JP5582949B2 - 歯科用硬化性組成物及びそれを用いた歯科材料 - Google Patents

歯科用硬化性組成物及びそれを用いた歯科材料 Download PDF

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Description

本発明は、歯質再生機能を有する歯科材料、特に歯科用接着性材料として好適に使用できる歯科用硬化性組成物に関する。
歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着材が用いられる。歯科用接着材は、象牙質表面を酸性成分で脱灰して露出した象牙質のコラーゲン層に浸透した後、硬化することにより、樹脂含浸層を形成する。この樹脂含浸層の形成によって歯科用接着材は象牙質に対して高い接着強さを発現する。
近年、歯科用接着材の接着耐久性が損なわれる原因の1つとして、接着材の硬化収縮、接着材の樹脂の分解、コラーゲンの酵素分解等によって歯質と上記樹脂含浸層との界面(接着界面)において空隙が生じることがいわれている。よって、この空隙を修復することができれば、接着耐久性の向上に効果的であると考えられる。
歯質を構成する成分であるヒドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム系化合物は、歯質の再石灰化の促進が期待できることから、近年、リン酸カルシウム系化合物を含有する歯科材料の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末において、アパタイトが含有されていることを特徴とするグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末が開示されている。当該グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末において、アパタイトは、望ましくは、短軸長さが30μm以下で長軸長さが800μm以下の繊維状で配合される。
しかし特許文献1において、アパタイトは、セメントマトリックス中のカルボン酸と反応して架橋結合し、セメント硬化物の機械的強度を向上させるために用いられている。
特許文献2には、リン酸カルシウム粒子の粒子径が、900nm以下であることを特徴とする象牙細管封鎖材が開示されている。当該象牙細管封鎖材は、好ましくは、リン酸カルシウム粒子を分散剤でコーティングし、分散媒と混合することにより構成される。
しかし特許文献2の象牙細管封鎖材は、象牙細管の内部に充填されたリン酸カルシウム粒子を核として再石灰化を促進させることにより、象牙細管内部を封鎖するためのものであり、硬化性の歯科材料ではない。
特許文献3は、水溶性又は水分散性の合成高分子化合物と粒径500nm以下の水難溶性無機微粒子とを含有することを特徴とする、分散安定性に優れる有機重合体/無機微粒子分散水溶液を開示する。水難溶性無機微粒子としてアパタイトが使用可能であること、当該有機重合体/無機微粒子分散水溶液を歯科材料に使用可能であることも記載されている。また、特許文献4は、粒径500nm以下の平板状ヒドロキシアパタイト微粒子が均一に分散した、分散安定性に優れる高分子化合物/ヒドロキシアパタイト複合体分散水溶液、及び当該複合分散水溶液を乾燥して得られる高分子化合物/ヒドロキシアパタイト複合体フィルムを開示する。高分子化合物/ヒドロキシアパタイト複合体が歯科材料に使用可能であることも記載されている。
しかし、特許文献3及び4に記載の有機重合体/無機微粒子分散水溶液及び高分子化合物/ヒドロキシアパタイト複合体について、歯科材料への適用方法の記載がなく、また、これらは硬化性の歯科材料ではない。
特開2001−354509号公報 特開2005−325102号公報 特開2001−31877号公報 特開2004−26963号公報
上述のように、リン酸カルシウム系化合物を用いた歯科材料は存在するものの、歯質と上記樹脂含浸層との界面において生じた空隙を再石灰化により埋めることによって高い接着耐久性を示す硬化性の歯科材料は、未だ開発されていない。
そこで本発明は、歯質と上記樹脂含浸層との界面において生じた空隙を再石灰化により埋めることによって高い接着耐久性を示す硬化性の歯科用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、重合性単量体(A)と、重合開始剤(B)と、リン酸カルシウム系微粒子(C)とを含有する歯科用硬化性組成物であって、
前記リン酸カルシウム系微粒子(C)の平均一次粒子径が5〜200nmである歯科用硬化性組成物である。
前記リン酸カルシウム系微粒子(C)は、表面処理剤(D)によって表面修飾されていることが好ましい。前記表面処理剤(D)は、少なくとも1つの重合性基とリン酸基を有するものであることが好ましく、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートであることがより好ましい。前記リン酸カルシウム系微粒子(C)は、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)100重量部に対して、前記表面処理剤(D)10〜200重量部によって表面修飾されていることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含むことが好ましい。
前記リン酸カルシウム系微粒子(C)は、ヒドロキシアパタイトの微粒子であることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用接着材、歯科用合着材、又は歯科用自己接着性コンポジットレジンとして好適に用いることができる。
本発明の歯科用組成物を歯質に適用することにより、歯質と樹脂含浸層との界面(接着界面)において生じた空隙内において、ナノサイズのリン酸カルシウム系微粒子を核として再石灰化が促進され、接着界面に生じた空隙が修復されることによって、口腔内での接着耐久性を高めることができる。本発明の歯科用組成物によれば、軟化象牙質も同様に再石灰化により修復することができる。本発明の歯科用組成物は、歯科用接着性材料(例、歯科用接着材、歯科用合着材、歯科用自己接着性コンポジットレジン等)として好適に使用でき、歯科用接着材として特に好適に使用できる。
重合性単量体(A)
