JP5583942B2 - 無線受信機 - Google Patents

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Description

本発明は、無線受信機、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
従来、移動体通信装置などの無線通信においては、複数のユーザが同じ周波数を用いて無線通信を行うことのできるW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)などのCDMAが広く利用されている。
W−CDMAを例に説明すると、送信側では、送信対象データに直交コード(拡散コード、チャネライゼーションコード、ChannelizationCode)を掛け合わせるスペクトル拡散をユーザごとに実行し、拡散させたデータ(チャネル)を多重化および変調して送信する。受信側では、受信したデータに自装置が利用する直交コードを掛け合わせる逆拡散を実行して、自装置宛のデータを復調する。このようにすることで、W−CDMAでは、複数ユーザが混信することなく、同じ周波数を用いて同時に高速通信することができる。
近年では、より多くのユーザが同じ周波数を用いて同時に高速通信するために、直交コードとさらにスクランブリングコード(SC:ScramblingCode)を用いた拡散および逆拡散を行う無線通信が利用されている。具体的には、送信側では、送信対象データの1ビットずつに、各セルまたはセクタ内でチャネルごとに割り当てられた直交コードを掛け合わせて拡散する。続いて、送信側は、直交コードで拡散させたデータの1ビット(チップ)ごとにSCを掛け合わせてさらに拡散させ、拡散させたデータを多重化および変調して送信する。受信側では、受信したデータに自装置が利用するSCを掛け合わせる逆拡散した後に、さらに、直交コードを用いて逆拡散を実行して、自装置宛のデータを復調する。
このようなSCを用いる場合には、例えば、携帯電話などの受信側では、電源がONになった初期動作時やセルサーチ時に、無線基地局などの送信側から受信したデータからSCの先頭位置を探す処理、すなわち、同期の確立を実施する。具体的には、無線基地局は、1フレームが15スロット、10msecで構成されるパイロット信号(CPICH:Common PIlot CHannel)や同期信号(SCH:Synchronization Channel)などの制御信号と音声データなどの通信データとを多重して送信する。
ここで、パイロット信号とは、ある決まったビット(チップ)パターンの信号であり、周期的に送信される信号である。また、同期信号とは、全てのセルまたはセクタで同一のコード長256チップの拡散コードであるP−SCH(Primary-Synchronization Channel)とS−SCH(Secondary-Synchronization Channel)とを有する。また、P−SCHは、1フレームの中に15回間欠的に送信され、S−SCHの受信タイミングを取得するのに利用される。S−SCHは、P−SCHと同じタイミングで送信され、フレームで区切られた情報の先頭、すなわちSCの先頭位置を取得するのに利用される。
そして、受信側の携帯電話は、まず、P−SCHを受信して同期を確立し、S−SCHのタイミングを取得する。次に、携帯電話は、P−SCHから取得したタイミングでS−SCHを受信し、S−SCHのコードからSCの先頭位置を取得するとともに、1フレームの15の各スロットに割り当てられている拡散コードのパターンからSCのグループを特定する。そして、携帯電話は、CPICHを受信し、受信したCPICHと特定したSCグループに含まれる各拡散コード、例えばW−CDMAでは8種類のSCそれぞれとの相関を算出し、最も相関が高いSCを当該携帯端末が位置するセルまたはセクタのSCと特定する。
この結果、携帯端末は、無線基地局から受信したデータを特定したSCを用いて逆拡散し、さらに、各セルまたはセクタ内でチャネルごとに割り当てられた直交コードを用いて逆拡散することで、自装置宛のデータを復調することができる。なお、携帯端末から無線基地局にデータを送信する場合には、携帯端末個々に割り当てられたSCを用いて通信が行われる。
特開2005−354255号公報
Gregory E.Bottomley、Tony Ottosson、Yi-Pin Eric Wang、「A Generalized RAKE Receiver for Interference Suppression」、IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS、VOL.18、NO.8、AUGUST、2000
しかしながら、上述した従来の技術では、同期信号以外の他信号を復号する場合に、同期信号からの干渉を除去できない場合があるという課題があった。また、高速な伝送レートや高S/N(signal-noise ratio)比の場合には、特に顕著な問題となる。
具体的には、上述したW−CDMAにおいて、同期信号以外の信号では、他のコードと直交する直交コードや、スクランブリングコードを用いて拡散されるため、信号間の干渉がない。一方で、同期信号は、他のコードと直交しないコードを用いて拡散される。したがって、同期信号以外の信号を直交コードで逆拡散したとしても、直交コードでないコードで拡散された同期信号からの干渉が除去(キャンセル)できない。この結果、逆拡散後も同期信号からの干渉の影響を受け、通信品質や通信特性が劣化する。
また、比較的低速な伝送レートや低S/N比の場合には、例えばFEC(Forward Error Correction)などの誤り検出訂正用の冗長ビットを送信対象ビットに付加して送信することができる。このため、受信側では、同期信号からの干渉がキャンセルできない場合でも、FECなどによって誤り検出訂正を実施することができるので、同期信号からの干渉の影響が小さい。ところが、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)などの高速伝送の場合には、誤り検出訂正用の冗長ビットを送信対象ビットにほとんど付加することができない。このため、受信側では、同期信号からの干渉がキャンセルできない場合に、正確な誤り検出訂正を実施することができないので、同期信号からの干渉の影響が大きい。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、同期信号以外の他信号を復号する場合に、同期信号からの干渉を精度よく除去することが可能である無線受信機、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
本願の開示する無線受信機は、一つの態様において、同期信号以外の他信号を拡散するコードと直交しない非直交コードで拡散された同期信号を含む複数の信号が多重された信号を受信する受信部と、前記他信号を復号対象とする場合に、前記同期信号を用いて前記受信部によって受信された信号を逆拡散して、前記非直交コードの信号振幅を推定する振幅推定部と、前記振幅推定部によって推定された非直交コードの信号振幅と前記同期信号とを用いて、前記受信部によって受信された信号から前記拡散された同期信号を除去する信号除去部と、前記信号除去部によって拡散された同期信号が除去された受信信号に対して、逆拡散および復調を実施し、前記復号対象の信号を復号する復号部とを有する。
本願の開示する無線受信機、無線通信システムおよび無線通信方法の一つの態様によれば、同期信号以外の他信号を復号する場合に、同期信号からの干渉を精度よく除去することが可能であるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る無線受信機を含むシステムの全体構成を示す図である。 図2は、実施例1に係る無線受信機における処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、実施例2に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。 図4は、実施例2に係る無線受信機の構成を示すブロック図である。 図5は、SCH処理部の詳細構成を示すブロック図である。 図6は、実施例3に係る無線受信機におけるSCH処理部の構成を示すブロック図である。 図7は、FIRフィルタに投入する重みを説明する図である。 図8は、SCHの位相を説明する図である。 図9は、実施例4に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。 図10は、実施例5に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。 図11は、実施例6に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。 図12は、実施例7に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。 図13は、FIRフィルタに投入する重みを説明する図である。 図14は、平均化処理を組み込んだSCHキャンセル処理部の構成を示す図である。 図15は、正規化処理を組み込んだSCHキャンセル処理部の構成を示す図である。
