JP5584809B1 - 電気推進船 - Google Patents

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【課題】電気推進船に搭載した大容量の蓄電池に接舷時に確実に充電できる電気推進船を提供する。
【解決手段】電気推進船20は、船体21の右舷21R及び左舷21Lの両方に受電部31R,31Lが設けられている。これにより、接舷時の向きがいずれであっても陸上の商用電源(陸上電源)を用いて蓄電池32,33への充電が可能となる。したがって、船体の接舷作業を含めた充電作業全体の作業時間を円滑かつ短時間に行え、もって長時間航行に貢献することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、蓄電池の電力を利用して駆動する電気推進船に関する。
近年、船舶が航行中に発生する排気ガスや二酸化炭素などの温室効果ガスを削減するために、船舶用の電気推進システムが開発されている。例えば、特許文献1では、発電装置と、この発電装置により充電される蓄電池からなるハイブリッド電源を船舶に搭載し、前記ハイブリッド電源における蓄電池から推進用電動機へ電力を供給することによって船舶を推進する技術が開示されている。また、推進用電動機において発生した回生電力を前記蓄電池へ充電することも開示されている。
特開2011−235840号公報
特許文献1の技術は、ハイブリッド電源を搭載し、航行中に推進用電動機において発生した回生電力を前記蓄電池へ充電してエネルギーの有効活用を図っているが、基本的には発電機の出力電力によって航行するものである。
したがって、発電機並びにその駆動のための燃料を船舶に搭載する必要があり、積載重量が嵩む。その分、燃料消費量の増加につながるため、省エネルギーの観点から改善の余地がある。その一方、船舶に搭載した蓄電池の電力のみで長時間航行するには、大容量の蓄電池を搭載する必要があると共に、この大容量の蓄電池に対して、接舷時にできるだけ速やかにかつ確実に充電することが求められる。しかし、これらを解決する具体的手段について、特許文献1には開示がない。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、接舷時において大容量の蓄電池にできるだけ速やかにかつ確実で充電することを可能とした電気推進船を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の電気推進船は、蓄電池から供給される電力によって駆動し、スクリューを回転させる推進用電動機を備えた電気推進船であって、前記蓄電池を充電する電力を供給するための陸上電源用の受電部が、船体の右舷及び左舷の両方に設けられ、接舷時の船体の向きに応じていずれかの受電部を使用して受電される構成であることを特徴とする。
前記受電部を介して陸上電源から受電した交流の電圧を変圧する変圧器と、前記変圧器にて変圧された交流を直流に変換後、所定電圧の直流に変圧して前記蓄電池に供給するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータと前記推進用電動機との間に設けられ、前記推進用電動機へ電力を供給するため、前記蓄電池に蓄電された直流を交流に変換するインバータとを備えた電気推進船制御システムが搭載されている構成とすることが好ましい。
前記電気推進船制御システムは、前記DC/DCコンバータと前記蓄電池との間に、相対的に抵抗値の高い第一回路と相対的に抵抗値の低い第二回路とを並列に備え、前記DC/DCコンバータと前記蓄電池との間で流れる電流を流す際に、初期は前記第一回路を通電して流し、その後、前記第二回路を通電してから、前記第一回路を遮断して流すように制御される構成であることが好ましい。前記電気推進船制御システムは、さらに、前記推進用電動機にて発生する回生電力が、前記インバータを介して前記蓄電池へ充電される構成を有していることが好ましい。前記蓄電池がリチウムイオン電池であることが好ましい。