重合性単量体(A)は、歯科用硬化性組成物に使用可能な重合性及び生体への安全性を有している限り、その種類に特に制限はなく、このような重合性単量体は当業者に多種知られている。重合性単量体(A)は、その機能に応じて、1個の重合性基と1個以上の水酸基とを有する重合性単量体(A−1)、酸性基を有する重合性単量体(A−2)、及び架橋性の重合性単量体(A−3)に大別することができる。
なお、以下の説明において、「一官能性」、「二官能性」及び「三官能性」という用語を使用するが、「一官能性」、「二官能性」及び「三官能性」とは、1分子中に重合性基を1個、2個及び3個有することをそれぞれ表わす。
1個の重合性基と1個以上の水酸基とを有する重合性単量体(A−1)
重合性単量体(A−1)は、水酸基を1個以上有するため親水性が良好であり、かつ重合性基を1個有する一官能性重合体単量体であるため、歯科用硬化性組成物に配合した場合には、象牙質のコラーゲン層への浸透性により優れ、接着強さがより高くなる。重合性単量体(A−1)は、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリレート類又は(メタ)アクリルアミド類であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルなる記載はメタクリルとアクリルとの総称である。
重合性単量体(A−1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。重合性単量体(A−1)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、象牙質のコラーゲン層への浸透性の改善の観点からは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、特に好ましくは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
前記重合性単量体(A−1)の配合量は、実施態様に応じて適宜決定すればよく、概して、重合性単量体(A)100重量部中、5〜60重量部が好ましく、20〜40重量部がより好ましい。重合性単量体(A−1)の配合量が、5重量部より少ないと、重合性単量体(A−1)による象牙質のコラーゲン層への浸透効果が十分に得られず接着強さが低下するおそれがある。一方、重合性単量体(A−1)の配合量が、60重量部より多いと、十分な硬化性が得られずに接着強さが低下するおそれがある。
酸性基を有する重合性単量体(A−2)
酸性基を有する重合性単量体(A−2)は、被着体との親和性を有するとともに、歯質に対しては脱灰作用を有する。従って、歯科用硬化性組成物に脱灰作用を与えたいときには有用な重合性単量体である。酸性基を有する重合性単量体(A−2)としては、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を少なくとも1個有し、且つアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基等の重合性基を少なくとも1個有する重合性単量体が挙げられる。酸性基を有する重合性単量体(A−2)は、硬化性の観点から好ましくは、(メタ)アクリレート類又は(メタ)アクリルアミド類である。
リン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシ−(1−ヒドロキシメチル)エチル〕ハイドロジェンホスフェート及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
ピロリン酸基含有重合性単量体としては、ピロリン酸ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
チオリン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンチオホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンチオホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンチオホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンチオホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンチオホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンチオホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンチオホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンチオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンチオホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンチオホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンチオホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンチオホスフェート及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
ホスホン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル−3−ホスホノアセテート及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
スルホン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレートが例示される。
カルボン酸基含有重合性単量体としては、分子内に1つのカルボキシル基を有する重合性単量体と、分子内に複数のカルボキシル基を有する重合性単量体とが挙げられる。
分子内に1つのカルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート及びこれらの酸ハロゲン化物が例示される。
