JP5585181B2 - 直火式ローラーハース型連続熱処理炉及びラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における厚鋼板の熱処理方法 - Google Patents

直火式ローラーハース型連続熱処理炉及びラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における厚鋼板の熱処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、普通鋼厚鋼板の熱処理方法に好適な直火式ローラーハース型連続熱処理炉、またはラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における熱処理方法に関する。
金属材料の製造においては、所要の金属材料特性を得るために、金属材料に種々の条件下で熱処理が施され、これにより強度や靭性などの特性を所望の範囲に調整されている。熱処理は、熱処理炉に金属材料を装入し、所定の温度に加熱後、抽出し、必要に応じて所定の温度に保定したり、また所定の冷却速度で所定の温度まで冷却したりすることにより行われる。
熱処理における材料の加熱方式には燃焼加熱方式や誘導加熱方式があり、コスト面での優位性から燃焼加熱方式の熱処理炉が広く普及している。
特に、厚鋼板や鋼管等の熱処理には、ローラーハースを用いて被熱処理材を搬送しながら熱処理する炉長が数十m規模のローラーハース型連続熱処理炉が多く用いられている。
燃焼加熱方式には直接的に被熱処理材を加熱する直火式と間接的に被熱処理材を加熱するラジアントチューブ式とがあり、これらは主に雰囲気制御の必要性の有無から使い分けられている。高温処理が行われ被熱処理材の酸化が顕著になる焼きならしでは、炉内雰囲気を燃焼ガスから遮断するためにラジアントチューブ式が用いられる。一方、雰囲気制御の必要がない焼き戻しでは、熱効率が高く、設備保守性に優れる直火式が多く用いられる。直火式の熱処理炉には通常、炉の長手方向の側壁に沿って、これと直交する方向に噴射燃焼するサイドバーナーが複数配置されている。なお、直火式とラジアントチューブ式とでは炉内温度分布の均一性に差があり、一般的に直火式は、ラジアントチューブ式よりも炉内温度差が生じやすい。
また、熱処理温度やその後の冷却速度などの条件は、材料に求められる特性に応じて決められる。熱処理において被熱処理材内に温度偏差が生じると所要の特性、或は所要の特性を均一に得られないこととなる。このため、通常は狙いの熱処理温度と略一致した温度に設定した熱処理炉で、被熱処理材の厚みに応じて十分長い時間加熱している。これによって、被熱処理材全体を材質的に許容しうる範囲内に収まるようにしている(例えば狙いの熱処理温度±10℃)。
しかしながら、このように所要の熱処理温度と略一致した炉温を設定し、保定時間を十分に確保するという方法では、高い生産性を得ることが困難である。
ところで、このような状況に対して、特許文献1には、高靭性、高張力の鋼板の高効率な製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では鋼板内における温度偏差が数100℃に達し、均質な材料特性が得られない。また、表面温度が所定の温度範囲に入っている時間が1分にも満たず、この条件を満たすように抽出作業することが現実には極めて難しい。また、特許文献2にも、高靭性、高張力の鋼板の高効率な製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、耐火材料の塗布、乾燥という追加の作業を必要とするため、生産性の向上効果が相殺され、かつコストも増えることとなる。特許文献3には、炉の内部に温度傾斜をつけ、炉の入り側を350℃以上、Ac1点+100℃以下の範囲内で、任意の焼き戻し温度より200℃以上高く設定し、炉の出側に向かって段階的に設定炉温を低下させ、炉の出口側での設定温度を焼き戻し温度の±50℃以内として焼き戻すことが提案されている。しかしながらこの方法では、炉温を傾斜させて設定する必要があるため、炉温の制御管理が極めて煩雑となり、迅速な熱処理や熱処理条件の異なる多様な厚鋼板を処理するのには不適当である。
特許文献4には、鋼を焼入れした後、所定の焼き戻し温度よりも100〜700℃高い温度に保たれた炉中に装入し、所定の焼き戻し温度に鋼板がなった時点で抽出し、500℃以下まで1℃/sec以上の冷却速度で冷却する厚板の製造方法が提案されている。しかしながら、この方法では、鋼板の板厚や抽出における作業時間などが考慮されておらず、安定した品質の熱処理鋼板を得ることは困難である。
特許文献5には、ローラーハース式熱処理炉において、熱処理中の鋼板の炉内搬送距離、鋼板の炉内滞留時間を把握し、炉内滞留時間が目標時間となるように残りの炉内における鋼板の搬送速度を演算して、搬送速度を調整する鋼板搬送速度の制御方法が開示されている。この方法では鋼板の搬送速度を調整することにより、炉内に滞留する無駄時間を短縮して生産性を向上させることは可能であるが、炉温設定を最適化する観点から生産性を向上させるものではない。
特開平5−255743号公報 特開平8−120339号公報 特開平9−256056号公報 特開平5−195081号公報 特開平5−331528号公報
本発明は、ばらつきの少ない特性を得ながら、生産性を向上することができる直火式ローラーハース型連続熱処理炉及びラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における厚鋼板の熱処理方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下のようなものである。
(1)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型又はラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて板厚4mm〜200mmの鋼板を所要の熱処理温度範囲において熱処理する方法において、
予め、鋼板全体の温度が、狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max の間の温度範囲に入っている時間である抽出作業余裕時間Δτが所定値以上となるように、前記熱処理温度範囲内における狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsmin及び上限温度Tsmaxを設定し、前記狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、板厚t及び前記抽出作業余裕時間Δτに基づき炉温上限温度TGmaxを求め、前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上の炉温下限温度TGmin(℃)以上且つ前記炉温上限温度TGmax以下の温度範囲内に、前記連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(2)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型又はラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて板厚4mm〜200mmの鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
予め、鋼板全体の温度が、狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max の間の温度範囲に入っている時間である抽出作業余裕時間Δτが所定値以上となるように前記熱処理温度範囲内における狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max を設定し、前記狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、前記抽出作業余裕時間Δτに基づき、板厚tに係る関数として炉温上限温度TGmaxを求め、前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上の炉温下限温度TGmin(℃)以上且つ炉温上限温度TGmax以下の温度範囲内に、前記連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(3)熱処理される鋼板のいずれの部位もTsminに達してから当該鋼板のいずれかの部位がTsmaxを超えるまでの時間が抽出作業余裕時間Δτである炉温を炉温上限温度TGmaxであるとして、前記炉温上限温度TGmaxを求めることを特徴とする、前記(2)に記載の連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(4)板厚tを複数の板厚区分に分けて、その各範囲での炉温上限温度TGmaxを板厚tによる線形関数で与えることを特徴とする、前記(3)に記載の連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(5)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<1>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=7.92×t+519 ・・・1a
9≦t<15: TGmax=0.45×t+586 ・・・1b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+618 ・・・1c
50≦t<100: TGmax=−0.94×t+581 ・・・1d
100≦t≦200:TGmax=−0.35×t+522 ・・・1e
1a〜1e・・・<1>
(6)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<2>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=6.26×t+549 ・・・2a
9≦t<15: TGmax=0.18×t+603 ・・・2b
15≦t<50: TGmax=−1.71×t+632 ・・・2c
50≦t<100: TGmax=−0.84×t+588 ・・・2d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+535 ・・・2e
2a〜2e・・・<2>
(7)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<3>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=9.58×t+547 ・・・3a
9≦t<15: TGmax=−0.50×t+637 ・・・3b
15≦t<50: TGmax=−1.85×t+658 ・・・3c
50≦t<100: TGmax=−0.79×t+605 ・・・3d
100≦t≦200:TGmax=−0.28×t+554 ・・・3e
3a〜3e・・・<3>
(8)サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を設定し、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に設定する上限温度TGmax(℃)を、鋼板の板厚t(mm)及び狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)に応じて、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃とした場合の下記<1>式、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃とした場合の<2>式、及び前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃とした場合の<3>式のうちの2つ以上の式に基づいて補間して算出し、下限温度TGminを前記狙い熱処理温度範囲の上限温度TSmin(℃)+10℃以上とし、該設定温度範囲において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=7.92×t+519 ・・・1a
9≦t<15: TGmax=0.45×t+586 ・・・1b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+618 ・・・1c
50≦t<100: TGmax=−0.94×t+581 ・・・1d
100≦t≦200:TGmax=−0.35×t+522 ・・・1e
1a〜1e・・・<1>
4≦t<9 : TGmax=6.26×t+549 ・・・2a
9≦t<15: TGmax=0.18×t+603 ・・・2b
15≦t<50: TGmax=−1.71×t+632 ・・・2c
50≦t<100: TGmax=−0.84×t+588 ・・・2d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+535 ・・・2e
2a〜2e・・・<2>
4≦t<9 : TGmax=9.58×t+547 ・・・3a
9≦t<15: TGmax=−0.50×t+637 ・・・3b
15≦t<50: TGmax=−1.85×t+658 ・・・3c
50≦t<100: TGmax=−0.79×t+605 ・・・3d
100≦t≦200:TGmax=−0.28×t+554 ・・・3e
3a〜3e・・・<3>
(9)前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉幅方向端部の炉温が炉幅方向中央部の炉温より0〜30℃低くなるように炉温を制御することを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれか1項に記載の直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(10)前記直火式ローラーハース型熱処理炉の炉幅方向端部を中央部より低くする際、端部と中央部との炉温の温度差が、前記鋼板の板厚が10mm以下の場合は10℃以下、板厚10mm超30mm未満または板厚が30mm以上かつ板幅が3500mm以上の場合は10℃超30℃未満、板厚が30mm以上かつ板幅が3500mm未満の場合は30±5℃、となるように炉温を制御することを特徴とする前記(9)に記載の直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
(11)ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記厚鋼板の板厚t(mm)で下記<4>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=10.02×t+491 ・・・4a
9≦t<15: TGmax=−0.56×t+586 ・・・4b
15≦t<50: TGmax=−1.79×t+605 ・・・4c
50≦t<100: TGmax=−0.92×t+561 ・・・4d
100≦t≦200:TGmax=−0.34×t+503 ・・・4e
4a〜4e・・・<4>
(12)ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<5>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=5.28×t+543 ・・・5a
