JP6273519B2 - 粉末成形体の焼結方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粉末成形されたワークを焼結させる粉末成形体の焼結方法に関する。
一般に、粉末成形されたワークを焼結する方法として、特許文献1のような連続焼結炉を使用する方法が知られている。この連続焼結炉は、上流側から下流側に向かって順に焼結帯、徐冷帯、冷却帯を有し、これらの各領域に順にワークを通過させることでワークを焼結させる。ここで、焼結帯では、焼結温度に昇温するまでワークを加熱し、徐冷帯では、ワークに焼きが入らないようにワークを徐冷し、冷却帯でワークを低温に冷却する。
特開2007−177285号公報
上記のような従来の焼結方法では、焼結炉のサイクルタイム(焼結炉にワークが入炉してから出炉するまでの時間)を短くすることが難しいという問題があった。
すなわち、焼結炉のサイクルタイムを短くすると、ワークが徐冷帯および冷却帯を通過するときにワークに焼きが入ってしまい、マルテンサイト組織が生じる。このマルテンサイト組織は極めて硬いため、焼結後にサイジング工程や切削工程を行なう場合、その工程が困難となってしまう。特に、ワークの材質として高合金材料(例えばCr系高合金材料)を採用した場合、ワークに焼きが入りやすいので、上記問題が顕著に生じる。
一方、ワークが徐冷帯をゆっくりと通過するようにすると、ワークに焼きが入るのを防止することができる。このとき得られる焼結品は、主としてベイナイト組織となる。ベイナイト組織は、硬さ、強度が優れており、また、焼結後の工程でサイジングや切削を行なうことも可能である。
しかしながら、ワークが徐冷帯をゆっくりと通過するようにすると、焼結炉のサイクルタイムが長くなり、焼結品の生産量が低下する。また、焼結帯での加熱時間が余分に長くなるという問題もある。
本発明は、上記の事情を考慮し、短いサイクルタイムで焼きが入らないように焼結を行なうことを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、以下の構成を採用した粉末成形体の焼結方法を提案する。
粉末成形されたワークを焼結温度に昇温させる焼結帯と、前記焼結帯から排出されたワークを受け入れるように前記焼結帯に隣接して配置された第1徐冷帯と、前記第1徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第1徐冷帯に隣接して設けられた第2徐冷帯と、前記第2徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第2徐冷帯に隣接して設けられた冷却帯とに順に前記ワークを通過させる粉末成形体の焼結方法であって、
前記第1徐冷帯では、前記ワークの材質の共析点よりも低い第1徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第1徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークを共析点よりも低い温度に降温させ、
前記第2徐冷帯では、前記第1徐冷温度よりも低く、かつ、前記ワークの材質のMs点よりも高い第2徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第2徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークをMs点よりも高い温度領域に降温して保持し、
前記冷却帯では、前記ワークの材質のMs点よりも低い冷却温度に前記ワークを降温させる粉末成形体の焼結方法。
本発明によれば、短いサイクルタイムで焼きが入らないように焼結を行なうことができる。
本発明の実施形態にかかる粉末成形体の焼結方法で使用する連続焼結炉を示す断面図である。 本発明の実施形態にかかる粉末成形体の焼結方法でワークの焼結を行なったときの、ワークが焼結室を出てから第1冷却室に入るまでのワークの温度変化を模式的に示した図である。 従来の焼結方法でワークの焼結を行なったときの、ワークが焼結室を出てからの温度変化を模式的に示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