分子内に複数のカルボキシル基を有する重合性単量体としては、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテートアンハイドライド、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート及びこれらの酸無水物又は酸ハロゲン化物が例示される。
上記の酸性基を有する重合性単量体(A−2)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。これらの酸性基を有する重合性単量体(A−2)の中でも、歯質との接着強さが大きい点で、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテートアンハイドライド、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸が好ましい。
酸性基を有する重合性単量体(A−2)の配合量は、実施態様に応じて適宜決定すればよく、概して、重合性単量体(A)100重量部中において、2〜20重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。酸性基を有する重合性単量体(A−2)の配合量が、2重量部より少ないと、脱灰効果を十分に得られず接着強さが低下するおそれがある。一方、酸性基を有する重合性単量体(A−2)の配合量が、20重量部より多いと、十分な硬化性が得られずに接着強さが低下するおそれがある。
架橋性の重合性単量体(A−3)
歯科用硬化性組成物に架橋性の重合性単量体(A−3)を配合した場合には、接着強さがさらに向上する等の利点を有する。
架橋性の重合性単量体(A−3)としては、特に限定されないが、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体などが挙げられる。架橋性の重合性単量体(A−3)は、硬化性の観点から好ましくは、(メタ)アクリレート類又は(メタ)アクリルアミド類である。
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテートなどが挙げられる。
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、エリスリトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、マンニトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)等が挙げられる。
三官能性以上の重合性単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、及び1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
架橋性の重合性単量体(A−3)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。
架橋性の重合性単量体(A−3)の配合量は、実施態様に応じて適宜決定すればよく、概して、重合性単量体(A)100重量部中、20〜93重量部が好ましく、50〜77重量部がより好ましい。重合性単量体(A−3)の配合量が、20重量部より少ないと、重合性単量体(A−3)による接着強さ向上効果を十分に得られないおそれがある。一方、重合性単量体(A−3)の配合量が、93重量部より多いと、組成物の象牙質のコラーゲン層への浸透が不十分となり、高い接着強さが得られなくなるおそれがある。
重合開始剤(B)
本発明に用いられる重合開始剤(B)は、一般工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤が、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、アシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、アセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、アセチルメチルフォスフォネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソフォスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニールフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルフォスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)フォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルフォスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルフォスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
上記光重合開始剤として用いられるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるクマリン化合物の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
上記光重合開始剤として用いられるアントラキノン類の例としては、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤(B)のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤(B)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(A)100重量部に対して、重合開始剤(B)が0.001〜30重量部含有されることが好ましい。重合開始剤(B)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、接着強さの低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合開始剤(B)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着強さが得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には15重量部以下、最も好適には10重量部以下である。