以下に、本願の開示する無線受信機、無線通信システムおよび無線通信方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
実施例1では、実施例1に係る無線受信機を含むシステムの全体構成、無線受信機による処理の流れ、実施例1による効果を順に説明する。
(全体構成)
図1は、実施例1に係る無線受信機を含むシステムの全体構成を示す図である。図1に示すように、このシステムは、例えばW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)などのCDMA方式を用いた通信方式で、無線送信機1と無線受信機5とが通信可能に接続されている。
無線送信機1は、無線受信機5と無線通信を実行する無線基地局などの装置であり、制御信号や音声データなどの通信データを多重して無線受信機5に送信する。この無線送信機1は、例えば、1フレームが15スロット、10msecで構成されるパイロット信号(CPICH:Common PIlot CHannel)や同期信号(SCH:Synchronization Channel)などの制御信号と音声データなどの通信データとを多重して送信する。
例えば、無線送信機1は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式を用いて、パイロット信号などの制御信号や通信データを変調する。そして、無線送信機1は、変調させた各信号を直交コード(直交符号、CC:ChannelizationCode)やスクラブンリングコード(SC:ScramblingCode)を用いて拡散し、同期信号を加算した後に多重して、無線受信機5に送信する。
無線受信機5は、無線送信機1から受信した信号に逆拡散および復調を実行して所望の信号を復号する携帯端末等の無線通信装置であり、特に、受信部5aと、振幅推定部5bと、信号除去部5cと、復号部5dとを有する。
受信部5aは、同期信号以外の他信号を拡散するコードと直交しない非直交コードで拡散された同期信号を含む複数の信号が多重された信号を受信する。例えば、受信部5aは、上記変調方式を用いて変調されて、直交コードやスクラブンリングコードで拡散された通信データや非直交コードで拡散されたSCHなどが多重された信号を無線送信機1から受信する。
振幅推定部5bは、同期信号以外の信号を復号対象とする場合に、受信部5aによって受信された信号を同期信号で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。例えば、振幅推定部5bは、SCH以外の信号である音声データなどの通信データを復号対象とする場合、受信部5aによって受信された信号を既知であるSCHの複素共役で逆拡散する。こうすることで、振幅推定部5bは、無線送信機1によってSCHを拡散する際に用いられた非直交コードの信号振幅(複素振幅)を算出する。
信号除去部5cは、振幅推定部5bによって推定された非直交コードの信号振幅と同期信号とを用いて、受信部5aによって受信された信号から拡散された同期信号を除去する。例えば、信号除去部5cは、振幅推定部5bによって推定された非直交コードの信号振幅と既知のSCHコードとを乗算することで、無線送信機1から受信した状態であり、非直交コードで拡散された状態のSCHを推定する。そして、信号除去部5cは、受信部5aによって受信された信号から推定したSCHをキャンセルする。
復号部5dは、信号除去部5cによって拡散された同期信号が除去された信号に対して、逆拡散および復調を実施し、復号対象の信号を復号する。例えば、復号部5dは、拡散された同期信号が除去された受信信号をスクランブリングコードで逆拡散し、さらに、逆拡散後の信号を復号対象の直交コードで逆拡散する。その後、復号部5dは、復調や誤り訂正などを実施して、復号対象の信号を復号する。
(処理の流れ)
次に、図2を用いて、実施例1に係る無線受信機における処理の流れを説明する。図2は、実施例1に係る無線受信機の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、無線受信機5は、初期同期が開始されると(ステップS101肯定)、無線送信機1から信号を受信する(ステップS102)。ここで、初期同期が実施されるタイミングとは、無線受信機5が搭載される携帯端末などの電源がONにされた時点、パスサーチやセルサーチが終了した時点などである。
そして、無線受信機5は、無線送信機1から信号を受信すると(ステップS102肯定)、受信した受信信号をデジタル信号に変換する(ステップS103)。続いて、無線受信機5は、セルサーチを実施してSCHのタイミングを検出し、受信信号で使用されているスクランブリングコードとフレームタイミングを検出する(ステップS104)。
そして、無線受信機5は、パスサーチを実施してマルチパスにおける各パスごとの遅延時間等を算出し、各パスの詳細なタイミング、言い換えると、逆拡散のタイミングを検出する(ステップS105)。
その後、無線受信機5は、スクランブリングコードと直交コードとを用いて、受信した信号に含まれるパイロット信号を逆拡散し、チャネル推定値を算出する(ステップS106)。このとき、無線受信機5は、ステップS105で算出した各パスの詳細なタイミングをさらに用いて、各パスごとにチャネル推定値を算出する。
そして、無線受信機5は、SCH以外の信号を復号対象とする場合に、受信部5aによって受信された信号を既知のSCHコードで逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する(ステップS107)。続いて、無線受信機5は、推定された非直交コードの信号振幅と既知のSCHコードとを用いて、受信部5aによって受信された信号から拡散されたSCHを除去する(ステップS108)。
その後、無線受信機5は、拡散されたSCHが除去された信号に対して逆拡散および復調を実施し、復調した信号に対してチャネル推定値を乗算して、復号対象の信号を復号する(ステップS109)。このとき、無線受信機5は、マルチパスにおける各パスごとのチャネル推定値を用いて、各タイミングの信号を合成する。
(実施例1による効果)
このように、実施例1によれば、非直交コードで拡散されたSCHを含む受信信号から所望の信号を復号する場合に、既知のSCHコードを用いてSCHの複素振幅を推定する。そして、この推定値を用いて拡散されたSCHを推定算出し、算出された拡散されたSCHを受信信号からキャンセルする。つまり、SCHを推定して、推定したSCHを受信信号からキャンセルすることができる結果、SCH以外の他信号を復号する場合に、SCHからの干渉を精度よく除去することが可能である。
ところで、実施例1で説明した無線送信機と無線受信機は、実施例1で説明した制御部以外にも様々な制御部を有していてもよい。そこで、実施例2では、実施例1で説明した制御部以外の様々な制御部を有する無線送信機と無線受信機とについて説明する。
(無線送信機の構成)
まず、図3を用いて、実施例2に係る無線送信機の構成について説明する。図3は、実施例2に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、無線送信機10は、アンテナ10aと、誤り訂正符号化部11a〜11n、変調部12a〜12nと、拡散変調部13a〜13nと、変調部14と、拡散変調部15とを有する。さらに、無線送信機10は、加算部20と、乗算部21と、加算部22と、アップコンバート部23とを有する。アンテナ10aは、例えば、パイロット信号やSCHなどの制御信号や音声データや電子メールなどのデータが多重されたデータを、無線受信機50に対して送信する。
誤り訂正符号化部11a〜11nは、送信対象データである送信ビット列1〜nそれぞれに対して、例えばFEC(Forward Error Correction)などの誤り検出訂正用の冗長ビットを付加した送信ビット列を生成して、変調部12a〜12nに出力する。
変調部12a〜12nは、誤り訂正符号化部11a〜11nから出力された送信ビット列各々に対して、BPSK、QPSK、QAMなどの変調方式を用いて変調したデータ各々を拡散変調部13a〜13nに出力する。拡散変調部13a〜13nは、各チャネル固有の直交コードを用いて、変調部12a〜12nから出力された送信データ各々を拡散して加算部20に出力する。
変調部14は、他の送信ビットとは異なり、送信対象となるパイロット信号(パイロットチャネル)に冗長ビットを付加することなく、パイロット信号を変調して拡散変調部15に出力する。拡散変調部15は、変調部14によって変調されたパイロット信号を直交コードで拡散させて、加算部20に出力する。
