JP5585037B2 - 搬送台車 - Google Patents

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本発明は、簡易な構造により乗り心地を改善した搬送台車に関するものである。
この種の搬送台車として、台車本体の端部にキャビンを備えたものが知られている。
なかでも、倉庫や坑道、港湾といったさまざまな場所で、鉄鋼、建材、大形コンテナなどの超重量搬送物の搬送を行う大型の搬送台車は、重厚長大な荷物を積載するため、台車本体の積載面が最大限に広く設けられ、キャビンは走行方向に沿って前記台車本体の端部に吊り下げるように設けられている。このような車両での作業は長時間に及ぶため、キャビンの防振を図ることが不可欠である。
このようなキャビンを支持するものとして、特許文献1に示されるようなばね要素を採用したものが考えられている。
特開平9−109922号公報
ところで、この種の搬送台車においてキャビンを支持するばね要素には、コイルばねが採用されており、台車本体全体およびキャビンサスペンションの固有振動数は、通常、4〜5Hzに設定されているのが通例である。
しかしながら、このように走行時のキャビン振動の主要な周波数が人間の感度の高い周波数範囲(4〜10Hz)にあると、乗り心地が悪い。乗り心地を改善するためには、ばね定数を、人間の感度の高い固有振動数を回避できるような値に調整することになるが、このためにはコイルばねを交換する必要があり、非常に面倒である。
特に、この種の搬送台車では、キャビンが台車本体の接地幅の外方にあって振動が増幅し易い上に、積載時と非積載時とで走行時の振幅や振動周波数が変化する。このため、コイルばねを交換したとしても、積荷の積載状況によってはやはり乗り心地が悪い事態を招くことが不可避である。
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としている。
本発明の搬送台車は、かかる目的を達成するために、路上を走行可能な台車本体と、運転席を有するキャビンと、このキャビンを前記台車本体に支持させる支持装置とを具備してなるものにおいて、前記支持装置を、キャビンと台車本体の間においてキャビンの平面視四隅近傍の4点を少なくとも支持する位置に配置されるサスペンション機構と、切替手段とを備えてなるものにし、前記各サスペンション機構を、エアばねを作動方向に直列に配置してなるエアばねユニットを各支持位置ごとに並列的に対をなして設けることで構成するとともに、前記切替手段を、前記各サスペンション機構を構成するエアばねの作動状態を切り替えるように構成して、前記切替手段を通じて、支持装置全体のばね定数を可変としたことを特徴とする。
このように、切替手段を通じて支持装置のばね定数を変更可能とすることで、キャビンの固有振動数を人間の感度の高い周波数範囲から外すことができ、ばねの交換を要することなく、乗り心地を有効に改善することができる。しかも、積載時と非積載時とで振幅や振動周波数が変化しても、切替手段を通じてばね定数を変化させることができるので、運転状況に即して適切なばね定数に設定することも可能になる。
本発明は、以上説明したように、切替手段を通じてサスペンション機構のばね定数を調整することで、走行時の振動周波数が人間の振動感度が高い周波数領域を外すことができるので、ばねの交換を要することなく乗り心地を有効に改善することができるという効果が奏されるものとなる。
本発明の一実施形態に係る搬送台車の模式的な全体図。 同キャビンの支持装置を示す図。 図2の支持装置のより具体的な構成図。 同支持装置の作用説明図。 同支持装置の使用方法を説明する図。 本発明の変形例を示す図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の搬送台車は、図1に示すように、路上を走行可能な台車本体1と、この台車本体1に付随するキャビン2とを備える。
台車本体1は、倉庫や坑道、港湾などにおいて鉄鋼、建材、大形コンテナなどの超重量の搬送物の搬送を行うべく、高強度のフレーム11を多数のタイヤ部12に昇降可能に支持させて構成される。すなわち、この搬送台車1は、搬送物を積載したパレットと称される図示しない門型の搬送用荷台の下に潜り込んでフレーム11によりこれを持ち上げ、その状態を保って移動するものである。台車本体1のフレーム11は、一対の垂下壁部11a、11aの間を接続する位置に存する主水平フレーム部11bを主な積荷領域とし、走行機能を司るタイヤ部12のほか、車軸サスペンションばね11cや図示しない昇降機構などが、一対の垂下壁部11a、11aと主水平フレーム部11bとで部分的に囲まれる台車下空間に組み込まれている。主水平フレーム部11bの一部は垂下壁部11aよりも外方に延長フレーム部11dとして延出させてあり、この延長フレーム部11dと前記主水平フレーム部11bとにわたって積荷を積載することも可能とされている。このような搬送台車は、積載領域を最大限に確保するために、前記キャビン2はタイヤ部12による接地幅を超えて走行方向の端部に対をなして設けられている。