9≦t<15: TGmax=0.07×t+590 ・・・5b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+616 ・・・5c
50≦t<100: TGmax=−0.88×t+576 ・・・5d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+518 ・・・5e
5a〜5e・・・<5>
(13)ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<6>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=5.16×t+562 ・・・6a
9≦t<15: TGmax=−0.24×t+611 ・・・6b
15≦t<50: TGmax=−1.72×t+633 ・・・6c
50≦t<100: TGmax=−0.75×t+584 ・・・6d
100≦t≦200:TGmax=−0.27×t+536 ・・・6e
6a〜6e・・・<6>
(14)ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を設定し、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に設定する上限温度TGmax(℃)を、鋼板の板厚t(mm)及び狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)に応じて、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃とした場合の下記<4>式、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃とした場合の<5>式、及び前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃とした場合の<6>式のうちの2つ以上の式に基づいて補間して算出し、下限温度TGminを前記狙い熱処理温度範囲の上限温度TSmin(℃)+10℃以上とし、該設定温度範囲において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とするラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
4≦t<9 : TGmax=10.02×t+491 ・・・4a
9≦t<15: TGmax=−0.56×t+586 ・・・4b
15≦t<50: TGmax=−1.79×t+605 ・・・4c
50≦t<100: TGmax=−0.92×t+561 ・・・4d
100≦t≦200:TGmax=−0.34×t+503 ・・・4e
4a〜4e・・・<4>
4≦t<9 : TGmax=5.28×t+543 ・・・5a
9≦t<15: TGmax=0.07×t+590 ・・・5b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+616 ・・・5c
50≦t<100: TGmax=−0.88×t+576 ・・・5d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+518 ・・・5e
5a〜5e・・・<5>
4≦t<9 : TGmax=5.16×t+562 ・・・6a
9≦t<15: TGmax=−0.24×t+611 ・・・6b
15≦t<50: TGmax=−1.72×t+633 ・・・6c
50≦t<100: TGmax=−0.75×t+584 ・・・6d
100≦t≦200:TGmax=−0.27×t+536 ・・・6e
6a〜6e・・・<6>
本発明の熱処理方法によれば、厚鋼板の全部位を材質上許容される熱処理温度範囲内に加熱することができるので、所望の材質特性を厚鋼板の全部位にわたって確保することができる。また、短時間で厚鋼板の全部位を上記範囲内に加熱できるので、生産性を向上することができる。
図1は、本発明を実施するサイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉の一例を示す厚鋼板の搬送方向に平行な断面模式図である。 図2は、サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉における炉幅方向の温度分布の一例を示す図である。 図3は、本発明を実施するラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の一例を示す厚鋼板の搬送方向に平行な断面模式図である。 図4Aは、設定炉温TGが狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に小幅に高く設定された場合において、本発明における熱処理炉での厚鋼板の昇熱状況を示す概念図である。 図4Bは、設定炉温TGが狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に大幅に高く設定された場合において、本発明における熱処理炉での厚鋼板の昇熱状況を示す概念図である。 図5は、直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法の基本概念を示す図である。 図6Aは、300℃≦狙い熱処理温度≦390℃において、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図6Bは、330℃≦狙い熱処理温度≦420℃において、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図6Cは、360℃≦狙い熱処理温度≦450℃において、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図7は、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉幅方向の温度偏差付与を示す図である。 図8は、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法の基本的な概念を示す模式図である。 図9Aは、300℃≦狙い熱処理温度≦390℃において、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図9Bは、330℃≦狙い熱処理温度≦420℃において、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図9Cは、360℃≦狙い熱処理温度≦450℃において、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲の例を示す図である。 図10Aは、300℃≦狙い熱処理温度≦390℃において、実施例における直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図10Bは、320℃≦狙い熱処理温度≦410℃において、実施例における直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図10Cは、340℃≦狙い熱処理温度≦430℃において、実施例における直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図10Dは、360℃≦狙い熱処理温度≦450℃において、実施例における直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図11は、330℃≦狙い熱処理温度≦420℃において、実施例における直火式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図12Aは、300℃≦狙い熱処理温度≦390℃において、実施例におけるラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図12Bは、320℃≦狙い熱処理温度≦410℃において、実施例におけるラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図12Cは、340℃≦狙い熱処理温度≦430℃において、実施例におけるラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図12Dは、360℃≦狙い熱処理温度≦450℃において、実施例におけるラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。 図13は、330℃≦狙い熱処理温度≦420℃において、実施例におけるラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の有効炉温範囲及び評価結果を示す図である。
[直火式ローラーハース型連続熱処理炉]
まず、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の概要について説明する。
図1は、直火式ローラーハース型連続熱処理炉の例を示す厚鋼板の搬送方向に平行な断面模式図である。熱処理炉1は、被熱処理材である厚鋼板Sの搬送方向に搬送ロールRを挟んで複数の上部燃焼制御帯21,22,23,24及び下部燃焼制御帯31,32,33,34に分割されている。厚鋼板Sは搬送ロールRによって炉内に装入、炉内での移動、炉外への抽出がなされる。各燃焼制御帯にはその左右の側壁に直火式バーナー4が複数配置されている。装入側の燃焼制御帯(例えば燃焼制御帯21,22,31,32)は被熱処理材を常温から昇温するため相対的に大きな燃焼容量を持ち、抽出側の燃焼制御帯(例えば燃焼制御帯23,24,33,34)は相対的に小さな燃焼容量を持つ。燃焼ガスは、炉内を所定温度に上昇、保持するともに、装入された厚鋼板を加熱した後、炉内に複数設置された排気口から排出され、煙道6を経由して煙突7から大気中に放出される。
熱処理に先立ち、各燃焼制御帯は、制御炉温計5の指示に基づいて、狙いとする熱処理温度に対して被熱処理材の昇温挙動等を考慮した炉温に設定される。そして、設定が完了したのち、被熱処理材を順次装入し、略熱処理温度まで加熱する。なお、必要に応じて上記の設定炉温を変更することも可能である。
制御炉温計5は熱処理炉の幅方向中央部に設けられており、端部よりも高い温度を検出している。これにより、以下、炉温について述べる際は、特に断らない限り熱処理炉の幅方向中央部の温度とする。
このような直火式ローラーハース型連続式熱処理炉を用いた加熱では、バーナーの燃焼特性(バーナーの口径、火炎の長さなど)により、炉内に炉幅方向の温度差が生じるのは避けられない。
図2は、直火式ローラーハース型連続式熱処理炉の炉幅方向の温度分布を示す模式図である。図2に示すように、バーナーの噴射方向先端部の近傍において炉温が高い。つまり、左右のバーナーによって炉幅方向の中央部の炉温が炉幅方向の端部の炉温よりも高い温度分布が得られる。
[ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉]
次に、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉について説明する。
図3は、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の例を示す厚鋼板の搬送方向に平行な断面模式図である。熱処理炉51は、被熱処理材である厚鋼板Sの搬送方向に搬送ロールRを挟んで複数の上部燃焼制御帯71,72,73,74及び下部燃焼制御帯81,82,83,84に分割されている。厚鋼板Sは搬送ロールRによって炉内に装入、炉内での移動、炉外への抽出がなされる。各燃焼制御帯にはその左右の側壁にラジアントチューブ式バーナー54が複数配置されている。装入側の燃焼制御帯(例えば燃焼制御帯71,72,82,84)は被熱処理材を常温から昇温するため相対的に大きな燃焼容量を持ち、抽出側の燃焼制御帯(例えば燃焼制御帯73,74,83,84)は相対的に小さな燃焼容量を持つ。なお、バーナーの容量は熱処理能力と共にこのような燃焼制御帯ごとの機能を考慮して決定される。燃焼ガスはラジアントチューブ内部で燃焼し、間接的に厚鋼板を加熱する。燃焼ガス自身はラジアントチューブ内部の流路に沿って炉外へ排出され、煙道56に合流して煙突57から大気中に放出される。なお、図3には、ラジアントチューブから煙道56への燃焼ガスの合流は図示していない。
熱処理に先立ち、各燃焼制御帯は、制御炉温計55の指示に基づいて、狙いとする熱処理温度に対して被熱処理材の昇温挙動等を考慮した炉温に設定され、設定が完了したのち、被熱処理材を順次装入し、略熱処理温度まで加熱する。なお、必要に応じて上記の設定炉温を変更することも可能である。
制御炉温計55は熱処理炉の幅方向中央部に設けられており、以下炉温について述べる際は、特に断らない限り熱処理炉の幅方向中央部の温度とする。
このようなラジアントチューブ式ローラーハース型連続式熱処理炉を用いた加熱では、炉内の炉幅方向の温度差は小さく、被加熱材である鋼板の昇熱挙動に対する炉幅方向の温度分布の影響はほとんど無視できる。この点が、前述の直火式ローラーハース型連続熱処理炉と大きく異なる点である。
[熱処理条件の概要]
発明者らは、直火式ローラーハース型連続熱処理炉及びラジアントチューブ式ローラーハース型連続式熱処理炉を用いた鋼板の熱処理において、鋼板全体が所定の熱処理温度範囲内におくことができ、かつ鋼板を所定の熱処理温度に保定することをほとんど要さない、効率的な熱処理方法を検討するために、熱処理炉において加熱中の鋼板の温度履歴、温度偏差について広く研究を行った。
その結果、従来から知られているように、狙いの温度よりも高い炉温で加熱する場合は、鋼板の板内の温度偏差が大きく、さらに、鋼板全体が適正な温度範囲に在る時間、すなわち狙いの熱処理温度範囲に入っている時間、が極めて短くなるか、或は、存在しないことがあることを知見した。すなわち、薄い鋼板では昇温速度が速すぎるために、鋼板全体が狙い熱処理温度範囲に入っている時間が短く、厚い鋼板では板内の温度偏差が大きいために、鋼板全体が狙い熱処理温度範囲に入っている時間が存在しないことがある。
これに対して、更に検討を行った結果、熱処理炉の温度(炉温)TGを狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxよりも高い温度に設定して熱処理を行っても、鋼板全体の温度が狙い熱処理温度範囲内にあって、板内の温度偏差も小さいものとすることが可能な熱処理条件を見出した。
熱処理炉において鋼板を加熱する場合、熱容量の違いから薄い鋼板ほど速く鋼板の温度が上昇する。また、鋼板の部位を考えると、単位体積当りの伝熱面積が広い四周部(周辺部)は、中央部に比べて温度が速く高まる。そしてその影響は、板厚が大きいほど、また、炉温が高いほど大きくなり、このようにして、板内の温度偏差が生じる。
均質な鋼板を得るためには、この板内の温度偏差は、材質的に許容される温度変動幅ΔTs以内にあることが必要である。従って、材質とその許容される温度変動幅ΔTsとに基づいて、狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsmin、及び上限温度Tsmaxを設定する必要がある。
また、効率的に、板内温度偏差を所定の熱処理温度範囲内にとどめるには、狙い熱処理温度範囲に到達した鋼板を速やかに抽出するための作業が確実かつ円滑に実行できる時間、すなわち、抽出作業余裕時間Δτを確保することが好ましい。