リン酸カルシウム系微粒子(C)
本発明では、平均一次粒子径が5〜200nmというナノサイズのリン酸カルシウム系微粒子を使用する。本発明らの詳細な検討により、このようなナノサイズのリン酸カルシウム系微粒子を配合した歯科用硬化性組成物を歯質に適用した場合には、歯質と樹脂含浸層との界面(接着界面)で生じた空隙に、ナノサイズのリン酸カルシウム系微粒が入りこみ、それを核として再石灰化が促進されて、空隙が埋まることを見出した。従って、歯科用硬化性組成物にナノサイズのリン酸カルシウム系微粒子を配合することにより、接着耐久性に優れる歯科用硬化性組成物を構成できることを見出した。
リン酸カルシウム系微粒子(C)は、平均一次粒子径が5〜200nmであることが重要である。平均一次粒子径が5nm未満だと、組成物の粘度が高くなりすぎるため、歯質へのなじみが悪くなり、硬化後に歯質との界面に空隙を生じやすくなる。リン酸カルシウム系微粒子(C)の平均一次粒子径は、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。一方、平均一次粒子径が200nmを超えると、リン酸カルシウム系微粒子(C)の凝集粒子のサイズが大きくなり過ぎて、再石灰化が起こりにくくなり、また接着界面の空隙に入りこむことができなくなり、再石灰化により空隙内部を埋めることができなくなる。リン酸カルシウム系微粒子(C)の平均一次粒子径は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
リン酸カルシウム系微粒子(C)の平均一次粒子径は、粒子の透過電子顕微鏡(日立製作所製、H−800NA型)写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子(200個以上)の粒子径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Macview(株式会社マウンテック))を用いることによって求めることができる。このとき、粒子の粒子径は、粒子の最長の長さと最短の長さの算術平均値として求められ、粒子の数とその粒子径より、平均一次粒子径が算出される。
リン酸カルシウム系微粒子(C)としては、カルシウムイオンとリン酸基(PO4 3-)又はピロリン酸基(P27 4-)を含む化合物の微粒子であれば特に制限はなく、例えば、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、クロロアパタイト、カーボネートアパタイト等の微粒子が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアパタイトの微粒子である。
リン酸カルシウム系微粒子(C)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対し、0.1〜50重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。配合量が0.1重量部未満では、リン酸カルシウム系微粒子(C)によって接着界面の空隙を埋めるという効果が小さくなる。一方、配合量が50重量部を超えると、組成物の粘度が高くなりすぎて歯質へのなじみが悪くなるため、硬化後に歯質との界面に空隙を生じやすくなる。
リン酸カルシウム系微粒子(C)は重合性単量体(A)と共に歯科用硬化性組成物に含有されるため、リン酸カルシウム系微粒子(C)は、表面処理剤(D)によって表面修飾されていることが好ましい。この表面修飾により、リン酸カルシウム系微粒子(C)の重合性単量体(A)との親和性が向上し、組成物の硬化物の機械的強度がより向上し、接着耐久性もより向上する。
表面処理剤(D)としては、少なくとも1つの重合性基とリン酸基を有するものを使用することが好ましく、例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート等を挙げることができる。これらのうち、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートが好ましい。
表面処理剤(D)の使用量に関しては、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)100重量部に対して、前記表面処理剤(D)10〜200重量部が好ましく、50〜120重量部がより好ましい。表面処理剤(D)の使用量が10重量部未満だと、重合性単量体(A)との親和性向上効果が不十分となるおそれがあり、200重量部を超えると、硬化性が低下し、硬化物として、十分な機械的強度が得られない。
溶媒(E)
本発明の歯科用硬化性組成物は、その具体的な実施態様によっては、溶媒(E)を含むことが好ましい。溶媒としては、水、有機溶媒、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、生体に対する安全性と、揮発性に基づく除去の容易さの双方を勘案した場合、有機溶媒が水溶性有機溶媒であることが好ましく、具体的には、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、及びテトラヒドロフランが好ましく用いられる。
本発明の歯科用硬化性組成物が水を含む場合には、優れた接着強さを示すとともに優れた接着耐久性を示す。水は、悪影響を及ぼすような不純物を含有していないことが好ましく、蒸留水又はイオン交換水が好ましい。しかしながら、酸性下、長期間、水とリン酸カルシウム系微粒子が共存するとリン酸カルシウム系微粒子が溶解することから、使用直前まで別包装で保存されることが好ましく、例えば、2液型歯科用接着材料の場合には、水をプライマー、リン酸カルシウム系微粒子を接着材へ、それぞれ分けて配合することが好ましい。
