差(g/dm2)/(幅方向の各点で測定した30mm角シートの重量の平均値(g/dm2))×100
なお、十点平均粗さRzは接触粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名「Surfcorder SE−3C」)を使用し、JIS B0601−1994に準拠して測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で測定位置を変えて10回行ない、10回の平均値を各シートのRzの値とした。
また、幅方向の表面粗さのばらつき(%)は以下の式で算出した。
(式)幅方向の表面粗さのばらつき(%)=(Rzmax−Rzmin)/Rzavg×100
また、伸びしわについては巻取り時には発生したかどうか、変色した筋の有無については端末のカットサンプルによって評価した。なお、変色した筋の有無の判別は、変色した筋がある場合一つのサンプルの中で変色しない銅の地の部分と変色した部分とを対比することで、当業者であれば容易に有無を判別できる。
負極活物質として平均粒径15μmの天然黒鉛、バインダーとしてPVDFを重量比92:8の比率でNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に分散させてスラリーを調整した。このスラリーを銅箔上に塗布後、90℃で30分間乾燥させ、更に120℃で10分乾燥させた。これを銅箔の片面ずつ実施することで、銅箔両面に負極活物質層を形成した。更に、加圧プレスにより電極密度を調整した後に、水分を蒸発させる目的で、真空中にて180℃で30分間、負極材を乾燥した。
上記電池ケースの蓋に、正極の電極リードを接続した後、溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比2:3、電解質として1mol/LのLiPF6を溶解した非水電解液を電池ケース内に注液し、電池缶の蓋をかしめて封口して円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
また、サイクル数ばらつき(%)は以下の式で算出した。
(式)サイクル数ばらつき(%)=((サイクル数最大値(回))−(サイクル数最小値(回)))/(サイクル数平均値(回))×100
銅箔の表面に長さ方向に沿って変色した筋がない銅箔の表面の外観写真を図10に示す。後述する図9と対比すると明らかであるが、図9には銅箔の幅方向に、ある幅を持つ3本の変色した筋が見られるが、本願の実施例では、このような筋が一切見られないのが確認できる。
さらに、実施例1〜24では、サイクル数のばらつき(b−c)/a×100(%)が1.8〜24.9%の範囲にあり、良好な結果を示した。
この図8に示すように、銅箔の幅方向厚みとドラム周方向厚みの箔重量変化のいずれもばらつきが大きく、0.01g/dm2に近い値となっている。
銅箔の表面に長さ方向に沿って変色した筋がある銅箔の表面の外観写真を図9に示す。この図9において、銅箔の幅方向にある幅を持つ3本の変色した筋があるのを確認できる。図9は、代表的な変色した筋がある銅箔の表面の外観写真であるが、筋が発生したものは、通常このような変色した筋が、銅箔の表面に長さ方向に沿って連続して形成される。
次に、比較例13〜16であるが、幅方向のばらつきが大きくなるという問題を生じた。これらの結果も同様に、表1に示す。
2:アノード(A1、A2)
3:間隙
4:生箔
Claims (11)
- 幅方向の箔厚差が1.5%以下、マット面の幅方向の表面粗さの平均値Rzavgが3.01μm以下、マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが50%以下であり、銅箔の表面に長さ方向に沿って変色した筋がないことを特徴とする2次電池集電体用電解銅箔。
- 前記電解銅箔が、回転する陰極ドラムと該ドラムに対面するアノードを備えた電解銅箔製造装置により連続的に製造された電解銅箔であることを特徴とする請求項1に記載の電解銅箔。
- 幅方向の箔厚差が1.4%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- 幅方向の箔厚差が1.3%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- 幅方向の箔厚差が0.91%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- 幅方向の箔厚差が0.1%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- マット面の幅方向の表面粗さの平均値Rzavgが2.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが40%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- マット面の幅方向の粗さのばらつき(Rzmax−Rzmin)/Rzavgが30%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の2次電池集電体用電解銅箔。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の銅箔を用いた2次電池集電体。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の銅箔を集電体に用いた2次電池。
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