加算部20は、拡散変調部13a〜13nによって拡散された送信ビット列各々と、拡散変調部15によって拡散されたパイロット信号とを加算して、乗算部21に出力する。乗算部21は、加算部20によって加算された信号に、1フレーム分の周期を持つ基地局特有のSC、言い換えると、無線送信機10特有のSCを複素乗算して拡散し、加算部22に出力する。
加算部22は、乗算部21によって拡散された送信データに、無線受信機50との間で共有であり既知の同期符号であるSCHコードを加算してアップコンバート部23に出力する。アップコンバート部23は、加算部22によって既知のSCHコードが加算された送信データ、すなわち、無線受信機50への送信対象となるデータを無線周波数にアップコンバートして、アンテナ10aに出力する。そして、アンテナ10aから無線受信機50へアップコンバートされた送信データが送信される。
(無線受信機の構成)
次に、図4を用いて、実施例2に係る無線受信機の構成について説明する。図4は、実施例2に係る無線受信機の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、無線受信機50は、アンテナ50aと、ダウンコンバート部51と、AGCアンプ52と、デジタル変換部53と、セルサーチ部54と、パスサーチ部55と、チャネル推定部56と、SCH処理部60と、誤り訂正復号部70とを有する。
アンテナ50aは、無線送信機10から送信された無線周波数の信号であり、SCH以外の他信号を拡散するコードと直交しない非直交コードで拡散されたSCHを含む複数の信号が多重された信号を受信する。ダウンコンバート部51は、アンテナ50aによって受信された無線周波数の信号をベースバンドにダウンコンバートして、AGCアンプ52に出力する。
AGCアンプ52は、入力された信号の振幅が変動する場合において、内蔵する増幅回路の利得を自動的に調整して、一定の信号をデジタル変換部53に出力する。デジタル変換部53は、AGCアンプ52から出力された信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をセルサーチ部54、チャネル推定部56、SCH処理部60それぞれに出力する。
セルサーチ部54は、いわゆる三段階セルサーチ等を実施し、無線送信機10との同期を確立するために、フレームタイミング(t)の検出や1フレーム分の周期を持つ無線送信機10特有のSCの検出を行う。例えば、セルサーチ部54は、SCHに含まれるP−SCH(Primary-Synchronization Channel)を受信して同期を確立し、S−SCH(Secondary-Synchronization Channel)のタイミングを取得する。
続いて、セルサーチ部54は、P−SCHから取得したタイミングでS−SCHを受信し、S−SCHのコードからSCの先頭位置、すなわち、フレームタイミング(t)を取得する。さらに、セルサーチ部54は、1フレームの15の各スロットに割り当てられている拡散コードのパターンからSCのグループを特定する。そして、セルサーチ部54は、CPICHを受信し、受信したCPICHと特定したSCグループに含まれる各SCそれぞれとの相関を算出し、最も相関が高いSCを無線送信機10が位置するセルまたはセクタのSCと特定する。その後、セルサーチ部54は、このようにして特定したフレームタイミング(t)と無線送信機10特有のSCとをパスサーチ部55に出力し、SCをチャネル推定部56に出力する。
パスサーチ部55は、無線送信機10からマルチパス伝播環境で送信された受信信号を逆拡散するタイミングを検出する。例えば、パスサーチ部55は、セルサーチ部54によって検出されたSCとフレームタイミング(t)を用いて、各パスの詳細なタイミング(ti)を検出し、チャネル推定部56とSCH処理部60とに出力する。なお、iは、0〜n−1(n:自然数)であり、マルチパスの数を示している。
チャネル推定部56は、マルチパスにおける各パスごとに、パスの位相と振幅とを示すチャネル推定値を推定する。例えば、チャネル推定部56は、パスサーチ部55で検出されたタイミング(ti)で、SCを用いて受信信号に含まれるパイロットチャネルを逆拡散する。続いて、チャネル推定部56は、SCで逆拡散した信号を復号対象の信号のCCでさらに逆拡散し、平均処理などを実施して各パスのチャネル推定値(hi)を算出し、SCH処理部60に出力する。なお、iは、0〜n−1(n:自然数)であり、パスの数を示している。
SCH処理部60は、受信信号からSCHをキャンセルし、SCやCCで逆拡散して所望の信号を復号する処理部である。このSCH処理部60は、図5に示すように、遅延部60a〜60n、SCHキャンセル処理部61、逆拡散部65a〜65n、乗算部66a〜66n、加算部67を有し、これらによって各種処理を実行する。図5は、SCH処理部の詳細構成を示すブロック図である。
遅延部60a〜60nは、各パスに入力されてデジタル変換された遅延波である受信信号を所定時間遅延させ、多重されている信号を検出し、SCHキャンセル処理部61に出力する。SCHキャンセル処理部61は、SCH以外の信号を復号対象とする場合に、受信信号からSCHをキャンセルする処理部であり、特に、SCH振幅推定部62a〜62nと、乗算部63a〜63nと、キャンセル部64a〜64nとを有する。
SCH振幅推定部62a〜62nは、マルチパスにおける各パスごとに、受信信号に含まれるSCHの拡散に使用された非直交コードの信号振幅(複素振幅)を推定し、乗算部63a〜63n各々に出力する。例えば、SCH振幅推定部62a〜62nは、遅延部60a〜60nから出力された受信信号の各チップに対して、既知のSCHコードの複素共役で逆拡散を実施する。そして、SCH振幅推定部62a〜62nは、逆拡散で得られた各チップごとの信号振幅を合計し、受信信号に含まれるSCHの拡散に使用された非直交コードの信号振幅を算出して、乗算部63a〜63nに出力する。
乗算部63a〜63nは、各パスごとに、SCH振幅推定部62a〜62nによって推定された非直交コードの信号振幅と既知のSCHコードとを用いて、受信された信号に含まれる拡散されたSCHを推定する。例えば、乗算部63a〜63nは、SCH振幅推定部62a〜62nから出力された非直交コードに、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを生成し、キャンセル部64a〜64nに出力する。つまり、乗算部63a〜63nは、SCHが非直交コードで拡散された状態の信号、すなわち、受信された信号に含まれる拡散されたSCHを推定する。
キャンセル部64a〜64nは、各パスごとに、受信された信号から乗算部63a〜63nによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部65a〜65nに出力する。
逆拡散部65a〜65nは、各パスごとに、SCやCCで逆拡散する。例えば、逆拡散部65a〜65nは、キャンセル部64a〜64nから出力された信号に対して、セルサーチ部54で検出されたSCで逆拡散する。続いて、逆拡散部65a〜65nは、SCで逆拡散された信号に対して、復号対象の信号のCC、言い換えると、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を乗算部66a〜66nに出力する。
乗算部66a〜66nは、各パスの受信信号に対して、各パスの位相と振幅とを乗算する。例えば、乗算部66a〜66nは、逆拡散部65a〜65nから出力された信号に対して、チャネル推定部56によって算出された各パスごとのチャネル推定値(hi)を乗算し、加算部67に出力する。加算部67は、乗算部66a〜66nから出力された各パスごとの信号を合成し、誤り訂正復号部70に出力する。
図4に戻り、誤り訂正復号部70は、合成された信号に対して誤り訂正および復調し、復号対象の信号を復号する。例えば、誤り訂正復号部70は、加算部67から出力された各パスごとの信号が合成された信号に含まれる冗長ビットを用いて誤り訂正を実施する。さらに、誤り訂正復号部70は、無線送信機10で変調に用いられた変調方式で復調を実施して受信ビット列を抽出し、復号対象の信号を復号する。
(実施例2による効果)
このように、実施例2によれば、SCやCCによる逆拡散後ではつぶれてしまうSCHを逆拡散前にキャンセルすることができる。その結果、SCH以外の他信号を復号する場合に、SCHからの干渉を精度よく除去することが可能である。また、マルチパスの各パスごとに、SCHをキャンセルすることができるので、SCHキャンセル精度も高い。