キャビン2は、台車本体1の延長フレーム部11dの下方に配置されたもので、オペレータが運転するためのシートやオペレーションに必要な機器類からなる運転席20が内装されている。すなわち、キャビン2は、台車本体1の垂下壁部11aの前方において延長フレーム11dにオーバーハング状態で支持されて台車本体1とは独立している。
そして、このようなキャビン2を支持すべく、図2及び図3に示すように、当該キャビン2と台車本体1との間に、ばね要素であるエアばね31,32を組み合わせたエアサスペンション機構3を複数箇所に配置して支持装置Aを構成している。
なお、図示は省略するが、支持装置Aには台車本体1の進行方向と直交する垂直方向にキャビン2の移動を可能にし、かつ進行方向と直交する水平方向にキャビン2の移動を規制するためのリンク機構などの規制部材が含まれていても良い。
本実施形態のエアサスペンション機構3は、キャビン2の頂部若しくは側壁上部と台車本体1の延長フレーム部11dとの間において、キャビン2の平面視四隅近傍の4点を少なくとも支持する位置に配置されるもので、各エアサスペンション機構3は、図2に示すように、エアばね31、32を作動方向(上下方向)に直列に配列してなるエアばねユニット3a、3bを、各支持位置ごとに並列的に対をなして設けたものである。各エアばねユニット3a(或いは3b)において、エアばね31,32を直列に作動させた場合には各エアばね31,32が直列にキャビン荷重を支持するため柔らかいばね定数になり、エアばね31,31(32,32)を並列に作動させた場合には各エアばねが分散してキャビン荷重を支持するため相対的に硬いばね定数になる。したがって、作動させるべきエアばね31,32の組み合わせによって、種々のばね定数を実現することができる。
図2ではキャビン2をエアサスペンション機構3を介して延長フレーム部11dに吊り下げた模式図を示しているが、実際には、図3に示すようにエアサスペンション機構3の作動方向の一方の端部3xを台車本体1に接続し、他方の端部3yをキャビン2に接続して、キャビン荷重が各エアばね31,32に直列に圧縮力として作用するように構成している。
そして、各エアサスペンション機構3を構成する各エアばね31,32へのエアの供給状態を切り換える切替手段たるコントローラ4を設け、このコントローラ4から各エアばね31,32に供給すべきエア圧をON−OFF制御するようにしている。
コントローラ4は、図3に例示するように、圧空源5とエアばね31,32の内部空間との間に介在される電磁弁41、42と、これらの電磁弁41,42を制御する制御部43とを具備するもので、電磁弁41,42は、圧空源5とエアばね31,32の内部空間とを連通させて当該内部空間に圧空を供給する第1の切替位置41a、42aと、圧空源5とエアばね31,32の内部空間との間を遮断してエアばね31,32の内部空間を大気開放する第2の切替位置41b、42bとの間で流路の切り替えを行う機能を備える。
圧空源5は、台車本体1に備わる図示しない荷役駆動用のエアポンプ(例えば、荷役動作時のブレーキ用のエアポンプ)をエアの供給源として利用することができる。エアばね31,32が圧空源5に接続されず大気開放されたときには、エアばね31,32はエアを吐き出して潰れた状態になる(例えば図4(a)〜(c)参照)。
制御部43は、CPU、メモリ及びインターフェースを含む通常のマイクロプロセッサを主体として構成されるもので、CPUにはインターフェースを介して外部の指令部4aから指令信号Sが入力される。メモリには指令に応じて所定の処理を実行するために必要なプログラムやデータが格納されている。CPUはメモリから逐次これらのプログラムやデータを呼び出し、所定の演算、処理を行って、前記電磁弁41,42に開閉信号S1,S2を出力する。
具体的には、指令に基づき、エアばね31,32のうち所定のものをONにする場合には、制御部43からそのエアばね31,32に接続された電磁弁41,42に入力される信号S1,S2は当該電磁弁41,42を第1の切替位置41a、42aに保持する信号とされ、エアばね31,32のうち所定のものをOFFにする場合には、制御部43からそのエアばね31,32に接続された電磁弁41,42に入力される信号S1,S2は当該電磁弁41,42を第2の切替位置41b、42bに保持する信号とされる。電磁弁41,42がオフセットバネを備えている場合には信号S1,S2はオンオフ信号となる。
一方、指令部4aは、キャビン2の運転席20から操作できる位置に配置されて、オペレータの操作を通じて前記制御部43に指令信号Sを入力するものであり、やわらかいばね定数に設定するときには第1のモードを選択し、相対的に硬いばね定数を設定するときには第2のモードを選択できるようにしてある。
そして、図5(a)に示すように、指令部4aにおいて第1のモードが選択されると、制御部43が2つのエアばね31,32をONにし、指令部4aにおいて第2のモードが選択されると、制御部43が2つのエアばねの何れか一方をONにし他方をOFFにする制御を行うように設定してある。
なお、図示していないが、各エアサスペンション機構と対をなす位置には、台車本体1に対するキャビン2の上下方向の振動エネルギーを吸収するダンパー等の吸振要素が設けられている。