例えば、効率的な熱処理操業を行うためには、高めの設定炉温TGとして鋼板を急速に昇温させるような操業となるが、薄い鋼板の場合は、短時間に狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxの範囲に到達する。その際には直ちに抽出しないと、鋼板全体を狙いの熱処理範囲に保つことができない場合が生じる。このため、その設定炉温TGは、抽出作業余裕時間Δτを考慮して設定することが必要である。
図4A及び図4Bは、熱処理炉での厚鋼板の昇熱状況を示した概念図である。図4Aは、熱処理炉の設定温度(炉温)TGが狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に小幅に高く設定された場合の昇熱状況を示し、図4Bは、熱処理炉の設定温度(炉温)TGが狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に大幅に高く設定された場合の昇熱状況を示す。なお、材質上許容される温度変動幅ΔTs、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxは図4A、図4B間で共通している。また、横軸は経過時間を示し、縦軸は鋼板の温度を示す。
図4Aの場合、すなわち、熱処理炉の設定温度(炉温)TGが狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に小幅に高く設定された場合は、四周部は中央部に比べて速く昇熱するため、板内に比較的大きな温度偏差が生じる。図4Aから判るように、四周部の温度は中央部よりも速く狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達する(EL)。一方、中央部の温度は、加熱開始から時間τmin経過して狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達する(C)。このとき鋼板の四周部は、まだ狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxに達していない。この瞬間を過ぎれば、鋼板全体が狙い温度範囲に入っているので抽出することができる。中央部が狙い熱処理温度範囲の下限Tsminに到達した時点よりかなり遅れ、四周部は加熱開始から時間τmax経過して上限温度Tsmaxに到達する(E)。この瞬間まで鋼板全体が狙い温度範囲に入っているので鋼板を抽出することができる。
したがって、時間τmaxと時間τminとの差Δτ=(τmaxmin)の値は正であり、この間は、鋼板の四周部、中央部共に狙い熱処理温度範囲に入っていることになり、この間に鋼板を抽出すれば、材質的に許容できるばらつきの範囲内である鋼板を得ることができる。そして、Δτは、熱処理を完了した鋼板を熱処理炉から抽出するのに必要な抽出作業余裕時間であり、作業を的確かつ円滑に行うために重要である。
一方、図4Bの場合、すなわち、熱処理炉の設定温度TG(炉温)が狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに対して比較的に大幅に高く設定された場合は、図4Aの場合と同様に鋼板の四周部は中央部に比べて速く昇熱するが、設定温度が高いために四周部の昇熱が極めて大きくなり、板内の温度差は図4Aの場合に比べて大きくなる。図4Bから判るように、四周部の温度は中央部よりもかなり速く狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達する(EL)。一方、中央部の温度は、加熱開始から時間τmin経過して狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達する(C)。しかしこの時点では鋼板の四周部は、すでに狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxを超えている(E)。すなわち、中央部が狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達するまでの経過時間τminは、四周部が狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxに達するまでの経過時間τmaxより長く、中央部が狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達した時点では、四周部は、狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxを超えており、鋼板全体を熱処理温度範囲内にとどめておくことはできない。
すなわち、時間τmaxと時間τminとの差Δτ=(τmaxmin)の値は負となり、鋼板の四周部と中央部とが共に狙い熱処理温度範囲に入っている時間が確保されないことになる。このような設定炉温では、加熱時間は短くなっても、材質的に許容できるばらつきの範囲内である鋼板を得ることはできない。
図4A、図4Bでは、鋼板の板厚tを一定とし、熱処理炉の設定温度の影響を説明したが、熱処理炉の設定温度を一定として、鋼板の板厚を小さくした場合、あるいは大きくした場合でも、上記と同様な関係となることが判る。
すなわち、板厚が小さい場合は中央部、四周部内の温度差が大きくなりにくいため、図4Aの場合の昇熱状況になる。一方、鋼板全体としての昇熱速度が速くなるため、中央部が狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに達する時間τminと四周部が狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに到達する時間とが近接する。このため、板厚が小さいほど時間τmaxと時間τminとの差Δτ=(τmaxmin)が小さくなる。このことは、上述のように抽出するための抽出作業余裕持間がきわめて短くなることを意味し、作業上の制約となることが判る。
また、板厚が大きい場合は中央部と四周部との温度差が大きくなりやすいため、図Bの場合の昇熱状況に近づく。また、四周部と中央部との昇熱速度の差が顕著に表れ、四周部の温度上昇に比べて中央部の温度上昇がかなり遅くなる。このため、中央部が狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminに到達する時点より前の時点で、四周部は狙い熱処理温度の上限温度Tsmaxに達し、時間τminが経過した時点では、四周部は上限温度Tsmaxを超える。すなわち、図Bの場合のように、Δτの値が負となり、鋼板の四周部と中央部とが共に狙い熱処理温度範囲に入っている時間が確保されないことになる。
ここで、上述の抽出作業余裕時間Δτは、熱処理炉の処理対象とする鋼板の全部位(四周部、中央部)が、材質上許容される温度変動幅ΔTsを考慮した狙い熱処理温度範囲に入っている時間であり、この間に抽出しなければ、所要の材質は得られない。すなわち、鋼板の全ての部位がTsmin以上であり、いずれかの部位がTsmaxを超えるまでの間が抽出可能な時間であり、抽出作業を行える余裕時間ということである。
抽出作業に要する時間は、ローラーハースの搬送速度や鋼板の長さによって変わるが、作業者の作業タイミングなども勘案して設定すればよい。この抽出作業余裕時間Δτを長くすれば、作業自体は余裕を持って行えるものの熱処理作業全体の効率は低下する。これらのことを総括すると、通常少なくともこの抽出作業余裕時間Δτは1分程度を確保することが好ましく、より好ましくは5分以上である。
このように、熱処理炉の設定温度TGを狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxよりも高い温度に設定しても、相当の時間、鋼板全体が狙い熱処理温度範囲に入っており、しかも板内の温度偏差が小さくなるような熱処理炉の設定温度の上限温度TGmaxが存在することが明らかである。従って、熱処理炉の設定炉温を狙い熱処理温度範囲より高い温度に設定しても、材質的に均一な厚鋼板をうる熱処理方法が可能であることが判る。
ここで炉温上限温度TGmaxの定義を考える。図4Aで、TGを上げて行くと四周部と中央部の昇温速度の差が付いていき、抽出作業余裕時間Δτの部分が小さくなっていく。抽出作業余裕時間Δτが所定の抽出作業余裕時間となったとき、このTGは上限の温度であるので、この炉温は炉温上限温度TGmaxであると定義することができる。
これらのことから、この炉温の設定温度の上限温度TGmaxは、板厚t及び材質上許容される温度変動幅ΔTsに基づく狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、ならびに抽出作業余裕時間Δτなどの影響を受けることが判る。
従って、材質的に許容できる温度変動幅ΔTsに基づいて狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxを設定し、この狙い熱処理温度範囲に対して、板厚t及び抽出作業余裕時間Δτを考慮した熱処理炉の設定炉温の上限温度TGmaxを、実験または鋼板の伝熱計算(たとえば有限差分法や有限要素法など)などによって求めていき、この設定温度TGの上限温度TGmaxと、狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsminとの間で炉温を設定し、熱処理を行うことができる。
設定炉温TGが上限温度TGmaxに近い方が熱処理炉で加熱する時間が短く、生産性が高くなる。したがって、熱処理炉の設定炉温はできるだけ高く設定することが望ましい。また、加熱する時間は10℃がるごとに10%程度延びる。そこで、特に生産性の高い熱処理を行う場合は、温度制御の変動を考慮して、設定炉温TGは、TGmax(℃)−50℃≦TG(℃)≦TGmax(℃)−0℃の温度範囲であることが望ましい。また、熱処理炉の設定温度の下限温度TGminは、狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上とする。下限温度TGminが、Tsmax(℃)+10℃未満では、生産性の向上効果が小さいためである。
[第1の実施形態(直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法)]
まず、直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法について説明する。
図5は、直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法の基本的な概念を示す模式図である。
第1の実施形態では、材質上許容しうる板内の温度変動幅ΔTsに基づいて狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsmin及び上限温度Tsmaxを設定し、この狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、板厚tならびに抽出作業余裕時間Δτなどを勘案し、実験または伝熱計算などの手法により設定炉温の上限温度TGmaxを予め求めておく。
このようにして得られた炉温上限温度TGmaxの温度は、板厚tによって大きく変化する。板厚4mm〜9mm付近は板厚の増加に伴ってTGmaxの温度は急激に上昇し、9mm〜15mm付近ではその変化が少なくなる。15mm超では、TGmaxの温度は逆に急激に降下し、その降下する傾きは板厚の増加につれて200mmの板厚へ向けて緩やかになっていく。板厚t(mm)と上限温度TGmaxとの関係は一般に連続的な関係であるが、制御の精度を考えると厳密にその関係式を求める必要はない。そこで、板厚毎の炉温の設定を容易にするために、複数の板厚区分に分けて、それぞれの板厚区分に対して板厚tと炉温上限温度TGmaxと関係を直線近似する。例えば後述するように、4≦t<9、9≦t≦15、15≦t<50、50≦t<100、100≦t≦200の板厚区分に分けて、そのそれぞれに板厚tと炉温上限温度TGmaxとの関係式を与えることが可能である。板厚区分や炉温上限温度TGmaxは狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxや抽出作業余裕時間Δτによって多少変化するが、板厚tと炉温上限温度TGmaxとの関係の傾向はあまり変わらない。
また、設定炉温の下限温度TGminを狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃として、炉温の設定範囲TGmin〜TGmaxを設定する。この設定炉温の範囲を有効炉温範囲とする。
そして、第1の実施形態では、この有効炉温範囲内において、設定炉温TGを選択して熱処理炉の炉温を設定し、熱処理を行う。この結果、効率的な熱処理で均質な材質の厚鋼板を得ることができる。
なお、鋼板の温度のばらつきがより小さい温度偏差となるようにすれば、定性的には材質ばらつきがより小さい厚鋼板が得られる。また、操業における温度制御の精度にばらつきが生じることもある。そこで、これらを勘案し、上記の材質上許容される温度変動幅ΔTsより狭い温度変動幅の条件を加えて、炉温の設定範囲TGmin〜TGmaxを設定して熱処理を行うことも可能である。
このような場合について、より狭い温度変動幅を実際に加熱する際の許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)とし、操業許容温度ばらつきΔTzと定義する。この操業許容温度ばらつきΔTzは、上記材質上許容される温度変動幅ΔTsの範囲内、すなわち、ΔTz≦ΔTsであることはいうまでない。
すなわち、材質上許容される温度変動幅ΔTsよりさらに狭い操業許容温度ばらつきΔTzを条件に加えて、板厚tならびに抽出作業余裕時間Δτなどを勘案し、更に好ましい熱処理炉の設定温度の上限TGmaxを実験または鋼板の伝熱計算(たとえば有限差分法や有限要素法など)などによって求めておくことが好ましい。また、設定温度の下限を、狙い熱処理温度の上限温度Tsmax(℃)+20℃とすることも望ましい。すなわち、炉温の設定温度を狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxより20℃以上高くすると、炉温を狙い熱処理温度範囲の上限値と等しくした場合と比べて、ほぼ20%以上、生産性を高めることができる。このような上限温度TGmax、下限温度TGminを反映させたより好ましい炉温範囲の例を図5に併せて示す(破線)。
第1の実施形態の熱処理方法の基本的な概念は、上記のとおりである。このように、上記の設定温度の上限温度TGmaxを求める場合、厚鋼板の四周部と中央部との昇熱速度の差、すなわち、厚鋼板の材質のばらつきの原因となる板内の温度偏差を考慮している。また、さらに検討した結果、この板内の温度偏差は、厚鋼板の形状(板幅、板厚)に起因するとともに、ローラーハース型連続熱処理炉の幅方向の温度分布にも起因する場合があることを知見した。
上述のように、直火式ローラーハース型連続熱処理炉では、図2に示したように、炉幅方向で温度が相違しており、炉幅方向の中央部の炉温が炉幅方向の端部の炉温よりも高い。
このように炉幅方向で温度が相違している場合は、上限温度TGmaxが厚鋼板の四周部と中央部とでの昇熱速度すなわち板内の温度偏差に影響を与える。このため、上述のように熱処理炉の設定する上限温度TGmaxを検討する際には、熱処理炉の温度分布の影響を考慮したものとすることが好ましい。
したがって、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における熱処理方法の場合、設定する上限温度TGmaxを求める際には、炉幅方向の温度分布を考慮して求めることが好ましい。