(1)本発明の実施形態である粉末成形体の焼結方法は、
粉末成形されたワークを焼結温度に昇温させる焼結帯と、前記焼結帯から排出されたワークを受け入れるように前記焼結帯に隣接して配置された第1徐冷帯と、前記第1徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第1徐冷帯に隣接して設けられた第2徐冷帯と、前記第2徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第2徐冷帯に隣接して設けられた冷却帯とに順に前記ワークを通過させる粉末成形体の焼結方法であって、
前記第1徐冷帯では、前記ワークの材質の共析点よりも低い第1徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第1徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークを共析点よりも低い温度に降温させ、
前記第2徐冷帯では、前記第1徐冷温度よりも低く、かつ、前記ワークの材質のMs点よりも高い第2徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第2徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークをMs点よりも高い温度領域に降温して保持し、
前記冷却帯では、前記ワークの材質のMs点よりも低い冷却温度に前記ワークを降温させる粉末成形体の焼結方法である。
この構成を採用すると、第1徐冷帯でワークが共析点よりも低い温度に降温するので、その後の第2徐冷帯および冷却帯でワークに焼きが入るのを防止することができる。また、第2徐冷帯でワークがMs点よりも高い温度領域に降温して保持されるので、第2徐冷帯でワークがMs点以下になってマルテンサイト組織が生じるのを防止することができる。この結果、ワークを比較的短い時間で第1徐冷帯および第2徐冷帯に通過させても、ワークに焼きが入るのを防止することができ、短いサイクルタイムで焼結を行なうことが可能となる。
ここでMs点とは、オーステナイト領域に加熱された材料を冷却したときに、オーステナイト組織からマルテンサイト組織への変化が開始する温度である。
(2)前記第2徐冷温度は、前記ワークの材質のMs点よりも10〜100℃の範囲で高く設定された温度とすると好ましく、前記ワークの材質のMs点よりも30〜80℃の範囲で高く設定された温度とすると更に好ましい。
前記第2徐冷温度を、前記ワークの材質のMs点よりも10℃、好ましくは30℃以上の範囲で高く設定すると、第2徐冷帯でワークにマルテンサイト組織が生じるのを効果的に防止することができ、前記第2徐冷温度を、前記ワークの材質のMs点よりも100℃、好ましくは80℃以下の範囲で高く設定すると、ベイナイト組織をもつ焼結品を生産することができる。
(3)前記第2徐冷帯は、
前記第2徐冷帯の雰囲気を加熱する第2加熱装置と、
前記第2徐冷帯の雰囲気を冷却する第2冷却装置と、
前記第2徐冷帯の雰囲気温度を検出する第2温度センサと、
前記第2温度センサの出力に基づいて前記第2加熱装置と前記第2冷却装置とを制御する第2制御部とを有し、
前記第2制御部が、前記第2温度センサで検出される雰囲気温度が前記第2徐冷温度に保持されるように前記第2加熱装置と前記第2冷却装置とをフィードバック制御するようにすると好ましい。
このようにすると、第2徐冷帯を通過するワーク自体の温度によって第2徐冷帯の雰囲気温度が変化するのを防止することができるので、多数のワークを連続して焼結するときに、ロットの序盤のワークが通過するときと、ロットの終盤のワークが通過するときとで、第2徐冷帯の雰囲気温度が変化するのを防止することができ、その結果、ロット全体にわたって安定した焼結を実施することが可能となる。
(4)前記第1徐冷帯は、
前記第1徐冷帯の雰囲気を加熱する第1加熱装置と、
前記第1徐冷帯の雰囲気を冷却する第1冷却装置と、
前記第1徐冷帯の雰囲気温度を検出する第1温度センサと、