本発明の電気推進船によれば、船体の右舷及び左舷の両方に受電部が設けられている。これにより、接舷時の向きがいずれであっても陸上の商用電源(陸上電源)を用いて蓄電池への充電が可能となる。受電部が仮に右舷又は左舷の一方にしか備え付けられていない場合、大容量の蓄電池を搭載していたとしても、停泊時に充電しようとすると、接舷時の向きに留意する必要がある。しかし、常に一定の向きで接舷するには接舷場所の条件によっては困難な場合もあり、また、いずれかの向きでしか接舷できない場合もある。これでは、充電開始までに船体の向きを調整したり、充電用のケーブルを接舷側と反対側まで取り回すのに手間取ったりして作業時間をとられ、限られた停泊時間内に十分な充電量を確保できず、結果的に、長時間航行が達成できないおそれがある。しかし、本発明では、船体の接舷時の向きがいずれであっても陸上電源からの充電が可能であり、船体の接舷作業を含めた充電作業全体の作業時間を円滑かつ短時間に行え、もって長時間航行に貢献することができる。なお、蓄電池としては、大容量の蓄電が可能なリチウムイオン電池を用いることが好ましく、本発明は上記構成により短時間での作業が可能であるため、リチウムイオン電池への確実な充電に適した構成である。
図1は、本発明の一の実施形態に係る電気推進船の構成を概略的に示した側面図である。 図2は、上記実施形態に係る電気推進船の構成を概略的に示した平面図である。 図3は、上記実施形態に係る電気推進船に搭載される電気推進船制御システムの構成図である。
以下、図面に示した本発明の一の実施形態に基づき説明する。図1および図2に示したように、本実施形態の電気推進船20は、船体21がアルミニウム製で、例えば全長10〜20m、幅3〜5m、定員数十名程度のものである。もちろん、これより大型、小型のいずれでも本発明は適用可能である。また、電気推進船20の前進方向の前部に、操縦席23と客席28を配置した旅客室22が設けられ、前進方向の後部に、電気推進船20を推進するための各種機器を配置した動力室30が設けられている。
電気推進船20を推進するスクリュー38は、船尾の幅方向中央付近の船底から水中へ延びるスクリューシャフト37によって回転する。スクリューシャフト37は、動力室30内に配置した推進用電動機36によって回転駆動される。推進用電動機36としては、例えば10〜数十kwで1000〜数千rpmのACモータが用いられ、例えば数ノット以上の速力で航行可能に設定される。推進用電動機36として、DCモータを用いると、減速手段としてのギヤによって回転制御する必要があるが、ACモータは電気制御可能であるため、構造を簡易化でき、軽量化に適している。
動力室30の前方側には、推進用電動機36の駆動を制御する推進用電動機制御盤10および船内給電用配電盤34が配置され、推進用電動機36へ電力を供給する蓄電池としてのリチウムイオン電池32,33が、動力室30のほぼ中央に並列に配置されている。本実施形態では、各リチウムイオン電池32,33が電池集合パックで構成されており、それぞれが数十kwの大容量の電力を蓄電可能となっている。なお、動力室の後方側には、複数個の小容量のバッテリー35が配置されているが、これらは、船内の照明、操縦用の電子機器、電熱機器、その他の機器の一般用電源として用いられる。
電気推進船20には、陸上の商用電源(陸上電源)の交流を受電するための受電部31R,31Lが設けられている。受電部31R,31Lは、図2に示したように、船体21の右舷21R及び左舷21Lの両方に設けられている。右舷21R及び左舷21Lの両方に設けられることにより、接舷時の船体21の向きに応じて、右舷の受電部31R又は左舷の受電部31Lのいずれか一方を使用して、陸上電源、例えばAC220V、50Aの電力を受電し、上記リチウムイオン電池32,33に充電する。なお、受電部31R,31Lの構造は限定されるものではなく、例えば、陸上電源のケーブルの先端に設けられたコンセント(図示せず)を差し込む差込口形式のもののほか、非接触で電力を受電するタイプのもの等を用いることができる。
本実施形態の電気推進船20には、さらに、上記した受電部31R,31Lを介してリチウムイオン電池32,33に充電するための推進用電動機制御盤10を備えた電気推進船制御システム1が設けられている。推進用電動機制御盤10は、図3に示したように、変圧器11、AC/DCコンバータ12、チョッパ回路であるDC/DCコンバータ13を備えている。なお、受電部31R,31LからAC/DCコンバータ12までの間には、過電流保護のための配線用遮断器(MCCB1,MCCB2)、電流の流れを制御する電磁接触器(MC2)が設けられている。