ところで、実施例2で説明した無線受信機は、マルチパスの各パスごとにSCHをキャンセルする例について説明したが、本願が開示する無線受信機はこれに限定されるものではない。例えば、マルチパス伝播環境で送信された信号をマルチパスで受信せずに、1つのパスで受信した場合であっても、実施例2と同様に、SCHからの干渉を精度よく除去することが可能である。そこで、実施例3では、図6を用いて、マルチパス伝播環境で送信された信号を1つのパスで受信して、SCHからの干渉を精度よく除去する例について説明する。
図6は、実施例3に係る無線受信機におけるSCH処理部の構成を示すブロック図である。なお、SCH処理部以外の構成については、実施例2の無線受信機と同様の構成を有するので、ここでは、実施例2とは異なる構成を有するSCH処理部についてのみ説明する。
図6に示すように、SCH処理部80は、重み生成部80aと、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ80bと、SCHキャンセル処理部81と、逆拡散部80cとを有する。
重み生成部80aは、チャネル推定部56によって算出されたマルチパスにおける各パスのチャネル推定値(hi:チャネルベクトル)を用いて、FIRフィルタに投入する重みベクトル(W)を生成する。例えば、重み生成部80aは、図7に示すように、FIRフィルタ80bにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、チャネル推定値をhとした場合、W=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部80aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ80bに投入する。図7は、FIRフィルタに投入する重みを説明する図である。
FIRフィルタ80bは、デジタル変換部53によって変換されたデジタル信号を等化する等化器やイコライザーなどの装置である。例えば、FIRフィルタ80bは、図7に示すように、タップ数分のシフトレジスタ(遅延素子)を通過させた各信号に、重み生成部80aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ80bは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された各信号を加算してSCHキャンセル処理部81に出力する。
SCHキャンセル処理部81は、SCH以外の信号を復号対象とする場合に、受信信号からSCHをキャンセルする処理部であり、特に、SCH振幅推定部82と、乗算部83と、キャンセル部84とを有する。
SCH振幅推定部82は、FIRフィルタ80bによって等化された信号をSCHで逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。例えば、SCH振幅推定部82は、FIRフィルタ80bで等化された信号に対して、既知のSCHコードの複素共役で逆拡散を実施する。そして、SCH振幅推定部82は、逆拡散で得られた各チップごとの信号振幅を合計し、受信信号に含まれるSCHの拡散に使用された非直交コードの信号振幅を算出して、乗算部83に出力する。
乗算部83は、SCH振幅推定部82によって推定された非直交コードの信号振幅とSCHとを用いて、受信された信号に含まれる拡散されたSCHを推定する。例えば、乗算部83は、SCH振幅推定部82から出力された非直交コードの信号振幅に、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを推定生成し、キャンセル部84に出力する。つまり、乗算部83は、SCHが非直交コードで拡散された状態の信号、すなわち、受信された信号に含まれる拡散されたSCHを推定する。
キャンセル部84は、各パスごとに、FIRフィルタ80bによって等化された信号から乗算部83によって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部80cに出力する。
ここで、図6の(a)を用いて、上述したSCHキャンセル処理部をより詳細に説明する。実際は、SCHは複素信号であるため、例えばW−CDMAのSCHはBPSK相当の信号になるため、受信信号の実部(I軸、同相成分)も虚部(Q軸、直交成分)も同じSCHを含んでいる。したがって、図6の(a)に示すように、それぞれ個別に非直交コードの信号振幅を推定する。
具体的に説明すると、I軸においては、SCH逆拡散部82aがFIRフィルタ80bによって等化された信号をSCHコード(BPSKなのでSCHコードも実数になる)で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。続いて、乗算部83aが推定された信号振幅に1/SFを乗算する。そして、乗算部83bが乗算部83aから出力された非直交コードの信号振幅に、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを推定生成する。続いて、キャンセル部84aが受信された信号から乗算部83bによって算出されたSCHコードをキャンセルし、拡散されたSCHコードがキャンセルされた受信信号を逆拡散部80cに出力する。なお、SFとは、拡散率(Spreading Factor)であり、W−CDMAのSCHの場合は256である。
また、Q軸においても同様に、SCH逆加算部82bがFIRフィルタ80bによって等化された信号をSCHコードで逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。続いて、乗算部83cが推定された信号振幅に1/SFを乗算する。そして、乗算部83dが乗算部83cから出力された信号に既知のSCHコードを乗算する。続いて、キャンセル部84bが、受信された信号から乗算部83dによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部80cに出力する。
図6に戻り、逆拡散部80cは、SCHがキャンセルされた受信信号をSCやCCで逆拡散する。例えば、逆拡散部80cは、キャンセル部84aや84bなどのキャンセル部84から出力された信号に対して、セルサーチ部54で検出されたSCで逆拡散する。続いて、逆拡散部80cは、SCで逆拡散された信号に対して、復号対象の信号のCC、言い換えると、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を誤り訂正復号部70に出力する。その後、誤り訂正復号部70は、実施例2と同様、逆拡散部80cから出力された信号に対して誤り訂正および復調し、復号対象の信号を復号する。
このように、実施例3によれば、1パス分の回路規模あるいは処理量でSCHをキャンセルすることができるので、実施例2のように各パスごとにSCHキャンセルする場合に比べて、回路規模の縮小や処理量の削減が可能になる。また、FIRフィルタによるイコライジング後のSCHの位相や振幅情報を利用できるため、SCHの複素振幅の推定精度を上げることができ、SCHをより正確にキャンセルすることができる。
ところで、実施例3で説明したマルチパス伝播環境で信号が送信された場合に、SCHの位相が既知であれば、SCHキャンセルに係る処理量をより削減することができる。そこで、実施例4では、図8と図9を用いて、SCHの位相が既知である状態で、SCHをキャンセルする例について説明する。図8は、SCHの位相を説明する図であり、図9は、実施例4に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。なお、SCHキャンセル処理部以外の処理部については、実施例3と同様であるので、ここでは省略する。
具体的には、イゴライジング後の信号点は、送信信号とほぼ同じか、あるいは特定の角度回転したものとなるため、無線送信機10から送信されたSCHの位相も一定の値となる。このとき、一定の位相だけ回転してからSCHの振幅、言い換えると、非直交コードの振幅を推定するようにすることで、Q側の振幅推定を行う必要がなくなるため、より処理量を削減することができる。
例えば、送信された信号および受信した信号のSCHは、図8に示すように、位相「φ」を有しているとする。この場合、実施例3に係るSCHキャンセル処理部85の乗算部85aは、図9に示すように、FIRフィルタ80bによって等化された信号に「e−iφ0」を乗算して、受信信号の位相を「φ」分回転させて、I軸上の信号点に移動させる。次に、SCH逆拡散部85bは、乗算部85aによって位相が回転させられた信号を既知のSCHコードで逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。なお、詳細な推定方法は、実施例3と同様の手法を用いることができる。