上述のように、第1の実施形態においては、厚鋼板の部位による材質およびそのばらつき上許容される温度変動幅ΔTsに基づいて、狙い熱処理温度範囲を設定する。狙い熱処理温度範囲を設定する材質上許容される温度変動幅ΔTsについては、各種の組成を有する鋼を圧延して鋼板とし、この鋼板を焼入れ、焼き戻し条件(温度、冷却)を変えて熱処理し、材質特性(例えば、引張強度、降伏応力など)を前もって調査しておき、どの程度の温度差までであれば、材質的に許容できるかを確認して設定することができる。
第1の実施形態において、熱処理の対象とする厚鋼板は、例えば前述のように焼き入れ、焼き戻しなどの熱処理により材質を調整して使用されることが多い普通鋼(通常の炭素含有量である0.02質量%〜2.1質量%)である。また、例えば板厚は4mm〜200mm、板幅は2500mm〜5000mmである。
発明者らはこのような厚さ、幅の普通鋼厚鋼板を圧延し、各種条件で焼き入れ及び焼き戻しを施し、その特性(引張強度と降伏応力)を調査した。その結果、この厚鋼板は300℃〜450℃で焼き戻し熱処理を施した場合、焼入れ条件にもよるが、普通鋼において適正な引張強度および降伏応力が得られることを知見した。これよりも高い温度では過剰に焼き戻し処理が進行してしまい、材料強度が低下してしまうからである。また、これよりも低い温度では焼き戻しが進行しない。
さらに、この温度範囲内で板内の温度偏差が90℃以内であれば、引張強度や降伏応力の板内偏差が30MPa程度以内に均質化されることを知見した。この際、焼き戻し温度における部位の違いによる昇温速度の違いに起因する処理時間差には、材質上の影響が小さいことも知見した。
すなわち、炉内温度のばらつきがどの程度であっても、板内の温度偏差が90℃以内であれば、材質的には十分許容しうる均一性を有する厚鋼板とすることができることを見出した。このため、上述のように第1の実施形態においては、狙い熱処理温度範囲は、温度変動幅ΔTsを90℃と設定する。
このように第1の実施形態では材質上のばらつき範囲として許容される温度変動幅ΔTsを90℃とするが、例えば、温度変動幅ΔTsを80℃や70℃として考えることもできる。材質上のばらつき範囲としては90℃まで許容しても実用上十分に均質な厚鋼板を得ることができるが、より小さい温度偏差にすれば定性的にはより小さい材質ばらつきの厚鋼板が得られるため、このような扱いも可能である。温度変動幅ΔTsを80℃や70℃とした場合、これにあわせた狙い熱処理温度範囲での後述する<1>〜<3>に相当する式の傾きや切片の値は異なってくる。その場合でも、狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxを揃えるようにΔTs=90℃の狙い熱処理温度範囲を考えることによって<1>〜<3>式を適用できる。また、ΔTz≦ΔTsの範囲で操業許容温度ばらつきΔTzを定めることにより、後述の<1’>〜<3’>、<1’’>〜<3’’>、<1’’’>〜<3’’’>の式を適用することができるが、結果的に炉温の上限温度TGmaxは第1の実施形態による熱処理方法の炉温範囲に含まれる。
以下、第1の実施形態における熱処理方法について具体的な例に基づいて説明する。特に、第1の実施形態においては設定炉温の上限温度TGmaxを求めることが重要である。
直火式ローラーハース型連続熱処理炉において、板厚が4mm〜200mm、板幅が2500mm〜5000mmの普通鋼の厚鋼板を300℃〜450℃の温度範囲に熱処理する場合において、上述のように材質的に許容される温度変動幅ΔTsを90℃として、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxを、A:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃の3とおり設定し、抽出作業余裕時間Δτを1分以上として、設定炉温の上限温度TGmaxを求めた。なお、前述のように直火式ローラーハース型連続熱処理炉は多くの場合サイドバーナーを有しており、炉温には炉幅方向に温度偏差があるため、この温度偏差を考慮した。ここでは、温度偏差が15℃(炉幅中央部>炉幅端部)程度であると仮定した。
すなわち、これらの条件に基づき、設定炉温を変化させ、その場合の鋼板端部及び中央部の伝熱計算を有限差分法によって解析し、鋼板全体(四周部と中心部)が、抽出作業余裕時間Δτ(=1分以上)の間、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、ΔTsに加えて操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz=90℃以下に在るように上限温度TGmaxを板厚tについて求めた(すなわち、この場合ΔTs=ΔTz)。また、抽出作業余裕時間Δτを5分以上、ΔTs=90℃(狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax)に加えて、操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以下とした場合についても同様に上限温度TGmax’を求めた。それらの結果を図6A〜図6Cに示す。
図6A〜図6Cに示すように、上限温度TGmaxは、板厚t、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxによって異なる。上限温度TGmaxと下限温度TGmin(=狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との間の有効炉温範囲において、設定炉温TGを設定すればよい。なお、図示しないが、上記狙い熱処理温度範囲において、抽出作業余裕時間Δτを5分以上、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを50℃以下とした場合、上限温度TGmaxは、抽出作業余裕時間Δτを1分以上、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下とした場合と比べて低く、適用しうる板厚の範囲は狭くなるが、作業性と材質面で好ましく、必要に応じて選択すればよい。
板厚t(mm)と上限温度TGmaxとの関係は一般に連続的な関係であるが、前述したとおり、4≦t<9、9≦t≦15、15≦t<50、50≦t<100、100≦t≦200の板厚区分として、板厚tと上限温度TGmaxと関係を直線近似し、これを式で示している。
すなわち、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下、抽出作業余裕時間Δτを1分以上として、狙い熱処理温度範囲をA:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃とした場合の上限温度TGmax(℃)は、それぞれ、厚鋼板の上記板厚区分の板厚t(mm)に応じて、下記<1>式〜<3>式で表される。
狙い熱処理温度範囲Aが300℃〜390℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=7.92×t+519 ・・・1a
9≦t<15: TGmax=0.45×t+586 ・・・1b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+618 ・・・1c
50≦t<100: TGmax=−0.94×t+581 ・・・1d
100≦t≦200:TGmax=−0.35×t+522 ・・・1e
1a〜1e・・・<1>
狙い熱処理温度範囲Bが330℃〜420℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=6.26×t+549 ・・・2a
9≦t<15: TGmax=0.18×t+603 ・・・2b
15≦t<50: TGmax=−1.71×t+632 ・・・2c
50≦t<100: TGmax=−0.84×t+588 ・・・2d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+535 ・・・2e
2a〜2e・・・<2>
狙い熱処理温度範囲Cが360℃〜450℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=9.58×t+547 ・・・3a
9≦t<15: TGmax=−0.50×t+637 ・・・3b
15≦t<50: TGmax=−1.85×t+658 ・・・3c
50≦t<100: TGmax=−0.79×t+605 ・・・3d
100≦t≦200:TGmax=−0.28×t+554 ・・・3e
3a〜3e・・・<3>
従って、上記式に基づいて、狙い熱処理温度範囲において抽出作業余裕時間Δτ1分以上を考慮し、板厚に応じて設定する上限温度TGmaxを得ることができる。そして、この上限温度TGmaxと下限温度TGmin(=狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との範囲において、設定炉温TGを設定し、設定炉温で鋼板を装入し、加熱後抽出すればよいことが判る。これによれば、厚鋼板の全部位が狙い熱処理温度範囲に入る時間、すなわち、抽出作業余裕時間Δτを1分以上確保でき、かつ加熱終了時の厚鋼板の板内の温度ばらつき(操業許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以内とすることができる。
また、操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以下、抽出作業余裕時間Δτを5分以上、狙い熱処理温範囲を上記と同様に、A:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃とする場合の熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)は、下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、
狙い熱処理温度範囲Aを300℃〜390℃とする場合:
4≦t<10 : TGmax’=4.00×t+413 ・・・1’a
10≦t<20: TGmax’=3.70×t+416 ・・・1’b
20≦t<50: TGmax’=−1.67×t+523 ・・・1’c
50≦t<100: TGmax’=−0.60×t+470 ・・・1’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.19×t+429 ・・・1’e
1’a〜1’e・・・<1’>
とすることが好ましい。
また、同様に、狙い熱処理温度範囲Bを330℃〜420℃とする場合:下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)を、
4≦t<10 : TGmax’=6.33×t+422 ・・・2’a
10≦t<20: TGmax’=2.60×t+459 ・・・2’b
20≦t<50: TGmax’=−1.70×t+545 ・・・2’c
50≦t<100: TGmax’=−0.54×t+487 ・・・2’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.17×t+450 ・・・2’e
2’a〜2’e・・・<2’>
とすることが好ましい。
また、狙い熱処理温度範囲Cを360℃〜450℃とする場合:下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)を、
4≦t<10 : TGmax’=1.33×t+489 ・・・3’a
10≦t<20: TGmax’=3.40×t+468 ・・・3’b
20≦t<50: TGmax’=−1.83×t+573 ・・・3’c
50≦t<100: TGmax’=−0.48×t+505 ・・・3’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.14×t+471 ・・・3’e
3’a〜3’e・・・<3’>
とすることが好ましい。
上記の<1’>、<2’>、<3’>の何れかの式によって得られた上限温度TGmax’を有する有効炉温範囲において、炉温を設定すれば、厚鋼板の全部位が狙い熱処理温度範囲に入る時間、すなわち抽出作業余裕時間Δτを5分以上確保することができ、かつ、加熱終了時の厚鋼板の板内の温度偏差(板の四周部と中央部の温度偏差)、すなわち、操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以内と、より小さくすることができるので好ましい。
同様に、上記各狙い熱処理温度範囲において、抽出作業余裕時間Δτ或は操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを変えた条件で、熱処理炉において設定する上限温度TGmaxを求めることができる。
狙い熱処理温度範囲をA:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃のそれぞれの場合において、i)ΔTzが90℃以下、Δτを5分以上とした場合、ii)ΔTzが50℃以下、Δτを1分以上とした場合のそれぞれにおいて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’’(℃)およびTGmax’’’(℃)を各板厚範囲の板厚t(mm)に応じて下記に示す。
i)狙い熱処理温度範囲A:300℃〜390℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=4.00×t+413 ・・・1’’a
10≦t<20: TGmax’’=3.70×t+416 ・・・1’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.20×t+486 ・・・1’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.30×t+511 ・・・1’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.32×t+513 ・・・1’’e
1’’a〜1’’e・・・<1’’>
とする。
ii)狙い熱処理温度範囲A:300℃〜390℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 : TGmax’’’=7.92×t+519 ・・・1’’’a
9≦t<20: TGmax’’’=−7.36×t+656 ・・・1’’’b
20≦t<50: TGmax’’’=−2.30×t+555 ・・・1’’’c
50≦t<100: TGmax’’’=−0.60×t+470 ・・・1’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.19×t+429 ・・・1’’’e
1’’’a〜1’’’e・・・<1’’’>
とする。
また、i)狙い熱処理温度範囲B:330℃〜420℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=6.33×t+422 ・・・2’’a
10≦t<20: TGmax’’=2.60×t+459 ・・・2’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.20×t+507 ・・・2’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.40×t+537 ・・・2’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.23×t+520 ・・・2’’e
2’’a〜2’’e・・・<2’’>
とする。