前記第1温度センサの出力に基づいて前記第1加熱装置と前記第1冷却装置とを制御する第1制御部とを有し、
前記第1制御部が、前記第1温度センサで検出される雰囲気温度が前記第1徐冷温度に保持されるように前記第1加熱装置と前記第1冷却装置とをフィードバック制御するようにすると好ましい。
このようにすると、第1徐冷帯を通過するワーク自体の温度によって第1徐冷帯の雰囲気温度が変化するのを防止することができるので、多数のワークを連続して焼結するときに、ロットの序盤のワークが通過するときと、ロットの終盤のワークが通過するときとで、第1徐冷帯の雰囲気温度が変化するのを防止することができ、その結果、ロット全体にわたって安定した焼結を実施することが可能となる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態にかかる粉末成形体の焼結方法の具体例を、図1から図3を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1に、本発明の実施形態にかかる粉末成形体の焼結方法で使用する連続焼結炉1を示す。この連続焼結炉1は、上流側から下流側に向かって順に、脱ワックス室2、予熱室3、焼結室4、第1徐冷室5、第2徐冷室6、第1冷却室7、第2冷却室8を有する。
これらの各室2〜8には、粉末成形されたワーク9をカーボントレイ10に載せた状態で上流側から下流側に搬送する複数のローラ11が設けられている。各ローラ11は、ワーク9の移動方向に沿って間隔をおいて配置され、図示しない駆動装置で回転駆動される。脱ワックス室2、予熱室3、焼結室4には、それぞれの室内雰囲気を加熱するヒータ12が設けられている。
第1徐冷室5には、第1徐冷室5の室内雰囲気を加熱する第1加熱装置13と、第1徐冷室5の室内雰囲気を冷却する第1冷却装置14と、第1徐冷室5の室内雰囲気を循環させる第1ファン15と、第1徐冷室5の室内の雰囲気温度を検出する第1温度センサ16とが設けられている。
第1温度センサ16は、第1制御部17に電気的に接続されている。第1制御部17は、第1温度センサ16の出力に基づいて第1加熱装置13と第1冷却装置14とを制御する電子制御装置である。この第1制御部17は、第1温度センサ16で検出される雰囲気温度が後述の第1徐冷温度に保持されるように第1加熱装置13と第1冷却装置14とをフィードバック制御する。
第1徐冷室5と同様に、第2徐冷室6には、第2徐冷室6の室内雰囲気を加熱する第2加熱装置20と、第2徐冷室6の室内雰囲気を冷却する第2冷却装置21と、第2徐冷室6の室内雰囲気を循環させる第2ファン22と、第2徐冷室6の室内の雰囲気温度を検出する第2温度センサ23とが設けられている。
第2温度センサ23は、第2制御部24に電気的に接続されている。第2制御部24は、第2温度センサ23の出力に基づいて第2加熱装置20と第2冷却装置21とを制御する電子制御装置である。この第2制御部24は、第2温度センサ23で検出される雰囲気温度が後述の第2徐冷温度に保持されるように第2加熱装置20と第2冷却装置21とをフィードバック制御する。
第1冷却室7には、その室内に冷却ガスを送り込む冷却ブロワ25が接続されている。第2冷却室8には、第2冷却室8の室内雰囲気を冷却するクーラー26と、第2冷却室8の室内雰囲気を循環させる循環ファン27とが設けられている。
脱ワックス室2の入口、焼結室4と第1徐冷室5の間、第1徐冷室5と第2徐冷室6の間、第2徐冷室6と第1冷却室7の間、第1冷却室7と第2冷却室8の間には、それぞれ扉30〜34が設けられている。これらの扉30〜34は個々に開閉駆動される。
次に、本発明の実施形態にかかる粉末成形体の焼結方法を説明する。
この実施形態で使用するワーク9は、Cr系高合金材料(例えば、3%Cr−0.5%Mo)の粉末を圧縮して形成された圧粉体である。このワーク9が脱ワックス室2に入ると、ワーク9は500〜700℃程度の温度になるまで加熱される。このとき、ワーク9に存在するワックス成分が燃焼し、ワックス成分が除去される。
その後、ワーク9は脱ワックス室2から排出され、脱ワックス室2の下流側に隣接する予熱室3に入る。予熱室3では、ワーク9が焼結温度よりも低い800〜1000℃程度の温度に加熱される。