実施態様によっては前記溶媒(E)の配合を必要としないものもある。前記溶媒を用いる実施態様においては、組成物は、重合性単量体(A)100重量部に対して、溶媒(E)を1〜4000重量部含有してなることが好ましい。溶媒が、水、又は水と有機溶媒の混合溶媒であった場合には、水の配合量が、重合性単量体(A)100重量部に対して、6〜2000重量部であることが好ましい。水の含有量が6重量部未満の場合、コラーゲン層へのモノマーの浸透性が不十分となり、接着強さが低下するおそれがある。一方、水の含有量が2000重量部を超える場合、モノマーの重合性が低下し、接着強さが低下するとともに接着耐久性が低下するおそれがある。水の含有量は、7重量部以上であることがより好ましく、10重量部以上であることがさらに好ましい。また、水の含有量は、1500重量部以下であることがより好ましい。前記溶媒(E)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の組成物の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じた前記有機溶媒(E)の好適な配合量を示すこととする。
重合促進剤(F)
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合促進剤(F)を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合促進剤(F)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ尿素化合物などが挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
重合促進剤(F)として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
重合促進剤(F)として用いられるボレート化合物は、好ましくはアリールボレート化合物である。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
重合促進剤(F)として用いられるバルビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩が挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられるトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
重合促進剤(F)として用いられる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
重合促進剤(F)として用いられるスズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
重合促進剤(F)として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられるハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
重合促進剤(F)として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
重合促進剤(F)として用いられるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられる亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。
重合促進剤(F)として用いられるチオ尿素化合物としては、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤(F)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(A)100重量部に対して、重合促進剤(F)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合促進剤(F)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、接着強さの低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合促進剤(F)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着強さが得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には10重量部以下である。
フィラー(G)
本発明の歯科用硬化性組成物に、実施態様によっては、さらにフィラー(G)を配合してもよい。このようなフィラーは、通常、有機フィラー、無機フィラー及び有機−無機複合フィラーに大別される。有機フィラーの素材としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの素材としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。これらもまた、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの形状としては、不定形フィラー及び球状フィラーが挙げられる。組成物の機械強度を向上させる観点からは、前記無機フィラーとして球状フィラーを用いることが好ましい。さらに、前記球状フィラーを用いた場合、本発明の組成物を歯科用自己接着性コンポジットレジンとして用いた場合に、表面滑沢性に優れたコンポジットレジンが得られるという利点もある。ここで球状フィラーとは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みをおびており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で割った平均均斉度が0.6以上であるフィラーである。前記球状フィラーの平均粒子径は好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が0.1μm未満の場合、組成物中の球状フィラーの充填率が低下し、機械的強度が低くなるおそれがある。一方、平均粒子径が5μmを超える場合、前記球状フィラーの表面積が低下し、高い機械的強度を有する硬化体が得られないおそれがある。
前記無機フィラーは、組成物の流動性を調整するため、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー化合物を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜20μmであることがより好ましい。