続いて、乗算部85cは、推定された信号振幅に1/SFを乗算する。乗算部85dは、乗算部85cから出力された信号に「eiφ0」を乗算し、回転させた位相を「φ」分逆回転させて、元の信号点の位相に戻す。その後、乗算部85eは、乗算部85dから出力された信号に既知のSCHコードを乗算する。続いて、キャンセル部85fは、FIRフィルタ80bによって等化された信号から、乗算部83dによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部80cに出力する。つまり、I軸におけるSCHをキャンセルする。
同様に、乗算部85gは、乗算部85dから出力された信号に既知のSCHコードを乗算する。続いて、キャンセル部85hは、FIRフィルタ80bによって等化された信号から、乗算部83dによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部80cに出力する。つまり、Q軸におけるSCHをキャンセルする。
このように、実施例4によれば、Q側の振幅推定を行う必要がなくなるため、より処理量を削減することができる。また、位相が確定しているため、振幅の推定値も向上し、SCHをより正確にキャンセルすることができる。なお、SCHがBPSKではなく、QPSKや16QAMで変調された場合であっても、同様に処理することができる。
ところで、実施例1〜4では、無線送信機から1本のアンテナで信号が送信される場合について説明したが、無線送信機が複数のアンテナを用いて信号を送信する場合であっても、実施例1〜4と同様にSCHを精度良くキャンセルすることができる。そこで、実施例5では、図10を用いて、無線送信機が2本のアンテナを用いて信号を送信し、無線受信機が1本のアンテナで信号を受信する送信ダイバーシチ(TxDiv)の場合について説明する。ここでは、2本のアンテナから信号が送信されるため、無線受信機では2つのFIRを有する例について説明するが、これに限定されるものではない。
図10は、実施例5に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。なお、ここでは、受信側で位相調整ができるように、アンテナTx1からは送信重みwが乗算された信号xとSCH等が多重された信号が送信され、アンテナTx2からは送信重みwが乗算された信号xが送信されたとする。また、SCHキャンセル処理部以外に制御部については、実施例4と同様であるので、ここでは省略する。
このような状態において、無線受信機におけるSCHキャンセル処理部90は、アンテナRx1でTx1から送信された信号およびTx2から送信された信号を受信して、重み生成部90a、FIRフィルタ90b、FIRフィルタ90cそれぞれに出力する。
重み生成部90aは、FIRフィルタ90bにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、Tx1でのチャネル推定値(チャネルベクトル)をhとした場合に、重みベクトルをW=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部90aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ90bに投入する。また、重み生成部90aは、FIRフィルタ90cにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、Tx2でのチャネル推定値をhとした場合に、重みベクトルをW=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部90aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ90cに投入する。
FIRフィルタ90bは、アンテナRx1によって受信され、デジタル変換部によって変換されたデジタル信号を等化する等化器やイコライザーなどの装置である。例えば、FIRフィルタ90bは、タップ数分のシフトレジスタを通過させた各信号に、重み生成部90aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ90bは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された各信号を乗算部90dに出力する。
FIRフィルタ90cは、アンテナRx1によって受信され、デジタル変換部によって変換されたデジタル信号を等化する等化器やイコライザーなどの装置である。例えば、FIRフィルタ90cは、タップ数分のシフトレジスタを通過させた各信号に、重み生成部90aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ90cは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された各信号を乗算部90eに出力する。
乗算部90dは、FIRフィルタ90bから出力された信号にwの複素共役(w )を乗算して加算部90fに出力する。また、乗算部90eは、FIRフィルタ90cから出力された信号にwの複素共役(w )を乗算して加算部90fに出力する。加算部90fは、乗算部90dから出力された信号と、乗算部90eから出力された信号とを加算して、SCHキャンセル部90hに出力する。
SCH位相検出部90gは、アンテナTx1での等化結果、言い換えると、FIRフィルタ90bからの出力信号に含まれるSCHの位相φと、重み生成部90aによって生成された重みベクトルWとWとを用いて、図10に示す位相φを算出する。そして、SCH位相検出部90gは、算出した位相φをSCHキャンセル部90hに出力する。なお、位相φは、実施例4と同様、既知の値である。
SCHキャンセル部90hは、SCH以外の信号を復号対象とする場合に、受信信号からSCHをキャンセルする処理部であり、実施例4と同様の手法を用いて、加算部90fから出力された信号からSCHをキャンセルして、逆拡散部90iに出力する。具体的には、SCHキャンセル部90hは、加算部90fから出力された信号に「e−iφ」を乗算して、受信信号の位相を「φ」分回転させて、I軸上の信号点に移動させる。次に、I軸において、SCHキャンセル部90hは、FIRフィルタ80bによって等化された信号を既知のSCHコードの複素共役で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。
そして、SCHキャンセル部90hは、推定された信号振幅に1/SFを乗算し、乗算された信号に「eiφ」をさらに乗算し、回転させた位相を「φ」分逆回転させて、元の信号点の位相に戻す。その後、SCHキャンセル部90hは、位相が戻された信号(非直交コードの信号振幅)に、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを推定生成する。続いて、SCHキャンセル部90hは、受信された信号からSCHコードをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部90iに出力する。つまり、I軸におけるSCHをキャンセルする。
Q軸においても同様に、SCHキャンセル部90hは、位相が戻された信号(非直交コードの信号振幅)に、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを推定生成する。続いて、SCHキャンセル部90hは、加算部90fから出力された信号からSCHコードをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部90iに出力する。つまり、Q軸におけるSCHをキャンセルする。
そして、逆拡散部90iは、SCHがキャンセルされた受信信号をSCやCCで逆拡散する。例えば、逆拡散部90iは、SCHキャンセル部90hから出力された信号に対して、セルサーチ部54で検出されたSCで逆拡散する。続いて、逆拡散部90iは、SCで逆拡散された信号に対して、復号対象の信号のCC、言い換えると、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を誤り訂正復号部等に出力する。その後、誤り訂正復号部によって、実施例2と同様、誤り訂正および復調が実施され、復号対象の信号が復号される。
このように、実施例5によれば、送信ダイバーシチ環境であっても、伝播チャネルによる回転位相を検出し、固定位相を加算してSCHをキャンセルすることができるので、受信信号からSCHを精度良くキャンセルすることができる。
ところで、実施例5では、送信アンテナTx1とTx2から送信された信号を等化した結果を合成した後で、SCHキャンセルを行う場合について説明したが、本願が開示する無線受信機はこれに限定されるものではない。例えば、本願が開示する無線受信機は、送信アンテナTx1とTx2から送信された信号が等化された後、合成する前に、それぞれに信号においてSCHキャンセルを行ってもよい。
そこで、実施例6では、送信アンテナTx1とTx2から送信された信号が等化後に、SCHキャンセルを行って合成する例について説明する。なお、実施利6では、Tx1からSCHが送信されているものとし、2本のアンテナから信号が送信されるため、無線受信機では2つのFIRを有する例について説明するが、これに限定されるものではない。