変圧器11は、陸上電源用の受電部31,31Lを介して供給される交流の電圧を変圧する。例えば、受電部31R,31Lのいずれかから受電したAC220Vが、変圧器11によってAC480Vまで昇圧される。AC/DCコンバータ12は、変圧器11にて昇圧された交流を直流に変換する。
DC/DCコンバータ13は、AC/DCコンバータ12にて変換された直流を充電に適した直流電圧に変圧する。この所定電圧は、各リチウムイオン電池32,33の電圧によって最適な条件で充電するための電圧をいう。本実施形態では、AC/DCコンバータ12にて変換された直流電圧を、指令通りの電流値で充電出来る様に変圧して各リチウムイオン電池32,33へ充電する。
本実施形態によれば、上記の構成により、陸上電源からの交流の電圧(AC220V)を、所定電圧の直流(例えばDC500V)に変換/変圧することができる。このため、リチウムイオン電池32,33が大容量であっても、短時間で急速充電することができる。2個のリチウムイオン電池32,33を組み合わせることにより、上記のように例えば数十kwという大容量の電力を蓄電でき、長時間の連続運転が可能となる。
ここで、図3の推進用電動機制御盤10では、上記の構成に加えて、DC/DCコンバータ13と各リチウムイオン電池32,33との間に、それぞれ、相対的に抵抗値の高い第一回路(本実施形態では、抵抗を有する第一回路(14a又は14b))と、相対的に抵抗値の低い第二回路(本実施形態では、抵抗を有していない第二回路(15a又は15b))とを並列に接続している。なお、第一回路(14a又は14b)と第二回路(15a又は15b)との並列回路には、過電流保護のための配線用遮断器(MCCB3,MCCB4)と、電流の流れを制御する電磁接触器(MC3,MC4,MC5,MC6)が配置されている。
具体的には、充電時にDC/DCコンバータ13と第一のリチウムイオン電池32との間においては、前記第一回路14aは、DC/DCコンバータ13からの変圧された所定電圧の直流を流す際、その初期に通電され、抵抗R1と電磁接触器MC5を直列に接続した回路を備えている。第二回路15aは、前記第一回路14aを電磁接触器MC5によって通電した後(通常、数秒後)、DC/DCコンバータ13からの変圧された所定電圧の直流が流れるように電磁接触器MC3を備えている。但し、抵抗は備えていない。そして、第一回路14aと第二回路15aを並列に接続し、配線用遮断器MCCB3を介して第一のリチウムイオン電池32へ接続している。
したがって、最初に第一回路14aの電磁接触器MC5をONにすることで、最初にDC/DCコンバータ内のコンデンサに流れる大電流は、第一回路14aの抵抗R1にて抑えられる。その後第二回路15aの電磁接触器MC3をONにした後、第一回路14aの電磁接触器MC5をOFFにすることで、第二回路15aのみに切り替わる。
その結果、最初は前記の大電流が第一回路14aの抵抗R1で制御されるため、リチウムイオン電池32からDC/DCコンバータ13内のコンデンサに大電流を流すことなくコンデンサを充電させる。その後、第二回路15aを経て抵抗による電流制御がなされることなくDC/DCコンバータ13からリチウムイオン電池32へ流れて充電する。これにより、通電初期に大電流がDC/DCコンバータ13に流れることが抑制され、DC/DCコンバータ13等の損傷を防止できる。
DC/DCコンバータ13と第二のリチウムイオン電池33との間の作用も、上記と同様である。
第一のリチウムイオン電池32および第二のリチウムイオン電池33に蓄電された電力は、交流モータ(ACモータ)からなる推進用電動機36へ供給される。そのため、上記したDC/DCコンバータ13と推進用電動機36であるACモータとの間に、インバータ16が配置されている。なお、インバータ16と推進用電動機36との間は、充電時の安全対策のための配線用遮断器MCCB5を配置している。
電気推進船20が航行する際、各リチウムイオン電池32,33の電力は、最初に、第一回路14a,14bの電磁接触器MC5,MC6をONにし、第二回路15a,15bの電磁接触器MC3,MC4をOFFにすることで、第一回路14a,14bの抵抗R1,R2を経てDC/DCコンバータ13へ流れる。その後(通常、数秒後)、第二回路15a,15bの電磁接触器MC3,MC4をONにして、その後第一回路14a,14bの電磁接触器MC5,MC6をOFFにすることで、各リチウムイオン電池32,33の電力が抵抗を備えていない第二回路15a,15bを経てDC/DCコンバータ13へ流れるように切り替わる。これにより、上記と同様に、通電初期から大電流が一気に供給されることが抑制され、DC/DCコンバータ13等に損傷を来すことが防止される。