本発明に用いられるフィラー(G)の配合量は特に限定されず、重合性単量体(A)100重量部に対して、フィラー(G)を0〜2000重量部が好ましい。フィラー(G)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の組成物の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じたフィラー(G)の好適な配合量を示すこととする。
この他、本発明の歯科用硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でpH調整剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用接着性材料として用いることができる。このとき、歯科用硬化性組成物の成分を2つに分けた2剤型としてもよい。本発明の歯科用硬化性組成物を用いた歯科用接着性材料は、良好な歯質との接着性と、優れた接着耐久性を有する。歯科用接着性材料としては、歯科用接着材、歯科用合着材、歯科用自己接着性コンポジットレジン等が挙げられる。これらのうち、接着耐久性向上効果を最も活用できることから、歯科用接着材が最も好適である。
歯科用接着材
歯科材料の接着システムは、歯質表面を酸性成分で溶かす脱灰工程、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透する浸透工程、浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(樹脂含浸層)を形成する硬化工程を含む。この硬化工程に用いられるのが歯科用接着材であり、プライマーと併用される2ステップ型の2液型接着材が汎用されている。また、近年では、2剤を使用直前に混和することによって、浸透工程、脱灰工程、及び硬化工程を併せて一段階で行う1ステップ型の2液型接着材も開発されている。
本発明の歯科用硬化性組成物を用いた2ステップ型の2液型接着材の構成例を示すと、当該接着材には、重合性単量体(A)100重量部中において、重合性単量体(A−1)5〜60重量部、重合性単量体(A−2)2〜20重量部、及び重合性単量体(A−3)20〜93重量部が配合され、好ましくは、重合性単量体(A−1)20〜40重量部、重合性単量体(A−2)3〜10重量部、及び重合性単量体(A−3)50〜77重量部が配合される。重合性単量体(A)100重量部に対し、リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含むことが好ましく、5〜20重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体(A)100重量部に対し、溶媒(E)を1〜4000重量部含むことが好ましく、6〜2000重量部含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、重合開始剤(B)0.001〜30重量部及び重合促進剤(F)0.001〜30重量部を含むことが好ましく、重合開始剤(B)0.05〜20重量部含及び重合促進剤(F)0.05〜20重量部を含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、フィラー(G)を0〜100重量部含むことが好ましく、0〜50重量部含むことがより好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物を用いた1ステップ型の2液型接着材の構成例を示すと、当該接着材には、重合性単量体(A)100重量部中において、重合性単量体(A−1)5〜60重量部、重合性単量体(A−2)2〜20重量部、及び重合性単量体(A−3)20〜93重量部が配合され、好ましくは、重合性単量体(A−1)20〜40重量部、重合性単量体(A−2)3〜10重量部、及び重合性単量体(A−3)50〜77重量部が配合される。重合性単量体(A)100重量部に対し、リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含むことが好ましく、5〜20重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体(A)100重量部に対し、溶媒(E)を1〜4000重量部含むことが好ましく、6〜2000重量部含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、重合開始剤(B)0.001〜30重量部及び重合促進剤(F)0.001〜30重量部を含むことが好ましく、重合開始剤(B)0.05〜20重量部含及び重合促進剤(F)0.05〜20重量部を含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、フィラー(G)を0〜100重量部含むことが好ましく、0〜50重量部含むことがより好ましい。
歯科用合着材
歯科用合着材は、インレーやクラウンと呼ばれる金属やセラミックス製の歯冠用修復材料を歯牙に固定する際に用いられる歯科材料である。
本発明の歯科用硬化性組成物を用いた合着材の構成例を示すと、合着材には、重合性単量体(A)100重量部中において、重合性単量体(A−1)5〜60重量部、重合性単量体(A−2)2〜20重量部、及び重合性単量体(A−3)20〜93重量部が配合され、好ましくは、重合性単量体(A−1)20〜40重量部、重合性単量体(A−2)3〜10重量部、及び重合性単量体(A−3)50〜77重量部が配合される。重合性単量体(A)100重量部に対し、リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含むことが好ましく、5〜20重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体(A)100重量部に対し、溶媒(E)を0〜50重量部含むことが好ましく、0〜20重量部含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、重合開始剤(B)0.001〜30重量部及び重合促進剤(F)0.001〜30重量部を含むことが好ましく、重合開始剤(B)0.05〜20重量部含及び重合促進剤(F)0.05〜20重量部を含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、フィラー(G)を1〜2000重量部含むことが好ましく、50〜1000重量部含むことがより好ましい。