また、ii)狙い熱処理温度範囲B:330℃〜420℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 : TGmax’’’=6.26×t+549 ・・・2’’’a
9≦t<20: TGmax’’’=−7.55×t+673 ・・・2’’’b
20≦t<50: TGmax’’’=−2.07×t+563 ・・・2’’’c
50≦t<100: TGmax’’’=−0.54×t+487 ・・・2’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.17×t+450 ・・・2’’’e
2’’’a〜2’’’e・・・<2’’’>
とする。
また、i)狙い熱処理温度範囲C:360℃〜450℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=1.33×t+489 ・・・3’’a
10≦t<20: TGmax’’=3.40×t+468 ・・・3’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.13×t+533 ・・・3’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.32×t+556 ・・・3’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.27×t+551 ・・・3’’e
3’’a〜3’’e・・・<3’’>
とする。
また、ii)狙い熱処理温度範囲C:360℃〜450℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 :TGmax’’’=9.58×t+547 ・・・3’’’a
9≦t<20:TGmax’’’=−8.82×t+712 ・・・3’’’b
20≦t<50:TGmax’’’=−1.83×t+573 ・・・3’’’c
50≦t<100:TGmax’’’=−0.48×t+505 ・・・3’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.14×t+471 ・・・3’’’e
3’’’a〜3’’’e・・・<3’’’>
とする。
このように、設定された狙い熱処理温度範囲において、ΔTz、Δτに応じて、板厚に対応した熱処理炉の設定炉温の上限温度TGmaxを<1>〜<3>式、<1’>〜<3’>式、<1’’>〜<3’’>式、又は<1’’’>〜<3’’’>式から得ることができる。しかしながら、これらの式から得られる熱処理炉の上限温度TGmaxは、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz、抽出作業余裕時間Δτを或る特定の条件とした場合についてのものである。上記の特定条件以外の場合の熱処理炉の上限温度TGmaxは、直接的には得られない。しかしながら、<1>〜<3>式、<1’>〜<3’>式、<1’’>〜<3’’>式、又は<1’’’>〜<3’’’>式の各式グループでは、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz、抽出作業余裕時間Δτの条件は共通するので、その条件下では、上記の各式グループで特定された狙い熱処理温度範囲とは異なる狙い熱処理温度範囲であっても、その異なる狙い熱処理温度範囲の一部を含む各式グループの中の2つの式に板厚tを代入してそれぞれの設定炉温の上限温度TGmaxを求め、これを用いて補間することにより異なる狙い熱処理温度範囲における上限温度TGmaxを求めることができる。例えば、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxが<1>〜<3>とずれる場合はこれらの<1>〜<3>のいずれか2つの式で所望の板厚tを代入して得た設定炉温の上限温度TGmaxを直線近似して、補間することより所望の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxにおける設定炉温の上限温度TGmaxを求めることができる。
また、このような補間は<1>〜<3>のいずれか2つの式を直線近似する方法に限られるものではない。例えば、これら<1>〜<3>の3つの式で所望の板厚tを代入して得た3つの設定炉温の上限温度TGmaxを用いて放物線近似などの関数近似をして補間することにより、所望の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxにおける設定炉温の上限温度TGmaxを求めることもできる。
上述のように、第1の実施形態においては、狙い熱処理温度範囲より高い温度に炉温を設定し、厚鋼板の温度が設定炉温よりも低い状態で抽出して熱処理を行うものである。ところが、その加熱において、厚鋼板の中央部と四周部とでは昇温速度が異なり、四周部が早く昇温する。その度合いは、鋼板の板厚や板幅、熱処理炉の炉幅方向の温度差により異なる。
板厚が小さい場合は、部位による昇熱速度の差の度合いが小さいため、炉内の温度偏差のないほうが好ましい。一方、板厚が大きい場合は、部位による昇熱速度の差が顕著にあらわれるため、炉内において適度な温度偏差が存在することが好ましい。しかしながら、その場合でも鋼板の板幅が大きいと炉内における温度偏差の影響を強く受けるため、板幅が大きい場合には、炉内の温度偏差は小さいほうがよい。
このように、炉内の温度偏差による被熱処理鋼板内の温度偏差は、鋼板の厚さや幅による影響が大きい。従って、厚鋼板の板内の温度偏差を小さくする上では、熱処理炉の炉幅方向の温度分布を制御することが好ましい。
なお、上記の上限温度TGmaxの検討においては、炉幅方向の温度差を15℃(炉幅方向中央>端部)としているが、炉幅方向の温度差を適切に制御することにより、熱処理における鋼板の板内の温度偏差を更に小さくでき、設定炉温をより適切に設定でき、かつ、熱処理操業の生産性を向上させることができる。
このような観点から、発明者らは、熱処理炉の炉幅方向に各種の温度差(中央部が高く、端部が低い)を付与し、第1の実施形態の熱処理方法を実施する場合の効果を調査した。調査においては、板厚が6〜40mm、板幅が2500〜5000mmの普通鋼の厚鋼板を対象とし、熱処理温度範囲を300〜450℃、材質上許容される温度変動幅ΔTsを90℃として狙い熱処理温度を360〜450℃、操業許容温度ばらつきΔTz(=ΔTs)を90℃、抽出作業余裕時間Δτを1分として、熱処理炉の炉幅方向の各種の温度分布を付与した条件で、伝熱計算により設定炉温の上限温度TGmaxを求めた。
次いで、この設定炉温の上限温度TGmaxと、下限温度TGmin(狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との間で有効炉温範囲を設定し、この範囲内で炉温を設定して厚鋼板を熱処理する場合の抽出までの処理時間τmin、及びτmax、抽出作業余裕時間Δτをシミュレーションによって求めた。さらに、τmin時の鋼板幅方向端部と中央部との表面温度の偏差である加熱終了時の板内の温度偏差の実績ΔTs*(℃)を操業許容温度ばらつきと同じと仮定してシミュレーションによって求めた。
その結果、炉幅方向の温度分布において、中央部より端部が0〜30℃の低くなるように制御することにより、処理時間が短縮できることが判った。
更に、この効果について厚鋼板の板厚、板幅を考慮して検討した結果、具体的には、図7に示すように、板厚10mm以下の範囲では板幅によらず、炉幅方向の温度差を10℃以下に制御する。また、板厚30mm以上、かつ板幅3500mm未満の範囲では、炉幅方向の温度差をほぼ30℃に制御する。そして、それ以外の、板厚10mm超、30mm未満、および板厚30mm以上かつ板幅3500mm以上の範囲では、炉幅方向の温度差を10℃超かつ30℃未満とし、炉幅方向の中央部より端部で温度が低くなるように制御することが好ましいことが判った。なお、上記のほぼ30℃とは、制御精度の許容範囲として±5℃の温度範囲がある。
本実施形態の熱処理方法によれば、厚鋼板の全部位を材質上許容される熱処理温度範囲内に加熱することができるので、所望の材質特性を厚鋼板の全部位にわたって確保することができる。また、短時間で厚鋼板の全部位を上記範囲内に加熱できるので、生産性を向上することができる。
また、従来のように、狙い熱処理温度とほぼ一致した炉温に設定し、この設定炉温に対して板厚に応じてあらかじめ定められた時間加熱して熱処理を行う方法に比べて、30%〜90%の処理時間で加熱抽出を完了できるため、生産性が著しく向上する。したがって、熱処理に伴う固定的な熱損失も同様な割合で減少するので、熱処理炉の燃料原単位の低減によるコストの削減が実現できるほか、熱処理炉の燃料として使用される炭化水素などからのCO2の排出量を削減することもできる。
[第2の実施形態(ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法)]
次に、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた熱処理方法について説明する。
図8は、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いた鋼板の熱処理方法の基本的な概念を示す模式図である。
第2の実施形態では、材質上許容しうる板内の温度変動幅ΔTsに基づいて狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsmin及び上限温度Tsmaxを設定し、この狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、板厚tならびに抽出作業余裕時間Δτなどを勘案し、実験または伝熱計算などの手法により設定炉温の上限温度TGmaxを予め求めておく。また、設定炉温の下限温度TGminを上限温度Tsmax(℃)+10℃として、炉温の設定範囲TGmin〜TGmaxを設定する。この設定炉温の範囲を有効炉温範囲とする。
そして、第2の実施形態では、この有効炉温範囲内において、設定炉温TGを選択して熱処理炉の炉温を設定し、熱処理を行う。この結果、効率的な熱処理で均質な材質の厚鋼板を得ることができる。
なお、鋼板の温度のばらつきがより小さい温度偏差となるようにすれば、定性的には材質ばらつきがより小さい厚鋼板が得られる。また、操業における温度制御の精度にばらつきが生じることもある。そこで、これらを勘案し、上記の材質上許容される温度変動幅ΔTsをより狭い温度変動幅にして、炉温の設定範囲TGmin〜TGmaxを設定して熱処理を行うことも可能である。
このような場合について、より狭い温度変動幅を実際に加熱する際の許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)とし、操業許容温度ばらつきΔTzと定義する。この操業許容温度ばらつきΔTzは、上記材質上許容される温度変動幅ΔTsの範囲内、すなわち、ΔTz≦ΔTsであることはいうまでない。
すなわち、材質上許容される温度変動幅ΔTsよりさらに狭い操業許容温度ばらつきΔTzの条件を加えて、板厚tならびに抽出作業余裕時間Δτなどを勘案し更に好ましい熱処理炉の設定温度の上限TGmax(℃)をTGmaxを実験または鋼板の伝熱計算(たとえば有限差分法や有限要素法など)などによって求めておくことが好ましい。また、設定温度の下限を、狙い熱処理温度の上限温度Tsmax(℃)+20℃とすることも望ましい。すなわち、炉温の設定温度を狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxより20℃以上高くすると、炉温を狙い熱処理温度範囲の上限値と等しくした場合と比べて、ほぼ20%以上、生産性を高めることができる。このような上限温度TGmax、下限温度TGminを反映させたより好ましい炉温範囲の例を図8に併せて示す(破線)。
第2の実施形態の熱処理方法の基本的な概念は、上記のとおりである。このように、上記の設定温度の上限温度TGmaxを求める場合、厚鋼板の四周部と中央部との昇熱速度の差、すなわち、厚鋼板の材質のばらつきの原因となる板内の温度偏差を考慮している。また、さらに検討した結果、この板内の温度偏差は、厚鋼板の形状(板幅、板厚)に起因するとともに、ローラーハース型連続熱処理炉の幅方向の温度分布にも起因する場合があることを知見した。
しかしながら、上述のように、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉では炉幅方向にほぼ均一な温度分布を有する。したがって、上記の設定温度の上限温度TGmaxを求める場合においては、炉幅方向における温度分布の影響は無視することができる。
上述のように、第2の実施形態においては、鋼板の材質およびその部位によるばらつき上許容される温度変動幅ΔTsに基づいて、狙い熱処理温度範囲を設定する。狙い熱処理温度範囲を設定する材質上許容される温度変動幅ΔTsについては、各種の組成を有する鋼を圧延して鋼板とし、この鋼板を焼入れ、焼き戻し条件(温度、冷却)を変えて熱処理し、材質特性(例えば、引張強度、降伏応力など)を前もって調査しておき、どの程度の温度差までであれば、材質的に許容できるかを確認して設定することができる。
第2の実施形態において、熱処理の対象とする鋼板は、例えば前述のように焼き入れ、焼き戻しなどの熱処理により材質を調整して使用されることが多い普通鋼(通常の炭素含有量である0.02質量%〜2.1質量%)である。また、例えば板厚は4mm〜200mm、板幅は2500mm〜5000mmである。
発明者らはこのような厚さ、幅の普通鋼厚鋼板を圧延し、各種条件で焼き入れ及び焼き戻しを施し、その特性(引張強度と降伏応力)を調査した。その結果、この厚鋼板は300℃〜450℃で焼き戻し熱処理を施した場合、焼入れ条件にもよるが、普通鋼において適正な引張強度および降伏応力が得られることを知見した。これよりも高い温度では過剰に焼き戻し処理が進行してしまい、材料強度が低下してしまうからである。また、これよりも低い温度では焼き戻しが進行しない。
さらに、この温度範囲内で板内の温度偏差が90℃以内であれば、引張強度や降伏応力の板内偏差が30MPa程度以内に均質化されることを知見した。この際、焼き戻し温度における部位の違いによる昇温速度の違いに起因する処理時間差には、材質上の影響が小さいことも知見した。
すなわち、炉内温度のばらつきがどの程度であっても、板内の温度偏差が90℃以内であれば、材質的には十分許容しうる均一性を有する厚鋼板とすることができることを見出した。このため、上述のように第2の実施形態においては、狙い熱処理温度範囲は、温度変動幅ΔTsを90℃と設定する。
このように第2の実施形態では材質上のばらつき範囲として許容される温度変動幅ΔTsを90℃とするが、例えば、温度変動幅ΔTsを80℃や70℃として考えることもできる。材質上のばらつき範囲としては90℃まで許容しても実用上十分に均質な厚鋼板を得ることができるが、より小さい温度偏差にすれば定性的にはより小さい材質ばらつきの厚鋼板が得られるため、このような扱いも可能である。温度変動幅ΔTsを80℃や70℃とした場合、これにあわせた狙い熱処理温度範囲での後述する<4>〜<6>に相当する式の傾きや切片の値は異なってくる。その場合でも、狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmaxを揃えるようにΔTs=90℃の狙い熱処理温度範囲を考えることによって<4>〜<6>式を適用できる。また、ΔTz≦ΔTsの範囲で操業許容温度ばらつきΔTzを定めることにより、後述の<4’>〜<6’>、<4’’>〜<6’’>、<4’’’>〜<6’’’>の式を適用することができるが、結果的に炉温の上限温度TGmaxは第2の実施形態による熱処理方法の炉温範囲に含まれる。