具体的には、Tx1での等化結果に含まれるSCHは、実施例4の場合と同じなので、実施例4で説明した方法を用いて精度良くSCH振幅を推定できる。これに対して、Tx2での等化結果に含まれるSCHは、伝搬路により位相も振幅も変化するので、実施例4の方法ではSCHをキャンセルできない。そこで、等化器の合成重みWとTx1の伝搬チャネル(h)から複素振幅の変動を推定して、Tx1でのSCH振幅推定結果に乗じ、Tx2でのSCH信号を推定してキャンセル処理を行なう。
上述した例を図11を用いて説明する。図11は、実施例6に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。なお、ここでは、受信側で位相調整ができるように、アンテナTx1からは送信重みwが乗算された信号xとSCH等が多重された信号が送信され、アンテナTx2からは送信重みwが乗算された信号xが送信されたとする。また、SCHキャンセル処理部以外に制御部については、実施例4と同様であるので、ここでは省略する。
このような状態において、無線受信機におけるSCHキャンセル処理部95は、アンテナRx1でTx1から送信された信号およびTx2から送信された信号を受信して、重み生成部95a、FIRフィルタ95b、FIRフィルタ95cそれぞれに出力する。
重み生成部95aは、FIRフィルタ95bにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、Tx1でのチャネル推定値(チャネルベクトル)をhとした場合に、重みベクトルをW=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部95aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ95bに投入する。また、重み生成部95aは、FIRフィルタ95cにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、Tx2でのチャネル推定値をhとした場合に、重みベクトルをW=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部95aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ95cに投入する。
FIRフィルタ95bと95cは、アンテナRx1によって受信され、デジタル変換部によって変換されたデジタル信号を等化する等化器やイコライザーなどの装置である。例えば、FIRフィルタ95bは、タップ数分のシフトレジスタを通過させた各信号に、重み生成部95aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ90bは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号をSCHキャンセル信号生成部95dと乗算部90eとに出力する。
FIRフィルタ95cは、タップ数分のシフトレジスタを通過させた各信号に、重み生成部95aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ90cは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号をキャンセル部95iに出力する。
SCHキャンセル信号生成部95dは、アンテナTx1での等化結果、言い換えると、FIRフィルタ95bからの出力信号に含まれるSCHの位相φを用いて、SCHを推定する。具体的には、SCHキャンセル信号生成部95dは、実施例4で説明した手法と同様に、SCHキャンセル信号生成部95dは、FIRフィルタ95bから出力された信号に「e−iφ0」を乗算して、受信信号の位相を「φ」分回転させて、I軸上の信号点に移動させる。次に、I軸において、SCHキャンセル信号生成部95dは、FIRフィルタ95bによって等化された信号を既知のSCHコードの複素共役で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。そして、SCHキャンセル信号生成部95dは、推定された信号振幅に1/SFを乗算し、乗算された信号に「eiφ0」をさらに乗算し、回転させた位相を「φ」分逆回転させて、元の信号点の位相に戻す。
Q軸においても同様に、SCHキャンセル信号生成部95dは、位相が戻された信号(非直交コードの信号振幅)に、既知のSCHコードを乗算して、拡散されたSCHコードを推定生成する。このようして拡散されたSCHコードを推定したSCHキャンセル信号生成部95dは、推定した拡散されたSCHコードをキャンセル部95eと、乗算部95hのそれぞれに出力する。
そして、キャンセル部95eは、FIRフィルタ95bによって等化された信号から、SCHキャンセル信号生成部95dで推定されたSCHコードをキャンセルし、SCHがキャンセルされた受信信号を乗算部95fに出力する。乗算部95fは、SCHがキャンセルされた信号にwの複素共役(w )を乗算して加算部95kに出力する。
また、SCH位相検出部95gは、FIRフィルタ95cの合成重みWとTx1の伝搬チャネル(h)から複素振幅の変動(W )/(W1 )を推定して、乗算部95hに出力する。乗算部95hは、SCH位相検出部95gから出力された複素振幅の変動(W )/(W1 )に、SCHキャンセル信号生成部95dから出力されたSCHコードを乗算して、キャンセル部95iに出力する。なお、Hは、エルミート転置を表している。
キャンセル部95iは、SCHコードに複素振幅の変動(W )/(W1 )が乗算された信号を、FIRフィルタ95cによって等化された信号から削除して、乗算部95jに出力する。乗算部95jは、SCHがキャンセルされた信号にwの複素振幅(w )を乗算して加算部95kに出力する。加算部95kは、FIRフィルタ95bで等化された信号からSCHがキャンセルされた信号と、FIRフィルタ95cで等化された信号からSCHがキャンセルされた信号とを加算して、逆拡散部95lに出力する。
逆拡散部95lは、SCHがキャンセルされた受信信号をSCやCCで逆拡散する。例えば、逆拡散部95lは、SCHキャンセル部90hから出力された信号に対して、セルサーチ部で検出されたSCで逆拡散する。続いて、逆拡散部95lは、SCで逆拡散された信号に対して、復号対象の信号のCC、言い換えると、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を誤り訂正復号部等に出力する。その後、誤り訂正復号部によって、実施例2と同様、誤り訂正および復調が実施され、復号対象の信号が復号される。
このように、実施例6によれば、送信アンテナTx1とTx2から送信された信号が等化後に、SCHキャンセルを行って合成する場合であっても、受信信号からSCHを精度良くキャンセルすることができる。
ところで、実施例6で説明した手法は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を用いて送信された場合であっても、同様にSCHを精度良くキャンセルすることができる。そこで、実施例7では、図12を用いて、MIMOを用いた送信信号に対して、SCHを精度良くキャンセルする例について説明する。
図12は、実施例7に係る無線受信機におけるSCHキャンセル処理部の構成を示すブロック図である。なお、ここでは、アンテナTx1からは送信重みwが乗算された信号x、送信重みwが乗算された信号x、SCH等が多重された信号が送信される。アンテナTx2からは、送信重みwが乗算された信号x、送信重みwが乗算された信号x等が多重された信号が送信される。また、SCHキャンセル処理部以外に制御部については、実施例4と同様であるので、ここでは省略する。
このような状態において、無線受信機におけるSCHキャンセル処理部100は、アンテナRx1でTx1およびTx2各々から送信された信号を受信して、重み生成部100a、FIRフィルタ100b、FIRフィルタ100cそれぞれに出力する。
重み生成部100aは、チャネル推定値(hi:チャネルベクトル)を用いて、FIRフィルタ100bおよび100cに投入する重みベクトル(W、W)を生成する。例えば、重み生成部100aは、図13に示すように、FIRフィルタ100bにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、チャネル推定値をhとした場合、W=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部80aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ100bに投入する。図13は、FIRフィルタに投入する重みを説明する図である。