その後、ワーク9は、予熱室3から排出され、予熱室3の下流側に隣接する焼結室4に入る。焼結室4では、ワーク9が焼結室4の室内雰囲気との接触により加熱され、1100〜1300℃程度の焼結温度になるまで昇温し、所定時間、焼結温度を保持する。これにより、ワーク9を構成する粉末が焼結して一体化する。
その後、焼結室4と第1徐冷室5の間の扉31が開き、ワーク9が焼結室4から排出され、焼結室4の下流側に隣接する第1徐冷室5に入る。第1徐冷室5では、第1加熱装置13および第1冷却装置14により、室内の雰囲気温度が第1徐冷温度に保持されている。第1徐冷温度は、ワーク9の材質の共析点(例えば726℃程度)よりも低い温度である。この第1徐冷温度は、ワーク9の材質の共析点よりも150℃低い温度よりも高い温度範囲(例えば600℃、好ましくは650℃よりも高い範囲)に設定することができる。そして、ワーク9は第1徐冷室5を通過する間に、第1徐冷室5の室内雰囲気との接触により徐冷され、ワーク9の材質の共析点よりも低い温度に降温する。
その後、第1徐冷室5と第2徐冷室6の間の扉32が開き、ワーク9が第1徐冷室5から排出され、第1徐冷室5の下流側に隣接する第2徐冷室6に入る。第2徐冷室6では、第2加熱装置20および第2冷却装置21により、室内の雰囲気温度が第2徐冷温度に保持されている。第2徐冷温度は、第1徐冷温度よりも低く、かつ、ワーク9の材質のMs点(例えば270℃)よりも高い温度である。この第2徐冷温度は、ワーク9の材質のMs点よりも10〜100℃の範囲(好ましくは30〜80℃の範囲)で高く設定されている。ワーク9は第2徐冷室6を通過する間に、第2徐冷室6の室内雰囲気との接触により徐冷され、ワーク9の材質のMs点よりも高い温度領域に降温して保持される。
ここで、Ms点は、オーステナイト領域に加熱された材料を冷却したときに、オーステナイト組織からマルテンサイト組織への変化が開始する温度である。Ms点(℃)の値は、ワーク9の材質中の合金元素の含有量により決定され、例えば次式で求めることができる。
Figure 0006273519
その後、第2徐冷室6と第1冷却室7の間の扉33が開き、ワーク9が第2徐冷室6から排出され、第2徐冷室6の下流側に隣接する第1冷却室7に入る。第1冷却室7では、ワーク9に冷却ガスが吹き付けられ、ワーク9の温度がMs点よりも低い冷却温度に降温する。続いて、第1冷却室7と第2冷却室8の間の扉34が開き、ワーク9が第1冷却室7から排出され、第1冷却室7の下流側に隣接する第2冷却室8に入る。第2冷却室8では、ワーク9が大気中に開放されても酸化しない程度の低温(150℃以下)まで冷却される。第2冷却室8での冷却が完了すると、ワーク9は、第2冷却室8の下流側に隣接する図示しない置換室に排出される。
図2に、上述した粉末成形体の焼結方法でワーク9の焼結を行なったときの、ワーク9が焼結室4を出てから第1冷却室7に入るまでのワーク9の温度変化を模式的に示す。また、図3に、従来の焼結方法でワーク9の焼結を行なったときのワーク9が焼結室4を出てからの温度変化を模式的に示す。
図2に示すように、上述した粉末成形体の焼結方法でワーク9の焼結を行なうと、ワーク9が第1徐冷室5に入った時刻tにおいては、ワーク9の温度は1100〜1300℃程度の焼結温度となっているが、ワーク9が第1徐冷室5を通過する間にワーク9の温度は降温して共析点を下回る。その後、時刻tにワーク9が第2徐冷室6に入り、ワーク9が第2徐冷室6を通過する間にワーク9は更に降温するが、ワーク9の温度はMs点を下回らず、Ms点よりも高い第2徐冷温度Tに保持される。そして、ワーク9の温度が第2徐冷温度Tに保持されている間の時刻tに、ワーク9の状態がいわゆるTTT線図(Time−Temperature−Transformation。図の一点鎖線)のベイナイト領域に入る。その後、時刻tにワーク9が第1冷却室7に入り、ワーク9が更に降温する。このとき得られる焼結品は、主としてベイナイト組織となる。ベイナイト組織は、硬さ、強度が優れており、また、焼結後の工程でサイジングや切削を行なうことも可能である。