このように、路上を走行可能な台車本体1と、運転席20を有するキャビン2と、このキャビン2を台車本体1に支持させる支持装置Aとを具備してなるものにおいて、支持装置Aを、キャビン2と台車本体1の間の複数箇所に配置されてそれぞれに複数のエアばね31,32から構成されるサスペンション機構3と、各サスペンション機構3を構成する各エアばね31,32の作動状態を切り替えるコントローラ4とを備えてなるものにし、このコントローラ4を通じて、支持装置A全体のばね定数を可変としたので、キャビン2の固有振動数が人間の感度の高い周波数範囲と重なっている場合に、ばね定数を切り替えて固有振動数をずらすことができ、ばねの交換を要することなく、乗り心地を有効に改善することができる。特に、積載時と非積載時とでキャビン2の振幅や振動周波数が変化する場合にも、制御手段4を通じてばね定数を変化させることができるので、運転状況に即して適切なばね定数に設定することも可能になる。例えば、積荷を積載して低速で走行するため振動があまり問題にならない状況下では、指令部4aにおいて第2モードを選択することによって、エアばね31,32の一方のみがONにされ、他方のエアばねは機能しない状態となって、硬いばね定数に設定され、積荷を積載せずに比較的高速で走行するため振動が問題になる状況下では、指令部4aにおいて第1モードを選択することによって、両方のエアばね31,32をONにして直列接続した際の柔らかいばね定数に切り替えることができる。
この場合、エアばね31,32自身には、ストロークが大きくなるほどばね定数が徐々に大きくなる非線形のばね特性があり、また、それらに内設されるゴムによりストッパ衝突の衝撃を和らげる作用もあるため、コイルばねに替えてエアばね31,32を採用することにより、過大な振動や衝撃に対する緩和効果も期待できることになる。
更には、エアばねユニット3a、3bを並列的に設けているので、図5(b)に示すように、両エアばねユニット3a、3bを第1のモードに設定する態様と、両エアばねユニット3a、3bを第2のモードに設定する態様と、両エアばねユニット3a、3bの一方を第1のモードに設定し他方を第2のモードに設定する態様によって、更にばね定数の細かい制御を行うこともできるし、同図(c)に示すように、エアばねユニット3a、3bの一方を第1のモードや第2のモードにし他方を完全にOFFにする等といった組み合わせにも容易に展開することができる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、エアサスペンション機構が、一対のエアばねを直列に配置したエアばねユニットを水平方向に対をなして並列に設けたが、エアばねユニットは必ずしも並列に設けなくてもばね定数の切替えは可能である。エアばねを直列に配置してエアばねユニットを構成する場合には、エアばねは3個以上の直列接続とすることもできる。逆に、エアばねを並列に配置する場合には、必ずしも各エアばねは作動方向に2以上直列に配置せずともばね定数を切り替えることは可能であり、3個以上の並列配置とすることもできる。勿論、直列接続と並列接続とを種々に組み合わせることも可能である。
また、指令部は積荷の積載重量やキャビン振動を検知するセンサであっても構わない。
さらに、上記実施形態ではばねにエアばねを採用したが、コイルばねを用いて上記に準じた構成を実現することもできる。例えば、図6に示すように、第1のコイルばね131と第2のコイルばね132を併用し、ある作動範囲では第1のコイルばね131のみが作動し、一定の圧縮量以上で両コイルばね131,132が共働して作動するように組み付けて切替手段を構成すれば、ばね定数の有効な切替を行わせることができる。
あるいは、サスペンション機構を、エアばねと容量の異なる複数の補助タンクとから構成し、切替手段によってエアばねと連結する補助タンクを選択するようにしても良い(補助タンクの容量が大きいほどエアばねのばね定数は小さくなる)。このような構成であれば、圧空源を必要とせず、あらかじめ定めたばね定数を選択すれば良いだけになるため、装置構成の簡略化だけでなく操作性の向上化にもなる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
A…支持装置
1…台車本体
2…キャビン
3…エアサスペンション機構
4…切替手段(コントローラ)
31,32…エアばね

Claims (1)

  1. 路上を走行可能な台車本体と、運転席を有するキャビンと、このキャビンを前記台車本体に支持させる支持装置とを具備してなるものにおいて、前記支持装置を、キャビンと台車本体の間においてキャビンの平面視四隅近傍の4点を少なくとも支持する位置に配置されるサスペンション機構と、切替手段とを備えてなるものにし、前記各サスペンション機構を、エアばねを作動方向に直列に配置してなるエアばねユニットを各支持位置ごとに並列的に対をなして設けることで構成するとともに、前記切替手段を、前記各サスペンション機構を構成するエアばねの作動状態を切り替えるように構成して、前記切替手段を通じて、支持装置全体のばね定数を可変としたことを特徴とする搬送台車。
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