JP5585756B2 - 2ピース缶の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
同図(a)〜(c)には、パンチとホールドダウンリング及びボトムダイの協働作用による底部成形工程が示されている。先ず(a)ではパンチ101とホールドダウンリング102が係合して、缶底にチャイム104と缶底パネル153aが形成される。
次に(b)で、パンチ101がボトムダイ103により近づくと、パンチの環状溝成形部105とボトムダイの凹形溝成形部109が係合し缶底パネル153aは、環状溝106とステップパネル153bに成形される。(c)では、パンチ101はボトムダイ103に更に近づき、パンチの凹形溝成形部110とボトムダイの凹形溝成形部109が係合し、上記ステップパネル153bは凹形溝107と中央パネル153cに成形される。
しかし上記で得られた中央パネル153cでは、打検特性に優れた平坦度は得られない。そこで平坦度の基準として、中央パネルの外周端を基準面として、中央パネル中心部の外側又は内側に膨らんでいる距離(一般にボトムシンクディファレンス「BSD」と称し、図4に示す)によって表すことにする。しかしBSDは、ボディメーカー等による諸々の成形条件に左右されるため、打検適性として求められるスペック内に管理することは困難であった。特に、これらの2ピース缶の成形において、パンチを抜くときにアシストエアを付加して缶が抜けやすくしているが、アシストエア圧により缶底が膨らんだり、あるいは逆にパンチを抜くときの真空作用により凹んだりして、缶底パネルの平面形状を保つことは困難であり、その結果打検特性を損なうことになる。中央パネル形状が変動することは打検に限らず、距離計でパネル面の変位量を測定して内圧を判定する場合も問題となる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の2ピース缶の製造方法において、前記平坦度矯正維持手段が前記ボトムダイにクッション可能に設けられたクッションパッドであり、前記凹形溝&中央パネル成形の開始からか、若しくは少なくとも前記パンチの下死点迄、前記中央パネルの外面に前記クッションパッドを押し付けることにより、前記中央パネルの平坦度を矯正維持することを特徴とするものである。前記中央パネル外面への前記クッションパッドの押し付けは、前記凹形溝&中央パネル成形の開始から底部成形終了までの間が望ましいが、少なくともパンチが下死点到達まで、前記中央パネルの外面を前記クッションパッドで押し付けることが出来れば、前記中央パネルを良好な平坦度に矯正維持出来ることが分かっている。
さらに、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の2ピース缶の製造方法において、前記凹形溝&中央パネル成形開始時に、前記パンチの凹形溝&中央パネル成形部と前記クッションパッドで缶底を挟んで、その後凹形溝&中央パネル成形終了までその状態で一体にクッションして下死点に達するようにしてなることを特徴とするものである。
パンチ及びボトムダイを備え、
前記パンチには、外周部側に環状溝成形部及び内側に環状凹部を介して凹形溝&中央パネル成形部を有し、該凹形溝&中央パネル成形部の中心部にアシストエア供給口が形成されており、
前記ボトムダイには、前記パンチが該ボトムダイに近接移動することによって缶底に中央パネルを形成する際、前記パンチの少なくとも下死点で、前記パンチの前記凹形溝&中央パネル成形部と前記アシストエア供給口から供給されるアシストエアとで内面が加圧される前記中央パネルの外面を支える平坦度矯正維持手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の2ピース缶の製造装置において、前記パネル矯正維持手段が、前記ボトムダイにクッション可能に設けられ、前記凹形溝&中央パネル成形の開始から終了までの間、前記中央パネル外面を押し付けながら前記中央パネルと一体に変位するパッドからなることを特徴とするものである。
さらに、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の2ピース缶の製造装置において、前記クッションパッドの外周縁は、パンチの凹形溝&中央パネル成形部の外周縁にほぼ等しい大きさであり、前記凹形溝&中央パネル成形の開始位置で、前記パンチの凹形溝&中央パネル成形部と前記クッションパッドで缶底のステップパネルを挟んで、凹形溝&中央パネル成形終了までその状態で一体にクッションして下死点に達するようにしてなることを特徴とするものである。