これに対し、図3に示すように、単一の徐冷室でワーク9の徐冷を行ない、徐冷室の雰囲気温度の制御も行なわない従来の焼結方法では、徐冷室の雰囲気温度が低いと、ワーク9の温度が徐冷室で急速に低下して、ワーク9の状態がTTT線図のマルテンサイト領域に入り、ワーク9に焼きが入ってしまう。一方、ワーク9に焼きが入らないように、徐冷室の雰囲気温度を高くすると、ベイナイト組織を得ることは可能となるが、その一方で、徐冷室でのワーク9の降温速度が遅くなるので、焼結炉1のサイクルタイム(焼結炉1にワーク9が入炉してから出炉するまでの時間)が長くなってしまう。
以上のように、上記実施形態の粉末成形体の焼結方法を採用すると、第1徐冷室5でワーク9が共析点よりも低い温度に降温するので、その後の第2徐冷室6および第1冷却室7でワーク9に焼きが入るのを防止することができる。また、第2徐冷室6でワーク9がMs点よりも高い温度領域に降温して保持されるので、第2徐冷室6でワーク9がMs点以下になってマルテンサイト組織が生じるのを防止することができる。この結果、ワーク9を比較的短い時間で第1徐冷室5および第2徐冷室6に通過させても、ワーク9に焼きが入るのを防止することができ、短いサイクルタイムで焼結を行なうことが可能となる。
また、上記実施形態の粉末成形体の焼結方法を採用すると、冷却工程における冷却速度が早くなりやすい薄肉品のワーク9を焼結したときにも、ワーク9に焼きが入るのを防止して、安定してベイナイト組織を得ることが可能となる。
また、上記実施形態のように、第2徐冷温度を、ワーク9の材質のMs点よりも10℃、好ましくは30℃以上の範囲で高く設定すると、第2徐冷室6でワーク9にマルテンサイト組織が生じるのを効果的に防止することができ、第2徐冷温度を、ワーク9の材質のMs点よりも100℃、好ましくは80℃以下の範囲で高く設定すると、ベイナイト組織をもつ焼結品を生産することができる。
また、上記実施形態のように、第1温度センサ16で検出される雰囲気温度が第1徐冷温度に保持されるように第1加熱装置13と第1冷却装置14とをフィードバック制御すると、第1徐冷室5を通過するワーク9自体の温度によって第1徐冷室5の雰囲気温度が変化するのを防止することができるので、多数のワーク9を連続して焼結するときに、ロットの序盤のワーク9が通過するときと、ロットの終盤のワーク9が通過するときとで、第1徐冷室5の雰囲気温度が変化するのを防止することができ、その結果、ロット全体にわたって安定した焼結を実施することが可能となる。
また、上記実施形態のように、第2温度センサ23で検出される雰囲気温度が第2徐冷温度に保持されるように第2加熱装置20と第2冷却装置21とをフィードバック制御すると、第2徐冷室6を通過するワーク9自体の温度によって第2徐冷室6の雰囲気温度が変化するのを防止することができるので、多数のワーク9を連続して焼結するときに、ロットの序盤のワーク9が通過するときと、ロットの終盤のワーク9が通過するときとで、第2徐冷室6の雰囲気温度が変化するのを防止することができ、その結果、ロット全体にわたって安定した焼結を実施することが可能となる。
上記実施形態では、ワーク9を共析点よりも低い温度に降温させる第1徐冷帯として、単一の第1徐冷室5を例に挙げて説明したが、第1徐冷帯は連続する複数の徐冷室で構成してもよい。同様に、ワークをMs点よりも高い温度領域に降温して保持する第2徐冷帯も、連続する複数の徐冷室で構成することができる。
本発明の実施形態の焼結方法の効果を確認するため、上述の連続焼結炉において、焼結室、第1徐冷室、第2徐冷室、第1冷却室の温度条件を変更してワークの焼結を行ない、その各温度条件で得られた焼結品の組織を分析した。その試験結果を示す。
Figure 0006273519
上記試験で使用したワークは、3%Cr−0.5%MoのCr系高合金鋼(Ms点は270℃)である。この試験結果において、比較例1では、ワークが第2徐冷室に入ったときに、ワークの温度がMs点を下回り、ワークに焼きが入っている。その結果、焼結品の材料組織が、マルテンサイト組織とベイナイト組織の両方の組織を含んだものとなっている。比較例2も比較例1と同様の理由によりワークに焼きが入っている。比較例3では、第1徐冷室の温度がワークの共析点よりも高いため、第1徐冷室および第2徐冷室でワークの温度が十分に下がらず、その結果、ワークが第1冷却室に入ったときに焼きが入っている。これに対し、実施例では、第1徐冷室の雰囲気温度がワークの材質の共析点よりも低い温度になるように制御され、かつ、第2徐冷室の雰囲気温度がワークの材質のMs点よりも高い第2徐冷温度になるように制御されているので、ワークに焼きが入らず、焼結品の材料組織がベイナイト組織となっていることを確認することができる。