各リチウムイオン電池32,33の電力は、並列回路にてDC/DCコンバータ13へ供給される。DC/DCコンバータ13では、例えば各リチウムイオン電池32,33から供給されるDC500Vが、一定電圧の直流、例えばDC700Vに変換される。さらに、インバータ16によって直流から交流に変換されてから、推進用電動機であるACモータから構成される推進用電動機36に供給される。それにより推進用電動機36が回転し、スクリューシャフト37を介してスクリュー38が回転し、電気推進船20が推進する。
ところで、電気推進船20が前進している航行状態では、推進用電動機36において回生電力は発生しないが、その航行中に速力を落とすためにブレーキをかけると、推進用電動機36にて回生電力が発生する。本実施形態では、この回生電力をそのまま熱エネルギーに変換して廃棄せずに、リチウムイオン電池に充電する構成としている。具体的には、回生電力の電流がインバータ16内の直流回路に流れ、その後、DC/DCコンバータ13に供給され、第一のリチウムイオン電池32又は第二のリチウムイオン電池33へ流れて充電に利用される。
本実施形態によれば、推進用電動機36であるACモータにて発生した回生電力が、推進用電動機制御盤10の回路を介して第一のリチウムイオン電池32又は第二のリチウムイオン電池33へ充電されるので、エネルギーの利用効率の点で優れており、省エネルギー効果が高い。
なお、図1に示した符号18は、BMC(Battery Management Controller)であり、各リチウムイオン電池32,33における温度、電圧、残量等を管理する。符号17は、シーケンサであり、配線用遮断器(MCCB1,MCCB2,MCCB3,MCCB4,MCCB5)、電磁接触器(MC2,MC3,MC4,MC5,MC6)などの各種制御機器の作動を制御する。
1 電気推進船制御システム
10 推進用電動機制御盤
11 変圧器
12 AC/DCコンバータ
13 DC/DCコンバータ
14a,14b 第一回路
15a,15b 第二回路
16 インバータ
20 電気推進船
21 船体
21R 右舷
21L 左舷
31R,31L 受電部
32 第一のリチウムイオン電池
33 第二のリチウムイオン電池
36 推進用電動機(ACモータ)
38 スクリュー

Claims (4)

  1. 蓄電池から供給される電力によって駆動し、スクリューを回転させる推進用電動機を備えた電気推進船であって、
    前記蓄電池を充電する電力を供給するための陸上電源用の受電部が、船体の右舷及び左舷の両方に設けられ、接舷時の船体の向きに応じていずれかの受電部を使用して受電される構成であり、
    前記受電部を介して陸上電源から受電した交流の電圧を変圧する変圧器と、
    前記変圧器にて変圧された交流を直流に変換後、所定電圧の直流に変圧して前記蓄電池に供給するDC/DCコンバータと、
    前記DC/DCコンバータと前記推進用電動機との間に設けられ、前記推進用電動機へ電力を供給するため、前記蓄電池に蓄電された直流を交流に変換するインバータと
    を備えた電気推進船制御システムが搭載されている電気推進船。
  2. 前記電気推進船制御システムは、前記DC/DCコンバータと前記蓄電池との間に、相対的に抵抗値の高い第一回路と相対的に抵抗値の低い第二回路とを並列に備え、前記DC/DCコンバータと前記蓄電池との間で流れる電流を流す際に、初期は前記第一回路を通電して流し、その後、前記第二回路を通電してから、前記第一回路を遮断して流すように制御される構成である請求項記載の電気推進船。
  3. 前記電気推進船制御システムは、さらに、前記推進用電動機にて発生する回生電力が、前記インバータを介して前記蓄電池へ充電される構成を有している請求項又は記載の電気推進船。
  4. 前記蓄電池がリチウムイオン電池である請求項1〜のいずれか1に記載の電気推進船。
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