請求項2、6の発明によれば、従来のボトムダイの中央部に単にカウンタダイを設けることによって達成できるので、従来のボディメーカーに簡単に適用でき、構成が簡単で且つ確実に2ピース缶の缶底の中央パネルの平坦度を向上させることができる。
請求項3、7の発明によれば、凹形溝&中央パネル成形の開始から終了までの間、中央パネル外面にクッションパッドを押し付けるので、成形中の中央パネル面の膨らみを防ぐことができ、平坦度をより確実に向上させることができる。特に、請求項4、8によれば、凹形溝&中央パネル成形開始時にパンチのビード成形部とクッションパッドで缶底のパネルを挟んで、凹形溝&中央パネル成形終了までその状態を維持するので、凹形溝&中央パネル成形時の影響が中央パネルに及ぶことを防止し、より平坦度に優れた缶底の2ピース缶を得ることができる。
本実施形態の2ピース缶50は、スチールあるいはアルミニウムの金属板からなる2ピース缶、又はそれら金属板の少なくとも片面に合成樹脂フィルムがラミネートされた合成樹脂被覆2ピース缶であり、缶材を薄肉に形成し、缶底形状は基本的には従来の2ピース缶と同様である。図4に示すように缶外方に凸となっている環状溝51と前記環状溝の内側に隣接した缶内方にくぼんだ凹形溝52、更に前記凹形溝の内周側から立ち上がって連続する中央パネル53cを平坦な形状にすることによって、缶底の耐圧強度を高め、優れた打検特性を得られることが知られている。しかしながら、従来のこのような缶底形状において、前述したように空缶の状態で前記中央パネル形状を安定して均一に製造することは困難であり、特に薄肉缶の場合はその傾向が大きく、打検等の内圧検査の正確さに影響を及ぼすという欠点があった。本発明は、その内容物充填前の空缶の中央パネルの平坦度のバラツキを解消しようとするものであり、以下そのための実施形態を詳細に説明する。
図1(a)は、チャイム成形した状態であり、パンチが進行して缶底パネル53aがボトムダイの凹形溝成形部16の頂部に接触した状態を示している。この状態からパンチの行程がさらに進むと、パンチの環状溝成形部5とボトムダイの凹形溝成形部16が係合して缶底パネル53aを押圧することにより、環状溝&ステップパネル成形が開始する。同図(b)に示すようにパンチの凹形溝&中央パネル成形部7の下端がステップパネル53bの内面に当接すると、凹形溝&中央パネル成形の開始となる。この状態では中央パネル53c内面はアシストエアによって加圧されているが、缶外面側は支持工具の無い大気解放状態である。したがって、アシストエアの加圧分缶底パネルは外側に緊張している状態にある。なお、アシストエアは、薄肉成形された2ピース缶の成形後の缶のパンチからの離脱を促進するために供給される。従ってアシストエアは間欠的に供給するのが原則であるが、高速の製造ラインに限っては、エア圧力を安定させるために、アシストエアを連続供給する場合もある。
以上のように本実施形態では、中央パネルが凹形溝&中央パネル成形終了直前にカウンタダイで矯正維持されるので、従来薄肉缶の場合中央パネルの形状が安定しなかったものを本発明では、より安定して平坦面形状に保つことができ、内圧検査適性を向上させることができる。また、本実施形態では中央パネルは内面がアシストエアで加圧され、外面が平坦面を有するカウンタダイで支えるだけで平坦度が矯正維持されるので、中央パネルを両面から機械的に加圧して矯正維持するようにした場合と比べて中央パネルに無理な力が作用することなく、樹脂被覆缶体のように表面が傷付きやすい缶体であっても安全に平坦度を矯正維持することができる。
本実施形態の2ピース缶製造装置30では、ボトムダイ35の中央部を貫通してボトムダイに対して図示しないスプリング又はエアクッション等の適宜の手段で所定のストロークだけクッションするクッションパッド37を有していることを特徴としている。クッションパッド37は、上端面が平坦の円形面となっており、その外周縁は、パンチ2の凹形溝&中央パネル成形部7の外周縁にほぼ等しい大きさである。クッションパッド37は通常は、その上端面がボトムダイ35の凹形溝成形部36の頂面とほぼ一致または僅かに突出している位置に保持されている。以上の条件では、前記凹形溝&中央パネル成形の開始から終了までの間、前記中央パネルの外面に前記クッションパッドを押し付けることにより、前記中央パネルの平坦度を矯正維持することが出来る。また、少なくともパンチが下死点に到達したときに、前記中央パネルの外面に前記クッションパッドを押し付けることが出来れば、前記中央パネルを良好な平坦度に矯正維持出来ることが分かっている。