また、重み生成部100aは、FIRフィルタ100cにおけるタップがN個ある場合の相関行列をRとし、チャネル推定値をhとした場合、W=R−1×hとすることができる。そして、重み生成部100aは、算出した重みベクトル(W=R−1×h)をFIRフィルタ100cに投入する。
FIRフィルタ100bと100cは、受信アンテナの数だけそれぞれ有し、アンテナRx1またはRx2によって受信され、デジタル変換部によって変換されたデジタル信号を等化する等化器やイコライザーなどの装置である。
例えば、FIRフィルタ100bは、タップ数分のシフトレジスタに、アンテナRx1によって受信された信号を通過させ、重み生成部100aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ100bは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号をSCHキャンセル信号生成部100dと乗算部100eとに出力する。
また、FIRフィルタ100bは、タップ数分のシフトレジスタに、アンテナRx2によって受信された信号を通過させ、重み生成部100aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ100bは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号をSCHキャンセル信号生成部100dと乗算部100eとに出力する。
そして、FIRフィルタ100cは、タップ数分のシフトレジスタに、アンテナRx1によって受信された信号を通過させ、重み生成部100aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ100cは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号を加算部100hに出力する。
また、FIRフィルタ100cは、タップ数分のシフトレジスタに、アンテナRx2によって受信された信号を通過させ、重み生成部100aから投入された重みベクトル(W=R−1×h)の複素共役を乗算する。そして、FIRフィルタ100cは、重みベクトル(W)の複素共役が乗算された信号を加算部100hに出力する。
SCHキャンセル信号生成部100dは、FIRフィルタ100bからの出力信号に含まれるSCHの位相φを用いて、SCHを推定し、推定したSCHコードを乗算部100eに出力する。なお、具体的な推定手法は、実施例4や実施例6と同様であるのでここでは省略する。
キャンセル部100eは、FIRフィルタ100bによって等化された信号から、SCHキャンセル信号生成部100dで推定されたSCHコードをキャンセルし、SCHがキャンセルされた受信信号を乗算部100iと乗算部100kに出力する。
SCH位相検出部100fは、FIRフィルタ100cの合成重みWとTx1の伝搬チャネル(h)から複素振幅の変動(W )/(W1 )を推定して、乗算部100gに出力する。乗算部100gは、SCH位相検出部100fから出力された複素振幅の変動(W )/(W1 )に、SCHキャンセル信号生成部100dから出力されたSCHコードを乗算して、キャンセル部100hに出力する。キャンセル部100hは、SCHコードに複素振幅の変動(W )/(W1 )が乗算された信号を、FIRフィルタ100cによって等化された信号からキャンセルして、乗算部100jと乗算部100lに出力する。なお、Hは、エルミート転置を表している。
乗算部100iは、FIRフィルタ100bで等化されて、SCHがキャンセルされた信号に、送信重み(w)の複素振幅(w )を乗算して加算部100mに出力する。また、乗算部100jは、FIRフィルタ100cで等化されて、SCHがキャンセルされた信号に、送信重み(w)の複素振幅(w )を乗算して加算部100mに出力する。また、乗算部100kは、FIRフィルタ100bで等化されて、SCHがキャンセルされた信号に、送信重み(w)の複素振幅(w )を乗算して加算部100nに出力する。また、乗算部100lは、FIRフィルタ100cで等化されて、SCHがキャンセルされた信号に、送信重み(w)の複素振幅(w )を乗算して加算部100nに出力する。
加算部100mは、乗算部100iから出力された信号である送信重み(w)の複素振幅(w )が乗算された信号と、乗算部100jから出力された信号である送信重み(w)の複素振幅(w )とを加算して、逆拡散部100oに出力する。また、加算部100nは、乗算部100kから出力された信号である送信重み(w)の複素振幅(w )が乗算された信号と、乗算部100lから出力された信号である送信重み(w)の複素振幅(w )とを加算して、逆拡散部100pに出力する。
逆拡散部100oは、加算部100mから出力された信号に対して、セルサーチ部で検出されたSCで逆拡散し、SCで逆拡散された信号に対して、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を誤り訂正復号部等に出力する。その後、誤り訂正復号部によって、実施例2と同様、誤り訂正および復調が実施され、復号対象の信号xが復号される。
逆拡散部100pは、加算部100nから出力された信号に対して、セルサーチ部で検出されたSCで逆拡散し、SCで逆拡散された信号に対して、自分に割り当てられているCCで逆拡散して、逆拡散後の信号を誤り訂正復号部等に出力する。その後、誤り訂正復号部によって、実施例2と同様、誤り訂正および復調が実施され、復号対象の信号xが復号される。
このように、実施例7によれば、MIMOを用いた無線通信であっても、実施例6と同様の手法用いることができ、SCHキャンセルを行って合成する場合であっても、受信信号からSCHを精度良くキャンセルすることができる。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、実施例8では、実施例1〜7とは異なる実施例を説明する。
(SCH振幅の平均処理)
例えば、SCHのような非直交なコードは干渉原となるため、あまり多くを多重するのは好ましくない。W-CDMAの場合は、スロットの先頭部分にのみ挿入されており、電力も比較的小さい。このため、位相と振幅が比較的揃っているイコライザー通過後の信号に対して、図14のように、振幅の平均と分散を比較して、比率が基準値を越えたときに平均数を変えるなどの処理をして、動的に平均数を切り変える。この結果、SCHのキャンセル精度をより向上させることができる。図14は、平均化処理を組み込んだSCHキャンセル処理部の構成を示す図である。なお、ここでは、振幅の平均と分散を用いる例について説明するが、別途検出した移動速度を元にして平均数を切り替えても良い。
例えば、図14に示すように、乗算部110aは、FIRフィルタによって等化された信号に「e−iφ0」を乗算し、受信信号の位相を「φ」分回転させて、I軸上の信号点に移動させる。次に、SCH逆拡散部110bは、乗算部110aによって位相が回転させられた信号を既知のSCHコードの複素共役で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。続いて、乗算部110cは、推定された信号振幅に1/SFを乗算して信号(a)を生成して、分散部110d、長期平均処理部110e、平均処理部110gに出力する。
分散部110dは、乗算部110cから出力された信号(a)における各スロットのSCHの分散や標準偏差、言い換えると、非直交コードの信号振幅の分散や標準偏差を算出し、平均数判定部110fに出力する。また、長期平均処理部110eは、例えば1フレームなど予め定められたフレーム数分のSCHの平均、言い換えると、非直交コードの信号振幅の平均を算出し、平均数判定部110fに出力する。
平均数判定部110fは、分散部110dの結果と、長期平均処理部110eの結果とに基づいて、平均するスロット数を決定する。具体的には、平均数判定部110fは、長期平均処理部110eの結果に比較して、分散が小さい場合には、平均するスロット数を多く決定する。例えば、平均数判定部110fは、分散部110dにより算出された分散値が長期平均処理部110eの結果の3分の1以下である場合には、平均するスロット数を「7」と決定して、平均処理部110gに出力する。
そして、平均処理部110gは、平均数判定部110fから出力された平均数分のスロットの非直交コードの信号振幅を平均した結果を、乗算部110hに出力する。乗算部110hは、平均処理部110gから出力された信号に「eiφ0」を乗算し、回転させた位相を「φ」分逆回転させて、元の信号点の位相に戻して、既知のSCHコードを乗算する。続いて、キャンセル部110jは、FIRフィルタによって等化された信号から乗算部110iによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部に出力する。その後の処理は、実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。こうすることで、SCHのキャンセル精度をより向上させることができる。