上記合着材においては、重合開始剤(B)として化学重合開始剤を用いることが好ましく、重合促進剤(F)として、してアミン類及び/又はスルフィン酸及びその塩を用いることが好ましい。合着材においては、保存安定性の観点から、重合性単量体(A−2)及び重合開始剤(B)と、重合促進剤(F)とを、それぞれ別々の容器に保存する2剤型とすることが好ましい。
自己接着性コンポジットレジン
コンポジットレジンは、通常、う蝕発生部位を切削し窩洞を形成した後に、前記窩洞に充填される形態で用いられる歯科材料である。自己接着性コンポジットレジンは、上記の浸透作用、脱灰作用、及び硬化作用を有するコンポジットレジンであり、接着材等を用いなくても充填修復が可能な材料である。
本発明の歯科用硬化性組成物を用いた自己接着性コンポジットレジンの構成例を示すと、当該自己接着性コンポジットレジンには、重合性単量体(A)100重量部中において、重合性単量体(A−1)5〜60重量部、重合性単量体(A−2)2〜20重量部、及び重合性単量体(A−3)20〜93重量部が配合され、好ましくは、重合性単量体(A−1)20〜40重量部、重合性単量体(A−2)3〜10重量部、及び重合性単量体(A−3)50〜77重量部が配合される。重合性単量体(A)100重量部に対し、リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含むことが好ましく、5〜20重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体(A)100重量部に対し、溶媒(E)を0〜50重量部含むことが好ましく、0〜20重量部含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、重合開始剤(B)0.001〜30重量部及び重合促進剤(F)0.001〜30重量部を含むことが好ましく、重合開始剤(B)0.05〜20重量部含及び重合促進剤(F)0.05〜20重量部を含むことがより好ましい。重合性単量体(A)100重量部に対し、フィラー(G)を1〜2000重量部含むことが好ましく、50〜1000重量部含むことがより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例を行うにあたり、用いた試薬等を以下に説明する。
重合性単量体(A−1)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
重合性単量体(A−2)
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
重合性単量体(A−3)
BisGMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
重合開始剤(B)
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
CQN:カンファーキノン
重合促進剤(F)
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
DBB:N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル
重合禁止剤
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
擬似体液
精製水750mLへ、塩化ナトリウム8.0g、炭酸水素ナトリウム0.35g、塩化カリウム0.22g、リン酸一水素二カリウム三水和物0.23g、塩化マグネシウム六水和物0.31g、塩酸水(1kmol/m3)40mL、塩化カルシウム0.28g、硫酸ナトリウム0.07g、及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン6.1gを溶解した後、塩酸水(1kmol/m3)を加えて、pHを7.25に調整した。
〔製造例1〕
(ヒドロキシアパタイト1の製法)
室温下、水酸化カルシウムの水懸濁液へ、リン酸水溶液をpH8になるまで、滴下し、ヒドロキシアパタイト水懸濁液1を得た。ヒドロキシアパタイト水懸濁液1を遠心分離(2000×g・15分間)し、水を除去した後エタノールで3回洗浄した。得られたヒドロキシアパタイト粒子にエタノールを加え、超音波分散により、ヒドロキシアパタイト1の4wt%エタノール溶液を得た。ヒドロキシアパタイト1の平均一次粒子径は、26nmであった。
〔製造例2〕
(ヒドロキシアパタイト2の製法)
80℃に加温した水酸化カルシウムの水懸濁液へ、リン酸水溶液をpH8になるまで滴下し、ヒドロキシアパタイト水懸濁液2を得た。ヒドロキシアパタイト水懸濁液2を遠心分離(2000×g・15分間)し、水を除去した後エタノールで3回洗浄した。得られたヒドロキシアパタイト粒子にエタノールを加え、超音波分散により、ヒドロキシアパタイト2の4wt%エタノール溶液を得た。ヒドロキシアパタイト2の平均一次粒子径は、98nmであった。
〔製造例3〕
(ヒドロキシアパタイト3の製法)
ヒドロキシアパタイト(平均粒子径11μm;宇部マテリアル)をボールミルにより粉砕し、得られた粉末を水中に超音波分散させ、ヒドロキシアパタイト水懸濁液3を得た。ヒドロキシアパタイト水懸濁液3を遠心分級することによって、粗大な粒子を除去し、ヒドロキシアパタイト分級液1を得た。ヒドロキシアパタイト分級液1を遠心分離(2000×g・15分間)し、水を除去した後エタノールで3回洗浄した。得られたヒドロキシアパタイト粒子にエタノールを加え、超音波分散により、ヒドロキシアパタイト3の4wt%エタノール溶液を得た。ヒドロキシアパタイト3の平均一次粒子径は、185nmであった。
〔製造例4〕
(ヒドロキシアパタイト4の製法)
ヒドロキシアパタイト(平均粒子径11μm;宇部マテリアル)をボールミルにより粉砕し、得られた粉末を水中に超音波分散させ、ヒドロキシアパタイト水懸濁液4を得た。ヒドロキシアパタイト水懸濁液4を分級することによって、粗大な粒子を除去し、ヒドロキシアパタイト分級液2を得た。ヒドロキシアパタイト分級液2を遠心分離(2000×g・15分間)し、水を除去した後エタノールで3回洗浄した。得られたヒドロキシアパタイト粒子にエタノールを加え、超音波分散により、ヒドロキシアパタイト4の4wt%エタノール溶液を得た。ヒドロキシアパタイト4の平均一次粒子径は、514nmであった。