1 連続焼結炉
2 脱ワックス室
3 予熱室
4 焼結室
5 第1徐冷室
6 第2徐冷室
7 第1冷却室
8 第2冷却室
9 ワーク
10 カーボントレイ
11 ローラ
12 ヒータ
13 第1加熱装置
14 第1冷却装置
15 第1ファン
16 第1温度センサ
17 第1制御部
20 第2加熱装置
21 第2冷却装置
22 第2ファン
23 第2温度センサ
24 第2制御部
25 冷却ブロワ
26 クーラー
27 循環ファン
30,31,32,33,34 扉

Claims (5)

  1. 粉末成形されたワークを焼結温度に昇温させる焼結帯と、前記焼結帯から排出されたワークを受け入れるように前記焼結帯に隣接して配置された第1徐冷帯と、前記第1徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第1徐冷帯に隣接して設けられた第2徐冷帯と、前記第2徐冷帯から排出されたワークを受け入れるように前記第2徐冷帯に隣接して設けられた冷却帯とに順に前記ワークを通過させる粉末成形体の焼結方法であって、
    前記第1徐冷帯では、前記ワークの材質の共析点よりも低い第1徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第1徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークを共析点よりも低い温度に降温させ、
    前記第2徐冷帯では、前記第1徐冷温度よりも低く、かつ、前記ワークの材質のMs点よりも高い第2徐冷温度に雰囲気温度が保持され、その第2徐冷帯にワークを通過させることで前記ワークをMs点よりも高い温度領域に降温して保持し、
    前記冷却帯では、前記ワークの材質のMs点よりも低い冷却温度に前記ワークを降温させる粉末成形体の焼結方法。
  2. 前記第2徐冷温度が、前記ワークの材質のMs点よりも10〜100℃の範囲で高く設定された温度である請求項1に記載の粉末成形体の焼結方法。
  3. 前記第2徐冷温度が、前記ワークの材質のMs点よりも30〜80℃の範囲で高く設定された温度である請求項1または2に記載の粉末成形体の焼結方法。
  4. 前記第2徐冷帯は、
    前記第2徐冷帯の雰囲気を加熱する第2加熱装置と、
    前記第2徐冷帯の雰囲気を冷却する第2冷却装置と、
    前記第2徐冷帯の雰囲気温度を検出する第2温度センサと、
    前記第2温度センサの出力に基づいて前記第2加熱装置と前記第2冷却装置とを制御する第2制御部とを有し、
    前記第2制御部が、前記第2温度センサで検出される雰囲気温度が前記第2徐冷温度に保持されるように前記第2加熱装置と前記第2冷却装置とをフィードバック制御する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末成形体の焼結方法。
  5. 前記第1徐冷帯は、
    前記第1徐冷帯の雰囲気を加熱する第1加熱装置と、
    前記第1徐冷帯の雰囲気を冷却する第1冷却装置と、
    前記第1徐冷帯の雰囲気温度を検出する第1温度センサと、
    前記第1温度センサの出力に基づいて前記第1加熱装置と前記第1冷却装置とを制御する第1制御部とを有し、
    前記第1制御部が、前記第1温度センサで検出される雰囲気温度が前記第1徐冷温度に保持されるように前記第1加熱装置と前記第1冷却装置とをフィードバック制御する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の粉末成形体の焼結方法。
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