以下、第2の実施形態における熱処理方法について具体的な例に基づいて説明する。特に、第2の実施形態においては設定炉温の上限温度TGmaxを求めることが重要である。
ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉において、板厚が4mm〜200mm、板幅が2500mm〜5000mmの普通鋼の厚鋼板を300℃〜450℃の温度範囲に熱処理する場合において、上述のように材質的に許容される温度変動幅ΔTsを90℃として、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxを、A:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃の3とおり設定し、抽出作業余裕時間Δτを1分以上として、設定炉温の上限温度TGmaxを求めた。なお、上述のようにラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉では、炉幅方向の温度偏差はほぼ均一であるので、炉幅方向の温度偏差の影響は無視した。
すなわち、これらの条件に基づき、設定炉温を変化させ、その場合の鋼板端部及び中央部の伝熱計算を有限差分法によって解析し、鋼板全体(四周部と中心部)が、抽出作業余裕時間Δτ(=1分以上)の間、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、ΔTsに加えて操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz=90℃以下に在るように上限温度TGmaxを、板厚t、狙い熱処理温度ΔTsについて求めた(すなわち、この場合はΔTs=ΔTz)。また、抽出作業余裕時間Δτを5分、ΔTs=90℃(狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax)に加えて、操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以下とした場合についても同様に上限温度TGmax’を求めた。それらの結果を図9A〜図9Cに示す。
図9A〜図9Cに示すように、上限温度TGmaxは、板厚t、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxによって異なる。上限温度TGmaxと下限温度TGmin(=狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との間の有効炉温範囲において、設定炉温TGを設定すればよい。なお、図示はしないが、上記狙い熱処理温度範囲において、抽出作業余裕時間Δτを5分以上、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを50℃以下とした場合、上限温度TGmaxは、抽出作業余裕時間Δτを1分以上、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下とした場合と比べて低く、適用しうる板厚の範囲は狭くなるが、作業性と材質面で好ましく、必要に応じて選択すればよい。
なお、板厚t(mm)と上限温度TGmaxとの関係は一般に連続的な関係であるが、板厚毎の炉温の設定を容易にするために、4≦t<9、9≦t≦15、15≦t<50、50≦t<100、100≦t≦200の板厚区分として、板厚tと上限温度TGmaxと関係を直線近似し、これを式で示している。
すなわち、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下、抽出作業余裕時間Δτを1分以上として、狙い熱処理温度範囲をA:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃とした場合の上限温度TGmax(℃)は、それぞれ、厚鋼板の上記板厚区分の板厚t(mm)に応じて、下記<4>式〜<6>式で表される。
狙い熱処理温度範囲Aが300℃〜390℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=10.02×t+491 ・・・4a
9≦t<15: TGmax=−0.56×t+586 ・・・4b
15≦t<50: TGmax=−1.79×t+605 ・・・4c
50≦t<100: TGmax=−0.92×t+561 ・・・4d
100≦t≦200:TGmax=−0.34×t+503 ・・・4e
4a〜4e・・・<4>
狙い熱処理温度範囲Bが330℃〜420℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=5.28×t+543 ・・・5a
9≦t<15: TGmax=0.07×t+590 ・・・5b
15≦t<50: TGmax=−1.67×t+616 ・・・5c
50≦t<100: TGmax=−0.88×t+576 ・・・5d
100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+518 ・・・5e
5a〜5e・・・<5>
狙い熱処理温度範囲Cが360℃〜450℃の場合:
4≦t<9 : TGmax=5.16×t+562 ・・・6a
9≦t<15: TGmax=−0.24×t+611 ・・・6b
15≦t<50: TGmax=−1.72×t+633 ・・・6c
50≦t<100: TGmax=−0.75×t+584 ・・・6d
100≦t≦200:TGmax=−0.27×t+536 ・・・6e
6a〜6e・・・<6>
従って、上記式に基づいて、狙い熱処理温度範囲において抽出作業余裕時間Δτ1分以上を考慮し、板厚に応じて設定する上限温度TGmaxを得ることができる。この上限温度TGmaxと下限温度TGmin(=狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との範囲において、設定炉温TGを設定し、設定炉温で鋼板を装入し、加熱後抽出すればよいことが判る。これによれば、厚鋼板の全部位が狙い熱処理温度範囲内に入る時間、すなわち、抽出作業余裕時間Δτを1分以上確保でき、かつ加熱終了時の厚鋼板の板内の温度ばらつき(操業許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以内とすることができる。
また、操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以下、抽出作業余裕時間Δτを5分以上、狙い熱処理温範囲を上記と同様に、A:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃とする場合の熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)は、下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、
狙い熱処理温度範囲Aを300℃〜390℃とする場合:
4≦t<10 : TGmax’=3.33×t+416 ・・・4’a
10≦t<20: TGmax’=3.00×t+419 ・・・4’b
20≦t<50: TGmax’=−1.93×t+518 ・・・4’c
50≦t<100: TGmax’=−0.58×t+450 ・・・4’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.18×t+410 ・・・4’e
4’a〜4’e・・・<4’>
とすることが好ましい。
また、同様に、狙い熱処理温度範囲Bを330℃〜420℃とする場合:下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)を、
4≦t<10 : TGmax’=5.50×t+425 ・・・5’a
10≦t<20: TGmax’=1.70×t+463 ・・・5’b
20≦t<50: TGmax’=−1.83×t+534 ・・・5’c
50≦t<100: TGmax’=−0.52×t+468 ・・・5’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.16×t+432 ・・・5’e
5’a〜5’e・・・<5’>
とすることが好ましい。
また、狙い熱処理温度範囲Cを360℃〜450℃とする場合:下記の板厚区分の板厚t(mm)に応じて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’(℃)を、
4≦t<10 : TGmax’=0.83×t+491 ・・・6’a
10≦t<20: TGmax’=2.00×t+479 ・・・6’b
20≦t<50: TGmax’=−1.83×t+556 ・・・6’c
50≦t<100: TGmax’=−0.46×t+487 ・・・6’d
100≦t≦200:TGmax’=−0.14×t+455 ・・・6’e
6’a〜6’e・・・<6’>
とすることが好ましい。
上記の<4’>、<5’>、<6’>の何れかの式によって得られた上限温度TGmax’を有する有効炉温範囲において、炉温を設定すれば、厚鋼板の全部位が狙い熱処理温度範囲に入る時間、すなわち抽出作業余裕時間Δτを5分以上確保することができ、かつ、加熱終了時の厚鋼板の板内の温度ばらつき(板の四周部と中央部の温度偏差)、すなわち操業許容温度ばらつきΔTzを50℃以内と、より小さくすることができるので好ましい。
同様に、上記各狙い熱処理温度範囲において、抽出作業余裕時間Δτ或は操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを変えた条件で、熱処理炉において設定する上限温度TGmaxを求めることができる。
狙い熱処理温度範囲をA:300℃〜390℃、B:330℃〜420℃、C:360℃〜450℃のそれぞれの場合において、i)ΔTzが90℃以下、Δτを5分以上とした場合、ii)ΔTzが50℃以下、Δτを1分以上とした場合のそれぞれにおいて、熱処理炉において設定する上限温度TGmax’’(℃)およびTGmax’’’(℃)を各板厚範囲の板厚t(mm)に応じて下記に示す。
i)狙い熱処理温度範囲A:300℃〜390℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=3.33×t+416 ・・・4’’a
10≦t<20: TGmax’’=3.00×t+419 ・・・4’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.17×t+476 ・・・4’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.48×t+508 ・・・4’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.26×t+486 ・・・4’’e
4’’a〜4’’e・・・<4’’>
とする。
ii)狙い熱処理温度範囲A:300℃〜390℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 : TGmax’’’=10.02×t+491 ・・・4’’’a
9≦t<20: TGmax’’’=−8.36×t+656 ・・・4’’’b
20≦t<50: TGmax’’’=−2.27×t+534 ・・・4’’’c
50≦t<100: TGmax’’’=−0.58×t+450 ・・・4’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.18×t+410 ・・・4’’’e
4’’’a〜4’’’e・・・<4’’’>
とする。
また、i)狙い熱処理温度範囲B:330℃〜420℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=5.50×t+425 ・・・5’’a
10≦t<20: TGmax’’=1.70×t+463 ・・・5’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.03×t+496 ・・・5’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.24×t+510 ・・・5’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.28×t+514 ・・・5’’e
5’’a〜5’’e・・・<5’’>
とする。
また、ii)狙い熱処理温度範囲B:330℃〜420℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 : TGmax’’’=5.28×t+543 ・・・5’’’a
9≦t<20: TGmax’’’=−8.09×t+664 ・・・5’’’b
20≦t<50: TGmax’’’=−2.00×t+542 ・・・5’’’c
50≦t<100: TGmax’’’=−0.52×t+468 ・・・5’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.16×t+432 ・・・5’’’e
5’’’a〜5’’’e・・・<5’’’>
とする。
また、i)狙い熱処理温度範囲C:360℃〜450℃、ΔTz(℃):90℃以下、Δτ(分):5分以上の場合:
4≦t<10 : TGmax’’=0.83×t+491 ・・・6’’a
10≦t<20: TGmax’’=2.00×t+479 ・・・6’’b
20≦t<50: TGmax’’=0.20×t+515 ・・・6’’c
50≦t<100: TGmax’’=−0.50×t+550 ・・・6’’d
100≦t≦200:TGmax’’=−0.18×t+518 ・・・6’’e
6’’a〜6’’e・・・<6’’>
とする。
また、ii)狙い熱処理温度範囲C:360℃〜450℃、ΔTz(℃):50℃以下、Δτ(分):1分以上の場合:
4≦t<9 :TGmax’’’=5.16×t+562 ・・・6’’’a
9≦t<20:TGmax’’’=−8.09×t+681 ・・・6’’’b
20≦t<50:TGmax’’’=−1.83×t+556 ・・・6’’’c
50≦t<100:TGmax’’’=−0.46×t+487 ・・・6’’’d
100≦t≦200:TGmax’’’=−0.14×t+455 ・・・6’’’e
6’’’a〜6’’’e・・・<6’’’>
とする。
このように、設定された狙い熱処理温度範囲において、ΔTz、Δτに応じて、板厚に対応した熱処理炉の設定炉温の上限温度TGmaxを<4>〜<6>式、<4’>〜<6’>式、<4’’>〜<6’’>式、又は<4’’’>〜<6’’’>式から得ることができる。しかしながら、これらの式から得られる熱処理炉の上限温度TGmaxは、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz、抽出作業余裕時間Δτを或る特定の条件とした場合についてのものである。上記の特定条件以外の場合の熱処理炉の上限温度TGmaxは、直接的には得られない。しかしながら、<4>〜<6>式、<4’>〜<6’>式、<4’’>〜<6’’>式、又は<4’’’>〜<6’’’>式の各式グループでは、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTz、抽出作業余裕時間Δτの条件は共通するので、その条件下では、上記の各式グループで特定された狙い熱処理温度範囲とは異なる狙い熱処理温度範囲であっても、その異なる狙い熱処理温度範囲の一部を含む各式グループの中の2つの式に板厚tを代入してそれぞれの設定炉温の上限温度TGmaxを求め、これを用いて補間することにより異なる狙い熱処理温度範囲における上限温度TGmaxを求めることができる。例えば、狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxが<4>〜<6>とずれる場合はこれらの<4>〜<6>のいずれか2つの式で所望の板厚tを代入して得た設定炉温の上限温度TGmaxを直線近似して、補間することより所望の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxにおける設定炉温の上限温度TGmax求めることができる。