〔実施例1及び比較例1〕
ヒドロキシアパタイト1(平均一次粒子径26nm)の4wt%エタノール溶液49gに、MDP1.7g、HEMA12g、BisGMA13g、及びNPG7gを加え、室温下で60分間撹拌した。液温を40℃とし、真空下エタノールを留去した。留去後の残分へ、MDP1.7g、TMDPO1g、CQN0.2g、DEPT0.2g、DBB0.7g、及びBHT0.02gを添加し、室温下で撹拌溶解し、組成物1を得た。
人抜去健全大臼歯を用い、歯冠中央部までモデルトリマーを用いて削除後、露出象牙質面を耐水研磨紙#600で研磨し、被着面とした。被着面にクリアフィルメガボンドプライマー(クラレメディカル製)を塗布して20秒間処理した後、クリアフィルメガボンドボンディング材(以下、MB;クラレメディカル製)、又は、組成物1のいずれかを塗布し、JETライト3000(ハロゲン光照射器;モリタ製)を用いて、10秒間光照射を行った。その後、クリアフィルAP−X(歯科充填用コンポジットレジン;クラレメディカル製)を処理面に築盛して、40秒間光照射を行って接着試料体を作製した。
接着試料体を37℃水中に24時間浸漬した後、精密低速切断機を用いて、接着面積0.7×0.7mm2の棒状に切り出し、試験片とした。卓上万能試験機(EZテスター;島津製)を用いて、試験片の引張り接着強さを測定し、初期の微小引張り接着強さを求めた。
また、同様にして、試験片を37℃擬似体液中に、1ヵ月間、6ヵ月間又は12ヵ月間浸漬し、それぞれの微小引張り接着強さを求めた。
結果を以下の表に示す。MBの微小引張り接着強さは、経時的に低下した。一方、組成物1の微小引張り接着強さは、6ヵ月後までは、低下したが、12ヵ月後に向上した。
Figure 0005582949
〔実施例2〕
ヒドロキシアパタイト1(平均一次粒子径26nm)の4wt%エタノール溶液49gに、MDP1.7g、HEMA5.5g、BisGMA6.5g、及びNPG3.5gを加え、室温下で60分間撹拌した。液温を40℃とし、真空下エタノールを留去した。留去後の残分へ、MDP0.8g、TMDPO0.5g、CQN0.1g、DEPT0.1g、DBB0.3g、及びBHT0.01gを添加し、室温下で撹拌溶解し、組成物2を得た。
組成物2を金型15mmφ×厚さ1mmへ充填し、αライトII(ハロゲン光照射器;モリタ製)を用いて、表裏1分光照射を行い、硬化させた。得られた硬化板の表面をアセトンで洗浄し、試験片を得た。
試験片を37℃擬似体液中に、1週間又は4週間浸漬し、石灰化試験片を得た。石灰化試験片の走査型電子顕微鏡(S3500N;日立製)写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される石灰化部分の面積の割合を測定し、石灰化率(%)として求めた。
〔実施例3〕
ヒドロキシアパタイト2(平均一次粒子径98nm)を用い、実施例2と同様に組成物3を作製し、石灰化率(%)を求めた。
〔実施例4〕
ヒドロキシアパタイト3(平均一次粒子径185nm)を用い、実施例2と同様に組成物4を作製し、石灰化率(%)を求めた。
〔比較例1〕
ヒドロキシアパタイト4(平均一次粒子径514nm)を用い、実施例2と同様に組成物5を作製し、石灰化率(%)を求めた。
〔比較例2〕
MBを用い、実施例2と同様に試験片を作製し、石灰化率(%)を求めた。
結果を下表に示す。実施例2〜4では、1週間後の石灰化率が100%となった。一方、比較例1では、石灰化するものの、4週間後の石灰化率は、100%に達しなかった。さらに比較例2では、全く石灰化はみられなかった。
Figure 0005582949
以上、実施例1から、ヒドロキシアパタイト粒子を含む接着材によって、接着耐久性が高まることがわかった。また、実施例2〜4と比較例1の比較により、200nm以下のヒドロキシアパタイト微粒子を用いることによって、石灰化能が高まり、むら無く石灰化が進むことがわかった。
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用接着性材料として用いることができ、好適には、歯科用接着材、歯科用合着材、歯科用自己接着性コンポジットレジン等として用いることができる。

Claims (7)

  1. 重合性単量体(A)と、重合開始剤(B)と、リン酸カルシウム系微粒子(C)とを含有する歯科用硬化性組成物であって、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)が、表面処理剤(D)によって表面修飾されており、前記表面処理剤(D)が、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートであり、
    前記リン酸カルシウム系微粒子(C)の平均一次粒子径が5〜200nmである歯科用硬化性組成物。
  2. 前記リン酸カルシウム系微粒子(C)が、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)100重量部に対して、前記表面処理剤(D)10〜200重量部によって表面修飾されている請求項に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記リン酸カルシウム系微粒子(C)を0.1〜50重量部含む請求項1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
  4. 前記リン酸カルシウム系微粒子(C)が、ヒドロキシアパタイトの微粒子である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物を用いた歯科用接着材。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物を用いた歯科用合着材。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物を用いた歯科用自己接着性コンポジットレジン。
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