(SCH振幅の正規化)
また、例えば、フェージングなどによりSCHの振幅は変動するが、全送信電力に対するSCHの電力はおおむね一定と考えられる。そこで、図15に示すように、受信信号の2乗平均振幅でSCHの振幅を正規化してから平均処理を行ない、瞬時のSCH振幅推定値は、これに瞬時の受信信号の2乗平均振幅を乗ずることで求める。これにより、振幅が大きく変動するような場合でも、精度良く平均処理を行なうことができる。正規化は受信信号の絶対値や受信信号の実部と虚部それぞれの絶対値などを用いても良い。図15は、正規化処理を組み込んだSCHキャンセル処理部の構成を示す図である。
例えば、図15に示すように、乗算部120aは、FIRフィルタによって等化された信号に「e−iφ0」を乗算して、受信信号の位相を「φ」分回転させて、I軸上の信号点に移動させる。次に、SCH逆拡散部120bは、乗算部120aによって位相が回転させられた信号を既知のSCHコードの複素共役で逆拡散して、非直交コードの信号振幅を推定する。続いて、乗算部120cは、推定された信号振幅に1/SFを乗算して信号(a)を生成して、除算部120gに出力する。
一方、振幅算出部120dは、乗算部120aによって位相が回転させられた信号の大きさを算出し、加算部120eは、振幅算出部120dにより算出された信号の大きさを加算する。こうすることで、乗算部120aによって位相が回転させられた信号の2乗平均振幅を算出し、SCHの振幅を正規化する。続いて、乗算部120fは、加算部120eから出力された信号である正規化されたSCHの振幅に1/SFを乗算して信号(b)を生成して、除算部120gと乗算部120iに出力する。
除算部120gは、乗算部120cから出力された信号(a)を乗算部120fから出力された信号(b)で除算した結果を平均処理部120hに出力する。平均処理部120hは、除算部120gから出力された値(a/b)に基づいて、平均するスロット数を決定し、決定したスロット数分の平均を算出して、乗算部120iに出力する。例えば、平均処理部120hは、除算部120gから出力された値(a/b)が閾値よりも小さい場合には、平均するスロット数を「5」と決定し、5スロット分のSCHの振幅、すなわち、非直交コードの信号振幅を平均する。
乗算部120iは、除算部120gから出力された信号(非直交コードの信号振幅)に、乗算部120fで算出された信号(b)を乗算することで、受信された状態の振幅に戻し、瞬時の非直交コードの信号振幅を算出して、乗算部120jに出力する。
そして、乗算部120jは、平均処理部120hから出力された信号に「eiφ0」を乗算し、回転させた位相を「φ」分逆回転させて、元の信号点の位相に戻し、既知のSCHコードを乗算して、キャンセル部120kに出力する。続いて、キャンセル部120kは、FIRフィルタによって等化された信号から乗算部120jによって算出されたSCHをキャンセルし、拡散されたSCHがキャンセルされた受信信号を逆拡散部に出力する。その後の処理は、実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。こうすることで、振幅が大きく変動するような場合でも、精度良く平均処理を行なうことができる。正規化は受信信号の絶対値や受信信号の実部と虚部それぞれの絶対値などを用いても良い。
(システム構成等)
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、チャネル推定部56とSCH処理部60とを統合することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
なお、本実施例で説明した無線送受信方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
1 無線送信機
5 無線受信機
5a 受信部
5b 振幅推定部
5c 信号除去部
5d 復号部
10 無線送信機
10a アンテナ
11a〜11n 誤り訂正符号化部
12a〜12n 変調部
13a〜13n 拡散変調部
14 変調部
15 拡散変調部
20 加算部
21 乗算部
22 加算部
23 アップコンバート部
50 無線受信機
50a アンテナ
51 ダウンコンバート部
52 AGCアンプ
53 デジタル変換部
54 セルサーチ部
55 パスサーチ部
56 チャネル推定部
60 SCH処理部
60a〜60n 遅延部
61 SCHキャンセル処理部
62a〜62n SCH振幅推定部
63a〜63n 乗算部
64a〜64n 加算部
65a〜65n 逆拡散部
66a〜66n 乗算部
67 加算部
70 誤り訂正復号部

Claims (4)

  1. スクランブルコード又は直交コードで拡散された同期信号以外の他信号と、既知の位相を有する、直交しない非直交コードで拡散された同期信号とを含む複数の信号が多重されてマルチパスで送信された信号を1つのパスで受信する受信部と、
    前記同期信号を前記位相分回転させ、前記同期信号を用いて前記受信部によって受信された信号を逆拡散して、前記非直交コードの信号振幅を推定する振幅推定部と、
    前記振幅推定部によって推定された非直交コードの信号振幅と前記回転さた位相分逆回転された前記同期信号とを用いて、前記受信部によって受信された信号から前記拡散された同期信号を除去する信号除去部と、
    前記信号除去部によって拡散された同期信号が除去された受信信号に対して、逆拡散および復調を実施し、復号対象の信号を復号する復号部と
    を有することを特徴とする無線受信機。
  2. 前記受信部によって受信された信号を等化する等化部をさらに有し、
    前記振幅推定部は、前記等化部によって等化された信号を前記同期信号を用いて逆拡散して、前記非直交コードの信号振幅を推定し、
    前記信号除去部は、前記振幅推定部によって推定された非直交コードの信号振幅と前記同期信号とを用いて、前記等化部によって等化された信号から前記拡散された同期信号を除去することを特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
  3. 前記信号を送信する複数のアンテナのうち第一のアンテナが送信する前記同期信号を含んだ信号を等化する第一等化部と、
    前記第一のアンテナとは異なる第二のアンテナが送信する、前記同期信号を含まない信号を等化する第二等化部と、
    前記第一等化部または前記第二等化部それぞれの重みベクトルと、前記同期信号を含んだ信号を送信する前記第一のアンテナのチャネル推定値と、前記既知である同期信号の位相とから回転位相を検出する位相検出部とをさらに有し、
    前記振幅推定部は、前記同期信号を前記位相検出部によって検出された回転位相分回転させ、前記第一等化部によって等化された信号と前記第二等化部によって等化された信号とが加算された信号を、前記同期信号を用いて逆拡散して、前記非直交コードの信号振幅を推定し、
    前記信号除去部は、前記同期信号を前記回転位相分逆回転させ、前記非直交コードの信号振幅と前記同期信号とを用いて、前記第一等化部によって等化された信号と前記第二等化部によって等化された信号とが加算された信号から前記拡散された同期信号を除去することを特徴とする請求項2に記載の無線受信機。
  4. 前記信号を送信する複数のアンテナのうち第一のアンテナが送信する前記同期信号を含んだ信号を等化する第一等化部と、
    前記第一のアンテナとは異なる第二のアンテナが送信する、前記同期信号を含まない信号を等化する第二等化部と、
    前記第一等化部によって等化された信号について、前記同期信号を前記既知である位相分回転させ、前記第一等化部によって等化された信号を、前記同期信号を用いて逆拡散して、第一の非直交コードの信号振幅を推定する第一の振幅推定部と、
    前記第二等化部によって等化された信号について、前記第一の振幅推定部によって推定された第一の非直交コードの信号振幅に、前記同期信号を含んだ信号を送信する前記第一のアンテナのチャネル推定値と前記第二等化部の重みベクトルとを用いて推定される複素振幅の変動を乗じて、第二の非直交コードの信号振幅を推定する第二の振幅推定部とを有し、
    前記信号除去部は、前記同期信号を前記位相分逆回転させ、前記第一の非直交コードの信号振幅と当該同期信号とを用いて、前記第一等化部によって等化された信号から前記拡散された同期信号を除去し、前記第二の非直交コードの信号振幅と当該同期信号とを用いて、前記第二等化部によって等化された信号から前記拡散された同期信号を除去して、それぞれを合成することを特徴とする請求項2に記載の無線受信機。
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