また、このような補間は<1>〜<3>のいずれか2つの式を直線近似する方法に限られるものではない。例えば、これら<1>〜<3>の3つの式で所望の板厚tを代入して得た3つの設定炉温の上限温度TGmaxを用いて放物線近似などの関数近似をして補間することにより、所望の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxにおける設定炉温の上限温度TGmaxを求めることもできる。
以上のようにラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉において厚鋼板を熱処理する際に、材質上許容される板内の許容温度変動幅に基づいて設定された狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmaxに対し、抽出作業余裕時間Δτ、及び板厚tから上述のように熱処理炉の設定炉温の上限温度TGmax(℃)を求めることができる。そして、上述のようにして求めた熱処理炉の設定炉温の上限温度TGmaxと、狙い熱処理温度の上限温度Tsmax(℃)+10℃とする設定炉温の下限温度TGminとの間で形成される有効炉温範囲の中で、炉温を設定して熱処理を行うことにより、従来の熱処理方法に比べて効率よく、材質的に均質な厚鋼板を得ることが可能となる。
本実施形態の熱処理方法によれば、厚鋼板の全部位を材質上許容される熱処理温度範囲内に加熱することができるので、所望の材質特性を厚鋼板の全部位にわたって確保することができる。また、短時間で厚鋼板の全部位を上記範囲内に加熱できるので、生産性を向上することができる。
また、従来のように、狙い熱処理温度とほぼ一致した炉温に設定し、この設定炉温に対して板厚に応じてあらかじめ定められた時間加熱して熱処理を行う方法に比べて、30%〜90%の処理時間で加熱抽出を完了できるため、生産性が著しく向上する。したがって、熱処理に伴う固定的な熱損失も同様な割合で減少するので、熱処理炉の燃料原単位の低減によるコストの削減が実現できるほか、熱処理炉の燃料として使用される炭化水素などからのCO2の排出量を削減することもできる。
以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
炉長48m、上下帯各64本の高速燃焼バーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉おいて、板厚が6mm〜200mm、板幅が2500mm〜5000mmの普通鋼を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として、熱処理を施した。
狙い熱処理温度範囲は、上記普通鋼の厚鋼板で材質上許容される温度変動幅ΔTs(℃)を90℃として、300℃〜390℃(No.1〜20)、320℃〜410℃(No.21〜30)、330℃〜420℃(No.55〜69)、340℃〜430℃(No.31〜40)、360℃〜450℃(No.41〜54)と設定した。そして、各狙い熱処理温度範囲において、抽出作業余裕時間Δτを1分以上とし、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下と想定して、板厚tと設定炉温の上限温度TGmaxとの関係を伝熱計算により求めた。なお、炉幅方向の温度分布(温度偏差)は15℃(炉幅方向中央部>端部)とした。
次いで、この設定炉温の上限温度TGmaxと、下限温度TGmin(狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との間で有効炉温範囲を設定し、この範囲において、熱処理炉の炉温を設定し、熱処理操業を行った。なお、炉温計は炉幅中央部に設置した。
有効炉温範囲内で炉温を設定した本発明例の場合のほか、炉温が有効炉温範囲を外れた場合も比較例として熱処理を行った。
また、従来の熱処理方式である、狙い熱処理温度範囲の上限に炉温を設定した場合も従来例として熱処理を行った。これらの各例について、処理時間τmin,τmax,抽出作業余裕時間Δτ、および熱処理後の板内の温度偏差(τmin時の鋼板幅方向端部と中央部との表面温度の偏差)の実績ΔTs*を求めた。なお、従来例ではτmin及び、ΔTs*のみを求めた。また、抽出作業余裕時間Δτが負値となるものは0分とした。
なお、これらの値は、熱処理操業において、鋼板の幅端部、長手端部、角部の表面温度および中央部厚み中心温度を鋼板に設置した熱電対により測定し、その温度推移からそれぞれ求めた。
本発明の実施例及び比較例の処理時間τmin,τmax,抽出作業余裕時間Δτ、および熱処理後の板内の温度偏差の実績ΔTs*を評価した。また、生産性は、従来例の処理時間τminを各例でのτminで除して比を求め、これを評価した。
これらの結果を表1、表2及び図10A〜図10Dおよび図11に示す。なお、図10A〜図10D及び図11には、上記狙い熱処理温度範囲において、加熱終了時の許容温度ばらつき(操業許容温度ばらつき)ΔTzを50℃以下、抽出作業余裕時間Δτを5分以上とした場合のより好ましい炉温範囲も併せて示した。なお、評価は、以下のように行った。
×:Δτ<1分、またはΔTs*>90℃、
△:Δτ≧1分、かつΔTs*≦90℃、かつ生産性<1.1(向上代:10%未満)、
○:Δτ≧1分、かつΔTs*≦90℃、かつ生産性≧1.1(向上代:10%以上)、
◎:Δτ≧5分、かつΔTs*≦50℃、かつ生産性≧1.2(向上代:20%以上)、
Figure 0005585181
Figure 0005585181
表1、表2及び図10A〜図10Dおよび図11から判るように、本実施例の熱処理方法による有効炉温範囲内で炉温を設定すれば、熱処理における板内の温度偏差の実績ΔTs*(τmin時の鋼板幅方向端部と中央部との表面温度の偏差)が材質上許容できる温度変動幅ΔTs(=90℃)以下となる。これにより、材質的に許容されるばらつきの範囲に制御された均質な厚鋼板を得ることができ、かつ、熱処理炉を操業する上で抽出作業余裕時間Δτを1分以上確保することができ、円滑な熱処理操業が可能であった。
また、本実施例の方法における有効炉温範囲の中でも、更に、炉温を適切に選択することによって、鋼板の温度ばらつきを50℃以下に制御でき、抽出作業余裕時間Δτを5分以上確保することも可能であった。
また、本実施例の方法によれば、従来例の方法に比べて生産性を1.1倍から最大3倍超まで向上させることができ、極めて効率のよい操業方法であることが判った。
一方、比較例では、設定された炉温が本実施例の有効炉温範囲を外れていたため、板内の温度偏差ΔTs*が、材質上許容される温度変動幅ΔTs(=90℃)以下から外れ、均質な鋼板が得られない、或は、抽出作業余裕時間Δτが1分に満たない状況となり、安定した操業が不可能となるものであった。
このように、本実施例の熱処理方法では、材質のばらつきを許容範囲内に制御した均質な鋼板を、安定かつ円滑な熱処理操業により、優れた生産性の下で得ることができる。
(実施例2)
実施例1と同様の炉長48m、上下帯各64本の高速燃焼バーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉において、上下炉幅中央と、上下側壁の炉温計に基づき、空気比を1〜4程度までの範囲に変化させ、空気比を小さくして炉幅方向端部の温度を高め、空気比を大きくして中央部の温度を高めた。これにより、炉幅方向に温度分布(中央部が高く、端部が低い)を付与し、板厚が6mm〜40mm、板幅が3000、3500、5000mmの普通鋼の厚鋼板を熱処理した。このとき、熱処理温度範囲を300℃〜450℃とし、狙い熱処理温度範囲を360℃〜450℃、操業許容温度ばらつきΔTzを材質上許容される温度変動幅ΔTsと等しい90℃、抽出作業余裕時間Δτを1分とし、さらに熱処理炉の炉幅方向の温度分布(中央部が高く、端部が低い)を、0℃、15℃、30℃の3通りに付与して設定炉温の上限温度TGmaxを伝熱計算によって求めた。
次いで、この設定炉温の上限温度TGmaxと、下限温度TGmin(狙い熱処理温度範囲の上限温度+10℃)との間で有効炉温範囲を設定し、この範囲内において炉温を設定すると共に上記の方法で炉幅方向に所定の温度分布を付与して熱処理を行った。
そして、厚鋼板の幅端部長手端部角部の表面温度及び中央部厚み中心温度を鋼板に設置した熱電対により測定し、各熱処理の場合における処理時間τmin、τmax、抽出作業余裕時間Δτ、及び熱処理後の板内の温度偏差(τmin時の鋼板幅方向端部と中央部の表面温度の偏差)の実績ΔTs*(℃)を調査した。その結果を、表3に示す。
なお、炉温は炉幅ほぼ中央部の炉温であり、炉温分布(偏差)は、炉幅方向に対してほぼ中央部と端部との炉温の差である。
また、炉温はいずれも本実施例の有効炉温範囲内で設定されているので、Δτ、ΔTs*はいずれも問題ないものであり、○とした。一方、炉幅方向に温度分布(偏差)を付与することの効果は、鋼板中央部が抽出可能温度となるまでの時間τminを最も短くできるものが最も生産性をあげるものであるから、この場合を◎と評価した。
Figure 0005585181
表3から判るように、本実施例の熱処理方法において、炉幅方向の中央部が高く端部が低くなるように、0℃〜30℃の温度分布が生じるように炉温を制御することにより、生産性がさらに向上することが確認された。また、更に具体的には、図7に示すように、板厚、板幅について、適切な温度分布を付与することにより、生産性を向上させることができることが確認された。
(実施例3)
炉長48mのラジアントチューブを備えたラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉において、板厚が6mm〜200mm、板幅が2500mm〜5000mmの普通鋼を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として、熱処理を施した。
狙い温度範囲は、上記普通鋼の厚鋼板で材質上許容される温度変動幅ΔTs(℃)を90℃として、300℃〜390℃(No.201〜220)、320℃〜410℃(No.221〜230)、330℃〜420℃(No.255〜269)、340℃〜430℃(No.231〜240)、360℃〜450℃(No.241〜254)と設定した。そして、各狙い熱処理温度範囲において、Δτを1分以上とし、操業許容温度ばらつき(加熱終了時の許容温度ばらつき)ΔTzを90℃以下と想定して、板厚tと設定炉温の上限温度TGmaxとの関係を伝熱計算により求めた。なお、炉幅方向の温度分布の影響はないものとした。
次いで、この設定炉温の上限温度TGmax(℃)と、下限温度TGmin(狙い熱処理温度範囲の上限+10℃)との間で有効炉温範囲を設定し、この範囲において、熱処理炉の炉温を設定し、熱処理操業を行った。なお、炉温計は炉幅中央部に設置した。
有効炉温範囲内で炉温を設定した本発明例の場合のほか、炉温が有効炉温範囲を外れた場合も比較例として熱処理を行った。
また、従来の熱処理方式である、狙い熱処理温度の上限に炉温を設定した場合も従来例として熱処理を行った。これらの各例について、処理時間τmin、τmax、抽出作業余裕時間Δτ、および熱処理後の板内の温度偏差(τmin時の鋼板幅方向端部と中央部の表面温度の偏差)の実績ΔTs*(℃)を求めた。なお、従来例ではτmin及び、ΔTs*(℃)のみを求めた。また、抽出作業余裕時間Δτが負値となるものは0分とした。
なお、これらの値は、熱処理操業において鋼板の幅端部、長手端部、角部の表面温度および中央部厚み中心温度を鋼板に設けた熱電対により測定し、その温度推移からそれぞれ求めた。
本実施例及び比較例の処理時間τmin、τmax、抽出作業余裕時間Δτ(分)、および熱処理後の板内の温度偏差の実績ΔTs*(℃)を評価した。また、生産性は、従来例の処理時間τminを各例でのτminで除して比を求め、これを評価した。
表4、表5及び図12A〜図12Dおよび図13に示す。なお、図12A〜図12Dおよび図13には上記狙い熱処理温度範囲において、加熱終了時の許容温度ばらつき(操業許容温度ばらつき)ΔTzを50℃以下、抽出作業余裕時間Δτを5分以上とした場合のより好ましい炉温範囲も併せて示した。なお、評価は、以下のように行った。
×:Δτ<1分、またはΔTs*>90℃、
△:Δτ≧1分、かつΔTs*≦90℃、かつ生産性<1.1(向上代:10%未満)、
○:Δτ≧1分、かつΔTs*≦90℃、かつ生産性≧1.1(向上代:10%以上)、
◎:Δτ≧5分、かつΔTs*≦50℃、かつ生産性≧1.2(向上代:20%以上)、
Figure 0005585181
Figure 0005585181
表4、表5及び図9A〜図9Dおよび図10から判るように、本実施例の熱処理方法による有効炉温範囲内で炉温を設定すれば、熱処理における板内の温度偏差の実績ΔTs*(τmin時の鋼板幅方向端部と中央部との表面温度の偏差)が材質上許容できる温度変動幅ΔTs(=90℃)以下となる。これにより、材質的に許容されるばらつきの範囲に制御された均質な厚鋼板を得ることができ、かつ、熱処理炉を操業する上で抽出作業余裕時間Δτを1分以上確保することができ、円滑な熱処理操業が可能であった。
また、本実施例の方法における有効炉温範囲の中でも、更に、炉温を適切に選択することによって、鋼板の温度ばらつきを50℃以下に制御でき、抽出作業余裕時間Δτを5分以上確保することも可能であった。
また、本実施例の方法によれば、従来例の方法に比べて生産性を1.1倍から最大3倍超まで向上させることができ、極めて効率のよい操業方法であることが判った。
一方、比較例では、設定された炉温が本発明の有効炉温範囲を外れていたため、板内の温度偏差の実績ΔTs*が、材質上許容される温度変動幅ΔTs(=90℃)から外れ、均質な鋼板が得られない、或は、抽出作業余裕時間Δτが1分に満たない状況となり、安定した操業が不可能となるもの、或は生産性の向上が極めて乏しいものであった。
このように、本実施例の熱処理方法では、材質のばらつきを許容範囲内に制御した均質な鋼板を、安定かつ円滑な熱処理操業により、優れた生産性の下で得ることができる。
本発明の熱処理方法によれば、厚鋼板の全部位を材質上許容される熱処理温度範囲内に加熱することができるので、所望の材質特性を厚鋼板の全部位にわたって確保することができる。また、短時間で厚鋼板の全部位を上記範囲内に加熱できるので、生産性を向上することができる。
また、従来のように、狙い熱処理温度とほぼ一致した炉温に設定し、この設定炉温に対して板厚に応じてあらかじめ定められた時間加熱して熱処理を行う方法に比べて、30%〜90%の処理時間で加熱抽出を完了できるため、生産性が著しく向上する。したがって熱処理に伴う固定的な熱損失も同様な割合で減少するので、熱処理炉の燃料原単位の低減によるコストの削減が実現できるほか、熱処理炉の燃料として使用される炭化水素などからのCO2の排出量を削減することもできる。
1 熱処理炉
21,22,23,24 上部燃焼制御帯
31,32,33,34 下部燃焼制御帯
4 直火式バーナー(サイドバーナー)
5 制御炉温計
51 熱処理炉
6 煙道
7 煙突
51 熱処理炉
54 ラジアントチューブ式バーナー
55 制御炉温計