一方、比較例の場合は、実施例1、2と比べてBSDがかなり大きくばらついていることが分かる。以上の実施例により、本発明の2ピース缶製造方法及び装置は、2ピース缶の中央パネルの平坦度を得るのに優れた効果があることが確認できた。
100 底面加工用型
2 パンチ
3 ホールドダウンリング
4、35 ボトムダイ
104 チャイム
50 2ピース缶
5、105 環状溝成形部
51、106 環状溝
52、107 凹形溝
53a、153a 缶底パネル
53b、153b ステップパネル
53c、153c 中央パネル
6 逃げ凹部
7、110 凹形溝&中央パネル成形部
16、36、109 ボトムダイの凹形溝成形部
8 エア供給口
10 チャイム成形型
15、108 逃げ
17 環状凹み逃げ
18 カウンタダイ
37 クッションパッド
Claims (8)
- 缶外方に凸となっている環状溝と前記環状溝の内側に隣接した缶内方にくぼんだ凹形溝、更に前記凹形溝の内周側から立ち上がって連続する中央パネルが平坦な形状となっている缶底形状を有する2ピース缶の製造方法であって、パンチがボトムダイに近接移動することによって、前記缶底形状を形成する際に、少なくとも前記パンチの下死点で、前記中央パネルの内面をアシストエアにより外側に加圧すると共に、前記中央パネルの外面を平坦面を有する平坦度矯正維持手段により支えることにより、前記中央パネルの平坦度を矯正維持することを特徴とする2ピース缶の製造方法。
- 前記平坦度矯正維持手段が前記ボトムダイに設けられたカウンタダイであり、該カウンタダイにより前記凹形溝&中央パネル成形終了直前に前記中央パネル外面を缶内方方向に押し込むことにより、前記中央パネル部の平坦度を矯正維持することを特徴とする請求項1に記載の2ピース缶の製造方法。
- 前記平坦度矯正維持手段が前記ボトムダイにクッション可能に設けられたクッションパッドであり、前記凹形溝&中央パネル成形の開始から下死点、若しくは少なくとも前記パンチの下死点までに、前記中央パネルの外面に前記クッションパッドを押しつけることにより、前記中央パネルの平坦度を矯正維持することを特徴とする請求項1に記載の2ピース缶の製造方法。
- 前記凹形溝&中央パネル成形開始時に、前記パンチの凹形溝&中央パネル成形部と前記クッションパッドでステップパネルを挟んで、その後凹形溝&中央パネル成形終了までその状態で一体にクッションして下死点に達するようにしてなることを特徴とする請求項3に記載の2ピース缶の製造方法。
- 缶外方に凸となっている環状溝と前記環状溝の内側に隣接した缶内方にくぼんだ凹形溝、更に前記凹形溝の内周側から立ち上がって連続する中央パネルが平坦な形状となっている缶底形状を有する2ピース缶の製造装置であって、
パンチ及びボトムダイを備え、
前記パンチには、外周部側に環状溝成形部及び内側に環状凹部を介して凹形溝&中央パネル成形部を有し、該凹形溝&中央パネル成形部の中心部にアシストエア供給口が形成されており、
前記ボトムダイには、前記パンチが該ボトムダイに近接移動することによって缶底に中央パネルを形成する際、前記パンチの少なくとも下死点で、前記パンチの前記凹形溝&中央パネル成形部と前記アシストエア供給口から供給されるアシストエアとで内面が加圧される前記中央パネルの外面を支える平坦度矯正維持手段を設けたことを特徴とする2ピース缶の製造装置。 - 前記パネル平坦度矯正維持手段は、前記パンチの下死点位置で凹形溝&中央パネル成形終了直前に、前記中央パネル部を缶内方に押し込む位置に前記ボトムダイに配置されたカウンタダイであることを特徴とする請求項5に記載の2ピース缶の製造装置。
- 前記パネル矯正維持手段は、前記ボトムダイにクッション可能に設けられ、前記凹形溝&中央パネル成形の開始から終了までの間、前記中央パネル外面を押し付けながら前記中央パネルと一体に変位するパッドからなることを特徴とする請求項5に記載の2ピース缶の製造装置。
- 前記クッションパッドの外周縁は、前記パンチの前記凹形溝&中央パネル成形部の外周縁にほぼ等しい大きさであり、前記凹形溝&中央パネル成形開始位置で前記パンチの凹形溝&中央パネル成形部と前記クッションパッドで前記ステップパネルを挟んで、凹形溝&中央パネル成形終了までその状態で一体にクッションして下死点に達するようにしてなることを特徴とする請求項7に記載の2ピース缶の製造装置。
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