56 煙道
57 煙突
71,72,73,74 上部燃焼制御帯
81,82,83,84 下部燃焼制御帯
R 搬送ロール(ハースロール)
S 厚鋼板

Claims (14)

  1. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型又はラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて板厚4mm〜200mmの鋼板を所要の熱処理温度範囲において熱処理する方法において、
    予め、鋼板全体の温度が、狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max の間の温度範囲に入っている時間である抽出作業余裕時間Δτが所定値以上となるように、前記熱処理温度範囲内における狙い熱処理温度範囲の下限温度Tsmin及び上限温度Tsmaxを設定し、前記狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、板厚t及び前記抽出作業余裕時間Δτに基づき炉温上限温度TGmaxを求め、前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上の炉温下限温度TGmin(℃)以上且つ前記炉温上限温度TGmax以下の温度範囲内に、前記連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  2. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型又はラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて板厚4mm〜200mmの鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    予め、鋼板全体の温度が、狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max の間の温度範囲に入っている時間である抽出作業余裕時間Δτが所定値以上となるように前記熱処理温度範囲内における狙い熱処理温度範囲の下限温度Ts min 及び上限温度Ts max を設定し、前記狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax、前記抽出作業余裕時間Δτに基づき、板厚tに係る関数として炉温上限温度TGmaxを求め、前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上の炉温下限温度TGmin(℃)以上且つ炉温上限温度TGmax以下の温度範囲内に、前記連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  3. 熱処理される鋼板のいずれの部位もTsminに達してから当該鋼板のいずれかの部位がTsmaxを超えるまでの時間が抽出作業余裕時間Δτである炉温を炉温上限温度TGmaxであるとして、前記炉温上限温度TGmaxを求めることを特徴とする、請求項2に記載の連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  4. 板厚tを複数の板厚区分に分けて、その各範囲での炉温上限温度TGmaxを板厚tによる線形関数で与えることを特徴とする、請求項3に記載の連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  5. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<1>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=7.92×t+519 ・・・1a
    9≦t<15: TGmax=0.45×t+586 ・・・1b
    15≦t<50: TGmax=−1.67×t+618 ・・・1c
    50≦t<100: TGmax=−0.94×t+581 ・・・1d
    100≦t≦200:TGmax=−0.35×t+522 ・・・1e
    1a〜1e・・・<1>
  6. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<2>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=6.26×t+549 ・・・2a
    9≦t<15: TGmax=0.18×t+603 ・・・2b
    15≦t<50: TGmax=−1.71×t+632 ・・・2c
    50≦t<100: TGmax=−0.84×t+588 ・・・2d
    100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+535 ・・・2e
    2a〜2e・・・<2>
  7. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<3>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする、直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=9.58×t+547 ・・・3a
    9≦t<15: TGmax=−0.50×t+637 ・・・3b
    15≦t<50: TGmax=−1.85×t+658 ・・・3c
    50≦t<100: TGmax=−0.79×t+605 ・・・3d
    100≦t≦200:TGmax=−0.28×t+554 ・・・3e
    3a〜3e・・・<3>
  8. サイドバーナーを備えた直火式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を設定し、前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に設定する上限温度TGmax(℃)を、厚鋼板の板厚t(mm)及び狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)に応じて、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃とした場合の下記<1>式、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃とした場合の<2>式、及び前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃とした場合の<3>式のうちの2つ以上の式に基づいて補間して算出し、下限温度TGminを前記狙い熱処理温度範囲の上限温度TSmin(℃)+10℃以上とし、該設定温度範囲において前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とする直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=7.92×t+519 ・・・1a
    9≦t<15: TGmax=0.45×t+586 ・・・1b
    15≦t<50: TGmax=−1.67×t+618 ・・・1c
    50≦t<100: TGmax=−0.94×t+581 ・・・1d
    100≦t≦200:TGmax=−0.35×t+522 ・・・1e
    1a〜1e・・・<1>
    4≦t<9 : TGmax=6.26×t+549 ・・・2a
    9≦t<15: TGmax=0.18×t+603 ・・・2b
    15≦t<50: TGmax=−1.71×t+632 ・・・2c
    50≦t<100: TGmax=−0.84×t+588 ・・・2d
    100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+535 ・・・2e
    2a〜2e・・・<2>
    4≦t<9 : TGmax=9.58×t+547 ・・・3a
    9≦t<15: TGmax=−0.50×t+637 ・・・3b
    15≦t<50: TGmax=−1.85×t+658 ・・・3c
    50≦t<100: TGmax=−0.79×t+605 ・・・3d
    100≦t≦200:TGmax=−0.28×t+554 ・・・3e
    3a〜3e・・・<3>
  9. 前記直火式ローラーハース型連続熱処理炉の炉幅方向端部の炉温が炉幅方向中央部の炉温より0〜30℃低くなるように炉温を制御することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  10. 前記直火式ローラーハース型熱処理炉の炉幅方向端部を中央部より低くする際、端部と中央部との炉温の温度差が、前記鋼板の板厚が10mm以下の場合は10℃以下、板厚10mm超30mm未満または板厚が30mm以上かつ板幅が3500mm以上の場合は10℃超30℃未満、板厚が30mm以上かつ板幅が3500mm未満の場合は30±5℃、となるように炉温を制御することを特徴とする請求項9に記載の直火式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
  11. ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記厚鋼板の板厚t(mm)で下記<4>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=10.02×t+491 ・・・4a
    9≦t<15: TGmax=−0.56×t+586 ・・・4b
    15≦t<50: TGmax=−1.79×t+605 ・・・4c
    50≦t<100: TGmax=−0.92×t+561 ・・・4d
    100≦t≦200:TGmax=−0.34×t+503 ・・・4e
    4a〜4e・・・<4>
  12. ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<5>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=5.28×t+543 ・・・5a
    9≦t<15: TGmax=0.07×t+590 ・・・5b
    15≦t<50: TGmax=−1.67×t+616 ・・・5c
    50≦t<100: TGmax=−0.88×t+576 ・・・5d
    100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+518 ・・・5e
    5a〜5e・・・<5>
  13. ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内における前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃と設定し、該狙い熱処理温度範囲に対して、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の設定温度範囲を、下限温度TGmin(℃)が前記狙い熱処理温度範囲の上限温度Tsmax(℃)+10℃以上、上限温度TGmax(℃)が前記鋼板の板厚t(mm)で下記<6>式で予め定めた温度以下とし、該設定温度範囲内において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し、鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲にある状態で炉外に抽出することを特徴とする、ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=5.16×t+562 ・・・6a
    9≦t<15: TGmax=−0.24×t+611 ・・・6b
    15≦t<50: TGmax=−1.72×t+633 ・・・6c
    50≦t<100: TGmax=−0.75×t+584 ・・・6d
    100≦t≦200:TGmax=−0.27×t+536 ・・・6e
    6a〜6e・・・<6>
  14. ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉を用いて、板厚4mm〜200mm、板幅2500mm〜5000mmである鋼板を、熱処理温度範囲を300℃〜450℃として熱処理する方法において、
    前記熱処理温度範囲内において、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を設定し、前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に設定する上限温度TGmax(℃)を、鋼板の板厚t(mm)及び狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)に応じて、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を300℃〜390℃とした場合の下記<4>式、前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を330℃〜420℃とした場合の<5>式、、及び前記鋼板の狙い熱処理温度範囲Tsmin〜Tsmax(℃)を360℃〜450℃とした場合の<6>式のうちの2つ以上の式に基づいて補間して算出し、下限温度TGminを前記狙い熱処理温度範囲の上限温度TSmin(℃)+10℃以上とし、該設定温度範囲において前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉の炉温TG(℃)を設定し、鋼板を前記ラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉に装入し鋼板の全体が狙い熱処理温度範囲内にある状態で、炉外に抽出することを特徴とするラジアントチューブ式ローラーハース型連続熱処理炉における鋼板の熱処理方法。
    4≦t<9 : TGmax=10.02×t+491 ・・・4a
    9≦t<15: TGmax=−0.56×t+586 ・・・4b
    15≦t<50: TGmax=−1.79×t+605 ・・・4c
    50≦t<100: TGmax=−0.92×t+561 ・・・4d
    100≦t≦200:TGmax=−0.34×t+503 ・・・4e
    4a〜4e・・・<4>
    4≦t<9 : TGmax=5.28×t+543 ・・・5a
    9≦t<15: TGmax=0.07×t+590 ・・・5b
    15≦t<50: TGmax=−1.67×t+616 ・・・5c
    50≦t<100: TGmax=−0.88×t+576 ・・・5d
    100≦t≦200:TGmax=−0.30×t+518 ・・・5e
    5a〜5e・・・<5>
    4≦t<9 : TGmax=5.16×t+562 ・・・6a
    9≦t<15: TGmax=−0.24×t+611 ・・・6b
    15≦t<50: TGmax=−1.72×t+633 ・・・6c
    50≦t<100: TGmax=−0.75×t+584 ・・・6d
    100≦t≦200:TGmax=−0.27×t+536 ・・・6e
    6a〜6e・・・<6>
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